説明

核酸配列設計装置、核酸配列設計方法、核酸配列設計プログラム、機能阻害効果算出装置、機能阻害効果算出方法、機能阻害効果算出プログラム、機能阻害影響度算出装置、機能阻害影響度算出方法および機能阻害影響度算出プログラム。

【課題】 標的遺伝子の機能を阻害し、低い相同性を持つ非標的遺伝子も考慮に入れたsiRNAの配列を設計することを目的とする。
【解決手段】 核酸配列設計装置100が以下のもの備え、siRNAの塩基配列を設計する。対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、siRNA候補の塩基配列を取得する候補配列取得部200。候補配列取得部200の取得した塩基配列に対して、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出部300。候補配列取得部200の取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出部400。活性スコアと影響スコアとに基づいて、siRNAの塩基配列を決定する阻害配列決定部500。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的とする遺伝子に対して特異的な作用を及ぼす核酸の配列設計における核酸配列設計装置、核酸配列設計方法、核酸配列設計プログラム、機能阻害効果算出装置、機能阻害効果算出方法、機能阻害効果算出プログラム、機能阻害影響度算出装置、機能阻害影響度算出方法および機能阻害影響度算出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
21残基程度の長さを持ち、両端に2残基のT(チミン)のオーバーハングを持つ二本鎖核酸は、siRNA(Short Interfering RiboNucleic Acid)と呼ばれ、線虫、ハエ、哺乳類、植物などの多くの生物の細胞中で、相補的な配列を持つmRNA(messenger RNA)の切断や、タンパク質への翻訳を抑制し機能を阻害することが知られている。
このsiRNAを細胞に導入すると、細胞質で2本鎖のうちの片方の鎖だけがRISC(RNA Induced Silencing Complex)と呼ばれる複合体に組み込まれ、RISCは、この取り込んだ核酸の配列と相補的な配列を持つmRNAに結合して、このmRNAを切断する。このsiRNAの持つ性質を利用して、特定の遺伝子に対するsiRNAを作成して生体内に導入しその遺伝子を抑制することで、遺伝子の機能解析実験や遺伝子治療が可能になる。
【0003】
siRNAのように遺伝子の機能を阻害する核酸を機能阻害核酸とする。
【0004】
図1は、従来技術におけるsiRNAの配列設計の処理の流れを示す図である。
図1で表した従来のsiRNAの配列設計方法では、まず、標的遺伝子から転写されたmRNAの配列を入力する(S1)。
入力したmRNAの配列から全ての21残基の配列を取り出して、それぞれをsiRNAの候補配列とする(S2)。
siRNAの候補配列に対して、いくつかの指標を用いて活性を予測し、その程度をスコア化する(S3)。
スコア化の際に、siRNAの配列が非標的遺伝子の配列と完全一致する場合は、このsiRNAの配列を候補配列から除外する。
活性の程度のスコアの高いものをsiRNAの配列に決定する(S4)。
【0005】
従来のsiRNA配列の設計方法は、siRNAの持つmRNAの分解作用の原理のみに従ったものである。siRNAのmRNAの分解作用は、1塩基程度のミスマッチがあるとほとんど効果が無くなることが知られており、そのため、非標的遺伝子の配列と完全一致のsiRNAの候補配列だけを除くという方法が取られている。
【0006】
しかし、siRNAを導入することで、そのsiRNAと配列が1つ程度のミスマッチのmRNAの発現を変動させたり、また3〜4塩基のミスマッチがあるmRNAからのタンパク質の翻訳を阻害したりするという報告がされている。
【0007】
例えば、生物に内在のmicroRNAがタンパク質への翻訳を阻害するのと同様に、siRNAを導入することで、siRNAと同様な配列を持つmRNAからタンパク質への翻訳の阻害を引き起こすことが明らかにされている(非特許文献1)。
例えば、標的遺伝子のコーディング領域または3‘UTR(UnTranslated Region)の配列中にsiRNAと3〜4塩基のミスマッチを許して相同である配列が存在すれば十分な翻訳阻害の効果を発揮する例を示している。
【0008】
また、siRNAは、化学的な構造がほとんどmicroRNAと一致するため、microRNAと同様のメカニズムでRISCに取り込まれて、翻訳の阻害を引き起こすと考えられる。
microRNAは、以下のような生成過程をたどり、ある段階において、siRNAと化学的な構造が似ている。
microRNAの生成過程を説明すると、まずゲノム中からステムループ構造を持つRNAとして転写され、5’末端にリン酸基を持ち3‘末端に2残基のオーバーハングを持つ2本鎖RNAとして切り出され、後にそのうちの片方の鎖がmicroRNAとしてRISCに取り込まれる。
microRNAは2本鎖RNAの段階において、siRNAと同様な化学的構造を持つ。
microRNAは、mRNAのコーディング領域または3’UTRの配列中にmicroRNAの5‘末端側の8残基と一致する配列があれば、そのmRNAからタンパク質への翻訳を阻害することが報告されている(非特許文献2)。
このため、siRNAでも5’末端側の8残基と相同な配列を持つmRNAからのタンパク質の翻訳を阻害することがありうる。
【非特許文献1】Saxenaら、2003、Small RNAs with imperfect match to endogenous mRNA repress translation、The journal of biological chemistry 278:44312−44319
【非特許文献2】Laiら、2002、MicroRNAs are complementary to 3’UTR motifs that mediate negative post−transcriptional regulation、Nature genetics、30:363−364
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、siRNAを設計する際に、標的とした遺伝子(以下、標的遺伝子とする)以外の遺伝子(以下、非標的遺伝子とする)に対する効果を考慮しなければ、siRNAの想定される利用目的にとって、望ましくない結果をもたらす。
つまり、従来技術によるsiRNAの配列設計方法では、低い相同性は想定されていないため、設計されたsiRNAを導入した細胞で、予期せず、非標的遺伝子の発現を抑制してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、標的遺伝子の機能を阻害し、低い相同性を持つ非標的遺伝子も考慮に入れたsiRNAの配列を設計することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の核酸配列設計装置は、対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得部と、候補配列取得部の取得した塩基配列に対して、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出部と、候補配列取得部の取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出部と、活性スコア算出部が算出した活性スコアと、影響スコア算出部が算出した影響スコアとに基づいて、候補配列取得部が取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の核酸配列設計装置は、対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得部と、候補配列取得部の取得した塩基配列に対して、塩基配列を構成する残基の種類と、塩基配列中の位置とに基づいて、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出部と、活性スコア算出部が算出した活性スコアに基づいて、候補配列取得部が取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
上記核酸配列設計装置は、さらに、塩基配列を構成する残基の種類と、塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部を備え、上記活性スコア算出部は、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の活性スコアを算出することを特徴とする。
【0014】
上記阻害相関値記憶部が記憶する阻害相関値は、標的遺伝子に対する機能の阻害の有無が既知である機能阻害核酸を示す、既知核酸に基づくデータであり、F(m,n)は、位置mに残基nが存在する場合の阻害相関値を示し、Q(m,n)は、機能を阻害する既知核酸に対する、機能を阻害する既知核酸のうちで位置mに残基nが存在する割合を示し、P(m,n)は、全既知核酸に対する、位置mに残基nが存在する割合を示し、
F(m,n)=log{Q(m,n)/P(m,n)}
で求められていることを特徴とする。
【0015】
上記活性スコア算出部は、塩基配列にグアニンとシトシンとの少なくともいずれかについて、4つ以上連続している個所の有無と、塩基配列中のグアニンとシトシンの含量を示すGC含量と、標的遺伝子に対する塩基配列の位置と、非標的遺伝子と塩基配列との相同関係との少なくともいずれかに基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の活性スコアを算出することを特徴とする。
【0016】
本発明の核酸配列設計装置は、対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得部と、候補配列取得部の取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出部と、影響スコア算出部が算出した影響スコアに基づいて、候補配列取得部が取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
上記核酸配列設計装置は、さらに、塩基配列を構成する残基の種類と、塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部を備え、上記影響スコア算出部は、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする。
【0018】
上記阻害相関値記憶部が記憶する阻害相関値は、非標的遺伝子に対する機能の阻害の有無が既知である機能阻害核酸を示す、既知核酸に基づくデータであり、F(m,n)は、位置mに残基nが存在する場合の阻害相関値を示し、Q(m,n)は、機能を阻害する既知核酸に対する、機能を阻害する既知核酸のうちで位置mに残基nが存在する割合を示し、P(m,n)は、全既知核酸に対する、位置mに残基nが存在する割合を示し、
F(m,n)=log{Q(m,n)/P(m,n)}
で求められていることを特徴とする。
【0019】
上記影響スコア算出部は、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、上記阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値とに基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする。
【0020】
上記影響スコア算出部は、上記阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と、非標的遺伝子の塩基配列と機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする。
【0021】
上記影響スコア算出部は、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、上記阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と、非標的遺伝子の塩基配列と機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする。
【0022】
上記影響スコア算出部は、非標的遺伝子の塩基配列と機能阻害核酸の塩基配列との相同関係に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする。
【0023】
上記影響スコア算出部は、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、非標的遺伝子と塩基配列との相同関係とに基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする。
【0024】
上記候補配列取得部は、対象とする生物の属する生物種の遺伝子に関する塩基配列を記憶する記憶部から、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして、遺伝情報の塩基配列を示す遺伝情報配列を取得する種別配列取得部を備え、上記候補配列取得部は、種別配列取得部が取得した遺伝情報配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得することを特徴とする。
【0025】
上記候補配列取得部は、さらに、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして標的遺伝子を入力し、上記種別配列取得部が取得した塩基配列と、対象とする生物の標的遺伝子の塩基配列とで異なる部分の塩基配列を取得する異配列取得部と、上記種別配列取得部が取得した塩基配列と、異配列取得部が取得した塩基配列とに基づいて塩基配列を生成する塩基配列生成部とを備え、上記候補配列取得部は、塩基配列生成部が生成した塩基配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得することを特徴とする。
