説明

栽培漁業と組み合わされた、風車、水電気分解用の電解槽および他の装置の建設用支持基台としてのブロックで固定された垂直スラスト(推力)を有する水中浮き基盤の建造(方法)

本発明は、プラットフォームの下に配置される釣り合い錘によって安定化される、ブロックで固定された垂直スラストを有する水中浮きプラットフォームの実現にある。プラットフォームの上に、電解槽が中空の収容容器の内側に配置される。プラットフォームの下に、底荷によって満たされ、プラットフォームの外側リングに構造体全体に剛性をもたらすパイプまたはチェーンによって連結される中空の収容容器が存在する。この収容容器に、電解槽によって製造された水素用の貯蔵タンクとして使用される第2の収容容器が取り付けられる。構造体全体は、大洋底にある底部錘に取り付けられる垂直かつ対角線に配置されるチェーンによってしっかりと固定される。水中プラットフォームおよび(安定化のため、かつ上記で説明した材料を収容するために使用される)様々な収容容器を備える構造体は、その頂部に、海面より十分上に、風力タービンを収容するナセルが配置される塔用の支持基台として使用される。海底の構造体底部錘に取り付けられる追加のチェーンは、この構造体を水産養殖施設に、より正確には、ロープを使用して水産養殖に使用される籠を保持する浮きに連結する。この浮きはチェーンによって海底に配置される追加の底部錘に連結され、それによって水産養殖施設全体を大洋底にしっかりと固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風車および電解槽用の水中支持基台として使用されるべき、かつ追加の装置を収容するために水中施設全体を活用できる可能性のある水中浮き基盤建造用の革新的な技術の組み合わせに関し、この構造体全体は、基盤の直ぐ近くに配置され様々なケーブルまたはロープによって永久的に基盤に取り付けられる栽培漁業施設と組み合わされるべきである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
この革新的内容は、この作業を実施するために使用される方法の観点からそれだけで技術的な革新であり、淡水または海水内の波の移動によって悪影響を受ける領域より下の深さのところに水中浮き基盤を作り出すことのみならず、この構造体を水の電気分解および水素の製造および貯蔵用の電解槽、およびこれらの活動を行うのに必要とされる全ての装置と共に収容するのに使用することにも関する。第2の革新は、チェーンおよびパイプの使用によってこの構造体を強固にするために使用される具体的な方法、および底部錘の使用によってこの基盤を安定化させるために使用される具体的な方法に関する。さらに、海底にこの構造体をしっかりと固定するこの具体的方法は、栽培漁業施設の配置および実現を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
本発明は、添付の図面に説明され証拠建てられている以下の要素を備える。
【0004】
この基盤はコンクリートまたは好ましくは鋼で構築される水平な6角形の本体から構成される。
【0005】
基盤の中央には、1つは上側にあり海面に向いており(番号8)、1つは下側にあり大洋底に向いている(番号1)2つの本体が取り付けられる。
【0006】
上側本体は、酸素および水素製造用電解槽を収容する中空の浮揚性のある本体である(番号7)。同じ中空本体内に、電気電解によって製造された酸素を貯蔵するための1つ以上のタンクが配置される。この中空本体は、塔(番号10)の内側へのアクセスを可能にする海面上の作業プラットフォームが取り付けられる塔用の支持基台でもある。
【0007】
この塔の頂部にタービンおよびその補助部品を収容するナセル(番号12)が配置され、このナセルは、ロータ、回転増幅器および発電機(番号11)を収容する。これらの品目は途切れることなく基盤(番号6)上にあり、これらの基盤の主要な目的はタービンおよび電解槽用の支持基台を提供することである。下側本体は第1に、底荷で充満されまたは充填された円筒状または多角形の中空の本体(番号4)から構成され、この本体は基盤の動きを安定化させるための平衡錘として働く。この第1の本体に、必要な場合基盤(番号6)の中空本体と共に、電解槽によって製造された水素の貯蔵用の貯蔵器としても使用されるべき、好ましくは球形状の(または多角形のまたは円筒状の)第2の中空本体(番号13)が恒久的に取り付けられている。
