説明

棚装置

【課題】 天板および頂枠がなく上方が開放された棚構造においても、棚全体の強度が確保された棚装置を提供すること。
【解決手段】 左右一対の側部材2,2を設け、この両側部材2,2の対向する内側面の前後に、複数の棚板9を架設するための係止部4を設け、両側部材2,2の上部及び下部同士を連結した棚装置1において、両側部材2,2の上部同士は、内方下端側に形成した開口により両側部材の上端部に各々嵌合する左右一対の側枠10aと、この両側枠10a,10aの後部同士を連結する後部枠10bとを備える上部枠材10により連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の側部材を設け、該両側部材の対向する内側面の前後に、前記両側部材間の任意の高さ位置に複数の棚板を架設するための係止部を設け、前記両側部材の上部及び下部同士を連結した棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の棚装置は、左右一対の側部材を立設させ、それぞれの下部を四方形の底枠にボルトで連結させ、側部材の上部をボルトで四方形の頂枠に連結させて枠状に形成させたのち、両側部材間の上下方向に複数の棚板を架設させることで、複数の商品を陳列可能な構成になっている。この頂枠および底枠により、左右側部材の上部および下部が連結固定されることで棚全体の強度が確保されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実願昭57−37186号(実公昭58−139939号公報)のマイクロフィルム(第2〜3頁、第1、2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、例えば、天板よりも上方に突出する丈の高い商品を棚板に載置したい場合には、天板を取り外して上方を開放させ、最上部の棚板に商品を陳列させることが考えられるが、この場合、棚装置上部に設けられた頂枠が商品の載置や移動あるいは商品の交換の際に妨げになっていた。そこで、頂枠を両側部材から取り外して上方を開放する構造も考えられるが、棚装置全体の強度に問題が生じる恐れがあった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、天板および頂枠がなく上方が開放された棚構造においても、棚全体の強度が確保された棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の棚装置は、左右一対の側部材を設け、該両側部材の対向する内側面の前後に、前記両側部材間の任意の高さ位置に複数の棚板を架設するための係止部を設け、前記両側部材の上部及び下部同士を連結した棚装置であって、前記両側部材の上部同士は、内方下端側に形成した開口により前記両側部材の上端部に各々嵌合する左右一対の側枠と、該両側枠の後部同士を連結する後部枠とを備える上部枠材により連結したことを特徴としている。
この特徴によれば、上部枠材により両側部材の上部が連結されることから、天板がない上方が開放された棚構造においても棚全体の強度が確保され、最上段の棚板に上方に突出する丈の高い商品の載置を行え、棚の外部からの商品の識別もされ易くなる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の棚装置は、請求項1に記載の棚装置であって、前記後部枠から上部連結部材を下方に向けて突設させ、該上部連結部材の両端を前記両側部材に螺合させたことを特徴としている。
この特徴によれば、後部枠材に設けられた上部連結部材の両端を両側部材に螺合させたことにより、両側部材の連結強度が高められ、棚全体の強度がさらに向上する。
【0008】
本発明の請求項3に記載の棚装置は、請求項1または2に記載の棚装置であって、前記係止部の上部に支持部材を係止させ、該支持部材に上面が前記上部枠材の上面と略面一となる天板を載置したことを特徴としている。
この特徴によれば、必要に応じて棚の上部に設けられた支持部材に天板を設けることが可能となり、支持部材に天板が載置されると、上部枠部材の上面と天板の上面とが略面一となるので見栄えも良く、通常の上方が天板で閉鎖された棚装置としても利用できる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の棚装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の棚装置であって、前記上部枠材は、前記両側部材の上端面に当接する上面視コ字形の芯材と、該芯材の外側面を覆い外方に向けて突出する飾り縁材とを備え、芯材と飾り縁材とで前記開口を形成していることを特徴としている。