【0026】
上記候補配列取得部は、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして標的遺伝子を入力し、対象とする生物の標的遺伝子から塩基配列を取得する塩基配列取得部と、対象とする生物の属する生物種が持つ各遺伝子の塩基配列を、遺伝情報領域の塩基配列を示す遺伝情報領域配列と、非遺伝情報領域の塩基配列を示す非遺伝情報領域配列とに分けて記憶する記憶部から、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして、標的遺伝子に対する、遺伝情報領域配列と非遺伝情報領域配列とを取得する種別領域配列取得部と、塩基配列取得部が取得した塩基配列と、種別領域配列取得部が取得した遺伝情報領域配列および非遺伝情報領域配列との相同関係に基づいて、塩基配列取得部が取得した塩基配列から、遺伝情報領域配列を抽出し、抽出した遺伝情報領域配列に基づいて、遺伝情報の塩基配列を示す遺伝情報配列を取得する情報配列取得部とを備え、上記候補配列取得部は、情報配列取得部が取得した遺伝情報配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得することを特徴とする。
【0027】
上記候補配列取得部は、機能阻害核酸の塩基配列の候補を記憶する記憶部から、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得することを特徴とする。
【0028】
本発明の核酸配列設計方法は、対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得工程と、候補配列取得工程で取得した塩基配列に対して、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出工程と、候補配列取得工程で取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程と、活性スコア算出工程で算出した活性スコアと、影響スコア算出工程で算出した影響スコアとに基づいて、候補配列取得工程で取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定工程とを実行することを特徴とする。
【0029】
対象とする生物の標的遺伝子の機能を阻害する機能阻害核酸の塩基配列を設計する核酸配列設計方法において、対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得工程と、候補配列取得工程で取得した塩基配列に対して、塩基配列を構成する残基の種類と、塩基配列中の位置とに基づいて、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出工程と、活性スコア算出工程で算出した活性スコアに基づいて、候補配列取得工程が取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定工程とを実行することを特徴とする。
【0030】
対象とする生物の標的遺伝子の機能を阻害する機能阻害核酸の塩基配列を設計する核酸配列設計方法において、対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得工程と、候補配列取得工程で取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程と、影響スコア算出工程で算出した影響スコアに基づいて、候補配列取得工程で取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定工程とを実行することを特徴とする。
【0031】
本発明の核酸配列設計プログラムは、上記核酸配列設計方法をコンピュータに実行させる。
【0032】
本発明の機能阻害効果算出装置は、機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部と、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、入力した機能阻害核酸の塩基配列と、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値とに基づいて、入力した機能阻害核酸が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出部とを備えたことを特徴とする。
【0033】
本発明の機能阻害効果算出方法は、機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶工程と、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、入力した機能阻害核酸の塩基配列と、阻害相関値記憶工程で記憶された阻害相関値とに基づいて、入力した機能阻害核酸が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出工程とを実行することを特徴とする。
【0034】
本発明の機能阻害効果算出プログラムは、上記機能阻害効果算出方法をコンピュータに実行させる。
【0035】
本発明の機能阻害影響度算出装置は、機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部と、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値とに基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出部とを備えたことを特徴とする。
【0036】
本発明の機能阻害影響度算出装置は、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、入力した機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出部を備えたことを特徴とする。
【0037】
本発明の機能阻害影響度算出装置は、機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部と、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出部とを備えたことを特徴とする。
【0038】
本発明の機能阻害影響度算出装置は、機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部と、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出部とを備えたことを特徴とする。
【0039】
本発明の機能阻害影響度算出方法は、機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶工程と、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、阻害相関値記憶工程で記憶された阻害相関値とに基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程とを実行することを特徴とする。
【0040】
本発明の機能阻害影響度算出方法は、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、入力した機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程を実行することを特徴とする。
【0041】
本発明の機能阻害影響度算出方法は、機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶工程と、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、阻害相関値記憶工程で記憶された阻害相関値と、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程とを実行することを特徴とする。
【0042】
本発明の機能阻害影響度算出方法は、機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶工程と、機能阻害核酸の塩基配列を入力し、非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、非標的遺伝子の機能的な重要度との少なくともいずれかと、阻害相関値記憶工程で記憶された阻害相関値と、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程とを実行することを特徴とする。
【0043】
本発明の機能阻害影響度算出プログラムは、機能阻害影響度算出方法をコンピュータに実行させる。
【0044】
上記候補配列取得部は、対象とする生物の属する生物種の遺伝子に関する塩基配列を記憶する記憶部から、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして、遺伝情報の塩基配列を示す遺伝情報配列を標的遺伝子と非標的遺伝子とについて取得する種別配列取得部を備え、上記候補配列取得部は、種別配列取得部が取得した標的遺伝子の遺伝情報配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得し、上記影響スコア算出部は、種別配列取得部が取得した非標的遺伝子の遺伝情報配列と、上記候補配列取得部が取得した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係に基づいて影響スコアを算出することを特徴とする。
【0045】
上記候補配列取得部は、さらに、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして標的遺伝子と非標的遺伝子とを入力し、上記種別配列取得部が取得した標的遺伝子の塩基配列と、対象とする生物の標的遺伝子の塩基配列とで異なる部分の塩基配列と、上記種別配列取得部が取得した非標的遺伝子の塩基配列と、対象とする生物の非標的遺伝子の塩基配列とで異なる部分の塩基配列とを取得する異配列取得部と、上記種別配列取得部が取得した標的遺伝子の塩基配列と、異配列取得部が取得した標的遺伝子の異なる部分の塩基配列とに基づいて対象とする生物の標的遺伝子の塩基配列を生成し、上記種別配列取得部が取得した非標的遺伝子の塩基配列と、異配列取得部が取得した非標的遺伝子の異なる部分の塩基配列とに基づいて対象とする生物の非標的遺伝子の塩基配列を生成する塩基配列生成部とを備え、上記候補配列取得部は、塩基配列生成部が生成した標的遺伝子の塩基配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得し、上記影響スコア算出部は、塩基配列生成部が生成した非標的遺伝子の塩基配列と、上記候補配列取得部が取得した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係に基づいて影響スコアを算出することを特徴とする。
【0046】
上記候補配列取得部は、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして標的遺伝子と非標的遺伝子とを入力し、対象とする生物の標的遺伝子から標的遺伝子の塩基配列を取得し、対象とする生物の非標的遺伝子から非標的遺伝子の塩基配列を取得する塩基配列取得部と、対象とする生物の属する生物種が持つ各遺伝子の塩基配列を、遺伝情報領域の塩基配列を示す遺伝情報領域配列と、非遺伝情報領域の塩基配列を示す非遺伝情報領域配列とに分けて記憶する記憶部から、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして、標的遺伝子に対する、遺伝情報領域配列と非遺伝情報領域配列とを取得し、非標的遺伝子に対する、遺伝情報領域配列と非遺伝情報領域配列とを取得する種別領域配列取得部と、塩基配列取得部が取得した塩基配列と、種別領域配列取得部が取得した遺伝情報領域配列および非遺伝情報領域配列との相同関係に基づいて、塩基配列取得部が取得した塩基配列から、遺伝情報領域配列を抽出し、抽出した遺伝情報領域配列に基づいて、遺伝情報の塩基配列を示す遺伝情報配列を標的遺伝子と非標的遺伝子とについて取得する情報配列取得部とを備え、上記候補配列取得部は、情報配列取得部が取得した標的遺伝子の遺伝情報配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得し、上記影響スコア算出部は、情報配列取得部が取得した非標的遺伝子の遺伝情報配列と、上記候補配列取得部が取得した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係に基づいて影響スコアを算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出することができる。
【0048】
これにより、算出した影響スコアに基づき、低い相同性を持つ非標的遺伝子も考慮に入れたsiRNAの配列を設計することができる。
【0049】
また、本発明によれば、標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す活性スコアを算出することができる。
【0050】
これにより、算出した活性スコアに基づき、標的遺伝子に対する機能阻害に効果があるsiRNAの配列を設計することができる。
【0051】
これらを併せることにより、算出した活性スコアと影響スコアとに基づき、標的遺伝子に対する機能阻害に効果があり、且つ、低い相同性を持つ非標的遺伝子も考慮に入れたsiRNAの配列を設計することができる。
【0052】
つまり、siRNAの作用の対象となる生物の遺伝子情報に基づいて、非標的遺伝子への作用を厳密に予測する手段を含むため、標的となる遺伝子のみに高い効果を発揮し、その他の非標的遺伝子に影響を及ぼすことのないsiRNAの配列を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
実施の形態1.
