説明

植物の成長を改善する方法

植物の成長を改善する方法であり、植物、植物育苗材料、又はその育成場所(locus)に、
(a)ポリマー殻;及び
(b)分散性固体有効成分化合物を含むコアであり、ここでその化合物が、ネオニコチノイド、フィプロニル、ストロビルリン、カルボキシン、アシベンゾラル-S-メチル、及びプロベナゾール中の1種以上の化合物である、前記コア
を含む微小カプセルを含む製品を含む組成物を適用することを含む、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の成長を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの種類の化合物及び薬剤は、植物の成長を改善及び/又は補助、例えば植物の養分の吸収及び/又は輸送を向上するものとして知られている。
【0003】
例えば、WO0126468、WO02051246、及びWO03096811は、植物の成長を改善するためのある種の農薬化合物を記載する。これらの化合物は、殺虫剤特性に加えてこれらの特性を示すことが記載されている。
【0004】
植物の成長の改善は、発芽、根の成長及び構築、ストレス要因、例えば極端な温度又は塩に対する耐性、並びに栄養分の吸収等に影響する多くの既知の機構を通じて達成され得る。
【0005】
更に、US2005164882、WO2005009128、WO2006015697、WO06133827、及びWO06131222は、植物において除草剤により引き起こされる光毒性を減少させる能力、及びストレス耐性を亢進させる能力等の、植物にそのような化合物を使用することの長所を記載する。
【0006】
従って、そのような化合物の殺虫剤としてのみならず、植物の成長を改善する、特にその植物に害虫又は病原体の圧力(pressure)が無い状態でこれを改善する特性を更に改善するべき方法が模索される。畑作及び成長過程の植物への化学処理の量の減少を補助することが可能であり;安全かつ簡便に使用され;農業従事者、並びに周囲の土地及び水、及び標的ではない植物及び動物への曝露を減少して実行することが可能であれば、それらの方法は特に有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
出願人は、植物の成長を改善することが知れる化合物と組み合わせられた所定の微小カプセル技術が、それらの化合物の特性の予期せぬ亢進を提供することを見出した。
【0008】
従って、本発明の第一の側面は、植物の成長を改善する方法であり、植物、植物育苗材料、又はその育成場所(locus)に、
(a)ポリマー殻;及び
(b)分散性固体有効成分化合物を含むコアであり、ここでその化合物が、ネオニコチノイド、フィプロニル、ストロビルリン、カルボキシン、アシベンゾラル-S-メチル、及びプロベナゾール中の1種以上の化合物である、前記コア;
を含む微小カプセルを含む製品を含む組成物を適用することを含む、前記方法を提供する。
【0009】
好ましい態様において、前記コアは、(i)マトリックス中に分散している固体有効成分化合物、並びに(ii)前記マトリックスが全体に非連続的に分布している点において特徴付けられる水に混和しない液体を含み;ここで、前記有効成分化合物は、ネオニコチノイド、フィプロニル、ストロビルリン、カルボキシン、アシベンゾラル-S-メチル、及びプロベナゾール中の1種以上の化合物である。
【0010】
微小カプセル技術は、かなり以前から存在していた。微小カプセルは多くの用途を有し、特に色素、インク、化学薬品、医薬、香料、更にとりわけ農薬、即ち殺真菌剤、殺微生物剤、殺昆虫剤、除草剤等を含有させるのに利用される。
【0011】
農薬の微小カプセル製剤は、作物の保護及び製品の販売経路(professional product outlet)のいずれにおいても、広範な適用に活用され得て、更に葉面への噴霧、土壌への適用、及び種子の処理等、多様な方法により適用され得る。
【0012】
商業的使用において、農薬製品は、土壌からの流出及び浸出(地下水の汚染をもたらす場合がある)、耐雨性及び種子からの洗脱を含む(有効成分が水溶性である場合、特にそのような損失の影響を受けやすい)、その製剤の効率の低下を引き起こす様々な環境因子の影響下にある。
【0013】
本発明の第一の側面において定義された微小カプセルは、その第一の側面において定義された有効成分化合物の特性、特に植物の成長の改善、とりわけその植物に害虫又は病原体の圧力が無い状態におけるその改善に関連する特性を改善するのに有用である。前記第一の側面で定義された微小カプセルは、前記有効成分化合物を調整放出するために提供され、これにより前記第一の側面において定義された有効成分化合物が、多量の降雨又は過剰な灌漑により水を多く含む土壌中に放出されるのを調整する。また、更なる長所は、そのような微小カプセルを含む製品は、多量の降雨又は灌漑により下方の土壌にそのような有効成分化合物が浸出する量を減少させる場合もあることである。
【0014】
幾つかの技術は、微小カプセルの生産において有用であるとして周知である(例えば、"Controlled Delivery of Crop Protection Agents", pub. Taylor and Francis, London 1990の第4章に記載される)。農薬のカプセル化に特に有用な技術の一例として対面重合が挙げられ、ここで、微小カプセルの壁面は、2つの相、通常は水相及び水に混和しない有機相との間の接触面で好ましくは引き起こされる重合反応により生産されるポリマー材料から一般に形成される。従って、それらは油中水(water-in-oil)乳濁物又はより一般的には水中油(oil-in-water)乳濁物から生産されたものであり得る。
【0015】
有機相において、有機溶媒中の固体生物活性化合物の懸濁物、又は液体生物活性化合物を含む微小カプセルが知られている。(例えば、特許文献WO 95/13698、EP 0730406、US 5993842、US 6015571、及びWO 01/68234に記載される。これらの内容は全て、本明細書中に参照により援用される)。
【0016】
水溶性の生物活性化合物の微小カプセル化のプロセスも知られているが、これらの場合、その生物活性化合物は、一般に、カプセル化の前に、水又は水に混和する溶媒中に溶解される。
【0017】
本発明において、実質的に水に混和しない相内に分散している前記第一の側面において定義される有効成分化合物(その相内において、少なくとも部分的に固体であり、かつ微小カプセル全体に分布している(非連続的)マトリックス内に、前記第一の側面において定義される有効成分化合物が分散している)をカプセル化することが可能であることが見出された。
【0018】
特定の一つの態様において、前記(非連続的)マトリックスは、その内部の油中に前記第一の側面で記載した有効成分化合物が分散している、水中油乳濁物の対面重合を経て形成される。驚くべきことに、前記対面重合を実行すると、ポリマー(非連続的)マトリックスの形成が、従来の当該技術分野で通常論じられていたように境界面に局限して分布するのではなく、微小カプセル全体に分布して引き起こされる。
【0019】
水中油乳濁物の対面重合により形成される微小カプセル内の固体粒子の懸濁物のカプセル化を成功させるために克服しなければならない幾つかの問題が存在する。
【0020】
第一に、実質的に水に混和しない液体中の安定な前記固体懸濁物が生産されなければならない。分散剤又は界面活性剤が使用される場合、それらは微小カプセルの製造において使用される更なる分散のプロセスのいずれの妨げにもなってはならない。
【0021】
第二に、前記懸濁物は、安定な、十分に分散した液滴を形成するように水中に分散しなければならない。生物活性物質において、得られる微小カプセルの表面積を大きくするために、水中に分散する液体の液滴は非常に小さくなるのが好ましい。非常に小さな液滴を形成するために、液滴を破壊し得て、及び/又は懸濁液から固体を放出し得る高いせん断力を必要とする。通常、界面活性剤は、良好な分散及び安定な液滴の形成を達成するために必要である。
【0022】
第三に、1つ以上の界面活性剤の存在は、不安定な分散した液滴系を形成し、及び、位相反転(phase inversion)現象(即ち、前記油中水乳濁物中で水が小さな液滴を形成する)を引き起こす場合がある。
【0023】
第四に、前記水に混和しない液体中の固体懸濁物は、特に乳化界面活性剤を使用した場合、水相に移動する傾向がある。
【0024】
水溶性生物活性化合物のカプセル化において、前記問題の後ろの三つは克服すべき課題がなおも更に存在し、そして、水に溶解しない化合物の懸濁物のカプセル化においては、特許書類WO 95/13698、EP 0730406、US 5993842、US 6015571、US2003/0119675、及びJP 2000247821において記載されている手順の変更が必要であることが見出された。
【0025】
本発明において、少なくとも部分的に固体であり、かつ微小カプセル全体に分布している(非連続的)マトリックス内に分散している、前記第一の側面において定義される有効成分化合物を含む微小カプセルを生産することが可能であることが見出された。更に、前記カプセル技術は、有効成分化合物の特性の調整に対し極めて広範囲にわたり及び得ることが見出された。
【0026】
前記微小カプセル形成において非常に適した技術の一つは、水中油乳濁物を介した対面重合であり;驚くべきことに、この技術によると、従来の当該技術分野で通常論じられていたように境界面に局限して分布するのではなく、微小カプセル全体に分布する、ポリマー(非連続的)マトリックスの形成が引き起こされる。
【0027】
前記微小カプセルは、以下の手法を使用して生産されてもよい:
【0028】
工程1−前記第一の側面において定義された有効成分化合物を、所望の粒子サイズで、適切には製粉工程により生産する。前記固体の適切な体積メジアン径(Volume Median Diameter)[VMD]の粒子サイズは、0.01〜50μmであり;より適切には、その下限は0.5μmであり、更により適切には、下限は1.0μmであり;より適切には、上限は10μmであり、更により適切には、上限は5μmである。
【0029】
工程2−実質的に水に混和しない液体中に、前記第一の側面において定義された有効成分化合物を懸濁する。その液体は、好ましくはその固体に対して貧溶媒(poor solvent)である、即ちその溶媒には、その固体を顕著な量溶存させ得ない。
【0030】
