説明

棒材切断機

【課題】堆積した切屑により丸鋸の寿命が影響されない棒材切断機を提供する。
【解決手段】棒材切断機10によれば、被切断材14の端部を下方から受ける出側受部材28は、その被切断材14の幅方向寸法Wよりも小さい予め定められた幅寸法の支持面28aを用いてその被切断材14を支持するものであるので、丸鋸20による切削によって被切断材14から発生する切屑Kは出側受部材28の上に堆積することがなくなることから、被切断材14を切断中の丸鋸20が出側受部材28上に堆積し且つ相互に絡まった切屑Kに押し込まれることで丸鋸20の外周刃すなわち超硬チップ46にチッピングによる損傷を与えたり、その丸鋸20の寿命が短くなるという問題が好適に解消される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する丸鋸を長手状の棒材を横断する方向に切り込ませることにより、その棒材を所望の長さに切断する棒材切断機に関し、特に、丸鋸により切断される棒材をクランプする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周方向に連なる複数個の外周刃を外周部に有する円板状の丸鋸を回転させつつ圧延材、引抜材などの長手状の棒材に切り込ませることにより、その棒材を所定の長さ寸法に切断するに際して、その丸鋸が切り込まれる棒材の端部付近を横方向すなわち水平方向に挟持する横バイスだけでなく、縦方向すなわち垂直方向においても挟持する縦バイスを有するクランプ装置を備えた棒材切断機が知られている。例えば、特許文献1乃至3に記載されたものがそれである。このような棒材切断機によれば、丸鋸が切り込まれる棒材の端部付近がクランプ装置の横バイスおよび縦バイスによって2方向から挟持されるので、丸鋸から切断荷重や振動が加えられても、切断中における棒材のずれがなく、切断後の製品寸法精度が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−230412号公報
【特許文献2】特開2004−136398号公報
【特許文献3】特開2004−136399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記クランプ装置の縦バイスは、丸鋸の通過を許容するための隙間を棒材の長手方向に隔てて位置固定に設けられた入側受部材および出側受部材と、アクチュエータによって移動させられることにより少なくともその入側受部材との間で棒材を上方から押圧して挟持する押圧部材とを備えて構成されている。それら入側受部材と出側受部材とは、丸鋸からの切断荷重を支持して切断中の棒材の変形を抑制することに寄与関連しており、特に出側受部材は、切断中の丸鋸と干渉しない範囲でその丸鋸に可及的に接近した位置で棒材を支持するように位置させられる。
【0005】
しかしながら、上記のように、出側受部材を切断中の丸鋸と干渉しない範囲でその丸鋸に可及的に接近した位置とすると、その丸鋸により棒材が切削されることにより発生する切屑の一部がその出側受部材の上に堆積するので、棒材を切断中の丸鋸が上記堆積し且つ相互に絡まった切屑に押し込まれると、たとえば超硬合金製である丸鋸の外周刃にチッピングによる損傷を与え、その丸鋸の寿命を短縮するという問題が発生するという不都合があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、堆積した切屑により丸鋸の寿命が影響されない棒材切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)周方向に連なる複数個の外周刃を外周部に有する円板状の丸鋸を回転させつつ長手状の棒材に切り込ませることにより、該棒材を所定の長さ寸法に切断するに際して、該丸鋸が切り込まれる該棒材の先端部付近を挟持するクランプ装置を備えた棒材切断機であって、(b)該クランプ装置は、前記丸鋸の通過を許容するための所定の隙間を前記棒材の長手方向に隔てて該棒材の長手方向に固設されている入側受部材および出側受部材と、アクチュエータによって移動させられる押圧部材との間で前記棒材を挟持するものであり、(c)前記出側受部材は、前記棒材の幅方向寸法よりも小さい予め定められた幅寸法の支持面を有し、該支持面を用いて該棒材を支持するものであることにあります。
【発明の効果】
【0008】
請求項1にかかる発明の棒材切断機によれば、棒材を下方から受ける出側受部材は、その棒材の幅方向寸法よりも小さい予め定められた幅寸法の支持面を用いてその棒材を支持するものであるので、丸鋸による切削によって棒材から発生する切屑は出側受部材の上に堆積することがなくなることから、棒材を切断中の丸鋸が出側受部材上に堆積し且つ相互に絡まった切屑に押し込まれることで丸鋸の外周刃にチッピングによる損傷を与えたり、その丸鋸の寿命が短縮するという問題が好適に解消される。
【0009】
ここで、好適には、前記出側受部材は、前記入側受部材から離隔するほど前記支持面から低くなる出側傾斜面を有することを特徴とする。このようにすれば、出側受部材の棒材突き出し側においてその支持面から低くなる出側傾斜面上に落下した切屑がさらにころがり落ちるので、丸鋸による切削によって棒材から発生する切屑が出側受部材の上に堆積することが一層少なくなる。
【0010】
また、好適には、位置固定のベース部材と、そのベース部材に設けられた案内溝により案内されて前記棒材の幅方向に移動可能に設けられ、前記出側受部材が固定された移動部材と、その移動部材に連結されてその出側受部材の位置を変更する位置決めアクチュエータとを、さらに含むことを特徴とする。このようにすれば、幅寸法や径寸法が異なる複数種類の棒材の切断に際して、棒材の幅寸法や径寸法に応じて出側受部材の位置を位置決めアクチュエータを用いて変更することにより、棒材の幅方向の中心に対応する位置や、棒材の最下点に対応する位置を支持することが可能となる。
