説明

梱包材、これにより梱包された梱包体

【課題】被梱包物に突出部が形成されている場合であっても、被梱包物の積載効率を向上させ、これにより被梱包物の搬送コストを抑えることができる梱包材を提供する。
【解決手段】梱包材10は、一端部に突出部p2が形成された被梱包物P1を、収納する第1および第2収納凹部22,32が形成された下側収納トレイ20および上側収納トレイ30を備えている。梱包材10は、これらの収納トレイを段積みすることにより、複数の被梱包物P1を梱包する。下側収納トレイ20には、突出部p2が梱包材10の一方側において上側を向くように、被梱包物P1が収納される第1の収納凹部22が形成されている。上側収納トレイ30には、突出部p2が梱包材10の他方側において下側を向くように、被梱包物P1が収納される第2の収納凹部32が形成されており、第2の収納凹部32には、上側収納トレイ30に収納された被梱包物P1の突出部p2が貫挿される貫通口34が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品等の被梱包物を梱包するための梱包材に係り、特に、突出した部分を有した被梱包物を梱包するのに好適な梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業機械の部品または車両部品などの被梱包物は、梱包材によって梱包されて搬送される。梱包材には、被梱包物の形状に応じて被梱包物を収納するための収納凹部が形成されている。このような梱包材の収納凹部に複数の被梱包物が収納された状態で梱包体とされて、搬送される。
【0003】
例えば、長尺状の被梱包物を複数個、梱包する際には、梱包材に、これらの被梱包物を並べて収納するための収納凹部が形成されている(例えば、特許文献1参照)。このような収納凹部が形成された梱包材を用いることにより、複数の被梱包物を並置して収納凹部に収納し、これらを段積みして梱包体として、一度に複数の被梱包物を搬送することができる。
【0004】
また、電池など一部が突出した部分が形成された被梱包物を複数個、梱包する際には、この突出した部分に嵌合するための嵌合孔を有した収納凹部が形成されている(例えば、特許文献2参照)。このような収納凹部が形成された梱包材を用いることにより、被梱包物の突出した部分(突出部)を嵌合孔に嵌合させて、被梱包物を収納凹部に収納し、これらを段積みして梱包体とすることができる。また、上述した特許文献2では、この嵌合孔は、嵌合孔に嵌合した電池の電極を保護するために、電極が嵌合孔から飛び出さない程度の深さとなっており、嵌合孔の底部には電池の性能を検査等するための開口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−227310号公報
【特許文献2】特開2000−173567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す被梱包物の場合、被梱包物の形状は、長尺状(ロール状)のシンプルな形状であるので、これらを近接させて収納凹部に収納することができるが、たとえば、このような部材(基材部)に突出した部分(突出部)が形成されている場合(材部の厚みに対して、突出部の突出長さが長い場合)には、特許文献1の如く、被梱包物を近接して配置することは容易ではない。
【0007】
そこで、例えば、特許文献2に示す梱包材のように、突出部に対して収納凹部に嵌合孔を設けることも考えられる。しかしながら、このような孔は、深絞り加工により形成されているため、特に突出部の突出長さが長い場合には、この突出長さに応じた深絞り加工により嵌合凹部を形成することは、容易ではない。
【0008】
このような結果、突出部が形成された被梱包物を梱包材に収納して搬送する場合、被梱包物の積載効率を向上させることは容易でなく、被梱包物の搬送コスト(物流コスト)が増大する傾向にある。
【0009】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被梱包物に突出部が形成されている場合であっても、被梱包物の積載効率を向上させ、これにより被梱包物の搬送コストを抑えることができる梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決すべく、発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、突出部が形成された被梱包物を収納する際には、この突出部を覆うように収納凹部を設けるのではなく、この突出部を貫挿させる貫通口を設ければ、突出部の突出長さに応じた深絞り加工を行う必要がなく、突出部が形成された被梱包物であっても、これらをより密に配置することができ、被梱包物の積載効率を向上することができるとの新たな知見を得た。
