椅子
【課題】メモ台を有する椅子同士を前後方向にネスティングし得るようにしつつ着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできる。
【解決手段】同一構造をなす他の椅子1’と前後方向にネスティングし得るように構成されている椅子1であって、板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢SSをとることが可能なメモ台本体51と、前記メモ台本体51が使用姿勢をとる場合に該メモ台本体51を前後移動可能かつ前記メモ台本体51が格納姿勢SSをとる場合に該メモ台本体51を前後移動不能に支持しているとともに、前記メモ台本体51が格納姿勢SSをとり前方に位置する同一構造をなす他の椅子1’とネスティングさせた状態で場合に該メモ台本体51が前方に位置する同一構造をなす他の椅子1’のメモ台本体51と干渉しない状態に保持するメモ台保持機構52とを備えたメモ台5を具備する。
【解決手段】同一構造をなす他の椅子1’と前後方向にネスティングし得るように構成されている椅子1であって、板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢SSをとることが可能なメモ台本体51と、前記メモ台本体51が使用姿勢をとる場合に該メモ台本体51を前後移動可能かつ前記メモ台本体51が格納姿勢SSをとる場合に該メモ台本体51を前後移動不能に支持しているとともに、前記メモ台本体51が格納姿勢SSをとり前方に位置する同一構造をなす他の椅子1’とネスティングさせた状態で場合に該メモ台本体51が前方に位置する同一構造をなす他の椅子1’のメモ台本体51と干渉しない状態に保持するメモ台保持機構52とを備えたメモ台5を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校用または事務用等として好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の椅子として、板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢をとることが可能なメモ台本体と、このメモ台本体を保持するメモ台保持機構とを有するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなものにおいて、同一構造を有する他の椅子の上方に順次積み上げて収納する際の便を図るべく、積み上げた状態で上下方向に隣接する同一構造を有する他の椅子のメモ台本体と干渉しないように収納姿勢にあるメモ台本体を保持するメモ台保持機構が採用されている。
【0004】
一方、このような椅子の非使用時において少ない収納スペースにより多くの椅子を収納できるようにしつつ収納作業の便をはかるべく、同一構造をなす他の椅子と前後方向にネスティングし得るようにする要望が存在する。また、着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできるようにする要望も存在する。しかし、メモ台を有するこのような椅子同士を前後方向にネスティングし得るようにしつつ着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできるようにする構成は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−300933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に着目し、メモ台を有するこのような椅子同士を前後方向にネスティングし得るようにしつつ着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る椅子は、同一構造をなす他の椅子と前後方向にネスティングし得るように構成されている椅子であって、板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢をとることが可能なメモ台本体と、前記メモ台本体が使用姿勢をとる場合に該メモ台本体を前後移動可能かつ前記メモ台本体が格納姿勢をとる場合に該メモ台本体を前後移動不能に支持しているとともに、前記メモ台本体が格納姿勢をとり前方に位置する同一構造をなす他の椅子とネスティングさせた場合に該メモ台本体が前方に位置する同一構造をなす他の椅子のメモ台本体と干渉しない状態に保持するメモ台保持機構とを備えたメモ台を具備することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、椅子の使用時においては着座者の体格に応じてメモ台本体の前後位置を変更することによりメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にしつつ、椅子の非使用時においては、メモ台本体を格納姿勢とし、その前方に同一構成を有する他の椅子を配しても、後方に位置する椅子のメモ台本体と前方に位置するメモ台本体とは干渉せず、このような椅子をネスティングさせて収納スペースに収納することが可能となる。
【0009】
このような椅子をネスティングさせた状態で収納するに際して、限られた収納スペースにより多くの椅子を収納するために有効な構成として、前記メモ台保持機構が、前記メモ台本体が格納姿勢をとる際に該メモ台本体の前後位置が最も後方となるように該メモ台本体を保持するものが挙げられる。
【0010】
このような椅子をネスティングさせた状態で収納するに際して、椅子間の距離を一体に保つようにするために有効な構成として、前記メモ台保持機構が、前記メモ台本体を前後方向に延びる軸周りに回転させることにより前記使用姿勢と略鉛直な起立姿勢との間を移動可能であるとともに、起立姿勢において前記メモ台本体を左右方向に延びる軸周りに回転させることにより前記起立姿勢と前記格納姿勢との間を移動可能に支持するものであって、該メモ台本体が特定の前後位置をとる場合にのみ該メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移動させることを可能に前記メモ台保持機構を構成しているものが挙げられる。
【0011】
特に、座板及び該座板を支持する座板支持フレームを有した椅子本体を具備するものであって、前記メモ台本体と前記椅子本体に固定したメモ台支持フレームとが互いにスライド移動可能であり、前記メモ台本体が前記使用姿勢から前記起立姿勢に至る領域、又は使用姿勢から前記起立姿勢を経て該起立姿勢と前記格納姿勢との間の所定の中間姿勢に至る領域にある場合にのみメモ台本体のスライドを許容するように前記メモ台保持機構を構成しているものであれば、簡単な構成でメモ台本体の椅子本体に対する前後方向位置を変更できる。
【0012】
このような椅子のメモ台本体を安定して保持させることができるメモ台支持フレームの取付態様の一例として、座板及び該座板を支持する座板支持フレームを有した椅子本体を具備するものであって、前記座板支持フレームが、左右一対の脚部と、対をなす脚部間を接続する横架材とを備え、先端において前記メモ台本体を支持するメモ台支持フレームの基端部を前記横架材に固定してなるものが挙げられる。
【0013】
前記メモ台保持機構が、メモ台本体側に配してなるスライダと、メモ台支持フレーム側に配してなりこのスライダの移動方向を案内する案内部材とを係り合わせてなる案内部を有するものにおいて、スライダと案内部との間で指を挟む不具合の発生を抑制するために有効な構成の一例として、この案内部の前方及び後方を開放させているものが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メモ台を有するこのような椅子同士を前後方向にネスティングし得るようにしつつ着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る椅子を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係る椅子を示す正面図。
【図3】同実施形態に係る椅子を示す側面図。
【図4】同実施形態に係る椅子を示す平面図。
【図5】同実施形態に係る椅子のメモ台を起立位置に配した状態を示す側面図。
【図6】同実施形態に係る椅子のメモ台を格納位置に配した状態を示す側面図。
【図7】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構を示す側面図。
【図8】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態に係る椅子のネスティング態様を示す図。
【図10】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図11】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図12】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図13】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜13を参照して説明する。
