説明

核磁気流量計用の磁化装置

【課題】流体が流れる測定管の均一性が充分であるとともに、製造コストおよび製造時間が低減された磁化装置を提供すること。
【解決手段】核磁気共鳴流量計の測定管を流れる多相流体が貫通する磁化装置であって、当該磁化装置は、少なくとも1つの面において均一な磁場と、磁場を形成する複数の永久磁石と、担体とを有しており、当該担体は少なくとも1つの磁石収容部を有しており、当該各磁石収容部は前記複数の永久磁石の少なくとも1つを収容し、当該磁石収容部の形状および前記永久磁石の形状によって、前記永久磁石は当該磁石収容部内で一方向においてのみ動くことができ、当該磁石収容部によって収容されている永久磁石は、当該磁石収容部によって、前記磁場に基づいて配置されている、磁化装置において、前記磁石収容部は中空成形体として形成されている、ことを特徴とする磁化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核磁気流量計の測定管を流れる多相流体が通る磁化装置に関する。ここでこの磁化装置は、少なくともある1つの面において均一な磁場と、磁場を形成するための複数の永久磁石と、担体とを有している。ここでこの担体は少なくとも1つの磁石収容部を有している。各磁石収容部は永久磁石の少なくとも1つを収容している。磁石収容部および永久磁石の形状によって、永久磁石は磁石収容部内で1つの方向においてのみ運動することができ、磁石収容部内に収容されている永久磁石はこれらの磁石収容部によって、磁場に基づいて配置されている。
【背景技術】
【0002】
核磁気流量計は、測定管内での多相流体の個々の相の流量、個々の相の流速および多相流体における個々の相の相対的な割合を、適切なセンサによって誘起された電圧での多相流体の核磁気共鳴の測定および評価によって求める。核磁気共鳴(英語でNuclear Magnetic Resonance)の測定原理は、自由な磁気モーメントを有する原子核の特性、すなわち原子核がスピンし、磁場があると歳差運動をするということに基づく。原子核の磁気モーメントを表すベクトルの歳差運動は、原子核の代わりに磁場を表すベクトルを中心にして行われる。ここでこの歳差運動は、センサ内に電圧を誘起する。歳差運動の周波数はラーモアの周波数ωと称され、ω=γ・Bによって計算される、ここではγは磁気回転比であり、Bは磁場強度の値である。磁気回転比γは水素核の場合に最大であるので、殊に水素核を伴う流体が核磁気流量計に適している。
【0003】
油井から多相流体(これは実質的に原油と天然ガスと海水から成る)が採掘される。いわゆるテストセパレータは、採掘された流体の一部分を取り分け、流体の個々の相を別々にし、流体における個々の相の割合を定める。テストセパレータにはコストがかかり、海底に設けることはできない。さらに即時の測定を行うことはできない。殊にテストセパレータは5%を下回る原油割合を正確に測定することができない。各油井の原油割合は着実に低減しており、多くの油井における原油割合は既に5%を下回っているので、現在ではこれらの油井を採掘することは不可能である。
【0004】
原油も、天然ガスも海水も水素核を含んでおり、この水素核に対しては、上述したように磁気回転比γが最大である。従って核磁気流量計は特に、油井での使用(海底油井間近での海中での使用にも)に適しているが、この用途に限られているのではない。別の用途は例えば、石油化学工業または化学工業にある。流体の取り分けは必要ではなく、むしろ、流体全体が即時に測定される。テストセパレータと比べて核磁気流量計は低コストであり、メインテナンスが楽である。殊に、流体内の5%を下回る原油割合も確実に測定することができる。これによって、多数の油井をさらに採掘することが可能となる。
【0005】
ラーモアの周波数ωを計算する式から、ラーモアの周波数ωが磁場強度Bに比例しており、磁場強度Bがセンサ内で誘起された電圧に直に影響を与えることが明らかである。従って磁場内での不均一性は、核磁気流量計の測定精度を下げてしまう。それ故、磁化装置のタスクは、測定管内では通常は均一である磁場で、流体を通過させることである。必要とされる測定精度によって、磁場の必要な均一性が決まる。しばしば、既知の磁場勾配を利用した測定方法が利用される。従って、磁場はある1つの面においてしか一定でない。
【0006】
