説明

植物の成長調節

【課題】植物を処理するための方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、植物を、少なくとも1つのシクロプロペンを含む少なくとも1つの組成物(i)と接触させるステップ、および植物を、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤を含む少なくとも1つの組成物(ii)と接触させるステップを含む。更に、植物を処理するのに適した液体組成物が提供され、この液体組成物は、少なくとも1つのシクロプロペン、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤、ならびに金属錯化剤、界面活性剤、炭化水素油およびアルコールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の更なる成分を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
植物は、様々な有用な結果を達成するため、種々の組成物と接触させることにより処理されることが多い。例えば、L.Pozoら(Journ.Amer.Soc.Hort.Sci.,vol.129、no.4、pp.473−478、2004年)は、器官脱離剤および1−メチルシクロプロペンを含有する散布液をカンキツ類樹木に適用し、処理されたこれらのカンキツ類樹木が低い果実脱離力を示し、且つ、低レベルの落葉を示したと報じている。
【非特許文献1】L.Pozoら、Journ.Amer.Soc.Hort.Sci.,vol.129、no.4、pp.473−478、2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかし、器官脱離剤と1−メチルシクロプロペンとの特定の組合せ以外の処理が望まれている。更には、非カンキツ類植物に対する処理も望まれている。更に、作物の収穫量を改善する処理、作物の品質を改善する処理、または作物の品質と収穫量との両方を改善する処理も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第一の態様では、非カンキツ類植物を処理するための方法が提供され、この方法は、前述の非カンキツ類植物を、少なくとも1つのシクロプロペンを含む少なくとも1つの組成物(i)と接触させるステップ、および前述の非カンキツ類植物を、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤を含む少なくとも1つの組成物(ii)と接触させるステップを含む。
【0004】
本発明の第二の態様では、植物を処理するのに適した液体組成物が提供され、この液体組成物は、少なくとも1つのシクロプロペン、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤、ならびに金属錯化剤、炭化水素油およびアルコールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の更なる成分を含む。
【0005】
本発明の第三の態様では、植物を処理するための方法が提供され、この方法は、前述の植物を、少なくとも1つのシクロプロペンを含む少なくとも1つの組成物(i)と接触させるステップ、および前述の植物を、シクロプロペンではなく、また、器官脱離剤でもない少なくとも1つの植物成長調節剤を含む少なくとも1つの組成物(iv)と接触させるステップを含む。
【0006】
本発明の第四の態様では、植物を処理するのに適した液体組成物が提供され、この液体組成物は、少なくとも1つのシクロプロペン、シクロプロペンではなく、また、器官脱離剤でもない少なくとも1つの植物成長調節剤、ならびに金属錯化剤、界面活性剤、炭化水素油およびアルコールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の更なる成分を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実践は、1つまたはそれ以上のシクロプロペンの使用を要件とする。本明細書で使用する場合、「シクロプロペン」という用語は、以下の式:
【0008】
【化1】

【0009】
を有する任意の化合物を意味し、式中のRは、水素、または置換された、もしくは置換されていないアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルもしくはナフチル基であり;存在する場合、これらの置換基は、独立して、ハロゲン、アルコキシ、または置換された、もしくは置換されていないフェノキシである。シクロプロペンではない任意の化合物は、ここでは、「非シクロプロペン」化合物として知られている。
【0010】
幾つかの実施態様では、Rは二重結合を全く有していない。独立して、幾つかの実施態様では、Rは三重結合を全く有していない。独立して、幾つかの実施態様では、Rにハロゲン原子置換基は全く存在しない。独立して、幾つかの実施態様では、Rは、イオン性である置換基を全く有していない。独立して、幾つかの実施態様では、Rは酸素化合物を発生させることができない。
【0011】
本発明の幾つかの実施態様では、Rは(C−C10)アルキルである。幾つかの実施態様では、Rは(C−C)アルキル、または(C−C)アルキルもしくはメチルである。Rがメチルのときには、このシクロプロペンは、ここでは、「1−MCP」として知られている。
【0012】
本発明に適用可能なシクロプロペンは任意の方法により調製されてよい。シクロプロペンを調製する幾つかの適切な方法は、米国特許第5,518,988号および第6,017,849号に開示されているプロセスである。
【0013】
植物および植物の部分は様々な生物学的プロセスに支配され、例えば成長、熟成、老化、成熟、器官脱離および分解などの生物学的プロセスを受ける。1つまたはそれ以上の化学的組成物と接触させることによる植物または植物の部分における生物学的プロセスの変更は、植物の成長調節として知られている。植物の成長調節を引き起こす化学的組成物は、ここでは、「植物成長調節剤」として知られている。植物成長調節剤は、プロセスを増強すること(例えば、プロセスを加速する、またはプロセスを高めるなど)により;プロセスを阻害すること(例えば、プロセスを遅くする、またはまたはプロセスを低下させるなど)により;プロセスを開始させることにより;またはこれらの作用の組合せにより、プロセスを変えることができる。1つまたはそれ以上の植物成長調節剤により引き起こされる植物もしくは植物の部分における1つもしくは複数の生物学的プロセスの変更は、ここでは、「植物の応答」として知られている。
【0014】
本発明の実践は、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤の使用を要件とする。植物成長調節剤として有効であり、且つ、シクロプロペンではない任意の化合物が適している。シクロプロペンではない適切な植物成長調節剤の幾つかのクラスの例は、以下の通りである:
(I)エチレン、非シクロプロペンエチレン放出剤、および高いエチレン活性を有する非シクロプロペン化合物。適切なエチレン放出剤は、例えば2−クロロエチルホスホン酸(エテホン)、アブシシン酸、および同様な仕方で器官脱離に影響を及ぼすべく作用する他の非シクロプロペン化合物を含む。高いエチレン活性を有する適切な化合物は、例えば、1つまたはそれ以上の付着されたハロゲン原子を伴う、または付着されたハロゲン原子を伴わない脂肪族炭化水素を含み、例えば2個から5個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル化合物を含み、これらのアルキルまたはアルケニル化合物は、付着されたハロゲン原子を有していてよく、または付着されたハロゲン原子を有していなくてもよい。高いエチレン活性を有する化合物の幾つかの例は、プロピレン、塩化ビニル、一酸化炭素、アセチレン、1−ブテン、および高いエチレン活性を有する他の非シクロプロペン化合物である。また、高いエチレン活性を有する化合物の前駆体である非シクロプロペン化合物も適切である。
(II)エチレン合成を阻害する、もしくはエチレン受容体部位の作用を阻害する、または両者を阻害する非シクロプロペン化合物。適切な例は、活性金属イオン(例えば、銀イオンまたは他の金属イオンなど)を含有する非シクロプロペン化合物を含む。更なる適切な例は、エチレン合成を阻害するレアアミノ酸、例えばアミノエトキシビニルグリシンおよびアミノオキシ酢酸などを含む。
