説明

植栽マットとその製作方法、および緑化駐車場

【課題】緑化対象エリアに障害物が存在する場合であっても、植栽効率に優れ、可及的安価な工費で緑化を図ることのできる植栽マットとその製作方法、さらには、この植栽マットを使用してなる緑化駐車場を提供する。
【解決手段】植栽が設けられた植栽マット1であって、この植栽マット1は、設置エリアに存在する障害物(たとえば緑化駐車場10において車両重量を支持するブロックBL)に対応する箇所において該障害物と同一もしくは略同一の平面形状でくり貫かれたくり貫き部1bを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植栽マットとその製作方法、さらには、2以上の植栽マットが並べられて形成される緑化駐車場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の防止やヒートアイランド対策などの環境保全が叫ばれる中で、ビルやマンション等の屋上、道路や駐車場、法面などに植栽を施す緑化対策が盛んにおこなわれている。
【0003】
緑化対策は、その対象エリアの現場状況(高層エリアと地上もしくは低層エリアの相違、広範なエリアと狭隘なエリアの相違、障害物の有無やその基数など)や気象条件(雨量の相違、通年もしくは1日の寒暖の程度や寒暖差などの相違、降雪の有無など)に応じて多岐に亘っている。
【0004】
ところで、緑化対策の施工性の観点で見るに、緑化対象エリアに多数の障害物が存在する場合であって、この障害物を動かすことができない場合、たとえば、障害物が舗道の樹木であったり、ビルの屋上の採光施設や電波受信施設であったり、緑化駐車場で車両重量を支持するブロックであるといった場合には、たとえば一定面積の植栽マットを現地に搬送し、障害物を回避するようにして植栽マットの所定箇所を障害物の大きさに切断等して対象エリアに設置する必要がある。
【0005】
この施工方法では、多数の障害物が存在する場合や障害物の形状が複雑な場合、対象エリアが広範囲に及ぶ場合において特に施工性が悪く、緑化施工が長期に及ぶことは理解に易い。
【0006】
ここで従来の公開技術に目を転じるに、特許文献1では、帯状に製作された植栽マットが開示されている。植栽マットが帯状を呈していることから、現場にて植栽マットを適正サイズにカットする必要がなくなり、施工性を向上できるというものである。
【0007】
しかしながら、帯状の植栽マットとしただけでは、実際の緑化対象エリアにおいて植栽マットを設置する以外の作業、たとえば、障害物を回避するように切断等する作業を解消するのは困難である。すなわち、実際の緑化対象エリアでは、部分的に障害物が点在するのが一般的であり、これらの障害物を回避しながら面的に植栽マットを設置する必要がある。そのため、単に帯状であるに過ぎない植栽マットでは、障害物を回避するようにたとえばその周囲に帯状の植栽マットを設置した際に、必ずその端部を現場にて切断する作業が生じる。
【0008】
あるいは、緑化駐車場の車両重量支持用のブロックのように、多数のブロックが一定間隔に点在し、これらのブロック間の隙間に植栽マットを設置するような場合には、たとえば各列に帯状の植栽マットを設置し、各列間の短い隙間(残りの格子状の隙間)に対応する長さに帯状の植栽マットを切断して設置する等の作業が生じる。
【0009】
この緑化駐車場に関してさらに言及するに、上記するように間隔をおいて多数のブロックが縦横に配設され(より具体的には、間隔を置いて複数のブロックが設けられたトレイが複数並べられる結果、間隔をおいて多数のブロックが縦横に配設されることになる)、多数のブロック間に芝やタマリュウ、タイムなどの植物を植栽する実施の形態を考える。
【0010】
まず、芝を植栽する場合は、マット状の芝をスリット状に切断し、ブロック間の隙間にこれを植栽し、残りの格子状の隙間にはさらに四角形状にマット芝を切断して植栽することになる。
【0011】
一方、タマリュウを植栽する場合は、ブロック間の隙間にタマリュウの苗を2、3株植栽したり、格子状に仕切り板を設置した植栽トレイにマット状にタマリュウを生育しておき、植栽の際に格子状の植栽トレイからタマリュウを抜き取って植栽することになる。
【0012】
また、タイムを植栽する場合は、個々のポットに植えてあるタイムの苗をそれぞれ取り出して植栽したり、植栽トレイにマット状にタイムを生育しておき、植栽の際に植栽トレイからタイムを短冊状に切り取って植栽することになる。
【0013】