【0011】
本発明は、発明者らのこのような知見に基づくものであり、本発明に係る梱包材は、一端部に突出部が形成された被梱包物を、収納する収納凹部が形成された上側および下側収納トレイを備え、該上側および下側収納トレイを段積みすることにより、複数の被梱包物を梱包する梱包材であって、前記下側収納トレイには、前記突出部が前記梱包材の一方側において上側を向くように、前記被梱包物が収納される前記収納凹部として第1の収納凹部が形成されており、前記上側収納トレイには、前記突出部が前記梱包材の他方側において下側を向くように、前記被梱包物が収納される前記収納凹部として第2の収納凹部が形成されており、該第2の収納凹部には、前記上側収納トレイに収納された前記被梱包物の突出部が貫挿される貫通口が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の梱包材によれば、下側収納トレイにおいて、突出部が梱包材の一方側で上側を向くように、被梱包物を第1の収納凹部に収納することができる。一方、上側収納トレイにおいて、突出部が梱包材の他方側で下側を向き、かつ、突出部が貫通口に貫挿された状態で、被梱包物を第2の収納凹部に収納することができる。そして、それぞれの収納凹部に収納された状態の上側収納トレイおよび下側収納トレイを上下に段積みして、梱包体とすることができる。
【0013】
このような梱包体は、下側収納トレイにおいて、梱包材の一方側から被梱包物の突出部が上方に突出し、上側収納トレイにおいて、梱包材の他方側から被梱包物の突出部が貫通口を介して下方に突出しするので、被梱包物同士の突出部が向かい合うように(被梱包物同士を抱き合わせるように)、これらを配置することができる。このような結果、被梱包物同士をよりコンパクトに収納することができ、被梱包物の積載効率を高めて、これらの搬送コストを抑えることができる。
【0014】
さらに、上側収納トレイの第1の収納凹部に貫通口を設けたので、第1の収納凹部にさらに突出部を収納するための凹部を深絞り加工により設けなくてもよく、上側収納トレイの貫通口から飛び出した突出部は、上側収納トレイと下側収納トレイとの間に形成された空間に収納され、保護することができる。この結果、梱包材の製造時にその成形性を損なうことなく、所望の形状に梱包材を成形し、被梱包物を梱包することができる。
【0015】
なお、本発明いう「一端部に突出部が形成された被梱包物」とは、基材部の中央から少なくとも一方側に突出部が形成された非対称の形状の被梱包物のことをいう。また、本発明でいう「一方側」とは、中央に対して一方向側のことをいい、「他方側」とは、一方向側に対して反対方向側のことをいう。従って、梱包材の一方側とは、梱包材の中央から一方向側のことをいい、梱包材の他方側とは、梱包材の中央から一方向側に対して反対方向側のことをいう。
【0016】
また、より好ましい態様としては、上側収納トレイの貫通口から突出した突出部を下側収納トレイの一部で受けるような構造にすることが好ましい。このような構造として、より好ましい第1の態様としては、本発明に係る梱包材の前記下側収納トレイには、前記上側収納トレイに収納された被梱包物の突出部を貫挿するための突出部用貫通口が形成されている。
【0017】
この態様によれば、下側収納トレイに突出部用貫通口を設けることにより、上側収納トレイの貫通口から下方に飛び出した被梱包物の突出部を、下側収納トレイの突出部用貫通口に貫挿することができる。このような構造にすることにより、上側収納トレイと下側収納トレイの上下の位置を接近させることができ、被梱包物の積載効率をより一層高めることができる。
【0018】
また、第2の態様としては、本発明に係る梱包材の前記下側収納トレイには、前記上側収納トレイに収納された被梱包物の突出部を収納する突出部用凹部が形成されている。このような突出部用凹部を設けることにより、上側収納トレイの貫通口から下方に露出した被梱包物の突出部の先端を、下側収納トレイの突出部用凹部に収納し、保護することができる。
【0019】
また、より好ましい態様としては、前記第1および第2の収納凹部の側壁には、該第1および第2の収納凹部に収納された被梱包物の基材部に係止するように突出した係止突起が形成されている。このような態様にすることにより、第1および第2の収納凹部に収納された被梱包物が、搬送時の振動などにより、第1および第2の収納凹部から飛び出すことを防止することができる。
【0020】
