説明

椅子

【課題】座体が回動する椅子において、必要な構成要素を減少させるための技術を提供する。
【解決手段】椅子1では、ロータリーダンパ60が、その回転部62が回転する際の回転軸と、座体20が回動する際の回動軸とが同一線上になる位置関係で取り付けられている。そのため、座体の回動とロータリーダンパなどのダンパー手段の回転とを、従来のようにリンク機構を介さなくても実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に取り付けられた座体が折りたたまれた収納状態,および,その座体に使用者が着席可能な使用状態それぞれへと変位するように構成された椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホールなどにおいて、支持体に取り付けられた座体が折りたたまれた収納状態,および,その座体に使用者が着席可能な使用状態それぞれへと変位するように構成された椅子が用いられている。
【0003】
このような椅子は、座体が支持体に対して回動可能に取り付けられ、この座体における座面が床面と直交する方向に沿う位置関係となるまで座体を回動させることで収納状態となり、また、その座面が床面に沿う位置関係となるまで座体を回動させることで使用状態となるように構成されている。
【0004】
さらに、この座体は、付勢手段を用いて収納状態となる方向に付勢力を与えられることで、収納状態への変位が自動的に実現されるように構成されることが一般的である。
このような構成の椅子では、座体に付勢力を与えて回動させることで、座体が折りたたまれた収納状態へと変位することとなる。このとき、座体は、収納状態となる方向に付勢されていることから、収納状態となる位置において停止する際、椅子本体(背凭れなど)に衝突して衝突音が発生してしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、近年では、椅子にダンパー手段(例えば、ロータリーダンパなど)を取り付けて座体が回動する速度を抑制することで、衝突音の発生を抑制するといったことが行われている。
【0006】
具体的には、ダンパー手段の本体部を支持体の任意の箇所に取り付けると共に、ダンパー手段の本体部から延び出し本体部に対する回転に抑止力を発する回転部(作動軸)をリンク機構の一端に取り付け、リンク機構の他端を座体に取り付けることによって、座体の回動とダンパー手段の回転とを連動させる構成のものである(特許文献1参照)。
【0007】
このような構成とすると、ダンパー手段が、リンク機構を介して座体の回動を抑制し、これにより座体が回動する速度が小さくなる結果、座体が収納状態となる位置まで回動して椅子本体に衝突しても、その衝突時の衝突音を小さくすることができる。
【特許文献1】特開平8−299094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した構成の椅子は、ダンパー手段と座体との連動を、リンク機構を介することで実現しているため、椅子を構成する構成要素が増加すると共に、構成要素の増加に伴って椅子全体を大きくしなければならないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、座体が回動する椅子において、必要な構成要素を減少させるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した問題点を解決するためになされた請求項1記載の発明は、それぞれが同一方向に延びており、所定の間隔を空けて配置された一対の支持体と、交差する2方向に拡がる座面を有し、前記支持体に挟まれた位置関係で、前記座面が前記支持体の延びる方向に交差する方向に沿う使用状態,および,前記座面が前記支持体の延びる方向に沿う収納状態,のそれぞれに変位可能となるように、前記支持体に対して回動可能に前記支持体それぞれに取り付けられた座体と、前記座体が前記収納状態となる方向に前記座体を付勢する付勢手段と、前記座体の前記支持体に対する回動を抑制するダンパー手段と、を備える椅子である。
【0011】
この椅子における前記ダンパー手段は、本体部から延び出す柱状の回転部が、その延び出す方向に沿って延びる回転軸を中心として回転すると共に、その回転する動作が、前記本体部によって抑制される構成である。
【0012】
そして、このダンパー手段は、前記回転部の回転軸が、前記座体が回動する際の回動軸と同一線上になる位置関係で、前記本体部および前記回転部のいずれか一方が前記支持体に取り付けられ、他方が前記座体に取り付けられている。
【0013】
このように構成された椅子では、ダンパー手段が、その回転部が回転する際の回転軸と、座体が回動する際の回動軸とが同一線上になる位置関係で取り付けられ、リンク機構を介さずに座体の回動とダンパー手段の回転との連動を実現することができる。
【0014】
そのため、従来のようにリンク機構を介してダンパー手段が取り付けられる場合と比べて、椅子を構成する構成要素を少なくすることができ、構成要素の減少による製造コストの削減,および,椅子全体の小型化を実現できる。
【0015】
