説明

根菜類収穫機

【課題】引抜搬送と茎葉切断後の作物を収容したコンテナを移動させる負担のかかる作業を軽減すると共に、作業を中断することなく効率よく作業を行うことのできる根菜類収穫機を提供すること。
【解決手段】走行車体2の左右一側に設けた圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置3から作物を受けて左右他側へ選別搬送装置7で作物を選別搬送し、搬送後に載置部17上に載置したコンテナ6に収容するとき、選別搬送装置7の終端部に作物を受けて振分搬送する振分搬送装置31と該搬送装置31上に一つ以上の作物の排出位置を切替自在な仕切部材32を設けたので、コンテナ6が作物で一杯になる度にコンテナ6を移動させて空のコンテナ6を設置する作業を省略することができ、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根菜類収穫機に関するものであり、特に収穫した根菜類の収容部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
根菜類としてニンジンを例にして従来の根菜類収穫機の一例を以下説明する。従来のニンジン収穫機は、圃場においてニンジン収穫機の前進走行に伴い、引抜搬送装置の掘起し刃(ソイラ)でニンジン周辺の土をほぐし、引起し手段によりニンジンの茎葉を引起した後、挟持搬送ベルトでニンジンの茎葉を挟持した状態で引き抜いて後方へ搬送し、その搬送中に茎葉を切断装置の回転刃で切断して除去した後、選別搬送装置により作物のサイズなどで選別しながら搬送して機体後部のコンテナに投入する構成である。
【0003】
そして、従来の根菜類収穫機は、例えば下記の特許公開公報記載の発明に開示されているように作物で一杯になったコンテナを補助作業者が手動で機体左右他側に設けた載置部に移動させると、コンテナを自動的に前方に搬送させる構成であるので、作業者の労力が軽減される。
【特許文献1】特開2004−113059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の根菜類収穫機では、作物で一杯になったコンテナを載置部まで手動で移動させる作業は作業者に労力がかかってしまう。また、コンテナを移動させ、次のコンテナを設置するまでの間は選別搬送装置や引抜搬送装置を停止させねばならず、作業能率が低下する。
本発明の課題は、作物を収容したコンテナを移動させる作業の負担を軽減すると共に、作業を中断することなく効率よく作業を行うことのできる根菜類収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の解決手段で解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行車体(2)の左右一側に圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置(3)と、該引抜搬送装置(3)から作物を受けて走行車体(2)の左右他側へ作物を選別搬送する選別搬送装置(7)と、走行車体(2)の左右他側に選別搬送装置(7)から作物を受けて収容する収容部材(6)を載置する載置部(17)を設けた根菜類収穫機において、該選別搬送装置(7)の終端部に選別搬送装置(7)から作物を受けて振分搬送する振分搬送装置(31)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0006】
請求項2記載の発明は、振分搬送装置(31)には少なくとも一つ以上の作物の排出位置を切替自在な搬出切替用の仕切部材(32)を設けた請求項1記載の根菜類収穫機である。
【0007】
