説明

椅子式マッサージ機

【課題】1つの駆動源で背もたれ部とオットマンとを回転可能な椅子式マッサージ機において、背もたれ部の回転に先駆けてオットマンを回転することの可能な椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】背角度が倒れる側に背フレーム45が移動するとともに座フレーム35が椅子前方に移動する椅子式マッサージ機において、座フレーム35の前側には座フレーム35に回転可能に軸支されたオットマンフレーム40及び脚駆動部材61を備え、脚駆動部材61の回転によってオットマンフレーム40が回転し、脚駆動部材61には、土台フレーム21に軸支された電動リフト機構70が座フレーム35と脚駆動部材61との連結部位よりも下方に軸支され、座フレーム35を椅子後方へ付勢するとともに、背フレーム45が起きた状態にて座フレーム35の前進に必要な力をオットマンフレーム40の回転に必要な力よりも大きくする付勢機構75が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リクライニングの可能な椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の身体を揉みほぐす機械として、椅子式マッサージ機が知られている。椅子式マッサージ機には、使用者の好みの姿勢にてマッサージが行われるように、使用者が着座する座部に対して回転可能な背もたれ部やオットマンが備えられている。こうした背もたれ部やオットマンは、一般に、電動モーターなどの駆動源によって駆動される。
【0003】
一方、背もたれ部やオットマンを駆動する駆動源は、通常、座部の下側に配置される。そのため、背もたれ部とオットマンとに各別の駆動源が用いられるとなれば、座部の下側における空間がこれらの駆動源によって占有されることになる。その結果、背もたれ部を駆動するための機構やオットマンを駆動するための機構が座部の下側以外に配設されることとなるため、椅子式マッサージ機そのものの大型化が余儀なくされてしまう。そこで、特許文献1に記載の椅子式マッサージ機では、背もたれ部の回転とオットマンの回転とが連動するように、背もたれ部とオットマンとがリンク機構で互いに連結されている。そして、背もたれ部の回転とオットマンの回転とが1つの駆動源によって実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−39571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の椅子式マッサージ機では、背もたれ部の回転とオットマンの回転とが連動するために、オットマンが回転することによって背もたれ部も回転してしまう、あるいは背もたれ部が回転することによってオットマンも回転してしまう。それゆえに、背もたれ部とオットマンとを使用者の好み合わせた態様で各別に駆動すること、特に、背もたれ部を回転する前にオットマンを優先的に回転することが不可能である。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、1つの駆動源で背もたれ部とオットマンとを回転可能な椅子式マッサージ機において、背もたれ部の回転に先駆けてオットマンを回転することの可能な椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の椅子式マッサージ機は、接地する土台フレームと、前記土台フレームに対して椅子前方へ移動可能な座フレームと、前記座フレームに対して回転可能に軸支された背フレームとを備え、背角度が倒れる側に前記背フレームが移動するとともに、前記座フレームが椅子前方に移動する椅子式マッサージ機において、前記座フレームの前側には、該座フレームに回転可能に軸支された脚フレーム及び脚駆動部材を備え、該脚駆動部材の回転によって前記脚フレームが回転するように構成され、前記脚駆動部材には、前記土台フレームに軸支された電動リフトが前記座フレームと前記脚駆動部材との連結部位よりも下方に軸支され、前記座フレームを椅子後方へ付勢するとともに、前記背フレームが起きた状態にて、前記座フレームの前進に必要な力を前記脚フレームの回転に必要な力よりも大きくする付勢手段が設けられ、前記背フレームが起きた状態で前記電動リフトが延びるとき、前記脚駆動部材の回転が前記座フレームの前進よりも優先的
に進むことによって、前記背フレームの回転に先駆けて前記脚フレームが回転することを要旨とする。
【0008】
この構成において、前記脚駆動部材には、前記脚駆動部材を一定角度以上回転しない回転規制手段が設けられ、前記電動リフトが延びるとき、前記脚駆動部材の回転が前記一定角度で止まることに伴って前記座フレームが椅子前方へ移動することが好ましい。
【0009】
この構成において、前記脚フレームには、該脚フレームを一定角度以上回転しない回転規制手段が設けられ、前記電動リフトが延びるとき、前記脚フレームの回転が前記一定角度で止ることに伴って前記座フレームが椅子前方へ移動することが好ましい。
【0010】
この構成において、前記脚駆動部材には、前記土台フレームに軸支されて所定の長さだけ延びる副固定具が前記電動リフトと前記脚駆動部材との連結部位よりも下方に軸支され、前記電動リフトが延びるとき、前記副固定具の伸張が前記所定の長さで止ることに伴って前記座フレームの前進とともに前記脚駆動部材の回転方向が反転することが好ましい。
【0011】
この構成において、前記脚駆動部材と前記座フレームとが連結する位置は、前記脚駆動部材と前記脚フレームとが連結する位置とは異なり、前記脚駆動部材と前記脚フレームとが連結する位置の椅子後方、且つ下側であることが好ましい。
【0012】
この構成において、前記脚駆動部材の前方に前記脚フレームを備え、前記脚フレームにおける後方上側には、前記脚駆動部材と接触する走行具を備えることが好ましい。
この構成において、前記座フレームの前進を案内する第一ガイドと、前記背フレームの回転を案内する第二ガイドとを備え、前記第二ガイドは、背もたれ部が起きているときに前記第一ガイドと平行または椅子前方に向かうにつれて第一ガイドから離れる領域を有し、前記背フレームが前記第二ガイドによって椅子前方へ向かって案内されるとき、前記平行または椅子前方に向かうにつれて第一ガイドから離れる領域では、前記背フレームが椅子後方側に倒れずに移動することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つの駆動源で背もたれ部とオットマンとを回転可能な椅子式マッサージ機において、背もたれ部の回転に先駆けてオットマンを回転することの可能な椅子型マッサージ機を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかる椅子式マッサージ機の斜視構造を示す斜視図。