また、上述したように、ダンパー手段における回転部の回転軸と座体の回動軸が同一線上になる位置関係であることから、ダンパー手段の回転部による抑制力を直接的に座体へと伝えることができる。そのため、ダンパー手段と座体とがリンク機構を介して連結されている構成と比べて、ダンパー手段から座体へと伝えられる抑制力のロスが小さい。
【0016】
これにより、ダンパー手段としてロスを考慮した大きな抑制力を有するものを用いなければならなかったり、そのようなロスを考慮して椅子を構成する必要がなくなるため、椅子としての設計の自由度を高くすることができる。
【0017】
なお、上述したダンパー手段には、周知のロータリーダンパなどを用いればよい。
また、請求項1に記載された構成の椅子は、請求項2に記載されているように、支持体に、前記座体が取り付けられている領域に凹状の内部空間が形成されており、前記内部空間に、前記付勢手段および前記ダンパー手段が納められている構成であってもよい。
【0018】
このように構成された椅子は、付勢手段およびダンパー手段が支持体の内部空間に納められるので、それらの構成要素が支持体の外部に露出しない位置に配されることとなる。
そのため、それらの構成要素が椅子の外観に現れることを前提に椅子のデザインを行う必要がなくなり、椅子をデザインする際の自由度が高くなる。
【0019】
さらに、上述した構成の椅子は、上記各構成要素が支持体の内部空間に納められていることによって、外部からの衝撃が加わりにくくなる。その結果、外部からの衝撃により上記構成要素が破損することを防止できる。
【0020】
ところで、この構成では、支持体に凹状の内部空間が形成されており、この内部空間へといたる開口を介して内部空間に上記各構成要素が収められているため、この開口から内部空間へと上記各構成要素以外のものが侵入してしまう恐れがある。
【0021】
そのような事態を防止するためには、請求項2に記載された構成の椅子を、請求項3に記載されているように、支持体に、前記支持体表面に沿って前記内部空間を閉鎖可能な形状のカバー部が取り付けられている構成とするとよい。
【0022】
このように構成された椅子は、付勢手段およびダンパー手段等が納められた状態で、内部空間に繋がる開口がカバー部により塞がれるため、内部空間に上記構成要素以外のもの、例えば体の一部または衣服などが侵入することを防止できる。
【0023】
それによって、内部空間に上記構成要素以外のものが侵入した状態で座体が回動することを防止できる結果、例えば、体の一部が挟まれて負傷したり、衣服が損傷したりするといったことを防止できると共に、各構成要素が破損することも防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
椅子1は、図1に示すように、所定の間隔を空けて配置された一対の支持体10(10R,10L),支持体10に挟まれた位置関係で各支持体10に取り付けられた座体20,座体20の後方(図1におけるA方向;以下同様)端部において各支持体10に取り付けられた背凭れ30,および,各支持体10の上部領域にそれぞれ設けられた肘掛け40,支持体10と座体20との間に介在する取付部50などからなる。
【0025】
これらのうち、支持体10は、左側(図1におけるL方向側;以下同様)に配置される支持体10L,および,右側(同図R方向側;以下同様)に配置される支持体10Rからなり、それぞれが床面から上方向に延びるように設けられている。
【0026】
また、支持体10Rには、図2に示すように、座体20側に位置する領域に開口を有する凹状の内部空間14が形成されており、その内部空間14を塞ぐようにカバー16が取り付けられている。
【0027】
また、この座体20側に位置する領域には、後述するようにロータリーダンパ60の一部を嵌合させるために形成された矩形の矩形溝17が形成されている(図3参照)。さらに、その矩形溝17を取り囲む領域には、座体20に向けて延出する円筒状の支持筒18が設けられている(図3参照)。
【0028】
また、カバー16は、支持体10R表面に沿って、支持体10Rに形成された内部空間14を閉鎖可能に形成された板状の部品であり、座体20が回動する際に取付部50の構成要素が通過する領域にガイド溝19が形成されている。
【0029】
また、座体20は、交差する2方向(図1においてA−B,R−L方向)に拡がる座面22を有している。そして、この座体20は、座面22が支持体10の延びる方向と交差する方向に沿う使用状態(図1(a)参照),および,座面22が支持体10延びる方向に沿う収納状態(図1(b)参照),のそれぞれに変位可能となるように、各支持体10に対して回動可能に取り付けられている。
【0030】
また、背凭れ30は、座体20の後端側から後方(A方向)に傾斜する傾斜面を有しており、この傾斜面に使用者が凭れることが可能となっている。
また、肘掛け40は、各支持体10から上方に延びる肘掛け支持部12の上端それぞれに取り付けられている。
【0031】
また、右側に配置された支持体10Rと座体20との間に介在する取付部50は、図2に示すように、座体20の支持体10R側に位置する領域に取り付けられた座受けアーム52,座受けアーム52に取り付けられた弦巻バネ54,座受けアーム52と支持体10Rの支持筒18とを連結する位置に配された連結部材56,および支持筒18の筒内に取り付けられるロータリーダンパ60からなる。この取付部50は、その一部を除いて、カバー16によってその開口を塞がれた内部空間14に収められている。