上記するように、以上で挙げた植物の植栽においては、いずれの場合も現地で実際の障害物の状況に合わせて植栽マットの切断を要するなど、植栽に多くの時間を必要とし、これが緑化対策のコストアップに繋がることから、施工性を向上させる必要があるという課題は依然として残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−226973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、緑化対象エリアに障害物が存在する場合であっても、植栽効率に優れ、可及的安価な工費で緑化を図ることのできる植栽マットとその製作方法、さらには、この植栽マットを使用してなる緑化駐車場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成すべく、本発明による植栽マットは、植栽が設けられた植栽マットであって、前記植栽マットは、設置エリアに存在する障害物に対応する箇所において該障害物と同一もしくは略同一の平面形状でくり貫かれたくり貫き部を備えているものである。
【0017】
ここで、「植栽マット」とは、マット状の土層に適宜の植物が植栽されたものであり、たとえば植栽マット製作用トレイ上で植栽マットを製作し、これを現地に搬送してトレイから植栽マットを取り出して対象エリアに設置できるものである。また、ここでいう「植栽」とは、土層に植物の種子を蒔いて、もしくは苗を植えて育成することや、既に成長している、もしくは成長しきっている植物を土層に移植してそれが枯れないように管理することなどを含む広範な意味を有するものである。
【0018】
植栽対象の植物は特に限定されるものでないが、例えば、芝草類(コウライ芝、タマリュウなど)、低木類(ツツジ、フツキソウなど)、ツル類(キヅタ、スイカズラなど)、ササ類、草本類(アジュガ、タマリュウなど)、シダ類(イワヒバなど)、タイムなどを挙げることができる。
【0019】
たとえば芝などは、マット状の土層で植栽されて土層内で根が張り、絡み合うことによって変形自在でかつ型崩れが抑制されたマットとなり得る。
【0020】
本発明の植栽マットは、これが設置される設置エリアにおいて、機能上、作用上の理由などから動かすことのできない障害物が存在する設置エリアへの適用を前提としており、植栽マットが設置エリアに設置される際に、そこに存在する単数もしくは2以上の障害物に対応する箇所に該障害物と同一もしくは略同一の平面形状でくり貫かれたくり貫き部を備えていることを特徴としている。ここで、「同一もしくは略同一の平面形状」とは、平面形状と平面寸法が同一のものや、障害物よりも平面寸法が若干大きくて平面形状も同じに近いものなどを意味している。
【0021】
たとえば、所定寸法で平面視方形の障害物(平面視形状は、円形、楕円形、多角形など、任意の形状がある)が一定間隔で縦横に複数存在する場合には、これらの障害物に対応する位置に障害物と同一の形状(寸法を含む)もしくは障害物と同程度の形状で若干大きな寸法を有するくり貫き部が障害物と同じピッチで設けられた植栽マットとなる。
【0022】
そして、設置エリアは一般にある程度広範な面積を有することから、ここには作業員が搬送可能な平面規模に製作された植栽マットが敷き詰めて並べられることで広範な面積の緑化をおこなうことになる。
【0023】
そして、この場合には、各植栽マットの有するくり貫き部を設置エリアに存在する障害物が貫通するようにして植栽マットが設置される。
【0024】
この植栽マットが設置される緑化対象は、ビルやマンション等の屋上(屋上緑化)、道路や駐車場(緑化駐車場)、切土や盛土の法面(法面緑化)などが挙げられる。
【0025】
このように、植栽マットの製作工場や出荷元において、予め設置エリアの障害物を回避するようにくり貫き部が設けられた植栽マットを現地に搬送して使用することによって、設置エリアでは従来技術のように植栽マットを現地の障害物の状況に合わせて切断等する作業が一切不要となり、植栽マットの設置効率は格段に高くなり、緑化施工に要する時間は極めて短時間となる。
【0026】
また、本発明は、上記する植栽マットを具備する緑化駐車場にも及ぶものであり、前記設置エリアは駐車場であり、前記障害物は駐車場スペースに設置されて車両重量を支持するブロックであって、2以上の前記植栽マットが駐車場に並べられて形成されるものである。
【0027】