【図2】第1実施形態における椅子式マッサージ機のフレーム構造を示す斜視図。
【図3】第1実施形態において、図2における3−3線に沿った断面構造を示す断面図。
【図4】第1実施形態において、脚駆動部材及び電動リフト機構の動作を説明するための説明図。
【図5】第1実施形態において、オットマンが伸脚状態、背もたれ部が起立状態にあるときの椅子フレームの構造を示す図。
【図6】第1実施形態において、オットマンが伸脚状態、背もたれ部が傾倒状態にあるときを示す図。
【図7】第2実施形態における電動リフト機構の構造を示す図。
【図8】第2実施形態において、オットマンが伸脚状態にあるときの電動リフト機構を示す図。
【図9】第2実施形態において、オットマンが屈脚状態、背もたれ部が傾倒状態にあるときの電動リフト機構を示す図。
【図10】第2実施形態において、オットマンが伸脚状態、背もたれ部が起立状態にある椅子フレームの構造を示す図。
【図11】第2実施形態において、オットマンが伸脚状態、背もたれ部が傾倒状態にある椅子フレームの構造を示す図。
【図12】第2実施形態において、オットマンが屈脚状態、背もたれ部が傾倒状態にある椅子フレームの構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下に、本発明にかかる椅子式マッサージ機を具体化した第1実施形態を図1〜図6を参照して説明する。図1は、椅子式マッサージ機の斜視構造を示す斜視図であって、背もたれ部が座部に対して起きている状態を示す。図2は、椅子式マッサージ機のフレーム構造を示す斜視図であって、図1と同じく、背フレームが座フレームに対して起きている状態を示す。図3は、図2における3−3線に沿った断面構造を示す断面図であって、電動リフト機構が含まれる領域を拡大して示した図である。図4は、脚駆動部材及び電動リフト機構の動作を説明するための説明図であって、これらを説明する便宜上、構成部材の一部を省略して示している。
【0016】
図1に示されるように、椅子式マッサージ機10は、接地される土台部11と、該土台部11に支持される直方体状の座部12とを有している。座部12の一端には、座部12に対して起立した背もたれ部13が連結されている。また、座部12の端部のうちで背もたれ部13と向い合う端部には、座部12に対して垂下されたオットマン14が連結されている。また、座部12の端部のうちで背もたれ部13及びオットマン14に挟まれた両端部には、一対の肘掛け部15が配置されている。
【0017】
なお、以下では、背もたれ部13からオットマン14に向かう方向が、椅子式マッサージ機10における前方である。これに対して、オットマン14から背もたれ部13に向かう方向が、椅子式マッサージ機10における後方である。また、座部12から土台部11に向かう方向が、椅子式マッサージ機10における下方である。これに対して、土台部11から座部12に向かう方向が、椅子式マッサージ機10における上方である。また、オットマン14から背もたれ部13を見て右方が、椅子式マッサージ機10における右方である。これに対して、オットマン14から背もたれ部13を見て左方が、椅子式マッサージ機10における左方である。
【0018】
そして、背もたれ部13を後方へ倒すための命令、すなわちリクライニングを実行する命令が入力手段IFHから入力されると、椅子式マッサージ機10は、座部12を前方へ移動させつつ、背もたれ部13を座部12に対して椅子後方へ倒す。言い換えれば、背もたれ部13と座部12とのなす角度である背角度が倒れる側に背もたれ部13が移動するとともに、座部12が椅子前方に移動する。
【0019】
図2及び図3に示されるように、椅子式マッサージ機10には、土台部11の骨格、座部12の骨格、背もたれ部13の骨格等、各構成部分において骨格を構成する椅子フレーム20が内蔵されている。椅子フレーム20は、土台部11を構成する土台フレーム21と、座部12を構成する座フレーム35と、オットマン14を構成するオットマンフレーム40と、背もたれ部13を構成する背フレーム45とから構成されている。
【0020】
まず、土台フレーム21について、図2および図3を参照して以下に説明する。
土台フレーム21は、椅子フレーム20の右側にて起立した枠体である右側フレーム22Rと、椅子フレーム20の左側にて起立した枠体である左側フレーム22Lとを有している。一対のフレーム22R,22Lの間には、右側フレーム22Rから左方へ延びる連
結フレーム23,24が架設されている。以下、これら一対のフレーム22R,22Lの構成について詳細に説明する。なお、右側フレーム22Rと左側フレーム22Lとは、鉛直面に対して面対称である。そのため、以下では、右側フレーム22Rの構成について主に説明するとともに、右側フレーム22Rと左側フレーム22Lとにおいて重複する点については、その説明を割愛する。
【0021】
右側フレーム22Rには、後方から前方へ延びるかたちに形成されて設置面に接地される接地フレーム25が備えられている。接地フレーム25の前側には、該接地フレーム25から上方へ延びる前側支持フレーム26が立設されている。また、接地フレーム25の後側には、これもまた該接地フレーム25から上方へ延びる後側支持フレーム27が立設されている。そして、一つの接地フレーム25に立設された前側支持フレーム26と後側支持フレーム27との間には、直線状に形成された上側ガイドレール28が架設されている。
【0022】
上側ガイドレール28は、前側支持フレーム26から後方下側に向かって延びる直線状に形成されている。上側ガイドレール28は、該上側ガイドレール28の形状に合わせて前側支持フレーム26から後方下側に向かって直線状に延びる蟻溝をガイド溝として有している。この上側ガイドレール28は、上記ガイド溝の溝開口が椅子フレーム20の内側を向くように、前側支持フレーム26と後側支持フレーム27とに固定されている。このような構成によれば、上記ガイド溝における後方の端部は、該ガイド溝における前方の端部よりも下方に配置される。そして、一対のフレーム22R,22Lの各々のガイド溝を含む仮想的な平面は、該平面の後側が該平面の前側よりも下がるように、設置面に対して所定の傾きを有することとなる。
【0023】
上側ガイドレール28と接地フレーム25との間には、接地フレーム25から上方へ延びる中間支持フレーム29が架設されている。この中間支持フレーム29は、上述した前側支持フレーム26の後方、且つ後側支持フレーム27の前方に配設されている。また、前側支持フレーム26と中間支持フレーム29との間には、前側支持フレーム26から後方下側に延びる下側ガイドレール30が架設されている。この下側ガイドレール30は、上述した接地フレーム25の上方、且つ上側ガイドレール28の下方に配設されている。
【0024】