(III)サイトカイニン活性を有する非シクロプロペン化合物。適切な例は、プリン構造を有する非シクロプロペン化合物を含み、例えばベンジルアデニン、キネチン、ゼアチン、アデニン、ジヒドロゼアチン、テトラヒドロピラニルベンジルアデニン、ジメチルアリルアデニン、メチルチオゼアチンおよびエトキシエチルアデニンなどを含む。更なる適切な例は、サイトカイニン応答を引き出す、プリン構造を伴わない非シクロプロペン化合物、例えばベンジルアミノベンゾイミダゾール、クロロフェニルフェニル尿素、ベンズチオゾリオキシ酢酸およびフルオロフェニルビウレット化合物などを含む。
(IV)非シクロプロペンオーキシン。適切な例は、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、インドール酪酸、ナフタレン酢酸、ベータ−ナフトキシ酢酸、4−クロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロオキシ酢酸、トリクロロフェノキシ酢酸、トリクロロ安息香酸および4アミノ3,5,6トリクロロピコリン酸を含む。
(V)ジベレリン。適切なジベレリンは、例えば様々に置換されたジベレリン骨格構造を有するGA、GA、GA、GA、GAおよびGAを含む。更なる適切な例は、ジベレリン様活性を示す非シクロプロペン化合物、例えばヘルミントスポル(helminthosporic)酸、ファゼオール(phaseolic)酸、カウレン酸およびステビオールなどを含む。
(VI)IAAオキシダーゼの補因子および阻害剤。適切な例は、フェニルアラニンまたはチロシン経路の中間体である非シクロプロペンフェノール性阻害剤を含み、例えばクロロゲン酸、クマル酸、クエルシチン、カフェー酸、および他の非シクロプロペンフェノール性阻害剤を含む。
(VII)非シクロプロペン二次成長阻害剤、例えばジャスモン酸メチルなどを含む。
(VIII)非シクロプロペン天然成長ホルモン。適切な非シクロプロペン天然成長ホルモンは、例えばケルプ、藻類およびバクテリアから誘導されたホルモンなどを含む。非シクロプロペン天然成長ホルモンを使用する幾つかの実施態様では、このホルモンは、精製されていない形態で使用される。
【0015】
幾つかの実施態様では、本発明の1つまたはそれ以上の組成物は少なくとも1つのイオン性錯化試薬を含む。イオン性錯化試薬はシクロプロペンと相互作用し、水中において安定な錯体を形成する。幾つかの適切なイオン性錯化試薬は、例えばリチウムイオンなどを含む。幾つかの実施態様では、イオン性錯化試薬は全く使用されない。
【0016】
幾つかの実施態様では、本発明の組成物は分子カプセル化剤を全く含んでいない。他の実施態様では、本発明の1つまたはそれ以上の組成物は少なくとも1つの分子カプセル化剤を含む。
【0017】
分子カプセル化剤が使用される場合、適切な分子カプセル化剤は、例えば有機および無機の分子カプセル化剤を含む。適切な有機分子カプセル化剤は、例えば置換されたシクロデキストリン、置換されていないシクロデキストリン、およびクラウンエーテルを含む。適切な無機分子カプセル化剤は、例えばゼオライトなどを含む。適切な分子カプセル化剤の混合物も適している。本発明の幾つかの実施態様では、カプセル化剤は、α−シクロデキストリン(「α−CD」)、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、またはこれらのシクロデキストリンの混合物である。本発明の幾つかの実施態様では、特にシクロプロペンが1−メチルシクロプロペンである場合、カプセル化剤はα−シクロデキストリンである。好適なカプセル化剤は、R基の大きさに依存して変わるであろう。しかし、当業者が認識する如く、任意のシクロデキストリンもしくはシクロデキストリンの混合物、シクロデキストリンポリマー、修飾シクロデキストリン、または前述のものの混合物も本発明に従って使用することができる。これらのシクロデキストリンは、Wacker Biochem Inc.,Adrian MIまたはCerestar USA,Hammond,INならびに他の売り主から入手可能である。
【0018】
分子カプセル化剤が存在する実施態様のうちの幾つかでは、少なくとも1つの分子カプセル化剤が1つまたはそれ以上のシクロプロペンをカプセル化する。分子カプセル化剤の分子中に分子カプセル化されたシクロプロペンまたは置換シクロプロペンは、ここでは、「シクロプロペン分子カプセル化剤複合体」として知られている。これらのシクロプロペン分子カプセル化剤複合体は任意の手段により調製されてよい。一つの調製方法では、例えば、このような複合体は、シクロプロペンを分子カプセル化剤の溶液またはスラリーと接触させ、次いで、例えば米国特許第6,017,849号に開示されているプロセスを用いて、この複合体を単離することにより調製される。例えば、1−MCPが分子カプセル化剤にカプセル化される複合体を生成する一つの方法においては、1−MCPガスが水中におけるα−シクロデキストリンの溶液中にバブリングされ、この溶液から、先ず、上述の複合体が沈殿し、次いで、濾過により単離される。幾つかの実施態様では、これらの複合体は、前述の方法により生成され、単離後、乾燥され、後に有用な組成物に添加するため、固体の形態で保存され、例えば粉末として保存される。
【0019】
幾つかの実施態様では、1つまたはそれ以上の分子カプセル化剤および1つまたはそれ以上のシクロプロペンの両者が共に組成物中に存在する;このような実施態様のうちの幾つかでは、分子カプセル化剤の量は、分子カプセル化剤のモル数のシクロプロペンのモル数に対する比により有用に特徴付けすることができる。幾つかの実施態様では、分子カプセル化剤のモル数のシクロプロペンのモル数に対する比は0.1以上;または0.2以上;または0.5以上;または0.9以上である。独立して、このような実施態様のうちの幾つかでは、分子カプセル化剤のモル数のシクロプロペンのモル数に対する比は2以下;または1.5以下である。
【0020】
本発明は、少なくとも1つのシクロプロペンを含有する少なくとも1つの組成物(i)の使用を要件とする。組成物(i)は、固体、液体、気体、または前述のものの組合せであってよいことが想定されている。幾つかの実施態様では、組成物(i)における唯一の材料は1つまたはそれ以上のシクロプロペンである。幾つかの実施態様では、組成物(i)は、(少なくとも1つのシクロプロペンに加え)、シクロプロペンではない少なくとも1つの化合物を含んでいる。組成物(i)が2つまたはそれ以上の化合物を含む実施態様では、組成物(i)は、混合物、溶液、分散物(例えば懸濁液、エマルション、マイクロエマルションもしくはミニエマルションなど)または前述のものの組合せであってよい。
【0021】
本発明は、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤を含有する少なくとも1つの組成物(ii)の使用を要件とする。組成物(ii)は、固体、液体、気体、または前述のものの組合せを含み得ることが想定されている。幾つかの実施態様では、組成物(ii)における唯一の材料は、シクロプロペンではない1つまたはそれ以上の植物成長調節剤である。幾つかの実施態様では、組成物(ii)は、(シクロプロペンではない植物成長調節剤である少なくとも1つの化合物に加え)、植物成長調節剤ではなく、且つ、シクロプロペンでもない少なくとも1つの化合物を含んでいる。組成物(ii)が2つまたはそれ以上の化合物を含む実施態様では、組成物(ii)は、混合物、溶液、分散物(例えば懸濁液、エマルション、マイクロエマルションもしくはミニエマルションなど)または前述のものの組合せであってよい。
【0022】
幾つかの実施態様では、器官脱離剤を全く含まない少なくとも1つの組成物(ii)が使用され;このような組成物(ii)は、ここでは、組成物(iv)として分類される。幾つかの実施態様では、少なくとも1つの器官脱離剤を含む少なくとも1つの組成物(ii)が使用される。更に、1つより多くの組成物(ii)が使用される実施態様も想定されており、このようなケースでは、恐らく、少なくとも1つの組成物(iv)、および少なくとも1つの器官脱離剤を含有する少なくとも1つの組成物(ii)を含むであろう。
【0023】