この特徴によれば、芯材と飾り縁材とで開口を形成して側部材の上端に上部枠材の側部部を確実に嵌合させることができ、しかも上部枠材の左右面および背面に飾り縁材を備えることで、高級感のあるデザイン性に優れた棚を提供できる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の棚装置は、請求項4に記載の棚装置であって、前記天板は、前記芯材の内方に形成された空間に嵌合される基板と、該基板の前端を覆う飾り縁材とで構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、棚の上部に天板が取り付けられた場合でも、天板の前端に上部枠材と同様に飾り縁材が設けられることで、棚上部の外周の外観が統一され見栄えも良くなり、高級感のあるデザイン性に優れた棚装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の実施例における棚装置である商品陳列棚の全体像を示す斜視図であり、図2は、商品陳列棚の分解組立斜視図であり、図3は、商品陳列棚の両側部材の連結構造を示す断面図であり、図4は、天板と棚板の取り付け過程を示す分解組立斜視図であり、図5は、図4に示される天板と棚板の取り付け完了状態を示す断面図であり、図6は、天板が取り付けられた商品陳列棚の上部を示す斜視図である。この本実施例の棚装置は、例えば、スーパー等の商品売り場に設置されており、複数の商品を数多く載置して、消費者が直に商品の取り出しを行えるようになっている商品陳列棚1に適用されている。
【0013】
図1に示されるように、商品陳列棚1は左右に床面から上下方向に立設された側部材2が左右一対にて所定間隔離間されており、側部材2の下端部の前後に棚板17が設けられた下部連結部材18が連結され、側部材2の上端部に、左右の側枠10aおよび後方に後部枠10bを備えた上面視コ字状の上部枠材10が連結され、両側部材2,2の間の上下方向に複数(本実施例では2つの)の棚板9が設けられ、棚板17および各棚板9に複数の商品25が陳列されている。
【0014】
棚板17および各棚板9には、金属棒状のフレーム24が四辺に設けられており、商品25が床に落下しないように防止されている。そして上部枠材10の形状により、商品陳列棚1には上部前方から上方に掛けて開放された空間が形成され、丈の長い商品25であっても、最上段の棚板9に載置することが可能になっている。
【0015】
以下、本実施例の説明において、商品陳列棚1の正面側を前方とし、商品陳列棚1の背面側を後方とし、商品陳列棚1の両側方向を左右方向として説明する。
【0016】
商品陳列棚1の構造について詳細に説明すると、図2に示されるように、側部材2は、前後に所定間隔離間され立設された支柱3の上端部3aが横架材7で連結固定されることで構成されている。左右の側部材2、2の向かい合う各支柱3内面側には、複数の棚板を架設するための係止部となる金属製の係止レール4が嵌合されており、この係止レール4には上下方向に複数の係止穴4aが形成され、最上部の係止穴4aにダボ状の支持部材5が4つ取り付けられ、他の係止穴4aにはダボ6が上下に4つ1組で計8つ取り付けられている。
【0017】
各支柱3の上端には螺合穴3cが形成されていると共に、左右方向に貫通する連結孔3bが形成され、同様に下端部3dに連結孔3bが上下に2つ形成されている。床に載置された前後の下部連結部材18の左右端部には螺合穴19aが形成され、同様に棚板17の左右端部の前後にも螺合穴17aが形成されている。
【0018】
上部枠材10は、側枠10aと後部枠10bとから成り、側枠10aは前方が開口された上面視コ字状に形成された芯材11と、芯材11の外側面を覆うように形成され固着された飾り縁材12の内、前後の支柱3,3と横架材7上に延在する部分であり、後部枠10bはこの側枠10aの後部同士を連結した部分をいう。そして飾り縁材12は芯材11より下方に延びているために、両者が接合されることで内方下端側に開口Hが形成され、この開口Hが支柱3,3と横架材7の上端部を嵌合するように構成されている。芯材11の後部枠RFの下面には下方に突設するように上部連結部材13が固着され、上部枠材10の連結強度を高めている。
【0019】