また、第1の収納凹部に形成された貫通口に被梱包物の突出部を貫挿することができるのであれば、第1の収納凹部の構造は特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、本発明に係る梱包材の前記第1の収納凹部には、前記貫通口に前記突出部を案内するための案内凹部が形成されている。本発明によれば、上側収納トレイの第1の収納凹部に、案内凹部を設けることにより、突出部を好適に貫通口に導いて、貫通口に貫挿することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、被梱包物に突出部が形成されている場合であっても、被梱包物の積載効率を向上させ、これにより被梱包物の搬送コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る梱包材に被梱包物を収納したときの梱包体を説明するための模式図であり、(a)は、梱包体の斜視図、(b)は、(a)の下側収納トレイに収納される被梱包物の配置状態を説明するための斜視図、(c)は、(a)の上側収納トレイに収納される被梱包物の配置状態を説明するための斜視図。
【図2】図1(a)に示すA−A線矢視断面図。
【図3】図1(a)に示す下側収納トレイを説明するための図であり、(a)は、下側収納トレイの上面図、(b)は、(a)のB−B線矢視断面図、(c)は、(a)のC−C線矢視断面図。
【図4】図1(a)に示す上側収納トレイを説明するための図であり、(a)は、上側収納トレイの上面図、(b)は、(a)のD−D線矢視断面図、(c)は、(a)のE−E線矢視断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る梱包材に被梱包物を収納したときの梱包体を説明するための模式的斜視図。
【図6】図5に示すF−F線矢印断面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る梱包材の下側収納トレイの変形例を示した模式的斜視図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る梱包材の上側収納トレイに被梱包物を収納したときの梱包体を説明するための図であり、(a)は、上側収納トレイの上面図、(b)は、G−G線矢視断面図、(c)は、(a)のH−H線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面に基づき、本発明に係る梱包材のいくつかの実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る梱包材に被梱包物を収納したときの梱包体を説明するための模式図であり、(a)は、梱包体の斜視図、(b)は、(a)の下側収納トレイに収納される被梱包物の配置状態を説明するための斜視図、(c)は、(a)の上側収納トレイに収納される被梱包物の配置状態を説明するための斜視図であり、図2は、図1(a)に示すA−A線矢印断面図である。
【0024】
図3は、図1(a)に示す下側収納トレイを説明するための図であり、(a)は、下側収納トレイの上面図、(b)は、(a)のB−B線矢視断面図、(c)は、(a)のC−C線矢視断面図であり、図4は、図1(a)に示す上側収納トレイを説明するための図であり、(a)は、上側収納トレイの上面図、(b)は、(a)のD−D線矢視断面図、(c)は、(a)のE−E線矢視断面図である。
【0025】
図1(a)に示すように、第1実施形態に係る梱包材10は、図1(b),(c)に示す被梱包物P1を収納するためのトレイである。梱包対象となる被梱包物P1は、長尺状の基材部p1基材部p1の中央から一方側の一端部に、突出部p2が形成された非対称の形状をした被梱包物である。
【0026】
図1〜図4に示すように、梱包材10は、梱包時の下側に位置する下側収納トレイ20と、下側収納トレイ20の上側に位置する上側収納トレイ30と、を少なくとも備えている。上述した被梱包物P1が収納された上側収納トレイ30と下側収納トレイ20とを段積みすることにより、梱包体1とされるものである。
【0027】
梱包材10を構成する下側収納トレイ20と上側収納トレイ30とは、シート状の例えば熱可塑性樹脂を素材として、これを真空成形等の熱成形手段により一体成形してなる。素材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HiPS)等のポリスチレン(PS)系樹脂、若しくは、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる発泡材、又は非発泡材からなるシート状の樹脂を挙げることができ、熱成形が可能な樹脂であれば、素材は特に限定されない。
【0028】
