説明

棚装置

【課題】棚装置の棚部を上下複数段に配設するようにした場合でも、棚部に載置した箱の上部空間の高さを大きく取ることができるようにした棚装置を提供すること。
【解決手段】パイプ部材とその連結具とから構成される棚本体1と、上下複数段に配設した棚部2、2Aとからなる棚装置において、棚部2を構成する棚部材21a、21bを、棚装置の奥行き方向Xに移動可能に配設するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚装置に関し、例えば、電機・機械製品の組立工場において箱詰めされた電機・機械部品を作業者が取り出して所定の組立作業をするため等に用いられる棚装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電機・機械製品の組立工場において箱詰めされた電機・機械部品を作業者が取り出して所定の組立作業をするために、パイプ部材とその連結具とから構成される棚装置が汎用されている。
【0003】
ところで、従来の棚装置は、棚部を構成する棚部材が固定されているため、例えば、電機・機械部品を収容した箱が複数あり、この箱を高さ方向に重ねて並べるため、棚装置の棚部を上下複数段に配設するようにした場合、棚部に載置した箱の上部空間の高さが、箱の高さと、その上の棚部とによって規制され、上部空間の高さが小さい場合には、棚部に載置した箱から電機・機械部品を取り出しにくく、作業者に無理な姿勢を強いたり、作業効率が低下するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来の棚装置の有する問題点に鑑み、棚装置の棚部を上下複数段に配設するようにした場合でも、棚部に載置した箱の上部空間の高さを大きく取ることができるようにした棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の棚装置は、パイプ部材とその連結具とから構成される棚部を上下複数段に配設するようにした棚装置において、前記棚部を構成する棚部材を、棚装置の奥行き方向に移動可能に配設したことを特徴とする。
【0006】
この場合において、前記棚部が、棚装置の奥行き方向に間隔をあけて配設した棚装置の幅方向に延設した複数の棚部材と、該棚部材の端部に接続されるとともに、棚装置の奥行き方向の略中間位置で折曲可能にした支持部材とからなり、前記複数の棚部材のうち外側の棚部材の両端部を、棚装置の奥行き方向に延設したガイド部材に沿って摺動可能に接続することができる。
【0007】
また、前記外側の棚部材に沿ってローラ部材を配設することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の棚装置によれば、棚部を構成する棚部材を、棚装置の奥行き方向に移動可能に配設するようにしているので、棚部に載置した箱の上方の棚部を構成する棚部材を棚装置の奥行き方向に移動させて、棚部に載置した箱の上方に開口部を形成することができる。これにより、棚装置の棚部を上下複数段に配設するようにした場合でも、棚部に載置した箱の上部空間の高さを大きく取ることができ、棚部に載置した箱から電機・機械部品等を取り出す際に作業者に無理な姿勢を強いることがなく、作業効率を向上されることができる。
【0009】
また、前記棚部が、棚装置の奥行き方向に間隔をあけて配設した棚装置の幅方向に延設した複数の棚部材と、該棚部材の端部に接続されるとともに、棚装置の奥行き方向の略中間位置で折曲可能にした支持部材とからなり、前記複数の棚部材のうち外側の棚部材の両端部を、棚装置の奥行き方向に延設したガイド部材に沿って摺動可能に接続することにより、複数の棚部材の移動を連動させ、棚部材の移動を簡易に行うことができる。
【0010】
また、前記外側の棚部材に沿ってローラ部材を配設することにより、箱の棚部への搬入、搬出を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の棚装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図2に、本発明の棚装置の一実施例を示す。
この棚装置は、パイプ部材とその連結具とから構成するようにしたもので、棚本体1と、上下複数段に配設した棚部2、2Aと、移動用のキャスター3とからなる。
【0013】
棚本体1は、縦材11と横材12a、12bとを、連結具で固定することにより枠組みし、所定の形状に組み立てられている。
【0014】
上下複数段に配設した棚部2、2Aは、棚本体1と一体化した最下段の固定棚部2Aを除き、棚部2を構成する棚部材21a、21bを、棚装置の奥行き方向(図示X方向)に移動可能に配設するようにしている。
【0015】
より具体的には、棚部2は、棚装置の奥行き方向に間隔をあけて配設した棚装置の幅方向(図示Y方向)に延設した複数(特に限定されるものではないが、本実施例においては4本)の棚部材21a、21bと、この棚部材21a、21bの端部に接続されるとともに、棚装置の奥行き方向の略中間位置にヒンジ部材22aを配設することにより折曲可能にした支持部材22とからなり、複数の棚部材21a、21bのうち両方の外側の棚部材21aの両端部を支持部材22の接続部からさらに延設し、棚装置の奥行き方向に延設したガイド部材23に沿って摺動可能に接続するようにしている。
