説明

椅子型トイレ

【課題】この発明は、ベッドに腰掛けた病人や足腰の不自由な人が、立ち上がることなくトイレの便座上に乗り移って排便し、排便後も一人でベッド上へ戻ることができる椅子型トイレの提供を目的とする。
【解決手段】肘掛け部4に設けられた肘掛け固定機構30のロック解除ボタン33を操作して、ガイドレール14の係止孔14a又は14bから肘掛け固定ピン31の係止部31bを抜き取ることにより、肘掛け板4Aの固定が解除される。同時に、後退位置の肘掛け板4Aは前方へ水平移動され、前進位置の肘掛け板4Aは後方へ水平移動される。また、肘掛け板4Aを後退位置まで移動すると、前端側の係止孔14aに肘掛け固定ピン31の係止部31bが係合され、肘掛け板4Aが後退位置に固定される。また、肘掛け板4Aを前進位置まで移動すると、後端側の係止孔14bに肘掛け固定ピン31の係止部31bが係合され、肘掛け板4Aが前進位置に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばベッドに腰掛けた病人や足腰の不自由な人が、立ち上がることなくトイレの便座上に乗り移って排便し、排便後も一人でベッド上へ戻ることができる椅子型トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例の椅子型トイレとしては、例えば本体部の一側に取り付けられた肘掛け部を上方へ跳ね上げて、背凭れ部と平行する姿勢に起立する。座部の側方が開放された状態にして、例えばベッドから本体部へ利用者が移乗したり、本体部からベッドへ利用者が移乗したりする特許文献1のポータブルトイレがある。しかし、肘掛け部を上方へ跳ね上げてしまうと、身体を肘掛け部で支えることができなくなる。また、移乗するのに手間及び時間が掛かるだけでなく、横転するか転げ落ちてしまう恐れがあるため、移乗する際に介助が必要になる。
【0003】
また、前記以外の方法としては、肘掛け部を背凭れ部の後方へ移動するか、トイレの便座上面と水平となる高さに降下する方法があるが、前記と同様に、移乗する際に身体を肘掛け部で支えることができない。さらに、トイレに移乗して正面向きに着座した姿勢のままでは、肘掛け部を下方へ回動したり、前方へ引き出したりする操作が行いにくく、身体の姿勢を横向きに変更しなければならない。しかし、身体的能力の低下した老人や身障者等の利用者の手では操作することが難しい。
【0004】
他の例としては、例えば脚杆の外側に取り付けられた肘掛けの横杆が前後方向に伸縮可能な特許文献2の可搬便器がある。しかし、肘掛けの横杆は、補助横杆の底面に対しボルトにより締付け固定されているので、肘掛けを前後方向に伸縮調節する場合、ボルトを緩み方向及び締付け方向に回動操作しなければならず、伸縮調節作業に手間及び時間が掛かる。また、肘掛けの縦杆が座板の側部に固定されているので、可搬便器の側部から腰掛けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−152276号公報
【特許文献2】特開2003−111690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、ベッドに腰掛けた病人や足腰の不自由な人が、立ち上がることなくトイレの便座上に乗り移って排便し、排便後も一人でベッド上へ戻ることができる椅子型トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上面側開口部に便座が載置された椅子本体と、該椅子本体の後側に取り付けられた背凭れ部と、該椅子本体の両側に取り付けられた左右一対の肘掛け部と、該椅子本体の両側下端に取り付けられた左右一対の脚部とを備えた椅子型トイレであって、前記肘掛け部は、前記椅子本体の側面と略同一となる長さに形成された肘掛け板と、該椅子本体の中央側面より後側に取り付けられた肘掛け支持板とで構成され、前記肘掛け板は、前記肘掛け支持板の水平支持板上に対して、該肘掛け板の前端が前記椅子本体の前側上方に移動される前進位置と、該肘掛け板の前端が前記椅子本体の中央上方に移動される後退位置とに前記椅子本体の前後方向と平行して水平移動自在に設けられ、前記肘掛け支持板には、前記肘掛け板が前進位置及び後退位置に移動された際に、該肘掛け板を前後方向に対し水平移動不可に固定する肘掛け固定手段が設けられた椅子型トイレであることを特徴とする。
【0008】
この発明の態様として、前記肘掛け固定手段は、前記肘掛け板の下面側に対し該肘掛け板の長手方向と平行して固定され、前記水平支持板と対向する下面側中央部に溝部が形成されたガイドレールと、前記水平支持板の前端側上面及び後端側上面に取り付けられ、前記ガイドレールの内部に対し前後摺動自在に挿入された一対のスライドガイドと、前記水平支持板の厚み方向に貫通して形成された軸受孔に対し上下動自在に挿入された肘掛け固定ピンとを備え、前記ガイドレールの前端側下面に、前記肘掛け板が前進位置に移動された際に前記肘掛け固定ピンが係止される係止孔が前記溝部と連通して形成され、前記ガイドレールの後端側下面に、前記肘掛け板が後退位置に移動された際に前記肘掛け固定ピンが係止される係止孔が前記溝部と連通して形成され、前記ガイドレールの溝部に挿入された前記肘掛け固定ピンの上端に、該溝部の対向縁部上に係止される大きさ及び形状で、且つ、該ガイドレールの係止孔に係合される係止部が形成され、前記水平支持板の軸受孔より下方に突出された前記肘掛け固定ピンの下端に、前記係止孔から係止部が抜き取られるロック解除方向に向けて前記肘掛け固定ピンを押し上げ操作するための操作部が設けられ、前記肘掛け固定ピンの下端側に、前記係止孔に対し係止部が係合される方向に向けて前記肘掛け固定ピンを押し下げるためのバネ部材を装着することができる。