前記液体は、好ましくは、その液体中に前記固体を維持しつつ、その懸濁物が水中に分散されたときに水中に抽出されるのを防ぐべく、分散剤を含む。加えて、前記懸濁物が水に添加されるときは、前記分散剤は位相転換を発生させてはならない。
【0031】
あるいは、前記第一の側面において定義された有効成分化合物の粒子サイズを低下させるために、その化合物が実質的に水に混和しない液体中に懸濁された後に製粉工程を遂行する(媒体製粉)ことにより、前記工程1及び2の手順は、変化し得る。
【0032】
工程3−水相中の有機相の物理的分散が準備される。適切な分散をもたらすために、攪拌されながら、有機相が水相に添加される。適切な分散手法は、水相中の有機相を分散するものが採用される。分散プロセス及び装置の選択は、生産されるべき所望の乳濁物(及び最終的な製品)の粒子サイズに依拠し得る。適切な分散手法の一つは、所望の乳濁物の粒子サイズが小さいときは、典型的には、高せん断ローター/スターラー装置(laboratory Silverson(商標)装置等)であるが、他の手法においてはCowles(商標)溶解装置等が採用されてもよく、粒子サイズが大きい場合は単純な混合装置でもよく、高圧ホモジナイズ装置でもよい。そのような装置の選択は、当業者の能力の範囲内である。適切な手法は、約1〜約200μmの範囲内の所望の粒子サイズの液滴(及び対応する微小カプセル粒子)を収得するための、任意の高せん断装置であってもよい。適切な手法は、BMDが約1〜約200μm;適切には1〜約150μm;より適切には1〜約50μm;及び最も好ましくは約3〜約50μmの範囲内の所望の粒子サイズの液滴(及び対応する微小カプセル粒子)を収得するための、任意の高せん断装置であってもよい。所望の粒子サイズの液滴が収得された後、その分散手法を停止する。前記プロセスの残留物を考慮し、穏和に動揺させる必要がある。前記有機相は、上記工程1及び2に記載されるようにして調製された、カプセル化されるべき実質的に水に混和しない液体中に懸濁した、第一の側面において定義された有効成分化合物を含む。前記水相は、水及び少なくとも1つの乳化剤及び/又は保護コロイドを含む。
【0033】
前記第一の側面において定義された有効成分化合物の粒子サイズと、微小カプセルの粒子サイズとの間には、明らかな関連性が存在する。前記有効成分の放出速度を調整できるようにするためには、この化合物の粒子サイズと、微小カプセルとの前記VMDの比率は、典型的には、1:5の値をとり;適切には1:3〜1:100の範囲内であり;より適切には1:5〜1:20である。
【0034】
前記微小カプセルを収得するために、有機相及び/又は水相は、ポリマーを形成するように反応し得る1つ以上の材料を含まなければならない。一つの好ましい態様において、前記有機相は、少なくとも1つのジイソシアン酸塩及び/又はポリイソシアン酸塩を含み、一方前記水相は、少なくとも1つのジアミン及び/又はポリアミンを含む。少なくとも1つのジアミン及び/又はポリアミンが水相に含まれる場合、この化合物は、上記工程3において記載された水中油乳濁物の形成後に、水相中に添加される。
【0035】
工程4−全体を穏和に動揺させながら、少なくとも1つのジアミン及び/又はポリアミンを、水相を介して、水中油乳濁物に添加する。攪拌は、典型的には30分〜3時間、前記(非連続的)マトリックスの形成が完了するまで続けられる。反応温度は、一般に約20℃〜約60℃の範囲内である。およそ等モル量のイソシアン酸塩とアミノ基が存在している場合は、反応温度は好ましくは約20℃〜約40℃であり、なおもより好ましくは約20℃〜約30℃である。過剰のイソシアン酸塩が存在している場合、反応温度は、好ましくは約30℃〜60℃であり、なおもより好ましくは約40℃〜約50℃である。60℃以上の温度と3時間を越える反応時間を組み合わせるのは推奨されない。そのような用件は、非水溶性化合物の懸濁物のカプセル化に利用されている(US 2003/0119675及びJP 2000247821)が、そのような条件は、本発明において有用な微小カプセルの形成には適さないことが見出されている。なぜなら、この条件は、(温度を上昇させるにつれて活性化合物の水溶性が増大し、その結果、必要以上の量の活性分子が水相に移動してしまうため)カプセル化の効率が低いからである。
【0036】
(非連続性)マトリックスを形成するために、多くの他の微小カプセル化の技術が利用可能である。例としては、以下が挙げられる。
【0037】
(i)前記分散相中に存在するモノマーを重合させて、前記(非連続的)マトリックスを形成することによる、微小カプセルの調製。そのようなモノマーは、本質的に水に混和しないものであるべきであり、そして典型的には、ビニル反応性モノマー、例えば、エチルヘキシルアクリレート及びエチルヘキシルメタクリレート等の、アクリル酸及びメタクリル酸のC1〜C16アルキルエステルが含まれる。グリシジルメタクリレート等の適切なアクリレート又はメタクリレートモノマーを選択することにより、架橋を誘導することも出来る。
【0038】
(ii)試薬が溶解している液体中に、前記第一の工程において定義された有効成分化合物を分散させ、続いてその液体と試薬を反応させ、前記(非連続的)マトリックスを形成することによる、微小カプセルの調製。ポリウレタンの形成が所望される場合、そのような作用は、2つの反応種により達成され得る。これらは、適切なイソシアン酸塩と反応する有機溶媒溶解性ポリオールを含む。イソシアン酸塩の反応種が十分な機能性を有するとき、前記ポリオールは、僅か1つの重合可能なヒドロキシル基を含んでもよい。アルコキシル化プロセスにより得られるアルコール及び界面活性剤製品(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシド、又はそれらの混合物)を含む、多くの化学物質が適格を有する。前記イソシアン酸塩の機能性が低く、又は(非連続的)マトリックス中で高度の架橋が必要なときは、前記ポリオール成分は、1つ以上の重合可能なOH(ヒドロキシル)官能基含有化合物を含んでもよく、適切には、平均で分子あたり2つ以上のヒドロキシル基を含んでもよい。重合可能なヒドロキシル官能基含有化合物は、脂肪族及び/又は芳香族であってもよい。重合可能なヒドロキシル官能基含有化合物は、直鎖状、環状、融合、及び/又は分岐鎖状であってもよい。特定の重合可能なヒドロキシル官能基含有化合物は、少なくとも1つのジオール、少なくとも1つのトリオール、及び/又は少なくとも1つのテトロールを含む。これらのポリオール化合物のいずれも、必要に応じてモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーであってもよい。オリゴマー及び/又はポリマーである場合、それらのポリオールは、1つ以上のヒドロキシル官能基を含有するポリエチレン、ポリウレタン、ポリアクリル酸、エポキシレジン、ポリアミド、ポリアミン、ポリ尿素、ポリスルホン、又はそれらの組合せ等から選択されてもよい。ポリアルキレンエーテル等のポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールも適切であり、これらは比較的廉価で市販されており、加水分解にも安定である。
【0039】
適切なポリアルキレンエーテルポリオールは、本質的に水に混和せず、かつ有機可溶性のポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、例えばポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)ポリマー、並びに多価化合物(ジオール及びトリオール;例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン及び類似の低分子量ポリオールを含む)に由来する、末端ヒドロキシル基を有するコポリマーを含む。適切な市販のポリエーテルポリオールは、Voranolの商標において販売されているものを含む(The Dow Chemical Company))。
【0040】
本発明において適切なポリエステルポリオールは、有機ジヒドロキシ及び多価(トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ)であってもよい化合物、並びにジカルボン酸及びポリカルボン酸(トリカルボン酸、テトラカルボン酸)であってもよい、若しくはヒドロキシカルボン酸、又はラクトンの既知の重縮合物(polycondensate)を含む。ポリエステルを調製するために、遊離ポリカルボン酸に代わり、無水フタル酸等の、対応するポリカルボン酸無水物、又は対応するポリカルボン酸の低級アルコールエステルを使用することも可能である。適切なジオールの例は、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール、並びに1,2-及び1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、又はヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールである。必要に応じて追加的に使用され得る、分子中に3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールの例は、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジ-トリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリメチロール-ベンゼン及びトリスヒドロキシエチルイソシアン尿酸塩を含む。
【0041】
本発明における組成物、被覆剤、及び方法に有用なポリオールの特に適切なクラスは、例えばUS 6,855,844(本明細書中に参照により援用される)において記載される、非水溶性無水フタル酸系ポリエステル-エーテルポリオールである。適切な市販の無水フタル酸系ポリエステル-エーテルポリオールは、「Stepanpols(登録商標)」(Stepan Company)を含む。
【0042】
他の比較的単純な原料には、ヒマシ油等の、反応性ヒドロキシル基を含む天然物が含まれる。これらの系は、製剤中に必要に応じていずれかの相に添加され得る、適切な触媒の添加を必要とする。適切な触媒は、当該技術分野で周知であるが、ジラウリン酸ジブチル錫等の有機金属触媒、並びにトリエチルアミン及びトリイソプロパノールアミン等の第三級アミンが含まれる。
【0043】