【0011】
また、好適には、前記移動部材は、上端縁部の一部に前記出側受部材が固定された受部材取付部と、前記入側受部材へ向かうほど低くなるようにその上端縁部のうちのその受部材取付部を除く部分に形成された傾斜面とを、有することを特徴とする。このようにすれば、丸鋸による切削によって棒材から発生する切屑が、出側受部材が固定された移動部材の上端縁部のうちのその取付部を除く部分に形成された傾斜面により落下させられるので、その移動部材の上に切屑が堆積することが好適に防止される。
【0012】
また、好適には、前記移動部材は、前記ベース部材の前記入側受部材側の側面に密着した状態で設けられた板状の部材であり、そのベース部材は、その入側受部材へ向かうほど低くなる面取面をその入側受部材側の側面と上面との間の角部に有し、前記移動部材に形成された傾斜面はその面取面に続いて傾斜していることを特徴とする。このようにすれば、丸鋸による切削によって棒材から発生する切屑が、出側受部材が固定された移動部材を案内する位置固定のベース部材の入側受部材側の側面と上面との間の角部に形成された面取面により落下させられるので、そのベース部材の上に切屑が堆積することが好適に防止される。
【0013】
また、好適には、位置固定のベース部材の前記入側受部材側の側面と上面との間の角部に形成された前記面取面と、その面取面に続いて傾斜している前記移動部材の傾斜面との接続部分において、その面取面の下端がその傾斜面の上端よりも前記入側受部材側に所定量突き出していることを特徴とする。このようにすれば、ベース部材の面取面の下端と移動部材の傾斜面との間の僅かな隙間に切屑が引っかかること及びその切屑を起点とする切屑の堆積が好適に防止される。
【0014】
また、好適には、前記クランプ装置は、前記丸鋸が切り込まれる前記棒材の先端部付近を横方向に挟持する横方向固定クランプ装置、および、その棒材の先端部付近を縦方向に挟持する縦方向固定クランプ装置を備え、前記縦方向固定クランプ装置は、前記アクチュエータによって移動させられる押圧部材により前記棒材を上方から押圧して前記入側受部材との間で挟持するものである。このようにすれば、クランプ装置が、入側受部材および出側受部材とこれに直角な受け面を有する当て板と、斜め方向の単一の油圧シリンダにより駆動される押圧部材との間に棒材を挟圧する形式のものと比較して、相対的に低い押圧力を用いて棒材の先端部付近が確実に固定される利点がある。また、棒材の先端部の固定に際して、縦方向固定クランプ装置による棒材の固定を、横方向固定クランプ装置による棒材の固定前に行うことで、固定位置精度を高めることができる。
【0015】
また、好適には、前記出側受部材を締結部材を用いて予め定められた固定位置に着脱可能に固定するための共通の固定場所が設けられた位置固定のベース部材を備え、その出側受部材は、前記固定場所に固定される固定部と、該固定部から上方へ突き出す支持部とをそれぞれ有し、該固定部に対して該支持部が第1位置に位置する第1出側受部材と、該固定部に対して該支持部が該第1位置と異なる第2位置に位置する第2出側受部材とから成り、それら第1出側受部材と第2出側受部材とは、前記ベース部材の固定場所に択一的に固定されるものである。このようにすれば、棒材の切断に際して、簡単な構成で、径或いは幅方向の寸法が異なる複数種類の棒材を支持することができる。
【0016】
また、好適には、前記出側受部材を締結部材を用いて着脱可能に固定するための予め設定された複数の固定場所が設けられた位置固定のベース部材を備え、その出側受部材は、前記ベース部材の複数の固定場所に択一的に固定されるものである。このようにすれば、棒材の切断に際して、簡単な構成で、径或いは幅方向の寸法が異なる複数種類の棒材を支持することができる。
【0017】
また、好適には、前記出側受部材の支持面は、前記棒材の幅寸法の1/2以下であることを特徴とする。このようにすれば、丸鋸による切削によって棒材から発生する切屑が出側受部材の上に堆積することが好適に少なくされる。
【0018】
また、好適には、前記出側受部材の支持面は、5乃至25mmであることを特徴とする。このようにすれば、丸鋸による切削によって棒材から発生する切屑が出側受部材の上に堆積することが好適に少なくされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例のスイング式の棒材切断機を示す正面図である。
【図2】図1の棒材切断機で用いられている丸鋸と、その丸鋸による切削中に切削液を丸鋸に向かって噴射するノズルとを示す図である。
【図3】図2の丸鋸による被削材の切削によって切屑が発生する過程を説明する図である。
【図4】図1の要部、すなわち縦方向固定クランプ装置の一部の構成を拡大して示す図である。
【図5】図1、図4に示されるベース部材の構成を説明する斜視図である。
【図6】図1の縦方向固定クランプ装置の出側受部材が位置決めアクチュエータによって移動させられる機構を説明するためにベース部材の一部を切り欠いてその案内溝内に収容された部材を示す図である。
【図7】図1の縦方向固定クランプ装置の入側受部材および出側受部材の取付け構造を、それらに載置される被削材の側面から示す図である。
【図8】図1の縦方向固定クランプ装置の出側受部材が移動させられる構造を、ベース部材を除いて示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例において、H型鋼のクランプ状態を説明する図である。
【図10】本発明の他の実施例において、溝型鋼のクランプ状態を説明する図である。