ここで、以下に各収納トレイについて説明する。図1(a)および図3(a)に示すように、下側収納トレイ20の四隅に支持凸部21が形成されており、上面20aの周りからスカート部20bが垂下している。また、上面20aには、被梱包物P1が収納される2つの第1の収納凹部22が並んで形成されている。各第1の収納凹部22は、被梱包物P1を収納したときに、被梱包物P1の突出部p2が梱包材10の一方側において上側を向くような(図1(b)参照)形状となっている。
【0029】
また、図3(a),(c)に示すように、各第1の収納凹部22の中央には、被梱包物P1を把持して取り出すための把持用凹部23が形成されており、把持用凹部23により形成された空間は、第1の収納凹部22により形成された空間と連続している。このような把持用凹部23を設けることにより、被梱包物P1を容易に取り出すことができる。
【0030】
図1(a)および図4(a)に示すように、上側収納トレイ30の四隅に支持凹部31が形成されており、上面30aの周りからスカート部30bが垂下している。また、上面30aには、被梱包物P1が収納される3つの第2の収納凹部32が等間隔で並んで形成されている。各第2の収納凹部32は、被梱包物P1を収納したときに、被梱包物P1の突出部p2が梱包材10の他方側において下側を向くような(図1(c)参照)形状となっている。
【0031】
図1(a)に示すように、各第2の収納凹部32が形成される位置は、段積み時に、隣接する第2の収納凹部32,32間に下側収納トレイ20の収納凹部22が配置されるような位置である。ここでは、第1および第2の収納凹部22,32は、水平方向に交互に配置されるように形成されているが、各第1および第2の収納凹部22,32に被梱包物P1を収納した状態で、上下に位置する被梱包物P1が接触することがないのであれば、第1および第2の収納凹部22,32が形成される位置は、上下方向において一致していてもよい。
【0032】
また、図4(a),(c)に示すように、各第2の収納凹部32の中央には、被梱包物P1を把持して取り出すための把持用凹部33が形成されており、把持用凹部33により形成された空間は、第2の収納凹部32により形成された空間と連続している。このような把持用凹部33を設けることにより、上側収納トレイ30においても、被梱包物P1を容易に取り出すことができる。
【0033】
さらに、第2の収納凹部32の他方側の底部32aには、貫通口34が形成されている。具体的には、貫通口34は、被梱包物P1の突出部p2の断面積と略同じ(または大きい)開口である。この貫通口34は、第2の収納凹部32に被梱包物P1の配置された状態で、梱包材10の他方側において突出部p2が下側を向き、貫挿された突出部p2の少なくとも先端が、貫通口34から飛び出して、上側収納トレイの下方において露呈するような位置に、形成されている。
【0034】
このような梱包材10によれば、図3(a)および(c)に示すごとく、下側収納トレイ20において、突出部p2が梱包材10の一方側で上側を向くように、被梱包物P1を第1の収納凹部22に収納することができる。
【0035】
一方、上側収納トレイ30において、突出部p2が梱包材10の他方側で下側を向き、かつ、突出部p2が貫通口34に貫挿された状態で、被梱包物P2を第2の収納凹部32に収納することができる。
【0036】
そして、それぞれの第1および第2の収納凹部22,32に被梱包物Pを収納した状態で、上側収納トレイ30の支持凹部31を介して、下側収納トレイ20の支持凸部21により、上側収納トレイ30をその四隅において支持することができる。これにより、下側収納トレイ20と上側収納トレイ30とを上下に段積みして、梱包体1とすることができる。
【0037】
このような梱包体1は、下側収納トレイ20において、梱包材10の一方側から被梱包物P1の突出部p2が上方に突出し、上側および下側の収納トレイにより形成された空間に、突出部p2を逃がしてこれを保護することができる。一方、上側収納トレイ30において、梱包材10の他方側から被梱包物P1の突出部p2が貫通口34を介して(貫通口34を通過して)下方に突出し、上側および下側の収納トレイにより形成された空間に、突出部p2を逃がしてこれを保護することができる。
【0038】
このようにして、上下に配置された被梱包物P1,P1同士の突出部p2,p2が向かい合うように被梱包物P1,P1を抱き合わせて配置することができる。これにより、被梱包物P1,P1同士をよりコンパクトに収納することができ、被梱包物P1,P1の積載効率を高めて、これらの搬送コストを抑えることができる。
【0039】
さらに、上側収納トレイ30の第2の収納凹部32に貫通口34を設けたので、第2の収納凹部32にさらに突出部p2を収納するための凹部を深絞り加工により設けなくてもよく、上側収納トレイ30の貫通口34から飛び出した突出部p2は、上側収納トレイ30と下側収納トレイ20との間に形成された空間に収納することができる。この結果、梱包材10の製造時にその成形性を損なうことなく、所望の形状に梱包材10を成形し、被梱包物を梱包することができる。