幾つかの実施態様では、組成物(i)および組成物(ii)の両者である少なくとも1つの組成物(iii)が使用され;即ち、組成物(iii)は、ここでは、すくなくとも1つのシクロプロペンと、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤との両者を含有する組成物として定義されている。独立して、幾つかの実施態様では、シクロプロペンではない植物成長調節剤を全く含まない少なくとも1つの組成物(i)が使用される。独立して、幾つかの実施態様では、シクロプロペンを全く含まない少なくとも1つの組成物(ii)が使用される。
【0024】
本発明の実践においては、組成物(i)および組成物(ii)が様々な仕方で植物と接触させられてよい。例えば、組成物(iii)が使用される場合、組成物(iii)は固体、液体、気体、または前述のものの混合物であってよい。
【0025】
幾つかの実施態様(ここでは、「マルチ接触」型実施態様と呼ばれる)では、植物が少なくとも2つの別々な組成物と接触させられる。これらの別々な組成物のうちの1つは組成物(i)(任意に、組成物(iii)であってもよい)であり、これらの別々な組成物のうちの少なくとも1つのそれ以外のものは組成物(ii)(独立して、組成物(iii)であってもよい)であろう。幾つかのマルチ接触型の実施態様では、別々な組成物のうちの組成物(i)は気体であり、また、別々な組成物のうちの組成物(ii)は気体である。独立して、幾つかのマルチ接触型の実施態様では、別々な組成物のうちの組成物(i)は気体であり、別々な組成物のうちの組成物(ii)は液体組成物である。独立して、幾つかのマルチ接触型の実施態様では、別々な組成物のうちの組成物(i)は液体組成物であり、また、別々な組成物のうちの組成物(ii)は液体組成物である。
【0026】
植物の処理は、植物を少なくとも1つの組成物(i)および少なくとも1つの組成物(ii)と任意の順番で接触させることにより果たされてよいことが想定されており、このような順番は同時的な接触を含む。幾つかの実施態様では、植物は少なくとも1つの組成物(i)と接触させられ、この同じ植物が、後に、少なくとも1つの組成物(ii)と接触させられる。幾つかの実施態様では、植物が少なくとも1つの組成物(i)および少なくとも1つの組成物(ii)と同時的に接触させられる。幾つかの実施態様では、植物は少なくとも1つの組成物(ii)と接触させられ、この同じ植物が、後に、少なくとも1つの組成物(i)と接触させられる。幾つかの実施態様では、植物は少なくとも1つの組成物(iii)と接触させられる。上述のいずれの実施態様においても、ここでリストアップされている接触の前、接触中、または接触後に、以下の:追加の組成物(i)、追加の組成物(ii)、組成物(iii)、他の組成物、または前述のものの任意の組合せのうちのいずれか1つまたはそれ以上を用いて、更なる接触が任意に果たされてよい。
【0027】
幾つかの実施態様では、植物は、気体である少なくとも1つの組成物(i)と接触させられる。このような実施態様においては、処理される植物は、組成物(i)が加えられる(約1気圧における)通常の周囲大気により取り囲まれていることが想定されている。幾つかの実施態様では、シクロプロペンの濃度は0.1nl/l(即ち、ナノリットル・パー・リットル)以上;または1nl/l以上、または10nl/l以上;または100nl/l以上である。独立して、幾つかの実施態様では、シクロプロペンの濃度は3,000nl/l以下;または1,000nl/l以下である。
【0028】
幾つかの実施態様では、植物は、気体である少なくとも1つの組成物(ii)と接触させられる。このような実施態様においては、処理される植物は、組成物(ii)が加えられる(約1気圧における)通常の周囲大気により取り囲まれていることが想定されている。幾つかの実施態様では、シクロプロペンではない植物成長調節剤の濃度は0.1nl/l以上;または1nl/l以上、または10nl/l以上;または100nl/l以上である。独立して、幾つかの実施態様では、シクロプロペンの濃度は3,000nl/l以下;または1,000nl/l以下である。
【0029】
幾つかの実施態様では、本発明の実践は、1つまたはそれ以上の液体組成物を要件とする。幾つかの実施態様では、これらの液体組成物は25℃において液体である。幾つかの実施態様では、これらの液体組成物は、本組成物が植物を処理するために使用される温度において液体である。植物は屋外で処理されることが多いため、植物は1℃から45℃までの範囲の温度で処理されうる;適切な液体組成物はこの全温度範囲にわたって液体である必要はないが、適切な液体組成物は、1℃から45℃までのある温度において液体である。
【0030】
液体組成物は単一の純粋な物質であってよく、または1つより多くの物質を含んでいてもよい。液体組成物が1つより多くの物質を含んでいる場合、この液体組成物は溶液もしくは分散物、または前述のものの組合せであってよい。もし、この液体組成物中において、1つの物質が別の物質中に分散物の形態で分散している場合には、この分散物は任意のタイプであってよく、このようなタイプは、例えば懸濁液、ラテックス、エマルション、ミニエマルション、マイクロエマルション、または前述のものの任意の組合せを含む。
【0031】
本発明の実践において、液体組成物である組成物(i)が使用される場合、このような組成物(i)は、ここでは、「LCP」として知られている。液体組成物である組成物(ii)が使用される場合、このような組成物(ii)は、ここでは、「LPGR」として知られている。液体組成物である組成物(iii)が使用される場合、このような組成物(iii)は、ここでは、「LBOTH」として知られている。
【0032】
本発明の幾つかの実施態様では、植物の処理は、この植物をLBOTHである単一の液体組成物と接触させることにより果たされる。幾つかの実施態様(ここでは、「多重液体接触」型実施態様と呼ばれる)では、植物の処理は、この植物を1つより多くの液体組成物と接触させることを含む。幾つかの多重液体接触型の実施態様では、これらの液体組成物のうちの少なくとも1つはLBOTHであり、残りの1つまたは複数の液体組成物は、以下の:LCP;LPGR;LBOTH;LCP、LPGRもしくはLBOTHでない液体組成物;または前述のものの任意の組合せのうちのいずれか1つもしくはそれ以上であってよい。幾つかの多重液体接触型の実施態様では、少なくとも1つの液体組成物はLCPであり、少なくとも1つの液体組成物はLPGRであり、任意の残りの液体組成物(何らかのものが使用されている場合)は、以下の:LCP;LPGR;LBOTH;LCP、LPGRもしくはLBOTHでない液体組成物;または前述のものの任意の組合せのうちのいずれか1つもしくはそれ以上であってよい。
【0033】
少なくとも1つのLCPが使用される実施態様においては、このLCP中におけるシクロプロペンの量は、組成物のタイプおよび意図される使用方法に依存して広範囲に変わり得る。幾つかの実施態様では、シクロプロペンの量は、このLCPの合計重量に基づき、4重量%以下;または1重量%以下;または0.5重量%以下;または0.05重量%以下である。独立して、幾つかの実施態様では、シクロプロペンの量は、このLCPの合計重量に基づき、0.000001重量%以上;または0.00001重量%以上;または0.0001重量%以上;または0.001重量%以上である。
【0034】
水を含有する少なくとも1つのLCPを使用する本発明の実施態様においては、シクロプロペンの量は、パーツ・パー・ミリオン(即ち、このLCP中における1,000,000重量部の水あたりのシクロプロペンの重量部数、「ppm」)またはパーツ・パー・ビリオン(即ち、このLCP中における1,000,000,000重量部の水あたりのシクロプロペンの重量部数、「ppb」)として特徴付けられてよい。幾つかの実施態様では、シクロプロペンの量は1ppb以上;または10ppb以上;または100ppb以上である。独立して、幾つかの実施態様では、シクロプロペンの量は10,000ppm以下;または1,000ppm以下である。
【0035】
幾つかの実施態様では、幾分かもしくはすべてのシクロプロペンが1つまたはそれ以上のカプセル化剤中にカプセル化されている少なくとも1つのLCPが使用される。独立して、幾つかの実施態様では、幾分かもしくはすべてのシクロプロペンが1つまたはそれ以上のカプセル化剤中にカプセル化されている少なくとも1つのLBOTHが使用される。
