椅子
【課題】心地よい座り心地を実現しつつ、外見及び構造を簡素化をも実現することができる椅子を提供する。
【解決手段】椅子Aは、着座部A21及びこの着座部A21の両側部から連続して左右に垂下させた左右の垂下部A22を有する弾性変形し得る板材から構成された座と、この座の左右を直接支持する座支持部A12を有する脚構造体A1とを有し、当該脚構造体A1に支持されていない座の中央と脚構造体A1との間に前記座の弾性変形を許容する変形許容空間Sが形成されている椅子Aであって、垂下部A22の下端A22aが、脚構造体A1における座支持部A12よりも下方に位置付けられている。
【解決手段】椅子Aは、着座部A21及びこの着座部A21の両側部から連続して左右に垂下させた左右の垂下部A22を有する弾性変形し得る板材から構成された座と、この座の左右を直接支持する座支持部A12を有する脚構造体A1とを有し、当該脚構造体A1に支持されていない座の中央と脚構造体A1との間に前記座の弾性変形を許容する変形許容空間Sが形成されている椅子Aであって、垂下部A22の下端A22aが、脚構造体A1における座支持部A12よりも下方に位置付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスの休憩スペースなどに設置される所謂スツールと称される、使用者が容易に座ることができる椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスにおいては、主に執務を行なう為に着座する椅子とは別に、休憩スペース等には、一時的に座るためのスツールと称される椅子が設置されている。このような椅子は、主に背凭れを有さないものが多く前後左右どの方向からでも気軽に腰を掛け得るように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして斯かるスツールと称される椅子においても、執務用に用いられる事務用回転椅子同様に、座り心地が良いように構成されているものが求められている。そしてこのような椅子は見た目上、周囲のオフィス空間に調和し易いように、外見並びに構造がシンプルなものが望まれており、特に座の取り付け箇所や部品の接合箇所等の見た目がシンプルなものが、ひいては椅子全体をシンプルな外見とするための要件として、望ましいと考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3128444号公報(図1、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、使用者が一時的に座るための椅子であって、心地よい座り心地を実現しつつ、外見及び構造を簡素化をも実現することができる椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち本発明に係る椅子は、水平方向に延びる着座部及びこの着座部の両側部から連続して左右に垂下させた左右の垂下部を有する弾性変形し得る板材から構成された座と、この座の左右を直接支持する座支持部を有する脚構造体とを有し、当該脚構造体に支持されていない前記座の中央と前記脚構造体との間に前記座の弾性変形を許容する変形許容空間が形成されている椅子であって、前記垂下部の下端が、前記脚構造体における座支持部よりも下方に位置付けられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、「左右」とは、着座者の左右のみを指すものではない。すなわち着座者が座る方向には関係なく、ある方向から見た場合の外側つまり両側に位置付けられた箇所を意味する概念である。また、「水平」とは、厳密に水平面を構成し得る面に限定するものではなく、水平方向に延びるように位置付けられているという概念である。したがって、多少の湾曲、隆起、凹凸等を含んだものも「水平」に含まれる。また勿論「垂下部」においても、厳密に垂直方向に垂れ下がった構成のみを指すものではない。多少傾斜した方向であったり、湾曲、屈曲する箇所を含んだりしつつも、下方に向けて延伸している構成を意味する概念である。
【0009】
このようなものであれば、垂下部の下端は座支持部よりも常に下方に位置付けられる為、この垂下部に座支持部を隠蔽する役割を担わせたり、また座支持部に支持された座を脚構造体に対して位置決めする役割を担わせたりして座支持部自体の構成を簡素化することで、見た目上シンプルな椅子を構成することができる。そのほか、この垂下部を種々の目的に使用可能な椅子を実現することができる。
【0010】
そして、座の好適な弾性変形を促せるための構成の一つとして、垂下部の下部を脚構造体に支持させている構成を挙げることができる。
【0011】
加えて、座り心地が良いように座を弾性変形させるためには、座が優先的に弾性変形し得る変形助長部を有するようにして、所望の箇所が優先的に弾性変形し得るように構成することが望ましい。
【0012】
そして斯かる変形助長部には、座の所望の箇所にスリットを設けたり、座自体の形状によって所望の箇所を変形し易いように構成したり、または所望の箇所を薄肉にしたり、より変形し易い素材を用いたりするという構成を挙げることができる。その中でも、単純な構成で変形助長部を構成するという観点からは、変形助長部がスリットであるものが好ましい。
【0013】
他方、脚構造体が座を確実に支持するようにするための構成としては、着座部の下面を脚座支持部により支持させているものを挙げることができる。
【0014】
座と脚構造体との位置決めを確実に行なうためには、座支持部を着座部に係り得る係合凸部を有するものとし、この係合凸部の頂面に着座部に設けられた係合凹部の下向き面を乗せ置く構成とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、垂下部の下端は座支持部よりも常に下方に位置付けられる為、この垂下部に座支持部を隠蔽する役割を担わせたり、また座支持部に支持された座を脚構造体に対して位置決めする役割を担わせたりして座支持部自体の構成を簡素化することで、見た目上シンプルな椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る椅子の外観図。
【図2】同正面図。
【図3】同側面図。
【図4】同構成説明図。
【図5】同実施形態の変形例に係る外観図。
【図6】同他の変形例に係る正面図。
【図7】本発明の第二実施形態に係る椅子の外観図。
【図8】同構成説明図。
