説明

根菜おろし器

【課題】根菜の繊維方向に長くすりおろすことができ、すりおろされた根菜の肌理の細かさも変更することができる根菜おろし器を提供する。
【解決手段】根菜おろし器は、ハンドル1に取付けられた送りおねじ2−1と中央に送りめねじ2−2を有する上盤2−3で構成される送りねじユニット2と、受皿3−1と上盤2−3がガイド3−2で連結された外枠3と、ユニバーサルジョイント4−1が偏心して取付けられて送りおねじ2−1の下端に固定された回転盤4と、回転盤4に支えられた軸受盤5−1と固定盤5−2が連結部材5−3により一定の間隔に固定されており、ガイド3−2が貫通する従動ユニット5と、一端をユニバーサルジョイント4−1に接続する連結部材6−2の他端に底面におろし刃を有する円盤6−1が固定されるおろし金ユニット6を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根菜をすりおろす根菜おろし器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大根や野菜等を労力と時間をかけずにすりおろせる大根おろし器がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、人手によって把持されるハンドルと、大根を固定するための上皿とが固定的に連結している。一方で、穴が空いたおろし金と、その下に受皿とが配置される。大根は、上皿とおろし金との間に挟まれた状態で、上皿の回転によって、すりおろされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−71009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来技術によれば、根菜の繊維方向に対して直角におろし金が接触する。そのため、すりおろされた根菜には、繊維がほとんど残らないようになる。即ち、繊維方向に長くすりおろすことができない。
【0005】
また、すりおろされた根菜は、根菜とおろし金との接触圧力を変更できないために、肌理の細かさが一定となる。そのために、主観的な好みに応じて、すりおろされた根菜の肌理の細かさを調整することもできない。
【0006】
そこで、本発明は、根菜の繊維方向に長くすりおろすことができ、すりおろされた根菜肌理の細かさも変更することができる根菜おろし器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、根菜をすりおろす根菜おろし器において、
駆動源であるハンドル(1)と、
ハンドル(1)に固定的に取付けられた送りおねじ(2−1)と、中央に送りめねじ(2−2)を有する上盤(2−3)とによって構成され、ハンドル(1)の回転運動を上下運動へ変換する送りねじユニット(2)と、
根菜を直立に固定する機構を持つ受皿(3−1)を有し、上盤(2−3)とガイド(3−2)を介して連結した外枠(3)と、
ユニバーサルジョイント(4−1)が偏心して取付けられており、送りおねじ(2−1)の下端に固定され、送りおねじ(2−1)の回転運動を円運動に変換し、軸受盤(5−1)を支えつつ、送りおねじ(2−1)から伝達された上下運動をする回転盤(4)と、
軸受盤(5−1)と固定盤(5−2)が、連結部材(5−3)により一定の間隔に固定され、軸受盤(5−1)と固定盤(5−2)を外枠(3)のガイド(3−2)が貫通した従動ユニット(5)と、
一端をユニバーサルジョイント(4−1)に接続する連結部材(6−2)と、底面におろし刃を有する円盤(6−1)とを有し、円盤(6−1)の上面が連結部材(6−2)の他端に固定されるおろし金ユニット(6)と
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の根菜おろし器における他の実施形態によれば、固定盤(5−2)の中央に自動調心玉軸受(5−4)が取付けられ、自動調心玉軸受(5−4)が連結部材(6−2)の回転を補助するものであってもよい。
【0009】
本発明の根菜おろし器における他の実施形態によれば、ユニバーサルジョイント(4−1)は、偏心距離を変更できるように回転盤(4)の半径方向へのスライド機構(4−2)を有し、おろし金ユニット(6)と根菜の接触角度を変えるようにしたものであってもよい。
【0010】
本発明の根菜おろし器における他の実施形態によれば、受皿(3−1)は、円盤ドーナッツ形状をしており、中央の穴の部分に根菜が直立に固定される機構を有し、根菜がすりおろされたものがおろし金ユニット(6)を伝って受皿(3−1)へと集まるようにしたものであってもよい。