【0017】
この実施形態は、本発明を水平方向にネスティング可能な椅子1に適用したものである。すなわち、本実施形態に係る椅子1は、図9に具体的に示すように、収納時などに、座板3を跳ね上げ位置(J)に保持するとともにメモ台を格納姿勢(SS)に保持することによって同一構造をなす他の椅子1’と前後方向に近接させて少ないスペースで多くの椅子を収納し得るように構成されているものである。なお、図9では、他の椅子の符号を「1’」としているが、同一構造をなすものであるため、他の符号は椅子1のものと同様のものを付している。
【0018】
椅子1は、図1〜図6に示すように、椅子本体2に座板3、背板4及びメモ台5を支持させてなるものであり、より詳しくは、座板3を支持する座板支持フレーム26、及びメモ台5を支持するメモ台支持フレーム28を有した椅子本体2を具備してなるものである。また、この椅子1は、前記座板支持フレーム26の軸着部たる軸262を介して座板3を使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回動させ得るようにしているとともに、前記メモ台支持フレーム28がメモ台を板面が略水平な使用姿勢(UU)及び板面が略鉛直な格納姿勢(SS)との間で移動可能に支持しているものである。
【0019】
以下、椅子1の各構成について詳述する。
【0020】
椅子本体2は、金属パイプ材を主体に構成されたものである。椅子本体2は、図1〜図6に示すように、下端にキャスタ211を有した左右の前脚21と、下端にキャスタ221を有した左右の後脚22と、これら後脚22の上端と前脚21の上端とをそれぞれ繋ぐ左右の側フレーム24と、これら左右の側フレーム24の前端近傍部間に架設され両側フレーム24同士を結合する前フレーム25と、左右の側フレーム24の後端近傍部間に架設され両側フレーム24同士を結合する後フレーム23と、この後フレーム23に回転可能に支持させた座板支持フレーム26と、前記後脚22の上端から上方に延出する左右の背フレーム27と、前記後フレーム23にその基端部の複数箇所を溶接等により固定して取り付けたメモ台支持フレーム28とを備えてなる。左右それぞれの前脚21、後脚22、側フレーム24及び背フレーム27は一体をなし、請求項中の脚部2Aを形成する。そして、後フレーム23が、請求項中の横架材としての機能を有する。
【0021】
前脚21と側フレーム24とは、図1〜図3、図5及び図6に示すように、共通の金属パイプ材を曲げることにより一体に構成されたもので、側フレーム24の後端は後脚22の上端に溶接等により剛結されている。しかして、前脚21、後脚22、側フレーム24、前フレーム24、後フレーム23、座板支持フレーム26、及び背フレーム27は、座板3及び背板4に作用する着座者の荷重を受けることが可能な強度を備えている。そして、椅子本体2を構成する座板支持フレーム26に座板3を支持させており、例えば図9に示すように、座板3が床面に対して略平行になる使用位置(U)と座板3が背板4に対して略平行になる跳ね上げ位置(J)との間で回動し得るようになっている。また、図2、図4、及び図7に示すように、左右の前脚21間の距離すなわち幅寸法は、左右の後脚22間の距離よりも小さく設定されているため、後述するように、座板3を跳ね上げた状態で同一の構造をなす他の椅子1’とネスティング可能になっている。
【0022】
前フレーム25は、図1及び図2に示すように、左右の側フレーム24の中央部分よりも前方の部分間に架設されてなる直線状の金属パイプ材を主体にしてなるもので、後述する座板支持フレーム26の横架材263が使用位置(U)において前フレーム25の上面に当接するようになっている。すなわち、座板3は、座板支持フレーム26の横架材263が前フレーム25に直接当接することにより、使用位置(U)に保持されるように構成されている。
【0023】
後フレーム23は、図1〜図3、図5及び図6に示すように、左右の側フレーム24間に架設してなり、その中間部に取付ブラケット232を備えている。この取付ブラケット232の先端部には、座板支持フレーム26の軸262を回転可能に支持するための軸受部232aを備えており、左右の取付ブラケット232間に軸262を回転可能に架設している。この軸受部232aは軸孔を主体に構成されたものである。換言すれば、本実施形態に係る椅子1は、後フレーム23の取付ブラケット232に、座板支持フレーム26の軸262を回転可能に支持させており、これによって座板支持フレーム26に支持された座板3を使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回転可能なものとしている。
【0024】
次に、座板3を支持する座板支持フレーム26について述べる。
【0025】
座板支持フレーム26は、枠状をなす支持フレーム本体261と、この支持フレーム本体261の後端部に設けられた軸262と、支持フレーム本体261の前後方向中間部に設けられた横架材263とを備えたものである。
【0026】
支持フレーム本体261は、底面視において野球のホームベースの外縁形状に近似した枠体の形状をなしており、図2、図3、図5及び図6に示すように、その上面は、座板3に直接当接するようになっている。また、この支持フレーム本体261の内側面には座板3を取り付けるための図示しないブラケットが突設されている。そして、その後端部は、左右方向に略一直線状に延びる軸262の左右方向中間部分と連結している。
【0027】
軸262は、金属パイプ材を主体に構成されたものである。軸262は、図3、図5及び図6に示すように、その左右両端部を後フレーム23の取付ブラケット232に軸受部232aを介して回動可能に支持されている。しかして、座板支持フレーム26の支持フレーム本体261に支持された座板3は、座板支持フレーム26の軸262を介して使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回動し得るようになっている。
【0028】
横架材263は、図2、図3、図5及び図6に示すように、使用位置(U)において前フレーム25に支持されるように構成されている。横架材263は使用位置(U)において、正面視において中央部分を下方に突出させた形状をなしている。換言すれば、横架材263は、使用位置(U)において正面視下方に凸をなす隆起部分を備えたものである。詳述すると、横架材263は、金属パイプ材を主体に構成された隆起部rを有した横架材本体263aと、この横架材本体263aの左右方向中間部位に取り付けられた当接部材263bを備えたものである。横架材本体263aは、正面視において左右方向中間部分が下方に膨出した形状をなしており、この横架材本体263aの膨出部分に樹脂製の当接部材263bが止着具たるねじにより取り付けられている。当接部材263bは、使用位置(U)において前フレーム25に当接するものであり、当接面が形成される下面は、前フレーム25の形状に対応した形状、すなわち前フレーム25のパイプフレーム形状に対応させて凹んだ形状となっている。
【0029】
次いで、メモ台5を支持する座板支持フレーム28について述べる。
【0030】
このメモ台支持フレーム28は、図1〜図6に示すように、前記後フレーム23の右側部に沿う形状を有し、該後フレーム23にその複数箇所を溶接等により固定して取り付けてなり、該後フレーム23の右側端縁を越えてさらに右側に延びる基部281と、この基部281の右端すなわち延出端から前上方に向けて延びる接続部282と、この接続部282の上端すなわち延出端から前方に向けて延びメモ台を回動可能に支持するメモ台支持部283とを備えている。前記接続部282及びメモ台支持部283は、平面視した場合において前方に向かうにつれこの椅子の幅方向中央に向かう傾斜を有する。換言すれば、前方に向かうにつれ座板3に向かう傾斜を有する。また、前記メモ台支持部283は、前方に向かうにつれわずかに上方に向かう傾斜を有する。
【0031】
次に、座板3について詳述する。
【0032】
座板3は、図1〜図6に示すように、板状をなす座板本体31と、この座板本体31の裏面すなわち下面に設けられ座板支持フレーム26と係合させるための部位である図示しない支持フレーム係合部と、座板本体31の上面に設けられたクッション部33とを備えてなるものである。座板本体31及び前記支持フレーム係合部は、樹脂により一体に成形されている。
【0033】
座板本体31は、図1〜図3、図5及び図6に示すように、その前端部分が下方に垂れ下がった形状をなしているとともに、後端部分が上方に反り上がった形状をなしている。この座板本体31における軸262の端部周辺、すなわち、後フレーム23の取付ブラケット232の外側近傍には、図示しない立壁部が設けられ、軸262の近傍に手指等が接近することを回避している。
【0034】
