桟橋と船舶間の連絡橋
【課題】係留中の船舶の異常離桟、前・後進動、揺動等に当たり、船舶の甲板に設置された連絡橋の固定台を破損するおそれがなく、また、連絡橋の異常旋回、異常傾斜に際して手摺りに隙間が生じて人が落下する危険が生ずるおそれがなく安全な桟橋と船舶間の連絡橋を提供することを課題とする。
【解決手段】人の乗降のために桟橋と船舶との間に渡される連絡橋であって、その一端は、桟橋に立設される架台3の中間部に設置されるターンテーブル7上において、水平方向並びに垂直方向に回動可能に軸支させ、その他端は、船舶係留時において船舶の甲板上の固定台に連結可能にし、連絡橋の底部と枢体間に起伏駆動用シリンダー10を配設して成る。
【解決手段】人の乗降のために桟橋と船舶との間に渡される連絡橋であって、その一端は、桟橋に立設される架台3の中間部に設置されるターンテーブル7上において、水平方向並びに垂直方向に回動可能に軸支させ、その他端は、船舶係留時において船舶の甲板上の固定台に連結可能にし、連絡橋の底部と枢体間に起伏駆動用シリンダー10を配設して成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接岸した船舶の甲板と岸壁との間に架橋する連絡橋であって、特に作業者の安全面を配慮した桟橋と船舶間の連絡橋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の乗降のために、接岸した船舶の甲板と岸壁との間に渡される連絡橋は、一般に、ワイヤーで吊持し、そのワイヤーを油圧ウインチで巻取り又は巻出すことでその起伏作動を行なっている。
【0003】
図9はその構成例を示すもので、連絡橋50はその一端部が桟橋58に立設された架台51に軸支され、他端部が船舶52の固定台53に係止される。そして、架台51の上端部に配置されたプーリ54と、連絡橋50の中間部に配置されたプーリ55との間にワイヤー56が掛け回され、これをウインチ57で巻取り又は巻出すことによって連絡橋50を起伏させる。
【0004】
この従来の連絡橋50の場合、係留船舶52が桟橋を異常に離れたときや水平方向及び上下方向に揺動したとき、あるいは、誤って前進又は後進したときに、船舶52の甲板に設置されて連絡橋50の先端部を係止している固定台53が破損するおそれがあった。固定台53が破損した場合には、連絡橋50はその先端部の支持手段を失って下方に回動しようとするが、その動きをワイヤー56が受け止めることになる。
【0005】
然るにその際、ワイヤー56が緊張状態にないと、ワイヤー56は、急激に緊張することにより、過剰な衝撃を受けて切損する危険がある。特に従来のワイヤー56は、鋼線を36本撚ったものを更に6本撚る等したものが用いられており、これは素線が細くて海上での塩害に弱く、数年で交換する必要があるものであるので、切損しやすい。
【0006】
上記理由からワイヤー56は、常時緊張させておく必要があったが、ワイヤー56を常時緊張させて連絡橋50を支持させておくと、干潮時に船舶52が下がった際、これに追従して連絡橋50が下がらないために、人の通行が不能となる。
【0007】
従って、連絡橋50の使用時には、常時ウインチ57を運転して、ワイヤー56が弛んだときにはその弛みを取るためにワイヤー56を巻き取り、緊張時には、連絡橋50を船舶52の動きに追従させるためにワイヤー56を繰り出す、という操作を行なう必要があった。しかも、ワイヤー56の交換作業は、海上での高所作業という、人命に関わる危険な作業となり、また、足場の仮設といった、労力的並びに経済的に大きな負担のかかる作業となる。
【0008】
また、桟橋に立設される架台には、タワータイプ、コラムタイプを問わず、中程にステージ60が配置され、このステージ60の一部がターンテーブル61となっている。連絡橋50は、その一端がターンテーブル61において軸支される。ステージ60及びターンテーブル61の周囲には、人の通行部分を除き、人の落下を防止するための手摺り62、63が設置される(図10〜12参照)。
【0009】
しかるに、ターンテーブル61を介して連絡橋50が水平方向にある程度以上旋回すると、ステージ60の手摺り62とターンテーブル61の手摺り63との間に隙間64ができ、人がその隙間64から落下する危険が生じる(図10、11参照)。そこで従来は、ステージ60に対して抜き挿し可能な補助手摺り66を用い、これをその都度抜き挿しして隙間64を塞いでいたが(図12参照)、その補助手摺り66の取り付け作業は、高所において強風下でなされることが多く、煩わしいだけでなく、危険を伴うものであった。