(iii )(非連続性)マトリックス形成化合物から揮発性溶媒を除去し、前記化合物を微小カプセル内部に隔離することによる、微小カプセルの調製。これは、第一に、非水溶性(非連続的)マトリックス形成ポリマー、及びその非水溶性(非連続的)マトリックス形成ポリマーが溶解する水に混和しない揮発性溶媒の溶液中の、前記第一の側面の有効成分化合物の分散物を調製し、第二に、水中で前記水に混和しない混合物の乳濁物を形成し、適切な技術でその乳濁物を安定化し、続いて適切な蒸発プロセスにより揮発性溶媒を除去し、前記第一の側面において定義された有効成分化合物をその非水溶性ポリマーの(非連続的)マトリックス全体に分布させて含む微小カプセルの水中分散物を回収することにより達成され得る。中間乳濁物(intermediate emulsion)の安定化は、任意の適切な微小カプセル化プロセス、例えば周知の、及び上記の手段による対面重合、あるいはUS 5460817に記載される手法により達成され得る。US 5460817に記載される技術は、クロルピリホス及びトリフルラリン等の非水溶性(及び油溶性)生物活性化合物に有用なものとして記載されるが、前記第一の側面において定義された有効成分化合物の油中分散物又はポリマー中分散物における有用性を論じていない。
【0044】
適切には、前記マトリックスは、ポリ尿素、ポリアミド、若しくはポリウレタン等のポリマー、又はこれらのポリマーの2つ以上の混合物であるポリマーであり;より適切には、前記マトリックスはポリ尿素である。
【0045】
そのような微小カプセルの調製において、前記第一の側面において定義された有効成分化合物の分散物の調製に使用される実質的に水に混和しない液体は、(上記の蒸発により故意に除去されない限り)本質的にその微小カプセル中に担持されることが自然に推測される。溶媒の望ましくない損失は、カプセル構造並びに放出特性を変化(及び不安定化)する場合がある。前記カプセルの一つの好ましい態様は、水に混和しない液体が、水相内に移動せず、かつ水性組成物に対する乾燥操作が溶媒の損失及び所望のカプセル組成物の変化を引き起こさない不揮発性分子である。
【0046】
前記第一の側面において記載されたように、前記第一の側面において定義された特定の化合物を特に用いる本カプセル技術を用いることにより、成長の改善が示される。
【0047】
前記第一の足民において定義された有効成分化合物の濃度は、適切には、微小カプセルの重量の0.1〜70%(より適切には0.1〜65%)である。
【0048】
前記第一の側面において定義された有効成分化合物が実質的に水に混和しない液体に懸濁された場合、その液体は、何らかの形で検知されるレベルでその化合物を溶存させないいずれの液体でもよいが、(非連続性)マトリックスの形成に使用される試薬又はプレポリマー(prepolymer)を溶存させるものであれば、十分に良好な溶媒である。適切には、常温条件(典型的には20℃)下での前記液体の水溶性は、約5000重量ppm以下である。
【0049】
そのような液体の適切な例は、キシレン又はナフタレン等の芳香族有機化合物、例えばSolvesso(登録商標)200;アルキルエステル等の脂肪族有機化合物、例えばExxate(登録商標)700 - Exxate(登録商標)1000、Prifer(登録商標)6813;溶媒の範囲のパラフィン系化合物、例えばNorpar(登録商標)及びIsopar(登録商標);フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、及びフタル酸ジオクチル等のフタル酸アルキル;イソプロピルアルコール等のアルコール;アセトフェノン及びシクロヘキサノン等のケトン;ミネラルオイル、例えばCropspray(登録商標)7N又は11N;菜種油等の植物油若しくは種子油;並びにアルキル化種子油である。前記液体は、1つ以上の化合物の混合物であってもよい。
【0050】
更に、前記第一の側面の化合物が懸濁している液体は、それ自体が農薬等の第二の生物活性化合物であるか。又はこれを含む。
【0051】
分散有機相及び連続的水相の相質量は、広い範囲内で変化してもよく;典型的には、有機相は、製剤全体に対して5〜70重量%;適切には15〜70重量%;より適切には15〜50重量%存在する。
【0052】
前記液体は、適切には分散剤を含む。分散剤の具体的な選択は、前記第一の側面の化合物及び前記液体の選択に依拠するが、特に適切な分散剤は、立体障害的に作用し、固体/有機液体の境界面においてのみ活性で、乳化剤として作用しないものが適切である。そのような分散剤は、適切には、(i)前記液体に対し強力な親和性を有するポリマー鎖、及び(ii)前記固体に強力に吸着し得る官能基から構成される。
【0053】
液体(通常はポリマー系)中に懸濁された前記第一の側面の化合物を含む微小カプセルにおいて使用され得る分散剤の例は、WO 95/13698に記載され、並びにHypermer(登録商標)、Atlox(登録商標)、Agrimer(登録商標)、及びSolsperseの商標の下に市販される製品を含む。
【0054】
一般に、使用される分散剤の濃度の範囲は、有機相に対して約0.01〜約10重量パーセントであるが、更に高濃度でも使用され得る。
【0055】
前記第一の側面の化合物の懸濁物のカプセル化を成功させるために、微小カプセル中の液体/分散剤の組合せの選択が特に重要である。適切な系は、Solvesso(登録商標)200及びSolsperse(登録商標)17000;菜種油及びSolsperse(登録商標)17000; Z190-165(商標)を含むNorpar(登録商標)15/Prifer(登録商標)6813の混合物; Atlox4912、Atlox(登録商標)LPl、Agrimer(登録商標)AL22、及びAgrimer(登録商標)AL30から選択される1つ以上の分散剤、並びにCropspray(登録商標)7N又は11Nを含む。前記第一の側面の化合物がチアメトキサムである組合せは、特に好ましい。
【0056】
一般に、微小カプセル懸濁物の水相中の界面活性剤は、HLBの範囲が約10〜約16であり、安定な水中油乳濁物を形成するのに十分に高い、アニオン性、カチオン性、及び非イオン性界面活性剤から選択される(非イオン性界面活性剤が特に適している)。2つ以上の界面活性剤が使用されるとき、個々の界面活性剤のHLB値は10より低くとも、又は16より高くともよい。しかしながら、それらの界面活性剤が組み合わせられたときは、全体のHLB値は10〜16の範囲内でなければならない。適切な界面活性剤は、直鎖アルコールのポリエチレングリコールエステル、エトキシ化ノニルフェノール、エトキシ化トリスチリルフェノール、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのブロックコポリマー、並びにポリビニルアルコールを含む。ポリビニルアルコールが、特に安定である。
【0057】
一般に、前記プロセスにおける界面活性剤の濃度の範囲は、水相に対して約0.01〜約10重量%であるが、より高濃度の界面活性剤も使用され得る。
【0058】
加えて、前記水相には、保護コロイドも存在し得る。これは、油液滴の表面に強力に吸着するものでなければならない。適切な保護コロイドは、ポリアルキレート、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールとアラビアゴムの混合物、並びにポリアクリルアミドを含む。ポリビニルアルコールが、特に安定である。
【0059】
有機相の全ての液滴の表面を完全に被覆するのに十分な量のコロイドが存在するべきである。採用される保護コロイドの量は、分子量及び適合性(compatibility)等の様々な要素に依拠し得る。前記保護コロイドは、有機相の添加、又はその分散に先立ち水相に添加され得る。前記保護コロイドは、一般に水相中に、水相に対して約0.1〜約10重量%存在する。
【0060】
個別の乳化剤及びコロイド安定化剤が水相に使用されている場合、その乳化剤は、有機液の液滴の表面の保護コロイドを置換するものであるべきではない。
【0061】
前記の場合、微小カプセルは対面重合反応により調製され、有機相及び/又は水相は、ポリマー(非連続的)マトリックスを形成するように反応し得る1つ以上の材料を含有する。一つの好ましい態様において、有機相は、少なくとも1つのジイソシアン酸塩及び/又はポリイソシアン酸塩を含有し、他方水相は、少なくとも1つのジアミン及び/又はポリアミンを含有する。
【0062】
ジイソシアン酸塩又はポリイソシアン酸塩のいずれか、又はそれらの混合物は、それが有機相に選択された液体に溶解し得る場合に限り採用され得る。芳香族の液体が使用される場合、ジイソシアン酸トリレンの各異性体、ジイソシアン酸フェニレンの各異性体及び誘導体、ジイソシアン酸ビフェニレンの各異性体及び誘導体、及び/又はイソシアン酸ポリメチレンポリフェニレン(PMPPI)等の芳香族イソシアン酸塩が適切である。脂肪族の液体が使用される場合、例えば、ジイソシアン酸ヘキサメチレン(HMDI)等の脂肪酸非環式イソシアン酸塩、ジイソシアン酸イソポロン(IPDI)等の環式脂肪酸イソシアン酸塩、若しくは4,4'メチレンビス(イソシアン酸シクロヘキシル)、及び/又はHDMI若しくはIPDIのトリマー等の、脂肪酸イソシアン酸塩が適切である。ポリマー系ポリイソシアン酸塩、ビウレット、ブロックポリイソシアン酸塩(blocked polyisocyanate)、及びポリイソシアン酸塩と融調整剤との混合物も使用され得る。イソシアン酸塩に、柔軟性の増大等、他の特性が求められる場合は、イソシアン酸塩の一部を適切なポリオールと反応させた、PEG化誘導体が採用され得る。そのような技術及び化学物質は、当該技術分野で周知である。
【0063】
イソシアン酸塩の濃度は、並びに2つ以上のイソシアン酸塩が使用される場合はイソシアン酸塩の濃度及びそれらの割合は、具体的な最終用途(end application)において所望される放出速度プロフィールが得られるように選択される。また、イソシアン酸塩の濃度は、前記微小カプセル全体に分散した(非連続的)マトリックスを形成するのに十分な程度に高くなければならない。一般に、前記イソシアン酸塩は、前記微小カプセルに対して、約5〜約75重量%、より適切には約7〜約30重量%、なおもより適切には約10〜約25重量%、及び最も適切には約10〜約20重量%含まれ得る。
【0064】