下側ガイドレール30は、前側支持フレーム26から後方下側に向かって延びるレールであるとともに、中間支持フレーム29の後方にて折れ曲がるかたちに形成されている。下側ガイドレール30は、該下側ガイドレール30の形状に合わせて、前側支持フレーム26から後方下側に向かって延びる蟻溝をガイド溝として有している。この下側ガイドレール30は、上記ガイド溝の溝開口が椅子フレーム20の内側を向くように、前側支持フレーム26と中間支持フレーム29とに固定されている。
【0025】
この下側ガイドレール30は、回転ガイド30aと平行移動ガイド30bとを有している。回転ガイド30aは、前側支持フレーム26から後方下側に向かって延びる直線状に中間支持フレーム29まで形成されている。回転ガイド30aのガイド溝が設置面に対して有する傾きは、上記上側ガイドレール28のガイド溝が設置面に対して有する傾きよりも大きい。そして、一対の回転ガイド30aのガイド溝を含む仮想的な平面は、該平面の後側が該平面の前側よりも下がるように、設置面に対して大きな傾きを有することとなる。
【0026】
これに対して、平行移動ガイド30bは、回転ガイド30aにおける後方の端部から後方へ延びる直線状に形成されている。平行移動ガイド30bのガイド溝は、上側ガイドレール28のガイド溝と平行である。そして、一対の平行移動ガイド30bのガイド溝を含む仮想的な平面は、該平面の後側が該平面の前側よりも下がるように、上側ガイドレール
28と同じく、設置面に対して所定の傾きを有することとなる。
【0027】
次に、座フレーム35について、図2及び図3を参照して説明する。
座フレーム35は、上側ガイドレール28に沿って延びる一対の座サイドフレーム36と、一対の座サイドフレーム36における前方の端部を互いに連結する座連結フレーム37とを有している。一対の座サイドフレーム36の各々には、該座サイドフレーム36と向かい合う上側ガイドレール28に向けてガイドローラが突設されている。一対の座サイドフレーム36の各々におけるガイドローラは、対応する座サイドフレーム36のガイド溝に嵌め込まれている。そして、一対の座サイドフレーム36の各々は、対応する上側ガイドレール28のガイド溝内をガイドローラが転動することによって、該上側ガイドレール28に沿って移動する。
【0028】
一対の座サイドフレーム36の各々における前方の端部には、該座サイドフレーム36から前方に延びる前側座ブラケット38が固設されている。この前側座ブラケット38には、オットマン14を構成する脚フレームとしての四角枠状のオットマンフレーム40が座前方回転軸38aを介して回転可能に軸支されている。
【0029】
オットマンフレーム40は、上方に延びる左右一対の脚サイドフレームと該一対の脚サイドフレームを連結する上下一対の脚連結フレームとから構成されている。また、オットマンフレーム40を構成する一対の脚連結フレームのうち、上側に配置された脚連結フレームの中央には、図3に示されるように、後方へ延びるローラーブラケット63が固設されている。また、ローラーブラケット63における後方の端部には、ローラー64が回転可能に軸支されている。そして、座フレーム35が上側ガイドレール28に沿って前方へ移動するとき、オットマンフレーム40における下方の端部が上昇するように、座前方回転軸38aを中心としてオットマンフレーム40が回転するようになっている。また、座フレーム35が上側ガイドレール28に沿って後方へ移動するとき、オットマンフレーム40における下方の端部が下降するように、座前方回転軸38aを中心としてオットマンフレーム40が回転するようになっている。
【0030】
一対の座サイドフレーム36の各々における後方の端部には、上方に延びる後側座ブラケット39が固設されている。この後側座ブラケット39には、背もたれ部13を構成する四角枠状の背フレーム45が座後方回転軸39aを介して回転可能に軸支されている。そして、座フレーム35が上側ガイドレール28に沿って前方へ移動するとき、背フレーム45の上端が下降するように、座後方回転軸39aを中心として背フレーム45が回転するようになっている。また、座フレーム35が上側ガイドレール28に沿って後方へ移動するとき、背フレーム45の上端が上昇するように、座後方回転軸39aを中心として背フレーム45が回転するようになっている。
【0031】
次に、背フレーム45について、図2及び図3を参照して説明する。
背フレーム45は、四角枠状に形成されたフレームであって、後側支持フレーム27に沿って延びる一対の背サイドフレーム46を有している。一対の背サイドフレーム46の各々にて座サイドフレーム36と向かい合う部分には、前方に向かって延びる上側背ブラケット47が固設されている。一対の背サイドフレーム46の各々における上側背ブラケット47は、対応する後側座ブラケット39に上記座後方回転軸39aを介して連結されている。そして、座フレーム35が上側ガイドレール28に沿って移動するとき、座フレーム35と背フレーム45との連結部分である座後方回転軸39aは、座フレーム35に追従するように、上側ガイドレール28に沿って移動する。
【0032】
一対の背サイドフレーム46の各々における下方の端部には、上記座後方回転軸39aよりも前方に延びる下側背ブラケット48が固設されている。この下側背ブラケット48
における前方の端部には、該下側背ブラケット48と向かい合う下側ガイドレール30に向けてガイドローラ49が突設されている。下側背ブラケット48におけるガイドローラ49は、対応する下側ガイドレール30のガイド溝に嵌め込まれている。そして、一対の下側背ブラケット48の各々の先端は、対応する下側ガイドレール30のガイド溝内をガイドローラ49が転動することによって、該下側ガイドレール30に沿って移動する。
【0033】
すなわち、背フレーム45は、座後方回転軸39aを介して座フレーム35に支持されているとともに、下側背ブラケット48のガイドローラ49を介して土台フレーム21に支持されている。そして、座フレーム35が前方へ移動すると、下側背ブラケット48のガイドローラ49は、下側ガイドレール30によって案内される。この際、下側背ブラケット48のガイドローラ49は、まず、平行移動ガイド30bの案内によって、上側ガイドレール28に沿って平行移動する。続いて、下側背ブラケット48のガイドローラ49は、回転ガイド30aの案内によって、徐々に座フレーム35に近づくように移動する。これによって、背フレーム45は、背角度が倒れる側へ移動する。
【0034】
次に、オットマンフレーム40及び背フレーム45を回転させる機構について、図2及び図3を参照して説明する。まず、背フレーム45の回転、すなわち座フレーム35の前方への移動とオットマンフレーム40の回転とを連動させる機構について説明する。
【0035】