座板3の周縁部、すなわち座板本体31の周縁部は、図2、図3、図5及び図6に示すように、椅子本体2の座板支持フレーム26及びメモ台支持フレーム28以外の構成要素からなる部位と離間するように構成されている。より具体的には、本実施形態に係る椅子1は、使用位置(U)において、座板本体31の周縁部の全域と、椅子本体2の座板支持フレーム26及びメモ台支持フレーム28以外の構成要素からなる部位とが、一定間隔をあけて離間するように構成されており、使用者等の手指や被服が座板3の下面側において挟まれにくいようにしている。前後方向に延びる側フレーム24と座板3の側縁部との間、並びに、側フレーム24と支持フレーム本体261との間は上下方向に離間するように構成されている。
【0035】
背板4は、図1〜図6に示すように、背板本体41と、この背板本体41の左右両側部に一体に設けられた取付部42とを備えたもので、取付部42は、背板本体41の下縁よりも下方に延出させてある。そして、取付部42に形成された下方に開口する取付孔421を背フレーム27に嵌め合わせることによって、背板4を椅子本体2に支持させている。背フレーム27は、その上端が背板本体41の中央部における下縁411とほぼ同一高さ位置に達するまで取付孔421に挿入され固定されている。また、背板本体41は、図5に示すように平面視において中央部が後方に膨出するように湾曲した形状をなしている。
【0036】
メモ台5は、図1〜図6に示すように、板状をなすメモ台本体51と、このメモ台本体51と前記メモ台支持フレーム28との間に介在してこのメモ台本体51を支持するメモ台保持機構52とを備えている。
【0037】
メモ台本体51は、図1及び図4に示すように、使用姿勢(UU)において着座者に近い側の縁部の右側部が着座者側に膨出した概略矩形板状をなし、使用姿勢(UU)において上方を向く面を物品を載置するための載置面51aとしている。また、このメモ台本体51は、その右端部を前記メモ台保持機構52により、図1〜図4に示す使用姿勢(UU)から図5に示す起立姿勢(TT)を経て図6に示す格納姿勢(SS)まで、又はその逆方向に回転可能かつ片持ち的に支持されている。
【0038】
メモ台保持機構52は、図3及び図5〜図8に示すように、メモ台本体51の載置面51aと反対側の面に相対位置を変更不能に取り付けられメモ台支持フレーム28に対して前後移動可能なスライダ部材521と、このスライダ部材521のメモ台本体51に向かう面と反対側の面に相対位置を変更不能に取り付けられ設けられ後述する回転案内規制突起523yに係合することによりメモ台本体51の左右方向に延びる軸周りの回転移動の方向を案内する回転案内溝522aを有する回転案内部材522と、前記スライダ部材521の上下両端縁に設けたガイド溝521xと係合するガイド突起523xを有し前記スライダ部材521を設けたメモ台本体51を前後スライド可能に保持するガイド部材523と、このガイド部材523とメモ台支持フレーム28のメモ台支持部283との間に介在し前記ガイド部材523との間で前記メモ台支持部283を挟持するとともにこのメモ台支持部283の中心軸を回転中心としてその周りに前記メモ台本体51及びガイド部材521を前後方向に延びる軸周りに回転可能に保持する保持部材524と、この保持部材524及び前記メモ台支持部283を被覆するカバー部材525とを備えている。そして、このメモ台保持機構52は、前記メモ台本体51を、前後方向に延びる軸周りに回転させることにより前記使用姿勢(UU)と略鉛直な起立姿勢(TT)との間を移動可能であるとともに、前記起立姿勢(TT)において前記メモ台本体51を左右方向に延びる軸周りに回転させることにより前記起立姿勢(TT)と前記格納姿勢(SS)との間を移動可能に支持する。
【0039】
前記スライダ部材521は、図7及び図8に示すように、メモ台本体51の載置面51aと反対側の面に沿う板状のプレート部521aと、このプレート部521aの互いに対向する1対の端縁にそれぞれ取り付けられその内部に前後方向に延びるガイド溝521xを有するレール部521bとを備えている。このガイド溝521xがガイド部材523のガイド突起523xとを係合することによりこのスライダ部材521の椅子本体2に対するスライド移動の方向、換言すればガイド部材523に対するスライド移動の方向が規制され、ガイド部材523に対してガイド溝521xが延びる方向にのみ移動可能となっている。そして、このスライダ部材521のプレート部521aに、前記回転案内部材522を相対移動不能に取り付けている。
【0040】
前記回転案内部材522は、図7及び図8に示すように、上述したように回転案内規制突起523yを収納可能な回転案内溝522aを有するとともに、その一端縁、より具体的にはメモ台本体51を起立姿勢(TT)とした状態における下端縁を、回転案内規制突起523yと衝き当たることによりメモ台本体51の左右方向に延びる軸周りの回転を規制する規制部522bとしている板状の部材である。さらに詳述すると、メモ台本体51が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端に位置する場合には、図11に示すように、一方の回転案内規制突起523yの上方にこの回転案内部材522の回転案内溝522aが位置するので、メモ台本体51に左右方向に延びる軸周りの回転操作力が加えられた場合には回転が許可される。一方、メモ台本体51が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端以外に位置する場合には、図10に示すように、対をなす回転案内規制突起523yそれぞれの上方にこの回転案内部材522の規制部522bが位置するので、メモ台本体51に左右方向に延びる軸周りの回転操作力が加えられた場合であってもメモ台本体51の回転が規制される。ここで、メモ台本体51が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端に位置する状態から約180度回転移動させると、換言すれば図12に示すようなメモ台本体51を起立姿勢から90度回転させ所定の中間姿勢(CC)にある状態とした後、さらに90度回転させて格納姿勢(SS)とすると、該メモ台本体51の前後位置が最も後方となる。また、メモ台本体51が前記中間姿勢(CC)と格納姿勢(SS)との間に位置する状態では、図13に示すように、回転案内規制突起523yと回転案内溝522aとが係り合ってメモ台本体51のスライド移動が規制される。換言すれば、この回転案内部材522を含むメモ台保持機構52は、メモ台本体51が前記使用姿勢(UU)から前記起立姿勢(TT)を経て前記中間姿勢(CC)に至る領域にある場合にのみメモ台本体51の前後移動が許容されるようにメモ台本体51を保持している。そして、この回転案内部材522を挟んでスライダ部材521と反対側に、ガイド部材523が配されている。
【0041】
ガイド部材523は、図3、図4及び図5の実線に示す位置(可動範囲の前端)と想像線に示す位置(可動範囲の後端)との間でメモ台本体51を前後スライド可能に保持するもので、図7及び図8に示すように、上下両端部に前記スライダ部材521のガイド溝521xと係合するガイド突起523xを有する板状のガイド部材本体523aと、対をなしてこのガイド部材本体523aを挟持する補強板523bとを備えている。具体的には、内側の補強板523bに設けた図示しない雌ねじ孔に外側の補強板523bの外方から雄ねじ部材bを螺着してなる構造を有する。本実施形態では、雄ねじ部材bを、前記補強板523bの中心を挟んで上下に2本ずつ取り付けるようにしている。ここで、この雄ねじ部材bのうち下方に位置するものの頭部を、前記回転案内部材の規制部に当接する回転案内規制突起523yとして機能させている。また、この回転案内規制突起523yのうち1つは、上述したようにメモ台本体51がスライド範囲の前端に位置する場合に回転案内部材522の回転案内溝522xに係合し、メモ台本体51の回転運動の方向を案内する。ここで、このガイド部材523と前記スライダ部材521とが係合した状態で、このガイド部材523の前後両側の空間はそれぞれ前方及び後方に開放されている。そして、このガイド部材523には、ねじ等の固定手段により保持部材524が取り付けられていて、この保持部材524を介してメモ台支持フレーム28に支持されている。
【0042】
保持部材524は、図8に示すように、両端が開放されたループ状をなしその内部にメモ台支持フレーム28のメモ台支持部283を収納する保持部524aと、この保持部524aの両端から相反する方向にそれぞれ延伸しねじ等の固定手段によりガイド部材523に固定して取り付けるための取付部524bとを有する。この保持部材524、前記ガイド部材523、前記回転案内部材522、前記スライダ部材521、及びメモ台本体51は、前後方向に延びる前記メモ台支持部283の中心軸を中心として起立姿勢(TT)となるまで回転移動可能である。
【0043】