請求項3記載の発明は、選別搬送装置(7)の搬送終端部側を上下動自在に構成した請求項1又は2記載の根菜類収穫機である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、選別搬送装置(7)の終端部に選別搬送装置(7)から作物を受けて載置部(17)に作物を振分搬送する振分搬送装置(31)を設けたことによって、振分搬送装置(31)から載置部(17)上に載置した複数の収容部材(6)のそれぞれに作物を収容することができるので、収容部材(6)が作物で一杯になる度に収容部材(6)を移動させて空の収容部材(6)を設置する作業を省略することができ、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、振分搬送装置(31)の作物の排出位置を仕切部材(32)で変更することによって、作物を投入する収容部材(6)に確実に作物を移送させることができるので、作業能率が向上し、作物の収穫作業中に収容部材(6)を動かさなくてよいので作業者の労力が軽減されると共に、収容部材(6)の外あるいは収容部材(6)の壁面上部に落下して傷付くことが防止されるので、作物の品質が向上する。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、選別搬送装置(7)の搬送終端部側を上下動自在に構成したことによって、振分搬送装置(31)の上下位置を変更することができるので、収容部材(6)を複数積み上げて収穫作業することができ、一度の作業での収穫量が増加すると共に作業能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1に本発明の実施の形態の根菜類収穫機の左側面図を示し、図2に図1の根菜類収穫機の平面図を示し、図3には図1の根菜類収穫機の背面図を示す。なお、本明細書では根菜類収穫機の前進方向を前方向、後退方向を後方向、前進方向に向かって左、右をそれぞれ左方向、右方向という。
【0012】
図1〜図3に示す根菜類収穫機により、根菜類としてニンジンを収穫する場合について説明する。図1〜図3に示す本実施例の根菜類収穫機は、走行車体2走行用の左右の一対のクローラ1a,1bを装備した走行車体2の左側方に、掘り起こして収穫した根菜類の茎葉を挟持して後側斜め上方に搬送して圃場から根菜類を引き抜き搬送する挟持搬送装置3を設け、走行車体2の右側方に、収穫した根菜類を収容するコンテナ6まで搬送する搬送コンベヤ7を設けた根菜類収穫機である。
【0013】
前記左右のクローラ1a,1bのうち挟持搬送装置3を設けたクローラ1aの前方位置であって、走行車体2の前部に接地輪9を取付けてあり、この接地輪9は上下動可能な構成である。また、挟持搬送装置3の始端部下方位置に土中を進行して土をほぐすソイラ8を設けている。
【0014】
さらに、走行車体2の前部低位置に走行ミッション装置10(図2)を設け、該走行ミッション装置10から左右両側に延長して設けているホイールシャフトの駆動スプロケット11に、左右一対のクローラ1a,1bを巻回して走行可能に構成している。そして、前記走行ミッション装置10は、走行車体2に搭載しているエンジン(図示せず)に伝動可能に連結して、図示しない変速装置、サイドクラッチ、サイドブレーキ等を内装して、前記クローラ1a,1bを作動させる構成としている。
【0015】
また、走行車体2は、左右の中間位置の前部に操縦座席4を配置して設け、その左側から後部、更には右側のスペースを利用して、挟持搬送装置3、縦引起し装置28、横引起し装置29や一連の処理搬送装置である肩揃えベルト12、葉茎切断装置(回転刃)13、排葉ベルト14、搬送コンベヤ7、コンテナ6を載置するコンテナ台17などを配置してニンジンの収穫機を構成している。
【0016】
縦引起し装置28には多数の引起しラグ28aを設け、引起しラグ28aが前後方向に周回し、作物の左右方向に垂れている茎葉を引き起こすよう構成している。横引起し装置29には多数の引起しラグ(図示せず)を設け、その前方に分草具29aを設けている。分草具29aで作物の分草をした後、左右方向に周回する引起しラグで圃場から植生して垂れている作物の茎葉を引き起こすよう構成している。
【0017】
挟持搬送装置3は、左右一対の挟持ベルト(図示せず)を備え、挟持ベルトの始端部側と終端部側をそれぞれ左右の駆動プーリ(図示せず)に巻回して構成している。そして、挟持搬送装置3は走行車体2の左側において、搬送始端部を前方低位置の地面近くに臨ませ、搬送終端部を後方高部に位置させて、側面視において傾斜状態に設け、前記図示しない駆動プーリから挟持ベルトを伝動する構成としている。本実施例の場合、縦引起し装置28と横引起し装置29を備えた挟持搬送装置3は、後部を走行車体2に一体として接続し、後方下方に向けて延長した機体フレーム30に強固に連結支持し、機体フレーム30の後端部を回動支点とし、機体フレーム30を上下回動して昇降自由に調節し、挟持ベルトの搬送始端部が上下方向に移動して、前記搬送始端部の高さ位置を調節できる構成である。