ジアミン若しくはポリアミン、又はそれらの混合物は、水相に溶解可能な任意のそのような化合物であり得る。脂肪族若しくは脂環式の第1級若しくは第2級ジアミン又はポリアミンが非常に適切であり、例えばエチレン-1,2-ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ビス-(3-アミノプロピル)アミン、ビス-(2-メチルアミノエチル)-メチルアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、3-アミノ-1-メチルアミノプロパン、N-メチル-ビス-(3-アミノプロピル)アミン、1,4-ジアミノ-n-ブタン、1,6-ジアミノ-n-ヘキサン、及びテトラエチレンペンタミンが挙げられる。また、ポリエチレンイミンも適切である。
【0065】
アミン成分とイソシアン酸塩成分とのモル比は、約0.1:1〜約1.5:1の間で変化してもよい。適切には、(i)アミンとイソシアン酸塩の各成分がおよそ等モル濃度として採用され、アミンとイソシアン酸塩成分のモル比は、約0.8:1〜約1.3:1の範囲にあり、その場合、前記壁面を形成する反応は、適切には、約30℃〜約60℃、なおもより好ましくは40℃〜50℃の温度で実行されるか、あるいは(ii)イソシアン酸塩が顕著に過剰に存在し、アミンとイソシアン酸塩成分のモル比は、約0.1:1〜約0.35:1の範囲にあり、その場合、前記壁面を形成する反応は、好ましくは、約30℃〜約60℃、なおもより好ましくは40℃〜50℃の温度で実行されるかのいずれかである。(i)のケースにおいて、およそ等モル濃度のアミンとイソシアン酸塩成分との間の反応により、微小カプセル全体に分布するポリ尿素(非連続的)マトリックスが形成される。(ii)のケースにおいて、開始反応は、イソシアン酸塩成分の一部とアミン成分との間で、乳濁物の液滴の外側の周囲を殻で封じるようになされ、その後過剰のイソシアン酸塩の加水分解及び更なる反応により、最終的な微小カプセル全体に分布する(非連続的)マトリックスが形成される。
【0066】
例えばポリウレタン及びポリアミド等の他の壁面化学構造(wall chemistry)も、壁面形成成分の適切な選択により使用され得る。水相を介しての添加に適切なグリコールは、上記のもののなかで水溶性のものが含まれる。また、これらは、単純な多価グリコールを含んでもよく、例えば、適切なジオールは、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、あるいは1,2-及び1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、又はヒドロキシピルビン酸ネオペンチルグリコールである。分子中に3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールも、追加的に使用され得て、必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリコール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジ-トリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリメチロール-ベンゼン、及びイソシアン酸トリスヒドロキシエチルを含む。フルクトース、デキストロース、グルコース、及びそれらの誘導体の使用により、より高い機能が採用され得る。適切な油溶性特性を有するグリコールは、油相内に前記第一の側面の有効成分化合物の分散物の一部として導入され、それによりそれらは、カプセル壁面形成のみならず、(非連続性)マトリックスの形成にも(先に示されたように)寄与し得ることが特徴である。水溶性及び油溶性の反応性ヒドロキシル含有化合物の混合物も、一考に価する。ポリアミドも、適切な酸原料(セバシン酸ジクロリド(sebacoyl chloride)等)を選択することで、類似の手法で生産され得る。ポリ尿素、ポリウレタン、及びポリアミドの任意の比率の混合物も考慮される。従って、適切には、ポリマー殻は、ポリ尿素、ポリアミド、若しくはポリウレタン等のポリマー、又はこれらのポリマーの2つ以上の混合物であるポリマーであり;より適切には、ポリマー殻はポリ尿素である。
【0067】
類似の手法において、油溶性アミンは、水中分散物の調製に先立ち、油相に添加されることが考慮され得て、その後、水に分散し得る適切なイソシアン酸塩が添加され得て、前記対面反応が完了する。
【0068】
微小カプセルのサイズ、イソシアン酸塩の化学的性質及び濃度、アミンの性質、並びに2つ以上のイソシアン酸塩モノマー及び/又はアミンが存在している場合、それらの異なるイソシアン酸塩モノマー及び/又はアミンとの比率を選択することにより、前記第一の側面の有効成分化合物の放出速度は、半減期[T50;カプセルから失われるべき有効成分が50%奪われる(即ち放出する)時間)の値を、数時間から数ヶ月又は数年まで変化させることが出来る。そのような広範囲の放出速度は、水溶性(即ち、20℃で0.1〜100、好ましくは0.5〜50g/Lの間の溶解度を有する)の前記第一の側面の化合物において達成可能であり、水性のシンク(aqueous sink)中への放出速度が極度に緩慢であるのは特に意外である。
【0069】
更に、放出速度等の特性が異なる微小カプセルの混合物が、1つの組成物中で組み合わせられて、所望の植物成長作用を提供する場合もある。
【0070】
生産されたときのカプセル組成物は、水中に分散していてもよい。これらの微小カプセルは、製剤化後に、長期間の有効期限において安定な保管を実現するため、沈降防止剤で処理されてもよい。前記沈降防止剤には、キサンタンゴム等の水溶性多糖類、微結晶セルロース等の非水溶性多糖類、ベントナイト等の構造粘度(structured clay)が含まれる。微結晶セルロースは、特に適切な沈降防止剤である。
【0071】
更に、前記水相に、固体、乳濁物(常温で液体の化合物の乳濁物として、又は本質的に水に混和しない適切な溶媒中の生物活性化合物の溶液の乳濁物として)、又は水溶液、又はそれらの混合物として、農薬等の生物活性化合物を添加することが可能である。外側の水相に直接添加された前記生物活性化合物は、微小カプセル中の前記第一の側面において定義された化合物と同一であってもよい。
【0072】
適切には、水相中の農薬は、20℃で0.1〜100g/lの範囲で水溶性を有し;より適切には、水相中の農薬は、ネオニコチノイド殺昆虫剤であり;なおもより適切には、それはアセトアミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアクロプリド、又はチアメトキサムであり;そして最も適切には、それはチアメトキサムである。
【0073】
生物活性化合物が水相中に存在する場合、この化合物の濃度は、広い範囲内で変化し得る。一般に、この化合物の濃度は、水槽全体に対して、0〜50重量%の間であり得る。
【0074】
更に、そのような水性組成物を乾燥させることも可能である。これは、前記水性組成物の濃縮(例えば、沈殿又は遠心分離等)し、その後ドラム乾燥(drum drying)等の適切な乾燥手法を施すことにより達成することが出来る。また、噴霧乾燥等の技術(流動床凝集技術及び類似の顆粒化プロセスを含む)によっても達成され得て、あるいはその組成物が熱に敏感であるならば、凍結乾燥又は大気凍結乾燥によっても達成され得る。噴霧乾燥技術は、迅速であり、更に前記第一の側面において定義された微小カプセル等の分散物に容易に適用可能であり得る点で好ましい。水性分散物からの乾燥製品の製造は、通常、乾燥工程中、又は保管中のカプセルの完全性(integrity)を保護し、かつ適用の際その乾燥製品を水に戻して容易に完全な再分散物をなし得るよう、更なる不活性化合物の添加を必要とする。そのような不活性成分は、限定されないが、本質的に水溶性のフィルム形成剤、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びポリアクリル酸等を含む。他の成分として、界面活性剤、分散剤、糖、リグノスルホン酸塩、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン及びマルトデキストリン等が含まれてもよい。
【0075】
前記乾燥製品は、更に、前記第一の側面の化合物において記載されたようにカプセル化されていない他の生物活性剤を含有してもよい。
【0076】
また、乾燥製品を水に希釈せず、直接使用することも可能である。そのような使用は、イネの栽培における顆粒製品として、芝生の栽培における使用に、及び芝生又は他の標的、例えばイネの栽培における土壌への連続適用用の肥料混合物中に混入させる原料としてなされる。
【0077】
適切には、前記乾燥製品は、顆粒状である。
【0078】
適切には、前記乾燥製品は、水に分散可能である。
【0079】
第一の側面の技術を用いて広範囲の放出速度が達成可能であることにより、芝生栽培に使用される葉面又は土壌に適用される製品として、及び種子処理剤としての、伝統的な作物保護の販路を含む、幾つかの適用における用途開発が可能となる。
【0080】
また、定義された微小カプセルの使用は、非カプセル化製剤及び他のカプセル化製剤と比較して、植物の成長の改善、及び生物防除(biological control)の延長を可能とし、並びに土壌に適用される製品においては、そのような微小カプセルの使用は、浸出の範囲をも減少させ得る。前記第一の側面において開示された活性化合物は、非カプセル化形態で適用された場合にあっては、それらの実質的な水溶性のため、浸出する傾向をもたらすところなので、後者の性質はそれらの化合物において特に重要である。特定の態様において、前記微小カプセルが第一の態様の非カプセル化化合物の懸濁物を含む水性媒体中に懸濁している場合、特に殺昆虫剤において急速ノックダウン活性(rapid knockdown activity)及び生物防除の延長が達成され、並びに植物の成長が改善される。
【0081】
従って、生産された前記微小カプセル懸濁物は、そのような製品の通常の方法で、即ちその懸濁物を包装(packaging)し、最終的にその懸濁物を噴霧タンク又は他の噴霧装置中に移し、その中でその懸濁物が、噴霧可能な懸濁物を形成するように水と混合される方法において利用され得る。希釈噴霧、又は植え穴(planting hole)への直接適用を含む濃厚状態での浸漬のいずれかによる、植栽前及び植栽後の適用を含む、様々な適用技術が、そのような微小カプセルの土壌適用に利用され得る。また、適用は、移植前の苗木容器に対してもなされ得る。あるいは、前記微小カプセルの懸濁物は、噴霧乾燥又は既知の他の技術により乾燥微小カプセルに加工され得て、最終的な材料は乾燥形態で包装される。