そして、同一構造を有する本実施形態の椅子同士を前後方向に重ね合わせた際のメモ台同士の位置関係について図9を参照しつつ以下に説明する。特定の椅子1の前方に位置する他の椅子1’の左右の後脚22は、前記特定の椅子1の前脚21よりも後方に位置し、該特定の椅子1の後脚22の前方に位置する。また、特定の椅子1のメモ台本体51の前端51xは、背板4の右端4xよりも右側、換言すればこの椅子のメモ台及びメモ台支持フレームを除いた部分の幅方向端縁よりも外方に位置する。すなわち、メモ台本体を格納姿勢(SS)とした状態の特定の椅子の前方に、メモ台本体を格納姿勢(SS)とした状態の他の椅子を配した際に、他の椅子の背板は前記特定の椅子のメモ台と干渉することなくメモ台を越えて後方に位置する。さらに、他の椅子のメモ台支持フレームの基端部も前記特定の椅子のメモ台本体の前端を越えて後方に位置する。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態に係る椅子1の構成によれば、椅子1の使用時においては、着座者の体格に応じてメモ台本体51の前後位置を変更することによりメモ台本体51と座板3との間の前後位置を変更可能にしつつ、椅子1の非使用時においては、メモ台本体51を格納姿勢(SS)とし、その前方に同一構成を有する他の椅子1’を配しても、後方に位置する椅子1のメモ台本体51と前方に位置する椅子1’のメモ台本体51とは干渉せず、このような椅子1をネスティングさせて収納スペースに効率よく収納することが可能となるとともに、メモ台本体51の前後位置が変更不可能であるのでネスティングさせた際の椅子1間の距離を一定に保つことができる。
【0045】
また、前記メモ台保持機構52が、前記メモ台本体51が格納姿勢(SS)をとる際に該メモ台本体51の前後方向位置が最も後方となるので、このような椅子1をネスティングさせた状態で収納するに際して、限られた収納スペースにより多くの椅子1を収納することができる。
【0046】
さらに、前記メモ台保持機構52が、前記メモ台本体51を前後方向に延びる軸周りに回転させることにより前記使用姿勢(UU)と前記起立姿勢(TT)との間を移動可能であるとともに、起立姿勢(TT)において前記メモ台本体51を左右方向に延びる軸周りに回転させることにより前記起立姿勢(TT)と前記格納姿勢(SS)との間を移動可能に支持し、該メモ台本体51がスライド可能範囲の前端に位置する場合にのみ該メモ台本体51を格納姿勢(SS)に移動させることが可能に前記メモ台保持機構52を構成しているので、このような椅子1をネスティングさせた状態で収納するに際して、椅子1間の距離を一体に保つようにすることができる。
【0047】
さらに、前記メモ台本体51が、前記使用姿勢(UU)から板面が略鉛直な起立姿勢(TT)を経て前記格納姿勢(SS)へ移動可能であるものであって、前記メモ台本体51が使用姿勢(UU)と起立姿勢(TT)との間の姿勢をとり、
加えて、座板3及び該座板3を支持する座板支持フレーム2を有するものであって、前記メモ台本体51と前記メモ台支持フレーム28とが互いにスライド移動可能であり、前記メモ台本体51が前記使用姿勢(UU)から前記起立姿勢(TT)の間、又は前記起立姿勢(TT)と前記中間姿勢(CC)との間の領域にある場合にのみメモ台本体51のスライドを許容するように前記メモ台保持機構52を構成しているので、簡単な構成でメモ台本体51の椅子本体2に対する前後方向位置を変更できる。
【0048】
その上、前記椅子本体2が、左右一対の脚部2Aと、対をなす脚部2A間を接続する後フレーム23とを備え、先端において前記メモ台本体51を支持するメモ台支持フレーム28の基端部281を前記後フレーム23に固定してなるので、このような椅子1のメモ台本体51を安定してメモ台支持フレーム28に保持させることができる。
【0049】
そして、前記メモ台保持機構52が、メモ台本体51側に配してなるスライダ521と、メモ台支持フレーム28側に配してなりこのスライダ521の移動方向を案内する案内部材たるガイド部材523とを係り合わせてなる案内部を有するものにおいて、このスライダ521の前方及び後方を開放させているので、スライダ521とガイド部材523との間で指を挟む不具合の発生を有効に抑制することができる。
【0050】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、前記メモ台本体が格納姿勢をとる際に該メモ台本体の前後位置が最も後方となるように該メモ台本体を保持するようにメモ台保持機構を構成しているが、メモ台本体をそれ以外の位置に保持するようにメモ台保持機構を構成してもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、前記メモ台本体が使用姿勢又は起立姿勢をとる際に該メモ台本体が可動範囲の前端に位置する場合にのみ該メモ台本体を格納姿勢に移動させることが可能に前記メモ台保持機構を構成しているが、メモ台本体の前後方向位置に関わらず該メモ台本体を格納姿勢に移動させることが可能なメモ台保持機構を採用してもよい。この場合、メモ台本体を格納姿勢とした後メモ台本体を後方に移動させ、可動範囲の後端にメモ台本体が達した場合にメモ台本体をこの位置に保持するための機構を別途設けるとよい。
【0053】
一方、上述した実施形態では、メモ台本体が使用姿勢から前記起立姿勢を経て該起立姿勢と前記格納姿勢との間の所定の中間姿勢に至る領域にある場合にのみメモ台本体のスライドが許容されるようにメモ台保持機構を構成しているが、メモ台本体が起立姿勢と中間姿勢との間の領域にある場合にはメモ台本体のスライドを許容しないようにメモ台保持機構を構成してももちろんよい。さらに、上述した実施形態では起立姿勢からメモ台本体を90度回転させた状態を中間姿勢としているが、メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に向けて0度以上90度未満の範囲の所定の角度回転させた状態を中間姿勢としてももちろんよい。
【0054】
さらに、上述した実施形態では、前記メモ台本体と前記椅子本体に固定したメモ台支持フレームとを互いにスライド移動可能に構成しているが、メモ台本体とメモ台支持フレームとの間に介在させてなりメモ台本体を前後方向移動可能に支持するリンク機構等を利用してメモ台保持機構を形成してもよい。
【0055】
加えて、メモ台支持フレームの取付態様は、上述した実施形態のような椅子本体の構成要素である横架材に基端部を溶接等により固定する態様に限らず、例えば、肘掛けと、先端において肘掛けを支持する肘掛け支持フレームとを有する椅子であれば、この肘掛け支持フレームに溶接やねじ止めなどの方法により固定する態様が考えられる。
【0056】
そして、上述した実施形態では、メモ台本体側に配してなるスライダと、メモ台支持フレーム側に配してなりこのスライダの移動方向を案内するガイド部材とを係り合わせてなる案内部を有し、この案内部の前方及び後方を開放させている態様を採用しているが、これに限らず、スライダ及びガイド部材を被覆するスライダカバー部材を設ける等、他の手段によりメモ台本体のスライド移動の際に指を挟む不具合の発生を抑制するようにしてもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0058】
1、1’…椅子
5…メモ台
51…メモ台本体
52…メモ台保持機構
UU…使用姿勢
SS…格納姿勢
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校用または事務用等として好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の椅子として、板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢をとることが可能なメモ台本体と、このメモ台本体を保持するメモ台保持機構とを有するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなものにおいて、同一構造を有する他の椅子の上方に順次積み上げて収納する際の便を図るべく、積み上げた状態で上下方向に隣接する同一構造を有する他の椅子のメモ台本体と干渉しないように収納姿勢にあるメモ台本体を保持するメモ台保持機構が採用されている。
【0004】
一方、このような椅子の非使用時において少ない収納スペースにより多くの椅子を収納できるようにしつつ収納作業の便をはかるべく、同一構造をなす他の椅子と前後方向にネスティングし得るようにする要望が存在する。また、着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできるようにする要望も存在する。しかし、メモ台を有するこのような椅子同士を前後方向にネスティングし得るようにしつつ着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできるようにする構成は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−300933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に着目し、メモ台を有するこのような椅子同士を前後方向にネスティングし得るようにしつつ着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る椅子は、同一構造をなす他の椅子と前後方向にネスティングし得るように構成されている椅子であって、板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢をとることが可能なメモ台本体と、前記メモ台本体が使用姿勢をとる場合に該メモ台本体を前後移動可能かつ前記メモ台本体が格納姿勢をとる場合に該メモ台本体を前後移動不能に支持しているとともに、前記メモ台本体が格納姿勢をとり前方に位置する同一構造をなす他の椅子とネスティングさせた場合に該メモ台本体が前方に位置する同一構造をなす他の椅子のメモ台本体と干渉しない状態に保持するメモ台保持機構とを備えたメモ台を具備することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、椅子の使用時においては着座者の体格に応じてメモ台本体の前後位置を変更することによりメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にしつつ、椅子の非使用時においては、メモ台本体を格納姿勢とし、その前方に同一構成を有する他の椅子を配しても、後方に位置する椅子のメモ台本体と前方に位置するメモ台本体とは干渉せず、このような椅子をネスティングさせて収納スペースに収納することが可能となる。