【0018】
そして、挟持搬送装置3は、搬送始端部において、左右一対の挟持ベルトでニンジンの葉茎部の基部(ニンジン果肉部の肩に近い部分)を挟持して、走行車体2の前進作用と挟持搬送装置3の上方への搬送力とによってニンジンを圃場面から引き抜きながら、吊り下げ状態で上方及び後方に搬送して収穫する構成としている。また、挟持搬送装置3は、図2の平面図で分かるように、一側(左側)のクローラ1の上方に位置し、図1の側面図に示したように、上記クローラ1の前端部より前方下方に延長して圃場面に接近させて構成している。
【0019】
そして、一対のソイラ(掘起し刃)8は、上記左右一対の挟持ベルトの搬送始端部分の下方において、その挟持ベルトが挟持する土中のニンジンの両側に位置させるように左右一対設けられ、その先端部は周辺土壌を抱き込んで振動する形状にして、その後部は横軸に支持して振動するように架設している。この場合、ソイラ8は、振動器20からクランクロッド21aと揺動アーム21bを介して振動動力が伝達される構成としている。
【0020】
なお、図4に他の実施例の根菜類収穫機のソイラ部分の要部側面図を示すように、ソイラ8を屈曲させ、このソイラ8の屈曲部を地面に接触させると共にクローラ1aに近接するよう取り付ける構成としてもよい。
上記構成によれば、屈曲させたソイラ8をクローラ1aに近接させて取り付けたことによって、ソイラ8の屈曲部に集まった茎葉をクローラ1aに巻き込ませて取り除くと共に土中に混ぜ込むことができるので、ソイラ8に巻き付いた茎葉を取り除く作業が省略されてメンテナンス性を向上させることや作業者の労力を軽減することができると共に、茎葉を圃場に混ぜ込むことによって、圃場に天然の養分を供給することができるので、圃場の土質を維持することができる。
【0021】
また、ソイラ8の取付部分をプレート8b、土中貫入部分を棒状体8a、先端作用部を多角形状の掘起し板8cから構成すると、金属板を屈曲させるよりも簡単にソイラ8を屈曲形状にすることができるのでソイラ8のコストを低減させることができると共に、棒状体8a、プレート8b及び掘起し板8cを組み合わせる際に屈曲角度を設定することができるので、様々な条件に対応したソイラ8を形成することができる。
【0022】
図1に示すように、ニンジン下部切断装置23を挟持搬送装置3の中間部の下側に設けている。このニンジン下部切断装置23は左右方向に所定間隔で、山形状を形成した案内杆24(図1)を設けると共に、この山形案内杆24内には、図示しないが回転外周部に複数個の切断刃を装着した回転具を回転自在に軸支している。
挟持搬送装置3で搬送されるニンジンの尻尾部分が前記ニンジン下部切断装置23の案内杆24を通過するときにニンジンの下部の尻尾部分が切断刃(図示せず)によって切断される。
【0023】
このように、挟持搬送ベルトで挟持されて上部へ向けて移送中にニンジンの葉部の反対側の下部の所定位置がニンジン下部切断装置23の切断刃で切断された後、挟持ベルトの終端部分の下方に配置して略水平状に設けられた肩揃えベルト12が、挟持ベルトからニンジンを受け継いで後方に搬送する。
【0024】
図1に示す根菜下部切断装置23の上方には一対の均しベルト53を設けることもできる。該均しベルト53部分の平面図を図5に示す。均しベルト53は2条掘り用の根菜収穫機で圃場から引き抜いたニンジンを挟持搬送装置3で搬送する際に、2条分の根菜が密集しているので、ニンジンを揃えた後に切断装置23でひげ根(テール)を切断できるようにするために前記一対の均しベルト53を用いる。
【0025】
一対の均しベルト53のベルト間の幅は下部切断装置23のカッタ幅内となるようにベルト53を配置することで確実に前記カッタでひげ根(テール)が切断できる。また、ニンジンに接触する側の作用側ベルト53の内側に配置したスプリング55で付勢させるテンションアーム56とその先端のテンションローラ57により、一方のベルト53が他方のベルト53側に向けて押圧される構成とすることで確実に径の大きなニンジンの詰まりを防止する。
こうしてひげ根(テール)を精度良く切断でき、また切断装置23でニンジンが詰まることや傷が付き難くなる。
【0026】