【0036】
少なくとも1つのLPGRが使用される実施態様においては、このLPGR中におけるシクロプロペンではない植物成長調節剤の量は、組成物のタイプ、所望の植物応答、および意図される使用方法のうちの1つまたはそれ以上に依存して広範囲に変わり得る。幾つかの実施態様では、シクロプロペンではない植物成長調節剤の量は、このLPGRの合計重量に基づき、4重量%以下;または1重量%以下;または0.5重量%以下;または0.05重量%以下である。独立して、幾つかの実施態様では、シクロプロペンではない植物成長調節剤の量は、このLPGRの合計重量に基づき、0.000001重量%以上;または0.00001重量%以上;または0.0001重量%以上;または0.001重量%以上である。
【0037】
水を含有する少なくとも1つのLPGRを使用する本発明の実施態様の中で、幾つかの実施態様においては、シクロプロペンではない植物成長調節剤の量は1ppb以上;または10ppb以上;または100ppb以上である。独立して、幾つかの実施態様では、シクロプロペンではない植物成長調節剤の量は10,000ppm以下;または1,000ppm以下である。
【0038】
幾つかの実施態様では、本発明の組成物は1つまたはそれ以上の金属錯化剤を全く含んでいない。幾つかの実施態様では、本発明の1つもしくはそれ以上の組成物は1つまたはそれ以上の金属錯化剤を含んでいる。
【0039】
1つまたはそれ以上の液体組成物が使用される実施態様の中で、このような実施態様のうちの幾つかにおいては、1つもしくはそれ以上の金属錯化剤が1つもしくはそれ以上のLCPに含まれていてよく、独立して、1つもしくはそれ以上のLPGRに含まれていてよく、独立して、1つもしくはそれ以上のLBOTHに含まれていてよく、または前述のものの任意の組合せに含まれていてよい。金属錯化剤は、金属原子と配位結合を形成することができる1つまたはそれ以上の電子供与体原子を含有する化合物である。幾つかの金属錯化剤はキレート化剤である。本明細書で使用する場合、「キレート化剤」は金属原子と配位結合を形成することができる2つまたはそれ以上の電子供与体原子を含有した化合物であり、キレート化剤の単一分子は、単一の金属原子と2つまたはそれ以上の配位結合を形成することができる。適切なキレート化剤は、例えば有機および無機のキレート化剤を含む。中でもとりわけ適切な無機キレート化剤は、例えば、リン酸塩、例えばピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムおよびヘキサメタリン酸などである。中でもとりわけ適切な有機キレート化剤は、大環状構造および非大環状構造を有するキレート化剤である。中でもとりわけ適切な大環状有機キレート化剤は、例えばポルフィン化合物、環状ポリエーテル(クラウンエーテルとも呼ばれている)、および窒素原子と酸素原子の両方を有する大環状化合物である。
【0040】
非大環状構造を有する幾つかの適切な有機キレート化剤は、例えばアミノカルボン酸、1,3−ジケトン、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、アミノアルコール、芳香族ヘテロ環式塩基、フェノール、アミノフェノール、オキシム、Shiff塩基、イオウ化合物、および前述のものの混合物である。幾つかの実施態様では、このキレート化剤は、1つもしくはそれ以上のアミノカルボン酸、1つもしくはそれ以上のヒドロキシカルボン酸、1つもしくはそれ以上のオキシム、または前述のものの混合物を含む。幾つかの適切なアミノカルボン酸は、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−ジヒドロキシエチルグリシン(2−HxG)、エチレンビス(ヒドロキシフェニルグリシン)(EHPG)、および前述のものの混合物を含む。幾つかの適切なヒドロキシカルボン酸は、例えば酒石酸、クエン酸、グルコン酸、5−スルホスリチル酸、および前述のものの混合物を含む。幾つかの適切なオキシムは、例えばジメチルグリオキシム、サリチルアルドキシム、および前述のものの混合物を含む。幾つかの実施態様ではEDTAが使用される。
【0041】
幾つかの更なる適切なキレート化剤はポリマーである。幾つかの適切なポリマーキレート化剤は、例えばポリエチレンイミン、ポリメタクリロイルアセトン、ポリ(アクリル酸)およびポリ(メタクリル酸)を含む。ポリ(アクリル酸)が幾つかの実施態様において使用される。
【0042】
キレート化剤ではない幾つかの適切な金属錯化剤は、例えば、アルカリ炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムなどである。
【0043】
金属錯化剤は中性の形態、または1つもしくはそれ以上の塩の形態で存在していてよい。適切な金属錯化剤の混合物も適している。
【0044】
本発明の幾つかの実施態様では、本組成物は水を全く含まない。
【0045】
幾つかの実施態様では、本発明の組成物のうちの1つまたはそれ以上は水を含み;このような実施態様のうちの幾つかにおいては、前述の水は1つもしくはそれ以上の金属イオン、例えば鉄イオン、銅イオン、他の金属イオン、または前述のものの混合物などを含んでいる。幾つかの実施態様では、前述の水は0.1ppmもしくはそれより多量の1つまたはそれ以上の金属イオンを含んでいる。
【0046】
1つまたはそれ以上の金属錯化剤を使用する実施態様においては、使用される金属錯化剤の量は広範囲に変わり得る。少なくとも1つの液体組成物が使用される幾つかの実施態様においては、前述の液体組成物中における金属錯化剤の量は、この金属錯化剤を含有する液体組成物中に存在している量の金属イオン、または存在しているものと期待される量の金属イオンと錯体を形成するのに充分な量であるように調節されるであろう。例えば、ある金属イオンを含有した水を含む本発明の液体組成物が使用される幾つかの実施態様においては、比較的効率的な金属錯化剤(即ち、水中のすべての金属イオンまたは殆どすべての金属イオンと錯体を形成する金属錯化剤)が使用される場合、金属錯化剤のモル数の金属イオンのモル数に対する比は0.1以上;または0.2以上;または0.5以上;または0.8以上であろう。比較的効率的な金属錯化剤を使用するこのような実施態様において、金属錯化剤のモル数の金属イオンのモル数に対する比は2以下;または1.5以下;または1.1以下であろう。効率性の低い金属錯化剤が使用される場合、この低めの効率を補償するため、金属錯化剤のモル数の金属イオンのモル数に対する比は高められ得ることが想定されている。
【0047】
独立して、液体組成物が使用される幾つかの実施態様においては、金属錯化剤の量は、この液体組成物の合計重量に基づき、25重量%以下;または10重量%以下;または1重量%以下である。独立して、幾つかの実施態様では、金属錯化剤の量は、この液体組成物の合計重量に基づき、0.00001%以上;または0.0001%以上;または0.01%以上である。
【0048】
独立して、水を含有した液体組成物が使用される幾つかの実施態様においては、金属錯化剤の量は、この水中における金属錯化剤のモル濃度(即ち、水1リットル当たりの金属錯化剤のモル数)により有用に特徴付けすることができる。このような液体組成物のうちの幾つかにおいては、金属錯化剤の濃度は0.00001mM(即ち、ミリモル)以上;または0.0001mM以上;または0.001mM以上;または0.01mM以上;または0.1mM以上である。独立して、本発明の液体組成物が水を含有する幾つかの実施態様では、金属錯化剤の濃度は100mM以下;または10mM以下;または1mM以下である。
【0049】
本発明の幾つかの実施態様では、1つまたはそれ以上の組成物に1つまたはそれ以上の補助剤も含まれている。補助剤の使用は、本発明の実践において任意であると考えられている。使用される何らかの補助剤は、1つもしくはそれ以上の組成物(i)または1つもしくはそれ以上の組成物(ii)中に含まれていてよい。補助剤は単独で用いられてよく、または任意の組合せにおいて使用されてもよい。1つより多くの補助剤が使用される場合、1つまたはそれ以上の補助剤の任意の組合せを使用できることが想定されている。幾つかの適切な補助剤は、界面活性剤、アルコール、炭化水素油、エキステンダー、顔料、充填剤、結合剤、可塑剤、潤滑剤、湿潤剤、展着剤、分散剤、固着剤、接着剤、泡消し剤、増粘剤、輸送剤および乳化剤である。1つより多くの組成物が使用される場合、何らかの補助剤もしくはすべての補助剤の存在または不在は、それぞれの組成物に対して独立して決定されてよい。1つより多くの補助剤を含有する何らかの組成物において、補助剤の組合せは、他の組成物とは独立して、この組成物に対して決定されてよい。