【0009】
このような椅子をネスティングさせた状態で収納するに際して、限られた収納スペースにより多くの椅子を収納するために有効な構成として、前記メモ台保持機構が、前記メモ台本体が格納姿勢をとる際に該メモ台本体の前後位置が最も後方となるように該メモ台本体を保持するものが挙げられる。
【0010】
このような椅子をネスティングさせた状態で収納するに際して、椅子間の距離を一体に保つようにするために有効な構成として、前記メモ台保持機構が、前記メモ台本体を前後方向に延びる軸周りに回転させることにより前記使用姿勢と略鉛直な起立姿勢との間を移動可能であるとともに、起立姿勢において前記メモ台本体を左右方向に延びる軸周りに回転させることにより前記起立姿勢と前記格納姿勢との間を移動可能に支持するものであって、該メモ台本体が特定の前後位置をとる場合にのみ該メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移動させることを可能に前記メモ台保持機構を構成しているものが挙げられる。
【0011】
特に、座板及び該座板を支持する座板支持フレームを有した椅子本体を具備するものであって、前記メモ台本体と前記椅子本体に固定したメモ台支持フレームとが互いにスライド移動可能であり、前記メモ台本体が前記使用姿勢から前記起立姿勢に至る領域、又は使用姿勢から前記起立姿勢を経て該起立姿勢と前記格納姿勢との間の所定の中間姿勢に至る領域にある場合にのみメモ台本体のスライドを許容するように前記メモ台保持機構を構成しているものであれば、簡単な構成でメモ台本体の椅子本体に対する前後方向位置を変更できる。
【0012】
このような椅子のメモ台本体を安定して保持させることができるメモ台支持フレームの取付態様の一例として、座板及び該座板を支持する座板支持フレームを有した椅子本体を具備するものであって、前記座板支持フレームが、左右一対の脚部と、対をなす脚部間を接続する横架材とを備え、先端において前記メモ台本体を支持するメモ台支持フレームの基端部を前記横架材に固定してなるものが挙げられる。
【0013】
前記メモ台保持機構が、メモ台本体側に配してなるスライダと、メモ台支持フレーム側に配してなりこのスライダの移動方向を案内する案内部材とを係り合わせてなる案内部を有するものにおいて、スライダと案内部との間で指を挟む不具合の発生を抑制するために有効な構成の一例として、この案内部の前方及び後方を開放させているものが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メモ台を有するこのような椅子同士を前後方向にネスティングし得るようにしつつ着座者の体格に応じてメモ台本体と座との間の前後位置を変更可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る椅子を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係る椅子を示す正面図。
【図3】同実施形態に係る椅子を示す側面図。
【図4】同実施形態に係る椅子を示す平面図。
【図5】同実施形態に係る椅子のメモ台を起立位置に配した状態を示す側面図。
【図6】同実施形態に係る椅子のメモ台を格納位置に配した状態を示す側面図。
【図7】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構を示す側面図。
【図8】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態に係る椅子のネスティング態様を示す図。
【図10】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図11】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図12】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【図13】同実施形態に係る椅子のメモ台支持機構の作動を示す動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜13を参照して説明する。
【0017】
この実施形態は、本発明を水平方向にネスティング可能な椅子1に適用したものである。すなわち、本実施形態に係る椅子1は、図9に具体的に示すように、収納時などに、座板3を跳ね上げ位置(J)に保持するとともにメモ台を格納姿勢(SS)に保持することによって同一構造をなす他の椅子1’と前後方向に近接させて少ないスペースで多くの椅子を収納し得るように構成されているものである。なお、図9では、他の椅子の符号を「1’」としているが、同一構造をなすものであるため、他の符号は椅子1のものと同様のものを付している。
【0018】
椅子1は、図1〜図6に示すように、椅子本体2に座板3、背板4及びメモ台5を支持させてなるものであり、より詳しくは、座板3を支持する座板支持フレーム26、及びメモ台5を支持するメモ台支持フレーム28を有した椅子本体2を具備してなるものである。また、この椅子1は、前記座板支持フレーム26の軸着部たる軸262を介して座板3を使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回動させ得るようにしているとともに、前記メモ台支持フレーム28がメモ台を板面が略水平な使用姿勢(UU)及び板面が略鉛直な格納姿勢(SS)との間で移動可能に支持しているものである。
【0019】
以下、椅子1の各構成について詳述する。
【0020】
椅子本体2は、金属パイプ材を主体に構成されたものである。椅子本体2は、図1〜図6に示すように、下端にキャスタ211を有した左右の前脚21と、下端にキャスタ221を有した左右の後脚22と、これら後脚22の上端と前脚21の上端とをそれぞれ繋ぐ左右の側フレーム24と、これら左右の側フレーム24の前端近傍部間に架設され両側フレーム24同士を結合する前フレーム25と、左右の側フレーム24の後端近傍部間に架設され両側フレーム24同士を結合する後フレーム23と、この後フレーム23に回転可能に支持させた座板支持フレーム26と、前記後脚22の上端から上方に延出する左右の背フレーム27と、前記後フレーム23にその基端部の複数箇所を溶接等により固定して取り付けたメモ台支持フレーム28とを備えてなる。左右それぞれの前脚21、後脚22、側フレーム24及び背フレーム27は一体をなし、請求項中の脚部2Aを形成する。そして、後フレーム23が、請求項中の横架材としての機能を有する。
【0021】
前脚21と側フレーム24とは、図1〜図3、図5及び図6に示すように、共通の金属パイプ材を曲げることにより一体に構成されたもので、側フレーム24の後端は後脚22の上端に溶接等により剛結されている。しかして、前脚21、後脚22、側フレーム24、前フレーム24、後フレーム23、座板支持フレーム26、及び背フレーム27は、座板3及び背板4に作用する着座者の荷重を受けることが可能な強度を備えている。そして、椅子本体2を構成する座板支持フレーム26に座板3を支持させており、例えば図9に示すように、座板3が床面に対して略平行になる使用位置(U)と座板3が背板4に対して略平行になる跳ね上げ位置(J)との間で回動し得るようになっている。また、図2、図4、及び図7に示すように、左右の前脚21間の距離すなわち幅寸法は、左右の後脚22間の距離よりも小さく設定されているため、後述するように、座板3を跳ね上げた状態で同一の構造をなす他の椅子1’とネスティング可能になっている。
【0022】
前フレーム25は、図1及び図2に示すように、左右の側フレーム24の中央部分よりも前方の部分間に架設されてなる直線状の金属パイプ材を主体にしてなるもので、後述する座板支持フレーム26の横架材263が使用位置(U)において前フレーム25の上面に当接するようになっている。すなわち、座板3は、座板支持フレーム26の横架材263が前フレーム25に直接当接することにより、使用位置(U)に保持されるように構成されている。