図6に他の実施例の根菜類収穫機の側面図を示すように、ニンジンの尻尾部を切断する切断装置23の上方であって挟持搬送装置3の下方前方部位に一対のブラシローラ58を設けても良い。ブラシローラ58の長手方向が挟持搬送装置3の作物搬送方向に直交する方向に向くようにブラシローラ58が設けられ、ブラシローラ58の長手方向に設けられる回転軸を中心にブラシローラ58が回転することでニンジンに付着した泥土を落とすことができる。
【0027】
挟持搬送装置3に茎葉が挟持され吊り下げられているニンジンは一対のブラシローラ58の間に挟まれ、縦方向に一列に整列させられると共に挟み込まれたニンジンから泥を落とすことができる。一対のブラシローラ58は切断装置23のカッタにニンジンを誘導する機能とブラシによる根菜からの泥落とし機能がある。
【0028】
また、ブラシローラ58を切断装置23のカッタ作用部より前方に配置することによって、該ブラシローラ58でニンジンに付着した泥土を落とすと共にニンジンの姿勢を尻尾部が切断装置23の左右方向略中央位置を通過する姿勢とすることができるので、ニンジンの尻尾部が確実に切断装置23に誘導されて切断されるため、収穫作業後に人手で尻尾部を除去する作業が省略されて作業者の労力が軽減される。
【0029】
また、ブラシローラ58の回動周速を挟持搬送装置3のベルトの移動速度より速くすることで、根菜を一本ずつ切断装置23のカッタへ供給させることができる。
さらに、ブラシローラ58の回転方向は挟持搬送装置3のベルトと平行軸で、回転方向も同方向とすることで、根菜の茎葉が切れて落下すること防ぐようにした。
また、ブラシローラ58の回転軸を挟持搬送装置3のベルト側へニンジンを持ち上げるように傾けているので、茎葉のちぎれが極力防止できる。
【0030】
肩揃えベルト12は、一対のベルト12,12からなり、挟持ベルトとの関係でニンジンを上方に移動してその果肉部の肩部を揃えながら挟持して走行車体2の後方に搬送する構成としている。
【0031】
そして、葉茎切断装置13は、図2に仮想線で示すように、左右一対の円板状の回転刃13,13からなり、上記肩揃えベルト12のすぐ後に軸架して設け、上側のタッピングベルト26に挟持されて吊り下げ状態で供給されたニンジンの葉茎の基部を切断する構成としている。また、切断部位を互いに平面視で重なる構成とし、互いに切断部位から内向きに走行車体2後方に向かって回転する構成としている。
【0032】
図7(a)の平面図に示すように根菜収穫機の肩揃えベルト12は平面視で作用側表面を凸凹状とし、凸部には穴12aを設け肩揃えベルト12に弾力性を持たせたことで、茎葉が太い根菜を挟持しても肩揃えベルト12が潰れることにより茎葉が詰まることなく通過させることができる。図7(b)には図7(a)のA−A線断面矢視図を示す。
また、図7(c)に示すように肩揃えベルト12の上下方向の両サイドにベルトプーリ12bを一部覆うように外れ防止兼キズ付防止用のガイド12cを設けた構成を用いてもよい。
【0033】
葉茎切断装置(カッタ)13の下方には図2に示すように残葉処理装置35が設けられている。残葉処理装置35は残葉クリーナベルト36と残葉ローラ37などから構成される。葉茎切断装置13で葉茎部を切断され、果肉部は残葉クリーナベルト36上に落下する。残葉クリーナベルト36上に落下したニンジンは搬送されながら該ベルト36上に該ベルト36とは隙間をあけて設けられたベルト搬送方向に対して傾斜した方向に回転軸が有る残葉ローラ37により残葉を除去しながら搬送コンベヤ7に向けてニンジンが搬送される。一方、残葉クリーナベルト36上には残葉が残っており、残葉は該ベルト36と残葉ローラ37の隙間を通り抜けて機外に放出される。
【0034】
搬送コンベヤ7は、葉茎切断装置13で葉茎部を切断された残葉を処理する残葉処理装置35から受け継いだニンジンの果肉部を横方向(右方向)へ搬送して後端部から、側方のコンテナ台17上のコンテナ6に供給する。
座席27は搬送コンベヤ7の側方(後方)に補助作業者が座るように設け、搬送コンベヤ7上を送られてくるニンジンを補助作業者が目視によって不良品を選り分けて良品を前述のようにコンテナ6に収穫する構成としている。
【0035】
つぎに、上記根菜類収穫機の作用について説明する。