【図9】本発明の第三実施形態に係る椅子の外観図。
【図10】同構成説明図。
【図11】本発明の第4実施形態に係る椅子の外観図。
【図12】同構成説明図。
【図13】本発明の第5実施形態に係る椅子の外観図。
【図14】同構成説明図。
【図15】本発明の第6実施形態に係る椅子の外観図。
【図16】同構成説明図。
【図17】本発明の変形例に係る外観図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
<第一実施形態>
本実施形態に係る椅子Aは、例えばオフィスにおいて、執務のために主に使用される事務用回転椅子Aとは別に、オフィス内に設けられた休憩スペース等に備えられるものである。そして当該椅子Aは、作業の合間や休憩時間に執務者が一時的に座A2ったり、オフィスの執務者以外のものが一時的に気軽に腰を掛けたりできるものである。
【0019】
この椅子Aは、図1及び図2に示す通り、背凭れを有さない構成となっているので、この椅子Aに座ろうとする者は正面、側面或いは背面といった方向に拘わらず、所望の方向から座ることができる。
【0020】
ここで、本実施形態に係る椅子Aは、着座部A21及びこの着座部A21の両側部から連続して左右に垂下させた左右の垂下部A22を有する弾性変形し得る板材から構成された座A2と、この座A2の左右を直接支持する座支持部A12を有する脚構造体A1とを有し、当該脚構造体A1に支持されていない座A2の中央と脚構造体A1との間に前記座A2の弾性変形を許容する変形許容空間Sが形成されている椅子Aであって、垂下部A22の下端A22aが、脚構造体A1における座支持部A12よりも下方に位置付けられていることを特徴とするものである。
【0021】
以下、本実施形態に係る椅子Aの構成について説明する。
【0022】
同実施形態に係る椅子Aは、上述の通り、主に竹の合板からなる脚構造体A1と、座A2とを有している。なお本実施形態の椅子Aは、竹材を用いることにより、全体として軽量なものとなっているのみならず、製造においては竹材の有効利用にも寄与し得るものとなっている。また、勿論、竹の他にも他の木材や、その合板によって当該椅子Aを構成しても良い。
【0023】
脚構造体A1は、竹の集成材を面方向に接着してなる層状のもの、すなわち、竹の繊維方向に細長く取出した単材を繊維方向と直交する幅方向に複数繋ぎ合せた集成材を、繊維方向を異ならせるように交互に重ね合わせて一体化することで所定の厚みを有するようにした合板により、座A2並びに着座者の荷重に耐え得る強度を有するよう構成されている。この脚構造体A1は、一体的に構成された上述の竹の合板を適宜成型することによって、左右の端部に位置付けられた立壁状の対をなす脚部A11と、この脚部A11の状態に位置付けられた座A2を支持するための座支持部A12と、そして左右の脚部A11の上部から横架することによってこれら脚部A11間に介在する介在部A13とを有している。そして本実施形態では、脚部A11の上端付近にそれぞれ2箇所において座A2を位置決めするための箇所として、座支持部A12を設定している。この座支持部A12が座A2を支持する具体的な態様は、例えば図示の箇所やその周囲を接着したり、別体の留め具を用いて座A2を固定したりするなど、既存の種々の態様を適用することができる。
【0024】
座A2は、同図に示すように脚構造体A1の上方を覆うように乗せ置かれた状態で脚構造体A1に固定されてなるものであり、脚構造体A1に固定された状態では当該脚構造体A1とともに、詳細には、その中央部と脚構造体A1、詳細には介在部A13との間に、座A2の変形による座A2の中央部分の下方への一時的な移動を許容し得る変形許容空間Sを形成しているものである。またこの座A2は、上記脚構造体A1と同様に竹の集成材を繊維方向を異ならせるように交互に重ね合わせて一体化することで所定の厚みを有するようにした合板により構成したものであるが、上記脚構造体A1を構成するものよりも若干厚みを小さく構成することにより、着座者の荷重に耐え得る強度を有するものの、着座によって全体的に弾性変形し得るよう設定されている。
【0025】
当該座A2は、主に着座者の荷重を直接受ける着座部A21と、この着座部A21の左右両端から外方に垂下させることによって設けられた垂下部A22とを有している。そして当該座A2は垂下部A22を左右方向にのみ形成するとともに着座部A21を主に正面視でのみ湾曲した形状とすることにより全体的に正面視における断面が何れも略同形状となるような湾曲帯状に形成されることで、全体として撓みやすい形状となっている。着座部A21は、主に着座面を構成するもので、正面視における中央部分が下がるように緩やかに湾曲させた形状を有しており、着座部A21の下面A21a側はいずれの位置においても介在部A13との間に所定寸法、すなわち変形許容空間Sのサイズだけ離間したものとなっている。垂下部A22は、着座部A21の両端から左右対称に対をなして形成されており、着座部A21に近接した上部A221は円弧状に湾曲するとともに、下部A222は脚構造体A1に支持させている。具体適にはこの垂下部A22の下部は、脚構造体A1に密着し得るように平板状に構成されている。
【0026】
しかして本実施形態に係る椅子Aは、垂下部A22の下部を座支持部A12に支持させつつ、垂下部A22の下端A22aを、脚構造体A1における座支持部A12よりも下方に位置付けることによって、外方から座支持部A12、すなわち脚構造体A1と座A2との接続箇所を有効に隠蔽し得るものとなっている。
【0027】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る椅子Aは、垂下部A22の下端A22aは座支持部A12よりも下方に位置付けられるものとなっているので、この垂下部A22に座支持部A12を隠蔽する役割を担わせて、見た目上シンプルな椅子Aを実現している。その結果、種々のオフィスのデザインに好適に調和し得るシンプルな外見を実現しつつも、座A2り心地の良い椅子Aを実現している。
【0028】
加えて本実施形態では、垂下部A22の下部を脚構造体A1に支持させて座A2における弾性変形し得る部分を多く設定することによって座A2の好適な弾性変形を促されて、好適な座A2り心地を提供し得るだけの好適なクッション性を獲得し得るものとなっている。
【0029】
<変形例>