【図11】図1に示される実施例1の縦方向固定クランプ装置の他の実施例の入側受部材および出側受部材の取付け構造を、それらに載置される被削材の軸心O1の方向から示す縦方向固定クランプ装置の一部の構成を拡大して示す図であって、図4に相当する図である。
【図12】図11の実施例の縦方向固定クランプ装置の入側受部材および出側受部材の取付け構造を、それらに載置される被削材の側面から示す図であって、図7に相当する図である。
【図13】図11の実施例に用いられる出側受部材の構成を説明する図である。
【図14】図11の実施例に用いられる他の出側受部材の構成を説明する図である。
【図15】図1に示される実施例1の縦方向固定クランプ装置の他の実施例の入側受部材および出側受部材の取付け構造を、それらに載置される被削材の軸心O1の方向から示す縦方向固定クランプ装置の一部の構成を拡大して示す図であって、図4、図11に相当する図である。
【図16】図15の実施例の縦方向固定クランプ装置の入側受部材および出側受部材の取付け構造を、それらに載置される被削材の側面から示す図であって、図7、図12に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の一実施例のスイング式の棒材切断機10を示す正面図である。図1において、棒材切断機10は、基台12上において、図1に示す棒材切断機10の背面側に配置される図示しない給材装置から供給された被切断材14を、切断毎に間欠的に予め設定された所定寸法ずつ長手方向へ送る、すなわち被切断材14の軸心O1に平行な方向へ移動させる材料定寸送り装置16と、下端部が支持軸17を介して支持台18により回動中心C1まわりの回動可能に設けられた傾動部材19の上端部に、回転中心C2まわりの回転可能に設けられた円板状の丸鋸20と、水性或いは油性のミスト状切削液を丸鋸20に向けて噴射するミスト噴射装置22と、丸鋸20を回転駆動するための丸鋸回転駆動装置24と、丸鋸20を金属製の被切断材14にその長手方向に直交する方向に切り込ませるために丸鋸20をその被切断材14に向けて移動させる丸鋸移動装置26とを備えている。本実施例の被切断材14は丸棒状であり、図1において紙面に垂直な方向へ長手状を成すように配置されている。そして、上記被切断材14は、例えば炭素鋼などの一般鋼、合金鋼、ステンレス鋼、アルミ合金、銅合金などの金属から成り、本実施例では断面が円形の金属製棒材である。
【0022】
上記材料定寸送り装置16は、丸鋸20の通過を許容するための所定の隙間Sを被切断材14の長手方向すなわち軸心O1の方向に隔てて配置されている入側受部材27および出側受部材28上に、先端部が載置された被切断材14の中間部或いは後端部をクランプしてその被切断材14を切断サイクルに同期して所定寸法ずつ送り出すためにその軸心O1に平行な方向へ往復駆動させられる図示しない可動クランプ装置と、入側受部材27および出側受部材28上の被切断材14の先端部の位置を、横方向すなわち水平方向から固定する横方向固定クランプ装置30、および縦方向すなわち垂直方向から固定する縦方向固定クランプ装置32とを備えている。上記入側受部材27は、被切断材14の幅寸法以上の幅寸法の支持面を有する部材であって機枠39に固定されている。上記出側受部材28は、後述のように、被切断材14の幅寸法よりも十分に小さい幅寸法の支持面28aを有する部材であって移動部材84に取り付けられる。
【0023】
上記横方向固定クランプ装置30および縦方向固定クランプ装置32は、切断サイクル内において丸鋸20による被切断材14の切断に先立ってその被切断材14の先端部を固定し、丸鋸20が被切断材14の切断が完了するまではその固定状態を維持する。上記可動クランプ装置は、横方向固定クランプ装置30および縦方向固定クランプ装置32により被切断材14の先端部が固定されておらず且つ丸鋸20が元位置に戻っている区間において、その被切断材14を把持しつつ、軸心O1に平行な方向へ例えば油圧シリンダにより予め設定された所定寸法移動させるための可動式のクランプとそのクランプを駆動する駆動装置とを備えるものである。
【0024】
横方向固定クランプ装置30は、被切断材14の軸心O1に直交し且つ入側受部材27および出側受部材28の上面(ワーク支持面)に平行な水平方向すなわち図1の矢印a方向へ往復運動可能なピストンを有する油圧シリンダ31と、その油圧シリンダ31のピストンロッドに連結されて上記矢印a方向へ移動可能な移動部材34の先端に固定されたクランプパッド36とを備えている。この横方向固定クランプ装置30は、上記油圧シリンダ31によりクランプパッド36を被切断材14に向けて前進させることにより、被切断材14をクランプパッド36と当て板38との間で挟んで固定する。上記当て板38は、被切断材14のクランプパッド36と対向する状態で、基台12上の機枠(フレーム)39に直接或いは間接的に位置固定に設けられた板材である。上記当て板38およびクランプパッド36は、それらの間に挟持されている被切断材14を切断する丸鋸20の通過を許容するための所定の間隔を隔てた2部材からそれぞれ構成されている。
【0025】
前記縦方向固定クランプ装置32は、被切断材14を挟んで、入側受部材27および出側受部材28とは反対側において、被切断材14の軸心O1に直交し且つ入側受部材27および出側受部材28の上面(非切断材の載置面)に垂直な方向、すなわち図1の矢印b方向へ往復運動可能なピストンロッドを有する油圧シリンダ40と、その油圧シリンダ40のピストンロッドの先端に固定されたクランプパッド42とを備えている。この縦方向固定クランプ装置32は、油圧シリンダ40によりクランプパッド42を被切断材14に向けて前進させることにより、被切断材14をクランプパッド42と入側受部材27および出側受部材28との間で挟んで固定する。なお、横方向固定クランプ装置30および縦方向固定クランプ装置32は、被切断材14が前記可動クランプ装置により軸心O1方向に送られるときには、被切断材14の固定を解除する。また、好適には、被切断材14の固定に際して、縦方向固定クランプ装置32による被切断材14の固定は、横方向固定クランプ装置30による被切断材14の固定前に行われる。