【0082】
カプセル技術には多くの態様が存在することが認識され得る。一の態様において、それは、微小カプセル製剤であって、その中の微小カプセルが、少なくとも部分的に固体であり、かつその微小カプセル全体に分布している(非連続的)マトリックス内に分散している、前記第一の側面の化合物を含むものに関する。特に、それは、
(a)ポリマー殻;並びに
(b)(i)マトリックス中に分散した前記第一の側面の化合物、及び(ii)全体にマトリックスが非連続的に分布している特徴を有する、水に混和しない液体、を含むコア
を含む微小カプセルを含む製品に関する。
【0083】
更なる態様及び好ましい事項を、以下に示す。
【0084】
一つの態様において、前記微小カプセルは、WO 01/68234に記載されたものである。
【0085】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、少なくとも部分的に固体であり、かつその微小カプセル全体に分布している(非連続的)マトリックス内に分散している、前記第一の側面の化合物を含む微小カプセルを含み、ここで、その微小カプセルは、それらが形成されている間、水相中に懸濁しているものである。
【0086】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、上記のように、第一の側面の化合物が常温で固体であり、かつカプセル内の有機非溶媒中に分散しているものである。
【0087】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、上記のものであり、そしてそれを作るための上記プロセスにおいて、分散相にモノマーが存在し、ポリマー化が引き起こされ、(非連続的)マトリックスが形成される。
【0088】
一つの態様において、前記微小カプセル組成物は、前記のように、水に混和しない液体が、ビニル含有反応性モノマーであるものである。
【0089】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、前記のものであり、そしてそれを作る前記のプロセスにおいて、前記第一の側面の化合物が、内部に試薬が溶存している液体中に分散しており、そしてその内部で、その液体と試薬が反応して、(非連続的)マトリックスを形成する。
【0090】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、前記のように、水に混和しない液体が、(非連続的)マトリックスを形成する反応種を有する反応物であるものである。
【0091】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、前記のように、前記第一の側面の化合物が、その微小カプセル中に保持される実質的に水に混和しない液体中に分散しているものである。
【0092】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、上記のように、前記実質的に水に混和しない液体が、農薬等の第二の生物活性化合物である、又はこれを含むものである。
【0093】
一つの態様において、前記微小カプセル組成物は、上記のように、1つ以上の前記第一の側面の化合物が、連続的な水相中に存在する(その水槽中の固体分散物、液体分散物、又は溶液のいずれかとして)ものである。
【0094】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、前記のように、前記連続的水相中に存在する前記第一の側面の化合物が、前記微小カプセル中に分散する生物活性化合物と同じ水溶性の生物活性化合物であるものである。
【0095】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、前記のように、その製剤が水性である(カプセルが水中に分散する)ものである。
【0096】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、前記のように、その製剤が、噴霧乾燥、又は凍結乾燥、又は適切な濃縮手順及び最終的乾燥等の乾燥プロセスにより生産された乾燥製品である。
【0097】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤は、前記のように、(非連続的)マトリックス形成化合物(適切にはポリマー)から揮発性溶媒を除去し、前記化合物を微小カプセル中に隔離するものである。
【0098】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤の(非連続的)マトリックスは、前記のように、カプセル化前、カプセル調製中、又はカプセル調製後のいずれの時点で調製されるものでもよい。
【0099】
一つの態様において、前記微小カプセル製剤の(非連続的)マトリックスは、上記のように、対面重縮合反応により形成されるものでもよい。
【0100】
一つの態様において、前記プロセスは、上記のように、少なくとも1つの重縮合反応用の試薬が、分散した「有機」相中に存在し、そして少なくとも1つの重縮合反応用試薬が、連続的な「水性」相中に存在するものである。
【0101】
一つの態様において、前記プロセスは、上記のように、前記重縮合反応用の試薬が分散相中にのみ存在するものである。
【0102】
好ましい態様において、前記微小カプセル製剤は、対面重縮合反応により形成される(非連続的)マトリックス中に分散した前記第一の側面の化合物を含む微小カプセルを含み、ここで、その化合物は常温で固体であり、そしてその微小カプセル中に担持される実質的に水に混和しない液体中に分散しており、その微小カプセルは水相中に分散しており、ここで、少なくとも1つの重縮合反応用の試薬が前記分散した「有機」相に存在し、そして少なくとも1つの重縮合反応用の試薬が前記連続的な「水性」相中に存在する。
【0103】
一つの態様において、前記有効成分化合物は、1つ以上のアセタミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサムである。好ましくは、前記化合物は、1つ以上のジノテフラン、クロチアニジン、イミダクロプリド、又はチアメトキサムであり、特にチアメトキサムである。
【0104】
一つの態様において、前記有効成分化合物は、ジノテフランである。
【0105】
一つの態様において、前記有効成分化合物は、チアメトキサムである。
【0106】
一つの態様において、前記有効成分化合物は、1つ以上のアゾキシストロビン、ピラクロストロビン、フルオキサストロビン、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、又はピコキシストロビンであり;好ましくは1つ以上のアゾキシストロビン、ピラクロストロビン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、又はピコキシストロビンであり;特にアゾキシストロビンである。
【0107】
一つの態様において、前記有効成分化合物は、1つ以上の所定のネオニコチノイド及び1つ以上のストロビルリンであり、例えばチアメトキサム及びアゾキシストロビンである。
【0108】
特定の態様において、前記第一の側面において定義された有効成分化合物は、常温で、0.1〜100g/l、好ましくは、0.5〜50g/lの範囲の水溶性を有する。
【0109】
生物活性化合物、好ましくは農薬であり、本発明の水相若しくは水に混和しない液体、又は更なる殺虫剤製品の使用に適するものは、殺真菌剤、殺昆虫剤(insecticide)、殺線虫剤(nematicide)、ダニ駆除剤(acaricide)、及び殺ダニ剤(miticide)から選択され得る。
【0110】
適切な農薬の例として、前記第一の側面において定義されたもの、有機リン系化合物、ニトロフェノール及び誘導体、ホルムアミジン、トリアジン誘導体、ニトロエナミン誘導体、ニトロ-及びシアノグアニジン誘導体、尿素、ベンゾイル尿素、カルバメート、ピレスロイド、塩素化炭化水素、ベンズイミダゾール、ストロビルリン、トリアゾール、ortho-シクロブロピル-カルボキシアニリド誘導体、フェニルピロール、及びBacillus thuringiensis生産物が含まれる。
【0111】
特に好ましい農薬には、シアノイミン、アセタミプリド、ニテンピラム、クロチアニジン、ジメトエート、ジノテフラン、フィプロニル、フルベンダミド(flubendamide)、ルフェヌロン、ピリホキシフェン(pyripfoxyfen)、チアクロプリド、フルキソフェニム(fluxofenime)、イミダクロプリド、チアメトキサム、ベータシフルトリン(beta cyfluthrin)、フェノキシカルブ、ラムダシハロトリン(lamda cyhalothrin)、ジアフェンチウロン、ピメトロジン、ジアジノン、ジスルホトン;プロフェノホス、フラチオカルブ、シロマジン、シペルメトリン、tau-フルバリネート、テフルトリン、クロラントラニリプロール、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)生産物、アゾキシストロビン;アシベンゾラルs-メチル、ビテルタノール;カルボキシン;Cu2O;シモキサニル;シプロコナゾール;シプロジニル;ジクロフルアミド;ジフェノコナゾール;ジニコナゾール;エポキシコナゾール;フェンピクロニル;フルジオキソニル;フルオキサストロビン;フルキコナゾール(fluquiconazole);フルシラゾール;フルトリアホル;フララキシル;グアザチン;ヘキサコナゾール;ヒメキサゾール;イマザリル;イミベンコナゾール;イプコナゾール;クレゾキシム-メチル;マンコゼブ;メタラキシル;Rメタラキシル;メトコナゾール;マイクロブタニル、オキサジキシル、ペフラゾエート;ペンコナゾール;ペンシクロン(pencycuron);ピコキシストロビン;プロクロラズ;プロベナゾール、プロピコナゾール;ピロキロン;SSF-109;スピロキサミン;テブコナゾール;テフルトリン;チアベンダゾール;トリフロキシストロビン;チラム;トリフルアミド;トリアゾキシド;トリアジメホン;トリアジメノール;トリフロキシストロビン、トリフルミゾール;トリチコナゾール、ウニコナゾール、ビキサフェン、フルオピラム、式Aの化合物、式Bの化合物、及び式Cの化合物
【化1】

が含まれる。
【0112】
農薬の適用(使用)の量(rate)は、例えば使用の種類、作物の種類、植栽の密度、組成物中の特定の有効成分、植物育苗材料又は植物の種類等により様々であるが、その農薬が所望の作用(病害又は害虫の制御)を提供するのに効果的な量であり、それは試験により決定され得る。