ここで、車両重量を支持する「ブロック」とは、駐車場をなす平地に直接載置されるベースと、このベースから立ち上がるブロックとからなるトレイを構成するブロックを意味している。このブロックを含むトレイは、可及的に軽量でかつ一つのブロックが負担する車両重量で壊れない剛性を備えた素材や形状形態であるのが好ましく、たとえばプラスチック素材からなり、ブロックとベースの接合部には必要に応じて補強リブなどが具備されたトレイを挙げることができる。
【0028】
緑化駐車場の施工に当たっては、複数のブロックが縦横に所定のピッチでベース上に配設され、かつ作業員が搬送できる程度の平面規模のトレイを、広範な駐車場の平地の上に順次敷き詰めた後に、既述する植栽マットの複数のくり貫き部をそれぞれが対応するブロックに通すようにして各植栽マットを順次敷き並べることによって緑化駐車場が形成される。
【0029】
本発明者等の実証試験によれば、現地にて障害物に相当するブロックに応じて植栽マットを切断し、ブロックを回避するようにして植栽マットを並べて緑化駐車場を形成する方法に比して、本発明の緑化駐車場は予め植栽マットに形成されているくり貫き部にブロックを通しながら設置するだけの単純な作業で形成できることから、緑化駐車場施工の特に植栽マット設置時間は格段に短くなることが実証されている。
【0030】
また、本発明は植栽マットの製作方法にも及ぶものであり、この製作方法は、植栽マット製作用トレイ上において、くり貫き部に相当する箇所にスペーサを配しておき、該スペーサ以外の箇所で植栽が設けられ、くり貫き部を有する植栽マットを植栽マット製作用トレイから取り出して前記植栽マットが製作されるものである。
【0031】
この製作方法は、植栽マット製作用トレイ上において、くり貫き部に相当する箇所に該くり貫き部と同一もしくは略同一の平面形状のスペーサを配しておいて植栽をおこなう(たとえば植物を育成させる)ことにより、障害物に対応する箇所に植栽の存在しない植栽マットを製作するものである。
【0032】
また、別の製作方法としては、植栽マット製作用トレイ上に植栽を設け、くり貫き部を具備しない植栽マットを植栽マット製作用トレイから取り出し、くり貫き部に相当する箇所を切断して前記植栽マットが製作される方法もある。
【0033】
この切断方法としては、障害物と同一もしくは略同一の平面形状(寸法を含む)を有した切断刃を備えた打ち抜き機を使用して、一枚の植栽マットに対して一度の打ち抜きで障害物の平面形状とピッチに対応した複数のくり貫き部を形成する方法を挙げることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上の説明から理解できるように、本発明の植栽マットによれば、予め設置エリアの障害物を回避するようにくり貫き部が設けられていることにより、設置エリアでは植栽マットを現地の障害物の状況に合わせて切断等する作業が一切不要となり、現地における設置効率は格段に高くなり、緑化施工に要する時間は極めて短時間となり、結果として施工コストの大幅な削減に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)は緑化駐車場を構成するトレイの平面図であり、(b)は図1aのb−b矢視図である。
【図2】(a)、(b)、(c)はいずれも、本発明の植栽マットの実施の形態の平面図である。
【図3】(a)は図2aで示す形態の植栽マットにおけるIIIa−IIIa矢視図であり、(b)は図2aで示す形態の植栽マットにおけるIIIb−IIIb矢視図である。
【図4】(a)は図1aに対応する図であって、トレイ上に植栽マットが設置されてなる緑化駐車場の平面図であり、(b)は図1bに対応する図であって、図4aのb−b矢視図である。
【図5】(a),(b),(c)の順に植栽マットの製作方法の一実施の形態を説明したフロー図である。
【図6】(a),(b),(c)の順に植栽マットの製作方法の他の実施の形態を説明したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例は、緑化対象として駐車場を取り上げ、植栽マットにて形成される緑化駐車場を示すものであるが、緑化対象は図示例以外にも、屋上緑化や法面緑化などであってもよいことは勿論のことである。また、緑化対象に応じて障害物やその形状、寸法、障害物間のピッチなどが適宜変化することになる。
【0037】
(植栽マットと緑化駐車場)