以下に、本実施形態の各変形例並びに他の実施形態について、順次説明していく。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については同じ符号を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0030】
本変形例に係る椅子Aは、上記実施形態と同じ形状の脚構造体A1を有したものであるが、図5に示すように、変形助長部たるスリットA23を形成した座A2を有しているものである。具体的には、このスリットA23は、座A2の前後方向に5箇所すなわち計10箇所に、上下方向に延出させて設けられたものである。
【0031】
このように、座A2がスリットA23を有したものとなれば、座A2の形状を維持したまま全体的な弾性を向上させたり座A2とスリットA23全体を弾性変形させたりすることができるので、より座り心地の良いものとすることができる。
【0032】
<他の変形例>
また本実施形態の他の変形例として、図6に示すように、スリットA23の代わりに、変形助長部として、座A2の肉厚を部分的に薄く形成した薄肉部A24を形成したものとしても良い。
【0033】
このように、座A2が薄肉部A24を有したものとなれば、当該薄肉部A24が優先的に弾性変形し得るようになる。その結果、上記変形例同様に座A2が所望の弾性を獲得して、座り心地をより向上させた椅子Aを提供することができる。
【0034】
<第二実施形態>
以下に、本実施形態の第二実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「A」に代えて、「B」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0035】
本実施形態に係る椅子Bは、上記実施形態同様に、垂下部B22の下部B222を座支持部B12に支持させつつ、垂下部B22の下端B22aを、脚構造体B1における座支持部B12よりも下方に位置付けているものであるが、座支持部B12が挿入穴B12bを有する構成とすることによって、垂下部B22の下端B22aに座B2の脚構造体B1に対する位置決めの役割を担わせたものとしている。
【0036】
詳細には、脚構造体B1の座支持部B12が有する挿入穴B12bは、脚部B12の上端付近に前後方向に延出するように設けられた側面視矩形状の開口である。そして本実施形態では、座B2の垂下部B22を部分円状に湾曲する上部B221と脚構造体B1に密着し得る平板状の下部B222を有するものとしているが、上部B221と下部B222との前後寸法を異ならせることによって上部B221と下部B222との間に当接端B22bを形成している。この当接端B22bが、下部B222が挿入穴B12bを通過した状態で脚部B12に当接することにより、座B2の上下の位置決めが確実に行われる。加えて、下部B222が脚部B12の内方から密着する構成とすることにより、座B2はがたつき無く確実に脚構造体B1に位置決めされる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る椅子Bは、上記実施形態同様に座支持部B12よりも常に下方に位置付けることにより、この垂下部B22に座支持部B12を隠蔽する役割の代わりに座支持部B12に支持された座B2を脚構造体B1に対して位置決めする役割を担わせることで、座支持部B12自体の構成を簡素化することで、見た目上シンプルな椅子Bを構成し得たものとなっている。しかも本実施形態における座B2及び脚構造体B1の形状であれば、座B2の交換も容易に行い得るものとなっている。
【0038】
<第三実施形態>
以下に、本実施形態の第三実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「A」又は「B」に代えて、「C」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0039】
本実施形態に係る椅子Cは、上記各実施形態同様に、竹製の脚構造体C1、そして着座部C21、垂下部C22を有した弾性変形し得る座C2を有したものである。しかし、本実施形態に係る椅子Cは、図9及び図10に示すように、前記着座部C21の下面C21aを座支持部C12により支持させている。
【0040】
詳細に説明すると、脚構造体C1は、上記実施形態同様の脚部C11と介在部C13とを有する一方、座支持部C12は脚部C11の上端を構成する竹材を一部垂直に切り起こすとともに、その上端を水平に構成した係合凸部C12aを有している。他方、座C2の着座部C21の下面C21aには、当該係合凸部C12aと凹凸係合し得る四箇所の係合凹部C21bを形成している。この係合凹部C21bは着座部C21の四隅にのみ形成されることで、座C2の中央部の下面C21aと介在部C13との間には上記実施形態同様に、変形許容空間Sか形成されている。しかして本実施形態では、このように脚構造体C1と座C2とが、係合凸部C12aの上方から係合凹部C21bが乗せ置かれた凹凸係合により取り付けつつも、垂下部C22の下端は、当該係合凸部C12aの位置よりも、下方に設けてある。
【0041】
これにより、本実施形態に係る椅子Cは、上記の第一実施形態同様に、脚構造体C1の座支持部C12を外方から有効に隠蔽し得るものとなっている。しかも、凹部C21bは、垂下部C22の近傍に設けてあるので、左右方向への外れ防止効果も有効に奏している。
【0042】
<第四実施形態>
さらに、本実施形態の第四実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「A」、「B」又は「C」に代えて、「D」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0043】
本実施形態に係る椅子Dは、上記第三実施形態同様に、脚構造体D1が係合凸部D12aを有するとともに、着座部D21の下面D21aに設けた係合凹部D21bを設け、係合凸部D12aと係合凹部D21bとが凹凸係合するようにしたものである。
【0044】
すなわち本実施形態では、図11及び図12に示すように、脚構造体D1を、平面視中央で屈曲した2枚の板材の中央部分を接着させて構成することにより、平面視中央で交差するように、いわゆるX字状に形成したものである。そして当該脚構造体D1の四隅に係合凸部D12aを有した座支持部D12を設けるとともに、座D2の下面D21aには、それぞれ平面視傾斜下方向に延出する係合凹部D21bが設けられている。そして本実施形態の場合、脚構造体D1の係合凸部D12a以外の箇所が着座部D21の下面D21aに対して上下に一定寸法離間した状態となることにより、上記実施形態同様の変形許容空間Sを形成したものとなっている。