飾り縁材12の外周面の全てには、上部から下方に向けて逆階段にデザイン性に優れた多段溝12aが形成されている。芯材11の後方の隅部と前方にはそれぞれ上下方向に貫通する連結孔11aが形成され、上部連結部材13の左右端部には螺合穴13aが形成されている。
【0020】
そして、図3に示すように、2本のボルト23を芯材11の後方の左右連結孔11aを介して、後方の支柱3,3の上端部3aの螺合穴3cに螺合させることにより、上部枠材10が側部材2に連結固定され、同様にして、芯材11は両側部材2,2前方の2本の支柱3,3にもボルト23で連結固定される。
【0021】
さらに、両側部材2,2の外方側面より、ボルト23を後方の左右の支柱3,3の最上部に形成された連結孔3bを介して、上部連結部材13の螺合穴13aに螺合させることにより、上部連結部材13を後方の左右の支柱3間に固設し、両側部材2,2の上端部の連結強度が高めている。
【0022】
左右の支柱3の最下部に形成された連結孔3bを介して、ボルト23を下部連結部材18の両端に形成された螺合穴13aに螺合させることにより、左右の支柱3,3の下端部3d間に前後一対の下部連結部材18が設けられる。
【0023】
これにより、両側部材2,2が上部枠材10と上部連結部材13及び前後の下部連結部材18によって連結固定されることで枠体が構成され、商品陳列棚1の上部および下部の連結強度の強固が高められる。また、前後の下部連結部材18に設けられた棚板17も両側部材2,2の外方より、ボルトを左右の支柱3,3に形成された連結孔3bを介して、棚板17の端部に形成された螺合穴17aに螺合される。
【0024】
このように、芯材11と飾り縁材12とで開口Hを形成して、両側部材2,2の上端に上部枠材10の両側枠10aを確実に嵌合させることができ、しかも上部枠材10の左右面および背面に多段溝12aが形成される飾り縁材12を備えることで、高級感のあるデザイン性に優れた商品陳列棚1が提供される。
【0025】
以上の説明から構成された商品陳列棚1の枠体には、図4に示されるように天板20およびが棚板9を取り付け可能になっており、まず天板20について具体的に説明すると、天板20は、上面視矩形の棚板9に相当する基板21と、基板21の前端面21aを覆うように設けられた飾り縁材22から構成されている。
【0026】
飾り縁材22の前端面には、上部枠材10の飾り縁材12の多段溝12aと同形状のデザイン性に優れた多段溝22aが形成されている。基板21の上面前端縁には棚板9と同様の商品落下防止用のフレーム24が設けられ、上部枠材10の芯材11の左右側枠10aおよび後部枠10bにもフレーム24が所定間隔で設けられている。
【0027】
天板20を商品陳列棚1に取り付けるには、図4の一点鎖線の矢印に示されるように上部枠材10の芯材11の内方に形成された空間方向に移動させていき、天板20の基板21の両側端面および後部面、飾り縁材22の両端面を上部枠材10の芯材11の内側面および飾り縁材12の両端面に摺接させながら、基板21の下面が各支柱3の係止レール4に設けられた支持部材5に当接されるまで下方に移動させていく。
【0028】
一方、棚板9の取り付けは、各支柱3の係止レール4に設けられたダボ6の上部位置で、商品陳列棚1の前方から後方に向かって差し入れていき、棚板9の下面がダボ6に当接されるまで下方に移動させていく。これにより、図5に示されるように、天板20が芯材11の内側面に嵌合された状態で左右前後に設けられた支持部材5に安定して支持され、棚板9も左右前後に設けられたダボ6に安定して支持されて取り付けが完了する。特に図示しないが他の棚板9(図1参照)も同様に取り付けられ、各棚板9上に複数の商品25を載置できる。
【0029】
このように、上部枠材10に天板20が嵌合され取り付けられると、図6に示されるように、上部枠材10の芯材11および飾り縁材12の上面と、天板20の基板21および飾り縁材22の上面が面一となり見栄えが良く、通常の上方が天板20で閉鎖された棚装置としても利用できる。
【0030】
そして、棚板9と同様に天板20の上面に商品25を載置可能となり、また芯材11に設けられたフレーム24と、天板21の前端縁上面に設けられたフレーム24により、商品25の落下が防止される構造になっている。
【0031】
なお、天板20前面には多段溝22aが形成されているので、上部枠材10の前面に形成された多段溝12aと横一列に各溝模様が連結され、外周面の外観が統一されることから見栄えが良くなり、高級感のあるデザイン性に優れた商品陳列棚1が構成される。
【0032】