座連結フレーム37の略中央には、座ブラケット60が前方に向けて突設されている。この座ブラケット60には、脚駆動部材61が基端回転軸60aを介して回転可能に軸支されている。基端回転軸60aは、座連結フレーム37とオットマンフレーム40との間において座前方回転軸38aよりも下方に配置されている。
【0036】
脚駆動部材61には、上記基端回転軸60aに回転可能に軸支される左右一対の側方ブラケット板が備えられている。また、脚駆動部材61には、これら左右一対の側方ブラケット板の前側を上下方向の全幅にわたって連結する前側ブラケット板61Fが備えられている。また、図3に示されるように、脚駆動部材61における前側ブラケット板61Fの前面がオットマンフレーム40に設けられた上記ローラー64と当接するように、脚駆動部材61は配置されている。そして、例えば、図4に示されるように、脚駆動部材61の下方の端部が上昇するように、基端回転軸60aを中心にして脚駆動部材61が回転(正転)すると、前側ブラケット板61Fの前面に当接しているローラー64は、前側ブラケット板61Fに沿って転動しながら該前面によって押し上げられる。これによって、オットマンフレーム40における下方の端部が上昇するように、座前方回転軸38aを中心にしてオットマンフレーム40が回転する。これに対して、脚駆動部材61の下方の端部が下降するように、基端回転軸60aを中心にして脚駆動部材61が回転(逆転)すると、前側ブラケット板61Fの前面に当接しているローラー64は、前側ブラケット板61Fに沿って転動しながらオットマンフレーム40の自重によって押し下げられる。これによって、オットマンフレーム40における下方の端部が下降するように、座前方回転軸38aを中心にしてオットマンフレーム40が回転する。
【0037】
また、脚駆動部材61が正転し続けると、回転規制手段として機能する前端係止壁60Tと脚駆動部材61とがやがて当接する。これによって、脚駆動部材61の正転が規制されて、オットマン14は、使用者の脚を伸脚させることの可能な状態である伸脚状態となる。これに対して、脚駆動部材61が逆転し続けると、脚駆動部材61と座連結フレーム37とがやがて当接する。これによって、脚駆動部材61の逆転が規制されて、オットマン14は、使用者の脚を屈脚させることの可能な状態である屈脚状態となる。
【0038】
なお、この際、脚駆動部材61がオットマンフレーム40に加える力のうち、オットマンフレーム40の回転方向とは異なる方向への力は、ローラー64の転動に変換される。
それゆえに、脚駆動部材61とオットマンフレーム40とがローラー64を介することなく直接当接する構成と比較して、脚駆動部材61の回転をオットマンフレーム40の回転に円滑に変換することが可能である。また、脚駆動部材61とオットマンフレーム40とが直接当接する場合には、これらが擦れあうことで摩耗や異音が生じてしまうが、上記構成であれば、こうした摩耗や異音を抑えることもできる。
【0039】
ところで、座前方回転軸38aと基端回転軸60aとを同一軸線上に配置することも可能ではある。また、基端回転軸60aを座前方回転軸38aよりも上方に配置することも可能ではある。しかしながら、これらの構成では、基端回転軸60aが形成される座ブラケット60を、座前方回転軸38aが形成される座連結フレーム37の上方に配置することが必要となる。その結果、太股の裏側が膝の裏側よりも持ち上げられるような姿勢を使用者に対して強要することになるため、該使用者に違和感を与えることが懸念される。なお、座連結フレーム37の左端部、あるいは右端部に脚駆動部材61を配置する構成であれば、脚駆動部材61の上方に使用者の脚が配置され難くなる。そのため、上述のような違和感を使用者に与えることが抑えられる。ただし、このような構成の場合には、脚駆動部材61の位置が大幅に制約されることとなる。この点、上述した構成のように、基端回転軸60aが座前方回転軸38aよりも下側に配置される構成であれば、上記違和感を使用者に与えることがなく、且つ脚駆動部材61の配置位置に関する制約も低減される。それゆえに、椅子フレーム20を設計するうえでの自由度を向上させることができる。
【0040】
次に、脚駆動部材61を回転させる機構について、図3及び図4を参照して説明する。
土台フレーム21を構成する連結フレーム23には、リフト支持部65が固設されている。リフト支持部65には、該リフト支持部65から脚駆動部材61へ延びる電動リフト機構70がリフト回転軸65aを介して回転可能に軸支されている。また、電動リフト機構70における上方の端部は、中間回転軸61aを介して脚駆動部材61に回転可能に軸支されている。なお、脚駆動部材61と電動リフト機構70とを連結する中間回転軸61aは、脚駆動部材61において基端回転軸60aよりも下方に配設されている。
【0041】
電動リフト機構70は、連結ロッド71、リフト本体72、及び調整ロッド73から構成されている。連結ロッド71は、該連結ロッド71における上方の端部が中間回転軸61aに回転可能に軸支されている。リフト本体72は、連結ロッド71における下方の端部に連結されるとともに、出力軸を一定の回転速度で回転させる電動モーターと該電動モーターの出力軸に連結されたウォームホイール等を内部に有している。調整ロッド73は、上述したウォームホイールに噛み合うウォームが形成された外周面を有してリフト本体72に挿通されている。そして、調整ロッド73における下方の端部は、リフト回転軸65aに回転可能に軸支されている。
【0042】
こうした構成からなる電動リフト機構70によれば、リフト本体72に対する調整ロッド73の突出量が大きくなると、脚駆動部材61から前方上側へ向く力が、脚駆動部材61に対して作用する。そして、脚駆動部材61に作用する力は、主に下記(a)及び(b)の力に変換される。
【0043】
(a)オットマンフレーム40の下方の端部を前方上側へ回転させる正転力。
(b)座フレーム35を前進させる前進力。
そして、オットマンフレーム40の正転を抑える力よりも上記(a)正転力が大きい場合に、オットマンフレーム40における下方の端部が前方上側へ正転する。また、座フレーム35の前進を抑える力よりも上記(b)前進力が大きい場合に、座フレーム35が前進する。
【0044】
これに対して、リフト本体72に対する調整ロッド73の突出量が小さくなると、脚駆
動部材61から後方下側に向く力が、脚駆動部材61に対して作用する。そして、脚駆動部材61に作用する力は、主に下記(c)及び(d)の力に変換される。
【0045】
(c)オットマンフレーム40の下方の端部を後方下側へ回転させる逆転力。
(d)座フレーム35を後退させる後退力。
そして、オットマンフレーム40の逆転を抑える力よりも上記(c)逆転力が大きい場合に、オットマンフレーム40における下方の端部が後方下側へ逆転する。また、座フレーム35の後退を抑える力よりも上記(d)後退力が大きい場合に、座フレーム35が後退する。