【0050】
幾つかの実施態様では、アルコール、炭化水素油、アルコール、および前述のものの混合物から選択される少なくとも1つの補助剤を含有した少なくとも1つの組成物が使用され;このような組成物は、1つまたはそれ以上の界面活性剤を付加的に含んでいてよく、または含んでいなくてもよく;更に、このような組成物は、組成物(i)もしくは組成物(ii)、または組成物(iii)であってよい。
【0051】
1つまたはそれ以上の液体組成物(即ち、LCP、LPGRもしくはLBOTHのうちの1つまたはそれ以上)が使用される実施態様においては、例えば以下の液体組成物のうちのいずれか1つまたはそれ以上の使用を含む様々な実施態様が想定されている:1つまたはそれ以上の界面活性剤を含んでいるが、炭化水素油およびアルコールを全く含んでいない液体組成物;1つまたはそれ以上の炭化水素油を含んでいるが、界面活性剤およびアルコールを全く含んでいない液体組成物;ならびに、1つまたはそれ以上のアルコールを含んでいるが、界面活性剤および炭化水素油を全く含んでいない液体組成物。幾つかの実施態様では、それぞれの液体組成物が1つもしくはそれ以上の界面活性剤および1つもしくはそれ以上の炭化水素油を含んでいる1つもしくはそれ以上の液体組成物が使用され;または、それぞれの液体組成物が1つもしくはそれ以上の界面活性剤および1つもしくはそれ以上のアルコールを含んでいる1つもしくはそれ以上の液体組成物が使用される。幾つかの実施態様では、それぞれの液体組成物が1つもしくはそれ以上の界面活性剤、1つもしくはそれ以上の炭化水素油および1つもしくはそれ以上のアルコールを含んでいる1つもしくはそれ以上の液体組成物が使用される。
【0052】
幾つかの実施態様では、有機ケイ酸塩化合物を全く含んでいない少なくとも1つのLPGRが使用される。独立して、幾つかの実施態様では、有機ケイ酸塩化合物を全く含んでいない少なくとも1つのLBOTHが使用される。独立して、幾つかの実施態様では、有機ケイ酸塩化合物は全く使用されない。
【0053】
本発明の幾つかの実施態様では、1つまたはそれ以上の界面活性剤が使用される。適切な界面活性剤は、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびこれらの界面活性剤の混合物を含む。
【0054】
一つの群の適切なアニオン性界面活性剤はスルホスクシネートであり、例えばモノ−およびジアルキルスルホスクシネートのアルカリ塩などを含む。幾つかの実施態様では、ジアルキルスルホスクシネートのナトリウム塩が使用され、これらのナトリウム塩は、例えば4個もしくはそれ以上の炭素、または6個もしくはそれ以上の炭素を持ったアルキル基を有するジアルキルスルホスクシネートのナトリウム塩を含む。幾つかの実施態様では、ジアルキルスルホスクシネートのナトリウム塩が使用され、これらのナトリウム塩は、例えば18個もしくはそれ以下の炭素;または14個もしくはそれ以下の炭素;または10個もしくはそれ以下の炭素を持ったアルキル基を有するジアルキルスルホスクシネートのナトリウム塩を含む。ジアルキルスルホスクシネートの一つの適切なナトリウム塩は、例えばジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムである。ジアルキルスルホスクシネートの一つの他の適切なナトリウム塩は、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである。
【0055】
別の群の適切なアニオン性界面活性剤はスルフェートおよびスルホネートであり、例えばアルキルスルフェートのアルカリ塩を含む。幾つかの実施態様では、アルキルスルフェートのナトリウム塩が使用され、これらのナトリウム塩は、例えば4個以上の炭素、または6個以上の炭素、または8個以上の炭素を持ったアルキル基を有するアルキルスルフェートのナトリウム塩を含む。幾つかの実施態様では、アルキルスルフェートのナトリウム塩が使用され、これらのナトリウム塩は、例えば18個以下の炭素;または14個以下の炭素;または10個以下の炭素を持ったアルキル基を有するアルキルスルフェートのナトリウム塩を含む。アルキルスルフェートの一つの適切なナトリウム塩は、例えばドデシル硫酸ナトリウムである。
【0056】
幾つかの適切な界面活性剤は、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリグリセロールエステル、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート(例えば、Dowから入手可能なTriton(商標)X−100など)、臭化セチルピリジニウム、エトキシル化アルキルアミン、アルコールアミン(例えばエタノールアミンなど)、サポニン、およびシリコーンをベースとした界面活性剤(例えば、OSi Specialtiesから入手可能なSilwet(商標)L−77など)である。
【0057】
適切な界面活性剤の混合物も適している。
【0058】
適切な界面活性剤は様々な特性を有している。例えば、幾つかの界面活性剤はシクロプロペンを特定の植物または植物の部分と接触した状態のまま留める能力において優れており;幾つかの界面活性剤は本調合物の他の成分に容易に溶け;幾つかの界面活性剤は植物または植物の部分に薬害をもたらさない。すべての特性で卓越した界面活性剤は非常に僅かであるが、1つまたはそれ以上の界面活性剤が使用される場合、実践者は、例えば処理されることが望まれている種、および本組成物において使用すべく意図されている他の成分などを考慮に入れ、所望の用途に最も適した特性のバランスを有する界面活性剤または界面活性剤の混合物を容易に選ぶことができるであろう。
【0059】
1つまたはそれ以上の界面活性剤を含有した1つまたはそれ以上の液体組成物が使用される実施態様においては、幾つかの液体組成物は、この液体組成物の合計重量に基づき、重量で0.025%以上;または0.05%以上;または0.1%以上の量の界面活性剤を含んでいる。独立して、幾つかの液体組成物は、この液体組成物の合計重量に基づき、重量で75%以下;または50%以下;または20%以下;または5%以下;または2%以下;または1%以下;または0.5%以下;または0.3%以下の量の界面活性剤を使用する。
【0060】
1つまたはそれ以上の液体組成物が使用される実施態様の中で、幾つかの液体組成物においては、1つまたはそれ以上の炭化水素油が使用される。炭化水素油は、6個もしくはそれ以上の炭素原子を有する直鎖状、分枝状または環状のアルカン化合物である。幾つかの実施態様では、炭化水素油は石油の蒸留から得られ、幾つかのケースにおいては不純物と共にアルカン化合物の混合物を含んでいる。幾つかの実施態様では、6個以上の炭素原子を含有する炭化水素油が使用される。幾つかの実施態様では、18個以下の炭素原子を含有する炭化水素油が使用される。幾つかの適切な炭化水素油は、例えばヘキサン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ディーゼル油、精製パラフィン油(例えば、Sun Companyから入手可能なUltrafine(商標)スプレーオイルなど)、および前述のものの混合物を含む。
【0061】
炭化水素油を使用する液体組成物の中で、幾つかの液体組成物は、この液体組成物の合計重量に基づき、重量で0.25%もしくはそれ以上;または0.5%もしくはそれ以上;または1%もしくはそれ以上の量の炭化水素油を使用する。独立して、炭化水素油を使用する液体組成物の中で、幾つかの液体組成物は、この液体組成物の合計重量に基づき、重量で90%もしくはそれ以下;または50%もしくはそれ以下;または10%もしくはそれ以下;または5%もしくはそれ以下;または4%もしくはそれ以下;または3%もしくはそれ以下の量の炭化水素油を使用する。
【0062】