【0045】
このようなものであっても、上記実施形態同様に、垂下部D22が座支持部D12を有効に隠蔽し得たものとなっている。
【0046】
<第五実施形態>
以下に、本実施形態の第五実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「A」、「B」、「C」又は「D」に代えて、「E」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0047】
本実施形態に係る椅子Eは、上述した第三実施形態に対し、脚構造体E1の脚部E11の上端から係合凸部E12aを切り起こして座E2の着座部E21の下面E21aに設けた係合凹部E21bを凹凸係合している点を始め、略同一の形状をなしたものとしているが、垂下部E22並びに座支持部E12にそれぞれ位置決め孔E22c、E12cを形成することにより、当該位置決め孔E22c、E12cを設けた箇所をリベットやねじによって固定することで、より確実な座E2の位置決めを行ない得るようにしているものである。
【0048】
斯かる構成により、垂下部E22は係合凸部E12aと係合凹部E21bとが係り合った箇所を隠蔽するのみならず、座支持部E12に対する座E2の取り付けを一層確実なものとするために供したものとなっている。
【0049】
<第六実施形態>
以下に、本実施形態の第六実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「C」に代えて、「F」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0050】
本実施形態に係る椅子Fは、脚構造体F1は第三実施形態のそれと同様のものを四つ適用する一方、これら4つの脚構造体F1を同時に取り付け得るように構成された単一の座F2を有したものである。
【0051】
具体的には、図15及び図16に示すように、正面方向すなわち前後方向に4つの脚構造体F1を配列させて、単一の座F2によってそれらを取り付けることによって、前後方向に長く構成されたベンチ状の椅子Fを構成したものである。なお、このベンチ状の椅子Fは、殆どの場合垂下部F22を設けた左右方向から着座者、場合によっては複数の着座者が座るものとなっている。
【0052】
このように、本実施形態に係る椅子Fは、上記第三実施形態同様に、垂下部F22は座支持部F12を有効に隠蔽し得るものとしながら、複数の使用者が同時に着座することができるベンチ状の椅子Fを実現したものとなっている。なお本実施形態に係る椅子Fは上記並びに図示の態様の他、脚構造体F1は同図に示すように座F2の幅一杯に四つ隙間無く並べなくても良い。すなわち、座F2に十分な強度を持たせることにより、座F2の長手方向両端、すなわち垂下部F22を設けた方向に直交する方向の端部にひとつずつ脚構造体D1を設けたものであれば、ベンチ状をなす椅子Fを構成することができる。
【0053】
以上、本発明の各実施形態についてそれぞれ説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0054】
例えば、上記第一実施形態では、一の変形例として、座A2に複数のスリットA23を設けた態様を開示したが、当該スリットA23は、複数上下に延伸させた態様に限られない。すなわち図17に示すように、前後方向に水平に形成された左右対をなすスリットA23を形成しても、上記第一実施形態同様に、座A2に好適な弾性変形を促すことが可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では竹材によって構成された椅子を開示したが、勿論、竹以外の素材、例えば木材であったり、合成樹脂、或いは強度を高く構成された紙素材によって本発明の椅子を構成したりしたものであってもよい。また上記実施形態では変形助長部としてスリットや薄肉部を具備する一体として形成された座を開示したが、勿論変形助長部として別体の板状素材を部分的に配したものであっても良い。その他、脚構造体と座との係合、着座面を構成する着座部の具体的形状、或いは背凭れの有無といった、椅子の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0056】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は使用者が容易に座ることができる椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
A、B、C、D、E、F…椅子
A21、B21、C21、D21、E21、F21…着座部
A22、B22、C22、D22、E22、F22…垂下部
A2、B2、C2、D2、E2、F2…座
A12、B12、C12、D12、E12、F12…座支持部
A1、B1、C1、D1、E1、F1…脚構造体
S…変形許容空間
A22a、B22a、C22a、D22a、E22a、F22a…垂下部の下端(下端)
A23…変形助長部(スリット)
A24…変形助長部(薄肉部)
A21a、B21a、C21a、D21a、E21a、F21a…着座部の下面(下面)
C12a、D12a、E12a、F12a…係合凸部
C21b、D21b、E21b、F21b…係合凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスの休憩スペースなどに設置される所謂スツールと称される、使用者が容易に座ることができる椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスにおいては、主に執務を行なう為に着座する椅子とは別に、休憩スペース等には、一時的に座るためのスツールと称される椅子が設置されている。このような椅子は、主に背凭れを有さないものが多く前後左右どの方向からでも気軽に腰を掛け得るように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして斯かるスツールと称される椅子においても、執務用に用いられる事務用回転椅子同様に、座り心地が良いように構成されているものが求められている。