米国公開特許公報第2008/0174309号には、中空円筒状の永久磁石を形成するディスク状磁石積層体から成る磁化装置が記載されている。ここでは、磁化装置の円筒状内部空間において、磁場が均一である。積層体は多数のディスク状磁石を含んでおり、これらのディスク状磁石は、非磁性材料から成るねじによって固定されている。各ディスク状磁石には、多数の長方形の棒磁石が割り当てられている。ここでそれぞれ2つの、非磁性材料から成るディスクの間のこれらの棒磁石は、形状結合(形状結合とは、嵌め合いまたは噛み合いなどの部材相互の形状的関係による結合を意味する)された凹部として形成されている磁石収容部内に配置されており、非磁性材料から成るねじによって固定されている。
【0007】
この公知の磁化装置は、多数のディスク状磁石から成る。個々のディスク状磁石内には多数の棒磁石が、ハルバッハ配列で配置されている。ハルバッハ配列の重要な特徴は、磁場が主にハルバッハ配列の一方の側(ここでは円筒状磁化装置の内部空間)に形成され、他方の側(ここでは円筒状磁化装置の外側空間)には極めて弱い磁場しか形成されない、ということである。センサ内では、流体内に含まれている水素原子の歳差運動による、誘起される高い電圧のために、強い磁場が必要とされるので、相応の強さの棒磁石が使用される。各ディスク状磁石内に多数の棒磁石が空間的に密接に配置されているので、磁石収容部内への棒磁石の収容には多くの力が使用される。さらに、上位概念に記載されている磁化装置によって得られる磁場は、最初から充分に均一なのではない。従って、磁場を個々の棒磁石を操作することによって均一にしなければならない。このプロセスはシミングと称される。多数の棒磁石の収容およびシミングには、顕著な製造コスト、殊に時間がかかり、これによって相応のコストが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国公開特許公報第2008/0174309号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、製造コストおよび製造時間が低減された磁化装置を提供することである。ここでは、流体が通過する磁場は充分に均一である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、核磁気共鳴流量計の測定管を流れる多相流体が貫通する磁化装置であって、当該磁化装置は、少なくとも1つの面において均一な磁場と、磁場を形成する複数の永久磁石と、担体とを有しており、当該担体は少なくとも1つの磁石収容部を有しており、当該各磁石収容部は前記複数の永久磁石の少なくとも1つを収容し、当該磁石収容部の形状および前記永久磁石の形状によって、前記永久磁石は当該磁石収容部内で一方向においてのみ動くことができ、当該磁石収容部によって収容されている永久磁石は、当該磁石収容部によって、前記磁場に基づいて配置されている、磁化装置において、前記磁石収容部は中空成形体として形成されている、ことを特徴とする磁化装置によって解決される。
【発明の効果】
【0011】
上記の課題を解決する本発明の磁化装置は、殊にかつ実質的に、磁石収容部が中空成形体として形成されている、という特徴を有している。
【0012】
中空成形体は、中空成形体の長手軸に対して垂直な、異なる内側横断面輪郭を伴って、かつ任意の長さで、低コストで製造される。例えば、中空成形体の内側横断面輪郭は長方形であり、永久磁石の外側横断面輪郭も同様に長方形であり、次のように設計されている。すなわち、永久磁石が、中空成形体の長手軸にのみ沿って中空空間内を動くように、すなわち長手軸を除いて、形状結合されるように設計されている。この実施例では中空成形体の長さは、多数の永久磁石が収容されるように定められている。永久磁石をこのような中空成形体内に挿入することで永久磁石を固定することによって、従来技術から既知の、それぞれ2つのディスクの間の多数のディスク状磁石内に永久磁石を固定することと比べて、製造コストと製造時間が格段に低減される、ということは明らかである。コストのかかる、個々のディスク状磁石の積層は、中空成形体を収容する簡易な担体によって置き換えられる。ここでこの担体は、流体が充分に均一な磁場を通過するように、中空成形体を配向する。
【0013】