【0113】
典型的には、浸漬適用において、適用量は、0.5〜1,000、好ましくは5〜750、より好ましくは10〜400g AI/haの範囲で変化し得て、適用される農薬には、前記第一の側面で定義した化合物が含まれる。
【0114】
一般に、種子の処理において、適用量は、0.1〜1,000、好ましくは0.5〜500、より好ましくは1〜300g AI/種子100kgの範囲で変化し得て、適用される農薬には、前記第一の側面で定義した化合物が含まれる。
【0115】
一般に、前記第一の側面で定義した化合物と農薬との間の重量比(それらが異なる化合物であることを前提とする)は、その組成物中に特定の殺虫剤が、及び幾つの殺虫剤が存在しているかにより変化し得る。一般に、前記第一の側面で定義された化合物と農薬との間の重量比は、100:1〜1:100、好ましくは75:1〜1:75、より好ましくは50:1〜1:50、特に25:1〜1:25、有利には10:1〜1:10である。
【0116】
前記第一の側面で定義された各化合物は、植物育苗材料の処理において特に有利である。
【0117】
本発明各側面及び態様において、「本質的に構成される」及びその活用表現(inflection)は、「含む」及びその活用表現の好ましい態様であり、並びに「〜から構成される」及びその活用表現は、「本質的に構成される」及びその活用表現の好ましい態様である。
【0118】
単数形で使用されるある用語は、その用語の複数形をも含み、その逆も成り立つ。
【0119】
前記第一の側面の化合物及び農薬は、農薬(殺虫剤としても知られる)産業において使用するための有効成分である。それらの構造及び他の殺虫剤(例えば殺虫剤、殺昆虫剤、殺真菌剤等)の構造の記載は、e-Pesticide Manual, version 3.1, 13th Edition, Ed. CDC Tomlin, British Crop Protection Council, 2004-05において発見することが出来る。
【0120】
式Aの化合物、及び既知の市販の化合物からそれを製造するプロセスは、WO 03/074491、WO 2006/015865、及びWO 2006/015866に記載されている。
【0121】
式Bの化合物は、WO 03/010149及びWO 05/58839に記載されている。
【0122】
式Cの化合物、及び既知の入手可能な化合物からそれを製造するプロセスは、EP-0975634及びUS 6297251に記載されている。
【0123】
前記第一の側面で定義された組成物の性質は、例えば病原体感染及び/又は害虫被害に対する予想を超える制御等による、植物の成長特性の改善を提供する。しかしながら、驚くべきことに、それらの組成物は、(i)植物に対する特定の害虫若しくは病原体の圧力を制御するのに不十分な量で、又は(ii)植物に対する特定の害虫若しくは病原体の圧力を制御するのに必要な量を超えて適用されるときも、更に成長の改善を示す。特に、植物の成長の改善は、その植物が害虫又は病原体の圧力が無いときも達成される。
【0124】
植物の成長(growing又はgrowth)特性の改善は、多くの異なる方法で表現されるが、究極的には、それは、その植物の生産能力の向上として反映される。例えば、それは、その植物の収量及び/若しくは活力、又はその植物から収穫される生産物の質の改善として現れ、その改善は、病害及び/又は病原体の制御と関連していなくともよい。
【0125】
本明細書中で使用されるとき、植物の「収量の改善」という語句は、その植物の生産物の収量が、主題の方法を適用しないことを除いて同一の条件下で生産された同一の植物の生産物の収量を優位な程度に上回る量で増大することに関する。前記収量は、少なくとも約0.5%増大し、より好ましくは少なくとも約1%増大し、なおもより好ましくは約2%、より一段と好ましくは約4%、あるいはそれ以上増大するのが好ましい。収量は、幾つかの基準に基づくその植物の生産物の重量又は体積を単位として表現してもよい。前記基準は、時間、成長面積、生産された植物の重量、使用される原料の量等を単位として表現してもよい。
【0126】
本明細書中で使用されるとき、植物の「活力の改善」という語句は、活力評価、即ち植栽密度(stand)(単位面積あたりの植物の個体数)、若しくは植物高、若しくは植物林冠(plant canopy)、若しくは視覚的外観(葉の緑色等)、若しくは根評価、若しくは出芽(emergence)、若しくはタンパク質構成の向上又は改善、又は分けつの向上、又は葉身の肥大、又は根出葉の枯死の低下、又は分げつの強化、又は必要な肥料の減少、又は必要な種子の減少、又は分げつの生産性の向上、又は開花の早期化、又は穀物の成熟の早期化、又はこれらの要素のいずれかの組合せ、又は当業者に慣用される他の利益のいずれかが、主題の方法を適用しないことを除いて同一の条件下で生産された同一の植物の要素を、測定可能な、又は認識可能な程度に上回ることに関する。
【0127】
本方法が植物の「収量及び/又は活力の改善」を可能とするとされるとき、本方法は、上記の収量、若しくはその植物の上記の活力のいずれか、又はその植物の収量及び活力のいずれも向上させる。
【0128】
前記第一の側面で定義された組成物は、植物に直接、例えばその葉等に適用され、植物育苗材料に、好ましくは播種又は植栽前に適用され、又はその育成場所に適用されてもよい。一つの態様において、前記組成物は、その植物の育成場所に適用される。
【0129】
一つの態様において、前記組成物は、植物育苗材料に適用され、続いてその植物の育成場所に適用される。
【0130】
前記第一の側面の化合物の適用(使用)量も、例えば使用の種類、作物の種類、植栽の密度、その組成物中の特定の有効成分、植物育苗材料の種類、又は植物等に従い変化し得るが、その量は、その化合物が所望の作用を提供するのに効果的な量であり、試験により決定することが出来る。
【0131】
浸漬適用において、典型的には、チアメトキサムの適用量は、10〜500、好ましくは25〜300、より好ましくは50〜200g AI/haの範囲で変化してもよい。
【0132】
一般に、種子処理において、チアメトキサムの適用量は、5〜600、好ましくは10〜500、より好ましくは15〜300g AI/種子100kgの範囲で変化してもよく、適用される農薬には、前記第一の側面で定義した化合物が含まれる。
【0133】
前記第一の側面で定義されたカプセル技術は、適用量が
(i)植物に対する特定の害虫若しくは病原体の圧力を制御するのに不十分である、又は
(ii)植物に対する特定の害虫若しくは病原体の圧力を制御するのに必要な量を超えている
状況にあっても、植物の成長を改善することが出来ることが見出された。
【0134】
更に、前記植物の成長の改善は、植物において害虫又は病原体の圧力が無いときであっても、前記第一の側面で定義されたカプセル技術を用いて達成可能である。
【0135】
適切な植物は、穀物(コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、トウモロコシ、コメ、ソルガム(sorghum)、ライコムギ、及び関連する作物);ビート(テンサイ及び飼料用ビート);マメ科植物(マメ、レンティル、エンドウ、ダイズ);油脂植物(セイヨウアブラナ、カラシ、ヒマワリ);ウリ科植物(マロー、キュウリ、メロン);繊維植物(綿、亜麻、麻、ジュート);野菜(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、パプリカ);並びに観賞植物(花、低木、広葉樹、及び針葉樹等の常緑樹)である。特に適切なのは、コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、コメ、ソルガム、ライコムギ、トウモロコシ、及びダイズである。
【0136】
また、適切な植物には、先述の種類の植物の遺伝子組換え植物が含まれる。本発明において使用される遺伝子組換え植物は、植物又は植物育苗材料であり、組換えDNA技術を用いて、例えばそれらが、選択的に作用する毒物を合成するように形質転換されている。それらの遺伝子組換え植物は、選択的に作用する毒素、例えば毒素を生産する無脊椎動物、特に節足動物門に由来することが知られる、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)から収得され得ることが知られる;又はレクチン等の植物に由来することが知られる毒素を合成し、あるいは除草剤又は殺真菌剤に耐性を示し得る。そのような毒素の例、又はそのような毒素を合成することが出来る植物の例は、例えばEP-A-O 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP-A-O 427 529、及びEP-A-451 878等に開示されており、それらは本明細書中に参照されることにより援用される。
【0137】
前記第一の側面の組成物の適用は、その植物や化合物に応じて異なる多くの有益な特性をもたらすことが出来る。典型的には、その植物の成長においては、例えば収量及び/又は活力等が改善され、そして極端な温度条件(例えばトウモロコシの寒冷ストレス(cold stress)等の低温効果)及びストレス要素(干ばつ、塩害、重金属、オゾン及び大気汚染、高照度条件等)への耐性、開花作用の向上(作物の開花の同期化の改善、並びに開花数及び/又は花色の均一性及び/又は強度の向上等)、栄養分/薬効成分の生産の改善、アントシアニン(サツマイモ、リンゴ、モモ、ラズベリー)、ベータカロテン(トマト)の増大、フラボノール及びフェノール成分(イチゴ)の増大、並びに果実(リンゴ、マンゴー、観賞植物)の発色の改善、並びに/あるいは除草剤、塩等の光毒性物質への耐性等を示す。
【0138】
前記第一の側面で定義した組成物は、標準的な手法、例えば葉上噴霧又は浸漬適用等により、植物に適用されてもよい。前記組成物は、種子等の植物育苗材料の処理用に製剤化されるのが有利である。
【0139】
更に、本発明は、本発明の第一の側面で定義した組成物の土壌適用をも想定する。土壌への適用方法は、任意の適切な方法を経てなされ、その方法は、前記農薬の組合せが土壌に浸透することを保証し、例えば例えば苗床容器(nursery tray)適用であり、畝間適用(furrow application)においては、土壌浸漬、土壌注入、細流灌漑、スプリンクラー又は中心ピボットによる適用、土壌中への混入(散布又は帯状(in band))がそのような方法である。