【0009】
また、この発明の態様として、前記肘掛け板の両端に、前記肘掛け板が前進位置及び後退位置に到達する直前から圧縮され、該肘掛け板が押し戻される方向に向けて復元力が蓄積されるバネ部材を設けることができる。
【0010】
また、この発明の態様として、前記肘掛け板に、該肘掛け板が前進位置、中間位置、後退位置に移動されたことを、該各位置と対応して設定された色に発光することによって表示する移動位置表示手段を設けることができる。
【0011】
また、この発明の態様として、前記椅子本体及び/又は肘掛け板に、人が近づいたことを検知する人感センサーを設け、前記移動位置表示手段を、前記人感センサーから出力される検知信号に基づいて前記各位置と対応する色に発光させることができる。
【0012】
また、この発明の態様として、前記椅子本体の一側前部又は両側前部に、前記椅子本体の便座上面と水平となる高さに突出される補助板を設けることができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記補助板を、前記椅子本体の前後方向と直交する方向に対し上下回動自在に設けるとともに、前記椅子本体の便座上面と水平となる高さ位置と、該椅子本体の側面に沿って下方に垂下された垂直位置とに回動規制することができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記補助板を、前記椅子本体の前後方向と直交する方向に対し水平移動自在に設けるとともに、前記椅子本体の側部に突出される突出位置と、該椅子本体の内部に収容される没入位置とに回動規制することができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記椅子本体の一側前部又は両側前部に、前記椅子本体の便座上面と水平となる高さに突出される補助板を設けることができる。
【0016】
また、この発明の態様として、前記補助板を、前記椅子本体の側部に対して該椅子本体の前後方向と直交する方向に対して上下回動自在に設けるとともに、前記椅子本体の便座上面と水平となる高さ位置と、該椅子本体の側面に沿って下方に垂下された垂直位置とに上下回動自在に設けることができる。
【0017】
また、この発明の態様として、前記補助板を、前記椅子本体の側部に対して該椅子本体の前後方向と直交する方向に対して水平移動自在に設けるとともに、前記椅子本体の側部に突出される突出位置と、該椅子本体の内部に収容される没入位置とに水平移動自在に設けることができる。
【0018】
前記肘掛け固定手段は、例えばガイドレール及び係止孔、肘掛け固定ピン及び係止部、押下用スプリング等で構成することができる。
バネ部材は、例えばコイルスプリング、コイルバネ、板バネ、合成ゴム等で構成することができる。
移動位置表示手段は、例えば発光素子(LED)、電球、或いは、着色された色付きプレート等で構成することができる。
人感センサーは、例えば赤外線センサー、超音波センサー、光電センサー等で構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、病人あるいは足腰の不自由な人が、立ち上がることなく椅子型トイレの便座上へ乗り移って排便することができる。また、排便後も一人でベッド上へ乗り移ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】肘掛け板が前進位置へ移動され、座板が折り畳まれた椅子型トイレを示す斜視図。
【図2】図1の椅子型トイレを示す平面図。
【図3】肘掛け板を前後方向へ水平移動する動作を示す側面図。
【図4】肘掛け板を前後方向へ水平移動する動作を示す平面図。
【図5】肘掛け板が前進位置に固定された状態を示す肘掛け部の拡大側面図。
【図6】肘掛け板が中間位置に移動された状態を示す肘掛け部の拡大側面図。
【図7】肘掛け板が後退位置に固定された状態を示す肘掛け部の拡大側面図。
【図8】肘掛け板が前後方向に水平移動される動作を示す横断平面図。
【図9】肘掛け固定機構の固定動作及び解除動作を示す拡大縦断面図。
【図10】椅子型トイレをベッドの側部に配置した状態を示す正面図。
【図11】肘掛け板の移動位置を表示するための発光素子が取り付けられた椅子型トイレを示す平面図。
【図12】補助板が上下回動自在に取り付けられた椅子型トイレの他の例を示す斜視図。
【図13】補助板が水平移動自在に取り付けられた椅子型トイレのその他の例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0021】