1つまたはそれ以上の液体組成物が使用される実施態様の中で、幾つかの液体組成物においては、1つまたはそれ以上のアルコールが使用される。適切なアルコールは、例えばアルキルアルコールおよび他のアルコールを含む。本明細書で使用する場合、アルキルアルコールは一つのヒドロキシル基を有するアルキル化合物であり;前述のアルキル基は直鎖状、分枝状、環状、または前述のものの組合せであってよく;このアルコールは第一級、第二級または第三級であってよい。幾つかの実施態様では、2個またはそれ以上の炭素原子を有するアルキル基を持ったアルキルアルコールが使用される。幾つかの実施態様では、エタノール、イソプロパノール、または前述のものの混合物が使用される。幾つかの実施態様では、20個もしくはそれ以下の炭素原子;または10個もしくはそれ以下の炭素原子;または6個もしくはそれ以下の炭素原子;または3個もしくはそれ以下の炭素原子を有するアルキル基を持った1つもしくはそれ以上のアルキルアルコールが使用される。
【0063】
アルコールを使用する液体組成物の中で、幾つかの液体組成物は、この液体組成物の合計重量に基づき、重量で0.25%もしくはそれ以上;または0.5%もしくはそれ以上;または1%もしくはそれ以上の量のアルコールを使用する。また、アルコールを使用する液体組成物の中で、幾つかの液体組成物は、この液体組成物の合計重量に基づき、重量で90%もしくはそれ以下;または50%もしくはそれ以下;または10%もしくはそれ以下;または5%もしくはそれ以下;または4%もしくはそれ以下;または3%もしくはそれ以下の量のアルコールを使用する。
【0064】
本発明の種々の成分は、任意の手段により任意の順番で混ぜ合わされてよい。
【0065】
本発明の実践において、植物の処理は、本発明の1つまたは複数の組成物が植物と接触するのを可能にする任意の方法により実施されてよい。1つまたはそれ以上の液体組成物が使用される実施態様において、幾つかの接触方法の例は、例えば噴霧法、発泡法、雲霧法、注液法、刷毛塗り法、浸漬法、種々の同様な方法、および前述の方法の組合せである。幾つかの実施態様では、噴霧法もしくは浸漬法、またはこれら両方の方法が使用される。幾つかの実施態様では噴霧法が使用される。
【0066】
植物が本発明の1つまたはそれ以上の組成物と接触させられた後、この植物と相互作用する何らかの成分が直ぐに前述の相互作用を始めてよく、またはこのような成分が、相互に独立して、後で植物と相互作用してもよい。例えば、本液体組成物は、この植物の全体または一部に放出塗膜を形成し、1つまたはそれ以上の成分が長い時間にわたってこの植物との相互作用に利用できるようになってもよい。
【0067】
幾つかの実施態様では、本発明の組成物は1つまたはそれ以上の植物を処理するために使用される。処理を実施する際、本発明の組成物は、この植物全体と接触させられてよく、または1つもしくはそれ以上の植物の部分と接触させられてもよいことが想定されている。植物のこれらの部分は、植物の任意の部分を含み、例えば花、芽、観賞用の花、種子、切り枝、根、球根、果実、野菜、葉、および前述のものの組合せなどを含む。
【0068】
幾つかの植物は、1つまたはそれ以上の植物の部分が有用な産物であると考えられるときには、このような部分を取得する目的で育てられる。このような有用な植物の部分の取得は収穫として知られている。本発明の幾つかの実施態様では、有用な植物の部分を産する植物は、これらの有用な植物の部分を収穫する前に、本発明の組成物(群)で処理される。このような実施態様では、使用される各組成物は、使用され得る他の任意の組成物とは独立して、この植物の全体と接触させられてよく、またはこの植物のある部分と接触させられてよい。本組成物が植物の一部と接触させられる場合、この部分は、収穫することが意図されている有用な植物の部分を含んでいてよく、またはこの有用な植物の部分を含んでいなくてもよい。
【0069】
幾つかの実施態様では、植物は土壌に根付かされている間に処理される。幾つかの実施態様では、植物は生きている間に処理される。幾つかの実施態様では、発芽後であるが、何らかの有用な植物の部分が収穫される前の段階で、少なくとも1つの処理が植物に対して実施される(このような処理は、ここでは、「収穫前」処理と呼ばれる)。幾つかの収穫前処理においては、植物は、開花後、少なくとも1回処理される(植物が開花する前に、付加的な処理が実施されてよく、または実施されなくてもよい)。独立して、果実または野菜を産する植物の幾つかの収穫前処理においては、植物は、果実または野菜が結実した後、少なくとも1回処理される(果実または野菜が結実する前に、付加的な処理が実施されてよく、または実施されなくてもよい)。
【0070】
適切な処理は、農地、庭、建物(例えば温室など)、または他の場所に植えられた1つまたは複数の植物に対して実施されてよい。また、適切な処理は、室外の土地、1つもしくはそれ以上の容器(例えば植木鉢、プランター、花瓶など)、区切られた苗床もしくは高められた苗床、または他の場所に植えられた1つもしくはそれ以上の植物に対して実施されてよい。
【0071】
幾つかの実施態様では、本発明はカンキツ類植物(即ち、Citrus属の任意の植物)の処理を要件とする。カンキツ類植物は、例えばオレンジ、グレープフルーツ、タンジェリン、レモン、ライム、前述のものの変種、および前述のものの雑種を産する植物を含む。
【0072】
幾つかの実施態様では、本発明は任意の非カンキツ類植物(即ち、Citrus属でない任意の植物)の処理を要件とする。適切な非カンキツ類植物の幾つかの例は、例えば以下のカテゴリーのうちの1つまたはそれ以上から選択される有用な植物の部分を産する植物を含む:野菜、非カンキツ類果実、食用の(または別な意味で有用な)葉、食用の(または別な意味で有用な)樹液、花、根、種子、穀物、ナッツ、有用な繊維、または前述のものの任意の組合せ。特定の有用な植物の部分は、ときとして、1つより多くのカテゴリーに属するものとして分類されることが認識される。例えば、一般的には「野菜」として分類されている幾つかの植物の部分は、ときとして、「果実」として分類されることがある。また、上でリストアップされているそれぞれのカテゴリーの中で、サブカテゴリー用に一般的に使用されている幾つかの用語が互いに重複することも認識される。ここでは、適切であるとして開示されている任意の群の植物は、この開示されている群の種々の植物が何らかの他の開示されている群の適切な植物と重複しているか否かにかかわらず、本発明の実践に適していることが想定されている。
【0073】
果実を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、非カンキツ類の多肉果を産する植物、および乾果を産する植物である。多肉果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、石果(即ち、1つまたはそれ以上の種子を取り巻く石状の内層を伴う多肉果)を産する植物であり、これらの石果は、例えばサクランボ、コーヒー豆、桃、ココナッツ、アーモンド、および他の多肉質の石果を含む。多肉果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの更なる例は、非カンキツ類の液果(即ち、石状の層を持っていない多肉果)を産する植物であり、これらの液果は、例えばブドウ、トマト、スイカ、キュウリ、カボチャ、トウナス、および他の非カンキツ類の液果を含む。多肉果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの付加的な例は、ナシ状果(即ち、多肉質の付帯層により取り囲まれた軟骨用の果芯を伴う多肉果)を産する植物であり、これらのナシ状果は、例えばリンゴ、ナシ、マルメロ、および他のナシ状果を含む。
【0074】
乾果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、裂開果(即ち、種子を落とすために自然に開く乾果)を産する植物であり、これらの裂開果は、例えばマメ果(例えばグリーンビーンズ、白インゲンマメ、エンドウマメ、アメリカハナズオウ、アメリカサイカチ、ニセアカシア、および他のマメ果など)、長角果(例えばキャベツなど)、およびさく果(例えばポピーなど)を含む。
【0075】