【0026】
図2は、図1に示す丸鋸20の一部を拡大して示す図である。図2に示すように、丸鋸20は、円板状の台金44と、その台金44の外周部において周方向に一定間隔を隔てて連ねられ、例えばろう付け等により台金44に固着された複数の外周刃すなわち超硬チップ46とを備えている。そして、図1に示すように、台金44が回転軸47に一体的に固定され、その回転軸47を介して傾動部材19により回転中心C2まわりの回動可能に支持されている。なお、図1では、丸鋸20のカバー部材48が一部切欠かれて示されている。
【0027】
上記超硬チップ46は、たとえば炭化タングステンを主体とした焼結体から成る超硬合金が用いられたチップであり、本発明の刃部に相当するものである。本実施例の超硬チップ46は、図3に示すように、切刃49と、その切刃49に対して丸鋸20の回転方向前方側に形成されたすくい面58とを備えている。図3は、回転駆動された丸鋸20を被切断材14に切り込ませることでその被切断材14の外周部を切削している様子を、超硬チップ46の側面側から示す図である。被切断材14は、矢印c方向に回転駆動された超硬チップ46が押し付けられることで、その超硬チップ46の切刃49の切削作用により外周部の一部が周方向に沿って取り除かれる。その取り除かれた切粉或いは切屑Kは、切刃49とすくい面58、および凹面60に当たって滑りつつ排出される。上記切屑Kは、凹面60により湾曲形状に変形されて小片に破断されることで、排出が促されるようになっている。
【0028】
図1に戻って、前記丸鋸回転駆動装置24は、丸鋸20を回転中心C2まわりの回転可能に支持する回転軸47と、丸鋸20を回転駆動する動力源としての丸鋸駆動用電動機62と、その丸鋸駆動用電動機62の出力軸の回転を回転軸47に伝達するための例えばプーリおよびベルト等の図示しない伝動部材とを備えている。なお、丸鋸駆動用電動機62は、傾動部材19に固設されている。この丸鋸回転駆動装置24は、丸鋸駆動用電動機62を作動させてその出力軸の回転を上記伝動部材を介して回転軸47に伝達することにより、丸鋸20を矢印c方向に回転駆動する。
【0029】
前記丸鋸移動装置26は、丸鋸20を被切断材14に向かって或いは被切断材14とは反対側へ移動させるために、被切断材14を載置する入側受部材27および出側受部材28や当て板38が設けられた機枠39と一体の機台64の上面に固定された第1支持部材66と、丸鋸20を支持する傾動部材19の上部に固定された第2支持部材68とを、相互に接近離隔するように駆動する。具体的には、丸鋸移動装置26は、第1支持部材66により回動中心C3まわりの回動可能に支持された中空円筒状の支持部材70と、その支持部材70の軸心と略同心のボールネジ状の回転出力軸を有して、支持部材70の第2支持部材68とは反対側の端部に固設された電気駆動式のサーボモータ72と、一端部が上記ボールネジ回転出力軸の外周側に螺合されつつ支持部材70の内周面により軸心方向の移動可能に且つ軸心まわりの回転不能に支持され、他端部が第2支持部材68により上記回動中心C3に平行な回動中心C4まわりの回動可能に支持された円筒状の軸方向移動部材74とを備えている。この丸鋸移動装置26は、サーボモータ72を作動させて、傾動部材19の上部に第2支持部材68を介して連結された軸方向移動部材74をその軸心方向すなわち図1の矢印d方向へ移動させることにより、傾動部材19を図1の矢印e方向へ傾動させる。
【0030】
前記ミスト噴射装置22は、例えば図1に示す傾動部材19の背面側に配置された図示しないミスト状切削液供給源と、そのミスト状切削液供給源から供給されるミスト状切削液を、図2に示すように、丸鋸20の回転方向前方であって超硬チップ46のすくい面58に対向する位置からそのすくい面58に向けて矢印f方向すなわち超硬チップ46の回転軌跡Lの接線方向に噴射する第1ノズル76と、被切断材14に切り込む直前の超硬チップ46の背面に向かって上記ミスト状切削液を図2の矢印g方向へ噴射する第2ノズル78とを備えている。
【0031】
図4乃至図8は、縦方向固定クランプ装置32の構成をそれぞれ詳しく説明する図である。図4は、図1の縦方向固定クランプ装置32の一部を拡大して示している。図4において、縦方向固定クランプ装置32は、厚み方向すなわち軸心O1方向に貫通して長穴状に設けられた案内溝80を有し、機枠39に直接或いは間接的に手前に突き出すように固定されたベース部材82と、そのベース部材82の案内溝80により案内されて被切断材14の幅方向すなわち水平方向に移動可能に設けられ、出側受部材28が固定された移動部材84と、その移動部材84に連結されて出側受部材28の位置を変更する電動式の位置決めアクチュエータ86とを、含む。
【0032】
ベース部材82は、図5の斜視図に示すように、長手方向の中央部に板厚よりも僅かに大きい段差を有する段付部82dを有する板材から構成されており、その段付部82dよりも被切断材14から離隔する側に上記位置決めアクチュエータ86が固定され、その段付部82dよりも被切断材14側において厚み方向に貫通して形成された案内溝80と、その案内溝80に連通して位置決めアクチュエータ86の出力ロッド86aを収容するようにベース部材82の長手方向に形成された収容溝88とが形成されている。上記案内溝80の上壁面および下壁面には、焼き入れなどによって高硬度とされた一対の摺動プレート90および92がそれぞれ貼り着けられ、それら一対の摺動プレート90および92の対向面の間隔が収容溝88の間隔と同様とされている。