図1は、肘掛け板4が前進位置へ移動され、座板8が折り畳まれた椅子型トイレ1を示す斜視図、図2は、図1の椅子型トイレ1を示す平面図、図3は、肘掛け板4を前後方向へ水平移動する動作を示す側面図、図4は、肘掛け板4を前後方向へ水平移動する動作を示す平面図である。
【0022】
本実施例の椅子型トイレ1は、上面中央が便座7と対応する大きさ及び形状に開口された箱状の椅子本体2と、椅子本体2の後側に取り付けられた背凭れ部3と、椅子本体2の両側上部に取り付けられた左右一対の肘掛け部4,4と、椅子本体2の両側下部に取り付けられた左右一対の脚部5,5とで構成されている。なお、実施例における左右とは、椅子型トイレ1に着座した利用者Bから見た方向である。
【0023】
椅子本体2の内部には、利用者B(図10の仮想線参照)が排出した糞尿を分解・処理するための糞尿処理部6が設けられている。また、椅子本体2の上面側開口部には、上面中央を楕円形状に開口してなる便座7が載置されている。その便座7の上面には、前後方向へ折り畳み自在な座板8が載置されている。
【0024】
椅子本体2の両側部には、背凭れ部3と、肘掛け部4と、脚部5を取り付けるための側板2aが固定されている。また、側板2aは、図示しない背凭れ付きの椅子を側面から見た形状と酷似する形状に形成されている。また、側板2aの後側上端には、木ネジ等のネジ部材22によって、後述する背凭れ部3を取り付けるための背凭れ支柱2bが上方に向けて一体的に固定されている。
【0025】
背凭れ部3は、左右側板2aの後側上端に固定された背凭れ支柱2bの上端側対向面に架設されている。また、背凭れ部3の外面は、木製の基板前面にポリウレタンフォームを皮革や布地等で被覆してなるクッション材を装着して、上方から見て滑らかな曲面形状に形成されている。
【0026】
椅子本体2の後側上端と、背凭れ部3の下端と、背凭れ支柱2bの内側対向面とで囲まれた長方形状の空間は、後述する座板8の折り畳み幅より幅広で、該座板8の折り畳み高さより縦長となる大きさに形成されている。つまり、座板8の前側座板8aと後側座板8bとを折り畳みながら後方へ回動した際に、前記空間を座板8が通り抜けて、背凭れ部3の後方への移動が許容されるように設けられている。
【0027】
座板8は、略同形状に形成された前側座板8aと後側座板8bとで構成されている(図3、図4参照)。また、座板8の外面は、木製の基板上面にポリウレタンフォームを皮革や布地等で被覆してなるクッション材を装着して、椅子本体2の上面と対応する大きさ及び形状に形成されている。
【0028】
また、前側座板8aの後端と後側座板8bの前端とに跨って固定された蝶番9,9によって、前側座板8aと後側座板8bとの両裏面が互いに重ね合わされるように折り畳み自在に連結されている。
【0029】
座板8は、後側座板8bの後端両側に固定された係止金具10,10と、椅子本体2の後端両側に固定された受け金具11,11との係合によって、椅子本体2の後側上端に対して前後回動自在及び上下着脱自在に連結されている。
【0030】
つまり、前側座板8aと後側座板8bとを折り畳みながら後方へ回動することによって、座板8全体を起立した状態に折り畳むことができる。また、後側座板8bの係止金具10,10を椅子本体2の受け金具11,11から分離することによって、座板8全体を椅子本体2から分離することができる。或いは、係止金具10,10を受け金具11,11に係合すれば、座板8全体を椅子本体2に取り付けることができる。
【0031】
左右一対の肘掛け部4,4は、図5、図6、図7、図8にも示すように、側面から見てL字状に組み付けられた木製の肘掛け支持板4Bと、該肘掛け支持板4Bの水平支持板4Bbに対し前後方向に向けて水平移動自在に取り付けられた木製の肘掛け板4Aとで構成される。
【0032】
肘掛け板4Aは、椅子本体2の側面と略同一となる長さに形成されている。また、肘掛け支持板4Bの水平支持板4Bbは、肘掛け板4Aの全長に対し略1/2の寸法に形成されている。
【0033】
肘掛け支持板4Bは、側板2aの中央側面より後側に寄った部分に対し垂直に固定された垂直支持板4Baと、垂直支持板4Baの上端に対し前後方向に向けて水平に固定された水平支持板4Bbとで構成されている。また、垂直支持板4Baと水平支持板4Bbは、側面から見て直角を成す角度(L字状)に連結されている。
【0034】
垂直支持板4Baの下端は、木ネジ等のネジ部材22によって側板2aの中央側面より後側に寄った部分に固定されている。また、垂直支持板4Baの上端は、図示しない連結ピンによって水平支持板4Bbの前端側下面に対し直交して固定されている。また、水平支持板4Bbの後端は、木ネジ等のネジ部材22によって背凭れ支柱2bの中央側面より下方に寄った部分に対し水平に固定されている。
【0035】
つまり、垂直支持板4Ba及び水平支持板4Bbの取り付け位置を上下方向に変更すれば、肘掛け部4の全体を、利用者Bの要望或いは好みに応じた肘掛け高さに可変調節することができる。
【0036】
肘掛け板4Aの下面側には、該肘掛け板4Aの長手方向と平行してアリ溝13が形成されている。また、アリ溝13には、該アリ溝13と合致する断面形状に形成された下面開放型のガイドレール14が長手方向に挿入されている。