図2は、実施の形態1における核酸配列設計装置100の構成図である。
実施の形態1における核酸配列設計装置100の構成について、図2に基づいて説明する。
【0054】
核酸配列設計装置100は、以下のものを備える。
【0055】
設計するsiRNAにより、機能を阻害する、対象の生物体が属する生物種の遺伝子のmRNAの塩基配列を記憶する種別情報配列記憶部181。
種別情報配列記憶部181から対象生物種の標的遺伝子および非標的遺伝子のmRNAの塩基配列を取得する種別配列取得部210。
種別配列取得部210が取得したmRNAの塩基配列に基づいて、mRNAの塩基配列と、siRNAの塩基配列の候補(以下、siRNA候補配列とする)を取得する候補配列取得部200。
【0056】
siRNAの塩基配列を構成する残基の種類と、各塩基の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合の、標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部191。
遺伝子の発現量と機能的な重要度との値を重み付け情報値として記憶する遺伝子情報記憶部192。
【0057】
候補配列取得部200から標的遺伝子のmRNAの塩基配列とsiRNA候補配列とを入力し、入力したsiRNA候補配列に対する阻害相関値を阻害相関値記憶部191から取得し、取得した阻害相関値と入力したmRNAとに基づいて活性スコアを算出する活性スコア算出部300。
【0058】
候補配列取得部200から非標的遺伝子のmRNAの塩基配列とsiRNA候補配列とを入力し、入力したsiRNA候補配列に対する阻害相関値を阻害相関値記憶部191から取得し、また、入力したmRNAに対応する遺伝子の重み付け情報値を遺伝子情報記憶部192から取得し、取得した阻害相関値と重み付け情報値とに基づいて影響スコアを算出する影響スコア算出部400。
【0059】
候補配列取得部200の取得したsiRNA候補配列と、活性スコア算出部300の算出した活性スコアと、影響スコア算出部400の算出した影響スコアとを入力し、入力した活性スコアと影響スコアとに基づいて、入力したsiRNA候補配列からsiRNAの塩基配列を決定する阻害配列決定部500。
【0060】
図3は、実施の形態1における核酸配列設計装置100の処理の流れを示す図である。
実施の形態1における核酸配列設計装置100が行うsiRNAの配列設計方法の処理の流れを図3に基づいて説明する。
【0061】
核酸配列設計装置100は、阻害核酸の配列設計を以下のようにして行う。
【0062】
標的遺伝子のmRNAの塩基配列を取得する(S101)。
また、非標的遺伝子のmRNAの塩基配列を取得する(S102)。
各遺伝子のmRNAの塩基配列の取得は、種別配列取得部210が、対象とする生物種の遺伝子のmRNA塩基配列を、種別情報配列記憶部181から取得することで行う。
【0063】
次に、S101で取得した標的遺伝子のmRNAの塩基配列からsiRNA候補配列を抽出する(S103)。
siRNA候補配列の抽出は、候補配列取得部200が、標的遺伝子のmRNAの塩基配列から、19bp(base pair)の長さの配列を全てsiRNA候補配列として取り出すことで行う。
【0064】
次に、S103で抽出したsiRNA候補配列に対して、S101で取得した標的遺伝子のmRNAの塩基配列への活性スコアを算出する(S104)。
活性スコアの算出方法について、図4および図5に基づいて説明する。
【0065】
図4は、実施の形態1における阻害相関値記憶部191の記憶内容を示す図である。
図4において、残基の種類にはA(アデニン)、U(ウラシル)、G(グアニン)、C(シトシン)があり、阻害相関値記憶部191は、遺伝子Aや遺伝子Bなどの各遺伝子に対して、siRNA候補配列における位置1〜19にA、U、G、Cのそれぞれが位置する場合の阻害相関値を記憶する。
【0066】
阻害相関値記憶部191に記憶される阻害相関値は、実験等により既に求められている、任意のsiRNAの塩基配列の各遺伝子に対する機能の阻害の度合いを示す値である。
この阻害相関値は、遺伝子の活性がある可能性が高いほど大きな値を示し、活性が無い可能性が高いほど小さな値を示す。
ここで活性とは、siRNAが遺伝子の機能を阻害することである。
つまり、阻害相関値は、siRNAが遺伝子の機能を阻害するほど大きな値を示す。
位置mに残基nが位置する場合の阻害相関値であるF(m,n)は、以下の式により求められる。
F(m,n)=log{Q(m,n)/P(m,n)}
ここで、P(m,n)とQ(m,n)は以下の式で表される。
P(m,n)=(全体のsiRNAのうちで、m番目の残基がnであるsiRNAの本数)/(全体のsiRNAの本数)
Q(m,n)=(活性のあるsiRNAのうちで、m番目の残基がnであるsiRNAの本数)/(活性のあるsiRNAの本数)
【0067】
例えば、108個のsiRNAを作って実験した結果、そのうちの27個に活性があったとする。
全てのsiRNA、つまり108個のsiRNAのうちで、1番目の残基がAであるものが28個あったとすると、P(1,A)=28/108≒0.26になる。
また、活性のあるsiRNA、つまり27個のsiRNAうちで、1番目の残基がAであるものが6個あったとすると、Q(1,A)=6/27≒0.22になる。
上記からF(1,A)を計算すると、F(1,A)=log{Q(1,A)/P(1,A)}=log(0.22/0.26)=−0.07になる。
【0068】
活性の有無は、実験により以下のように判断することができる。
例えば、細胞中で酵素として働くことにより発光現象を起こすルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子として使用し、レポータージーンアッセイを行う。
まず、実験対象の遺伝子のプロモーター下流にルシフェラーゼ遺伝子を結合させ、これをプラスミドなどのベクターに結合する。
次に、結合したベクターを大腸菌などの培養細胞に導入し、細胞の培養を行う。
この培養した細胞にsiRNAを導入したときと、導入していないときとのルシフェラーゼの相対発光量を求め、求めた相対発光量が一定値より少ない、つまり、siRNAによる機能の阻害が一定値より多い場合に活性があるとする。
この発光量は機器を用いて測定することができる。
計算式は以下のようになる。
siRNAの活性=100(%)−ルシフェラーゼの相対発光量(%)
ルシフェラーゼの相対発光量(%)=siRNAを作用させたときの発光量/siRNAを作用させないときの発光量
つまり、ルシフェラーゼの発光を抑えれば抑えるほど、siRNAの活性が高いということになる。
【0069】
ここで、レポーター遺伝子はルシフェラーゼ遺伝子に限らず、活性の有無の判断方法も上記のレポータージーンアッセイを用いた方法に限らない。
【0070】
阻害相関値を使用した活性スコアの算出は、活性スコア算出部300が、上記の方法により求められ阻害相関値記憶部191に記憶された阻害相関値を使用して活性スコアを算出する。
siRNA候補配列の各位置に対してF(m,n)の値を取得し、取得した値の合計値を活性スコアとする。
【0071】
例えば、siRNA候補配列がAGCU・・・AGCUで、図4においてsiRNAにより機能を阻害される遺伝子が遺伝子Aである場合は、F(1,A)+F(2,G)+F(3,C)+F(4,U)+・・・+F(16,A)+F(17,G)+F(18,C)+F(19,U)の計算結果が活性スコアになる。
【0072】
活性スコアは、値が大きいほど、siRNAによる機能阻害の可能性が高くなる。
【0073】
図5は、実施の形態1における指標に基づく活性スコアの算出処理の流れを示す図である。
活性スコア算出部300は、図5に示す処理により、指標に基づく活性スコアを算出する。
【0074】
指標の一つとして、siRNA候補配列はGまたはCが4つ以上連続しているかを判定する(S201)。
判定した結果、GまたはCが4つ以上連続しているsiRNA候補配列の場合、これを候補配列から除外する(S202)。
【0075】
次に、指標の一つとして、siRNA候補配列のGとCとの含量(以下、GC含量とする)についてのGCスコアを求める(S203)。
例えば、GC含量が30%〜50%の場合にGCスコアを高くする。
【0076】
次に、指標の一つとして、siRNA候補配列が対応する標的遺伝子のmRNAの塩基配列の位置についての位置スコアを求める(S204)。
例えば、siRNA候補配列と対応するmRNAの塩基配列の位置が、開始コドンから50塩基以上下流の場合に位置スコアを高くする。
また、siRNA候補配列と対応するmRNAの塩基配列の位置が、5’末端および3’末端の非翻訳領域(UTR)の場合に位置スコアを低くする。
【0077】
次に、指標の一つとして、siRNA候補配列と非標的遺伝子のmRNAの塩基配列との相同関係についての相同スコアを求める(S205)。
例えば、最も互いの塩基配列が一致する部分について、一致する塩基の数が多いほど相同スコアを低くする。
【0078】
各指標に基づき求めたGCスコア、位置スコア、相同スコアを合計し、その合計値を活性スコアとする(S206)。
【0079】
指標に基づく活性スコアの算出処理は、他の指標を上記指標に追加しても良いし、上記指標の一部の指標に基づいて算出してもよい。
【0080】
活性スコア算出部300は、上記のように、阻害相関値や指標に基づいて活性スコアを算出するが、活性スコアは、阻害相関値に基づく活性スコアと指標に基づく活性スコアとの合計値でもよい、どちらか一方の活性スコアの値でもよいし、他の処理により求めた活性スコアを加えてもよい。
【0081】
図3において、次に、S103で抽出したsiRNA候補配列に対して、S102で取得した非標的遺伝子のmRNAへの影響スコアを算出する(S105)。
影響スコアの算出方法について、図6に基づいて説明する。
【0082】
図6は、実施の形態1における影響スコア算出処理の流れを示す図である。
影響スコア算出部400は、図6に示す処理により影響スコアを算出する。
【0083】
まず、影響スコアを0にセットする(S301)。
【0084】
次に、候補配列取得部200から入力したmRNAの塩基配列のうち、非標的遺伝子のmRNAの塩基配列を1つ取り出す(S302)。
【0085】
次に、siRNA候補配列と、S302で取り出した非標的遺伝子のmRNAの塩基配列との相同関係についての相同スコアを求める(S303)。
例えば、最も互いの塩基配列が一致する部分について、一致する塩基の数が多いほど相同スコアを高くする。
【0086】
次に、S302で取り出したmRNAの塩基配列に対応する非標的遺伝子に対して、siRNA候補配列が機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する(S304)。
活性スコアの算出方法は、図4に基づいて説明した活性スコアの算出方法と同様である。
【0087】
次に、S302で取り出したmRNAの塩基配列に対応する非標的遺伝子の重み付け情報値を取得する(S305)。
重み付け情報値は遺伝子情報記憶部192に記憶される。
重み付け情報値には、遺伝子からのmRNAの発現量に対する値と遺伝子の機能的な重要度に対する値がある。
【0088】
遺伝子からのmRNAの発現量について、mRNAの発現量が少ない場合は、元々、そのmRNAによる機能が機能していないとすることができるため、重み付け情報値が低くなる。
このmRNAの発現量は、対象生物体および対象生物種から取り出したmRNAを蛍光ラベル化し、蛍光ラベル化したmRNAを、mRNAの塩基配列と相補的な塩基配列を持つ遺伝子がスポットされたマイクロアレイ上で、遺伝子とハイブリダイズさせ、洗浄後蛍光の量を観察するという方法で、計測することができる。
