説明

椅子

【課題】椅子本体を起立状態からリクライニング状態へ倒伏させたときの安定性を向上させた椅子を提供することにある。
【解決手段】 リクライニング可能な椅子であって、
椅子本体2と、椅子本体の後面に上下方向に沿って移動可能に設けられその移動位置に応じて椅子本体を一端部を支点として所定の傾斜角度で保持する脚体6と、脚体を椅子本体の上下方向に沿って駆動する第1の駆動源と、椅子本体の一端部の前面に回動可能に設けられた座部体4を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は利用者の上半身の保持角度を変えることができるリクライニング式の椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子には利用者の上半身の保持角度を変更することができるリクライニング式のものがある。リクライニング式の椅子は利用者が着座する座部及び上半身を寄り掛ける背部を有する。上記背部は上記座部に対して回動可能に設けられ、所定の角度で保持できるようになっている。それによって、利用者が上記座部に着座して上記背部に寄り掛かれば、その背部の角度に応じて上半身の角度を変えることができる。
【0003】
このような構成のリクライニング式の椅子は特許文献1に示されている。特許文献1に示された椅子は脚部材を有し、この脚部材には座部材がほぼ水平に設けられている。座部材の先端には脚台が回動可能に設けられ、後端には背もたれ部材が下端を回動可能に連結して設けられている。背もたれ部材には延長部がスライド可能に設けられ、この延長部と上記脚部材にはリンクの一端と他端がそれぞれ回動可能に連結されている。
【0004】
それによって、背もたれ部材を倒せば、その倒伏角度に応じて上記リンクが脚部材に連結された他端を支点として一端が連結された上記延長部を上記背もたれ部材から突出方向にスライドさせながら回動するから、利用者は後方へ倒した上半身を上記背もたれ部材及び延長部によって支持させることができるというものである。
【特許文献1】特開平7−194450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示された椅子によると、背もたれ部材は脚部材の後端部に下端を回動可能に連結して設けられている。そのため、上記脚体は背もたれ部材を起立させたときと、後方へ倒伏させたときとで上記背もたれ部材を同じ状態で支持することになる。
【0006】
一方、利用者が上半身を起こしている状態から、背もたれ部材を後方へ倒して延長部を突出方向にスライドさせ、上半身を倒して上記背もたれ部材と延長部とで支持されるリクライニングの状態に変えると、上記脚体に加わる利用者の体重の重心は脚体の後方へ大きく移動することになる。
【0007】
そのため、利用者が上半身を倒したリクライニング状態においては、脚体が後方へ倒れ易い状態にあるから、たとえば利用者が上半身を倒した状態で下肢や上肢を動かすなどすると、脚体の設置状態が不安定になってがた付いたり、重心の移動が大きい場合には椅子が後方へ転倒するという虞がある。
【0008】
椅子の後方への転倒を防ぐためには脚体の前後方向の寸法を大きくすればよい。しかしながら、脚体の前後方向の寸法を大きくしたのでは、椅子全体が大型化したり、外観が低下するなどのことがある。
【0009】
この発明は、利用者が上半身を起こした状態から後方へ倒すリクライニングの状態に変更したとき、利用者の重心の移動に応じて椅子本体の支持位置が後方へ変更されるようにすることで、リクライニング状態のときの椅子本体の安定性を向上させることができるようにした椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、リクライニング可能な椅子であって、
椅子本体と、
この椅子本体の後面に上下方向に沿って移動可能に設けられその移動位置に応じて上記椅子本体を一端部を支点として所定の傾斜角度で保持する脚体と、
この脚体を上記椅子本体の上下方向に沿って駆動する第1の駆動手段と、
上記椅子本体の一端部の前面に回動可能に設けられた座部体と
を具備したことを特徴とする椅子にある。
【0011】
上記座部体を上記椅子本体の傾斜角度に応じて所定の角度に駆動する第2の駆動手段を備えていることが好ましい。
【0012】
上記椅子本体はこの上下方向と交差する幅方向に所定の間隔で離間した一対のガイドレールを有し、