そしてこのような椅子は見た目上、周囲のオフィス空間に調和し易いように、外見並びに構造がシンプルなものが望まれており、特に座の取り付け箇所や部品の接合箇所等の見た目がシンプルなものが、ひいては椅子全体をシンプルな外見とするための要件として、望ましいと考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3128444号公報(図1、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、使用者が一時的に座るための椅子であって、心地よい座り心地を実現しつつ、外見及び構造を簡素化をも実現することができる椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち本発明に係る椅子は、水平方向に延びる着座部及びこの着座部の両側部から連続して左右に垂下させた左右の垂下部を有する弾性変形し得る板材から構成された座と、この座の左右を直接支持する座支持部を有する脚構造体とを有し、当該脚構造体に支持されていない前記座の中央と前記脚構造体との間に前記座の弾性変形を許容する変形許容空間が形成されている椅子であって、前記垂下部の下端が、前記脚構造体における座支持部よりも下方に位置付けられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、「左右」とは、着座者の左右のみを指すものではない。すなわち着座者が座る方向には関係なく、ある方向から見た場合の外側つまり両側に位置付けられた箇所を意味する概念である。また、「水平」とは、厳密に水平面を構成し得る面に限定するものではなく、水平方向に延びるように位置付けられているという概念である。したがって、多少の湾曲、隆起、凹凸等を含んだものも「水平」に含まれる。また勿論「垂下部」においても、厳密に垂直方向に垂れ下がった構成のみを指すものではない。多少傾斜した方向であったり、湾曲、屈曲する箇所を含んだりしつつも、下方に向けて延伸している構成を意味する概念である。
【0009】
このようなものであれば、垂下部の下端は座支持部よりも常に下方に位置付けられる為、この垂下部に座支持部を隠蔽する役割を担わせたり、また座支持部に支持された座を脚構造体に対して位置決めする役割を担わせたりして座支持部自体の構成を簡素化することで、見た目上シンプルな椅子を構成することができる。そのほか、この垂下部を種々の目的に使用可能な椅子を実現することができる。
【0010】
そして、座の好適な弾性変形を促せるための構成の一つとして、垂下部の下部を脚構造体に支持させている構成を挙げることができる。
【0011】
加えて、座り心地が良いように座を弾性変形させるためには、座が優先的に弾性変形し得る変形助長部を有するようにして、所望の箇所が優先的に弾性変形し得るように構成することが望ましい。
【0012】
そして斯かる変形助長部には、座の所望の箇所にスリットを設けたり、座自体の形状によって所望の箇所を変形し易いように構成したり、または所望の箇所を薄肉にしたり、より変形し易い素材を用いたりするという構成を挙げることができる。その中でも、単純な構成で変形助長部を構成するという観点からは、変形助長部がスリットであるものが好ましい。
【0013】
他方、脚構造体が座を確実に支持するようにするための構成としては、着座部の下面を脚座支持部により支持させているものを挙げることができる。
【0014】
座と脚構造体との位置決めを確実に行なうためには、座支持部を着座部に係り得る係合凸部を有するものとし、この係合凸部の頂面に着座部に設けられた係合凹部の下向き面を乗せ置く構成とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、垂下部の下端は座支持部よりも常に下方に位置付けられる為、この垂下部に座支持部を隠蔽する役割を担わせたり、また座支持部に支持された座を脚構造体に対して位置決めする役割を担わせたりして座支持部自体の構成を簡素化することで、見た目上シンプルな椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る椅子の外観図。
【図2】同正面図。
【図3】同側面図。
【図4】同構成説明図。
【図5】同実施形態の変形例に係る外観図。
【図6】同他の変形例に係る正面図。
【図7】本発明の第二実施形態に係る椅子の外観図。
【図8】同構成説明図。
【図9】本発明の第三実施形態に係る椅子の外観図。
【図10】同構成説明図。
【図11】本発明の第4実施形態に係る椅子の外観図。
【図12】同構成説明図。
【図13】本発明の第5実施形態に係る椅子の外観図。
【図14】同構成説明図。
【図15】本発明の第6実施形態に係る椅子の外観図。
【図16】同構成説明図。
【図17】本発明の変形例に係る外観図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
<第一実施形態>
本実施形態に係る椅子Aは、例えばオフィスにおいて、執務のために主に使用される事務用回転椅子Aとは別に、オフィス内に設けられた休憩スペース等に備えられるものである。そして当該椅子Aは、作業の合間や休憩時間に執務者が一時的に座A2ったり、オフィスの執務者以外のものが一時的に気軽に腰を掛けたりできるものである。
【0019】
この椅子Aは、図1及び図2に示す通り、背凭れを有さない構成となっているので、この椅子Aに座ろうとする者は正面、側面或いは背面といった方向に拘わらず、所望の方向から座ることができる。
【0020】
ここで、本実施形態に係る椅子Aは、着座部A21及びこの着座部A21の両側部から連続して左右に垂下させた左右の垂下部A22を有する弾性変形し得る板材から構成された座A2と、この座A2の左右を直接支持する座支持部A12を有する脚構造体A1とを有し、当該脚構造体A1に支持されていない座A2の中央と脚構造体A1との間に前記座A2の弾性変形を許容する変形許容空間Sが形成されている椅子Aであって、垂下部A22の下端A22aが、脚構造体A1における座支持部A12よりも下方に位置付けられていることを特徴とするものである。
【0021】
以下、本実施形態に係る椅子Aの構成について説明する。
【0022】
同実施形態に係る椅子Aは、上述の通り、主に竹の合板からなる脚構造体A1と、座A2とを有している。なお本実施形態の椅子Aは、竹材を用いることにより、全体として軽量なものとなっているのみならず、製造においては竹材の有効利用にも寄与し得るものとなっている。また、勿論、竹の他にも他の木材や、その合板によって当該椅子Aを構成しても良い。