【0037】
ガイドレール14は、肘掛け板4Aの後端側からアリ溝13に挿入され、アリ溝13の後端側に挿入且つネジ止めされた木製の抜止め部材15で抜止めされている。
【0038】
ガイドレール14の下面側中央部には、椅子本体2の前後方向と平行して、1本の溝部14cが長手方向に連続して形成されている。また、溝部14cは、後述するスライドガイド16a,16bの外径より幅狭に形成され、且つ、固定ピン17a,17bの外径より幅広に形成されている。
【0039】
ガイドレール14の前端側下面には、肘掛け板4Aを前進位置(図5参照)に固定するための係止孔14aが形成されている。また、ガイドレール14の後端側下面には、肘掛け板4Aを後退位置(図7参照)に固定するための係止孔14bが形成されている。なお、係止孔14a,14bは、溝部14cと連通して形成されている。
【0040】
前記水平支持板4Bbの前端側下面には、肘掛け板4Aを、該肘掛け板4Aの前端が椅子本体2の前側上方に移動された前進位置と、該肘掛け板4Aの前端が椅子本体2の中央上方より後側に移動された後退位置とに固定するための肘掛け固定機構30が設けられている。
【0041】
肘掛け固定機構30は、図9にも示すように、肘掛け部4を前進位置及び後退位置に固定するための肘掛け固定ピン31と、該肘掛け固定ピン31の係止部31bがガイドレール14の係止孔14a又は14bに対し係合される方向に押し下げるための押下用スプリング32と、該肘掛け固定ピン31の突出側下端に固定されたロック解除ボタン33で構成されている。
また、ロック解除ボタン33は、利用者Bの手の指が3本並列に掛けることができる長さ及び幅に形成されている。
【0042】
肘掛け固定ピン31は、水平支持板4Bbの前端側に形成された軸受孔4Bcに対し上下動自在に垂直挿入されている。
軸受孔4Bcは、水平支持板4Bbの前端側上下面に対し厚み方向に貫通して形成され、スライドガイド16a,16bの中間位置よりもスライドガイド16a側に寄った位置に配置されている。
【0043】
水平支持板4Bbの軸受孔4Bcより上方に突出される肘掛け固定ピン31の上端には、ガイドレール14の内部に対し摺動自在に挿入されるスライド部31aが形成されている。
スライド部31aは、溝部14cの対向縁部間より大径に形成され、該溝部14cの対向縁部上に対し係止される大きさ及び形状に形成されている。
【0044】
スライド部31aの厚みは、係止孔14a又は14bから係止部31bが抜き取り許容される厚みに形成されるとともに、ガイドレール14の内側上面に対し当接が回避される厚みに形成されている。
【0045】
スライド部31aの下面側には、肘掛け固定ピン31の軸芯を中心として、係止孔14a又は14bに対し係合される係止部31bが形成されている。
【0046】
係止部31bは、溝部14cの対向縁部間より大径に形成され、係止孔14a,14bと合致する大きさ及び形状に形成されている。
【0047】
軸受孔4Bcに挿入された肘掛け固定ピン31の下端は、水平支持板4Bbの下面より下方に突出され、該水平支持板4Bbの前端側下面に配置されたロック解除ボタン33の内側中心部に固定されている。
【0048】
押下用スプリング32は、軸受孔4Bcの下端側周縁部に形成された段部4Bdと、肘掛け固定ピン31の下端側軸周面に嵌着されたワッシャー19との間に圧縮して装填されている。
【0049】
つまり、押下用スプリング32は、圧縮装填時に蓄積された復元力によって、肘掛け固定ピン31の全体を下方に向けて垂直に押し下げるとともに、スライド部31aの係止部31bが係止孔14a又は14bに対し係合される方向に常時付勢している。
【0050】
水平支持板4Bbの前端側下面には、ロック解除ボタン33を、係止孔14a又は14bから係止部31bが抜き取られるロック解除方向(図9のeに示す矢印方向)に向けてガイドするための凹部4Beが形成されている。
凹部4Beは、ロック解除ボタン33を下面側から見た形状と対応する楕円形状に形成され、該ロック解除ボタン33のロック解除操作が許容される大きさ及び形状に形成されている。
【0051】
また、凹部4Beの深さは、係止孔14a又は14bと係止部31bとの係合が解除されるロック解除方向に向けて、肘掛け固定ピン31及びロック解除ボタン33の移動が許容される深さに形成されている。
【0052】
ガイドレール14の内部には、プラスチック製のスライドガイド16a,16bが前後摺動自在に挿入されており、一対のスライドガイド16a,16bによって、肘掛け板4Aの水平移動が椅子本体2の前後方向と平行する方向にガイドされる(図5〜図8参照)。
【0053】
スライドガイド16aは、水平支持板4Bbの前端側上面に対し垂直に固定された固定ピン17aの突出側上端に取り付けられている。また、スライドガイド16bは、水平支持板4Bbの後端側上面に対し垂直に固定された固定ピン17bの突出側上端に取り付けられている。
【0054】
つまり、スライドガイド16a,16bによって、肘掛け板4Aの水平移動が前進位置と後退位置に移動規制される。
【0055】