【0140】
また、本発明の利益は、(i)組成物を用いた植物育苗材料の処理、若しくは(ii)制御が必要な部位、一般に植栽場所への、前記組成物の適用、又は(i)及び(ii)の両方により達成される。
【0141】
「植物育苗材料」という用語は、生殖性の植物部分、例えば種子等であり、その植物の増殖に使用され得るもの、及び発育性の植物材料、例えば挿し木及び塊茎(例えばジャガイモ)等の全てを意味するものとして理解される。従って、本明細書中で使用されるとき、植物の一部には、育苗材料が含まれる。例えば、植物育苗材料は、種子(狭義の)、根、果実、塊茎、鱗茎、根茎、植物の一部を含むものとして言及される。発芽した植物及び幼若な植物であり、発芽又は土壌から出芽(emergence)した後で移植されるべきものも、植物育苗材料として言及される。これらの幼若な植物は、例えば移植前の浸漬による全体又は部分処理により、ストレス因子等に抵抗するように、保護及び/又は補助され得る。
【0142】
後日成長する植物の一部及び植物器官は、種子等の植物育苗材料から発生した植物の任意の切片である。また、植物の一部、植物器官、及び植物は、植物育苗材料に対する有効成分化合物の適用からも利益を受け得る。一つの態様において、後日成長する植物の所定の部分及び所定の植物器官も、植物育苗材料とみなされ得て、それら自体が有効成分化合物で適用(処理)され得る。従って、処理された植物の一部及び処理された植物組織から発生した植物、更に植物の一部及び更に植物器官も、有効成分化合物の適用から利益を受け得る。
【0143】
殺虫性有効成分及びそれらの組合せを植物育苗材料、特に種子に適用又は処理する方法は、当該技術分野で既知であり、ドレッシング、コーティング、ペレット形成、及び浸漬等の、育苗材料に対する適用方法を含む。好ましい態様において、前記組合せ(農薬)は、発芽を誘導しない方法により植物育苗材料に適用又は処理される(一般に、種子の浸漬は、その種子の含水量を非常に高めるため、発芽を誘導する)。従って、種子等の植物育苗材料に適用(又は処理)する適切な方法の例は、種子のドレッシング、種子のコーティング、又は種子のペレット化等である。
【0144】
前記植物育苗材料は、種子であることが好ましい。本方法はいずれの生理状態にある種子にも適用可能であると考えられるが、その種子は、処理プロセスの間にダメージを負わない休眠状態に完全に入っていることが好ましい。典型的には、前記種子は、野外から収穫された;植物から回収された;及び任意の穂軸、柄、殻、及び周囲の果肉、又は他の非種子植物材料を除去された種子であってもよい。また、前記種子は、好ましくは、前記処置が種子にいかなる生物的ダメージをもたらさない程度に生物的に安定であるべきである。前記処置は、その種子の収穫とその種子の播種との間の任意の時期に、又は播種プロセスの間に、種子に対して適用(種子指向適用)されてもよいと考えられる。また、前記種子は、処理の前又は後のいずれかの時点で賦活化(prime)がされる場合もある。
【0145】
育苗材料の処理の間、前記有効成分の均一な分布及びそれらの種子への接着が望まれる。処置は、種子等の植物育苗材料の表面に前記有効成分を含有する製剤の薄いフィルム(元のサイズ及び/又は形が認識可能;ドレッシング等)を形成するものから、中間的状態(コーティング等)、更により厚いフィルム(異なる材料の多くの層(粘土等の担体;他の有効成分を含有する異なる製剤;ポリマー;及び着色料等)を有し、種子の元の形及び/又はサイズが認識不可能;ペレット形成等)を形成するものと、様々である。
【0146】
本発明の一つの側面は、前記植物育苗材料全体、又はその一部、例えば一方の側のみ、若しくは片方の一部分等の特定の位置における、前記有効成分の適用を含む。当業者は、これらの適用方法を、EP954213B1及びWO06112700に示される記載から理解することが出来る。
【0147】
また、植物育苗材料に対する本明細書中に記載される有効成分の適用は、殺虫剤で処理した種子に隣接して1つ以上の殺虫剤を含有する粒子を置くことによる、前記有効成分で処理された植物育苗材料の保護も含む。ここで、殺虫剤の量は、その殺虫剤で処理された種子及びその殺虫剤を含有する粒子が一緒になってその殺虫剤の有効用量(Effective Dose)を含有し、その殺虫剤で処理された種子に含有される殺虫剤の用量は、その殺虫剤の最高非植物毒性用量(Maximal Non-Phytotoxic Dose)以下である。そのような技術は当該技術分野で既知であり、WO2005/120226に詳しい。
【0148】
前記種子処理は、播種されていない種子に対してなされ、この「播種されていない種子」という用語は、その種子の収穫から、植物を発芽及び成長させるために地面に播種するまでの間の任意の時点を含むことを意味する。
【0149】
播種されていない種子に対する処理は、前記有効成分を土壌に適用する実施を含むことを意味しないが、植栽プロセスの間にある種子を標的とすべき任意の適用の実施を含み得る。
【0150】
好ましくは、播種される種子が前記組成物により前処理済みとなるように、種子を播種する前に処理が行われる。特に、種子のコーティング又は種子のペレット化が好ましい。その処理の結果、組成物中の有効成分は種子の表面に接着し、そうして前記成長特性の改善が提供される。
【0151】
もう一つの側面において、前記第一の側面において定義された化合物、特にネオニコチノイド、とりわけチアメトキサムは、特に、その植物又はその植物育苗材料がストレス指示因子(stress indicator)、例えば寒冷、干ばつ、除草剤、塩害等に晒されても、その植物の育苗材料(種子等)がそのような化合物で処理されていた場合、植物の成長、例えば発芽、収量、植栽密度等を改善し得る。一つの態様において、チアメトキサムで処理されたトウモロコシの種子は、その成長中に寒冷条件等のストレス環境下に置かれても、多くの収穫を得られるように成長する。従って、本発明は、植物育苗材料又はその生育場所に対する前記第一の側面で定義された化合物の適用を含む、非好適成長条件にあっても、植物の成長特性を改善する方法を提供する。ここで、前記非好適成長条件は、低温、干ばつ、又は塩害であり得る。一つの態様において、前記非好適成長条件は、低温(例えば約10℃)であり、成長する植物は、好ましくは植栽又は種子の播種から約7日間、この温度領域中にある。その後、前記温度は好適温度(例えば約25℃)まで上げられる。一般に、発芽不良が特に低温で起こりやすい種子であっても、その種子が前記第一の側面で定義した化合物、ネオニコチノイド、特にチアメトキサムで処理されたときは、なおも生産物を収穫することが出来る。
【0152】
前記処理された種子は、他の有効成分で処理された種子と同様の方法で保管、操作、播種及び耕作されてもよい。
【0153】
以下の実施例は、本発明を例証するために提供し、本発明を限定するものではない。ここで、多くの微小カプセルの試料は、それらのVMD(体積メジアン径)で特定される。
【実施例】
【0154】
実施例1a〜1w
以下の実施例は、チアメトキサム粒子の懸濁物が、ポリ尿素微小カプセル内に首尾よくカプセル化され得て、そのカプセル内の(非連続的)マトリックスが、常温での、本質的に等モル濃度のイソシアン酸塩とアミン成分との間の反応から形成されることを示す。そのような製剤は、チアメトキサムの高い水溶性(20℃で4.1g/l)のため、首尾よく調製するのは容易ではない。これは、乳化プロセスの間に、及び/又は(非連続的)マトリックスの形成の間に、チアメトキサムの粒子が水相中に移動する傾向があるためである。
【0155】
チアメトキサムは、表1に示した構成表に従い、以下のプロセスを使用してカプセル化する。実質的に水に混和しない溶媒中のチアメトキサムの懸濁液を軽く動揺しながら、1つ以上のイソシアン酸塩を添加することにより、有機相を調製する。ポリビニルアルコールの水溶液中でこれを乳化することにより、所望の粒子サイズの粒子を収得する。それから、多官能性アミンの溶液を添加し、室温で、全体を静かに攪拌しながら、壁面形成反応を進行させる。最後に、必要に応じて、製剤後処理(postformulation )(pHを中性に調整し、沈降防止剤を添加する)を実行する。
ナタネ油(Brassica rapa由来)は、Flukaから供給された。
Solvesso(登録商標)200は、Exxonから供給される芳香族炭化水素溶媒である。
Cropspray(登録商標)7Nは、Sun Oil Companyから供給されるミネラルオイルである。
Norpar(登録商標)15及びPrifer(登録商標)6813は、Exxonから供給されるパラフィン性溶媒である。
Solsperse(登録商標)17000は、Lubrizolにより供給されるポリマー性分散剤である。
Z190-165(商標)は、Uniqemaにより供給されるポリマー性分散剤である。
Agrimer(登録商標)AL22は、ISPにより供給されるアルキル化ビニルピロリドンコポリマーである。
Desmodur(登録商標)Z4470は、naphtha 100中の70%溶液としてBayerから供給される、ジイソシアン酸イソホロンの三量体である。
Desmodur(登録商標)Wは、Bayerから供給される、4,4'-メチレンビス(イソシアン酸シクロヘキシル)である。
TDIは、により供給される、2,4-ジイソシアン酸トリレンと、2,6-ジイソシアン酸トリレンとの、80:20の混合物である。
Suprasec(登録商標)5025(イソシアン酸ポリメチレンポリフェニレン)は、Huntsmanにより供給される。
Gohsenol(登録商標)GL03、GL05、及びGM14-Lは、Nippon Gohseiから供給されるポリビニルアルコールである。
Polyethyleneimine(Mn〜600[Mnは、平均分子量の数値である]M.Wt.〜800ダルトン)はAldrichから供給される。
Avicel(登録商標)CL611は、FMCにより供給される微結晶セルロースである。
Kelzan(登録商標)は、CP Kelcoにより供給されるキサンタンガムである。
試料の調製後、各試料を、そのVMDを測定することにより特定する。
【0156】
【表1】

【0157】
【表2】

【0158】
【表3】

【0159】
実施例2a〜2d