【0089】
機能的な重要度について、対象である遺伝子の機能を阻害しても、機能を阻害していないときと細胞の様子がほとんど変化しない場合は、重み付け情報の値が低くなり、変化の程度に応じて重み付け情報値が決まる。
この変化の程度に対する重み付け情報の値は、任意のsiRNAやノックアウト個体を用いた機能阻害実験の結果に基づいて設定することができる。
【0090】
重み付け情報値は、発現量に対する値と重要度に対する値との合計値でもよいし、どちらか一方の値でもよいし、その他の重み付け情報値を加えてもよい。
【0091】
次に、S305で取得した機能的な重要度に対する値に基づいて、S302で取り出したmRNAの塩基配列に対応する非標的遺伝子が必須遺伝子か判定する(S306)。
非標的遺伝子の機能を阻害することで、細胞が壊死するなど致命的な影響が起きることを特別に扱う。
【0092】
非標的遺伝子が必須遺伝子だと判定した場合、S304で算出した活性スコアが任意の閾値Aを超える値か判定する(S307)。
【0093】
非標的遺伝子が必須遺伝子で且つ活性スコアが任意の閾値Aを超える値の場合、対象のsiRNA候補配列を候補配列から除外する(S308)。
【0094】
次に、S303で求めた相同スコアとS304で算出した活性スコアとの合計値と、S305で取得した重み付け情報値とを掛け合わせ、掛け合わせた値を影響スコアの値に足しあわせる(S309)。
【0095】
次に、候補配列取得部200から入力したmRNAの塩基配列に、影響スコアを求めていない、非標的遺伝子のmRNAの塩基配列があるか判定する(S310)。
影響スコアを求めていない非標的遺伝子のmRNAの塩基配列がある場合、S202からS209を繰返し、全非標的遺伝子に対する影響スコアを算出する。
【0096】
影響スコアは、相同スコアと活性スコアと重み付け情報値とに基づいて算出してもよいし、いずれかの値またはいずれかの値の組合せに基づいて算出してもよい。また、その他の影響スコアを加えてもよい。
【0097】
図3において、次に、S104で算出した活性スコアとS105で算出した影響スコアとに基づいて、S103で取得したsiRNA候補配列からsiRNAの塩基配列を決定する(S106)。
siRNAの塩基配列の決定方法について、図7に基づいて説明する。
【0098】
図7は、実施の形態1におけるsiRNAの塩基配列の決定処理の流れを示す図である。
阻害配列決定部500は、図7に示す処理によりsiRNAの塩基配列を決定する。
【0099】
まず、siRNA候補配列から、標的遺伝子に対する活性スコアが任意の閾値Bより小さいものを除く(S401)。
【0100】
次に、siRNA候補配列から、非標的遺伝子に対する影響スコアが任意の閾値Cより大きいものを除く(S402)。
【0101】
次に、残ったsiRNA候補配列に対して、標的遺伝子に対する活性スコアから、非標的遺伝子に対する影響スコアを差し引いて、総合評価スコアを算出する(S403)。
【0102】
そして、総合評価スコアの高いものを設計したsiRNAの塩基配列に決定する(S404)。
【0103】
これにより、それぞれのsiRNA候補配列について、標的遺伝子に対する活性スコアが高く、非標的遺伝子に対する影響スコアが低いものを、siRNAの塩基配列に採用することができる。
【0104】
図3において、核酸配列設計装置100は、上記の流れにより、siRNAの塩基配列を決定する。
【0105】
図8は、実施の形態1における核酸配列設計処理のデータの流れを示す図である。
実施の形態1における核酸配列設計処理のデータの流れを図8に基づいて説明する。
【0106】
種別情報配列記憶部181に記憶される対象生物種のmRNAの塩基配列に基づいて、標的遺伝子のmRNAの塩基配列と非標的遺伝子のmRNAの塩基配列とsiRNA候補配列とを取得する(S501)。
【0107】
標的遺伝子のmRNAの塩基配列と非標的遺伝子のmRNAの塩基配列と、阻害相関値記憶部191に記憶されるsiRNA候補配列に対する阻害相関値とに基づいて活性スコアを算出する(S502)。
【0108】
siRNA候補配列と非標的遺伝子のmRNAの塩基配列と、阻害相関値記憶部191に記憶されるsiRNAに対する阻害相関値と、遺伝子情報記憶部に記憶される遺伝子の重み付け情報値とに基づいて、影響スコアを算出する。
また、活性スコアと影響スコアとに基づいてsiRNAの塩基配列を決定する(S403)。
【0109】
実施の形態1において、核酸配列設計装置100は、上記のようにsiRNAの塩基配列を決定する。
【0110】
実施の形態1では、種別配列取得部210は、核酸配列設計装置100が備えた種別情報配列記憶部181から対象生物種のmRNA塩基配列を取得した。
ただし、核酸配列設計装置100が種別情報配列記憶部181を備えず、種別配列取得部210は、ネットワークを介して、対象生物種のmRNA塩基配列を取得してもよい。
対象生物種のmRNA塩基配列の取得元には、NCBI(National Center for Biotechnology Information)の提供するデータベースであるUniGeneなどがある。
【0111】
実施の形態1では、核酸配列設計装置100が活性スコア算出部300と影響スコア算出部400とを備え、活性スコアと影響スコアとに基づいてsiRNAの塩基配列を決定した。
ただし、核酸配列設計装置100は活性スコア算出部300と影響スコア算出部400とのいずれかを備え、いずれかが算出した値に基づいてsiRNAの塩基配列を決定してもよいし、さらにその他の値を考慮してsiRNAの塩基配列を決定してもよい。
【0112】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、対象生物種の標的遺伝子のmRNAの塩基配列に基づいてsiRNA候補配列を取得する場合を説明した。
実施の形態2では、siRNA候補配列を記憶部から取得する場合を説明する。
【0113】
図9は、実施の形態2における核酸配列設計装置100の構成図である。
実施の形態2における核酸配列設計装置100の構成を図9に基づいて説明する。
ここで、上記実施の形態1における図2の核酸配列設計装置100と異なる構成を説明し、その他の構成は図2と同様であるものとする。
【0114】
図9において、核酸配列設計装置100は、siRNA候補配列を記憶する機能阻害核酸配列記憶部183を備える。
機能阻害核酸配列記憶部183には、既に、実験等により一定の機能阻害効果が認められたsiRNA候補配列が記憶されている。
候補配列取得部200は、機能阻害核酸配列記憶部183から、siRNA候補配列を取得する。
【0115】
図10は、実施の形態2における核酸配列設計装置100の処理の流れを示す図である。
実施の形態2における核酸配列設計装置100が行うsiRNAの塩基配列設計方法の処理の流れを図10に基づいて説明する。
ここで、実施の形態1における図3と異なる処理について説明し、その他の処理は、図3と同様であるものとする。
【0116】
候補配列取得部200は、機能阻害核酸配列記憶部183からsiRNA候補配列を取得する(S603)。
【0117】
S601、S602、S604、S605およびS606は、図3におけるS101、S102、S104、S105およびS106の処理と同様である。
【0118】
実施の形態2において、その他の核酸配列設計方法に関する内容は、上記実施の形態1と同様である。
【0119】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、対象生物体と同種である、対象生物種のmRNAの塩基配列からsiRNAの塩基配列を取得する場合を説明した。
実施の形態3では、対象生物体のmRNAの塩基配列からsiRNAの塩基配列を取得する場合を説明する。
【0120】
図11は、実施の形態3における、核酸配列設計装置100の構成図である。
実施の形態3における核酸配列設計装置100の構成を図11に基づいて説明する。
ここで、上記実施の形態1における図2の核酸配列設計装置100と異なる構成を説明し、その他の構成は図2と同様であるものとする。
【0121】
図11において、核酸配列設計装置100は、対象生物種の各遺伝子の塩基配列を、遺伝情報部分であるエクソンの塩基配列と、非遺伝情報部分であるイントロンの塩基配列とに分けて記憶する種別領域配列記憶部182を備える。
【0122】
また、候補配列取得部200は、以下のものを備える。
対象生物体の標的遺伝子の塩基配列を取得する塩基配列取得部220。
種別領域配列記憶部182から標的遺伝子および非標的遺伝子のエクソンの塩基配列とイントロンの塩基配列とを取得する領域配列取得部230。
塩基配列取得部220が取得した対象生物体の標的遺伝子および非標的遺伝子と、領域配列取得部230が取得したエクソンの塩基配列およびイントロンの塩基配列との相同関係に基づいて、対象生物体の標的遺伝子および非標的遺伝子のmRNAの塩基配列を取得する情報配列取得部240。
【0123】
塩基配列取得部220は、ジデオキシ法により対象生物体の標的遺伝子および非標的遺伝子の塩基配列を取得することができる。
まず、遺伝子をベクターに組み込んでベクターを増やすクローニング法、またはPCR法などにより標的遺伝子および非標的遺伝子を増幅する。
次に、増幅した標的遺伝子および非標的遺伝子から一本鎖の遺伝子を取得する。
次に、取得した一本鎖の遺伝子に対して、プライマーと、デオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドを取り込んだポリメラーゼとにより、相補鎖を合成する。
相補鎖はデオキシヌクレオチドにより伸長し、ジデオキシヌクレオチドにより伸長を停止し、A、T、G、Cの4種の塩基それぞれに対応するジデオキシヌクレオチドを用いることで、各塩基の各位置まで相補鎖が伸長した遺伝子を得る。
そして、長さの異なる各遺伝子は電荷の量が異なり、電気泳動を行うことにより、各遺伝子の移動度の違いから遺伝子の長さを区別し、その長さの位置に、用いたジデオキシヌクレオチドに対応する塩基が位置することがわかる。
【0124】
遺伝子長が1000bp程度かそれ以上の長さの場合は、塩基配列決定の精度を確保するために、遺伝子を幾つかの断片に分けて、各断片の塩基配列を取得し、取得した塩基配列を組み合わせて遺伝子全長の塩基配列を取得してもよい。
【0125】
ただし、塩基配列取得部220は、上記以外の方法により、対象生物体の標的遺伝子および非標的遺伝子の塩基配列を取得しても構わない。
【0126】
情報配列取得部240が行う対象生物体の標的遺伝子および非標的遺伝子のmRNAの塩基配列の取得処理について図12、図13、図14に基づいて、以下に説明する。
【0127】
図12は、実施の形態3における種別領域配列記憶部182の記憶内容を示す図である。
図12において、種別領域配列記憶部182は、遺伝子Aや遺伝子Bなどの各遺伝子に対して、各エクソンおよび各イントロンの領域の塩基配列を記憶する。
【0128】
記憶するエクソンおよびイントロンの領域の塩基配列は、対象生物種においてDNAから転写されたmRNAから逆転写されたcDNAの塩基配列を取得し、エクソンに相当する領域を備えるcDNAの塩基配列と、エクソンおよびイントロンに相当する領域を備えるDNAの塩基配列とを比較することにより取得できる。
【0129】
図13は、実施の形態3におけるmRNAの構造を示す図である。
図12における遺伝子Aについて、mRNAと、エクソンとイントロンとの関係を図13に基づいて説明する。
遺伝子Aは、第1から第nのエクソンおよびイントロンを備える。
エクソンは遺伝情報領域で、イントロンは非遺伝情報領域であり、遺伝子Aから転写したmRNAはエクソンに相当する遺伝情報を備える。