ガイドレール14の前端側には、肘掛け板4Aを前進位置から中間位置に向けて後方へ押し戻すためのコイルスプリング18aがスライドガイド16aと対向して収容されている。また、ガイドレール14の後端側には、肘掛け板4Aを後退位置から中間位置に向けて前方へ押し戻すためのコイルスプリング18bがスライドガイド16bと対向して収容されている。
【0056】
なお、水平支持板4Bbの上面に突設されたスライドガイド16a,16bとスライド部31aは、肘掛け板4Aの後端側からガイドレール14の溝部14cに挿入され、該肘掛け板4Aの後端側にネジ止めされた抜止め部材15で抜止めされる。
【0057】
前記左右一対の脚部5は、室内の床面等に対して前後方向に向けて水平に接地される長尺の接地板5aと、接地板5aの前後上面に立設された前後一対の脚支持板5bとで構成されている。
【0058】
また、脚支持板5bの上端側は、木ネジ等のネジ部材22によって側板2aの下端側前後外面に固定され、便座7或いは座板8の座位に応じて高さ調節自在に設けられている。
【0059】
つまり、脚支持板5bの高さを上下方向に可変調節することによって、椅子本体2を、利用者Bの座高に応じた高さに可変調節することができる。
これにより、椅子本体2の便座7の上面と、例えばマット、敷布団等からなるベッドAの上面とが同じ高さ或いは水平となる高さに調節することができる(図10参照)。
【0060】
また、接地板5aの後端には、キャスター21が取り付けられている。つまり、椅子型トイレ1を背凭れ側へ傾けて、左右の接地板5aに取り付けられたキャスター21を床面に接地することにより、椅子型トイレ1の全体を背凭れ側へ傾けたまま所望する場所へ移動させることができる。
【0061】
前記糞尿処理部6は、図2に示すように、上面が開口された処理室6aの内部に、椅子本体2の前後方向と平行して、左右一対の撹拌羽根6b,6bが回転自在に軸支されている。
【0062】
左右一対の撹拌羽根6b,6bは、棒状又は板状の羽根6cを、回転軸6dの軸周面に対して径方向に固定するとともに、該回転軸6dの長さ方向に対して所定間隔に隔てて取り付けている。
【0063】
2本の回転軸6d,6dは、処理室6aの前後内壁面間に対して平行して軸架され、図示しないモータによって相対向する方向へ回転される。
なお、実施例においてモータは、椅子本体2の後部に固定されたボックス2eに内蔵されているが、椅子本体2に内蔵してもよい。
また、モータの駆動及び停止は、図示しないセンサーによって座板8の開閉を検知した際、該センサーから出力される検知信号に基づいて制御される。
【0064】
つまり、使用後において、座板8を閉じると、図示しないモータによって左右一対の撹拌羽根6b,6bが相対向する方向へ一定時間回転される。また、撹拌羽根6b,6bが回転している際に座板8を開けると、モータの駆動が即時停止される。
【0065】
糞尿処理部6の処理室6a内に、利用者Bが排出した糞尿を分解するためのバイオ菌と、オガ屑や木チップ等を予め投入収容しておき、利用者Bが排出した糞尿を左右一対の撹拌羽根6b,6bの回転力によって撹拌すれば、バイオ菌の活動が促進される。これにより、短時間で糞尿が分解・処理される。
【0066】
図示実施例は前記の如く構成するものにして、以下、椅子型トイレ1で用便する方法を説明する。
【0067】
先ず、図10に示すように、ベッドAに腰掛けた病人や足腰の不自由な利用者Bが、該ベッドAの側部に配置された椅子型トイレ1の便座7上へ乗り移る場合、図1、図2に示すように、座板8を折り畳みながら後方へ回動して、背凭れ部3の後方へ起立した状態に折り畳む。
【0068】
次に、ベッドA側の肘掛け部4に設けられた肘掛け固定機構30のロック解除ボタン33を、肘掛け部4に掛けた方の手の指でロック解除方向(図9のeに示す矢印方向)へ押し上げ操作する。
【0069】
つまり、ロック解除ボタン33を、押下用スプリング32の復元力に抗してロック解除方向へ押し上げ操作すれば、ガイドレール14の係止孔14bから肘掛け固定ピン31の係止部31bが抜き取られ、肘掛け板4Aの固定が解除される(図9のe参照)。
【0070】
係止孔14bから係止部31bが抜き取られると同時に、ガイドレール14の後端側に収容されたコイルスプリング18bの復元力によって、肘掛け板4Aの全体が前進位置(図5、図8のa参照)から、中間位置(図6、図8のb参照)に向けて後方へ水平移動或いは押し戻される。
【0071】
また、係止孔14bが係止部31bに対し係合不可となる位置に変位されるとともに、ガイドレール14の溝部14cの対向縁部上に肘掛け固定ピン31の係止部31bが乗り上げることになる。
【0072】
これにより、肘掛け板4Aが前進位置に移動されないかぎり、係止孔14bが係止部31bに係合されることがない。また、肘掛け板4Aが水平移動自在な状態に保たれるので、肘掛け板4Aを、利用者Bの手によって後退位置へ水平移動することができる。
【0073】
次に、肘掛け板4Aが後退位置(図7、図8のc参照)に到達する直前において、ガイドレール14の前端側に収容されたコイルスプリング18aが、水平支持板4Bbの前端側上面に突設されたスライドガイド16aに押し付けられる。
【0074】