【0040】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る梱包材に被梱包物を収納したときの梱包体を説明するための模式的斜視図である。図6は、図5に示すF−F線矢印断面図である。図7は、本発明の第2の実施形態に係る梱包材の下側収納トレイの変形例を示した模式的斜視図である。
【0041】
第2の実施形態に係る梱包材が、第1の実施形態の梱包材と異なる点は、上側収納トレイの貫通口から突出した突出部を下側収納トレイの一部が受けるような構造となっている点である。したがって、第1の実施形態と同じ機能を有する部材および部分は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図5に示すように、本実施形態に係る梱包材10Aは、前述した長尺状の基材部p1に突出部p2よりもさらに突出したp3を収納するための梱包材である。具体的には、梱包材10Aのうち、下側収納トレイ20Aには、上側収納トレイ30Aに収納された被梱包物P2の突出部p3を収納する突出部用貫通口26が形成されている。
【0043】
図5および図6に示すように、上側収納トレイ30Aの下面側には、下側収納トレイ20Aに収納された被梱包物P2の突出部p3を収納するための突出部用凹部(上面側からは上側に突出した凸部)36が形成されている。
【0044】
図6に示すように、下側収納トレイ20Aと上側収納トレイ30Aとを用いることにより、上側収納トレイ30Aの貫通口34から飛び出した被梱包物P2の突出部p3を、下側収納トレイ20Aの突出部用貫通口26に貫挿し、下側収納トレイ20Aの下面側の空間に収納することができる。
【0045】
また、下側収納トレイ20Aの上方に突出した突出部p3を上側収納トレイの突出部用凹部36に収納することができる。これにより、突出部p3のような突出長さであっても、上下に抱き合わせるように、被梱包物P2,P2を収納することができる。
【0046】
さらに、第1の実施形態で示した被梱包物P1を収納する場合であっても、このような構造を利用することにより、上側収納トレイ30Aと下側収納トレイ20Aの上下の位置を、第1の実施形態よりもさらに接近させることができ、被梱包物P1の積載効率を高めることができる。
【0047】
また、被梱包物P1の突出部p2よりも突出長さが長く、かつ被梱包物P2の突出部p3よりも突出長さが短い突出部p4が形成された被梱包物P3を梱包する場合には、図7に示すような下側収納トレイ20Aを用いてもよい。具体的には、梱包材10Aの下側収納トレイ20Aには、上側収納トレイ30Aに収納された被梱包物P3の突出部p4を収納する突出部用凹部26Aが形成されている。
【0048】
このような突出部用凹部26Aを設けることにより、上側収納トレイ30Aの貫通口から飛び出した被梱包物Pの突出部p4の先端を、下側収納トレイ20Aの突出部用凹部26Aに収納し、保護することができる。このような構造にすることにより、上側収納トレイ30Aと下側収納トレイ20Aの上下の位置を図5に示す梱包材10Aと同様に接近させることができる。
【0049】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る梱包材の上側収納トレイに被梱包物を収納したときの梱包体を説明するための図であり、(a)は、上側収納トレイの上面図、(b)は、G−G線矢視断面図、(c)は、(a)のH−H線矢視断面図である。
【0050】
第3の実施形態に係る梱包材が、第1の実施形態の梱包材と異なる点は、上側および下側収納トレイの第1および第2の収納凹部に係止突起を設け、下側収納トレイに、貫通口を案内する案内凹部を設けた点である。したがって、第1の実施形態と同じ機能を有する部材および部分は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0051】
図8(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係る梱包材の上側収納トレイ30Bの第2の収納凹部32の側壁32bには、係止突起37が形成されている。係止突起37は、第2の収納凹部32に収納された被梱包物P1の基材部p1の両端近傍の側面を係止するように、第2の収納凹部32の内側に突出した突起であり、第2の収納凹部32の各側において対向して形成されている。また、下側収納トレイの第1の収納凹部にも、同様の位置に係止突起が形成されている(図示せず)。
【0052】