【0032】
これらのうち、座受けアーム52は、座体20の側面に沿って延びる板状部52aと、この板状部52aの中心領域から支持体10Rに向けて延出する筒状部52bと、からなり、この筒状部52bにおいて、その延出する方向の中心軸が座体20の回動軸となる。また、この板状部52aにおいて、筒状部52bと交差する領域には、後述するロータリーダンパ60の一部分を嵌合させるために形成された矩形の矩形溝57が形成されている。
【0033】
また、弦巻バネ54は、金属線を円筒状に巻いた形状のバネであり、座受けアーム52の筒状部52bが弦巻バネ54の円筒形状の内部を通過する位置関係で、収納状態となる方向へ座体20を付勢するように、弦巻バネ54を形成する金属線の端部が座受けアーム52および支持体10Rにそれぞれ固定されている。
【0034】
また、連結部材56は、筒状の部材であって、その内径が、支持体10R側から座体20側に向けて変化しており、座体20側において狭くなるように構成されている。そして、この連結部材56は、筒状の部分のうち、座体20側に位置する外側の領域が、座受けアーム52における筒状部52bの内部に嵌め込まれており、支持体10R側に位置する内側の領域が、支持体10Rにおける支持筒18の外側に嵌め込まれている(図4(a)参照)。
【0035】
また、ロータリーダンパ60は、図3に示すように、円柱形の本体部61,および,本体部61から延び出す円柱形の回転部62からなり、その本体部61において回転部62が延び出している端部と反対の端部(以降「後端」という)側が、支持体10Rにおける支持筒18の内側に嵌め込まれている。
【0036】
また、このロータリーダンパ60の回転部62は、その先端側が、少なくとも連結部材56における狭くなっている内径を通過できる程度の外径となっており、その端部が、連結部材56の内部を通って座受けアーム52に到達している。そして、この回転部62の端部は、座受けアーム52に形成された矩形溝57に嵌合可能な形状となっており、これが、その矩形溝57に嵌め込まれている。
【0037】
また、このロータリーダンパ60における本体部61の後端には、支持体10Rの支持筒18に形成された矩形溝17と嵌合可能な形状の嵌合突起63が形成されており、これが、その矩形溝17に嵌め込まれている。
【0038】
このように、ロータリーダンパ60は、本体部61が支持体10Rにおける支持筒18の内側に嵌め込まれ、回転部62の先端が座受けアーム52の矩形溝57にはめ込まれることで、回転部62が回転する際の回転軸と、座体20が回動する際の回動軸とが同一線上になる位置関係となっている。
【0039】
また、このロータリーダンパ60は、回転部62の先端および本体部61の後端がそれぞれ座受けアーム52の矩形溝57および支持体10Rの矩形溝17に嵌合することにより、ロータリーダンパ60の長さ方向に延びる軸を中心にロータリーダンパ60全体が回転しないように取り付けられている。
【0040】
そして、このロータリーダンパ60は、座受けアーム52を介して連結された座体20が回動した場合、この座受けアーム52の矩形溝57に回転部62が嵌合していることから、座体20の回動に伴って回転部62が回動することになるが、支持体10Rの矩形溝17に本体部61の嵌合突起63が嵌合しているため、回転部62の回転に伴って本体部61までが回転してしまうことはない。つまり、座体20が回動する際には、ロータリーダンパ60の回転部62のみが回転することにより、その座体20の回動に対して抑制力が働くことになる。
【0041】
ここで、ロータリーダンパ60における回転部62は、本体部61に対して初期位置から停止位置までの範囲で回転可能となっており、回転部62が停止位置に近づくにつれて発生する抑制力が大きくなるように構成されたものである。
【0042】
そして、本実施形態においては、収納状態となる方向に座体20が回動していくにつれてロータリーダンパ60の抑制力が強くなるようにロータリーダンパ60の取り付け位置が調整されている。そのため、座体20は、使用状態から収納状態への回動を開始した直後よりも、収納状態となる位置付近において相対的にゆっくりと回動することとなる。
【0043】
なお、ここまでは、支持体10R,および,支持体10Rと座体20との間に介在する取付部50について説明したが、支持体10L,および,支持体10Lと座体20との間に介在する取付部50は、図4(b)に示すように、支持体10Rと座体20との間に介在する取付部50と左右対称の構成であり、ロータリーダンパ60が取り付けられていない点で相違するのみであるため、詳細な説明は省略する。
(2)作用,効果
このように構成された椅子1では、ロータリーダンパ60が、その回転部62が回転する際の回転軸と、座体20が回動する際の回動軸とが同一線上になる位置関係で取り付けられている。そのため、座体の回動とロータリーダンパなどのダンパー手段の回転との連動を、従来のようにリンク機構を介さなくても実現することができる。
【0044】