【0046】
すなわち、電動リフト機構70は、図4に示されるように、リフト本体72に対する調整ロッド73の突出量を変更することによって、オットマンフレーム40を回転させたり、座フレーム35を平行移動させたりする。
【0047】
次に、オットマンフレーム40が正転するタイミングと座フレーム35が前進するタイミングとを定める付勢機構75について、図3〜図6を参照して説明する。
椅子式マッサージ機10には、座フレーム35を椅子後方へ付勢する付勢手段としての付勢機構75が設けられている。付勢機構75は、上側ガイドレール28に設けられた第一付勢ブラケット76と、座フレーム35の座サイドフレーム36に設けられた第二付勢ブラケット77と、これらの付勢ブラケット76,77を繋ぐばね部材78とから構成されている。
【0048】
付勢機構75を構成するばね部材78は、第一付勢ブラケット76と第二付勢ブラケット77との距離を広げる方向に、これら第一付勢ブラケット76と第二付勢ブラケット77とを付勢している。すなわち、第一付勢ブラケット76と第二付勢ブラケット77とに作用するばね部材78の付勢力は、座フレーム35を後方へ移動する上記後退力に変換される。なお、椅子式マッサージ機10では、椅子式マッサージ機10が起立状態にあるときに、付勢機構75の付勢によって座フレーム35がさらに後退しないように、該座フレーム35の移動が規制片によって規制されている。
【0049】
ここで、起立状態にて座フレーム35が前進するためには、座フレーム35と上側ガイドレール28との間の摩擦力に抗した力等の他、上記ばね部材78による後退力に抗した力が座フレーム35に対して前向きに作用する必要がある。一方、起立状態にてオットマンフレーム40が回転するためには、座前方回転軸38aにおける摩擦力等に抗した力がオットマンフレーム40に対してこれもまた前向きに作用する必要がある。この際、座フレーム35と上側ガイドレール28との間の摩擦力や座前方回転軸38aにおける摩擦力等、付勢機構75の付勢力以外の各種の力は、各種構成部材の構造や自重に応じて大きく変わるものであるため、こうした力のみを単独で調整することは困難である。一方、付勢機構75による付勢力とは、例えば、ばね部材78の数量、ばね部材78のばね定数、第一付勢ブラケット76と第二付勢ブラケット77との離間距離等によって、比較的容易に調整することが可能である。そして、本実施形態における付勢機構75の付勢力は、上述した起立状態にて座フレーム35の前進に必要な力を同起立状態にてオットマンフレーム40の回転に必要な力よりも確実に大きくするように設定されている。
【0050】
こうした構成によれば、電動リフト機構70による作用力が(a)正転力と(b)前進力とに変換され得るものの、座フレーム35の前進に必要な力が非常に大きいため、(a)正転力によるオットマンフレーム40の正転のみが進む。すなわち、電動リフト機構70による作用力の殆どがオットマンフレーム40の正転に消費されることとなる。そして、脚駆動部材61の回転が所定の回転角度で規制されると、オットマンフレーム40の正転に必要な力が非常に大きくなるため、(b)前進力による座フレーム35の前進のみが
進む。すなわち、電動リフト機構70による作用力の殆どが座フレーム35の前進に消費されることとなる。その結果、背もたれ部13の回転よりもオットマン14の回転を優先的に進めることが可能となる。
【0051】
次に、椅子式マッサージ機10の動作について、図3〜図6を参照して説明する。なお、ここでは入力手段IFHを用いて、背フレーム45を後方に倒すリクライニング操作がなされた場合について説明するとともに、座部12、背もたれ部13、オットマン14は、それぞれ上述した座フレーム35、背フレーム45、オットマンフレーム40の動きに従う。そのため、以下では、これら座フレーム35、背フレーム45、オットマンフレーム40を含む椅子フレーム20を用いて椅子式マッサージ機10の動作を説明する。また、以下では、背もたれ部13が座部12に対して起きている状態を背フレーム45の起立状態という。また、背もたれ部13が座部12に対して倒れている状態を背フレーム45の傾倒状態という。
【0052】
図5は、オットマン14が伸脚状態、背もたれ部13が起立状態にあるときの椅子フレームの構造を示す図である。図6は、オットマン14が伸脚状態、背もたれ部13が傾倒状態にあるときを示す図であって、背フレーム45のリクライニングが完了した場面を示している。ちなみに、図5及び図6の各図は、図2における3−3線に沿った断面を示す図であって、一部の部材を省略して示す図である。
【0053】
図3に示されるように、オットマンフレーム40が屈脚状態、背フレーム45が起立状態で待機している椅子式マッサージ機10において、入力手段IFHを用いてリクライニング操作が実行されると、電動リフト機構70の電動モーターが駆動されて調整ロッド73がリフト本体72からリフト支持部65側へ突出する。
【0054】
図5に示されるように、調整ロッド73がリフト支持部65側に突出し始めると、基端回転軸60aを中心にして脚駆動部材61が回転する。そして、前側ブラケット板61Fの面上をローラー64が転動しながら、オットマンフレーム40が屈脚状態から伸脚状態となるように、該オットマンフレーム40が回転する。このとき、電動リフト機構70は、座フレーム35が前進する力を該座フレーム35に作用させるものの、座フレーム35の前進に必要な力よりもその作用力が小さいため、脚駆動部材61は座フレーム35を前進させることなくオットマンフレーム40のみを回転させる。
【0055】
そして、調整ロッド73がさらに突出すると、やがて脚駆動部材61の回転が座ブラケット60によって規制されてオットマンフレーム40が伸脚状態になる。すると、座フレーム35に対する作用力が座フレーム35の前進に必要な力を上回るため、座フレーム35が前進し始める。
【0056】
座フレーム35が前進すると、座フレーム35と背フレーム45とを連結する座後方回転軸39aは、座フレーム35に追従して上側ガイドレール28のガイド溝に沿って移動する。また、下側背ブラケット48のガイドローラ49は、平行移動ガイド30bのガイド溝が延びる方向、すなわち平行移動ガイド30bの案内方向である前方へ移動する。
【0057】
この際、座後方回転軸39aとガイドローラ49とは、それぞれ上側背ブラケット47と下側背ブラケット48とを介して背フレーム45に固定されている。それゆえに、座後方回転軸39aとガイドローラ49との距離は、座フレーム35が移動することにかかわらず維持される。また、上述したように、ガイドローラ49が平行移動ガイド30bに案内されている間は、ガイドローラ49が移動する経路と座後方回転軸39aが移動する経路とが互いに平行である。そのため、ガイドローラ49が上側ガイドレール28に沿って移動する距離と座後方回転軸39aが上側ガイドレール28に沿って移動する距離とが自