【0008】
この構造体の内側に、ナセルからの電気を伝達するためのケーブルおよび電解槽からの水素を貯蔵容器へ輸送するためのパイプが走り、この主本体から直接陸地にまたは船または他の貯蔵庫および輸送施設などの中間構造体に向けてのいずれかに生産された電気、水素および酸素を輸送するためのケーブルおよびパイプが出て行く。
【0009】
この構造体全体は、接合部ならびに構造体を垂直に上向きに押すアルキメデスの原理に基づく力、および構造体を下向きに引っ張るアンカーチェーン(番号3a)によって生じる反作用の2つの力の組み合わされた作用を介して、外部自然力(風、波、海流、潮流)に耐えるように設計されている。しかしながら、これら2つの力は、タービンの正確な動作のために必要な、基盤の絶対的な安定性を確実にするのに十分ではない。
【0010】
この構造体をより強固にしかつ水平方向への外力にもより良く抵抗できる(かつ転覆を防止する)ように、基盤の下に中央底荷(番号4)を配置するのに加え、別の予防措置が加えられてきている。これらは基盤上に配置され上側浮き中空本体(番号7)の頂部にしっかり留められている(強化セメントも可能であるが)剛性の金属パイプ(番号5)として図面に示されている。パイプと同じように上側部分に取り付けられる、または、基盤の下の下側中空本体(番号4)および水素貯蔵器(番号13)にも取り付けられるチェーンでこれらのパイプを置き換えることは可能である。
【0011】
この構造体全体は、海底(番号1)に配置される底部錘(番号2)にケーブルまたは好ましくはチェーンによって取り付けられる。基盤(番号6)の外側リムに、基盤を海の底のところにある底部錘(番号2)に結びつける主垂直チェーン(番号3a)が取り付けられる。中央底荷(番号4)から対角線上に配置され、やはり底部錘(番号2)に取り付けられる追加のチェーン(番号3b)が出て行き、その機能は構造体のどのような水平移動も相殺し、かつ防止することである。
【0012】
別の革新は、栽培漁業設備用の新規な配置システムによって示される。この設備は最早基盤上に配置されず、その側面に配置される。より正確には、海底(番号1)に配置された主底部錘(番号2)の各々からいくつかのアンカーロープが出て行き、それらはこの底部錘を、その他のアンカーロープ(番号18)を介して海底の別の底部錘(番号19)にそれ自体を結合させているフロート(番号15)に結合させる。このフロートから、魚の餌を籠の内側に供給するために使用される分配器が頂部に配置される籠(番号17)から構成される栽培漁業設備にこのフロートを連結するロープ(番号16)が出て行く。
【0013】
この技術の使用範囲はほとんど無制限である。実際、電気、水素および酸素の製造用のその用途に加えて、それは水産養殖を含む。さらに、この基盤およびその上にある構造体の特徴のお陰で、それは気象ステーションとして、サブステーションとして、またはエネルギー、水素および酸素の貯蔵のための施設として、あるいは外洋での他の活動のためにより一般的に使用することができる。
【0014】
既存の技術は、それ自体でとにかく革新的である、発明のそのような組み合わせを予見していない。
【0015】
実際のところこの水中基盤の建造方法は、それが、この基盤が配置される場所に働く全ての自然力(風、波、海流、任意の予見可能な強度の潮流)の衝撃に対しても耐えかつ自動的に補償することができる安定した構造体を作り出すので、全く革新的である。
【0016】
また、水素および酸素を生産し貯蔵する施設を収容するためにこの構造体を使用することは非常に革新的である。さらに、生産され貯蔵された酸素を栽培漁業施設内の水に酸素を送り込むために使用すること、および基盤上の中空本体(番号7)の内側に配置され、電気分解によって前に作り出された酸素および水素を再結合させて電気を作り出すことができる燃料電池を使用して電気エネルギーを製造することも可能である。
【0017】
栽培漁業施設の革新的内容は様々な要素を含む。第1に、建造方法が本発明によって大きく変更される。第2に、この施設がその主要な、しっかりと固定する支持体として水中浮き基盤を使用することはより大きな安定性をもたらし、開水面および深海での任意の種類の魚の養殖を可能にする。
【0018】
第3に、説明した施設は魚の給餌および水の酸素発生に関して完全に自動化されている。
【0019】