【0023】
後フレーム23は、図1〜図3、図5及び図6に示すように、左右の側フレーム24間に架設してなり、その中間部に取付ブラケット232を備えている。この取付ブラケット232の先端部には、座板支持フレーム26の軸262を回転可能に支持するための軸受部232aを備えており、左右の取付ブラケット232間に軸262を回転可能に架設している。この軸受部232aは軸孔を主体に構成されたものである。換言すれば、本実施形態に係る椅子1は、後フレーム23の取付ブラケット232に、座板支持フレーム26の軸262を回転可能に支持させており、これによって座板支持フレーム26に支持された座板3を使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回転可能なものとしている。
【0024】
次に、座板3を支持する座板支持フレーム26について述べる。
【0025】
座板支持フレーム26は、枠状をなす支持フレーム本体261と、この支持フレーム本体261の後端部に設けられた軸262と、支持フレーム本体261の前後方向中間部に設けられた横架材263とを備えたものである。
【0026】
支持フレーム本体261は、底面視において野球のホームベースの外縁形状に近似した枠体の形状をなしており、図2、図3、図5及び図6に示すように、その上面は、座板3に直接当接するようになっている。また、この支持フレーム本体261の内側面には座板3を取り付けるための図示しないブラケットが突設されている。そして、その後端部は、左右方向に略一直線状に延びる軸262の左右方向中間部分と連結している。
【0027】
軸262は、金属パイプ材を主体に構成されたものである。軸262は、図3、図5及び図6に示すように、その左右両端部を後フレーム23の取付ブラケット232に軸受部232aを介して回動可能に支持されている。しかして、座板支持フレーム26の支持フレーム本体261に支持された座板3は、座板支持フレーム26の軸262を介して使用位置(U)と跳ね上げ位置(J)との間で回動し得るようになっている。
【0028】
横架材263は、図2、図3、図5及び図6に示すように、使用位置(U)において前フレーム25に支持されるように構成されている。横架材263は使用位置(U)において、正面視において中央部分を下方に突出させた形状をなしている。換言すれば、横架材263は、使用位置(U)において正面視下方に凸をなす隆起部分を備えたものである。詳述すると、横架材263は、金属パイプ材を主体に構成された隆起部rを有した横架材本体263aと、この横架材本体263aの左右方向中間部位に取り付けられた当接部材263bを備えたものである。横架材本体263aは、正面視において左右方向中間部分が下方に膨出した形状をなしており、この横架材本体263aの膨出部分に樹脂製の当接部材263bが止着具たるねじにより取り付けられている。当接部材263bは、使用位置(U)において前フレーム25に当接するものであり、当接面が形成される下面は、前フレーム25の形状に対応した形状、すなわち前フレーム25のパイプフレーム形状に対応させて凹んだ形状となっている。
【0029】
次いで、メモ台5を支持する座板支持フレーム28について述べる。
【0030】
このメモ台支持フレーム28は、図1〜図6に示すように、前記後フレーム23の右側部に沿う形状を有し、該後フレーム23にその複数箇所を溶接等により固定して取り付けてなり、該後フレーム23の右側端縁を越えてさらに右側に延びる基部281と、この基部281の右端すなわち延出端から前上方に向けて延びる接続部282と、この接続部282の上端すなわち延出端から前方に向けて延びメモ台を回動可能に支持するメモ台支持部283とを備えている。前記接続部282及びメモ台支持部283は、平面視した場合において前方に向かうにつれこの椅子の幅方向中央に向かう傾斜を有する。換言すれば、前方に向かうにつれ座板3に向かう傾斜を有する。また、前記メモ台支持部283は、前方に向かうにつれわずかに上方に向かう傾斜を有する。
【0031】
次に、座板3について詳述する。
【0032】
座板3は、図1〜図6に示すように、板状をなす座板本体31と、この座板本体31の裏面すなわち下面に設けられ座板支持フレーム26と係合させるための部位である図示しない支持フレーム係合部と、座板本体31の上面に設けられたクッション部33とを備えてなるものである。座板本体31及び前記支持フレーム係合部は、樹脂により一体に成形されている。
【0033】
座板本体31は、図1〜図3、図5及び図6に示すように、その前端部分が下方に垂れ下がった形状をなしているとともに、後端部分が上方に反り上がった形状をなしている。この座板本体31における軸262の端部周辺、すなわち、後フレーム23の取付ブラケット232の外側近傍には、図示しない立壁部が設けられ、軸262の近傍に手指等が接近することを回避している。
【0034】
座板3の周縁部、すなわち座板本体31の周縁部は、図2、図3、図5及び図6に示すように、椅子本体2の座板支持フレーム26及びメモ台支持フレーム28以外の構成要素からなる部位と離間するように構成されている。より具体的には、本実施形態に係る椅子1は、使用位置(U)において、座板本体31の周縁部の全域と、椅子本体2の座板支持フレーム26及びメモ台支持フレーム28以外の構成要素からなる部位とが、一定間隔をあけて離間するように構成されており、使用者等の手指や被服が座板3の下面側において挟まれにくいようにしている。前後方向に延びる側フレーム24と座板3の側縁部との間、並びに、側フレーム24と支持フレーム本体261との間は上下方向に離間するように構成されている。
【0035】
背板4は、図1〜図6に示すように、背板本体41と、この背板本体41の左右両側部に一体に設けられた取付部42とを備えたもので、取付部42は、背板本体41の下縁よりも下方に延出させてある。そして、取付部42に形成された下方に開口する取付孔421を背フレーム27に嵌め合わせることによって、背板4を椅子本体2に支持させている。背フレーム27は、その上端が背板本体41の中央部における下縁411とほぼ同一高さ位置に達するまで取付孔421に挿入され固定されている。また、背板本体41は、図5に示すように平面視において中央部が後方に膨出するように湾曲した形状をなしている。
【0036】
メモ台5は、図1〜図6に示すように、板状をなすメモ台本体51と、このメモ台本体51と前記メモ台支持フレーム28との間に介在してこのメモ台本体51を支持するメモ台保持機構52とを備えている。
【0037】
メモ台本体51は、図1及び図4に示すように、使用姿勢(UU)において着座者に近い側の縁部の右側部が着座者側に膨出した概略矩形板状をなし、使用姿勢(UU)において上方を向く面を物品を載置するための載置面51aとしている。また、このメモ台本体51は、その右端部を前記メモ台保持機構52により、図1〜図4に示す使用姿勢(UU)から図5に示す起立姿勢(TT)を経て図6に示す格納姿勢(SS)まで、又はその逆方向に回転可能かつ片持ち的に支持されている。
【0038】
メモ台保持機構52は、図3及び図5〜図8に示すように、メモ台本体51の載置面51aと反対側の面に相対位置を変更不能に取り付けられメモ台支持フレーム28に対して前後移動可能なスライダ部材521と、このスライダ部材521のメモ台本体51に向かう面と反対側の面に相対位置を変更不能に取り付けられ設けられ後述する回転案内規制突起523yに係合することによりメモ台本体51の左右方向に延びる軸周りの回転移動の方向を案内する回転案内溝522aを有する回転案内部材522と、前記スライダ部材521の上下両端縁に設けたガイド溝521xと係合するガイド突起523xを有し前記スライダ部材521を設けたメモ台本体51を前後スライド可能に保持するガイド部材523と、このガイド部材523とメモ台支持フレーム28のメモ台支持部283との間に介在し前記ガイド部材523との間で前記メモ台支持部283を挟持するとともにこのメモ台支持部283の中心軸を回転中心としてその周りに前記メモ台本体51及びガイド部材521を前後方向に延びる軸周りに回転可能に保持する保持部材524と、この保持部材524及び前記メモ台支持部283を被覆するカバー部材525とを備えている。そして、このメモ台保持機構52は、前記メモ台本体51を、前後方向に延びる軸周りに回転させることにより前記使用姿勢(UU)と略鉛直な起立姿勢(TT)との間を移動可能であるとともに、前記起立姿勢(TT)において前記メモ台本体51を左右方向に延びる軸周りに回転させることにより前記起立姿勢(TT)と前記格納姿勢(SS)との間を移動可能に支持する。
【0039】
前記スライダ部材521は、図7及び図8に示すように、メモ台本体51の載置面51aと反対側の面に沿う板状のプレート部521aと、このプレート部521aの互いに対向する1対の端縁にそれぞれ取り付けられその内部に前後方向に延びるガイド溝521xを有するレール部521bとを備えている。このガイド溝521xがガイド部材523のガイド突起523xとを係合することによりこのスライダ部材521の椅子本体2に対するスライド移動の方向、換言すればガイド部材523に対するスライド移動の方向が規制され、ガイド部材523に対してガイド溝521xが延びる方向にのみ移動可能となっている。そして、このスライダ部材521のプレート部521aに、前記回転案内部材522を相対移動不能に取り付けている。