上記脚体の一端部には上記ガイドレールに転動可能に係合する一対のガイドローラが設けられ、他端部には上記椅子本体の幅方向に所定の間隔で離間した一対のキャスタが設けられていることが好ましい。
【0013】
上記座部体は一端部が上記椅子本体の一端部に回動可能に連結され他端部にはフットレストが回動可能に設けられていて、
上記フットレストは上記座部体の他端部を支点として第3の駆動手段によって回動駆動されることが好ましい。
【0014】
上記フットレストは上記座部体の他端部に回動可能に設けられ上記第3の駆動手段によって回動駆動される一対の側部材と、一対の側部材間に回動可能に設けられたフットレスト本体とによって構成され、このフットレスト本体はフットマッサージ器を兼ねていることが好ましい。
【0015】
上記フットレストの外面には感圧スイッチが設けられ、上記椅子本体を倒伏状態から起立方向に回動させたときに上記フットレストが床面と接触してそのことが上記感圧スイッチによって検知されると、その検知信号によって上記座部体が上記第2の駆動手段によって他端部が上昇する方向に駆動されることが好ましい。
【0016】
上記椅子本体にはその上下方向に沿ってマッサージユニットが走行可能に設けられ、このマッサージユニットは第4の駆動手段によって駆動されることが好ましい。
【0017】
上記椅子本体は後面が凸状となる曲面に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、椅子本体の後面の上下方向に沿って脚体を駆動可能に設け、椅子本体を後方へ倒してリクライニング状態とするとき、上記脚体を椅子本体の後面の下方から上方に向かって駆動するようにした。
【0019】
そのため、椅子本体を後方へ倒してリクライニング状態とすれば、この椅子本体を支持する脚体の位置も利用者の重心の移動に応じて移動するため、安定した状態で使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図7に示す椅子1は椅子本体2を備えている。この椅子本体2は背面が凸状で、前面が凹状の曲面形状に形成されている。この椅子本体2の前面の一端部の幅方向両端には側面形状が三角形の一対の肘掛け体3が設けられている。一対の肘掛け体3の間には座部体4及びフットレスト5が設けられている。これら座部体4及びフットレスト5は後述するように回動駆動されるようになっている。
【0021】
上記椅子本体2の後面には後述するようにこの椅子本体2の上下方向に沿って駆動される脚体6が設けられている。この脚体6は、図9に鎖線と実線で示す椅子本体2の一端部と他端部との間で無段階に駆動されるようになっており、その位置に応じて椅子本体2の支持角度を変えることができる。図1、図2及び図6に示す椅子本体2の支持角度を起立状態とし、図3、図4及び図7に示す支持角度をリクライニング状態とする。
【0022】
上記椅子本体2の内部には図8に示すように正面形状が矩形状をなしたフレーム11を有する。このフレーム11内の幅方向両端部には一対の第1のガイドレール12が上下方向全長にわたって設けられている。一対の第1のガイドレール12は断面コ字状であって、開口した一側面をフレーム11の幅方向内方に向けている。
【0023】
第1のガイドレール12には上記脚体6が移動可能に設けられている。すなわち、脚体6は図12(a),(b)及び図14(a)〜(c)に示すように横杆13の両端にそれぞれ一対のガイドローラ14が支軸14aを介して回転可能に設けられた取付け板15と、上記横杆13の中途部に一端が連結された逆Y字状の脚部材16と、この脚部材16の2つに分岐した部分の末端に回転可能に設けられた一対のキャスタ17によって構成されている。
【0024】
そして、上記脚体6は、左右それぞれ一対のガイドローラ14を各第1のガイドレール12に転動可能に係合させ、上記脚部材16を椅子本体2の後面の上下方向(長手方向)に沿って開口形成されたスリット18(図5に示す)から突出させて設けられている。
【0025】
図9と図14に示すように、各第1のガイドレール12の一端部(下端部)と他端部(上端部)にはそれぞれ開放した一側面に蓋板20aが設けられたコ字状の取付け具20が蓋板20aを椅子本体2の幅方向内方に向けて挿入固定されている。各取付け具20にはスプロケット21が設けられた支軸21aが軸線を水平にして回転可能に支持されている。これらスプロケット21にはチェーン22が架設されている。