以上の説明により本実施例では、上部枠材10により両側部材2,2の上部が連結されることから、天板20がない上方が開放された商品陳列棚1の棚構造においても、棚全体の強度が確保され、最上段の棚板9に上方に突出する丈の高い商品25の載置を行え(図1参照)、商品陳列棚1の外部からの商品25の出し入れや識別もされ易くなる。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、上部枠材10の外周に多段溝12aが形成された飾り縁材12を設けることで、商品陳列棚1の上部にデザイン性を形成させたことから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、上部枠材10に飾り縁材12を設けない上部枠材構造にしても良く、この構造においても芯材11および上部連結部材13によって、両側部材2,2の上部の連結強度が変わらずに維持されることは言うまでもなく、また、他の構造の飾り縁材を芯材11の外周に設けるようにしても良い。
【0034】
また、上記実施例では、芯材11の後部枠の下面に上部連結部材13を設けることで、両側部材2,2の上部の連結強度をさらに強固に高められることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、上部連結部材13を設けない芯材11のみの上部枠材10でも良く、芯材11と両側部材2,2のみの連結によっても、商品陳列棚1の上部の連結強度は維持され、通常の使用状態においても何ら支障をきたすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例における棚装置である商品陳列棚の全体像を示す斜視図である。
【図2】商品陳列棚の分解組立斜視図である。
【図3】商品陳列棚の両側部材の連結構造を示す断面図である。
【図4】天板と棚板の取り付け過程を示す分解組立斜視図である。
【図5】図4に示される天板と棚板の取り付け完了状態を示す断面図である。
【図6】天板が取り付けられた商品陳列棚の上部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 商品陳列棚(棚装置)
2 側部材
3 支柱
3a 上端部
3b 連結孔
3c 螺合穴
3d 下端部
4 係止レール(係止部)
4a 係止穴
5 支持部材
6 ダボ
7 横架材
9 棚板
10 上部枠材
10a 側枠
10b 後部枠
11 芯材
11a 連結孔
12 飾り縁材
12a 多段溝
13 上部連結部材
13a 螺合穴
16 載置台
17 棚板
17a 螺合穴
18 下部連結部材
19a 螺合穴
20 天板
21 基板
21a 前端面
22 飾り縁材
22a 多段溝
23 ボルト
24 落下防止用フレーム
25 商品
H 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側部材を設け、該両側部材の対向する内側面の前後に、前記両側部材間の任意の高さ位置に複数の棚板を架設するための係止部を設け、前記両側部材の上部及び下部同士を連結した棚装置であって、前記両側部材の上部同士は、内方下端側に形成した開口により前記両側部材の上端部に各々嵌合する左右一対の側枠と、該両側枠の後部同士を連結する後部枠とを備える上部枠材により連結したことを特徴とする棚装置。
【請求項2】
前記後部枠から上部連結部材を下方に向けて突設させ、該上部連結部材の両端を前記両側部材に螺合させた請求項1に記載の棚装置。
【請求項3】
前記係止部の上部に支持部材を係止させ、該支持部材に上面が前記上部枠材の上面と略面一となる天板を載置した請求項1または2に記載の棚装置。
【請求項4】
前記上部枠材は、前記両側部材の上端面に当接する上面視コ字形の芯材と、該芯材の外側面を覆い外方に向けて突出する飾り縁材とを備え、芯材と飾り縁材とで前記開口を形成している請求項1乃至3のいずれかに記載の棚装置。
【請求項5】
前記天板は、前記芯材の内方に形成された空間に嵌合される基板と、該基板の前端を覆う飾り縁材とで構成されている請求項4に記載の棚装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−102114(P2006−102114A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292684(P2004−292684)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】