【0023】
脚構造体A1は、竹の集成材を面方向に接着してなる層状のもの、すなわち、竹の繊維方向に細長く取出した単材を繊維方向と直交する幅方向に複数繋ぎ合せた集成材を、繊維方向を異ならせるように交互に重ね合わせて一体化することで所定の厚みを有するようにした合板により、座A2並びに着座者の荷重に耐え得る強度を有するよう構成されている。この脚構造体A1は、一体的に構成された上述の竹の合板を適宜成型することによって、左右の端部に位置付けられた立壁状の対をなす脚部A11と、この脚部A11の状態に位置付けられた座A2を支持するための座支持部A12と、そして左右の脚部A11の上部から横架することによってこれら脚部A11間に介在する介在部A13とを有している。そして本実施形態では、脚部A11の上端付近にそれぞれ2箇所において座A2を位置決めするための箇所として、座支持部A12を設定している。この座支持部A12が座A2を支持する具体的な態様は、例えば図示の箇所やその周囲を接着したり、別体の留め具を用いて座A2を固定したりするなど、既存の種々の態様を適用することができる。
【0024】
座A2は、同図に示すように脚構造体A1の上方を覆うように乗せ置かれた状態で脚構造体A1に固定されてなるものであり、脚構造体A1に固定された状態では当該脚構造体A1とともに、詳細には、その中央部と脚構造体A1、詳細には介在部A13との間に、座A2の変形による座A2の中央部分の下方への一時的な移動を許容し得る変形許容空間Sを形成しているものである。またこの座A2は、上記脚構造体A1と同様に竹の集成材を繊維方向を異ならせるように交互に重ね合わせて一体化することで所定の厚みを有するようにした合板により構成したものであるが、上記脚構造体A1を構成するものよりも若干厚みを小さく構成することにより、着座者の荷重に耐え得る強度を有するものの、着座によって全体的に弾性変形し得るよう設定されている。
【0025】
当該座A2は、主に着座者の荷重を直接受ける着座部A21と、この着座部A21の左右両端から外方に垂下させることによって設けられた垂下部A22とを有している。そして当該座A2は垂下部A22を左右方向にのみ形成するとともに着座部A21を主に正面視でのみ湾曲した形状とすることにより全体的に正面視における断面が何れも略同形状となるような湾曲帯状に形成されることで、全体として撓みやすい形状となっている。着座部A21は、主に着座面を構成するもので、正面視における中央部分が下がるように緩やかに湾曲させた形状を有しており、着座部A21の下面A21a側はいずれの位置においても介在部A13との間に所定寸法、すなわち変形許容空間Sのサイズだけ離間したものとなっている。垂下部A22は、着座部A21の両端から左右対称に対をなして形成されており、着座部A21に近接した上部A221は円弧状に湾曲するとともに、下部A222は脚構造体A1に支持させている。具体適にはこの垂下部A22の下部は、脚構造体A1に密着し得るように平板状に構成されている。
【0026】
しかして本実施形態に係る椅子Aは、垂下部A22の下部を座支持部A12に支持させつつ、垂下部A22の下端A22aを、脚構造体A1における座支持部A12よりも下方に位置付けることによって、外方から座支持部A12、すなわち脚構造体A1と座A2との接続箇所を有効に隠蔽し得るものとなっている。
【0027】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る椅子Aは、垂下部A22の下端A22aは座支持部A12よりも下方に位置付けられるものとなっているので、この垂下部A22に座支持部A12を隠蔽する役割を担わせて、見た目上シンプルな椅子Aを実現している。その結果、種々のオフィスのデザインに好適に調和し得るシンプルな外見を実現しつつも、座A2り心地の良い椅子Aを実現している。
【0028】
加えて本実施形態では、垂下部A22の下部を脚構造体A1に支持させて座A2における弾性変形し得る部分を多く設定することによって座A2の好適な弾性変形を促されて、好適な座A2り心地を提供し得るだけの好適なクッション性を獲得し得るものとなっている。
【0029】
<変形例>
以下に、本実施形態の各変形例並びに他の実施形態について、順次説明していく。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については同じ符号を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0030】
本変形例に係る椅子Aは、上記実施形態と同じ形状の脚構造体A1を有したものであるが、図5に示すように、変形助長部たるスリットA23を形成した座A2を有しているものである。具体的には、このスリットA23は、座A2の前後方向に5箇所すなわち計10箇所に、上下方向に延出させて設けられたものである。
【0031】
このように、座A2がスリットA23を有したものとなれば、座A2の形状を維持したまま全体的な弾性を向上させたり座A2とスリットA23全体を弾性変形させたりすることができるので、より座り心地の良いものとすることができる。
【0032】
<他の変形例>
また本実施形態の他の変形例として、図6に示すように、スリットA23の代わりに、変形助長部として、座A2の肉厚を部分的に薄く形成した薄肉部A24を形成したものとしても良い。
【0033】
このように、座A2が薄肉部A24を有したものとなれば、当該薄肉部A24が優先的に弾性変形し得るようになる。その結果、上記変形例同様に座A2が所望の弾性を獲得して、座り心地をより向上させた椅子Aを提供することができる。
【0034】
<第二実施形態>
以下に、本実施形態の第二実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「A」に代えて、「B」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0035】
本実施形態に係る椅子Bは、上記実施形態同様に、垂下部B22の下部B222を座支持部B12に支持させつつ、垂下部B22の下端B22aを、脚構造体B1における座支持部B12よりも下方に位置付けているものであるが、座支持部B12が挿入穴B12bを有する構成とすることによって、垂下部B22の下端B22aに座B2の脚構造体B1に対する位置決めの役割を担わせたものとしている。
【0036】