まず、根菜類収穫機は、エンジンを始動して、上述した収穫作業の開始にあたり、オペレータはソイラ8側にあるクローラ1aの前方位置に軸架している接地輪9(図1)を下降操作して接地し、作業を開始する。走行車体2の回転各部を駆動しながら挟持搬送装置3の掘り取り高さ(引き抜き位置)を予め設定し、クローラ1a,1bを伝動して走行車体2を圃場内で前進させながらニンジンの収穫作業を開始する。この場合、ソイラ8は、挟持搬送装置3と一体に下降して先端部分が土中に陥没することになる。
【0036】
そして、圃場に植えられているニンジンは、前部で地面に接するような低い位置から前進方向に突出して上方へ回転している縦引起し装置28の作用圏内に達した葉茎部分が倒伏状態から上方に誘導案内され、更に、横引起し装置29の作用を受けて引き起こされる。続いて、ソイラ8は、土中で振動を続けながら走行車体2の前進につれてニンジンの側部に達し、周囲の土壌を振動によって柔らかくし、引き抜き易い状態にして、そのニンジンを挟持搬送装置3の挟持ベルトの始端部が挟持して上方へ引き抜き作用をする。
【0037】
このようにして、ニンジンは、左右一対の挟持ベルトに挟持されて上方に搬送され、肩揃えベルト12に達して持ち換えられ、後方に搬送方向が変更され、タッピングベルト26に達して受け継ぎ搬送されながら、葉茎切断装置13によって葉茎と果肉部とが切断される。切断された茎葉は排葉シュータ42で機外に排出される。
【0038】
そして、落下したニンジン(果肉部)は、残葉クリーナベルト36で果肉部に残葉があれば残葉処理作用を受けた後、搬送コンベヤ7上に供給される。ニンジンは、搬送コンベヤ7上を搬送される過程で座席27に座った補助作業者(選別作業者)によって不良品の選り分けが行われ、搬送コンベヤ7の終端部から良品のみがコンテナ6に充填される。
【0039】
また、搬送コンベヤ7による作物搬送終端部には作物を振り分けるベルトコンベア式の振分搬送装置31が配置されている。該振分搬送装置31はコンテナ台17の上方に、該コンテナ台17の長手方向に沿って配置されている。そして振分搬送装置31の内部には2枚の可動式の仕切板32が配置され、該仕切板32は搬送コンベヤ7により搬送されてくるニンジンを受け取ると振分搬送装置31の可逆可動式のベルトコンベアで図2の矢印イ方向にニンジンを搬送する。このときベルトコンベア上にある可動式の仕切板32の配置方向に応じてニンジンを収容するコンテナ6を選択することができる。例えば、図2に示す例では2つの可動式の仕切板32が搬送コンベヤ7にニンジン搬送方向に直交する位置(a)にあると、両端のコンテナ6にニンジンを搬送でき、図示の位置(b)にあると両端から2番目のコンテナ6にニンジンを搬送でき、図示の位置(c)にあると中央のコンテナ6にニンジンを搬送できる。
【0040】
なお、前記仕切板32を振分搬送装置31の搬送方向に対して所定の傾斜角度を付けて配置した回転可能なローラ(図示せず)とすることで、ニンジンが振分搬送装置31のベルトコンベアと仕切ローラとの間を搬送される途中で再度残葉処理が可能となる。
【0041】
また、図3の背面図に示すように、搬送コンベヤ7の搬送方向後半部分はリンクフレーム33で支持され、該リンクフレーム33と共に上下動自在な構成である。搬送コンベヤ7の搬送方向後半部分とリンクフレーム33は油圧シリンダ34で上下動がなされる構成であり、コンテナ台17上の1段目のコンテナ6内にニンジンを搬入する場合は、搬送コンベヤ7は水平方向のままであるが、コンテナ台17の上にコンテナ6を2段に積み上げたとき、2段目のコンテナ6にニンジンを搬入する場合には、搬送コンベア7とリンクフレーム33を油圧シリンダ34で図3の2点鎖線位置に持ち上げる。
【0042】
このように、搬送コンベヤ7によるニンジン搬送終端部にはニンジンを振り分けるベルトコンベア式の振分搬送装置31を配置する構成及び搬送コンベア7を上下動させる構成により多数のコンテナ6にニンジンを機械力で搬入することができる。
【0043】
図8に他の実施例の根菜収穫機の平面図を示すが、当該収穫機でも図1〜図3の根菜収穫機と同様に搬送コンベヤ7によるニンジン搬送終端部にはニンジンを振り分けるベルトコンベア式の振分搬送装置31が配置されている。しかし該振分搬送装置31の側面に溝を作製し、該溝内にロッド39を入れておき、さらにベルトコンベア上にロッド39に端部が固定された単一の仕切板32を配置し、ロッド39を人手により走行車体2の前後方向に操作することで、仕切板32に移動位置に応じてコンテナ台17上に並列配置された複数のコンテナ6のどのコンテナ6にニンジンを搬入するか選択することができる。