そして、mRNAのエクソンに相当する遺伝情報を示す塩基配列は、同一の生物種であっても生物体毎に異なる塩基部分を持つ。この異なる塩基、つまり1塩基の多型のことをSNP(Single Nucleotide Polymorphism)という。
遺伝子Aの場合は、GAACGとATGTGとの間の塩基が、AまたはGの入るSNP1であり、AAGCTとCGTTAとの間の塩基が、GまたはCの入るSNP2であり、ACCATとTTCAGとの間の塩基が、GまたはCの入るSNP3である。
【0130】
つまり、同一の生物種であっても生物体毎に遺伝子およびmRNAの塩基配列は異なる。
【0131】
図14は、実施の形態3における対象生物体の標的遺伝子のmRNAの塩基配列の取得処理の流れを示す図である。
塩基配列取得部220が取得した対象生物体の標的遺伝子の塩基配列と、領域配列取得部230が種別領域配列記憶部182から取得した、対象生物種の標的遺伝子のエクソン領域とイントロン領域との塩基配列とに基づいて、情報配列取得部240が、対象生物体の標的遺伝子のmRNAの塩基配列を取得する処理の流れを、図14に基づいて説明する。
【0132】
塩基配列取得部220が取得した、対象生物種の標的遺伝子の塩基配列と、領域配列取得部230が種別領域配列記憶部182から取得した、対象生物種の標的遺伝子のエクソン領域とイントロン領域との塩基配列とを入力する(S701)。
【0133】
入力したエクソン領域とイントロン領域の塩基配列と相同する対象生物種の標的遺伝子の塩基配列部分を取得し、さらに、取得した対象生物種の標的遺伝子の塩基配列部分のうちのエクソンに相当する領域の塩基配列を取得する(S702)。
相同する配列の検索は、Smith−Waterman法などを使用する。
【0134】
取得したエクソンに相当する領域の塩基配列を結合する(S703)。
【0135】
結合した塩基配列中のTをUに置換する(S704)。
【0136】
置換して得られた塩基配列を、対象生物体の標的遺伝子のmRNAの塩基配列として出力する(S705)。
【0137】
上記処理を非標的遺伝子に対して行うことで、対象生物体の非標的遺伝子のmRNAの塩基配列を取得することができる。
【0138】
図15は、実施の形態3における核酸配列設計処理のデータの流れを示す図である。
実施の形態3における核酸配列設計処理のデータの流れを図15に基づいて説明する。
ここで、上記実施の形態1における図8と異なるデータの流れを説明し、その他のデータの流れは図8と同様であるものとする。
【0139】
種別領域配列記憶部182に記憶される対象生物種の遺伝子のエクソン領域およびイントロン領域の塩基配列と、対象生物体の遺伝子の塩基配列とに基づいて、標的遺伝子のmRNAの塩基配列と非標的遺伝子のmRNAの塩基配列とsiRNA候補配列とを取得する(S801)。
【0140】
S802とS803については、図8のS502とS503と同様である。
【0141】
実施の形態3において、その他の核酸配列設計方法に関する内容は、上記実施の形態1と同様である。
【0142】
実施の形態3における核酸配列設計装置100は、実施の形態2における図9と同様に機能阻害核酸配列記憶部183を備え、この機能阻害核酸配列記憶部183からsiRNA候補配列を取得しても構わない。
【0143】
実施の形態3では、領域配列取得部230は、核酸配列設計装置100が備えた種別領域配列記憶部182から対象生物種の遺伝子のエクソン領域とイントロン領域との塩基配列を取得した。
ただし、核酸配列設計装置100が種別領域配列記憶部182を備えず、領域配列取得部230は、ネットワークを介して、対象生物種の遺伝子のエクソン領域とイントロン領域との塩基配列を取得してもよい。
対象生物種の遺伝子のエクソン領域とイントロン領域との塩基配列の取得元には、Ensemblが提供するデータベースなどがある。
【0144】
実施の形態3において、情報配列取得部240と塩基配列取得部220と領域配列取得部230とを備えることにより、対象生物体の各遺伝子のmRNAの塩基配列を取得することができる。
また、対象生物体の各遺伝子のmRNAの塩基配列に基づいて、siRNA候補配列を取得し、siRNAの塩基配列を設計することができる。
【0145】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、対象生物体の遺伝子の塩基配列と、対象生物種の遺伝子のエクソン領域およびイントロン領域の塩基配列とに基づいて、対象生物体のmRNAの塩基配列を取得する場合を説明した。
実施の形態4では、対象生物種の遺伝子の塩基配列と、対象生物体のSNPと、対象生物種の遺伝子のエクソン領域およびイントロン領域の塩基配列とに基づいて、対象生物体のmRNAの塩基配列を取得する場合を説明する。
【0146】
図16は、実施の形態4における、核酸配列設計装置100の構成図である。
実施の形態4における核酸配列設計装置100の構成を図16に基づいて説明する。
ここで、上記実施の形態3における図11の核酸配列設計装置100と異なる構成を説明し、その他の構成は図11と同様であるものとする。
【0147】
図16において、核酸配列設計装置100は、対象生物種の遺伝子の塩基配列を記憶する種別情報配列記憶部181を備える。
【0148】
また、候補配列取得部200は、以下のものを備える。
種別情報配列記憶部181から対象生物種の遺伝子の塩基配列を取得する種別配列取得部210。
対象生物体のSNPを取得する異配列取得部250。
種別配列取得部210が取得した対象生物種の標的遺伝子および非標的遺伝子の塩基配列と、異配列取得部250が取得した対象生物体のSNPと、領域配列取得部230が取得した対象生物種の標的遺伝子および非標的遺伝子のエクソン領域およびイントロン領域の塩基配列とに基づいて、対象生物体の標的遺伝子および非標的遺伝子のmRNAの塩基配列を生成する塩基配列生成部260。
【0149】
異配列取得部250は、ジェノタイピングにより、対象生物体のSNPを取得することができる。
SNPを含む遺伝子をPCR法により増幅し、この遺伝子をMALDI−TOF MSというタイプの質量分析計にかけることで、この遺伝子の質量を計測し、得られた質量によって、SNPの塩基がA、G、C、Tのどれであるかわかる。
A、G、C、Tは、それぞれ質量が異なるために、予めSNPがAであるとき、Gであるとき、Cであるとき、Tであるときの遺伝子の質量を計測しておくことでこの方法は可能となる。
【0150】
異配列取得部250が行うジェノタイピングは、MALDI−TOF MSを使用する方法に限らず、Invader法、TaqMan法、SnapShot法などでもよい。
また、異配列取得部250が対象生物体のSNPを取得する方法は、ジェノタイピングに限らずシークエンス法、SSCP法、マイクロアレイを使用する方法などでもよい。
【0151】
図17は、実施の形態4における塩基配列生成部260の塩基配列生成の処理概要を示す図である。
実施の形態4における、塩基配列生成部260が行う、対象生物体の遺伝子の塩基配列を生成する処理の概要を図17に基づいて説明する。
【0152】
異配列取得部250が取得した、対象生物体の遺伝子AのSNP1がG、SNP2がG、SNP3がCで、種別配列取得部210が種別情報配列記憶部820から取得した、対象生物種の遺伝子Aの塩基配列が、・・・GAACGxATGTG・・・AAGCTxCGTTA・・・ACCATxTTCAG・・・であるとする。
この場合、塩基配列生成部260は、対象生物体の遺伝子Aの塩基配列を・・・GAACGGATGTG・・・AAGCTGCGTTA・・・ACCATCTTCAG・・・として生成する。
【0153】
異配列取得部250が取得した、対象生物体の遺伝子AのSNP1がG、SNP2がC、SNP3がCで、種別配列取得部210が種別情報配列記憶部820から取得した、対象生物種の遺伝子Aの塩基配列が、・・・GAACGxATGTG・・・AAGCTxCGTTA・・・ACCATxTTCAG・・・であるとする。
この場合、塩基配列生成部260は、対象生物体の遺伝子Aの塩基配列を・・・GAACGGATGTG・・・AAGCTCCGTTA・・・ACCATCTTCAG・・・として生成する。
【0154】
塩基配列生成部260は、上記のようにして生成した、対象生物体の標的遺伝子および非標的遺伝子の塩基配列と、領域配列取得部230が取得した対象生物種の標的遺伝子および非標的遺伝子のエクソン領域およびイントロン領域の塩基配列とに基づいて、実施の形態3における情報配列取得部240と同様にして、対象生物体の標的遺伝子および非標的遺伝子のmRNAの塩基配列を取得する。
【0155】
図18は、実施の形態4における核酸配列設計処理のデータの流れを示す図である。
実施の形態4における核酸配列設計処理のデータの流れを図18に基づいて説明する。
ここで、上記実施の形態3における図15と異なるデータの流れを説明し、その他のデータの流れは図15と同様であるものとする。
【0156】
種別情報配列記憶部181に記憶される対象生物種の遺伝子の塩基配列と、種別領域配列記憶部182に記憶される対象生物種の遺伝子のエクソン領域およびイントロン領域の塩基配列と、対象生物体のSNPとに基づいて、標的遺伝子のmRNAの塩基配列と非標的遺伝子のmRNAの塩基配列とsiRNA候補配列とを取得する(S901)。
【0157】
S902とS903については、図8のS802とS803と同様である。
【0158】
実施の形態4において、その他の核酸配列設計方法に関する内容は、上記実施の形態3と同様である。
【0159】
実施の形態4における核酸配列設計装置100は、上記実施の形態2における図9と同様に機能阻害核酸配列記憶部183を備え、この機能阻害核酸配列記憶部183からsiRNA候補配列を取得しても構わない。
【0160】
実施の形態4では、種別配列取得部210は、核酸配列設計装置100が備えた種別情報配列記憶部181から対象生物種の遺伝子の塩基配列を取得した。
ただし、核酸配列設計装置100が種別情報配列記憶部181を備えず、種別配列取得部210は、ネットワークを介して、対象生物種の遺伝子の塩基配列を取得してもよい。
【0161】
実施の形態4において、異配列取得部250と塩基配列生成部260とを備えることにより、対象生物体の各遺伝子の塩基配列を取得する時間の短縮およびコストの削減を図ることができる。
【0162】
実施の形態5.
上記実施の形態では、対象生物種または対象生物体の各遺伝子のmRNAの塩基配列とsiRNA候補配列とを取得し、取得したsiRNA候補配列の標的遺伝子に対する活性スコアと、取得したsiRNA候補配列の非標的遺伝子に対する影響スコアとを算出し、算出した活性スコアと影響スコアとに基づいて、siRNAの塩基配列を設計する核酸配列設計装置100について説明した。
実施の形態5では、機能阻害効果として活性スコアを算出する機能阻害効果算出装置600について説明する。
【0163】
図19は、実施の形態5における機能阻害効果算出装置600の構成図である。
実施の形態5における機能阻害効果算出装置600の構成を図19に基づいて説明する。
【0164】
機能阻害効果算出装置600は、以下のものを備える。
siRNAの塩基配列に対する阻害相関値を記憶する阻害相関値記憶部191。
機能阻害効果の算出対象であるsiRNAの塩基配列に対する活性スコアを算出する活性スコア算出部300。
活性スコア算出部300は、対象生物種または対象生物体の標的遺伝子のmRNAの塩基配列と、機能阻害効果の算出対象であるsiRNAの塩基配列とを入力し、入力したsiRNAの塩基配列に対する阻害相関値を、阻害相関値記憶部191から取得する。
さらに、入力したmRNAの塩基配列およびsiRNAの塩基配列と、取得した阻害相関値とに基づいて、活性スコアを算出する。
【0165】
その他の内容について、活性スコア算出部300と阻害相関値記憶部191とは、上記実施の形態における活性スコア算出部300と阻害相関値記憶部191と同様である。