それにより、従来のようにリンク機構を介して座体の回動とダンパー手段の回転との連動を実現する構成と比べて、椅子を構成する構成要素を少なくすることができ、構成要素の減少による製造コストの削減,および,椅子全体の小型化を実現できる。
【0045】
さらに、上記の位置関係でロータリーダンパ60が取り付けられているため、ロータリーダンパ60の回転部62による抑制力を直接的に座体20へと伝えることができる。そのため、ダンパー手段と座体とがリンク機構を介して連結されている構成と比べて、ロータリーダンパ60から座体20へと伝えられる抑制力のロスが小さい。
【0046】
これにより、ダンパー手段としてロスを考慮した大きな抑制力を有するものを用いなければならなかったり、そのようなロスを考慮して椅子を構成する必要がなくなるため、椅子としての設計の自由度を高くすることができる。
【0047】
また、上述したようにロータリーダンパ60で座体20の回動に対して抑制力を伝える構成となっているため、椅子1が収納状態となっているときでも、弦巻バネ54による付勢力と共に、その抑制力により座体20自体の重さで椅子1が使用状態側へと変位してしまうことを防止できる。
【0048】
特に、上記構成では、ロータリーダンパ60が座体20に伝える抑制力のロスが小さいため、ロータリーダンパ60による抑制力を、椅子1が使用状態側へと変位してしまうことを防止するための力として有効に働かせることができる。
【0049】
このことは、上述したようなリンク機構を介する構成と比べて、弦巻バネ54などの付勢手段による付勢力が小さくても、椅子1が使用状態側へと変位してしまうことを防止するのに適していることを意味する。その結果、付勢手段として従来よりも付勢力の小さい部材を用いることができる。
【0050】
また、本実施形態の椅子1は、上述したようにロータリーダンパ60の取り付け位置が調整されているため、座体20が使用状態から収納状態へと回動を開始した位置では座体20は相対的に早く回動し、また、収納状態となる位置付近では座体20は相対的にゆっくりと回動する。
【0051】
よって、使用者が椅子1を使用している状態から立ち上がった場合、素早く座体20が立ち上がり、使用者が立ち上がる際の邪魔にならないようにして、使用者のスムーズな移動が実現できる。
【0052】
また、本実施形態の椅子1は、座受けアーム52の一部を除く取付部50が支持体10の内部空間14に収められるので、そのように各構成要素が支持体10の外部に露出しない位置に配されることとなる。
【0053】
そのため、それらの構成要素が椅子の外観に現れることを前提に椅子のデザインを行う必要がなくなり、椅子をデザインする際の自由度が高くなる。
さらに、本実施形態の椅子1は、それらの構成要素が支持体10の内部空間14に収められていることによって、外部からの衝撃が加わりにくくなる。その結果、外部からの衝撃により上記構成要素が破損することを防止できる。
【0054】
また、本実施形態の椅子1は、座受けアーム52の一部を除く取付部50が収められた状態で、内部空間14に繋がる開口がカバー16により塞がれるため、内部空間14に体の一部または衣服などが入り込むことを防止できる。
【0055】
それによって、内部空間14に取付部50の構成要素以外のものが侵入した状態で座体20が回動することを防止できる結果、例えば、体の一部が挟まれて負傷したり、衣服が損傷したりするといったことを防止できると共に、各構成要素が破損することも防止できる。
【0056】
なお、本実施形態においては、支持体10の内部空間14をカバー16で塞ぐことにより、上述したような効果を奏するものとなっているが、このようにカバー16で内部空間14を塞ぐことができるのは、上述したようにリンク機構を介さない構成とすることで、部品点数を減少させることができたことによるものである。
【0057】
リンク機構が備えられていると、座体20の回動軸周りに存在する部品点数も当然に多くなり、それらの部品が内部空間14において通過する領域も当然に広くなるため、その内部空間14を閉鎖するには複雑な形状のカバーを用いなければならなかったり、場合によっては内部空間14を閉鎖すること自体が困難になる。
【0058】
ところが、上述したように、部品点数が少なければ、座体20の回動軸周りに存在する部品も少なくなり、内部空間14において取付部50の構成要素が通過する領域も当然に小さくなる結果、内部空間14を閉鎖するためのカバー16として簡単な形状のものを用いることができる。
(3)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0059】