【0026】
図14(a),(b)に示すように、上記取付け板15に一対のガイドローラ14を回転可能に取付けた上記支軸14aにはそれぞれ連結片23が取り付けられている。上記チェーン22の一端と他端は一対の支軸14aに取り付けられた連結片23に連結されている。
【0027】
上記第1のガイドレール12の一端に設けられた左右一対のスプロケット21は、図13に示すようにそれぞれ第1の駆動手段を構成するモータ24と減速機25とが一体化された第1の駆動源26によって回転駆動される。左右一対の第1の駆動源26(一方のみ図示)によってスプロケット21が回転駆動されてチェーン22が一対の第1のガイドレール12に沿って走行すれば、チェーン22が連結された連結片23を介して上記脚体6が上記第1のガイドレール12に沿って移動する。
【0028】
それによって、椅子本体2を図と図2に示す起立状態や図3と図4に示すリクライニング状態で支持することができるようになっている。
図8に示すように、上記フレーム11の内部には上記第1のガイドレール12よりも幅方向内方に一対の第2のガイドレール28が上下方向に沿って設けられている。一対の第2のガイドレール28にはマッサージユニット29が図10(a)と図11(a)に示すガイドローラ30を介して走行可能に支持されている。
【0029】
上記マッサージユニット29はユニット本体31を有する。このユニット本体31の幅方向両側には支持部材32が揺動可能に設けられ、この支持部材32には一対のマッサージローラ33が回転可能に設けられている。
【0030】
上記ユニット本体31の背面には図示しないナット体が設けられ、このナット体には図8に示すねじ軸34が螺合している。このねじ軸34は上記椅子本体2の内部に上下方向に沿って設けられていて、上記椅子本体2の一端部である下端部には上記ねじ軸34を回転駆動する第4の駆動手段としての第4の駆動源35が設けられている。
【0031】
第4の駆動源35によって上記ねじ軸34が回転駆動されれば、その回転方向に応じて上記マッサージユニット29が椅子本体2内を上記第2のガイドレール28に沿って一端部(下端部)から他端部(上端部)或いはその逆方向に駆動される。つまり、マッサージユニット29は椅子本体2内をその上下方向に沿って往復駆動されるようになっている。
【0032】
図8乃至図11に示すように、上記フレーム11の両側部11aは上記第1のガイドレール12よりも短く形成されていて、その両側部の下端には上記座部体4を構成する座フレーム37の幅方向両側の一端部が支軸38によって回動可能に連結されている。上記座フレーム37の上面には座クッション体39が設けられている。
【0033】
上記椅子本体2の一端部内には第2の駆動手段を構成する第2の駆動源41が一対の第1のガイドレール12の一端部間に回動可能に支持されて設けられている。この第2の駆動源41は軸方向に進退駆動される駆動軸42を有し、この駆動軸42の先端が上記座フレーム37の他端部(先端部)下面に枢着されている。
【0034】
それによって、図10(b)に示すように上記駆動軸42が前進方向に駆動されれば、上記座部体4は椅子本体2の前面に対して所定の角度をなす起立状態で保持され、図11(b)に示すように上記駆動軸42が後退方向に駆動されれば、上記座部体4は椅子本体2の前面に対して平行に近い角度の倒伏状態で保持されるようになっている。
【0035】
図10と図11に示すように、上記座部体4のフレーム11の他端部には幅方向全長にわたる長さの支軸43が回転可能に設けられている。この支軸43の上記フレーム11の両側から突出した両端部にはフットレスト5を構成する側部材45がそれぞれ連結されている。この側部材45は図9に示すように多角形状の主部45a及びこの主部45aの一側から延出されたアーム部45bを有する形状となっていて、上記アーム部45bの先端部が上記支軸43の端部に連結固定されている。
【0036】
一対の側部材45間にはこの主部45aよりも小さな矩形状の断面をなしたフットレスト本体46が回転可能かつ図示しないクリック機構によって所定の回転角度で保持可能に設けられている。図1と図4に示すように上記フットレスト本体46の4つの側面のうちの1つは平坦面46aに形成され、残りの3つの側面には図2と図3に示すように利用者の下肢のふくらはぎの部分を挿入する一対の溝部47が形成されている。上記フットレスト本体46の内部には図10(a)と図11(a)に概略を示す足揉み器46bが内蔵され、上記溝部47に挿入された利用者のふくらはぎの部分をマッサージできるようになっている。