【0010】
また、停泊中の船舶は、潮の満ち引きに応じて上下動するが、特に、干潮で船荷が満載の時にはかなり下がるため、連絡橋50がかなり下方に傾く。その結果、連絡橋50の手摺り67とターンテーブル61の手摺り63との間が拡がり、隙間65ができて危険な状態となるが(図13参照)、従来は、このような事態に対する対策は何ら講じられていない。
【0011】
【特許文献1】特許第3718460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、従来のワイヤーによる連絡橋の支持方法、並びに、ステージ及びターンテーブルの構成には多くの問題があったので、本発明はそのような問題のない、即ち、係留中の船舶の異常離桟、前・後進動、揺動等に当たり、船舶の甲板に設置された連絡橋の固定台を破損するおそれがなく、また、連絡橋の異常旋回、異常傾斜に際し、連絡橋、ステージ及びターンテーブルの各手摺り間に、隙間が生じて人が落下する危険が生ずるおそれがなくて安全な桟橋と船舶間の連絡橋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、人の乗降のために桟橋と船舶との間に渡される伸縮駆動可能な連絡橋であって、前記連絡橋は、その一端が桟橋に立設される架台の中間部のステージに設置されるターンテーブルにおいて軸支されて、上下方向に枢動可能にされると共に、ターンテーブルと一体となって水平方向に旋回可能にされ、前記連絡橋の他端は、船舶係留時において前記船舶の甲板上の固定台に連結可能にされ、前記連絡橋は、その底部と前記ターンテーブルの旋回ポストとの間に配設された起伏シリンダーの作用で起伏駆動され、前記連絡橋は、前記伸縮駆動のための手段と前記起伏シリンダーによる作用から解放可能にされ、前記解放時において、前記係留中の船舶の動きに追従して長さ方向に伸縮自在となり、且つ、上下方向及び水平方向に移動自在となることを特徴とする桟橋と船舶間の連絡橋である。
【0014】
好ましくは、前記ステージ及び前記ターンテーブルの周囲には、人の通行部分を除いて手摺りが設置され、前記ターンテーブルの手摺りは、連絡橋が水平方向旋回端にあるときに、前記ステージの手摺りの端部に対し、人が通り抜けることができない間隔に近接するように延設され、また、前記ターンテーブルの手摺りは、前記ターンテーブルの連絡橋側延出部の両側から前記連絡橋の両側の手摺りの外側に交錯するまで延長され、その先端部は更に斜め下方に延長される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述したとおりであって、本発明によれば、連絡橋は、伸縮駆動のための手段と起伏シリンダーによる起伏作用から解放可能であって、前記解放時において、前記係留中の船舶の動きに追従して長さ方向に伸縮自在となり、且つ、上下方向及び水平方向に移動自在となるので、係留中の船舶の異常離桟、前・後進動、揺動等に当たり、船舶の甲板に設置された連絡橋の固定台を破損するおそれがなく、また、連絡橋の異常旋回、異常傾斜に際し、連絡橋、ステージ及びターンテーブルの各手摺り間に、隙間が生じて人が落下する危険が生ずるおそれがなくて安全という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図面に依拠して説明する。図1は本発明に係る連絡橋1の全体構成例を示すもので、連絡橋1は、その一端が、桟橋2に立設される架台3の中間部のステージ4上に付設されるターンテーブル7において軸支され、上下方向に枢動可能になると共に、ターンテーブル7と一体となって水平方向に旋回可能となる。そして、その他端は、船舶の係留時において、LNGタンカーのような甲板の狭い船舶14の甲板上に設置される固定台15に係止される。連絡橋1は、その底部とターンテーブルの旋回ポスト6との間に渡された起伏シリンダー10の作用で起伏駆動される。
【0017】
より詳細には、架台3の中間部に配置されるステージ4の一部がターンテーブル7とされ、ターンテーブル7は、旋回ポスト6上に固定されて旋回自在にされる。ターンテーブル7は、旋回ポスト6がモータ8により(図3参照)、あるいは、シリンダー9により(図4参照)それぞれ回転駆動されることによって、旋回駆動される。ターンテーブル7の延出部7aには、軸支部11が設置され、そこにおいて連絡橋1の端部が軸支され、以て連絡橋1が上下方向に回動(起伏)可能となる。
【0018】