例えば、上記実施形態において、ロータリーダンパ60の回転部62が嵌合する座受けアーム52の矩形溝57,本体部61の嵌合突起63が嵌合する支持体10Rの矩形溝17のうち、一方または両方は、回転部62および嵌合突起63とそれぞれ隙間なく嵌合する形状とすればよいが、隙間を有した状態で嵌合する形状としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、座受けアーム52の矩形溝57,および,これに嵌合するロータリーダンパ60の回転部62の先端が、それぞれ矩形の形状となるように構成されたものを例示した。しかし、これらの形状は、両者が嵌合し、回転部62による抑制力を座受けアーム52側に伝えることができる形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、支持体10Rの矩形溝17,および,これに嵌合するロータリーダンパ60の嵌合突起63が、それぞれ矩形の形状となるように構成されたものを例示した。しかし、これらの形状は、両者が嵌合し、回転部62による抑制力を座受けアーム52を介して座体20側に伝えることができる形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、椅子1が単体の椅子として構成されているものを例示したが、椅子1の一部構成を共有することで、複数の椅子が隣接して配置された構成としてもよい。具体的な例としては、椅子1の一方または両方の支持体10における座体20と反対側の領域に、取付部50aを介して座体20aにおける一の側面を取り付け(図5(a)参照、ここでは椅子1の支持体10Rの場合を示す)、この座体20aにおける他の側面を、別の支持体10a(図示されない)に取り付ける、といった構成が考えられる。
【0063】
また、上記実施形態においては、支持体10Lと座体20との間に介在する取付部50として、支持体10Rと座体20との間に介在する取付部50と同様に、ロータリーダンパ60が取り付けられたものを用いてもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、支持体10Lと座体20との間に介在する取付部50としては、図5(b)に示すように、支持体10Rと座体20との間に介在する取付部50におけるロータリーダンパ60の取り付け位置に対応する領域に、ロータリーダンパ60と同じ形状のものであって、抑制力を発生する機能を有していない軸体70が取り付けられたものを用いてもよい。
【0065】
特に、上述のように、複数の椅子が隣接して配置された構成において、軸体70を用いた場合には、支持体10においてロータリーダンパ60および軸体70が収められる領域に合わせて、これらがピッタリと収まるように軸体70の形状を自由に変更することができる。これにより、その領域内でロータリーダンパ60が左右方向に変位してしまうことを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の椅子を示す斜視図
【図2】取付部およびその周囲を示す分解斜視図
【図3】支持筒およびロータリーダンパを示す斜視図
【図4】支持体と座体を取り付けた状態を示す断面図
【図5】変形例を示す断面図
【符号の説明】
【0067】
1…椅子、10,10L,10R…支持体、12…肘掛け支持部、14…内部空間、16…カバー、17,57…矩形溝、18…支持筒、19…ガイド溝、20,20a…座体、22…座面、30…背凭れ、40…肘掛け、50,50a…取付部、52…座受けアーム、52a…板状部、52b…筒状部、54…弦巻バネ、56…連結部材、60…ロータリーダンパ、61…本体部、62…回転部、63…嵌合突起、70…軸体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが同一方向に延びており、所定の間隔を空けて配置された一対の支持体と、
交差する2方向に拡がる座面を有し、前記支持体に挟まれた位置関係で、前記座面が前記支持体の延びる方向に交差する方向に沿う使用状態,および,前記座面が前記支持体の延びる方向に沿う収納状態,のそれぞれに変位可能となるように、前記支持体に対して回動可能に前記支持体それぞれに取り付けられた座体と、
前記座体が前記収納状態となる方向に前記座体を付勢する付勢手段と、
前記座体の前記支持体に対する回動を抑制するダンパー手段と、を備え、
前記ダンパー手段は、
本体部から延び出す柱状の回転部が、その延び出す方向に沿って延びる回転軸を中心として回転すると共に、その回転する動作が、前記本体部によって抑制される構成であり、
前記回転部の回転軸が、前記座体が回動する際の回動軸と同一線上になる位置関係で、前記本体部および前記回転部のいずれか一方が前記支持体に取り付けられ、他方が前記座体に取り付けられている
ことを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記支持体は、前記座体が取り付けられている領域に凹状の内部空間が形成されており、前記内部空間に、前記付勢手段および前記ダンパー手段が収められている
ことを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記支持体には、前記支持体表面に沿って前記内部空間を閉鎖可能な形状のカバー部が取り付けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−330452(P2007−330452A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164924(P2006−164924)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000116596)愛知株式会社 (37)
【Fターム(参考)】