【0037】
図10(b)と図10(b)に示すように、上記座フレーム37の下面には第3の駆動手段を構成する第3の駆動源48の一端部が枢支されている。この第3の駆動源48は進退駆動される駆動軸49を有し、この駆動軸49の先端にはリンク50の一端が枢着されている。このリンク50の他端は上記座フレーム37の先端部に架設された支軸43に枢着されている。
【0038】
それによって、上記第3の駆動源48の駆動軸49が進退駆動されれば、この駆動軸49によって上記支軸43が回転駆動されるから、その回転に上記フットレスト5の側部材45が連動するようになっている。
【0039】
図9に示すように、上記側部材45の外周面にはテープ状の感圧スイッチ51が設けられている。椅子本体2の起立角度を変えるとき、つまり椅子本体2を図7に示すリクライニング状態から図6に示す起立状態に変更するとき、上記側部材45の外周面が床面接触する。側部材45の外周面が床面接触すると、そのことが感圧スイッチ51によって検出される。
【0040】
感圧スイッチ51の検出信号は図15に示す制御装置53に出力される。制御装置53は感圧スイッチ51からの信号が入力されている間は第2の駆動源41を作動させ、座部体4をフレーム11に枢着された一端を支点として先端が上昇する方向に駆動する。
【0041】
それによって、座部体4とともにフットレスト5が上昇するから、椅子本体2のリクライニング状態から起立状態への駆動を、フットレスト5によって阻害されることなく行うことができる。
【0042】
図1や図2に示すように、上記フレーム11の両側部には外装地によって被覆された側部クッション体54が設けられ、さらにフレーム11の前面及び背面が外装地55によって覆われている。側部クッション体54は下端面が凸状に湾曲した曲面に形成されていて、その曲面が床面に接触して椅子本体2の一端部(下端部)を支持するようになっている。
【0043】
上記フレーム11の前面を被覆した外装地55は弛んだ状態で設けられ、利用者は上記外装地55を介して背面をマッサージユニット29のマッサージローラ33に確実に押し当てることができるようになっている。
【0044】
なお、上記第1の駆動源26、第2の駆動源41、第3の駆動源48及び第4の駆動源35は、図15に示すように上記制御装置53に接続されたリモートコントローラ57によって駆動を制御できるようになっている。
【0045】
このような構成の椅子1によれば、図1、図2及び図10に示すように椅子本体2が起立した状態で脚体6によって保持されている場合、座部体4は椅子本体2に対して所定の角度をなす状態で保持される。
【0046】
椅子本体2を図1や2に示す起立状態から図3や図4に示すリクライニング状態に変更する場合、制御装置53に接続されたリモートコントローラ57によって第1の駆動源26を作動させ、脚体6を椅子本体2の背面の中途部の位置から上方に向かう方向へ駆動する。
【0047】
それによって、椅子本体2は一端部を支点として他端部が倒伏する方向へ回動し、その他端部が脚体6によって支持されるから、起立状態からリクライニング状態へ変換することができる。
【0048】
椅子本体2をリクライニング状態へ変換したならば、第2の駆動源41をリモートコントローラ57によって駆動すれば、その状態で利用者が座部体4に着座し易い状態となるよう、椅子本体2に対する座部体4の角度を変更することができる。
【0049】
なお、リモートコントローラ57によって第1の駆動源26を作動させ、脚体6を第1のガイドレール12に沿って駆動して椅子本体2の保持角度を変更するとき、それに応じて第2の駆動源41が作動して上記座部体4の椅子本体2に対する角度が自動的に着座し易い角度に変更されるようにしてもよい。
【0050】
椅子本体2を図3と図4に示すリクライニング状態に変更し、その状態で利用者が座部体4に着座して上半身を後方へ倒すと、椅子本体2に加わる利用者の重心が図1と図2に示す起立状態のときに比べて椅子本体2の下端側から上端側へと移動することになる。
【0051】