詳細には、脚構造体B1の座支持部B12が有する挿入穴B12bは、脚部B12の上端付近に前後方向に延出するように設けられた側面視矩形状の開口である。そして本実施形態では、座B2の垂下部B22を部分円状に湾曲する上部B221と脚構造体B1に密着し得る平板状の下部B222を有するものとしているが、上部B221と下部B222との前後寸法を異ならせることによって上部B221と下部B222との間に当接端B22bを形成している。この当接端B22bが、下部B222が挿入穴B12bを通過した状態で脚部B12に当接することにより、座B2の上下の位置決めが確実に行われる。加えて、下部B222が脚部B12の内方から密着する構成とすることにより、座B2はがたつき無く確実に脚構造体B1に位置決めされる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る椅子Bは、上記実施形態同様に座支持部B12よりも常に下方に位置付けることにより、この垂下部B22に座支持部B12を隠蔽する役割の代わりに座支持部B12に支持された座B2を脚構造体B1に対して位置決めする役割を担わせることで、座支持部B12自体の構成を簡素化することで、見た目上シンプルな椅子Bを構成し得たものとなっている。しかも本実施形態における座B2及び脚構造体B1の形状であれば、座B2の交換も容易に行い得るものとなっている。
【0038】
<第三実施形態>
以下に、本実施形態の第三実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「A」又は「B」に代えて、「C」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0039】
本実施形態に係る椅子Cは、上記各実施形態同様に、竹製の脚構造体C1、そして着座部C21、垂下部C22を有した弾性変形し得る座C2を有したものである。しかし、本実施形態に係る椅子Cは、図9及び図10に示すように、前記着座部C21の下面C21aを座支持部C12により支持させている。
【0040】
詳細に説明すると、脚構造体C1は、上記実施形態同様の脚部C11と介在部C13とを有する一方、座支持部C12は脚部C11の上端を構成する竹材を一部垂直に切り起こすとともに、その上端を水平に構成した係合凸部C12aを有している。他方、座C2の着座部C21の下面C21aには、当該係合凸部C12aと凹凸係合し得る四箇所の係合凹部C21bを形成している。この係合凹部C21bは着座部C21の四隅にのみ形成されることで、座C2の中央部の下面C21aと介在部C13との間には上記実施形態同様に、変形許容空間Sか形成されている。しかして本実施形態では、このように脚構造体C1と座C2とが、係合凸部C12aの上方から係合凹部C21bが乗せ置かれた凹凸係合により取り付けつつも、垂下部C22の下端は、当該係合凸部C12aの位置よりも、下方に設けてある。
【0041】
これにより、本実施形態に係る椅子Cは、上記の第一実施形態同様に、脚構造体C1の座支持部C12を外方から有効に隠蔽し得るものとなっている。しかも、凹部C21bは、垂下部C22の近傍に設けてあるので、左右方向への外れ防止効果も有効に奏している。
【0042】
<第四実施形態>
さらに、本実施形態の第四実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「A」、「B」又は「C」に代えて、「D」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0043】
本実施形態に係る椅子Dは、上記第三実施形態同様に、脚構造体D1が係合凸部D12aを有するとともに、着座部D21の下面D21aに設けた係合凹部D21bを設け、係合凸部D12aと係合凹部D21bとが凹凸係合するようにしたものである。
【0044】
すなわち本実施形態では、図11及び図12に示すように、脚構造体D1を、平面視中央で屈曲した2枚の板材の中央部分を接着させて構成することにより、平面視中央で交差するように、いわゆるX字状に形成したものである。そして当該脚構造体D1の四隅に係合凸部D12aを有した座支持部D12を設けるとともに、座D2の下面D21aには、それぞれ平面視傾斜下方向に延出する係合凹部D21bが設けられている。そして本実施形態の場合、脚構造体D1の係合凸部D12a以外の箇所が着座部D21の下面D21aに対して上下に一定寸法離間した状態となることにより、上記実施形態同様の変形許容空間Sを形成したものとなっている。
【0045】
このようなものであっても、上記実施形態同様に、垂下部D22が座支持部D12を有効に隠蔽し得たものとなっている。
【0046】
<第五実施形態>
以下に、本実施形態の第五実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「A」、「B」、「C」又は「D」に代えて、「E」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0047】
本実施形態に係る椅子Eは、上述した第三実施形態に対し、脚構造体E1の脚部E11の上端から係合凸部E12aを切り起こして座E2の着座部E21の下面E21aに設けた係合凹部E21bを凹凸係合している点を始め、略同一の形状をなしたものとしているが、垂下部E22並びに座支持部E12にそれぞれ位置決め孔E22c、E12cを形成することにより、当該位置決め孔E22c、E12cを設けた箇所をリベットやねじによって固定することで、より確実な座E2の位置決めを行ない得るようにしているものである。
【0048】
斯かる構成により、垂下部E22は係合凸部E12aと係合凹部E21bとが係り合った箇所を隠蔽するのみならず、座支持部E12に対する座E2の取り付けを一層確実なものとするために供したものとなっている。
【0049】
<第六実施形態>
以下に、本実施形態の第六実施形態について説明する。なお以下に記していく各実施形態について、同じ又は相当する構成要素については頭文字を「C」に代えて、「F」と記す以外は同じ数字を付するとともに、それらの詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0050】
本実施形態に係る椅子Fは、脚構造体F1は第三実施形態のそれと同様のものを四つ適用する一方、これら4つの脚構造体F1を同時に取り付け得るように構成された単一の座F2を有したものである。
【0051】