本発明による磁化装置の有利な実施形態では、中空成形体内での永久磁石の運動時の摩擦は、中空成形体を内張りすることによって低減される。例えば中空成形体の内面にPTFEコーティングを施すことができる。摩擦が低減されることによって、永久磁石を中空成形体内に収容するために使用される力が格段に低減される。永久磁石を中空成形体内に収容した後、永久磁石は中空成形体内に、最初は流体であり、その後硬化する物質によって固定される。例えば注封材料がこれに使用可能である。
【0014】
本発明による磁化装置の別の有利な実施形態では、担体は多数の収容管を有している。各収容管内には、少なくとも1つの永久磁石を収容するための中空成形体が形成されている。収容管の材料としてはガラス繊維混合材料が挙げられる。なぜならこのような材料の場合には容易に、例えば長方形の中空成形体を製造プロセスにおいて形成することができるからである。この場合には長方形の中空成形体内には、通常の長方形の横断面を備えた永久磁石が収容されるので、永久磁石は中空成形体内で中空成形体長手軸に沿ってのみ動き、中空成形体長手軸を中心として回転することはできない。収容管の保持部として担体は、収容管用の収容部を備えた少なくとも1つのディスクを有している。この内部には有利には、測定管用の貫通部が設けられている。通常、磁化装置のこれらの収容管は同じ長さを有しているので、収容管の保持部として、このようなディスクが収容管の各終端部に設けられる。担体はこの場合には、実質的に複数の収容管と2つのディスクとから成る。測定管内に、測定管長手軸に沿って均一の磁場が存在すべき場合には、測定管長手軸に対して平行に収容管長手軸が配向される。しばしば、これらの永久磁石は収容管内でハルバッハ配列として配置される。
【0015】
先行する実施例の発展形態である、本発明による磁化装置の別の有利な実施例では、少なくとも1つの収容管が部分的に、磁場に影響を与える材料から製造される。例えば良好な磁気伝導性を有する材料が収容管内で、永久磁石の極で使用される場合には、結果として生じる磁場は、測定管内の均一な磁場に関して有利に影響を受ける。付加的または択一的に収容管を、測定管内の磁場の均一性に有利な影響を与えるために、自身の長手軸を中心に回転するように担体内に配置することができ、かつ回転しないように固定することができる。収容管のこの回転は、磁場の最初のシミングである。
【0016】
本発明の別の極めて有利な形態では、担体は少なくとも1つの成形体を含んでいる。ここでこの成形体は有利には押し出し成形体である。各成形体の横断面輪郭は、各成形体長手軸に沿って一定であり、少なくとも1つの成形体内には、少なくとも1つの永久磁石を収容する少なくとも1つの中空成形体が形成されている。有利にはここでも中空成形体は、長方形の永久磁石を収容するために次のように形成されている。すなわち中空成形体内に収容されている永久磁石が中空成形体長手軸に沿って動くことができるが、中空成形体長手軸を中心として回転することができないように形成されている。成形体の材料としては例えばアルミニウム合金またはセラミックが使用される。測定管長手軸に沿って均一な磁場を有する測定管を通過させるために、成形体長手軸は同様に、測定管長手軸に対して平行に配向される。
【0017】
本発明による磁化装置の別の有利な実施形態では、少なくとも1つの中空成形体が、担体内の少なくとも1つの成形体内に次のように形成されている。すなわち、アダプター管がこの中空成形体内で回転可能に配置され、かつ回転しないように固定可能であるように形成されている。各アダプター管内には、少なくとも1つの永久磁石を収容する中空成形体が形成されている。アダプター管の回転は、測定管内の磁場の均一性を改善するための最初のシミングである。
【0018】
本発明による磁化装置の別の極めて有利な実施形態では、担体は少なくとも2つの成形体を含んでおり、それぞれ2つの成形体は分解可能に、第1の成形体の少なくとも1つの凸状に成形された接続成形体と、第2の成形体の少なくとも1つの凹状に成形された接続成形体とによって接続されている。凸状の接続成形体および凹状の接続成形体は次のように成形されている。すなわち、接続された2つの成形体が、1つの軸に沿ってのみ直線運動を相対的に行うことができるように成形されている。この様な接続によって、成形体を容易に、例えば測定管を中心に配置することができ、これによって磁化装置を容易に設置することができる。
【0019】