連絡橋1の起伏駆動は、油圧、水圧又は空圧式の起伏シリンダー10により行なわれる(図1、4参照)。即ち、旋回ポスト6の側部に枢支ブラケット12が設置され、これに起伏シリンダー10の一端が枢着される。また、起伏シリンダー10のロッド端は、連絡橋1の底面に設けた枢支ブラケット12aによって枢支される。
【0019】
かくして連絡橋1は、起伏シリンダー10の伸縮動作に伴ってその底面を押され又は引かれる結果、軸支部11に軸支されて起伏動作をする(図1、2参照)。この起伏シリンダー10を、その駆動源を遮断してフリーの状態にしておくことにより、連絡橋1は、船舶の上下動に追従して上下方向に枢動自在となる。
【0020】
連絡橋1の伸縮動作は、例えば、油圧、水圧又は空圧式の伸縮シリンダー16に駆動されて行なわれる。即ち、連絡橋1は、ターンテーブル7に軸支される固定橋1aと、固定橋1aの内側に摺動可能に収められる移動橋1bとから構成される(図3、5参照)。そして、移動橋1bの外側面に、固定橋1aの内側面に沿って延びるレール17に係合して転動するホイールセット18が取り付けられ、また、伸縮シリンダー16のロッド16aの先端が固定橋1aの底面に取り付けられると共に、伸縮シリンダー16の本体後端が移動橋1bの底面に取り付けられる。逆に、伸縮シリンダー16のロッド16aの先端を移動橋1bの底面に取り付け、伸縮シリンダー16の本体後端を固定橋1aの底面に取り付けることとしてもよい。
【0021】
この構成において、伸縮シリンダー16に伸動作をさせると、ロッド16aの先端が、ターンテーブル7に取り付けられていて長さ方向に移動しない固定橋1aの側に固定されているため、移動橋1bに取り付けられている本体側の方が移動することになり、移動橋1bが固定橋1aから離れるように移動する。即ち、連絡橋1が伸びる。逆に、伸縮シリンダー16に縮動作をさせると、連絡橋1は縮まることになる。そして、伸縮シリンダー16に対する駆動源の供給を止めてフリーの状態にしておくと、連絡橋1は、船舶の前進、後退に伴って移動橋1bにかかる引き押しの力に応じて、自在に伸縮する。
【0022】
連絡橋1を伸縮させるための機構は、上記の他、固定橋1aの側面に設置したモータ20の作用で、固定橋1a側のスプロケットと移動橋1b側のスプロケットとの間に掛け回した伸縮チェーンホイール21を、伸縮駆動させることによって行なうこともできる(図2参照)。この場合も、伸縮チェーンホイール21をモータ20の作用から解放しておけば、連絡橋1は自在に伸縮することになる。
【0023】
本発明に係る連絡橋1のステージ4及びターンテーブル7の周囲には、人の通行部分を除いて手摺り23〜26が設置されるが、ターンテーブル7の手摺り23、24は、それぞれ連絡橋1が水平方向旋回端にあるときに、ステージ4の手摺り25、26の端部と、人が通り抜けることができない間隔に近接するように延設される(図7、8参照)。その結果、ターンテーブル7の手摺り23、24の先端部の間隔は、ステージ4の手摺り25、26のターンテーブル側出入口の端部の間隔よりも狭いものとなる(図7、8参照)。
【0024】
更に、手摺り23、24は、ターンテーブル7の連絡橋1側延出部7aの両側から、連絡橋1の両側の手摺り27、28の外側に交錯するまで延長され、その先端部は更に斜め下方に延長される。その結果、手摺り23、24の連絡橋側端部は、連絡橋1が最も下方に旋回した位置にあるときに、連絡橋1の手摺り27、28との間に、人が通り抜けることができる隙間を生じさせることがないので、安全である。
【0025】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る連絡橋の一実施形態の全体構成図である。
【図2】本発明に係る連絡橋の一実施形態の要部構成図である。
【図3】本発明に係る連絡橋の水平方向旋回駆動例を示す図である。
【図4】本発明に係る連絡橋の他の水平方向旋回駆動例を示す図である。
【図5】本発明に係る連絡橋の一実施形態の要部構成図である。
【図6】本発明に係る連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの構成を示す図である。
【図7】本発明に係る連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの構成を示す図である。
【図8】本発明に係る連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの構成を示す図である。
【図9】従来の連絡橋の一例の全体構成図である。