具体的には、図15及び図16に示すように、正面方向すなわち前後方向に4つの脚構造体F1を配列させて、単一の座F2によってそれらを取り付けることによって、前後方向に長く構成されたベンチ状の椅子Fを構成したものである。なお、このベンチ状の椅子Fは、殆どの場合垂下部F22を設けた左右方向から着座者、場合によっては複数の着座者が座るものとなっている。
【0052】
このように、本実施形態に係る椅子Fは、上記第三実施形態同様に、垂下部F22は座支持部F12を有効に隠蔽し得るものとしながら、複数の使用者が同時に着座することができるベンチ状の椅子Fを実現したものとなっている。なお本実施形態に係る椅子Fは上記並びに図示の態様の他、脚構造体F1は同図に示すように座F2の幅一杯に四つ隙間無く並べなくても良い。すなわち、座F2に十分な強度を持たせることにより、座F2の長手方向両端、すなわち垂下部F22を設けた方向に直交する方向の端部にひとつずつ脚構造体D1を設けたものであれば、ベンチ状をなす椅子Fを構成することができる。
【0053】
以上、本発明の各実施形態についてそれぞれ説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0054】
例えば、上記第一実施形態では、一の変形例として、座A2に複数のスリットA23を設けた態様を開示したが、当該スリットA23は、複数上下に延伸させた態様に限られない。すなわち図17に示すように、前後方向に水平に形成された左右対をなすスリットA23を形成しても、上記第一実施形態同様に、座A2に好適な弾性変形を促すことが可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では竹材によって構成された椅子を開示したが、勿論、竹以外の素材、例えば木材であったり、合成樹脂、或いは強度を高く構成された紙素材によって本発明の椅子を構成したりしたものであってもよい。また上記実施形態では変形助長部としてスリットや薄肉部を具備する一体として形成された座を開示したが、勿論変形助長部として別体の板状素材を部分的に配したものであっても良い。その他、脚構造体と座との係合、着座面を構成する着座部の具体的形状、或いは背凭れの有無といった、椅子の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0056】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は使用者が容易に座ることができる椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
A、B、C、D、E、F…椅子
A21、B21、C21、D21、E21、F21…着座部
A22、B22、C22、D22、E22、F22…垂下部
A2、B2、C2、D2、E2、F2…座
A12、B12、C12、D12、E12、F12…座支持部
A1、B1、C1、D1、E1、F1…脚構造体
S…変形許容空間
A22a、B22a、C22a、D22a、E22a、F22a…垂下部の下端(下端)
A23…変形助長部(スリット)
A24…変形助長部(薄肉部)
A21a、B21a、C21a、D21a、E21a、F21a…着座部の下面(下面)
C12a、D12a、E12a、F12a…係合凸部
C21b、D21b、E21b、F21b…係合凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びる着座部及びこの着座部の両側部から連続して左右に垂下させた左右の垂下部を有する弾性変形し得る板材から構成された座と、
この座の左右を直接支持する座支持部を有する脚構造体とを有し、
当該脚構造体に支持されていない前記座の中央と前記脚構造体との間に前記座の弾性変形を許容する変形許容空間が形成されている椅子であって、
前記垂下部の下端が、前記脚構造体における座支持部よりも下方に位置付けられていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記垂下部の下部を前記脚構造体に支持させている請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記座が優先的に弾性変形し得る変形助長部を有している請求項1、2または3記載の椅子。
【請求項4】
前記変形助長部がスリットである請求項3記載の椅子。
【請求項5】
前記着座部の下面を前記座支持部により支持させている請求項1記載の椅子。
【請求項6】
前記座支持部が前記着座部に係り得る係合凸部を有するものであり、
この係合凸部の頂面に前記着座部に設けられた係合凹部の下向き面が乗せ置かれている請求項5記載の椅子。
【請求項1】
水平方向に延びる着座部及びこの着座部の両側部から連続して左右に垂下させた左右の垂下部を有する弾性変形し得る板材から構成された座と、
この座の左右を直接支持する座支持部を有する脚構造体とを有し、
当該脚構造体に支持されていない前記座の中央と前記脚構造体との間に前記座の弾性変形を許容する変形許容空間が形成されている椅子であって、
前記垂下部の下端が、前記脚構造体における座支持部よりも下方に位置付けられていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記垂下部の下部を前記脚構造体に支持させている請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記座が優先的に弾性変形し得る変形助長部を有している請求項1、2または3記載の椅子。
【請求項4】
前記変形助長部がスリットである請求項3記載の椅子。
【請求項5】
前記着座部の下面を前記座支持部により支持させている請求項1記載の椅子。
【請求項6】
前記座支持部が前記着座部に係り得る係合凸部を有するものであり、
この係合凸部の頂面に前記着座部に設けられた係合凹部の下向き面が乗せ置かれている請求項5記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−100769(P2012−100769A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250165(P2010−250165)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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