本発明による磁化装置の別の特別な実施形態では、少なくとも1つの成形体を含んでいる担体は、永久磁石によって形成された還流磁束を案内するヨークとして形成されている。各成形体の横断面輪郭は、各成形体長手軸に沿って一定であり、少なくとも1つの成形体内には、少なくとも1つの永久磁石を収容するための中空成形体が設けられている。還流磁束の案内は、ハルバッハ配列としての永久磁石の配置に対する選択肢である。少なくとも、ヨークの材料としては、高い磁気伝導性を有する材料が挙げられる。
【0020】
詳細には、本発明による磁化装置を改善および発展的に形成する種々の方法がある。これに関しては、請求項1に従属する請求項と、図面に関連した有利な実施例の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】収容管を有する、本発明による磁化装置の第1の実施例の展開図
【図2】回転可能な複数の収容管を有する、本発明による磁化装置の第2の実施例
【図3】複数の押し出し成形体から成る担体を備えた、本発明による磁化装置の第3の実施例の展開図
【図4】複数の押し出し成形体から成る担体を備えた、第4の実施例の展開図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明による磁化装置1の重要な部品を示している;これは多数の永久磁石2と、非磁性材料から成る担体3である。担体3の主要な部品は、中空成形体4として形成されている多数の収容管5と、測定管用の貫通部7と収容管5用の収容部8とを備えた2つのディスク状リング6と、同様に測定管用の貫通部7を備えた2つの終端部ディスク状リング9である。図1では、永久磁石2を示すために、全ての収容管5は示されていない。
【0023】
各収容管5内には、8つの、同じ長さの永久磁石2が収容されている。ここでこれらの永久磁石2の横断面輪郭は長方形であり、中空成形体4と形状結合されている。従って、永久磁石2は中空成形体4内で、中空成形体4の長手軸に沿ってのみ動くことができ、中空成形体4の長手軸を中心に回転することはできない。永久磁石2は、異なる大きさの横断面を有する複数のグループに分けられる。これによって永久磁石2は異なる磁場強度を有する。
【0024】
終端部ディスク状リング9内でねじ止めされているディスク状リング6内に設けられている収容部8は、永久磁石2を備えた収容管5を、永久磁石2がハルバッハ配列を構成するように、測定管を中心に配置する。収容管5は実質的に、2つのリング内で、測定管を中心に配置されており、ここには図示されていない長いねじによって固定されている。このねじは、2つの終端ディスク状リング9を相互に接続し、2つの終端ディスク状リング9は相互に引き寄せられる。従来技術から公知の担体は、永久磁石2の同様の配置に対して、16個のディスク状リング6、すなわち永久磁石2から成る8個のリングそれぞれに対して2つのディスク状リング6を必要とする。コストが低減されることは明らかである。
【0025】
本発明による磁化装置1の図2に示された実施例は、図1に示された実施例とは、複数の収容管5が自身の長手軸を中心に回転可能である、という点において異なっている。個々の永久磁石2の磁場強度および磁場方向は、永久磁石2の製造プロセスによって、不可避に変動してしまうので、担体3によって永久磁石2を最適に配置した場合でも、測定管内に生じる磁場には不均一性が生じる。個々の収容管5を回転させることによって、不均一性を回避することができる。
【0026】
自身の長手軸に対して垂直な回転可能な収容管5の外側横断面輪郭は円型であり、これに属する、ディスク状リング6内の収容部8は相応に円型であり、収容管5に対して形状結合されている。回転および固定のために、回転可能な各収容管5には、回転装置10が設けられている。各回転装置10には、各収容管5を回転させる、対向している2つのピンと、各収容管5を固定する、対向している2つのねじが属している。これに相応して、図2において前方の終端ディスク状リング9内には、各回転可能な収容管5の長手軸を中心にして、4つの同心円状の縦長の孔が設けられている。
【0027】
図3は、本発明の磁化装置1を示しており、これは、実質的に、アルミニウム合金から製造された複数の押し出し成形体11から成る担体3を有している。全ての押し出し成形体11は同じ長さを有しており、各押し出し成形体11は多数の中空成形体4を有している。相応する中空成形体4の長手軸に対して垂直な各中空成形体4の内側横断面輪郭は長方形に形成されている。ここで、押し出し成形体11の全ての横断面輪郭が閉じられているのではない。閉じられていない輪郭は、組み立てられた状態において、別の押し出し成形体11によって閉じられる。