【0166】
実施の形態6.
上記実施の形態では、siRNAの塩基配列を設計する核酸配列設計装置100および機能阻害効果として活性スコアを算出する機能阻害効果算出装置600とについて説明した。
実施の形態6では、機能阻害影響度として影響スコアを算出する機能阻害影響度算出装置700について説明する。
【0167】
図20は、実施の形態6における機能阻害影響度算出装置700の構成図である。
実施の形態6における機能阻害影響度算出装置700の構成を図20に基づいて説明する。
【0168】
機能阻害影響度算出装置700は、以下のものを備える。
遺伝子の重み付け情報値を記憶する遺伝子情報記憶部192。
機能阻害影響度の算出対象であるsiRNAの塩基配列に対する影響スコアを算出する影響スコア算出部400。
影響スコア算出部400は、対象生物種または対象生物体の非標的遺伝子のmRNAの塩基配列と、機能阻害影響度の算出対象であるsiRNAの塩基配列とを入力し、入力したmRNAの塩基配列に対応する非標的遺伝子の重み付け情報値を、遺伝子情報記憶部192から取得する。
さらに、入力したmRNAの塩基配列およびsiRNAの塩基配列と、取得した重み付け情報値とに基づいて、影響スコアを算出する。
【0169】
その他の内容について、影響スコア算出部400と遺伝子情報記憶部192とは、上記実施の形態における影響スコア算出部400と遺伝子情報記憶部192と同様である。
【0170】
実施の形態7.
上記実施の形態6では、重み付け情報に基づいて、影響スコアを算出する機能阻害影響度算出装置700とについて説明した。
実施の形態7では、重み付け情報と阻害相関値とに基づいて影響スコアを算出する機能阻害影響度算出装置700について説明する。
【0171】
図21は、実施の形態7における機能阻害影響度算出装置700の構成図である。
実施の形態7における機能阻害影響度算出装置700の構成を図21に基づいて説明する。
【0172】
機能阻害影響度算出装置700は、以下のものを備える。
遺伝子の重み付け情報値を記憶する遺伝子情報記憶部192。
siRNAの塩基配列に対する阻害相関値を記憶する阻害相関値記憶部191。
機能阻害影響度の算出対象であるsiRNAの塩基配列に対する影響スコアを算出する影響スコア算出部400。
影響スコア算出部400は、対象生物種または対象生物体の非標的遺伝子のmRNAの塩基配列と、機能阻害影響度の算出対象であるsiRNAの塩基配列とを入力する。
また、入力したmRNAの塩基配列に対応する非標的遺伝子の重み付け情報値を、遺伝子情報記憶部192から取得し、入力したsiRNAの塩基配列に対する阻害相関値を、阻害相関値記憶部191から取得する。
さらに、入力したmRNAの塩基配列およびsiRNAの塩基配列と、取得した重み付け情報値および阻害相関値とに基づいて、影響スコアを算出する。
【0173】
その他の内容について、影響スコア算出部400と遺伝子情報記憶部192と、阻害相関値記憶部191とは、上記実施の形態における影響スコア算出部400と遺伝子情報記憶部192と阻害相関値記憶部191と同様である。
【0174】
図22は、上記実施の形態における核酸配列設計装置100、機能阻害効果算出装置600および機能阻害影響度算出装置700の外観を示す図である。
図22において、核酸配列設計装置100、機能阻害効果算出装置600および機能阻害影響度算出装置700は、システムユニット910、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置901、キーボード(K/B)902、マウス903、コンパクトディスク装置(CDD)905、プリンタ装置906、スキャナ装置907を備え、これらはケーブルで接続されている。
さらに、核酸配列設計装置100、機能阻害効果算出装置600および機能阻害影響度算出装置700は、FAX機932、電話器931とケーブルで接続され、また、ローカルエリアネットワーク(LAN)942、ウェブサーバ941を介してインターネット940に接続されている。
【0175】
図23は、上記実施の形態における核酸配列設計装置100、機能阻害効果算出装置600および機能阻害影響度算出装置700のハードウェア構成図である。
図23において、核酸配列設計装置100、機能阻害効果算出装置600および機能阻害影響度算出装置700は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、CRT表示装置901、K/B902、マウス903、FDD(Flexible Disk Drive)904、磁気ディスク装置920、CDD905、プリンタ装置906、スキャナ装置907と接続されている。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920、光ディスク装置は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915は、FAX機932、電話器931、LAN942等に接続されている。
例えば、通信ボード915、K/B902、スキャナ装置907、FDD904などは、情報入力部の一例である。
また、例えば、通信ボード915、CRT表示装置901などは、出力部の一例である。
【0176】
ここで、通信ボード915は、LAN942に限らず、直接、インターネット940、或いはISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)に接続されていても構わない。直接、インターネット940、或いはISDN等のWANに接続されている場合、核酸配列設計装置100、機能阻害効果算出装置600および機能阻害影響度算出装置700は、インターネット940、或いはISDN等のWANに接続され、ウェブサーバ941は不用となる。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923は、CPU911、OS921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0177】
上記プログラム群923には、上記実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明するものが、「〜ファイル」として記憶されている。
また、上記実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920、FD(Flexible Disk cartridge)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)等のその他の記録媒体に記録される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
【0178】
また、上記実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0179】
また、上記実施の形態を実施するプログラムは、磁気ディスク装置920、FD、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)等のその他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】従来技術におけるsiRNAの配列設計の処理の流れを示す図。
【図2】実施の形態1における核酸配列設計装置100の構成図。
【図3】実施の形態1における核酸配列設計装置100の処理の流れを示す図。
【図4】実施の形態1における阻害相関値記憶部191の記憶内容を示す図。
【図5】実施の形態1における指標に基づく活性スコアの算出処理の流れを示す図。
【図6】実施の形態1における影響スコア算出処理の流れを示す図。
【図7】実施の形態1におけるsiRNAの塩基配列の決定処理の流れを示す図。
【図8】実施の形態1における核酸配列設計処理のデータの流れを示す図。
【図9】実施の形態2における核酸配列設計装置100の構成図。
【図10】実施の形態2における核酸配列設計装置100の処理の流れを示す図。
【図11】実施の形態3における、核酸配列設計装置100の構成図。
【図12】実施の形態3における種別領域配列記憶部182の記憶内容を示す図。
【図13】実施の形態3におけるmRNAの構造を示す図。
【図14】実施の形態3における対象生物体の標的遺伝子のmRNAの塩基配列の取得処理の流れを示す図。
【図15】実施の形態3における核酸配列設計処理のデータの流れを示す図。
【図16】実施の形態4における、核酸配列設計装置100の構成図。
【図17】実施の形態4における塩基配列生成部260の塩基配列生成の処理概要を示す図。
【図18】実施の形態4における核酸配列設計処理のデータの流れを示す図。
【図19】実施の形態5における機能阻害効果算出装置600の構成図。
【図20】実施の形態6における機能阻害影響度算出装置700の構成図。
【図21】実施の形態7における機能阻害影響度算出装置700の構成図。
【図22】上記実施の形態における核酸配列設計装置100、機能阻害効果算出装置600および機能阻害影響度算出装置700の外観を示す図。
【図23】上記実施の形態における核酸配列設計装置100、機能阻害効果算出装置600および機能阻害影響度算出装置700のハードウェア構成図。
【符号の説明】
【0181】
100 核酸配列設計装置、181 種別情報配列記憶部、182 種別領域配列記憶部、183 機能阻害核酸配列記憶部、191 阻害相関値記憶部、192 遺伝子情報記憶部、200 候補配列取得部、210 種別配列取得部、220 塩基配列取得部、230 領域配列取得部、240 情報配列取得部、250 異配列取得部、260 塩基配列生成部、300 活性スコア算出部、400 影響スコア算出部、500 阻害配列決定部、600 機能阻害効果算出装置、700 機能阻害影響度算出装置、901 CRT表示装置、902 K/B、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、910 システムユニット、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群、931 電話器、932 FAX機、940 インターネット、941 ウェブサーバ、942 LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とする生物の標的遺伝子の機能を阻害する機能阻害核酸の塩基配列を設計する核酸配列設計装置において、
対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得部と、
候補配列取得部の取得した塩基配列に対して、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出部と、
候補配列取得部の取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出部と、
活性スコア算出部が算出した活性スコアと、影響スコア算出部が算出した影響スコアとに基づいて、候補配列取得部が取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定部と
を備えたことを特徴とする核酸配列設計装置。
【請求項2】
対象とする生物の標的遺伝子の機能を阻害する機能阻害核酸の塩基配列を設計する核酸配列設計装置において、
対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得部と、
候補配列取得部の取得した塩基配列に対して、塩基配列を構成する残基の種類と、塩基配列中の位置とに基づいて、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出部と、