しかしながら、椅子本体2に加わる利用者の重心の移動は、椅子本体2を支持する脚体6の移動に連動するから、その重心の位置が脚体6よりも椅子本体2の上端側に大きくずれるということがない。そのため、椅子本体2を起立状態から、リクライニング状態に変換しても、椅子本体2の脚体6による支持状態が不安定になって、利用者のわずかな動きで椅子本体2の設置状態が不安定になったり、後方へ倒れるなどのことを防止することができる。
【0052】
椅子本体2が図1に示す起立状態や図3に示すリクライニング状態において、リモートコントローラ57によって第4の駆動源35を作動させてフレーム11内に設けられたマッサージユニット29を椅子本体2の上下方向に沿って駆動すれば、座部体4に着座した利用者の背面をマッサージすることができる。
【0053】
また、フットレスト5のフットレスト本体46を回転させて溝部47を図2或いは図3に示すように前面或いは上面に向け、その溝部47に座部体4に着座した利用者が脚部のふくらはぎの部分を挿入してリモートコントローラ57により、上記フットレスト本体46に設けられた足揉み器46bを作動させれば、利用者は背面と同時に脚部にもマッサージを受けることができる。
なお、利用者は背面と脚部のいずれか一方だけに選択的にマッサージを受けることも可能である。
【0054】
リクライニング状態において、図4に示すようにフットレスト5のフットレスト本体46の平坦面46aが上面となるよう、上記フットレスト本体46の回動角度を手動で設定すれば、利用者は脚部を伸ばして上記平坦面46aに載せることができるから、リラックスした姿勢をとることができる。
【0055】
起立状態において、図1に示すようにフットレスト5のフットレスト本体46の平坦面46aが前面に向くよう、上記フットレスト本体46を回転させれば、溝部47が外部に露出しないから外観的に体裁がよい。
【0056】
椅子本体2を図7に示すリクライニング状態から、図7に示す起立状態に変更する場合、脚体6を椅子本体2の他端部から一端部に向かって駆動すると、この椅子本体2が倒伏した状態から次第に起立してくる。
【0057】
リクライニング状態では座部体4の椅子本体2の前面に対する角度が小さい。そのため、椅子本体2が起立してくると、フットレスト5の側部材45の外周面が床面に当たる。側部材45の外周面には感圧スイッチ51が設けられ、側部材45の外周面が床面に当たったことを検知する。
【0058】
上記感圧スイッチ51の検出信号は制御装置53に出力される。制御装置53は感圧スイッチ51からの検出信号が入力されている間だけ第2の駆動源41に駆動信号を出力し、座部体4を上昇方向へ駆動する。
【0059】
それによって、座部体4とともにフットレスト5が上昇するから、フットレスト5が床面に強く当たり過ぎて椅子本体2を起立方向へ円滑に駆動できなくなるのを防止できる。そして、椅子本体2が図6に示す起立状態となると、座部体4が椅子本体2に対して利用者が座り易い角度で保持されることになる。
【0060】
なお、フットレスト5が床面に当たってそのことを感圧スイッチ51が検出したならば、制御装置53は感圧スイッチ51が検出信号を出力している間だけ座部体4を上昇方向に駆動するようにしたが、座部体4の上昇方向への駆動は感圧スイッチ51が検出信号を出力したならば、所定角度駆動するようにしてもよい。
【0061】
また、脚体6を駆動して椅子本体2を起立或いは倒伏させるとき、この脚体6の駆動に座部体4を連動するよう駆動してもよい。つまり、第1の駆動源26の駆動に第2の駆動源41が連動するよう、これら駆動源26,41を同期制御してもよい。
【0062】
椅子本体2は前面が凹状で、後面が凸状の湾曲形状としたが、その形状は湾曲形状に限られず、ほぼ直線状の側面形状であってもよい。
【0063】
椅子本体2の内部に、この椅子本体2の上下方向に沿って往復駆動されるマッサージユニット29を設けたが、椅子本体2にマッサージユニット29が設けられていない場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の一実施の形態を示す起立状態にある椅子であって、フットレスト本体を溝部が見えない状態に回転させた斜視図。
【図2】起立状態にある椅子であって、フットレスト本体を溝部が前面に露出する状態に回転させた斜視図。
【図3】リクライニング状態にある椅子であって、フットレスト本体を溝部が上面に位置するよう回転させた斜視図。
【図4】リクライニング状態にある椅子であって、フットレスト本体を溝部が下面に位置するよう回転させた斜視図。