乾果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの更なる例は、閉果(即ち、種子を落とすために自然に開かない乾果)を産する植物である。閉果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は痩果(果実から分離した種皮を伴う、小さな単一種子乾果)であり、これらの痩果は、例えばイチゴおよび他の痩果を含む。閉果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの更なる例は穀果(果皮に融合した種皮を伴う、小さな単一種子乾果)であり、これらの穀果は、例えばコメ、コムギ、トウモロコシ、オートムギ、オオムギ、および他の穀粒を含む。閉果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの尚も付加的な例は下位痩果(果実上に付帯層を伴う、小さな単一種子乾果)であり、これらの下位痩果は、例えばヒマワリおよびデイジー科の他のメンバーを含む。閉果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの尚も更なる例は翼果(大きな翼様の派生物を伴う、小さな単一種子乾果)であり、これらの翼果は、例えばセイヨウトネリコ、ニレ、およびカエデを含む。閉果を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの一層の更なる例は堅果(葉のような付属物により部分的にまたは完全に取り囲まれた堅い子房壁を伴う乾果)であり、これらの堅果は、例えばドングリ、ハシバミの実、および他の木の実を含む。
【0076】
野菜を産する適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、水生食用植物を産する植物であり、これらの水生食用植物は、例えばオランダガラシ、コメ、ウォーターチェストナット、および他の水生食用植物などである。野菜を産する更なる適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、ビーンズを産する植物であり、これらのビーンズは、例えばマメ果、ヒヨコマメ、ダイズ、マングビーン、サヤインゲン、蔓性のマメ、サヤマメ、および他のビーンズなどである。野菜を産する尚も適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、球根作物を産する植物であり、これらの球根作物は、例えばニンニク、タマネギ、ネギ、ラッキョ、エシャロット、および他の球根作物などである。野菜を産する更なる適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、菜作物を産する植物であり、これらの菜作物は、例えばブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、チンゲンサイ、コラード、ケール、カラシナ、ダイコン、カブカンラン、セイヨウアブラナ、カブ、および他の菜作物などを含む。野菜を産する尚も更なる適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、ウリを産する植物であり、これらのウリは、例えばカンタロープメロン、キュウリ、ガーキン、ゴード、カサバメロン、ハネデューメロン、カボチャ、トウナス、スイカ、ズッキーニ、および他のウリなどを含む。野菜を産する尚も更なる適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、食用の塊茎および根を産する植物であり、これらの塊茎および根は、例えばクシュクシュ(cushcush)、ショウガ、クズイモ、パースニップ、ジャガイモ、ダイコン、カブカンラン、サツマイモ、カブ、ヤムイモ、および他の食用の塊茎および根などを含む。野菜を産する尚も更なる適切な非カンキツ類植物における幾つかの例は、葉菜を産する植物であり、これらの葉菜は、例えばシラントロ、レタス、エンダイブ、キクヂシャ、ホウレンソウ、タンポポ、および他の葉菜などである。
【0077】
食べられない有用な植物の部分を産する植物、例えばタバコ、木綿、亜麻などを産する植物、および食べられない有用な球根を産する植物も適切な非カンキツ類植物として想定されている。また、それらの植物から有用な材料を抽出することができる植物も適切な非カンキツ類植物として想定されており;このような有用な材料は、例えば製造用の原料、医学的に有用な材料、および他の目的にとって有用な材料であってよい。
【0078】
更に、それらの植物が有する美的特性及び/又は観賞特性にとって有用な植物の部分を産する植物も適切な非カンキツ類植物として想定されている。このような観賞用の植物の部分は、例えば花および他の観賞用の植物の部分を含み、前述の他の観賞用の植物の部分は、例えば観賞用の葉などである。幾つかの実施態様では、一つの観賞用の植物全体が有用な植物の部分であると見なされる。
【0079】
幾つかの実施態様では、本発明の実践は非カンキツ類植物の処理に限られている。
【0080】
幾つかの実施態様では、Nicotiana属のメンバーではない植物が処理される。
【0081】
本発明の幾つかの実施態様では、一群の植物が同時的または逐次的に処理される。このような一群の植物における一つの特質は作物の収穫高であり、この作物の収穫高は、定められた一群の植物から集められた有用な植物の部分の重量(ここでは、「作物重量」と呼ばれる)として定義される。作物の収穫高に関する一つの有用な定義においては、定められた一群の植物は、特定の面積の土地を占有する植物群である(この定義は、植物が広大な農地における連続的な群れで育っているときに使用されることが多い)。作物の収穫高に関する別の有用な定義においては、定められた一群の植物は、特定の個数の個別的に同定された植物である(この定義は任意の群の植物に対して使用することができ、このような植物群は、例えば農地の植物、鉢植えの植物、温室の植物、または前述のものの任意の組合せを含む)。
【0082】
作物重量に寄与する、集められた植物の部分は、これらの植物の部分が植物の部分のタイプにとって適切な最低品質基準を満たしていることが想定されている。即ち、特定の植物から植物の部分が収穫されたときの作物重量は、これらの植物から収穫された、許容可能な品質を有する植物の部分の重量である。許容可能な品質は、興味対象であるこの植物の部分の収穫者または取扱者が用いる任意の通常の判定基準により決定されてよい。植物の部分の許容可能な品質に関するこのような判定基準は、例えば大きさ、重さ、硬さ、傷みに対する抵抗力、香り、糖質/デンプン質のバランス、色、美しさ、他の品質基準、または前述のものの任意の組合せのうちの1つまたはそれ以上であってよい。また、植物の部分がその品質(上述のいずれかの判定基準により判定された品質)を維持する時間の長さも、単独で、または前述のいずれかの判定基準と組み合わせて、品質の判定基準として想定されている。
【0083】
作物重量に寄与するこれらの植物の部分は、ここでは、「作物」として知られている。即ち、一群の植物が特定されて、これらの植物の部分が収穫され、そして、適切な最低品質基準を満たしている、収穫された植物の部分の収集は、この特定された植物群から得られた作物として知られている。幾つかの実施態様では、適切な一群の植物は、特定の個々の植物を同定することにより決定され;例えば、50個からなる個々の植物の一群のが同定されてよく、または100個からなる個々の植物の一群もしくは500個からなる個々の植物の一群が同定されてよい。幾つかの実施態様では、適切な一群の植物は、植えられる農地の面積を同定することにより決定され;例えば、0.01ヘクタールの面積が同定されてよく、または0.1ヘクタール、もしくは1ヘクタール、もしくは10ヘクタール、もしくは100ヘクタールの面積が同定されてよい。
【0084】
本発明の幾つかの実施態様では、本発明の方法を用いた一群の植物の処理は、本発明の方法を用いて処理されなかった場合にこの一群の植物から得られたものと考えられる作物の収穫量に比べ、この一群の植物から得られる作物の収穫高を増大させるであろう。この作物の収穫高の増大は、広範囲にわたる様々な様式のうちのどの様式で得られてもよい。例えば、得られる作物の収穫高の一つの様式における増大は、各植物がより多くの個数の有用な植物の部分を産し得ることであってよい。別の例として、得られる作物の収穫高の一つの様式における増大は、各有用な植物の部分がより大きな重量を有し得ることであってよい。第三の例として、潜在的に有用な植物の部分のうちのより大きな個数が許容可能な品質に関する最低基準を満たした場合に、作物の収穫高を高めることができる。また、他の様式における作物の収穫高の増大も本発明の実践からもたらされてよい。種々の様式の任意の組合せにより生じる作物の収穫高の増大も想定されている。