活性スコア算出部が算出した活性スコアに基づいて、候補配列取得部が取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定部と
を備えたことを特徴とする核酸配列設計装置。
【請求項3】
上記核酸配列設計装置は、さらに、
塩基配列を構成する残基の種類と、塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部を備え、
上記活性スコア算出部は、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の活性スコアを算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の核酸配列設計装置。
【請求項4】
上記阻害相関値記憶部が記憶する阻害相関値は、標的遺伝子に対する機能の阻害の有無が既知である機能阻害核酸を示す、既知核酸に基づくデータであり、
F(m,n)は、位置mに残基nが存在する場合の阻害相関値を示し、
Q(m,n)は、機能を阻害する既知核酸に対する、機能を阻害する既知核酸のうちで位置mに残基nが存在する割合を示し、
P(m,n)は、全既知核酸に対する、位置mに残基nが存在する割合を示し、
F(m,n)=log{Q(m,n)/P(m,n)}
で求められていることを特徴とする請求項3記載の核酸配列設計装置。
【請求項5】
上記活性スコア算出部は、
塩基配列にグアニンとシトシンとの少なくともいずれかについて、4つ以上連続している個所の有無と、
塩基配列中のグアニンとシトシンの含量を示すGC含量と、
標的遺伝子に対する塩基配列の位置と、
非標的遺伝子と塩基配列との相同関係と
の少なくともいずれかに基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の活性スコアを算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の核酸配列設計装置。
【請求項6】
対象とする生物の標的遺伝子の機能を阻害する機能阻害核酸の塩基配列を設計する核酸配列設計装置において、
対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得部と、
候補配列取得部の取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出部と、
影響スコア算出部が算出した影響スコアに基づいて、候補配列取得部が取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定部と
を備えたことを特徴とする核酸配列設計装置。
【請求項7】
上記核酸配列設計装置は、さらに、
塩基配列を構成する残基の種類と、塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部を備え、
上記影響スコア算出部は、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする請求項1または請求項6記載の核酸配列設計装置。
【請求項8】
上記阻害相関値記憶部が記憶する阻害相関値は、非標的遺伝子に対する機能の阻害の有無が既知である機能阻害核酸を示す、既知核酸に基づくデータであり、
F(m,n)は、位置mに残基nが存在する場合の阻害相関値を示し、
Q(m,n)は、機能を阻害する既知核酸に対する、機能を阻害する既知核酸のうちで位置mに残基nが存在する割合を示し、
P(m,n)は、全既知核酸に対する、位置mに残基nが存在する割合を示し、
F(m,n)=log{Q(m,n)/P(m,n)}
で求められていることを特徴とする請求項7記載の核酸配列設計装置。
【請求項9】
上記影響スコア算出部は、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
上記阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と
に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする請求項7記載の核酸配列設計装置。
【請求項10】
上記影響スコア算出部は、
上記阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と、非標的遺伝子の塩基配列と機能阻害核酸の塩基配列との相同関係と
に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする請求項7記載の核酸配列設計装置。
【請求項11】
上記影響スコア算出部は、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
上記阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と、非標的遺伝子の塩基配列と機能阻害核酸の塩基配列との相同関係と
に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする請求項7記載の核酸配列設計装置。
【請求項12】
上記影響スコア算出部は、
非標的遺伝子の塩基配列と機能阻害核酸の塩基配列との相同関係に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする請求項1または請求項6記載の核酸配列設計装置。
【請求項13】
上記影響スコア算出部は、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
非標的遺伝子の塩基配列と機能阻害核酸の塩基配列との相同関係と
に基づいて、上記候補配列取得部が取得した塩基配列の影響スコアを算出することを特徴とする請求項1または請求項6記載の核酸配列設計装置。
【請求項14】
上記候補配列取得部は、
対象とする生物の属する生物種の遺伝子に関する塩基配列を記憶する記憶部から、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして、遺伝情報の塩基配列を示す遺伝情報配列を取得する種別配列取得部を備え、
上記候補配列取得部は、種別配列取得部が取得した遺伝情報配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項6記載の核酸配列設計装置。
【請求項15】
上記候補配列取得部は、さらに、
対象とする生物の遺伝子に関するデータとして標的遺伝子を入力し、
上記種別配列取得部が取得した塩基配列と、対象とする生物の標的遺伝子の塩基配列とで異なる部分の塩基配列を取得する異配列取得部と、
上記種別配列取得部が取得した塩基配列と、異配列取得部が取得した塩基配列とに基づいて塩基配列を生成する塩基配列生成部とを備え、
上記候補配列取得部は、塩基配列生成部が生成した塩基配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得することを特徴とする請求項14記載の核酸配列設計装置。
【請求項16】
上記候補配列取得部は、
対象とする生物の遺伝子に関するデータとして標的遺伝子を入力し、
対象とする生物の標的遺伝子から塩基配列を取得する塩基配列取得部と、
対象とする生物の属する生物種が持つ各遺伝子の塩基配列を、遺伝情報領域の塩基配列を示す遺伝情報領域配列と、非遺伝情報領域の塩基配列を示す非遺伝情報領域配列とに分けて記憶する記憶部から、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして、標的遺伝子に対する、遺伝情報領域配列と非遺伝情報領域配列とを取得する種別領域配列取得部と、
塩基配列取得部が取得した塩基配列と、種別領域配列取得部が取得した遺伝情報領域配列および非遺伝情報領域配列との相同関係に基づいて、塩基配列取得部が取得した塩基配列から、遺伝情報領域配列を抽出し、抽出した遺伝情報領域配列に基づいて、遺伝情報の塩基配列を示す遺伝情報配列を取得する情報配列取得部とを備え、
上記候補配列取得部は、情報配列取得部が取得した遺伝情報配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項6記載の核酸配列設計装置。
【請求項17】
上記候補配列取得部は、
機能阻害核酸の塩基配列の候補を記憶する記憶部から、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項6記載の核酸配列設計装置。
【請求項18】
対象とする生物の標的遺伝子の機能を阻害する機能阻害核酸の塩基配列を設計する核酸配列設計方法において、
対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得工程と、
候補配列取得工程で取得した塩基配列に対して、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出工程と、
候補配列取得工程で取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程と、
活性スコア算出工程で算出した活性スコアと、影響スコア算出工程で算出した影響スコアとに基づいて、候補配列取得工程で取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定工程と
を実行することを特徴とする核酸配列設計方法。
【請求項19】
対象とする生物の標的遺伝子の機能を阻害する機能阻害核酸の塩基配列を設計する核酸配列設計方法において、
対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得工程と、
候補配列取得工程で取得した塩基配列に対して、塩基配列を構成する残基の種類と、塩基配列中の位置とに基づいて、塩基配列が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出工程と、
活性スコア算出工程で算出した活性スコアに基づいて、候補配列取得工程が取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定工程と
を実行することを特徴とする核酸配列設計方法。
【請求項20】
対象とする生物の標的遺伝子の機能を阻害する機能阻害核酸の塩基配列を設計する核酸配列設計方法において、
対象とする生物の遺伝子に関するデータを入力し、入力した遺伝子に関するデータに基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得する候補配列取得工程と、
候補配列取得工程で取得した塩基配列が、非標的遺伝子の機能を阻害する影響度を示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程と、
影響スコア算出工程で算出した影響スコアに基づいて、候補配列取得工程で取得した塩基配列の候補から塩基配列を決定し、決定した塩基配列を設計した塩基配列として出力する阻害配列決定工程と
を実行することを特徴とする核酸配列設計方法。
【請求項21】
請求項18または請求項19または請求項20記載の核酸配列設計方法をコンピュータに実行させる核酸配列設計プログラム。
【請求項22】
機能阻害核酸が、対象とする生物の遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害効果算出装置において、
機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部と、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、入力した機能阻害核酸の塩基配列と、阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値とに基づいて、入力した機能阻害核酸が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出部と