【0040】
前記回転案内部材522は、図7及び図8に示すように、上述したように回転案内規制突起523yを収納可能な回転案内溝522aを有するとともに、その一端縁、より具体的にはメモ台本体51を起立姿勢(TT)とした状態における下端縁を、回転案内規制突起523yと衝き当たることによりメモ台本体51の左右方向に延びる軸周りの回転を規制する規制部522bとしている板状の部材である。さらに詳述すると、メモ台本体51が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端に位置する場合には、図11に示すように、一方の回転案内規制突起523yの上方にこの回転案内部材522の回転案内溝522aが位置するので、メモ台本体51に左右方向に延びる軸周りの回転操作力が加えられた場合には回転が許可される。一方、メモ台本体51が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端以外に位置する場合には、図10に示すように、対をなす回転案内規制突起523yそれぞれの上方にこの回転案内部材522の規制部522bが位置するので、メモ台本体51に左右方向に延びる軸周りの回転操作力が加えられた場合であってもメモ台本体51の回転が規制される。ここで、メモ台本体51が起立姿勢(TT)にありかつスライド範囲の前端に位置する状態から約180度回転移動させると、換言すれば図12に示すようなメモ台本体51を起立姿勢から90度回転させ所定の中間姿勢(CC)にある状態とした後、さらに90度回転させて格納姿勢(SS)とすると、該メモ台本体51の前後位置が最も後方となる。また、メモ台本体51が前記中間姿勢(CC)と格納姿勢(SS)との間に位置する状態では、図13に示すように、回転案内規制突起523yと回転案内溝522aとが係り合ってメモ台本体51のスライド移動が規制される。換言すれば、この回転案内部材522を含むメモ台保持機構52は、メモ台本体51が前記使用姿勢(UU)から前記起立姿勢(TT)を経て前記中間姿勢(CC)に至る領域にある場合にのみメモ台本体51の前後移動が許容されるようにメモ台本体51を保持している。そして、この回転案内部材522を挟んでスライダ部材521と反対側に、ガイド部材523が配されている。
【0041】
ガイド部材523は、図3、図4及び図5の実線に示す位置(可動範囲の前端)と想像線に示す位置(可動範囲の後端)との間でメモ台本体51を前後スライド可能に保持するもので、図7及び図8に示すように、上下両端部に前記スライダ部材521のガイド溝521xと係合するガイド突起523xを有する板状のガイド部材本体523aと、対をなしてこのガイド部材本体523aを挟持する補強板523bとを備えている。具体的には、内側の補強板523bに設けた図示しない雌ねじ孔に外側の補強板523bの外方から雄ねじ部材bを螺着してなる構造を有する。本実施形態では、雄ねじ部材bを、前記補強板523bの中心を挟んで上下に2本ずつ取り付けるようにしている。ここで、この雄ねじ部材bのうち下方に位置するものの頭部を、前記回転案内部材の規制部に当接する回転案内規制突起523yとして機能させている。また、この回転案内規制突起523yのうち1つは、上述したようにメモ台本体51がスライド範囲の前端に位置する場合に回転案内部材522の回転案内溝522xに係合し、メモ台本体51の回転運動の方向を案内する。ここで、このガイド部材523と前記スライダ部材521とが係合した状態で、このガイド部材523の前後両側の空間はそれぞれ前方及び後方に開放されている。そして、このガイド部材523には、ねじ等の固定手段により保持部材524が取り付けられていて、この保持部材524を介してメモ台支持フレーム28に支持されている。
【0042】
保持部材524は、図8に示すように、両端が開放されたループ状をなしその内部にメモ台支持フレーム28のメモ台支持部283を収納する保持部524aと、この保持部524aの両端から相反する方向にそれぞれ延伸しねじ等の固定手段によりガイド部材523に固定して取り付けるための取付部524bとを有する。この保持部材524、前記ガイド部材523、前記回転案内部材522、前記スライダ部材521、及びメモ台本体51は、前後方向に延びる前記メモ台支持部283の中心軸を中心として起立姿勢(TT)となるまで回転移動可能である。
【0043】
そして、同一構造を有する本実施形態の椅子同士を前後方向に重ね合わせた際のメモ台同士の位置関係について図9を参照しつつ以下に説明する。特定の椅子1の前方に位置する他の椅子1’の左右の後脚22は、前記特定の椅子1の前脚21よりも後方に位置し、該特定の椅子1の後脚22の前方に位置する。また、特定の椅子1のメモ台本体51の前端51xは、背板4の右端4xよりも右側、換言すればこの椅子のメモ台及びメモ台支持フレームを除いた部分の幅方向端縁よりも外方に位置する。すなわち、メモ台本体を格納姿勢(SS)とした状態の特定の椅子の前方に、メモ台本体を格納姿勢(SS)とした状態の他の椅子を配した際に、他の椅子の背板は前記特定の椅子のメモ台と干渉することなくメモ台を越えて後方に位置する。さらに、他の椅子のメモ台支持フレームの基端部も前記特定の椅子のメモ台本体の前端を越えて後方に位置する。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態に係る椅子1の構成によれば、椅子1の使用時においては、着座者の体格に応じてメモ台本体51の前後位置を変更することによりメモ台本体51と座板3との間の前後位置を変更可能にしつつ、椅子1の非使用時においては、メモ台本体51を格納姿勢(SS)とし、その前方に同一構成を有する他の椅子1’を配しても、後方に位置する椅子1のメモ台本体51と前方に位置する椅子1’のメモ台本体51とは干渉せず、このような椅子1をネスティングさせて収納スペースに効率よく収納することが可能となるとともに、メモ台本体51の前後位置が変更不可能であるのでネスティングさせた際の椅子1間の距離を一定に保つことができる。
【0045】
また、前記メモ台保持機構52が、前記メモ台本体51が格納姿勢(SS)をとる際に該メモ台本体51の前後方向位置が最も後方となるので、このような椅子1をネスティングさせた状態で収納するに際して、限られた収納スペースにより多くの椅子1を収納することができる。
【0046】
さらに、前記メモ台保持機構52が、前記メモ台本体51を前後方向に延びる軸周りに回転させることにより前記使用姿勢(UU)と前記起立姿勢(TT)との間を移動可能であるとともに、起立姿勢(TT)において前記メモ台本体51を左右方向に延びる軸周りに回転させることにより前記起立姿勢(TT)と前記格納姿勢(SS)との間を移動可能に支持し、該メモ台本体51がスライド可能範囲の前端に位置する場合にのみ該メモ台本体51を格納姿勢(SS)に移動させることが可能に前記メモ台保持機構52を構成しているので、このような椅子1をネスティングさせた状態で収納するに際して、椅子1間の距離を一体に保つようにすることができる。
【0047】
さらに、前記メモ台本体51が、前記使用姿勢(UU)から板面が略鉛直な起立姿勢(TT)を経て前記格納姿勢(SS)へ移動可能であるものであって、前記メモ台本体51が使用姿勢(UU)と起立姿勢(TT)との間の姿勢をとり、
加えて、座板3及び該座板3を支持する座板支持フレーム2を有するものであって、前記メモ台本体51と前記メモ台支持フレーム28とが互いにスライド移動可能であり、前記メモ台本体51が前記使用姿勢(UU)から前記起立姿勢(TT)の間、又は前記起立姿勢(TT)と前記中間姿勢(CC)との間の領域にある場合にのみメモ台本体51のスライドを許容するように前記メモ台保持機構52を構成しているので、簡単な構成でメモ台本体51の椅子本体2に対する前後方向位置を変更できる。
【0048】
その上、前記椅子本体2が、左右一対の脚部2Aと、対をなす脚部2A間を接続する後フレーム23とを備え、先端において前記メモ台本体51を支持するメモ台支持フレーム28の基端部281を前記後フレーム23に固定してなるので、このような椅子1のメモ台本体51を安定してメモ台支持フレーム28に保持させることができる。
【0049】
そして、前記メモ台保持機構52が、メモ台本体51側に配してなるスライダ521と、メモ台支持フレーム28側に配してなりこのスライダ521の移動方向を案内する案内部材たるガイド部材523とを係り合わせてなる案内部を有するものにおいて、このスライダ521の前方及び後方を開放させているので、スライダ521とガイド部材523との間で指を挟む不具合の発生を有効に抑制することができる。