この革新的な建造物の主要な技術的態様は、単一の構造体を作り出すよう組み合わされているけれども、各々がそれ自体で革新的かつ自立した方法論を反映しており、とりわけ組み合わせて使用される場合、結果として経済的な利点およびより低いコストを有する単一の施設を作り出すことになる。
【0020】
そのような組み合わされた施設によって、単一構造体の使用がタービン(電力)、電解槽(水素)および水産養殖(海産食品)からの少なくとも3つの収入の流れを生じさせることを可能にする。限られた量の空間が、全体的に環境を顧慮しながら、かなりの金銭的利益を発生させるのに使用されることも革新的である。
【0021】
このプロジェクトの実施における様々な局面を、場所の地形を考慮に入れて、異なる時期に実施し、かつ変更および変形を受けさせることができる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックで固定された垂直スラストを有する水中浮き基盤をより強固かつ安定にするために、好ましくは前記基盤の上側部分に、ただし場合によって前記基盤の上側および下側部分の両方にチェーンまたはパイプを配置することを特徴とする方法。
【請求項2】
ブロックで固定された垂直スラストを有する水中浮き基盤を、起こりうる水平移動を停止させかつ無効にさせ、その結果さらなる安定性をもたらすことができるように、海底上に配置される底部錘に対角線に配置される鋼チェーンを使用して取り付けることを特徴とする方法。
【請求項3】
ブロックで固定された垂直スラストを有する水中浮き基盤の下に釣り合い錘を配置し、それによって構造体全体の重心をその回転中心より下に移動させ、それによってさもなければ前記構造体の回転および転覆を生じさせる可能性のある、起こりうる外力を避けかつ無効にさせることを特徴とする方法。
【請求項4】
水中浮き基盤の上かつ前記基盤に固定して、円筒または浮きタンクの建設および配置を行うことを特徴とする方法。
【請求項5】
上記指名された浮きタンクを電解槽用の収容容器として使用することを特徴とする方法。
【請求項6】
上記請求項3で説明した釣り合い錘に結びつけられ、かつ前記電解槽によって製造された水素の貯蔵用に使用される貯蔵器を、前記基盤の下に据付けかつ配置することを特徴とする方法。
【請求項7】
海底より下の砂の中に埋められ、かつ粗石および砂によって満たされた水中中空本体に基盤を垂直かつ対角線で連結する適切な鋼ケーブルまたはチェーンを使用して、前記基盤をしっかりと固定することを特徴とする方法。
【請求項8】
様々な種類の魚を養殖するための籠から作られ、海面上の浮きにロープまたはチェーンで固定された、栽培漁業用の水中浮き施設を作り出すことを特徴とする方法。
【請求項9】
引っ張り可能なロープまたはチェーンを使用して前記水中籠を浮きに取り付けることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記浮きを海底の底部錘にロープでしっかりと固定することを特徴とする方法。
【請求項11】
全体的にまたは部分的に水中にある単一の多目的設備を作り出すことができるように、水中浮き基盤を定位置に保持する底部錘に前記浮きを連結させることを特徴とする方法。
【請求項12】
革新的な技術、設計および建造方法を使用して、風力タービンを保持する塔用の支持基台として使用されるブロックで固定された垂直スラストを有する水中浮き基盤を、前記基盤上に配置される水素の製造用の施設、および前記基盤の下に配置される水素貯蔵用の施設と組み合わせ、さらに前記基盤および構造体全体を海底にしっかりと固定し、かつ栽培漁業用に使用される籠をロープまたはチェーンを使用して保持する浮きを取り付けるために前記底部錘の使用と組み合わせることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−516113(P2008−516113A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535262(P2007−535262)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002950
【国際公開番号】WO2006/038091
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(505227984)エナーテック アーゲー (2)
【出願人】(507115045)
【Fターム(参考)】