【0011】
本発明の根菜おろし器における他の実施形態によれば、おろし金ユニット(6)の円盤(6−1)は、おろし刃が中央から波紋状に均等に取付けられた構造をしているものであってもよい。
【0012】
本発明の根菜おろし器における他の実施形態によれば、
送りねじユニット(2)の送りおねじ(2−1)は、ハンドル(1)から取り外し可能となっており、
送りねじユニット(2)の送りめねじ(2−2)は、上盤(2−3)から取り外し可能となっており、
送りおねじ(2−1)及び送りめねじ(2−2)の組毎に、ねじのピッチが異なっており、
送りおねじ(2−1)及び送りめねじ(2−2)を共に交換することによって、ねじのピッチが変更され、ハンドル(1)を一回転した時のおろし金ユニット(6)の下降量が変更され、おろし金ユニット(6)と根菜の接触圧力が変更されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の根菜おろし器によれば、ユニバーサルジョイントを用いることによって、根菜の繊維方向に対しておろし金がある一定の角度を持った状態で、根菜をすりおろすことができる。即ち、すりおろされた根菜の繊維は、従来技術に基づく根菜おろし器に比べて、長くすりおろすことができる。
【0014】
また、本発明によれば、おろし金ユニットの下降量を変更することができるので、根菜とおろし金との接触圧力を変更できる。これは、好みに応じてすりおろされた根菜の肌理の細かさを調整することができる。
【0015】
更に、自動調心玉軸受を用いることによって、労力と時間をかけずに根菜類をすりおろすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る根菜おろし器の前面視図である。
【図2】本発明に係る根菜おろし器の上方斜視図である。
【図3】本発明に係る根菜おろし器の下方斜視図である。
【図4】自動調心玉軸受部の斜視図である。
【図5】円盤ドーナッツ形状の受皿の斜視図である。
【図6】おろし金の刃の形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る根菜おろし器の前面視図である。
図2は、本発明に係る根菜おろし器の上方斜視図である。
【0019】
本発明に係る根菜おろし器によれば、ハンドル(1)は、駆動源であって、一定方向(例えば時計回り)に回転させるものである。ハンドル(1)は、人手によって把持され回転させるものであってもよいし、モータのような動力源に連結されたものであってもよい。ハンドル(1)は、送りおねじ(2−1)に対して、連結部材を介して固定的に接続される。ハンドル(1)は、連結部材の一方の端に、ほぼ垂直に取り付けられる。また、送りおねじ(2−1)、その連結部材の他方の端に、ほぼ垂直に取り付けられる。
【0020】
送りおねじ(2−1)は、根菜おろし器の中心軸に位置する。ハンドル(1)を回転させることによって、送りおねじ(2−1)が回転するように動作する。
【0021】
根菜おろし器の上部には、送りねじユニット(2)が備えられる。送りねじユニット(2)の上部には、送りめねじ(2−2)を中心に備えた上盤(2−3)が配置される。そして、送りおねじ(2−1)は、送りめねじ(2−2)と噛み合うように挿入される。これによって、ハンドル(1)の回転運動を、上下運動へ変換することができる。
【0022】
一方で、根菜おろし器の下部には、下盤(受皿設置部(3−1))が配置され、その下盤は、ガイド(3−2)を介して上盤(2−3)と連結される。これによって、上盤(2−3)と下盤(受皿設置部(3−1))とが一体化し、根菜おろし器の外枠(3)を構成する。下盤は、受皿設置部として構成されており、その受皿設置部(3−1)に、受皿を載せることができる。受皿(3−1)は、根菜を固定的に設置することができる構造を持ち、例えば大根の場合、直立に固定することができる。
【0023】
また、図1によれば、ガイド(3−2)は、3本の長手方向に伸長した円柱によって構成されている。これによって、ハンドル(1)は、ガイド(3−2)により連結された上盤(2−3)と相対的に回転させる。
【0024】
図3は、本発明に係る根菜おろし器の下方斜視図である。
【0025】
図3によれば、上盤(2−3)の下部には、回転盤(4)が配置されている。回転盤(4)の周囲には、それを支える軸受盤(5−1)が構成されている。軸受盤(5−1)は、ガイドに結合され、外形を構成する。回転盤(4)には、送りおねじ(2−1)の下端が固定されている。これによって、送りおねじ(2−1)の回転運動はそのまま、回転盤(4)の円運動につながる。また、送りおねじ(2−1)の上下運動はそのまま、回転盤(4)の上下運動につながる。