【0050】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、前記メモ台本体が格納姿勢をとる際に該メモ台本体の前後位置が最も後方となるように該メモ台本体を保持するようにメモ台保持機構を構成しているが、メモ台本体をそれ以外の位置に保持するようにメモ台保持機構を構成してもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、前記メモ台本体が使用姿勢又は起立姿勢をとる際に該メモ台本体が可動範囲の前端に位置する場合にのみ該メモ台本体を格納姿勢に移動させることが可能に前記メモ台保持機構を構成しているが、メモ台本体の前後方向位置に関わらず該メモ台本体を格納姿勢に移動させることが可能なメモ台保持機構を採用してもよい。この場合、メモ台本体を格納姿勢とした後メモ台本体を後方に移動させ、可動範囲の後端にメモ台本体が達した場合にメモ台本体をこの位置に保持するための機構を別途設けるとよい。
【0053】
一方、上述した実施形態では、メモ台本体が使用姿勢から前記起立姿勢を経て該起立姿勢と前記格納姿勢との間の所定の中間姿勢に至る領域にある場合にのみメモ台本体のスライドが許容されるようにメモ台保持機構を構成しているが、メモ台本体が起立姿勢と中間姿勢との間の領域にある場合にはメモ台本体のスライドを許容しないようにメモ台保持機構を構成してももちろんよい。さらに、上述した実施形態では起立姿勢からメモ台本体を90度回転させた状態を中間姿勢としているが、メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に向けて0度以上90度未満の範囲の所定の角度回転させた状態を中間姿勢としてももちろんよい。
【0054】
さらに、上述した実施形態では、前記メモ台本体と前記椅子本体に固定したメモ台支持フレームとを互いにスライド移動可能に構成しているが、メモ台本体とメモ台支持フレームとの間に介在させてなりメモ台本体を前後方向移動可能に支持するリンク機構等を利用してメモ台保持機構を形成してもよい。
【0055】
加えて、メモ台支持フレームの取付態様は、上述した実施形態のような椅子本体の構成要素である横架材に基端部を溶接等により固定する態様に限らず、例えば、肘掛けと、先端において肘掛けを支持する肘掛け支持フレームとを有する椅子であれば、この肘掛け支持フレームに溶接やねじ止めなどの方法により固定する態様が考えられる。
【0056】
そして、上述した実施形態では、メモ台本体側に配してなるスライダと、メモ台支持フレーム側に配してなりこのスライダの移動方向を案内するガイド部材とを係り合わせてなる案内部を有し、この案内部の前方及び後方を開放させている態様を採用しているが、これに限らず、スライダ及びガイド部材を被覆するスライダカバー部材を設ける等、他の手段によりメモ台本体のスライド移動の際に指を挟む不具合の発生を抑制するようにしてもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0058】
1、1’…椅子
5…メモ台
51…メモ台本体
52…メモ台保持機構
UU…使用姿勢
SS…格納姿勢
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一構造をなす他の椅子と前後方向にネスティングし得るように構成されている椅子であって、
板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢をとることが可能なメモ台本体と、前記メモ台本体が使用姿勢をとる場合に該メモ台本体を前後移動可能かつ前記メモ台本体が格納姿勢をとる場合に該メモ台本体を前後移動不能に支持しているとともに、前記メモ台本体が格納姿勢をとり前方に位置する同一構造をなす他の椅子とネスティングさせた場合に該メモ台本体が前方に位置する同一構造をなす他の椅子のメモ台本体と干渉しない状態に保持するメモ台保持機構とを備えたメモ台を具備することを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記メモ台保持機構が、前記メモ台本体が格納姿勢をとる際に該メモ台本体の前後位置が最も後方となるように該メモ台本体を保持するものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記メモ台保持機構が、前記メモ台本体を前後方向に延びる軸周りに回転させることにより前記使用姿勢と略鉛直な起立姿勢との間を移動可能であるとともに、起立姿勢において前記メモ台本体を左右方向に延びる軸周りに回転させることにより前記起立姿勢と前記格納姿勢との間を移動可能に支持するものであって、該メモ台本体が特定の前後位置をとる場合にのみ該メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移動させることを可能に前記メモ台保持機構を構成している請求項1又は2記載の椅子。
【請求項4】
座板及び該座板を支持する座板支持フレームを有した椅子本体を具備するものであって、前記メモ台本体と前記椅子本体に固定したメモ台支持フレームとが互いにスライド移動可能であり、前記メモ台本体が前記使用姿勢から前記起立姿勢に至る領域、又は使用姿勢から前記起立姿勢を経て該起立姿勢と前記格納姿勢との間の所定の中間姿勢に至る領域にある場合にのみメモ台本体のスライドを許容するように前記メモ台保持機構を構成している請求項3記載の椅子。
【請求項5】
座板と該座板を支持する椅子本体とを具備するものであって、前記椅子本体が、左右一対の脚部と、対をなす脚部間を接続する横架材とを備え、先端において前記メモ台本体を支持するメモ台支持フレームの基端部を前記横架材に固定してなる請求項1、2、3又は4記載の椅子。
【請求項6】
前記メモ台保持機構が、メモ台本体側に配してなるスライダと、メモ台支持フレーム側に配してなりこのスライダの移動方向を案内するガイド部材とを係り合わせてなる案内部を有するものであって、この案内部の前方及び後方を開放させている請求項1、2、3、4又は5記載の椅子。
【請求項1】
同一構造をなす他の椅子と前後方向にネスティングし得るように構成されている椅子であって、
板面が略水平な使用姿勢及び板面が略鉛直な格納姿勢をとることが可能なメモ台本体と、前記メモ台本体が使用姿勢をとる場合に該メモ台本体を前後移動可能かつ前記メモ台本体が格納姿勢をとる場合に該メモ台本体を前後移動不能に支持しているとともに、前記メモ台本体が格納姿勢をとり前方に位置する同一構造をなす他の椅子とネスティングさせた場合に該メモ台本体が前方に位置する同一構造をなす他の椅子のメモ台本体と干渉しない状態に保持するメモ台保持機構とを備えたメモ台を具備することを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記メモ台保持機構が、前記メモ台本体が格納姿勢をとる際に該メモ台本体の前後位置が最も後方となるように該メモ台本体を保持するものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記メモ台保持機構が、前記メモ台本体を前後方向に延びる軸周りに回転させることにより前記使用姿勢と略鉛直な起立姿勢との間を移動可能であるとともに、起立姿勢において前記メモ台本体を左右方向に延びる軸周りに回転させることにより前記起立姿勢と前記格納姿勢との間を移動可能に支持するものであって、該メモ台本体が特定の前後位置をとる場合にのみ該メモ台本体を起立姿勢から格納姿勢に移動させることを可能に前記メモ台保持機構を構成している請求項1又は2記載の椅子。
【請求項4】
座板及び該座板を支持する座板支持フレームを有した椅子本体を具備するものであって、前記メモ台本体と前記椅子本体に固定したメモ台支持フレームとが互いにスライド移動可能であり、前記メモ台本体が前記使用姿勢から前記起立姿勢に至る領域、又は使用姿勢から前記起立姿勢を経て該起立姿勢と前記格納姿勢との間の所定の中間姿勢に至る領域にある場合にのみメモ台本体のスライドを許容するように前記メモ台保持機構を構成している請求項3記載の椅子。
【請求項5】
座板と該座板を支持する椅子本体とを具備するものであって、前記椅子本体が、左右一対の脚部と、対をなす脚部間を接続する横架材とを備え、先端において前記メモ台本体を支持するメモ台支持フレームの基端部を前記横架材に固定してなる請求項1、2、3又は4記載の椅子。
【請求項6】
前記メモ台保持機構が、メモ台本体側に配してなるスライダと、メモ台支持フレーム側に配してなりこのスライダの移動方向を案内するガイド部材とを係り合わせてなる案内部を有するものであって、この案内部の前方及び後方を開放させている請求項1、2、3、4又は5記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−27493(P2013−27493A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164844(P2011−164844)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
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