以下の実施例は、チアメトキサム粒子の懸濁物が、ポリ尿素微小カプセル内にカプセル化され得て、そこで、カプセル内の(非連続的)マトリックスが、イソシアン酸塩の加水分解及び自己重合の組合せにより形成され、そのイソシアン酸とアミン成分との間での反応が、水相を通じて添加されることを示す。これらの実施例において、外部から添加されたアミン:イソシアン酸成分のモル比は、1:1よりも有意に低い。このような製剤は、(非連続的)マトリックスを形成するのに利用される高温条件では、首尾よく調製するのは特に困難である。アミン成分とイソシアン酸塩成分の一部との間の最初の反応により、乳濁物の液滴の外側の殻が固定化され、チアメトキサム粒子の水相への過剰な移行を回避するのが重要である。
【0160】
チアメトキサムは、表2に示した構成表に従い、以下のプロセスを使用してカプセル化する。実質的に水に混和しない溶媒中のチアメトキサムの懸濁液を軽く動揺しながら、1つ以上のイソシアン酸塩を添加することにより、有機相を調製する。ポリビニルアルコールの水溶液中でこれを乳化することにより、所望の粒子サイズの粒子を収得する。それから、多官能性アミンの溶液を添加し、この乳濁物の温度を40℃まで上げ、この温度を3時間維持し、全体を静かに攪拌しながら、壁面形成反応を進行させる。最後に、必要に応じて、製剤後処理(pHを中性に調製し、沈降防止剤を添加する)を実行する。
各試料を、そのVMDを測定することにより特定する。
【0161】
【表4】

【0162】
実施例3
以下の実施例は、水相中のカプセル化されたチアメトキサムの懸濁物と非カプセル化チアメトキサムの懸濁物との組合せ剤を示す。チアメトキサムの懸濁物を含む微小カプセルは、実施例1に詳述した方法に従い、表3の組成物を用いて調製する。前記カプセル製剤は、そのVMDを測定することにより特定される。それから、前記微小カプセルを、Cruiser(登録商標)350FSを用いて、様々な比率で混合して(懸濁物に350g/lのチアメトキサムが含有されるようにする)、最終的な製品における、カプセル化チアメトキサム:非カプセル化チアメトキサムの重量比を、1:1、1:2、及び2:1とする(それぞれ、3a、3b、及び3c)。
【0163】
【表5】

【0164】
実施例4
以下の実施例は、チアメトキサム粒子の懸濁物を含む微小粒子の凍結乾燥による、乾燥顆粒製品の収得を示す。実施例1に記載された方法に従い、下記表4の構成表に記載の成分に水を加えたものを使用して、チアメトキサム粒子の懸濁物を含む微小粒子を調製する(後で水は除去され、表4の構成表に記載の成分で構成される製剤が得られる)。それから、この微小カプセル懸濁物を、ポリアクリル酸(MW2000)、デキストリン、及びPolyfon(商標)T(MeadWestvacoにより提供されるリグノスルホン酸ナトリウム)と混合し、噴霧スラリーを得る。このスラリーをPetit(商標)WG噴霧乾燥機中で噴霧乾燥し、以下の組成物を有する乾燥顆粒製品を収得する:
【0165】
【表6】

【0166】
実施例5
以下の実施例は、チアメトキサムの可湿性(wettable)顆粒製剤と比較して、実施例1wのカプセル技術(本発明のカプセル懸濁製剤)の植物の成長が改善されることを示す。
【0167】
ポットに4週齢のキャベツを植栽する。各ポットには400mlの土が詰められており、12.5ppm/l土となるように、60mlの製剤化AI溶液を浸漬適用することにより、処理を遂行する。植物を温室中に置いた(25±1℃、ca. 60%r.h.、及び照光16時間)。必要に応じて、流出(outpouring)が起こらない程度に灌漑を行う。一定期間後、前記植物を収穫する。全ての葉を地表近くで切り取った直後、その生体重を測定する。
【0168】
下記表1は、生体重の結果を提供する。
【0169】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の成長を改善する方法であり、
(a)ポリマー殻;及び
(b)分散性固体有効成分化合物を含むコアであり、ここでその化合物が、ネオニコチノイド、フィプロニル、ストロビルリン、カルボキシン、アシベンゾラル-S-メチル、及びプロベナゾール中の1種以上の化合物である、前記コア
を含む微小カプセルを含む製品を含む組成物を、植物、植物育苗材料、又はその育成場所(locus)に適用することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記コアが、(i)マトリックス中に分散している有効成分化合物、並びに(ii)前記マトリックスが全体に非連続的に分布している点において特徴付けられる水に混和しない液体を含み;ここで、前記化合物が、ネオニコチノイド、フィプロニル、ストロビルリン、カルボキシン、アシベンゾラル-S-メチル、及びプロベナゾール中の1種以上の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微小カプセルが水相中に分散している、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記製品が乾燥製品である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥製品が顆粒である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
乾燥製品が水に分散し得る、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記水相が農薬を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記コア中の有効成分化合物が、前記水相中の農薬と同一か、又は異なる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記水に混和しない液体が、農薬であるか、又は農薬を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記有効成分化合物が、アセトアミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、ジノテフラン、チアクロプリド、又はチアメトキサム中の1種以上の化合物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記有効成分化合物が、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、フルオキサストロビン、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、又はピコキシストロビン中の1種以上の化合物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記有効成分化合物が、フィプロニル、カルボキシン、アシベンゾラル-S-メチル、又はプロベナゾール中の1種以上の化合物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記マトリックスが、ポリ尿素、ポリアミド、若しくはポリウレタン等のポリマー、又は2つ以上のこれらのポリマーの混合物である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記マトリックスがポリ尿素である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー殻が、ポリ尿素、ポリアミド、若しくはポリウレタン等のポリマー、又は2つ以上のこれらのポリマーの混合物である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー殻がポリ尿素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記水に混和しない液体が、水に対する溶解度が20℃で5000重量ppm以下である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記農薬が、殺真菌剤、殺昆虫剤(insecticide)、殺線虫剤(nematicide)、ダニ駆除剤(acaricide)、及び殺ダニ剤(miticide)から選択される1種以上の農薬である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記植物が、穀類;ビート;マメ科植物;油脂植物;ウリ科植物;繊維植物;野菜;及び観賞植物から選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記成長の改善が、植物の収量の改善を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記成長の改善が、植物の活力(vigour)の改善を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、植物育苗材料に適用される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、1種以上の他の農薬を含む1つ以上の更なる殺虫剤製品を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記農薬が、殺真菌剤、殺昆虫剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、及び殺ダニ剤から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記植物が、遺伝子改変植物である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、
(i)植物に対する特定の害虫若しくは病原体の圧力(pressure)を制御するのに不十分な量で、又は(ii)植物に対する特定の害虫若しくは病原体の圧力を制御するのに必要な量を超えて適用される、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
害虫又は病原体の植物に対する圧力が存在しない、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−530394(P2010−530394A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512596(P2010−512596)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004886
【国際公開番号】WO2008/155097
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)
【Fターム(参考)】