【図10】従来の連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの危険性を示す図である。
【図11】従来の連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの危険性を示す図である。
【図12】従来の連絡橋のターンテーブルに対して抜き差しする補助手摺りの構成を示す図である。
【図13】従来の連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの危険性を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 連絡橋
1a 固定橋
1b 移動橋
2 桟橋
3 架台
4 ステージ
6 旋回ポスト
7 ターンテーブル
7a 延出部
8 モータ
9 シリンダー
10 起伏シリンダー
11 軸支ブラケット
12 枢支ブラケット
14 船舶
15 固定台
16 伸縮シリンダー
16a ロッド
17 レール
18 ホイールセット
20 モータ
21 伸縮チェーンホイール
23〜28 手摺り
【技術分野】
【0001】
本発明は、接岸した船舶の甲板と岸壁との間に架橋する連絡橋であって、特に作業者の安全面を配慮した桟橋と船舶間の連絡橋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の乗降のために、接岸した船舶の甲板と岸壁との間に渡される連絡橋は、一般に、ワイヤーで吊持し、そのワイヤーを油圧ウインチで巻取り又は巻出すことでその起伏作動を行なっている。
【0003】
図9はその構成例を示すもので、連絡橋50はその一端部が桟橋58に立設された架台51に軸支され、他端部が船舶52の固定台53に係止される。そして、架台51の上端部に配置されたプーリ54と、連絡橋50の中間部に配置されたプーリ55との間にワイヤー56が掛け回され、これをウインチ57で巻取り又は巻出すことによって連絡橋50を起伏させる。
【0004】
この従来の連絡橋50の場合、係留船舶52が桟橋を異常に離れたときや水平方向及び上下方向に揺動したとき、あるいは、誤って前進又は後進したときに、船舶52の甲板に設置されて連絡橋50の先端部を係止している固定台53が破損するおそれがあった。固定台53が破損した場合には、連絡橋50はその先端部の支持手段を失って下方に回動しようとするが、その動きをワイヤー56が受け止めることになる。
【0005】
然るにその際、ワイヤー56が緊張状態にないと、ワイヤー56は、急激に緊張することにより、過剰な衝撃を受けて切損する危険がある。特に従来のワイヤー56は、鋼線を36本撚ったものを更に6本撚る等したものが用いられており、これは素線が細くて海上での塩害に弱く、数年で交換する必要があるものであるので、切損しやすい。
【0006】
上記理由からワイヤー56は、常時緊張させておく必要があったが、ワイヤー56を常時緊張させて連絡橋50を支持させておくと、干潮時に船舶52が下がった際、これに追従して連絡橋50が下がらないために、人の通行が不能となる。
【0007】
従って、連絡橋50の使用時には、常時ウインチ57を運転して、ワイヤー56が弛んだときにはその弛みを取るためにワイヤー56を巻き取り、緊張時には、連絡橋50を船舶52の動きに追従させるためにワイヤー56を繰り出す、という操作を行なう必要があった。しかも、ワイヤー56の交換作業は、海上での高所作業という、人命に関わる危険な作業となり、また、足場の仮設といった、労力的並びに経済的に大きな負担のかかる作業となる。
【0008】
また、桟橋に立設される架台には、タワータイプ、コラムタイプを問わず、中程にステージ60が配置され、このステージ60の一部がターンテーブル61となっている。連絡橋50は、その一端がターンテーブル61において軸支される。ステージ60及びターンテーブル61の周囲には、人の通行部分を除き、人の落下を防止するための手摺り62、63が設置される(図10〜12参照)。
【0009】
しかるに、ターンテーブル61を介して連絡橋50が水平方向にある程度以上旋回すると、ステージ60の手摺り62とターンテーブル61の手摺り63との間に隙間64ができ、人がその隙間64から落下する危険が生じる(図10、11参照)。そこで従来は、ステージ60に対して抜き挿し可能な補助手摺り66を用い、これをその都度抜き挿しして隙間64を塞いでいたが(図12参照)、その補助手摺り66の取り付け作業は、高所において強風下でなされることが多く、煩わしいだけでなく、危険を伴うものであった。
【0010】