これにより、複数の棚部材21a、21bの移動を連動させ、棚部材21a、21bの移動を簡易に行うことができる。
【0016】
なお、本実施例においては、支持部材22によって、複数の棚部材21a、21bの移動を連動させるようにしたが、例えば、支持部材22を省略し、すべての棚部材21a、21bの端部を、ガイド部材23に沿って摺動可能に接続するようにすることもできる。
【0017】
ここで、棚部材21a、21bと支持部材22との接続は、外側の棚部材21aに対して支持部材22を接続位置で揺動可能に接続するようにし、一方、中央側の棚部材21bに対して支持部材22を接続位置で固定して接続するようにする。
【0018】
また、棚装置の奥行き方向の略中間位置で折曲可能にした支持部材22は、棚部2を形成する複数の棚部材21a、21bが略水平な同一平面上に位置するとき、棚本体1の縦材11に当接することによって外側への移動が阻止される両方の外側の棚部材21a間で、外側の棚部材21a若干折曲した上に凸の山形形状で突っ張った状態で維持されるようにする。
これにより、中央側の棚部材21bに大きな荷重がかかった場合でも、支持部材22によって、確実に支持することができる。
なお、棚部2を形成する複数の棚部材21a、21bが略水平な同一平面上に位置するとき、折曲可能にした支持部材22の略中間位置を、所定の長さの索条等によって、棚本体1の横材12aに吊り下げ、支持するようにすることもできる。
【0019】
さらに、外側の棚部材21aの外側上方位置には、棚部材21aに沿ってローラ部材4を配設するようにしている。
これにより、箱の棚部2への搬入、搬出を円滑に行うことができる。
【0020】
そして、この棚装置は、例えば、電機・機械部品等を収容した箱を載置するときは、図1及び図2(a)に示すように、棚部2を形成する複数の棚部材21a、21bが略水平な同一平面上に位置するようにする。
そして、この状態で、図2(b)に示すように、棚部2に載置した箱の上方の棚部2の一方の外側の棚部材21aの両端部をガイド部材23に沿って摺動させることにより、棚部2を構成する棚部材21a、21b(他方の外側の棚部材21aを除く)を、棚装置の奥行き方向に移動するようにする。
このように、棚部2に載置した箱の上方の棚部2を構成する棚部材21a、21b(他方の外側の棚部材21aを除く)を棚装置の奥行き方向に移動させることによって、棚部2に載置した箱の上方に開口部Hを形成することができる。
なお、開口部Hの大きさは、棚部2を構成する棚部材21aの棚装置の奥行き方向への移動量に応じて調節することができるが、最大棚部2の80%程度以上にすることができる。
これにより、棚装置の棚部2、2Aを上下複数段に配設するようにした場合でも、棚部2に載置した箱の上部空間の高さを大きく取ることができ、棚部2に載置した箱から電機・機械部品等を取り出す際に作業者に無理な姿勢を強いることがなく、作業効率を向上されることができる。
【0021】
以上、本発明の棚装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の棚装置は、棚装置の棚部を上下複数段に配設するようにした場合でも、棚部に載置した箱の上部空間の高さを大きく取ることができることから、例えば、電機・機械製品の組立工場において箱詰めされた電機・機械部品を作業者が取り出して所定の組立作業をするため等に用いられる移動式又は固定式の棚装置の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の棚装置の一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】同棚装置の動作を模式的に示したもので、(a)は箱を載置する状態を、(b)は棚部に載置した箱の上方を開放するようにした状態を示す説明図である。
【0024】
1 棚本体
11 縦材
12a 横材
12b 横材
2 棚部
2A 棚部
21a 棚部材
21b 棚部材
22 支持部材
22a ヒンジ部材
23 ガイド部材
3 キャスター
4 ローラ部材
H 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ部材とその連結具とから構成される棚部を上下複数段に配設するようにした棚装置において、前記棚部を構成する棚部材を、棚装置の奥行き方向に移動可能に配設したことを特徴とする棚装置。
【請求項2】
前記棚部が、棚装置の奥行き方向に間隔をあけて配設した棚装置の幅方向に延設した複数の棚部材と、該棚部材の端部に接続されるとともに、棚装置の奥行き方向の略中間位置で折曲可能にした支持部材とからなり、前記複数の棚部材のうち外側の棚部材の両端部を、棚装置の奥行き方向に延設したガイド部材に沿って摺動可能に接続したことを特徴とする請求項1記載の棚装置。
【請求項3】
前記外側の棚部材に沿ってローラ部材を配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の棚装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−176633(P2007−176633A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375528(P2005−375528)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】