【0033】
移動部材84は、図6乃至図8に示すように、ベース部材82の入側受部材27側の側面に密着した状態で案内溝80の入側受部材27側の開口を塞ぐように設けられた板状の部材であり、上端縁部の一部に前記出側受部材28が固定された受部材取付部84aと、入側受部材27へ向かうほど低くなるようにその上端縁部のうちの受部材取付部84aを除く部分に形成された傾斜面84bとを有している。また、上記ベース部材82は、入側受部材27側へ向かうほど低くなる面取面82aをその入側受部材27側の側面と上面との間の角部に有するとともに、入側受部材27から離れるほど低くなる面取面82bをその入側受部材27とは反対側(正面側)の側面と上面との間の角部に有している。
【0034】
移動部材84に形成された傾斜面84bは、上記面取面82aに続いて傾斜させられている。そして、図7に示すように、位置固定のベース部材82の入側受部材27側の側面と上面との間の角部に形成された面取面82aと、その面取面82aに続いて傾斜している移動部材84の傾斜面84bとの接続部分において、切屑Kの引っ掛かりを防止するために、その面取面82aの下端が傾斜面84bの上端よりも入側受部材27側に僅かに所定量Tだけ突き出している。
【0035】
被切断材14の長手方向すなわち軸心O1の方向において丸鋸20の通過を許容するための所定の隙間Sを入側受部材27との間に形成するように、出側受部材28が上記移動部材84の受部材取付部84aにボルト94により固定されている。この出側受部材28は、被切断材14の幅方向寸法すなわち水平方向寸法よりも1/2以下或いは5乃至25mm程度の十分に小さい予め定められた幅寸法を有するように形成された支持面28aと、入側受部材27から離隔するほど支持面28aから低くなる出側傾斜面28bとを有している。そして、ベース部材82の面取面82bは、出側受部材28に形成された出側傾斜面28bに続いて傾斜させられている。図7に示すように、出側受部材28の出側傾斜面28bとそれに続くベース部材82の面取面82bとの接続部分には、切屑Kの引っ掛かりを防止するために、段差Dが設けられている。
【0036】
位置決めアクチュエータ86の出力ロッド86aは、案内溝80の内壁面に固着された一対の摺動プレート90および92の間でそれらにより水平方向に案内するための4個の水平ローラ96と下側の摺動プレート92を移動部材84との間で挟むことでベース部材82の長手方向に案内するための一対の垂直ローラ98とを備え、その移動部材84にボルト100、102により固定された案内部材104に連結されている。
【0037】
以上のように構成された縦方向固定クランプ装置32は、被切断材14の切断に先立って、油圧シリンダ40によりクランプパッド42を被切断材14に向けて上方から下降させることにより、被切断材14の先端部をクランプパッド42と入側受部材27および出側受部材28との間で挟んで固定する。この被切断材14の幅寸法が異なる場合には、出側受部材28をその被切断材14の真下に位置するように、たとえば出側受部材28の幅方向中心と被切断材14の幅方向中心とが一致するように、位置決めアクチュエータ86により出側受部材28が移動させられる。この位置決めアクチュエータ86は、手動によるスイッチ操作に従って作動させられるか、或いは、予め設定入力された被切断材14の種類に応答して電子制御装置により移動させられる。
【0038】
上記のように構成される棒材切断機10においては、先ず、たとえば出側受部材28の幅方向中心と被切断材14の幅方向中心とが一致するように、位置決めアクチュエータ86を用いて出側受部材28が移動させられる。次に、被切断材14の端部が、材料定寸送り装置16により図示しない給材装置から入側受部材27および出側受部材28上に供給される。次いで、その被切断材14が、横方向固定クランプ装置30および縦方向固定クランプ装置32によりクランプされて固定される。次いで、丸鋸回転駆動装置24により回転駆動された丸鋸20が、丸鋸移動装置26により被切断材14に向けて移動させられる。そして、ミスト噴射装置22の第1ノズル76および第2ノズル78から丸鋸20に向けてミスト状切削液が噴射されつつ、丸鋸20が予め設定された切込速度(移動速度)に応じて被切断材14に切り込まれる。この丸鋸20による切断中には、被切断材14からの切屑Kが多量に発生して下方へ落下させられる。この切屑Kはカール状の複雑な形状やばりを有していて僅かな面や隙間に引っ掛かりやすく且つ相互に絡んで蓄積され易い。丸鋸20が蓄積された切屑K中に押し込まれると、損傷を受けて寿命が短縮される。
【0039】
しかし、本実施例の棒材切断機10によれば、上述のように、被切断材14の端部を下方から受ける出側受部材28は、その被切断材14の幅方向寸法Wよりも小さい予め定められた幅寸法の支持面28aを用いてその被切断材14を支持するものであるので、丸鋸20による切削によって被切断材14から発生する切屑Kは出側受部材28の上に堆積することがなくなることから、被切断材14を切断中の丸鋸20が出側受部材28上に堆積し且つ相互に絡まった切屑Kに押し込まれることで丸鋸20の外周刃すなわち超硬チップ46にチッピングによる損傷を与えたり、その丸鋸20の寿命が短くなるという問題が好適に解消される。
【0040】