また、停泊中の船舶は、潮の満ち引きに応じて上下動するが、特に、干潮で船荷が満載の時にはかなり下がるため、連絡橋50がかなり下方に傾く。その結果、連絡橋50の手摺り67とターンテーブル61の手摺り63との間が拡がり、隙間65ができて危険な状態となるが(図13参照)、従来は、このような事態に対する対策は何ら講じられていない。
【0011】
【特許文献1】特許第3718460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、従来のワイヤーによる連絡橋の支持方法、並びに、ステージ及びターンテーブルの構成には多くの問題があったので、本発明はそのような問題のない、即ち、係留中の船舶の異常離桟、前・後進動、揺動等に当たり、船舶の甲板に設置された連絡橋の固定台を破損するおそれがなく、また、連絡橋の異常旋回、異常傾斜に際し、連絡橋、ステージ及びターンテーブルの各手摺り間に、隙間が生じて人が落下する危険が生ずるおそれがなくて安全な桟橋と船舶間の連絡橋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、人の乗降のために桟橋と船舶との間に渡される伸縮駆動可能な連絡橋であって、前記連絡橋は、その一端が桟橋に立設される架台の中間部のステージに設置されるターンテーブルにおいて軸支されて、上下方向に枢動可能にされると共に、ターンテーブルと一体となって水平方向に旋回可能にされ、前記連絡橋の他端は、船舶係留時において前記船舶の甲板上の固定台に連結可能にされ、前記連絡橋は、その底部と前記ターンテーブルの旋回ポストとの間に配設された起伏シリンダーの作用で起伏駆動され、前記連絡橋は、前記伸縮駆動のための手段と前記起伏シリンダーによる作用から解放可能にされ、前記解放時において、前記係留中の船舶の動きに追従して長さ方向に伸縮自在となり、且つ、上下方向及び水平方向に移動自在となることを特徴とする桟橋と船舶間の連絡橋である。
【0014】
好ましくは、前記ステージ及び前記ターンテーブルの周囲には、人の通行部分を除いて手摺りが設置され、前記ターンテーブルの手摺りは、連絡橋が水平方向旋回端にあるときに、前記ステージの手摺りの端部に対し、人が通り抜けることができない間隔に近接するように延設され、また、前記ターンテーブルの手摺りは、前記ターンテーブルの連絡橋側延出部の両側から前記連絡橋の両側の手摺りの外側に交錯するまで延長され、その先端部は更に斜め下方に延長される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述したとおりであって、本発明によれば、連絡橋は、伸縮駆動のための手段と起伏シリンダーによる起伏作用から解放可能であって、前記解放時において、前記係留中の船舶の動きに追従して長さ方向に伸縮自在となり、且つ、上下方向及び水平方向に移動自在となるので、係留中の船舶の異常離桟、前・後進動、揺動等に当たり、船舶の甲板に設置された連絡橋の固定台を破損するおそれがなく、また、連絡橋の異常旋回、異常傾斜に際し、連絡橋、ステージ及びターンテーブルの各手摺り間に、隙間が生じて人が落下する危険が生ずるおそれがなくて安全という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図面に依拠して説明する。図1は本発明に係る連絡橋1の全体構成例を示すもので、連絡橋1は、その一端が、桟橋2に立設される架台3の中間部のステージ4上に付設されるターンテーブル7において軸支され、上下方向に枢動可能になると共に、ターンテーブル7と一体となって水平方向に旋回可能となる。そして、その他端は、船舶の係留時において、LNGタンカーのような甲板の狭い船舶14の甲板上に設置される固定台15に係止される。連絡橋1は、その底部とターンテーブルの旋回ポスト6との間に渡された起伏シリンダー10の作用で起伏駆動される。
【0017】
より詳細には、架台3の中間部に配置されるステージ4の一部がターンテーブル7とされ、ターンテーブル7は、旋回ポスト6上に固定されて旋回自在にされる。ターンテーブル7は、旋回ポスト6がモータ8により(図3参照)、あるいは、シリンダー9により(図4参照)それぞれ回転駆動されることによって、旋回駆動される。ターンテーブル7の延出部7aには、軸支部11が設置され、そこにおいて連絡橋1の端部が軸支され、以て連絡橋1が上下方向に回動(起伏)可能となる。
【0018】