【図5】椅子の背面図。
【図6】同じく起立状態の側面図。
【図7】同じくリクライニング状態の側面図。
【図8】椅子本体内に設けられたフレームを示す正面図。
【図9】起立状態とリクライニング状態のときの椅子本体のフレームに対する脚体の位置を説明する図。
【図10】(a)は起立状態にあるときの一部省略して座部体の角度を示す椅子の側面図、(b)は同じくそのときの駆動手段を示す説明図。
【図11】(a)はリクライニング状態にあるときの一部省略して座部体の角度を示す椅子の側面図、(b)は同じくそのときの駆動手段を示す説明図。
【図12】(a)は脚体の正面図、(b)は側面図。
【図13】脚体を駆動する第1の駆動源の平面図。
【図14】(a)は第1のガイドレールに設けられた脚体の一対のガイドローラを示す平面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく側面図。
【図15】制御系統のブロック図。
【符号の説明】
【0065】
2…椅子本体、4…座部体、5…フットレスト、6…脚体、11…フレーム、12…第1のガイドレール、14…ガイドローラ、17…キャスタ、26…第1の駆動源(第1の駆動手段)、29…マッサージユニット、33…マッサージローラ、35…第4の駆動源(第4の駆動手段)、37…座フレーム、41…第2の駆動源(第2の駆動手段)、48…第3の駆動源、51…感圧スイッチ、53…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクライニング可能な椅子であって、
椅子本体と、
この椅子本体の後面に上下方向に沿って移動可能に設けられその移動位置に応じて上記椅子本体を一端部を支点として所定の傾斜角度で保持する脚体と、
この脚体を上記椅子本体の上下方向に沿って駆動する第1の駆動手段と、
上記椅子本体の一端部の前面に回動可能に設けられた座部体と
を具備したことを特徴とする椅子。
【請求項2】
上記座部体を上記椅子本体の傾斜角度に応じて所定の角度に駆動する第2の駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の椅子。
【請求項3】
上記椅子本体は上下方向と交差する幅方向に所定の間隔で離間した一対のガイドレールを有し、
上記脚体の一端部には上記ガイドレールに転動可能に係合するガイドローラが設けられ、他端部には上記椅子本体の幅方向に所定の間隔で離間した一対のキャスタが設けられていることを特徴とする請求項1記載の椅子。
【請求項4】
上記座部体は一端部が上記椅子本体の一端部に回動可能に連結され他端部にはフットレストが回動可能に設けられていて、
上記フットレストは上記座部体の他端部を支点として第3の駆動手段によって回動駆動されることを特徴とする請求項1記載の椅子。
【請求項5】
上記フットレストは上記座部体の他端部に回動可能に設けられ上記第3の駆動手段によって回動駆動される一対の側部材と、一対の側部材間に回動可能かつ所定の回動角度で保持可能に設けられたフットレスト本体とによって構成され、このフットレスト本体はフットマッサージ器を兼ねていることを特徴とする請求項3記載の椅子。
【請求項6】
上記フットレストの外周面には感圧スイッチが設けられ、上記椅子本体を倒伏状態から起立方向に回動させたときに上記フットレストが床面と接触してそのことが上記感圧スイッチによって検知されると、その検知信号によって上記座部体が上記第2の駆動手段によって他端部が上昇する方向に駆動されることを特徴とする請求項3記載の椅子。
【請求項7】
上記椅子本体には上下方向に沿ってマッサージユニットが走行可能に設けられ、このマッサージユニットは第4の駆動手段によって上記上下方向に沿って往復駆動されることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項8】
上記椅子本体は後面が凸状となる曲面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−264034(P2008−264034A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107424(P2007−107424)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】