また、本実施例の棒材切断機10によれば、出側受部材28は、入側受部材27から離隔するほどその支持面28aから低くなる出側傾斜面28bを有することから、出側受部材28の被切断材14の突き出し側において支持面28aから低くなる出側傾斜面28b上に落下した切屑Kがさらにころがり落ちるので、丸鋸20による切削によって被切断材14から発生する切屑Kが出側受部材28の上に堆積することが一層少なくなる。
【0041】
また、本実施例の棒材切断機10によれば、位置固定のベース部材82と、そのベース部材82に設けられた案内溝80により案内されて被切断材14の幅方向に移動可能に設けられ、出側受部材28が固定された移動部材84と、その移動部材84に連結されてその出側受部材28の位置を変更する位置決めアクチュエータ86とを、さらに含むことから、幅寸法や径寸法が異なる複数種類の被切断材14の切断に際して、その幅寸法や径寸法に応じて出側受部材28の位置を位置決めアクチュエータ86を用いて変更することにより、被切断材14の幅方向の中心に対応する位置や、被切断材14の最下点に対応する位置を支持することが可能となる。
【0042】
また、本実施例の棒材切断機10によれば、移動部材84は、上端縁部の一部に出側受部材28が固定された受部材取付部84aと、入側受部材27へ向かうほど低くなるようにその上端縁部のうちのその受部材取付部84aを除く部分に形成された傾斜面84bとを、有することから、丸鋸20による切削によって被切断材14から発生する切屑Kが、出側受部材28が固定された移動部材84の上端縁部のうちのその受部材取付部84aを除く部分に形成された傾斜面84bにより落下させられるので、その移動部材84の上に切屑が堆積することが好適に防止される。
【0043】
また、本実施例の棒材切断機10によれば、移動部材84は、ベース部材82の入側受部材28側の側面に密着した状態で設けられた板状の部材であり、そのベース部材82は、その入側受部材27へ向かうほど低くなる面取面82aをその入側受部材27側の側面と上面との間の角部に有し、移動部材84に形成された傾斜面84bはその面取面82aに続いて傾斜していることから、丸鋸20による切削によって被切断材14から発生する切屑Kが、出側受部材28が固定された移動部材84を案内する位置固定のベース部材82の入側受部材27側の側面と上面との間の角部に形成された面取面82aにより落下させられるので、そのベース部材82の上に切屑が堆積することが好適に防止される。
【0044】
また、本実施例の棒材切断機10によれば、位置固定のベース部材82の入側受部材27側の側面と上面との間の角部に形成された面取面82aと、その面取面82aに続いて傾斜している移動部材84の傾斜面84bとの接続部分において、その面取面82aの下端がその傾斜面84bの上端よりも入側受部材27側に僅かに所定量Tだけ突き出していることから、ベース部材82の面取面82aの下端と移動部材84の傾斜面84bとの間の僅かな隙間に切屑Kが引っかかること及びその切屑Kを起点とする切屑の堆積が好適に防止される。
【0045】
また、本実施例の棒材切断機10は、丸鋸20が切り込まれる被切断材14の先端部付近を横方向に挟持する横方向固定クランプ装置30、および、被切断材14の先端部付近を縦方向に挟持する縦方向固定クランプ装置32を備え、その縦方向固定クランプ装置32は、アクチュエータ40によって移動させられる押圧部材42により被切断材14を上方から押圧して入側受部材27との間で挟持するものである。このため、クランプ装置が、入側受部材27および出側受部材28とこれらの受け面と直角な受け面を有する当て板38と、斜め方向の単一の油圧シリンダにより駆動される押圧部材との間に被切断材を挟圧する形式のものと比較して、相対的に低い押圧力を用いて被切断材14の先端部付近が確実に固定される利点がある。また、被切断材14の先端部の固定に際して、縦方向固定クランプ装置32による被切断材14の固定を、横方向固定クランプ装置30による被切断材14の固定前に行うことで、固定位置精度を高めることができる。
【実施例2】
【0046】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図9は、棒材切断機10が、たとえばH型鋼のような断面H字形状の棒材である被切断材110を切断する場合の要部を示している。本実施例では、被切断材110は、当て板38に密着した状態で機枠39に直接或いは間接的に予め固定された支持部材112と出側受部材28との2箇所で支持される。この支持部材112の上端面である支持面は出側受部材28の支持面28aと同じ高さに設定されている。位置決めアクチュエータ86を用いて出側受部材28の位置を、たとえば2点鎖線で示す位置まで移動させることで、大きさの異なる断面H字形状の被切断材110が好適にクランプされる。本実施例によれば、前述の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0048】
図10は、棒材切断機10が、たとえば溝型鋼或いはチャンネル材のような断面U字形状の棒材である被切断材114を切断する場合の要部を示している。本実施例では、被切断材114は、当て板38に密着した状態で機枠39に直接或いは間接的に予め固定された支持部材112と出側受部材28との2箇所で支持される。この支持部材112の上端面である支持面は出側受部材28の支持面28aと同じ高さに設定されている。位置決めアクチュエータ86を用いて出側受部材28の位置を、たとえば2点鎖線で示す位置まで移動させることで、大きさの異なる断面U字形状の被切断材114を好適にクランプすることができる。本実施例によれば、前述の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0049】