連絡橋1の起伏駆動は、油圧、水圧又は空圧式の起伏シリンダー10により行なわれる(図1、4参照)。即ち、旋回ポスト6の側部に枢支ブラケット12が設置され、これに起伏シリンダー10の一端が枢着される。また、起伏シリンダー10のロッド端は、連絡橋1の底面に設けた枢支ブラケット12aによって枢支される。
【0019】
かくして連絡橋1は、起伏シリンダー10の伸縮動作に伴ってその底面を押され又は引かれる結果、軸支部11に軸支されて起伏動作をする(図1、2参照)。この起伏シリンダー10を、その駆動源を遮断してフリーの状態にしておくことにより、連絡橋1は、船舶の上下動に追従して上下方向に枢動自在となる。
【0020】
連絡橋1の伸縮動作は、例えば、油圧、水圧又は空圧式の伸縮シリンダー16に駆動されて行なわれる。即ち、連絡橋1は、ターンテーブル7に軸支される固定橋1aと、固定橋1aの内側に摺動可能に収められる移動橋1bとから構成される(図3、5参照)。そして、移動橋1bの外側面に、固定橋1aの内側面に沿って延びるレール17に係合して転動するホイールセット18が取り付けられ、また、伸縮シリンダー16のロッド16aの先端が固定橋1aの底面に取り付けられると共に、伸縮シリンダー16の本体後端が移動橋1bの底面に取り付けられる。逆に、伸縮シリンダー16のロッド16aの先端を移動橋1bの底面に取り付け、伸縮シリンダー16の本体後端を固定橋1aの底面に取り付けることとしてもよい。
【0021】
この構成において、伸縮シリンダー16に伸動作をさせると、ロッド16aの先端が、ターンテーブル7に取り付けられていて長さ方向に移動しない固定橋1aの側に固定されているため、移動橋1bに取り付けられている本体側の方が移動することになり、移動橋1bが固定橋1aから離れるように移動する。即ち、連絡橋1が伸びる。逆に、伸縮シリンダー16に縮動作をさせると、連絡橋1は縮まることになる。そして、伸縮シリンダー16に対する駆動源の供給を止めてフリーの状態にしておくと、連絡橋1は、船舶の前進、後退に伴って移動橋1bにかかる引き押しの力に応じて、自在に伸縮する。
【0022】
連絡橋1を伸縮させるための機構は、上記の他、固定橋1aの側面に設置したモータ20の作用で、固定橋1a側のスプロケットと移動橋1b側のスプロケットとの間に掛け回した伸縮チェーンホイール21を、伸縮駆動させることによって行なうこともできる(図2参照)。この場合も、伸縮チェーンホイール21をモータ20の作用から解放しておけば、連絡橋1は自在に伸縮することになる。
【0023】
本発明に係る連絡橋1のステージ4及びターンテーブル7の周囲には、人の通行部分を除いて手摺り23〜26が設置されるが、ターンテーブル7の手摺り23、24は、それぞれ連絡橋1が水平方向旋回端にあるときに、ステージ4の手摺り25、26の端部と、人が通り抜けることができない間隔に近接するように延設される(図7、8参照)。その結果、ターンテーブル7の手摺り23、24の先端部の間隔は、ステージ4の手摺り25、26のターンテーブル側出入口の端部の間隔よりも狭いものとなる(図7、8参照)。
【0024】
更に、手摺り23、24は、ターンテーブル7の連絡橋1側延出部7aの両側から、連絡橋1の両側の手摺り27、28の外側に交錯するまで延長され、その先端部は更に斜め下方に延長される。その結果、手摺り23、24の連絡橋側端部は、連絡橋1が最も下方に旋回した位置にあるときに、連絡橋1の手摺り27、28との間に、人が通り抜けることができる隙間を生じさせることがないので、安全である。
【0025】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る連絡橋の一実施形態の全体構成図である。
【図2】本発明に係る連絡橋の一実施形態の要部構成図である。
【図3】本発明に係る連絡橋の水平方向旋回駆動例を示す図である。
【図4】本発明に係る連絡橋の他の水平方向旋回駆動例を示す図である。
【図5】本発明に係る連絡橋の一実施形態の要部構成図である。
【図6】本発明に係る連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの構成を示す図である。
【図7】本発明に係る連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの構成を示す図である。
【図8】本発明に係る連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの構成を示す図である。
【図9】従来の連絡橋の一例の全体構成図である。
【図10】従来の連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの危険性を示す図である。