【0044】
図9に示す実施例の根菜収穫機の平面図には搬送コンベヤ7によるニンジン搬送終端部に設けたニンジンを振り分けるベルトコンベア式の振分搬送装置31の構成として、複数の回動自在な仕切板32を並列配置した例を示している。また、図10は図9に示す振分搬送装置の重量センサ38,38eと仕切板32の関係を示す制御ブロック図である。
【0045】
前記複数の回動自在な仕切板32はコンテナ台17上に並列配置された複数のコンテナ6に対応した位置に配置されており、また各仕切板32の基部に取り付けられたモータ47で仕切板32をベルトコンベアの搬送方向に対向する位置に回動させることができる。そのため、ニンジンを搬入すべきコンテナ6に対応した仕切板32だけをベルトコンベアの搬送方向に対向した位置に回動させることで、容易にニンジンを適切なコンテナ6に搬入できる。各コンテナ6の配置位置のコンテナ台17上に重量センサ38を設けておき、ニンジン搬入量に応じて仕切板32の回動制御をする。また、搬送コンベヤ7から最も離れた位置にある最後のコンテナ6に向けてニンジンを搬入するように仕切板32の傾斜角度を調整して最後のコンテナ6内に一杯のニンジンを搬入し、最終重量センサ38eが反応すると全てのモータ47,・・・を作動させて全ての仕切板32,・・・を初期位置に戻すように制御装置(CPU)100を設定しておく。こうして図9に示す根菜収穫機により、能率的な農作業ができる。
【0046】
図2、図8、図9に示すようにコンテナ6の上方に配置した振分搬送装置31のコンベアはコンテナ6の片側にオーバーラップするように配置しているので、コンテナ6内に搬入したニンジンがコンテナ6から溢れる出る不具合を少なくすることができる。
【0047】
ベルトコンベア式の振分搬送装置31とその下方のコンテナ6とコンテナ台17の構成の他の実施例の平面図を図11に示し、図12には図11の実施例の右側面図(図12(a))及び背面図(図12(b))を示す。
コンテナ台17の機体内側(走行車体2側)の長手方向側面部にコンテナ6の機体内側への移動を規制する複数の側板41・・・を回動自在(折り畳み自在)に取り付けると共に、該コンテナ台17の前後端部にコンテナ6の機体前後方向への移動を規制するコンテナ6の上下高さよりも高い前後規制ポール43,43を回動自在(折り畳み自在)に取り付ける。そして、該前後規制ポール43,43の少なくともいずれか一方の上部にスプリング44,44の基部を取り付け、該スプリング44,44の端部にコンテナ6に引っ掛けて機体前側もしくは機体後側にコンテナ6を引き押さえて隣接コンテナ6との間に隙間(空間)が生じることを防止するための押さえ部材46,46(L字形状、熊手形状、フック形、凹字形状状等、引っ掛けられる形状であればよい)を取り付ける。
【0048】
コンテナ台17の機体内側の長手方向側面部に複数の側板41・・・を取り付けたことによって、機体の左右傾斜等によってコンテナ6が車体2に向かって移動し、収容したニンジンを放出してしまうことが防止されるので、ニンジンが傷付くことが防止されてニンジンの品質が向上すると共に、ニンジンを拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減される。
【0049】
また、コンテナ台17の前後端部に前後規制ポール43,43を取り付けたことによって、機体の前後傾斜等によってコンテナ6がコンテナ台17から落下し、収容したニンジンを放出してしまうことが防止されるので、ニンジンが傷付くことが防止されてニンジンの品質が向上すると共に、ニンジンを拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減される。加えて、前後規制ポール43,43はコンテナ6の前後高さよりも高いので、コンテナ6を複数段(実施例では2段)積み上げても同様の効果を奏することができる。
【0050】