ずと等しくなる。その結果、ガイドローラ49が平行移動ガイド30bに案内されている間は、背フレーム45が座フレーム35に対して倒れることなく、座フレーム35と背フレーム45とが上側ガイドレール28に沿って平行移動する。
【0058】
ここで、例えば付勢機構75のばね部材78が経年劣化して付勢機構75の付勢力が弱くなると、オットマンフレーム40が伸脚状態となる前に座フレーム35が前方へ移動し始めてしまう虞がある。この点、上述した構成の椅子式マッサージ機10であれば、起立状態にて付勢機構75の付勢力が弱くなったとしても、背フレーム45が平行移動することによって、該付勢力を大きくすることが可能である。それゆえに、オットマンフレーム40が伸脚状態となる前に背フレーム45が回転し始めることを抑えることができる。また、背フレーム45は、前方へ平行移動してから回転することから、その平行移動させた分だけリクライニング位置における後方への突出量を抑えることもできる。
【0059】
続いて、調整ロッド73の突出量がさらに大きくなると、座フレーム35がさらに前進して、図6に示されるように、回転ガイド30aのガイド溝が延びる方向、すなわち回転ガイド30aの案内方向である前方上側へ移動する。この際、座後方回転軸39aとガイドローラ49との距離は、座フレーム35が移動することにかかわらず維持される。一方、上側ガイドレール28と回転ガイド30aとの間隔は、椅子式マッサージ機10における前方で狭くなる。そのため、ガイドローラ49が回転ガイド30aに案内されると、座後方回転軸39aとガイドローラ49との距離が維持されるべく、該ガイドローラ49が座後方回転軸39aよりも前方へ進む。その結果、背フレーム45は、座フレーム35に対して後方へ倒れながら上側ガイドレール28に沿って平行移動して傾倒状態となる。
【0060】
ちなみに、入力手段IFHを用いて、背フレーム45を傾倒状態から起立状態に復帰させる復帰操作がなされた場合には、電動リフト機構70の電動モーターが駆動されて、調整ロッド73のリフト支持部65側への突出量を徐々に小さくする。このとき、座フレーム35が付勢機構75によって後方向に付勢されていることから、脚駆動部材61は、背フレーム45が起立状態になって座フレーム35の後方への移動が規制片によって規制されるまでオットマンフレーム40を伸脚状態に保持する。そして、さらに調整ロッド73のリフト支持部65側への突出量を小さくすると、脚駆動部材61が基端回転軸60aを中心として回転し、オットマンフレーム40を屈脚状態へと復帰させる。
【0061】
以上説明したように、第1実施形態における椅子式マッサージ機10によれば、以下に示すような効果を得ることができる。
(1)電動リフト機構70における調整ロッド73の突出量が大きくなることによって回転する脚駆動部材61が備えられるとともに、脚駆動部材61が回転することによってオットマンフレーム40が回転するように構成されている。そして、起立状態にて座フレーム35の前進に必要な力が同起立状態にてオットマンフレーム40の回転に必要な力よりも大きくなるように、付勢機構75の付勢力が設定されている。
【0062】
こうした構成によれば、座フレーム35が前進して背フレーム45が回転する前に、オットマンフレーム40が屈脚状態から伸脚状態となる。その結果、1つの駆動源を用いて背もたれ部13の回動とオットマン14の回動とを実現するとともに、起立状態からは背もたれ部13の回転よりもオットマンフレーム40の回転を優先することが可能である。
【0063】
(2)脚駆動部材61の正転が、座ブラケット60によって規制される。こうした構成によれば、脚駆動部材61を回転させるために使用されていた力が、座フレーム35を前進させるための力として効果的に変換される。
【0064】
(3)脚駆動部材61を軸支する基端回転軸60aは、オットマンフレーム40を軸支
する座前方回転軸38aよりも後方であり、且つ下側に配置されている。こうした構成によれば、基端回転軸60aをオットマンフレーム40に上側に配置することに基づく違和感を使用者に対して与えることがない。これにより、オットマンフレーム40の優先的な回転が座り心地を犠牲にすることなく実現される。
【0065】
(4)また、脚駆動部材61の配置位置に関する制約も低減されることから、椅子式マッサージ機10を設計するうえでの自由度を向上させることもできる。
(5)オットマンフレーム40は、ローラー64を脚駆動部材61の前側ブラケット板61Fで転動させながら回転する。こうした構成によれば、脚駆動部材61とオットマンフレーム40とを直接当接させた場合によりも、オットマンフレーム40の回転をスムーズに行うことができる。
【0066】
(6)また、脚駆動部材61とオットマンフレーム40とが擦れあうこともないことから、その擦れに起因する摩耗や異音を抑えることもできる。
(7)起立状態にある背フレーム45は、前方に平行移動した後に回転する。こうした構成によれば、ばね部材78の経年劣化等によって付勢機構75の付勢力が弱くなったとしても、背フレーム45が平行移動する分だけ、付勢機構75の付勢力を補うことが可能である。それゆえに、起立状態にて背フレーム45が回転し始めることを抑えることができ、ひいてはオットマンフレーム40の優先的な回転をより確実なものとすることができる。また、背フレーム45が一旦前方に移動してから後方側へ倒れることから、椅子式マッサージ機10の後方に十分な空間がなくとも、背フレーム45をリクライニングすることが可能である。
【0067】
(8)ばね部材78は、上側ガイドレール28が延びる方向と平行となるように設けられている。こうした構成によれば、上側ガイドレール28が延びる方向と交差する方向にばね部材が配設される場合に比べて、ばね部材78による付勢力を効率よく利用することができ、ひいてはばね部材78の数量やばね定数等に関して付勢機構75の構成を簡易なものとすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明にかかる椅子式マッサージ機10を具体化した第2実施形態について図7〜図12を参照して説明する。なお、第2実施形態の電動リフト機構70は、第1実施形態における調整ロッド73等とは別に、伸縮可能な伸縮ロッド80で脚駆動部材61とリフト支持部65とが連結されている。以下では、第2実施形態における電動リフト機構70について詳細に説明するとともに、第1実施形態と同じ構成については同様の符号を付すことによりその詳細な説明を省略する。
【0068】