このような係止突起37を両側において対向する位置に設けることにより、第2の収納凹部32に収納された被梱包物P1が、搬送時の振動などにより、第2の収納凹部32から飛び出すことを防止することができる。
【0053】
さらに、図8(b)に示すように、本実施形態に係る梱包材10Bの上側収納トレイ30Bの第2の収納凹部32の底部32aには、被梱包物P1の突出部p2を貫通口34に案内するための案内凹部38が形成されている。
【0054】
上側収納トレイ30Bの第2の収納凹部32に、このような案内凹部38を設けることにより、被梱包物P1の突出部p2を好適に貫通口34に導いて、突出部p2を貫通口34に貫挿することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0056】
第1〜第3の実施形態いずれの場合も、上側および下側収納トレイに把持用凹部が形成されているが、被梱包物を第1および第2収納凹部から容易に取り出すことができるのであれば、この把持用凹部を設ける必要はない。この場合には、さらに、各トレイの隣り合う収納凹部をより近づけることができ、これにより、被梱包物の積載効率をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1:梱包体、10,10A,10B:梱包材、20,20A:下側収納トレイ、20a:上面、20b:スカート部、21:支持凸部、22:第1の収納凹部、23:把持用凹部、26:突出部用貫通口、26A:突出部用凹部、30,30A,30B:上側収納トレイ、30a:上面、30b:スカート部、31:支持凹部、32:第2の収納凹部、32a:底部、32b:側壁、33:把持用凹部、34:貫通口、36:突出部用凹部、37:係止突起、38:案内凹部、P1〜P3:被梱包物、p1:基材部、p2〜p4:突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に突出部が形成された被梱包物を、収納する収納凹部が形成された上側および下側収納トレイを備え、該上側および下側収納トレイを段積みすることにより、複数の被梱包物を梱包する梱包材であって、
前記下側収納トレイには、前記突出部が前記梱包材の一方側において上側を向くように、前記被梱包物が収納される前記収納凹部として第1の収納凹部が形成されており、
前記上側収納トレイには、前記突出部が前記梱包材の他方側において下側を向くように、前記被梱包物が収納される前記収納凹部として第2の収納凹部が形成されており、該第2の収納凹部には、前記上側収納トレイに収納された前記被梱包物の突出部が貫挿される貫通口が形成されていることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記下側収納トレイには、前記上側収納トレイに収納された被梱包物の突出部を貫挿するための突出部用貫通口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記下側収納トレイには、前記上側収納トレイに収納された被梱包物の突出部を収納する突出部用凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項4】
前記第1および第2の収納凹部の側壁には、該第1および第2の収納凹部に収納された被梱包物の基材部に係止するように突出した係止突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包材。
【請求項5】
前記第1の収納凹部には、前記貫通口に前記突出部を案内するための案内凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の梱包材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の梱包材を用いて、前記被梱包物を梱包した梱包体であって、
前記下側収納トレイにおいて、前記突出部が前記梱包材の一方側で上側を向くように、前記被梱包物が前記第1の収納凹部に収納され、
前記上側収納トレイにおいて、前記突出部が前記梱包材の他方側で下側を向き、かつ、前記突出部が前記貫通口に貫挿された状態で、前記被梱包物が前記第2の収納凹部に収納され、
前記被梱包物が収納された上側および下側の収納トレイが上下に段積みされていることを特徴とする梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−148799(P2012−148799A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8578(P2011−8578)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】