そして、前後規制ポール43,43に基部を有するスプリング44,44の端部に押さえ部材46,46を設けたことによって、コンテナ6同士を密着させておくことができるので、振分搬送装置31から落下するニンジンを確実にコンテナ6に収容することができ、ニンジンが傷付くことが防止されてニンジンの品質が向上すると共に、ニンジンを拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減される。
スプリング44は強力なスプリングを用い、押さえ部材46,46はコンテナ6の側壁上部もしくは穴部に引っ掛けてコンテナ6をコンテナ台17の前側もしくは後側へ引っ張る。
【0051】
なお、スプリング44及び押さえ部材46は前後規制ポール43,43のうちいずれか一方だけに設けてもよい。またコンテナ台17は、1段で積載可能なコンテナ6の前後長さの合計に加え、コンテナ6の前後幅の3分の1〜4分の1程度の長さを加えておくと、コンテナが前後規制ポール43,43間に詰まって取り出せなくなることを防止できる、
さらにコンテナ台17の走行車体2側とは反対側の長手方向の側面部の各コンテナ設置位置に各コンテナ6に対応させてコンテナ6と同数の逆U字状のガード部材45をコンテナ台17に配置し、該ガード部材45を走行車体2の外側へ回動可能とした。逆U字状のガード部材45はその基部を中心に回動自在であるので、コンテナ6をコンテナ台17上から地上に降ろすときに、該逆U字状のガード部材45を回動させて先端部を地面に接触させてニンジンで満杯となったコンテナ6をその上からスライド降下させることができる。このとき、コンテナ台6の機体外側端部で且つガード部材45の前後両側に前後ガード支持アーム45a,45bの基部を取り付け、該前後ガード支持アーム45a,45bの端部をガード部材45に切り欠いた溝部に引っ掛けて支持する。
【0052】
また、側板41・・・と前後規制ポール43,43と逆U字状のガード部材45はそれぞれコンテナ台17上に折り畳み可能としているので、コンテナ台17上にコンテナ6を載置しない場合には全てコンテナ台17上に収納可能となる。またコンテナ台17上にコンテナ6を載置しない場合には、コンテナ台17自体を走行車体2側に折り畳み可能としてもよい。
【0053】
図13に本発明の他の実施例の根菜収穫機の平面図を、図14(a)に図13の根菜収穫機の要部側面図を、図14(b)に要部背面図を示す。
図2に示すように、残葉処理装置35の残葉クリーナベルト36の移動方向と搬送コンベア7の移動方向は同一であるが、図13に示すように搬送コンベア7の搬送終端側下部で且つ機体前側にシュータ48を(機体上下方向に)回動自在に設け、該シュータ48の下方に仕分コンテナ6’と該仕分コンテナ6’の置台50(前後移動自在)を配置している。そして搬送コンベア7の後方の座席27に座った補助作業者は、搬送コンベア7上を搬送されている残葉処理されたニンジンのなかで傷物や極小、奇形など品質に問題のあるニンジン(B級品)を選別してシュータ48から仕分コンテナ6’に移して、品質に問題のないニンジンと選別作業をすることができる。
このように走行車体2内をコンパクトにまとめているので、ニンジンを収穫している過程で、ニンジンの品質ごとに選別ができ、根菜収穫機がニンジンを収穫し終えたときには全てのコンテナ6に選別されたニンジンがそれぞれ搬入し終えた状態になるので、収穫作業能率が高い。
【0054】
また搬送コンベア7が上昇された状態で走行車体2に取り付けられたレール51(点線)上にある置台50を少し後方に移動させ、該置台50上の仕分コンテナ6’に品質に問題のあるB級品ニンジンを搬入できるので、スペース的にも無理がない。
【0055】
さらに、この仕分コンテナ6’は、B級品のニンジンを収容する以外にも、コンテナ台17に載置しているコンテナ6が全てニンジンで満杯である時には品質に問題のないニンジンを投入する予備のコンテナとして使用することができるので、収穫作業が終わる直前にコンテナ台17に載置しているコンテナ6が全て満杯であっても、コンテナ6の積み降ろし作業をすることなく残りのニンジンを収穫して仕分けコンテナ6’に収容することができるので、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、根菜類収穫機として例えばニンジン等の収穫作業に利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施例の根菜類収穫機の左側面図を示す。
【図2】図1の根菜類収穫機の平面図を示す。