【0028】
全ての永久磁石2は、同じ長さを有している。従って、各中空成形体4内には同じ数の永久磁石2が収容されており、これらは、自身の長手軸に対して垂直な、異なる大きさの長方形横断面を有する複数のグループに分けられる。これによって永久磁石2は異なる磁場強度を有する。中空成形体4内に収容されている永久磁石2は、相応する中空成形体4の長手軸を中心に回転することはできない。ここで中空成形体4の長手軸に対して垂直な中空成形体4の内側横断面輪郭と、中空成形体4内に収容されている永久磁石2の外側横断面輪郭とは同じではない。
【0029】
円筒状の押し出し成形体11内には同心円状に、円筒状押し出し成形体11の長手軸に沿って、測定管用の貫通部7が設けられており、残りの4つの押し出し成形体11は、この円筒状押し出し成形体11を中心に環状に配置されている。従って、中空成形体4の長手軸は相互に平行に、かつ円筒状押し出し成形体11の長手軸に対して平行に配向されている。永久磁石2は、ハルバッハ配列を形成するように、担体3内に配置されている。
【0030】
2つの円筒状の押し出し成形体11のうちの第1の押し出し成形体11は凸状の接続成形体12aを有しており、第2の押し出し成形体11は凹状の接続成形体12bを有している。凸状の接続成形体12aの長手軸に対して垂直な外側横断面輪郭と、凹状の接続成形体12bの長手軸に対して垂直な内側横断面輪郭は形状結合しており、かつ次のように形成されている。すなわち、接続されている状態においては、凸状の接続成形体12aの長手軸に沿った、2つの押し出し成形体11の相互運動だけが可能であるように、形成されている。
【0031】
円筒状押し出し成形体11の長手軸に沿った、中空成形体4内の永久磁石2の運動および、円筒状押し出し成形体11の長手軸に沿った押し出し成形体11の相互運動は、ここでは図示されていない2つの終端ディスク状リング9によって阻止されている。2つの終端ディスク状リング9の各々には測定管用の貫通部が設けられており、さらにねじ貫通用の孔が設けられている。相応に、押し出し成形体11の端面には、終端ディスク状リング9とのねじ止めのためのねじ山が設けられている。
【0032】
図4は、本発明による別の磁化装置1が示されている。これは、実質的に、プラスチックから射出成形方法において製造された複数の押し出し成形体11から成る担体3を有している。この磁化装置1は、図3に示されている磁化装置1とは実質的に、一体成形された円筒状押し出し成形体11を、複数の部分から成る押し出し成形体11によって置き換えているという点において異なっている。
【0033】
図1および図2に示されている本発明の磁化装置1と比べて、図3および4に示された磁化装置においては、製造コスト、ひいては費用がさらに低減される。
【0034】
使用されるべき材料として、部分的なプラスチック、部分的なセラミックを挙げたが、この代わりに、セラミックまたはアルミニウムを使用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 磁化装置、 2 永久磁石、 3 担体、 4 中空成形体、 5 収容管、 6 ディスク状リング、 7 貫通部、 8 収容部、 9 終端ディスク状リング、 10 回転装置、 11 押し出し成形体、 12 接続成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核磁気流量計の測定管を流れる多相流体が貫通する磁化装置であって、
当該磁化装置は、少なくとも1つの面において均一な磁場と、磁場を形成する複数の永久磁石と、担体とを有しており、
当該担体は少なくとも1つの磁石収容部を有しており、当該各磁石収容部は前記複数の永久磁石の少なくとも1つを収容し、当該磁石収容部の形状および前記永久磁石の形状によって、前記永久磁石は当該磁石収容部内で一方向においてのみ動くことができ、当該磁石収容部によって収容されている永久磁石は、当該磁石収容部によって前記磁場に基づいて配置されている、磁化装置において、
前記磁石収容部(4)は中空成形体として形成されている、
ことを特徴とする磁化装置。
【請求項2】
前記中空成形体(4)内での前記永久磁石(2)の運動時の摩擦は、前記中空成形体(4)を内張りすることによって低減されている、請求項1記載の磁化装置。