図7は、電動リフト機構の構造を示す図である。図8は、オットマンが伸脚状態にあるときの電動リフト機構の構造を示す図である。図9は、オットマンが屈脚状態、背もたれ部が傾倒状態にあるときの電動リフト機構の構造を示す図である。なお、図8及び図9では、説明するうえで不要な部材を省略して示している。
【0069】
図7に示されるように、第2実施形態における電動リフト機構70は、一端部が脚駆動部材61の先端回転軸61bに回転可能に軸支され、他端部がリフト支持部65のリフト回転軸65aに回転可能に軸支された伸縮ロッド80を有している。先端回転軸61bは、脚駆動部材61において、連結ロッド71を回転可能に軸支させた中間回転軸61aよりも下側に設けられている。またリフト回転軸65aは、リフト支持部65において、調整ロッド73を回転可能に軸支させたリフト回転軸65aよりも前方に設けられている。
【0070】
伸縮ロッド80は、その長手方向で伸縮可能に構成されており、リフト支持部65側における調整ロッド73の突出量に応じて伸縮する。また、伸縮ロッド80は、調整ロッド
73の突出量を最大にしたときに、脚駆動部材61を軸支している基端回転軸60aの下方に該伸縮ロッド80を軸支している先端回転軸61bが配置されるように最大伸張量が規定されている。
【0071】
すなわち、電動リフト機構70は、図8に示されるように、オットマンフレーム40が屈脚状態にあるときに、リフト支持部65側における調整ロッド73の突出量を大きくすると、基端回転軸60aを中心にして脚駆動部材61を回転させてオットマンフレーム40を回転させる。そして、脚駆動部材61の回転が座ブラケット60によって規制されてオットマンフレーム40が伸脚状態になると、オットマンフレーム40を伸脚状態に保持したまま座フレーム35を前方へ移動させて起立状態にある背フレーム45を回転させる。なお、こうした一連の過程において、伸縮ロッド80は、リフト支持部65側における調整ロッド73の突出量に応じて伸張し続けている。
【0072】
図9に示されるように、やがて伸縮ロッド80が最大伸張量に到達すると、伸縮ロッド80を軸支している先端回転軸61bは、その後、伸縮ロッド80を軸支しているリフト回転軸65aを中心とする円弧82に沿って移動する。そして、調整ロッド73がさらに突出して座フレーム35が前進すると、基端回転軸60aは先端回転軸61bとの距離を維持しながら前進する。そのため、伸縮ロッド80の先端回転軸61bは、基端回転軸60aから離間するように円弧82に沿って下方へと移動する。そして、こうした先端回転軸61bの移動によって、オットマンフレーム40は伸脚状態から屈脚状態に戻る。
【0073】
次に、上述した構成の椅子式マッサージ機10の動作について、図10〜図12を参照して説明する。なお、ここでは入力手段IFHを用いて、オットマンフレーム40が屈脚状態、背フレーム45が傾倒状態となるリクライニング操作がなされた場合について説明する。また、第1実施形態と同じく、座部12、背もたれ部13、オットマン14は、それぞれ上述した座フレーム35、背フレーム45、オットマンフレーム40の動きに従う。そのため、以下では、これら座フレーム35、背フレーム45、オットマンフレーム40を含む椅子フレーム20を用いて椅子式マッサージ機10の動作を説明する。
【0074】
図10は、オットマンが伸脚状態、背もたれ部が起立状態にある椅子フレーム20の構造を示す図である。図11は、オットマンが伸脚状態、背もたれ部が傾倒状態にある椅子フレーム20の構造を示す図である。図12は、オットマンが屈脚状態、背もたれ部が傾倒状態にある椅子フレーム20の構造を示す図である。
【0075】
オットマンフレーム40が屈脚状態、背フレーム45が起立状態にある椅子フレーム20において調整ロッド73がリフト支持部65側へ突出すると、図10に示されるように、まず、脚駆動部材61が前方へ回転してオットマンフレーム40が回転される。そして、オットマンフレーム40が伸脚状態になると、脚駆動部材61の回転が座ブラケット60によって規制されて座フレーム35が前進し始める。この座フレーム35の前進にともない、背フレーム45は、一旦前方に平行移動したのち回転し始める。この一連の過程において伸縮ロッド80は、伸張し続けている。
【0076】
やがて、伸縮ロッド80が最大伸張量に到達する。図11に示されるように、伸縮ロッド80が最大伸張量に到達したとき、オットマンフレーム40は伸脚状態、背フレーム45は傾倒状態にある。
【0077】
そして、さらに調整ロッド73がリフト支持部65側に突出すると、図12に示されるように、座フレーム35の前方への移動にともなって、背フレーム45がさらに回転するとともにオットマンフレーム40が伸脚状態から屈脚状態まで回転する。
【0078】
以上説明したように、上記第2実施形態の椅子式マッサージ機10によれば、第1実施形態の(1)〜(8)に記載した効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(9)上記第2実施形態の電動リフト機構70には、一端部が連結ロッド71を回転可能に軸支させた中間回転軸61aよりも下側で脚駆動部材61に軸支され、他端部が調整ロッド73を回転可能に軸支させたリフト回転軸65aよりも前方でリフト支持部65に軸支された伸縮ロッド80が設けられている。
【0079】
こうした構成によれば、オットマンフレーム40を伸脚状態、背フレーム45を傾倒状態にしたのち、背フレーム45を傾倒状態に維持したままオットマンフレーム40を屈脚状態にすることができる。それゆえに、椅子式マッサージ機10の様々な姿勢に対して、1つの駆動源で対応することができる。
【0080】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・下側ガイドレール30には、上側ガイドレール28の案内方向と平行な案内方向を形成する平行移動ガイド30bが設けられている。そして、座フレーム35が移動することにより、背フレーム45が起立状態のまま上側ガイドレール28に沿って平行移動する。これを変更して、下側ガイドレール30が回転ガイド30aのみからなる構成であってもよい。すなわち、座フレーム35の前進と背フレーム45の回転とが同時期に開始されるようにしてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(6)、(8)、(9)に準じた効果を得ることができる。
【0081】
・また、下側ガイドレール30は、回転ガイド30aと、平行移動ガイド30bに代えて、前方に向かうにつれて上側ガイドレール28から離れるような移動ガイドとで構成されていてもよい。こうした構成の場合、座フレーム35を前方へ移動させると、背フレーム45は、起立状態からさらに起きあがった状態で前方へ移動したのち、上記回転ガイド30aによって後方へ倒れることになる。こうした構成であっても、上記(1)〜(9)に準じた効果を得ることができる。