【0085】
本発明の幾つかの実施態様を実践することによりもたらされるものと想定されている別の便益性は、作物の全般的な品質が改善され得ることである。即ち、本発明の方法により生産された作物は、この作物に対する適切な品質判定基準により判定したときに、本発明の方法を用いることなく生産された比較用作物よりも高い全般的または平均的品質レベルを呈することができる。幾つかのケースにおいては、このような高品質の作物は、販売するときに、一層高い価格を要求することができる。
【0086】
本発明の実践から様々な便益性がもたらされ得る。処理された植物にもたらされるこれらの有益な効果は、例えば、以下の効果(これらのうちの幾つかの効果は本明細書において上で検討されており、また、これらのうちの幾つかの効果は本明細書において上で検討されているものとは異なる)のうちの1つまたはそれ以上を含む:バイオマス量の増大、バイオマスの高品質化、果実の増加、果実の大きさの増大(望まれる場合)、果実の大きさの減少(望まれる場合)、収穫のタイミング(望みに応じた早期化または遅延化)、細胞膨圧の減少、褐斑の減少、ストレス反応の低下、損傷反応の低下、収穫された植物の部分の貯蔵寿命増大、頂芽優性、器官脱離防止、老化防止、黄化防止、成長中の活力改善、輸送(transit)中の活力改善、植え換え中の活力改善、および前述のものの組合せ。
【0087】
本明細書および特許請求の範囲の目的上、ここで言及されている範囲および比の限度は組み合わせられ得ることを理解すべきである。例えば、ある特定のパラメーターに対して60から120まで、および80から110までの範囲が言及されている場合には、60から110まで、および80から120までの範囲も想定されている。別の例として、ある特定のパラメーターに対して1、2および3の最小値が言及されており、また、このパラメーターに対して4および5の最大値が言及されている場合には、以下の範囲もすべて想定されているものと理解される:1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から5まで、3から4まで、および3から5まで。
【実施例】
【0088】
以下の実施例では、次の成分を使用した:
複合体C1=Rohm and Haas Co.から入手可能な、重量で3.3%の1−MCPを含有するSmartFresh(商標)粉末(1−MCP/α−CD複合体)
EDTA=エチレンジアミン四酢酸
補助剤1=Sun Companyから入手可能なUltrafine(商標)スプレーオイル
補助剤2=アルキルスルホスクシネート界面活性剤。
【0089】
(実施例1)
以下の3種類の調合物を作成した:
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
Silver Queenトウモロコシを畑に植え、穂が現れてから1週間後に一回噴霧し、ランオフした。噴霧後、このトウモロコシを普通に発育させ、トウモロコシの穂軸を収穫し、計量した。「処理」は、特定の調合物で噴霧された連続的なトウモロコシの茎の群であった。各処理におけるトウモロコシの茎の本数は同様であり、平均して55本であった。使用した調合物はそのままの水、ならびに調合物A、BおよびCであった。各調合物に対して報告された結果は、この調合物を用いて為された処理についての合計収穫重量である。これらの結果は以下の通りであった:
【0094】
【表4】

【0095】
調合物Cを用いた処理は、他のどの処理よりも、より良好な作物の収穫高をもたらした。
【0096】
(実施例2)
Miraiスイートコーンを畑に植え、実施例1の場合と同様に処理した。各処理におけるトウモロコシの茎の本数は同様であり、平均して53本であった。これらの結果は以下の通りであった:
【0097】
【表5】

【0098】
調合物Cを用いた処理は、他のどの処理よりも、より良好な作物の収穫高をもたらした。
【0099】
(実施例3)
Mountain Freshトマトを温室で育て、最初の果実が実った時点で、実施例1で定義されている通りの調合物Aおよび調合物Bを用いて一回噴霧し、ランオフした。これらの植物は、以下のうちの一つの処理を受けた:
a.水を一回噴霧
b.調合物Aを一回噴霧
c.調合物Bを一回噴霧
d.調合物Aを一回噴霧し、次いで、1日後に調合物Bを一回噴霧。
【0100】
これらの結果は以下の通りであった:
【0101】
【表6】

【0102】
調合物AとBの両方を用いたトマトの処理は、他のどの処理よりも良好な作物の収穫高をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非カンキツ類植物を、少なくとも1つのシクロプロペンを含む少なくとも1つの組成物(i)と接触させること、および非カンキツ類植物を、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤を含む少なくとも1つの組成物(ii)と接触させることを含む、非カンキツ類植物を処理するための方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法により処理された一群の植物から収穫された作物。
【請求項3】
シクロプロペンではない前記植物成長調節剤が、エチレン、非シクロプロペンエチレン放出剤、および高いエチレン活性を有する非シクロプロペン化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
シクロプロペンではない前記植物成長調節剤が、エチレン合成を阻害する非シクロプロペン化合物およびエチレン受容体部位の作用を阻害する非シクロプロペン化合物、ならびにエチレン合成を阻害し且つエチレン受容体部位の作用を阻害する化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
シクロプロペンではない前記植物成長調節剤が、サイトカイニン活性を有する少なくとも1つの非シクロプロペン化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
シクロプロペンではない前記植物成長調節剤が少なくとも1つの非シクロプロペンオーキシンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
シクロプロペンではない前記植物成長調節剤が少なくとも1つのジベレリンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
シクロプロペンではない前記植物成長調節剤が、IAAオキシダーゼの補因子およびIAAオキシダーゼの阻害剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
シクロプロペンではない前記植物成長調節剤が少なくとも1つの二次成長阻害剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
シクロプロペンではない前記植物成長調節剤が少なくとも1つの天然成長ホルモンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのシクロプロペンと、シクロプロペンではない少なくとも1つの植物成長調節剤と、ならびに金属錯化剤、炭化水素油およびアルコールからなる群から選択される1つ以上の更なる成分とを含む、植物を処理するのに適した液体組成物。
【請求項12】
植物を少なくとも1つのシクロプロペンを含む少なくとも1つの組成物(i)と接触させること、および植物を、シクロプロペンではなく、且つ器官脱離剤でもない少なくとも1つの植物成長調節剤を含む少なくとも1つの組成物(iv)と接触させることを含む、植物を処理するための方法。
【請求項13】
少なくとも1つのシクロプロペンと、シクロプロペンではなく且つ器官脱離剤でもない少なくとも1つの植物成長調節剤と、ならびに金属錯化剤、界面活性剤、炭化水素油およびアルコールからなる群から選択される1つ以上の更なる成分とを含む、植物を処理するのに適した液体組成物。

【公開番号】特開2006−193524(P2006−193524A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−5728(P2006−5728)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】