図11および図12は、棒材切断機10の縦方向固定クランプ装置32に用いられる他の実施例のベース部材120およびそれに固定される出側受部材128の取付け構造を、それに載置される被切断材14の軸心O1の方向および軸心O1に直角な方向からそれぞれ示している。本実施例では、図13の第1出側受部材128および図14の第2出側受部材130に代表される、被切断材14の径に応じた複数種類の出側受部材が用意されている。
【0050】
上記ベース部材120は、前述の実施例のベース部材82に比較して、案内溝80、面取面82aが形成されておらず、厚みの小さい板材であるが、面取面82bと同様の面取面120bが形成されている。このベース部材120には、上記第1出側受部材128または第2出側受部材130を共通の固定場所に択一的に取り付けるための一対の貫通穴が形成され、その貫通穴を通して上記第1出側受部材128または第2出側受部材130に形成された一対の雌ねじ穴132に締結部材である一対のボルト134が螺合されることにより、第1出側受部材128または第2出側受部材130がベース部材120に着脱可能に固定されるようになっている。図11において、上記ベース部材120のボルト134が装着されている位置が第1出側受部材128または第2出側受部材130の固定場所に対応している。
【0051】
上記第1出側受部材128は、一対の雌ねじ穴132が両端部に形成された長手板状の固定部128aと、大径の被切断材14を支持するように固定部128aの第1位置すなわち長手方向の中央部から上方へ突設された支持部128bとを備えている。上記固定部128aの入側受部材27側には、入側受部材27側へ向かうほど下方へ向かう傾斜面128cが形成され、上記支持部128bには、被切断材14の下側に当接してそれを支持するための支持面128dと、その支持面128dに続いて入側受部材27から離隔するほどその支持面128dから低くなる出側傾斜面128eが形成されている。
【0052】
上記第2出側受部材130は、一対の雌ねじ穴132が両端部に形成された長手状の固定部130aと、小径の被切断材14を支持するように固定部130aの第2位置すなわち長手方向の当て板38側の端部から上方へ突設された支持部130bとを備えている。上記固定部130aの入側受部材27側には、入側受部材27側へ向かうほど下方へ向かう傾斜面が形成され、上記支持部130bには、被切断材14の下側に当接してそれを支持するための支持面130dと、その支持面130dに続いて入側受部材27から離隔するほどその支持面130dから低くなる出側傾斜面130eが形成されている。
【0053】
図11では、実線で示される大径の被切断材14が切断される場合は、実線で示される第1出側受部材128がボルト134によってベース部材120に固定され、2点鎖線で示される小径の被切断材14が切断される場合は、2点鎖線で示される第2出側受部材130がボルト134によってベース部材120に固定される。本実施例によれば、前述の実施例と同様の効果が得られるのに加えて、位置決めアクチュエータ86およびそれに駆動される可動機構が不要となる利点がある。
【実施例5】
【0054】
図15および図16は、棒材切断機10の縦方向固定クランプ装置32に用いられる他の実施例のベース部材138およびそれに固定される出側受部材140の取付け構造を、それに載置される被切断材14の軸心O1の方向および軸心O1に直角な方向からそれぞれ示している。本実施例のベース部材138は、前述のベース部材120と同様の形状の面取り面138bが形成された板材であるが、出側受部材140を複数位置に固定するための貫通穴142が形成され、共通の出側受部材140が異なる径の被切断材14に応じて、ベース部材138に複数箇所設けられた複数の固定位置のいずれか1つに択一的に固定されるようになっている。
【0055】
本実施例のベース部材138には、複数箇所(本実施例では7箇所)に出側受部材140を固定するための上下一対の貫通穴142が複数対形成されており、貫通穴142に差し通された一対のボルト134が出側受部材140に螺合されることによってその出側受部材140が被切断材14の径に応じてベース部材138の所定位置に固定されるようになっている。ベース部材138において、上下一対の貫通穴142が出側受部材140の固定場所に対応している。
【0056】
出側受部材140は、縦方向に長手状の角柱状部材であって、被切断材14の下側に当接してそれを支持するための支持面140dと、その支持面140dに続いて入側受部材27から離隔するほどその支持面140dから低くなる出側傾斜面140eとを備え、一対のボルト134が螺合される一対の雌ねじ穴が下部に形成されている。
【0057】
図15では、実線で示される大径の被切断材14が切断される場合は、実線で示される出側受部材140がボルト134によってベース部材138に固定され、2点鎖線で示される小径の被切断材14が切断される場合は、2点鎖線で示される出側受部材140がボルト134によってベース部材138に固定される。本実施例によれば、前述の実施例と同様の効果が得られるのに加えて、位置決めアクチュエータ86およびそれに駆動される可動機構が不要となる利点がある。
【0058】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0059】
たとえば、前述の実施例において、入側受部材27は、出側受部材28と同様な幅寸法を有し、出側受部材28の移動に同期してそれと同様に移動させられるものであってもよい。
【0060】
また、前述の実施例の入側受部材27は、被切断材14、110、114の大きさに応じて移動させられていたが、被切断材14、110、114が単一種類である場合には、必ずしも移動可能でなくてもよく、それらの幅方向において固定されていてもよい。