ガイドレール14の係止孔14aが肘掛け固定ピン31の係止部31bに対し係合される位置に到達するまで、コイルスプリング18aが長手方向に圧縮され、肘掛け板4Aの全体を前方へ押し戻そうとする復元力が蓄積される。
【0075】
係止孔14aが係止部31bに係合される後退位置に到達すると同時に、押下用スプリング32の復元力によって、肘掛け固定ピン31が下方へ押し下げられ、ガイドレール14の係止孔14aに対し肘掛け固定ピン31の係止部31bが即座に係合される。
【0076】
これにより、肘掛け板4Aが、該肘掛け板4Aの前端が椅子本体2の中央上方より後側に移動された後退位置(図7、図8のc参照)に固定されるので、後述する乗り移り時において、肘掛け板4Aが前進位置へ押し戻されることがない。
つまり、肘掛け板4Aを後退位置へ水平移動した際に、ロック解除ボタン33を、係止孔14aに対し係止部31bが係合される方向に引き下げ操作するような手間及び操作が省け、肘掛け板4Aを後退位置に対し自動的に固定することができる。
【0077】
次に、図10に示すように、ベッドAに腰掛けた病人や足腰の不自由な利用者Bが、該ベッドAの側部に配置された椅子型トイレ1の便座7上へ乗り移る際に、或いは、該ベッドAの側部に配置された椅子型トイレ1の便座7上からベッドAへ乗り移る際に、肘掛け板4Aと肘掛け支持板4Bが重ね合わされた肘掛け部4を利用者Bの手で把持する。
【0078】
つまり、乗り移り時において、肘掛け部4にガタ付が生じることがなく、利用者Bの身体をしっかりと支えることができる。また、肘掛け板4Aによって利用者Bの乗り移る動作が妨げられることがなく、乗り移りがスムースに行える。
【0079】
利用者Bが、椅子型トイレ1の便座7上へ乗り移った後、正面向きに着座した姿勢のまま、肘掛け部4に掛けた方の手の指で、肘掛け固定機構30のロック解除ボタン33をロック解除方向へ押し上げ操作すれば、後退位置に移動された肘掛け板4Aの固定が解除される。
【0080】
つまり、ロック解除ボタン33を、押下用スプリング32の復元力に抗してロック解除方向へ押し上げ操作すれば、ガイドレール14の係止孔14aから肘掛け固定ピン31の係止部31bが抜き取られ、肘掛け板4Aの固定が解除される。
【0081】
同時に、コイルスプリング18aに蓄積された復元力によって、肘掛け板4Aの全体が後退位置(図7、図8のc参照)から、中間位置(図6、図8のb参照)に向けて前方へ水平移動或いは押し戻される。
【0082】
係止孔14aが係止部31bに対し係合不可となる位置に変位されるとともに、ガイドレール14の溝部14cの対向縁部上に肘掛け固定ピン31の係止部31bが乗り上げることになる。
【0083】
これにより、肘掛け板4Aが後退位置に移動されないかぎり、係止孔14bが係止部31bに係合されることがない。また、肘掛け板4Aが水平移動自在な状態に保たれるので、肘掛け板4Aを、利用者Bの手によって前進位置へ水平移動することができる。
【0084】
次に、肘掛け板4Aが前進位置(図5、図8のa参照)に到達する直前において、ガイドレール14の後端側に収容されたコイルスプリング18bが、水平支持板4Bbの後端側上面に突設されたスライドガイド16bに押し付けられる。
【0085】
ガイドレール14の係止孔14bが肘掛け固定ピン31の係止部31bに対し係合される位置に到達するまで、コイルスプリング18bが長手方向に圧縮され、肘掛け板4Aの全体を後方へ押し戻そうとする復元力が蓄積される。
【0086】
係止孔14bが係止部31bに係合される前進位置に到達すると同時に、押下用スプリング32の復元力によって、肘掛け固定ピン31が下方へ押し下げられ、ガイドレール14の係止孔14bに対し肘掛け固定ピン31の係止部31bが係合される。
【0087】
これにより、肘掛け板4Aが、該肘掛け板4Aの前端が椅子本体2の前側上方に移動された前進位置(図5、図8のa参照)に固定されるので、後述する排便時において、肘掛け板4Aが後退位置へ押し戻されることがない。
つまり、肘掛け板4Aを前進位置へ水平移動した際に、ロック解除ボタン33を、係止孔14aに対し係止部31bが係合される方向に引き下げ操作するような手間及び操作が省け、肘掛け板4Aを前進位置に対し自動的に固定することができる。
【0088】
椅子型トイレ1に着座した姿勢で排便した後、利用者BがベッドAから椅子型トイレ1へ乗り移る際には、再び、肘掛け固定機構30のロック解除ボタン33を、肘掛け部4に掛けた方の手の指でロック解除方向へ押し上げ操作する。
【0089】
前記と同様に、肘掛け板4Aが水平移動自在な状態となるので、肘掛け板4Aの全体を、前進位置(図5、図8のa参照)から後退位置(図7、図8のc参照)へ水平移動させて、該肘掛け板4Aの前端が椅子本体2の中央上方より後側に移動された後退位置に固定する。
【0090】
これにより、肘掛け板4Aによって利用者Bの乗り移る動作が妨げられることがなく、排便後も一人でベッドAから椅子型トイレ1へ乗り移ることができる。
【0091】
図11は、肘掛け板4の前端側上面に取り付けられた発光素子40を「青色」、「黄色」、「緑色」に発光させて、該肘掛け板4が前進位置、後退位置、中間位置に移動されたことを表示する椅子型トイレ1の他の例を示す斜視図である。
【0092】