を備えたことを特徴とする機能阻害効果算出装置。
【請求項23】
機能阻害核酸が、対象とする生物の遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害効果算出方法において、
機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶工程と、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、入力した機能阻害核酸の塩基配列と、阻害相関値記憶工程で記憶された阻害相関値とに基づいて、入力した機能阻害核酸が遺伝子の機能を阻害する度合いを示す活性スコアを算出する活性スコア算出工程と
を実行することを特徴とする機能阻害効果算出方法。
【請求項24】
請求項23記載の機能阻害効果算出方法をコンピュータに実行させる機能阻害効果算出プログラム。
【請求項25】
機能阻害核酸が、対象とする生物の非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害影響度算出装置において、
機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部と、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と
に基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出部と
を備えたことを特徴とする機能阻害影響度算出装置。
【請求項26】
機能阻害核酸が、対象とする生物の非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害影響度算出装置において、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係と
に基づいて、入力した機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出部を備えたことを特徴とする機能阻害影響度算出装置。
【請求項27】
機能阻害核酸が、対象とする生物の非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害影響度算出装置において、
機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部と、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、
阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出部と
を備えたことを特徴とする機能阻害影響度算出装置。
【請求項28】
機能阻害核酸が、対象とする生物の非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害影響度算出装置において、
機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶部と、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
阻害相関値記憶部に記憶される阻害相関値と、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係と
に基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出部と
を備えたことを特徴とする機能阻害影響度算出装置。
【請求項29】
機能阻害核酸が、対象とする生物の非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害影響度算出方法において、
機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶工程と、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
阻害相関値記憶工程で記憶された阻害相関値と
に基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程と
を実行することを特徴とする機能阻害影響度算出方法。
【請求項30】
機能阻害核酸が、対象とする生物の非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害影響度算出方法において、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係と
に基づいて、入力した機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程を実行することを特徴とする機能阻害影響度算出方法。
【請求項31】
機能阻害核酸が、対象とする生物の非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害影響度算出方法において、
機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶工程と、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、
阻害相関値記憶工程で記憶された阻害相関値と、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係とに基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程と
を実行することを特徴とする機能阻害影響度算出方法。
【請求項32】
機能阻害核酸が、対象とする生物の非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを算出する機能阻害影響度算出方法において、
機能阻害核酸の塩基配列を構成する残基の種類と、機能阻害核酸の塩基配列中の位置とに対して、各残基が塩基配列の各位置に存在する場合に、機能阻害核酸が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを阻害相関値として記憶する阻害相関値記憶工程と、
機能阻害核酸の塩基配列を入力し、
非標的遺伝子が機能阻害核酸により機能を阻害されない場合に、非標的遺伝子から発現する遺伝情報の量と、
非標的遺伝子の機能的な重要度と
の少なくともいずれかと、
阻害相関値記憶工程で記憶された阻害相関値と、非標的遺伝子と入力した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係と
に基づいて、入力した機能阻害核酸の塩基配列が非標的遺伝子の機能を阻害する度合いを示す影響スコアを算出する影響スコア算出工程と
を実行することを特徴とする機能阻害影響度算出方法。
【請求項33】
請求項29または請求項30または請求項31または請求項32記載の機能阻害影響度算出方法をコンピュータに実行させる機能阻害影響度算出プログラム。
【請求項34】
上記候補配列取得部は、
対象とする生物の属する生物種の遺伝子に関する塩基配列を記憶する記憶部から、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして、遺伝情報の塩基配列を示す遺伝情報配列を標的遺伝子と非標的遺伝子とについて取得する種別配列取得部を備え、
上記候補配列取得部は、種別配列取得部が取得した標的遺伝子の遺伝情報配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得し、
上記影響スコア算出部は、
種別配列取得部が取得した非標的遺伝子の遺伝情報配列と、上記候補配列取得部が取得した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係に基づいて影響スコアを算出することを特徴とする請求項10または請求項11または請求項12または請求項13記載の核酸配列設計装置。
【請求項35】
上記候補配列取得部は、さらに、
対象とする生物の遺伝子に関するデータとして標的遺伝子と非標的遺伝子とを入力し、
上記種別配列取得部が取得した標的遺伝子の塩基配列と、対象とする生物の標的遺伝子の塩基配列とで異なる部分の塩基配列と、上記種別配列取得部が取得した非標的遺伝子の塩基配列と、対象とする生物の非標的遺伝子の塩基配列とで異なる部分の塩基配列とを取得する異配列取得部と、
上記種別配列取得部が取得した標的遺伝子の塩基配列と、異配列取得部が取得した標的遺伝子の異なる部分の塩基配列とに基づいて対象とする生物の標的遺伝子の塩基配列を生成し、上記種別配列取得部が取得した非標的遺伝子の塩基配列と、異配列取得部が取得した非標的遺伝子の異なる部分の塩基配列とに基づいて対象とする生物の非標的遺伝子の塩基配列を生成する塩基配列生成部とを備え、
上記候補配列取得部は、塩基配列生成部が生成した標的遺伝子の塩基配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得し、
上記影響スコア算出部は、
塩基配列生成部が生成した非標的遺伝子の塩基配列と、上記候補配列取得部が取得した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係に基づいて影響スコアを算出することを特徴とする請求項34記載の核酸配列設計装置。
【請求項36】
上記候補配列取得部は、
対象とする生物の遺伝子に関するデータとして標的遺伝子と非標的遺伝子とを入力し、
対象とする生物の標的遺伝子から標的遺伝子の塩基配列を取得し、対象とする生物の非標的遺伝子から非標的遺伝子の塩基配列を取得する塩基配列取得部と、
対象とする生物の属する生物種が持つ各遺伝子の塩基配列を、遺伝情報領域の塩基配列を示す遺伝情報領域配列と、非遺伝情報領域の塩基配列を示す非遺伝情報領域配列とに分けて記憶する記憶部から、対象とする生物の遺伝子に関するデータとして、標的遺伝子に対する、遺伝情報領域配列と非遺伝情報領域配列とを取得し、非標的遺伝子に対する、遺伝情報領域配列と非遺伝情報領域配列とを取得する種別領域配列取得部と、
塩基配列取得部が取得した塩基配列と、種別領域配列取得部が取得した遺伝情報領域配列および非遺伝情報領域配列との相同関係に基づいて、塩基配列取得部が取得した塩基配列から、遺伝情報領域配列を抽出し、抽出した遺伝情報領域配列に基づいて、遺伝情報の塩基配列を示す遺伝情報配列を標的遺伝子と非標的遺伝子とについて取得する情報配列取得部とを備え、
上記候補配列取得部は、情報配列取得部が取得した標的遺伝子の遺伝情報配列に基づいて、機能阻害核酸の塩基配列の候補を取得し、
上記影響スコア算出部は、
情報配列取得部が取得した非標的遺伝子の遺伝情報配列と、上記候補配列取得部が取得した機能阻害核酸の塩基配列との相同関係に基づいて影響スコアを算出することを特徴とする請求項10または請求項11または請求項12または請求項13記載の核酸配列設計装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−31308(P2006−31308A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208067(P2004−208067)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業に係る再委託業務、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】