【0061】
また、前述の実施例において、被切断材14、110、114は、丸棒鋼、H型鋼、溝型鋼であったが、これに限らず、円筒状鋼、L字鋼、異型断面材など様々な断面形状の棒材であってもよい。
【0062】
また、前述の実施例において、棒材切断機10は、スイング方式のものであったが、これに限らず、例えば、横スライド方式、又は縦スライド方式のもの等であってもよい。
【0063】
また、前述の実施例において、ミスト化する切削液として植物性油が使用されていたが、これに限らず、例えば、動物性油、鉱物油、合成油、或いはそれらの混合油などが使用されてもよい。
【0064】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
10:棒材切断機
14、110、114:被切断材
20:丸鋸
27:入側受部材
28:出側受部材
28a:支持面
28b:出側傾斜面
30:横方向固定クランプ装置
32:縦方向固定クランプ装置(クランプ装置)
38:当て板
40:油圧シリンダ(アクチュエータ)
42:クランプパッド(押圧部材)
46:超硬チップ(外周刃)
82、120、138:ベース部材
82a:面取面
84:移動部材
84a:受部材取付部
84b:傾斜面
86:位置決めアクチュエータ
128:第1出側受部材
130:第2出側受部材
128d、130d:支持面
128e、130e:出側傾斜面
128a、130a:固定部
128b、130b:支持部
128c:傾斜面
132:雌ねじ穴
134:ボルト(締結部材)
140:出側受部材
142:貫通穴(固定場所)
K:切屑

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に連なる複数個の外周刃を外周部に有する円板状の丸鋸を回転させつつ長手状の棒材に切り込ませることにより、該棒材を所定の長さ寸法に切断するに際して、該丸鋸が切り込まれる該棒材の先端部付近を挟持するクランプ装置を備えた棒材切断機であって、
該クランプ装置は、前記丸鋸の通過を許容するための所定の隙間を前記棒材の長手方向に隔てて該棒材の長手方向に固設されている入側受部材および出側受部材と、アクチュエータによって移動させられる押圧部材との間で前記棒材を挟持するものであり、
前記出側受部材は、前記棒材の幅方向寸法よりも小さい予め定められた幅寸法の支持面を有し、該支持面を用いて該棒材を支持するものであることを特徴とする棒材切断機。
【請求項2】
前記出側受部材は、前記入側受部材から離隔するほど前記支持面から低くなる出側傾斜面を有することを特徴とする請求項1の棒材切断機。
【請求項3】
位置固定のベース部材と、
該ベース部材に設けられた案内溝により案内されて前記棒材の幅方向に移動可能に設けられ、前記出側受部材が固定された移動部材と、
該移動部材に連結されて該出側受部材の位置を変更する位置決めアクチュエータとを、含むことを特徴とする請求項1または2の棒材切断機。
【請求項4】
前記移動部材は、上端縁部の一部に前記出側受部材が固定された受部材取付部と、前記入側受部材へ向かうほど低くなるように該上端縁部のうちの該受部材取付部を除く部分に形成された傾斜面とを、有することを特徴とする請求項3の棒材切断機。
【請求項5】
前記移動部材は、前記ベース部材の前記入側受部材側の側面に密着した状態で設けられた板状の部材であり、
該ベース部材は、該入側受部材へ向かうほど低くなる面取面を該入側受部材側の側面と上面との間の角部に有し、
前記移動部材に形成された傾斜面は該面取面に続いて傾斜していることを特徴とする請求項3または4の棒材切断機。
【請求項6】
前記位置固定のベース部材の前記入側受部材側の側面と上面との間の角部に形成された前記面取面と、該面取面に続いて傾斜している前記移動部材の傾斜面との接続部分において、該面取面の下端が該傾斜面の上端よりも前記入側受部材側に所定量突き出していることを特徴とする請求項5の棒材切断機。
【請求項7】
前記クランプ装置は、前記丸鋸が切り込まれる前記棒材の先端部付近を横方向に挟持する横方向固定クランプ装置、および、該棒材の先端部付近を縦方向に挟持する縦方向固定クランプ装置を備え、
前記縦方向固定クランプ装置は、前記アクチュエータによって移動させられる押圧部材により前記棒材を上方から押圧して前記入側受部材との間で挟持するものである請求項1の棒材切断機。
【請求項8】
前記出側受部材を締結部材を用いて予め定められた固定位置に着脱可能に固定するための共通の固定場所が設けられた位置固定のベース部材を備え、
該出側受部材は、前記固定場所に固定される固定部と、該固定部から上方へ突き出す支持部とをそれぞれ有し、該固定部に対して該支持部が第1位置に位置する第1出側受部材と、該固定部に対して該支持部が該第1位置と異なる第2位置に位置する第2出側受部材とから成り、
該第1出側受部材と第2出側受部材とは、前記ベース部材の固定場所に択一的に固定されるものであることを特徴とする請求項1または2の棒材切断機。
【請求項9】
前記出側受部材を締結部材を用いて着脱可能に固定するための予め設定された複数の固定場所が設けられた位置固定のベース部材を備え、
該出側受部材は、前記ベース部材の複数の固定場所に択一的に固定されるものであることを特徴とする請求項1または2の棒材切断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−240463(P2011−240463A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116787(P2010−116787)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】