以下、植栽マットの実施の形態を説明するとともに、これを使用して形成される緑化駐車場の実施の形態を説明する。ここで、図1aは緑化駐車場を構成するトレイの平面図であり、図1bは図1aのb−b矢視図である。また、図2a、b、cはいずれも、本発明の植栽マットの実施の形態の平面図であり、図3aは図2aで示す形態の植栽マットにおけるIIIa−IIIa矢視図であり、図3bは図2aで示す形態の植栽マットにおけるIIIb−IIIb矢視図である。さらに、図4aは図1aに対応する図であって、トレイ上に植栽マットが設置されてなる緑化駐車場の平面図であり、図4bは図1bに対応する図であって、図4aのb−b矢視図である。
【0038】
図1で示す駐車場用トレイTは、ベースBS上に、平面視正方形(各辺の長さがa)のブロックBLが縦横にピッチbの隙間Sを隔てて立設して構成されており、一つのトレイTは8つのブロックBLを2行4列に備えたものである。なお、ブロックの平面視形状は図示例以外にも、長方形、円形、楕円形などの多様な形状形態が存在し、ピッチも部位ごとに異なるものであってもよい。さらに、ブロックBLには、適宜の通気孔が設けてあってもよい。
【0039】
駐車場用トレイTは、可及的に軽量であって、かつ一つのブロックBLが負担する車両重量で該ブロックBLが壊れない剛性を備えた素材や形状形態であるのが好ましく、たとえばプラスチック素材からなり、ブロックBLとベースBSの接合部には必要に応じて不図示の補強リブなどが具備されたトレイを挙げることができる。
【0040】
緑化駐車場用の現地エリアの平地上に、図1で示すように複数の駐車場用トレイTを敷き並べたら、次に、このトレイT上に植栽マットを設置する。
【0041】
ここで、植栽マットは、たとえば図2a〜cで示すように多様な形態のものがあるが、いずれの形態の植栽マット1,1A,1Bも、平面状の植栽マットの一部がくり貫かれたくり貫き部1bと、くり貫き部1b以外の植栽部1aとから構成されており、くり貫き部1bのくり貫き形態によって植栽マットの実施の形態が異なっている。
【0042】
植栽マット1,1A,1Bに設けられた複数のくり貫き部1bは、適宜の植栽マットがトレイT上に設置された際に、それぞれに対応するブロックBLが貫通するように、ブロックBLと同一の平面形状および寸法、もしくはブロックBLよりも若干大きな寸法でほぼ同一の平面形状に形成されている。
【0043】
実際には、面的に広がる駐車場用トレイに対して、図2a〜cの植栽マット1,1A,1Bもしくは図示例以外の形態の植栽マットを適宜組み合わせて緑化駐車場の全体が形成されることになる。
【0044】
図3を参照し、図2aの植栽マット1を取り上げてその構成を概説すると、植栽マット1は、土層2に適宜の植物3が植栽されて構成されており、図示するように植物の根が土層2内で絡み合うことでマットとして型崩れしない程度の剛性を有したものとなっている。
【0045】
土層2上で植栽される植物3としては、芝草類(コウライ芝、タマリュウなど)、低木類(ツツジ、フツキソウなど)、ツル類(キヅタ、スイカズラなど)、ササ類、草本類(アジュガ、タマリュウなど)、シダ類(イワヒバなど)、タイムなどを挙げることができる。
【0046】
また、植栽マット1においては、土層2に植物3の種子を蒔いて、もしくは苗を植えて育成させたものや、既に成長している、もしくは成長しきっている植物3を土層に移植されたものなどがある。
【0047】
図4は、図2cで示す植栽マット1Bを使用して、駐車場用トレイT上に複数の植栽マット1Bを並べて形成された緑化駐車場10を示したものである。
【0048】
各植栽マット1Bは、トレイTの各ブロックBLに対応する位置にくり貫き部1bを有していることから、植栽マット1Bの設置に際しては、植栽マットを現地の状況(各ブロックBLの平面寸法やブロックBL間の隙間S)に合わせて切断等する作業が一切不要となり、各ブロックBLを対応するくり貫き部1bにはめ込みながら植栽マット1Bを単に設置していくだけでよい。したがって、現地における設置効率は格段に高くなり、緑化施工に要する時間は極めて短時間となり、植栽マットの設置に要する施工コストを大幅に削減することができる。
【0049】
(植栽マットの製作方法)
図5,6はともに、植栽マットの製作方法の実施の形態を示したものであり、各図ともに、(a)〜(c)の順で製作方法のフロー図となっている。
【0050】
図5で示す製作方法の実施の形態においては、まず、生育用トレイT’を用意し、そのうちのブロックBLに対応する位置にブロックBLと同一の形状および寸法(もしくはそれに近い形状および寸法)のスペーサSPを配設しておき、トレイT’のそれ以外の領域に土層2を敷き詰める。