【請求項3】
前記永久磁石(2)は前記中空成形体(4)内に、はじめは流体であり、その後硬化する物質によって固定されている、請求項1または2記載の磁化装置。
【請求項4】
前記担体(3)は複数の収容管(5)を有しており、各収容管(5)内には、前記複数の永久磁石(2)の少なくとも1つを収容する中空成形体(4)が形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の磁化装置。
【請求項5】
前記担体(3)は少なくとも1つのディスク(6)を前記収容管(5)の保持部として有しており、有利には各ディスク(6)内に前記測定管用の貫通部(7)が設けられている、請求項4記載の磁化装置。
【請求項6】
前記収容管の長手軸は、前記測定管の長手軸に対して平行に配向されている、請求項4または5記載の磁化装置。
【請求項7】
前記複数の収容管(5)の少なくとも1つは部分的に、磁場に影響を与える材料から形成されており、殊に磁気を良好に伝導する材料から成る、請求項4から6までのいずれか1項記載の磁化装置。
【請求項8】
前記複数の収容管(5)の少なくとも1つは磁場に影響を与えるために自身の長手軸を中心に回転可能に前記担体(3)内に配置されており、かつ当該回転が行われないように固定されている、請求項4から7までのいずれか1項記載の磁化装置。
【請求項9】
前記担体(3)は少なくとも1つの成形体(11)を含んでおり、前記各成形体(11)の横断面輪郭は、各成形体長手軸に沿って一定であり、前記複数の成形体(11)の少なくとも1つには、前記複数の永久磁石(2)の少なくとも1つを収容する少なくとも1つの中空成形体(4)が形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の磁化装置。
【請求項10】
前記成形体(11)は、押し出し成形体である、請求項9記載の磁化装置。
【請求項11】
前記成形体の長手軸は、前記測定管の長手軸に対して平行に配向されている、請求項9または10記載の磁化装置。
【請求項12】
前記複数の中空成形体(4)の少なくとも1つは、アダプター管が当該中空成形体(4)内で回転可能に配置されかつ回転しないように固定可能であるように形成されており、当該アダプター管内には、前記複数の永久磁石(2)の少なくとも1つを収容する中空成形体(4)が形成されている、請求項9から11までのいずれか1項記載の磁化装置。
【請求項13】
前記担体(3)は少なくとも2つの成形体(11)を有しており、2つの成形体(11)はそれぞれ、分解可能に、第1の成形体の少なくとも1つの凸状に形成された接続成形体(12a)と、第2の成形体の少なくとも1つの凹状に形成された接続成形体(12b)とによって接続されており、前記凸状および凹状の接続成形体(12)は、接続された状態において、前記凸状接続成形体と凹状接続成形体(12)が相互に1つの軸に沿ってのみ直線運動することができるように、形成されている、請求項9から12までのいずれか1項記載の磁化装置。
【請求項14】
前記担体(3)は、前記永久磁石(2)によって形成された還流磁束を案内するヨークとして形成されている、請求項9から13までのいずれか1項記載の磁化装置。
【請求項15】
前記永久磁石(2)は、前記担体(3)によって、ハルバッハ配列として配置されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の磁化装置。
【請求項16】
前記担体(3)はアルミニウム合金および/またはセラミックおよび/またはガラス繊維混合材料および/またはプラスチックから成る、請求項1から15までのいずれか1項記載の磁化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−108986(P2013−108986A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253902(P2012−253902)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【出願人】(591168600)クローネ アクチェンゲゼルシャフト (28)
【氏名又は名称原語表記】Krohne AG
【住所又は居所原語表記】Uferstr. 90, 4057 Basel, Switzerland