【0026】
また、回転盤(4)の下面(送りおねじ(2−1)と反対の面)には、ユニバーサルジョイント(4−1)が偏心して取付けられている。これによって、送りおねじ(2−1)の回転運動を円運動に変換することができる。
【0027】
「ユニバーサル-ジョイント(universal joint)」とは、一般に「自在継ぎ手」と称される。「ユニバーサルジョイント」は、接続すべき2軸の軸端に、二又(ホークエンド=端末がフォーク状に二又になっている)を設ける。そして、それぞれの軸を1個の十字形部品の直交する2軸と回り対遇を用いて、接続したものである。接続された2軸は、必ずしも一直線上にあることを必要としない。即ち、ある角度で交わる向きにあっても、動力を伝達することができる。
【0028】
ユニバーサルジョイント(4−1)は、おろし金ユニット(6)に接続する。おろし金ユニット(6)は、底面におろし刃を有する円盤(6−1)と、棒状の連結部材(6−2)とから構成される。連結部材(6−2)の一端は、ユニバーサルジョイント(4−1)に接続され、他端は、円盤(6−1)の上面に接続する。おろし金ユニット(6)の連結部材(6−2)は、固定盤(5−2)の中央穴を貫通するように配置される。
【0029】
従動ユニット(5)は、軸受盤(5−1)と固定盤(5−2)とを、連結部材(5−3)により一定の間隔に固定して構成される。そして、軸受盤(5−1)と固定盤(5−2)とには、外枠(3)のガイド(3−2)が貫通する。
【0030】
図2によれば、ユニバーサルジョイント(4−1)は、回転盤(4)の半径方向へのスライド機構(4−2)を備えている。スライド機構(4−2)によってユニバーサルジョイント(4−1)の偏心距離を変更することができる。これによって、おろし刃を有する円盤(6−1)と、根菜との接触角度を変えることができる。
【0031】
尚、他の実施形態として、送りおねじ(2−1)及び送りめねじ(2−2)を共に交換することができることも好ましい。送りねじユニット(2)の送りおねじ(2−1)は、ハンドル(1)から取り外し可能となっている。同様に、送りねじユニット(2)の送りめねじ(2−2)も、上盤(2−3)から取り外し可能となっている。送りおねじ(2−1)及び送りめねじ(2−2)の組毎に、ねじのピッチが異なる。これによって、ねじのピッチが変更され、ハンドル(1)を一回転した時のおろし金ユニット(6)の下降量が変更され、おろし金ユニット(6)と根菜の接触圧力が変更される。
【0032】
図4は、自動調心玉軸受部の斜視図である。
【0033】
図4によれば、ガイド(3−2)が貫通する固定盤(5−2)の中央に、自動調心玉軸受(5−4)が取付けられている。自動調心玉軸受(5−4)には連結部材(6−2)が貫通している。これによって、自動調心玉軸受(5−4)が、連結部材(6−2)の回転を補助することができる。
【0034】
「自動調心玉軸受」とは、軸とハウジングの芯合わせが難しい場合の用途に適している。図4によれば、連結部材(6−2)と固定盤(5−2)との間の芯合わせは難しい。自動調心玉軸受は、外輪の軌道面が球面で、曲率中心が軸受中心と一致する。そのため、内輪、玉、保持器の軸が、軸受中心の周りを自由に回転できるという調心性がある。
【0035】
図5は、円盤ドーナッツ形状の受皿の斜視図である。
【0036】
図5によれば、根菜おろし器の下盤(受皿設置部(3−1))に、受皿が配置される。受皿(3−1)は、円盤ドーナッツ形状をしており、中央の穴の部分に根菜が直立に固定される機構を有し、根菜がすりおろされたものがおろし金ユニット(6)を伝って受皿(3−1)へと集まるようになっている。
【0037】
図6は、おろし金の刃の形状を示す斜視図である。
【0038】
図6によれば、上面が連結部材(6−2)の他端に固定される円盤(6−1)の下面は、おろし刃が中央から波紋状に均等に取付けられた構造になっている。
【0039】
以上、詳細に説明したように、本発明の根菜おろし器によれば、ユニバーサルジョイントを用いることによって、根菜の繊維方向に対しておろし金がある一定の角度を持った状態で、根菜をすりおろすことができる。即ち、すりおろされた根菜の繊維は、従来技術に基づく根菜おろし器に比べて、長くすりおろすことができる。
【0040】
また、本発明によれば、おろし金ユニットの下降量を変更することができるので、根菜とおろし金との接触圧力を変更できる。これは、好みに応じてすりおろされた根菜の肌理の細かさを調整することができる。