本例の椅子型トイレ1は、椅子本体2の前部又は側部に、人が近づいたことを検知する人感センサー41が取り付けられている。また、人感センサー41は、図示しない電気回路を介して、肘掛け板4の前端側上面に取り付けられた発光素子40に接続されている。
【0093】
発光素子40は、肘掛け板4の移動位置を検知する図示しない位置検知センサーから出力される検知信号に基づいて、「青色」、「黄色」、「緑色」の3色に発光される。
【0094】
つまり、椅子型トイレ1に利用者Bが近づくと、人感センサー41から出力される検知信号に基づいて、肘掛け板4に取り付けられた発光素子40が、肘掛け板4の前進位置、中間位置、後退位置と対応して「青色」、「黄色」、「緑色」に発光される。
【0095】
つまり、肘掛け板4が前進位置に固定された際には、発光素子40が「緑色」に点灯するので、椅子型トイレ1に腰を下ろす際に手で把持することが可能であるか、肘掛けとして利用することが可能であるか否かを目で確認することができる。
【0096】
また、肘掛け板4が後退位置に固定された際には、発光素子40が「赤色」に点灯するので、ベッドAから椅子型トイレ1へ乗り移る際、或いは、椅子型トイレ1からベッドAへ乗り移る際に、肘掛け板4が乗り移りの邪魔にならない位置にあるか否かを目で確認することができる。
【0097】
さらに、椅子型トイレ1の前に立った姿勢から利用者Bが腰を下ろす際には、肘掛け板4が手で把持することが不可であることを目で確認することができる。
【0098】
また、肘掛け板4が前進位置と後退位置の間を移動する中間位置では、発光素子40が「黄色」に点灯するので、手で把持するか、肘掛けとして利用する際には注意が必要であることを目で確認することができる。
【0099】
これにより、肘掛け板4が前進位置、後退位置、中間位置のどの位置にあるかを正確且つ確実に把握することができる。
【0100】
図12は、椅子本体2の両側前部に、左右一対の補助板23,23が椅子本体2の前後方向と直交する方向に対し上下回動自在に設けられた椅子型トイレ1の他の例を示す斜視図である。
【0101】
本例の椅子型トイレ1は、補助板23は、ベッドAと椅子本体2との間に形成される空間と同等又は幅広となる寸法に形成されている。且つ、側板2aの中央上端から前側上端に至る側面に取り付けられている。
【0102】
また、補助板23は、椅子本体2の便座7上面と水平となる水平位置と、椅子本体2の側面に沿って下方に垂下された垂下位置とに上下回動自在に設けられている。また、椅子本体2の側部と対応する側板2aの前側上端には、垂下位置に回動された補助板23が収容される収容部2cを形成している。
【0103】
補助板23の下面両端には、一対の支持脚24,24を補助板23の回動方向と直交する方向に対して上下回動自在に連結している。つまり、補助板23を水平位置に引き起こした後、一対の支持脚24,24を垂直に回動して椅子本体2の側面に当接する。これにより、補助板23が水平位置に回動規制される。
【0104】
ベッドAから椅子型トイレ1へ乗り移る際に、ベッドA側の補助板23を椅子本体2の便座7上面と水平となる水平位置に回動する。また、一対の支持脚24,24を垂直に回動して椅子本体2の側面に当接する(図12に示す実線参照)。
【0105】
これにより、ベッドAと椅子本体2との間に形成される空間が補助板23で隠蔽され、乗り移り時の段差が小さくなるので、ベッドAと椅子型トイレ1との間で利用者Bの乗り移りが容易に行えるとともに、前記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0106】
図13は、椅子本体2の両側前部に、左右一対の補助板25,25が椅子本体2の前後方向と直交する左右方向に対し水平移動自在に設けられた椅子型トイレ1のその他の例を示す斜視図である。
【0107】
本例の椅子型トイレ1は、前記補助板23と同一の大きさ及び形状に形成された補助板25が、椅子本体2の前部側面に形成された凹状の収容部2dに対して出没自在に収容されている。また、補助板25は、椅子本体2の側部に突出される突出位置と、収容部2dに収容される没入位置とに水平移動自在に設けられている。
【0108】
ベッドAから椅子型トイレ1へ乗り移る際に、ベッドA側の収容部2dから補助板25を水平方向に引き出して、椅子本体2の便座7上面と水平となる高さに突出する(図13に示す実線参照)。
【0109】
これにより、ベッドAと椅子本体2との間に形成される空間が補助板25で隠蔽され、乗り移り時の段差が小さくなるので、ベッドAと椅子型トイレ1との間で利用者Bの乗り移りが容易に行えるとともに、前記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0110】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の肘掛け固定手段は、実施例の肘掛け固定機構30に対応し、
以下同様に、
バネ部材は、コイルスプリング18a,18bに対応し、
操作部は、ロック解除ボタン33に対応し、
移動位置表示手段及び発光装置は、発光素子40に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0111】