【図3】図1の根菜類収穫機の背面図を示す。
【図4】本発明の他の実施例の根菜類収穫機のソイラ部分の要部側面図を示す。
【図5】図1の根菜類収穫機の均しベルトの平面図を示す。
【図6】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の側面図を示す。
【図7】図1の根菜類収穫機の肩揃えベルト部分の要部平面図(図7(a))と、図7(a)のA−A線断面矢視図(図7(b))と、肩揃えベルトの上下方向の両サイドにガイドを設けた構成(図7(c))を示す。
【図8】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の平面図を示す。
【図9】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の平面図を示す。
【図10】図9の根菜類収穫機の重量センサと仕切板の関係を表すブロック図である。
【図11】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の平面図を示す。
【図12】図11の根菜類収穫機の右側面図(図12(a))と背面図(図12(b))を示す。
【図13】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の平面図を示す。
【図14】図13の根菜類収穫機の要部側面図(図14(a))と要部背面図(図14(b))を示す。
【符号の説明】
【0058】
1a,1b クローラ 2 走行車体
3 挟持搬送装置 4 操縦席
5 収穫根菜類処理装置 6 コンテナ
6’ 仕分コンテナ 7 搬送コンベア
8 堀起し刃(ソイラ) 8a 棒状体
8b プレート 8c 掘起こし板
9 接地輪 10 走行ミッション装置
11 駆動スプロケット 12 肩揃えベルト
12a 穴 12b ベルトプーリ
12c ガイド 13 葉茎切断装置
14 排葉ベルト 17 コンテナ台
20 振動器 21a クランクロット
21b 揺動アーム 23 根菜下部切断装置
24 案内杆 26 タッピングベルト
27 座席 28 縦引起し装置
28a 引起しラグ 29 横引起し装置
29a 分草具 30 機体フレーム
31 振分搬送装置 32 仕切板
33 リンクフレーム 34 油圧シリンダ
35 残葉処理装置 36 残葉クリーナベルト
37 残葉ローラ 38 重量センサ
39 ロッド 41 側板
42 排葉シュータ 43 規制ロッド
44 スプリング 45 逆U字状のガード
45a 前ガード支持アーム 45b 後ガード支持アーム
46 押さえ部材 47 モータ
48 シュータ 50 置台
51 レール 53 均しベルト
55 スプリング 56 アーム
57 テンションローラ 58 ブラシローラ
100 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の左右一側に圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置(3)と、該引抜搬送装置(3)から作物を受けて走行車体(2)の左右他側へ作物を選別搬送する選別搬送装置(7)と、走行車体(2)の左右他側に選別搬送装置(7)から作物を受けて収容する収容部材(6)を載置する載置部(17)を設けた根菜類収穫機において、
該選別搬送装置(7)の終端部に選別搬送装置(7)から作物を受けて振分搬送する振分搬送装置(31)
を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
振分搬送装置(31)には少なくとも一つ以上の、作物の排出位置を切替自在な搬出切替用の仕切部材(32)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
選別搬送装置(7)の搬送終端部側を上下動自在に構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−213439(P2009−213439A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62792(P2008−62792)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】