【0082】
・オットマンフレーム40は、脚駆動部材61の前側ブラケット板61Fの面上を転動するローラー64を介して該脚駆動部材61に支持されている。これに限らず、ローラー64が割愛されて脚駆動部材61が直接オットマンフレーム40を支持する構成であってもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(4)、(7)〜(9)に準じた効果を得ることができる。
【0083】
・脚駆動部材61の座フレーム35に対する軸支位置である基端回転軸60aを、オットマンフレーム40の座フレーム35に対する軸支位置である座前方回転軸38aよりも、椅子フレーム20における後方側であって、且つ下側に配置した。これを変更して、例えば基端回転軸60aと座前方回転軸38aとが同軸上に配置されていてもよい。こうした構成であっても、上記(1)、(2)、(5)〜(9)に準じた効果を得ることができる。
【0084】
・脚駆動部材61は、座フレーム35の座ブラケット60と当接することによって正転が規制され、これによりオットマンフレーム40の回転が規制される。これを変更して、例えば、オットマンフレーム40の回転を規制する規制片等の回転規制手段が座フレーム35に設けられることによって、該オットマンフレーム40の回転が規制される構成であってもよい。こうした構成であっても、上記(1)、(3)〜(9)に準じた効果を得ることができる。
【0085】
・背フレーム45は、下側ガイドレール30を介して土台フレーム21に連結されているが、背フレーム45と土台フレーム21とをリンク機構で連結してもよい。
・付勢機構75は、土台フレーム21の上側ガイドレール28と座フレーム35の座サイドフレーム36とをばね部材78で繋ぐことによって、土台フレーム21に対して座フレーム35を後方へ付勢している。これに限らず、付勢機構は、例えば、線状の合成ゴム等によって土台フレーム21と座フレーム35とを繋ぐ態様であってもよい。あるいは、付勢機構は、上述したばね部材や合成ゴム等によって、土台フレーム21と背フレーム45とを繋ぐ態様であってもよい。要するに、付勢機構は、土台フレーム21に対して座フレーム35を後方へ付勢する構成であればよい。
【符号の説明】
【0086】
10…椅子式マッサージ機、20…椅子フレーム、21…土台フレーム、35…座フレーム、40…脚フレームとしてのオットマンフレーム、45…背フレーム、60T…前端係止壁、61…脚駆動部材、61F…前側ブラケット板、64…ローラー、65…リフト支持部、70…電動リフト機構、71…連結ロッド、72…リフト本体、73…調整ロッド、75…付勢機構、78…ばね部材、80…伸縮ロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地する土台フレームと、前記土台フレームに対して椅子前方へ移動可能な座フレームと、前記座フレームに対して回転可能に軸支された背フレームとを備え、
背角度が倒れる側に前記背フレームが移動するとともに、前記座フレームが椅子前方に移動する椅子式マッサージ機において、
前記座フレームの前側には、該座フレームに回転可能に軸支された脚フレーム及び脚駆動部材を備え、該脚駆動部材の回転によって前記脚フレームが回転するように構成され、
前記脚駆動部材には、前記土台フレームに軸支された電動リフトが前記座フレームと前記脚駆動部材との連結部位よりも下方に軸支され、
前記座フレームを椅子後方へ付勢するとともに、前記背フレームが起きた状態にて、前記座フレームの前進に必要な力を前記脚フレームの回転に必要な力よりも大きくする付勢手段が設けられ、
前記背フレームが起きた状態で前記電動リフトが延びるとき、前記脚駆動部材の回転が前記座フレームの前進よりも優先的に進むことによって、前記背フレームの回転に先駆けて前記脚フレームが回転する
ことを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記脚駆動部材には、該脚駆動部材を一定角度以上回転しない回転規制手段が設けられ、
前記電動リフトが延びるとき、前記脚駆動部材の回転が前記一定角度で止まることに伴って前記座フレームが椅子前方へ移動する
請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記脚フレームには、該脚フレームを一定角度以上回転しない回転規制手段が設けられ、
前記電動リフトが延びるとき、前記脚フレームの回転が前記一定角度で止ることに伴って前記座フレームが椅子前方へ移動する
請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項4】
前記脚駆動部材には、前記土台フレームに軸支されて一定の長さだけ延びる副固定具が前記電動リフトと前記脚駆動部材との連結部位よりも下方に軸支され、
前記電動リフトが延びるとき、前記副固定具の伸張が前記一定の長さで止ることに伴って前記座フレームの前進とともに前記脚駆動部材の回転方向が反転する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項5】
前記脚駆動部材と前記座フレームとが連結する位置は、前記脚駆動部材と前記脚フレームとが連結する位置とは異なり、前記脚駆動部材と前記脚フレームとが連結する位置の椅子後方、且つ下側である
請求項1〜4のいずれか一項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項6】
前記脚駆動部材の前方に前記脚フレームを備え、
前記脚フレームにおける後方上側には、前記脚駆動部材と接触する走行具を備える
請求項1〜5のいずれか一項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項7】
前記座フレームの前進を案内する第一ガイドと、
前記背フレームの回転を案内する第二ガイドとを備え、
前記第二ガイドは、背もたれ部が起きているときに前記第一ガイドと平行または椅子前方に向かうにつれて第一ガイドから離れる領域を有し、
前記背フレームが前記第二ガイドによって椅子前方へ向かって案内されるとき、前記平
行または椅子前方に向かうにつれて第一ガイドから離れる領域では、前記背フレームが椅子後方側に倒れずに移動する
請求項1〜6のいずれか一項に記載の椅子式マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−70788(P2012−70788A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216048(P2010−216048)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】