【図11】従来の連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの危険性を示す図である。
【図12】従来の連絡橋のターンテーブルに対して抜き差しする補助手摺りの構成を示す図である。
【図13】従来の連絡橋のステージ及びターンテーブルの手摺りの危険性を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 連絡橋
1a 固定橋
1b 移動橋
2 桟橋
3 架台
4 ステージ
6 旋回ポスト
7 ターンテーブル
7a 延出部
8 モータ
9 シリンダー
10 起伏シリンダー
11 軸支ブラケット
12 枢支ブラケット
14 船舶
15 固定台
16 伸縮シリンダー
16a ロッド
17 レール
18 ホイールセット
20 モータ
21 伸縮チェーンホイール
23〜28 手摺り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の乗降のために桟橋と船舶との間に渡される伸縮駆動可能な連絡橋であって、前記連絡橋は、その一端が桟橋に立設される架台の中間部のステージに設置されるターンテーブルにおいて軸支されて、上下方向に枢動可能にされると共に、ターンテーブルと一体となって水平方向に旋回可能にされ、前記連絡橋の他端は、船舶係留時において前記船舶の甲板上の固定台に連結可能にされ、
前記連絡橋は、その底部と前記ターンテーブルの旋回ポストとの間に配設された起伏シリンダーの作用で起伏駆動され、
前記連絡橋は、前記伸縮駆動のための手段と前記起伏シリンダーによる作用から解放可能にされ、前記解放時において、前記係留中の船舶の動きに追従して長さ方向に伸縮自在となり、且つ、上下方向及び水平方向に移動自在となることを特徴とする桟橋と船舶間の連絡橋。
【請求項2】
前記ステージ及び前記ターンテーブルの周囲には、人の通行部分を除いて手摺りが設置され、前記ターンテーブルの手摺りは、連絡橋が水平方向旋回端にあるときに、前記ステージの手摺りの端部に対し、人が通り抜けることができない間隔に近接するように延設され、また、前記ターンテーブルの手摺りは、前記ターンテーブルの連絡橋側延出部の両側から前記連絡橋の両側の手摺りの外側に交錯するまで延長され、その先端部は更に斜め下方に延長される、請求項1に記載の桟橋と船舶間の連絡橋。
【請求項1】
人の乗降のために桟橋と船舶との間に渡される伸縮駆動可能な連絡橋であって、前記連絡橋は、その一端が桟橋に立設される架台の中間部のステージに設置されるターンテーブルにおいて軸支されて、上下方向に枢動可能にされると共に、ターンテーブルと一体となって水平方向に旋回可能にされ、前記連絡橋の他端は、船舶係留時において前記船舶の甲板上の固定台に連結可能にされ、
前記連絡橋は、その底部と前記ターンテーブルの旋回ポストとの間に配設された起伏シリンダーの作用で起伏駆動され、
前記連絡橋は、前記伸縮駆動のための手段と前記起伏シリンダーによる作用から解放可能にされ、前記解放時において、前記係留中の船舶の動きに追従して長さ方向に伸縮自在となり、且つ、上下方向及び水平方向に移動自在となることを特徴とする桟橋と船舶間の連絡橋。
【請求項2】
前記ステージ及び前記ターンテーブルの周囲には、人の通行部分を除いて手摺りが設置され、前記ターンテーブルの手摺りは、連絡橋が水平方向旋回端にあるときに、前記ステージの手摺りの端部に対し、人が通り抜けることができない間隔に近接するように延設され、また、前記ターンテーブルの手摺りは、前記ターンテーブルの連絡橋側延出部の両側から前記連絡橋の両側の手摺りの外側に交錯するまで延長され、その先端部は更に斜め下方に延長される、請求項1に記載の桟橋と船舶間の連絡橋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−281065(P2009−281065A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134722(P2008−134722)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(301026387)株式会社リバーコーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(301026387)株式会社リバーコーポレーション (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]