前記実施例の肘掛け板4Aを後退位置へ水平移動した際に、水平支持板4Bbの後端より後方に突出される肘掛け板4Aの後端側を、水平支持板4Bbの後端を基準として下方又は上方へ上下回動自在に設けてもよい。
【0112】
また、糞尿処理部6に代えて、例えば椅子本体2の内部に、糞尿を収容するための容器を出入自在に収容しておいてもよい。また、ネジ部材に代えて、例えばボルト、ピン、釘等の固定部材で固定してもよい。
【符号の説明】
【0113】
A…ベッド
B…利用者
1…椅子型トイレ
2…椅子本体
3…背凭れ部
4…肘掛け部
4A…肘掛け板
4B…肘掛け支持板
4Bb…水平支持板
4Bc…軸受孔
5…脚部
6…糞尿処理部
7…便座
8…座板
14…ガイドレール
14a,14b…係止孔
14c…溝部
16a,16b…スライドガイド
18a,18b…コイルスプリング
21…キャスター
23,25…補助板
30…肘掛け固定機構
31…肘掛け固定ピン
31a…スライド部
31b…係止部
32…押下用スプリング
33…ロック解除ボタン
40…発光素子
41…人感センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側開口部に便座が載置された椅子本体と、該椅子本体の後側に取り付けられた背凭れ部と、該椅子本体の両側に取り付けられた左右一対の肘掛け部と、該椅子本体の両側下端に取り付けられた左右一対の脚部とを備えた椅子型トイレであって、
前記肘掛け部は、
前記椅子本体の側面と略同一となる長さに形成された肘掛け板と、該椅子本体の中央側面より後側に取り付けられた肘掛け支持板とで構成され、
前記肘掛け板は、前記肘掛け支持板の水平支持板上に対して、該肘掛け板の前端が前記椅子本体の前側上方に移動される前進位置と、該肘掛け板の前端が前記椅子本体の中央上方に移動される後退位置とに前記椅子本体の前後方向と平行して水平移動自在に設けられ、
前記肘掛け支持板には、前記肘掛け板が前進位置及び後退位置に移動された際に、該肘掛け板を前後方向に対し水平移動不可に固定する肘掛け固定手段が設けられた
椅子型トイレ。
【請求項2】
前記肘掛け固定手段は、
前記肘掛け板の下面側に対し該肘掛け板の長手方向と平行して固定され、前記水平支持板と対向する下面側中央部に溝部が形成されたガイドレールと、
前記水平支持板の厚み方向に貫通して形成された軸受孔に対し上下動自在に挿入された肘掛け固定ピンとを備え、
前記ガイドレールの前端側下面に、前記肘掛け板が前進位置に移動された際に前記肘掛け固定ピンが係止される係止孔が前記溝部と連通して形成され、
前記ガイドレールの後端側下面に、前記肘掛け板が後退位置に移動された際に前記肘掛け固定ピンが係止される係止孔が前記溝部と連通して形成され、
前記ガイドレールの溝部に挿入された前記肘掛け固定ピンの上端に、該溝部の対向縁部上に係止される大きさ及び形状で、且つ、該ガイドレールの係止孔に係合される係止部が形成され、
前記水平支持板の軸受孔より下方に突出された前記肘掛け固定ピンの下端に、前記係止孔から係止部が抜き取られるロック解除方向に向けて前記肘掛け固定ピンを押し上げ操作するための操作部が設けられ、
前記肘掛け固定ピンの下端側に、前記係止孔に対し係止部が係合される方向に向けて前記肘掛け固定ピンを押し下げるためのバネ部材が装着された
請求項1に記載の椅子型トイレ。
【請求項3】
前記肘掛け板の両端に、前記肘掛け板が前進位置及び後退位置に到達する直前から圧縮され、該肘掛け板が押し戻される方向に向けて復元力が蓄積されるバネ部材が設けられた
請求項1又は2に記載の椅子型トイレ。
【請求項4】
前記肘掛け板に、該肘掛け板が前進位置、中間位置、後退位置に移動されたことを、該各位置と対応して設定された色に発光することによって表示する移動位置表示手段が設けられた
請求項1〜3のいずれか一つに記載の椅子型トイレ。
【請求項5】
前記椅子本体及び/又は肘掛け板に、人が近づいたことを検知する人感センサーが設けられ、
前記移動位置表示手段が、前記人感センサーから出力される検知信号に基づいて前記各位置と対応する色に発光される
請求項1〜4のいずれか一つに記載の椅子型トイレ。
【請求項6】
前記椅子本体の一側前部又は両側前部に、前記椅子本体の便座上面と水平となる高さに突出される補助板を設けた
請求項1〜5のいずれか一つ又は2に記載の椅子型トイレ。
【請求項7】
前記補助板が、前記椅子本体の前後方向と直交する方向に対し上下回動自在に設けられ、
前記椅子本体の便座上面と水平となる高さ位置と、該椅子本体の側面に沿って下方に垂下された垂直位置とに回動規制された
請求項6に記載の椅子型トイレ。
【請求項8】
前記補助板が、前記椅子本体の前後方向と直交する方向に対し水平移動自在に設けられ、
前記椅子本体の側部に突出される突出位置と、該椅子本体の内部に収容される没入位置とに回動規制された
請求項6に記載の椅子型トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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