【0051】
次いで、土層2に植物の種を蒔き、もしくは植物の苗を植えて生育し、土層2上で植物3を成長させ、植栽マットの設置に好適な植栽状態とする。この好適な植栽状態とは、植物の外観上の成長は勿論のこと、土層2内で根が成長して相互に絡み合い、このことによってマットとして型崩れしない程度の剛性が付与された状態のことである。なお、既に成長しきった植物を移植する場合には、時間を要することなく図5aから図5bに移行することができる。
【0052】
最後に生育用トレイT’から植栽マット1を取り外すことにより、図5cで示すように植栽マット1が製作される。
【0053】
この製作方法では、生育用トレイT’の平面寸法やスペーサSPの平面形状(寸法を含む)、スペーサSPの基数やスペーサSP間のピッチを適宜調整することによって、適宜の形状および寸法のくり貫き部1bが適宜のピッチで設けられ、適宜の全体的な平面寸法を備えた植栽マット1を製作することができる。
【0054】
一方、図6で示す製作方法の実施の形態では、まず、図6aで示すように、生育用トレイT’上にスペーサを設置することなく、土層2を満遍なく敷き詰め、その上で植物を成長させて植栽マットの設置に好適な植栽状態とする。
【0055】
次いで、生育用トレイT’から取り外した植栽マットを図6bで示すように打ち抜き機Pに載置し、形成されるべき形状および寸法で、かつピッチを有するくり貫き部1bに対応した切断刃Cをプレスすることにより(X方向)、図6cで示すように植栽マット1が製作される。
【0056】
「緑化駐車場施工のうち、植栽マットの設置に要する時間を検証した実験とその結果」
本発明者等は、幅2.5m、長さ5mで乗用車1台当たりの平面積の駐車場を対象として、駐車場用トレイを構成するブロックが正方形で各辺が70mm、ブロック間ピッチも70mmの多数のトレイを敷き並べ、このトレイに対して、従来の植栽マットの設置方法、すなわち、現地にてブロックを回避するように植栽マットを切断しながら設置する方法(比較例)と、上記する本発明の植栽マットを使用し、具体的には2〜3種類の植栽マットを合計60枚使用して単にトレイ上に設置するだけの方法(実施例)でそれぞれ乗用車1台の平面相当の緑化駐車場を試作し、それぞれの施工の際に要した時間を測定した。
【0057】
測定の結果、比較例の施工方法では82分を要し、実施例の施工方法では3分程度で植栽マットの設置作業が全て完了した。このことから、本発明の植栽マットを使用して緑化駐車場を施工することにより、植栽マットの設置に要する時間は1/25〜1/30程度に大幅に短縮されることが実証された。
【0058】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1,1A,1B…植栽マット、1a…植栽部、1b…くり貫き部、2…土層、3…植物、10…緑化駐車場、T…駐車場用トレイ、BS…ベース、BL…ブロック、S…隙間、T’…生育用トレイ、P…打ち抜き機、C…切断刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植栽が設けられた植栽マットであって、
前記植栽マットは、設置エリアに存在する障害物に対応する箇所において該障害物と同一もしくは略同一の平面形状でくり貫かれたくり貫き部を備えている植栽マット。
【請求項2】
2以上の障害物に対応する2以上のくり貫き部を備えている請求項1に記載の植栽マット。
【請求項3】
前記設置エリアは駐車場であり、前記障害物は駐車場スペースに設置されて車両重量を支持するブロックであって、2以上の請求項1または2に記載の植栽マットが駐車場に並べられて形成される緑化駐車場。
【請求項4】
植栽マット製作用トレイ上において、くり貫き部に相当する箇所にスペーサを配しておき、該スペーサ以外の箇所で植栽が設けられ、くり貫き部を有する植栽マットを植栽マット製作用トレイから取り出して請求項1または2に記載の植栽マットが製作される植栽マットの製作方法。
【請求項5】
植栽マット製作用トレイ上に植栽を設け、くり貫き部を具備しない植栽マットを植栽マット製作用トレイから取り出し、くり貫き部に相当する箇所を切断して請求項1または2に記載の植栽マットが製作される植栽マットの製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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