【0041】
更に、自動調心玉軸受を用いることによって、労力と時間をかけずに根菜類をすりおろすことができる。
【0042】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0043】
1 ハンドル
2 送りねじユニット
2−1 送りおねじ
2−2 送りめねじ
2−3 上盤
3 外枠
3−1 受皿
3−2 ガイド
4 回転盤
4−1 ユニバーサルジョイント
4−2 スライド機構
5 従動ユニット
5−1 軸受盤
5−2 固定盤
5−3 連結部材
5−4 自動調心玉軸受
6 おろし金ユニット
6−1 円盤
6−2 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
根菜をすりおろす根菜おろし器において、
駆動源であるハンドル(1)と、
ハンドル(1)に固定的に取付けられた送りおねじ(2−1)と、中央に送りめねじ(2−2)を有する上盤(2−3)とによって構成され、ハンドル(1)の回転運動を上下運動へ変換する送りねじユニット(2)と、
根菜を直立に固定する機構を持つ受皿(3−1)を有し、上盤(2−3)とガイド(3−2)を介して連結した外枠(3)と、
ユニバーサルジョイント(4−1)が偏心して取付けられており、送りおねじ(2−1)の下端に固定され、送りおねじ(2−1)の回転運動を円運動に変換し、軸受盤(5−1)を支えつつ、送りおねじ(2−1)から伝達された上下運動をする回転盤(4)と、
軸受盤(5−1)と固定盤(5−2)が、連結部材(5−3)により一定の間隔に固定され、軸受盤(5−1)と固定盤(5−2)を外枠(3)のガイド(3−2)が貫通した従動ユニット(5)と、
一端をユニバーサルジョイント(4−1)に接続する連結部材(6−2)と、底面におろし刃を有する円盤(6−1)とを有し、円盤(6−1)の上面が連結部材(6−2)の他端に固定されるおろし金ユニット(6)と
を有することを特徴とする根菜おろし器。
【請求項2】
固定盤(5−2)の中央に自動調心玉軸受(5−4)が取付けられ、自動調心玉軸受(5−4)が連結部材(6−2)の回転を補助することを特徴とする請求項1に記載の根菜おろし器。
【請求項3】
ユニバーサルジョイント(4−1)は、偏心距離を変更できるように回転盤(4)の半径方向へのスライド機構(4−2)を有し、おろし金ユニット(6)と根菜の接触角度を変えるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の根菜おろし器。
【請求項4】
受皿(3−1)は、円盤ドーナッツ形状をしており、中央の穴の部分に根菜が直立に固定される機構を有し、根菜がすりおろされたものがおろし金ユニット(6)を伝って受皿(3−1)へと集まるようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の根菜おろし器。
【請求項5】
おろし金ユニット(6)の円盤(6−1)は、おろし刃が中央から波紋状に均等に取付けられた構造をしていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の根菜おろし器。
【請求項6】
送りねじユニット(2)の送りおねじ(2−1)は、ハンドル(1)から取り外し可能となっており、
送りねじユニット(2)の送りめねじ(2−2)は、上盤(2−3)から取り外し可能となっており、
送りおねじ(2−1)及び送りめねじ(2−2)の組毎に、ねじのピッチが異なっており、
送りおねじ(2−1)及び送りめねじ(2−2)を共に交換することによって、ねじのピッチが変更され、ハンドル(1)を一回転した時のおろし金ユニット(6)の下降量が変更され、おろし金ユニット(6)と根菜の接触圧力が変更されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の根菜おろし器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−192109(P2012−192109A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60043(P2011−60043)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【特許番号】特許第4838391号(P4838391)
【特許公報発行日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(711003130)
【Fターム(参考)】