説明

植物切断装置のための改良された切断ひも

本発明は、電線を保持するように適合された動力駆動回転切断ヘッドを有した、エッジトリマやストリッパ等の植物切断装置のための切断ワイヤに関する。このワイヤは輪郭づけられ、かつその全長にわたって略一様である。本発明は、この電線が、切断方向に測定したときの縦横比が約1.2より大きく2未満である本体部分(10)を有していることにより特徴づけられる。本発明のワイヤは、良好な頑強性を維持しながら、良好な空気貫通性および運転ノイズの減少を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的に植物切断装置、特にブラシカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたり、異なる形態の切断ひもあるいはフィラメントが開発されてきたが、これらのひもは電気あるいは熱エンジンによって駆動される切断ヘッドに取り付けられるように設計され、ヘッドが急速に回転すると遠心力の影響により直線状に延びる。これらのひもは一般的に、ポリアミドの押出成形により作られる。
【0003】
これらのひものうち最も古いものは円形断面を有しておりかつその全長にわたって滑らかであるが、現在では、切断品質(縁(エッジ)の存在等)あるいはまたひもの耐用寿命を改良するように設計された、あるいはまた乱れに作用することによる運転中の装置の騒音を減少させるように設計された、様々な断面形状のひもが開発されている。
【0004】
したがって、その全長にわたって縁部、切欠き、溝、局部的な変形箇所を有したひもが存在している。
【0005】
さらに、飛行機の翼断面、水滴あるいは楕円(例えば米国特許第5,761,816号参照)の形の空気力学ひもと呼ばれているひもがある。
【0006】
そのようなひもは空気を貫く能力が改善されていることに関連して、より少ないエンジン動力、あるいはまたより少ないエネルギー消費量、運転騒音、全体的により良好な切断効率といった利点を有している。
【0007】
そのようなひもは、その高さが限られており、壊れやすいという不都合を有している。具体的には、このような輪郭を有するひもの増大した回転速度は、植物に与える衝撃の強さを増加させるとともに、このひもの小さな高さがその破損のリスクを増大させる。したがって、そのようなひもの大規模な作業への使用は限られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、空気を貫くことに関してこのような輪郭の既存のひもにより提供されるものと同様な利点を有するとともに、大規模な作業に適した新しい切断ひもを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、輪郭が定められるとともにその全長において一様なブレードを保持できる回転切断ヘッドを有した、ブラシカッターやエッジトリマ等の植物切断装置のための切断ひもであって、切断方向に測定したときの幅と高さとの比率が約1.2より大きく2未満である本体部分を有することを特徴とする切断ひもを提供する。
【0010】
本発明によるひもの好ましいがそれには限定されないいくつかの態様は以下のとおりである。
−このひもは、鋭い切断縁(切れ刃)、一般的に平らな仕事表面、丸められた仕事表面、または歯を具備した仕事領域を有する。
−このひもは、単一ブロックから構成されるか、あるいは第1の材料から成る本体部分および第1の材料とは異なる第2の材料から成る1つ若しくは複数の切断付加物から構成される。後者の場合には、ひもの幅と高さとの比率は本体部分上で測定される。後者の場合、本体部分および切断付加物は、好ましくは共押出によって製造される。
−ひもは、本体部分の両側に配置される2つの切断付加物を有する。
【0011】
本発明はまた、上述したように画成されて切断ヘッドから延びるとともに特定の方向に維持される少なくとも一つの切断ひものための回転切断ヘッドを有した、例えばブラシカッター、エッジトリマ等の植物切断装置のための切断組立体を提供する。
【0012】
最後に、本発明は、請求項10に記載した切断組立体と、切断組立体を駆動して回転させるエンジンとを備えることを特徴とする、ブラシカッターやエッジトリマ等の植物切断装置を提供する。
【0013】
この切断組立体の好ましいけれども非限定的な態様は以下の通りである。
【0014】
本発明の他の態様、目的および利点は、非限定的な実施例としての本発明の好ましい実施例に続く詳細な説明を読むとともに、添付の図面を参照することによって、より明確となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず最初に図1を参照すると、植物切断装置(エッジカッタ、蔓を刈る機械等)のための、通常はポリアミドの押出成形により製作される切断ひもあるいはフィラメント10が、模式的に示されている。
【0016】
この第1実施例のひもの断面形状は変則的な六角形であり、その全長にわたって一様である。より詳しくは、互いに約90度に定められるとともに他の表面11c,11dに対して約45度に定められた2つの側面11a,11bがあり、それらは対称である。また、上部および底部には水平な接続面11e,11fがある。一方の側の表面11a,11bおよび他方の側の表面11c,11dは、植物を鋭利に切断するための鋭い切断縁(切れ刃)を形成している。
【0017】
ひもの幅Lと高さHとの間の比率は1.2より大きく2未満であるが、ここでの値は約1.6である。実際に、我々が確認したところによると、この範囲の値は良好な空力特性を活用しつつ前述した利点と同時に良好な頑丈さを有し、鋭い切れ刃がもたらす切断効率に結びついている。
【0018】
図2は、本発明の第2実施例を示しているが、ひも10は、第1の切れ刃を画成する2つの表面12a,12bと、第2の切れ刃を画成する反対側の2つの表面12c,12dとにより、菱形の断面を呈している。この例におけるひもの幅と高さとの間の比率は1.8である。
【0019】
図3は第3実施例のひもを示しているが、その断面は長方形である。植物には2つの平らな表面13a,13bの一つが衝接し、ある種の圧壊効果が生じる。このひもの上部および底部の表面13c,13dは同一である。さらに、このひもは、所与の高さおよび幅において最大な断面を呈していて、その頑丈さは最大であり、その鋭利な切れ刃の欠如を補っている。
【0020】
この例におけるひもの幅と高さとの間の比率は約1.65である。
【0021】
本発明の第4実施例によるひもが図4に示されている。このひもは、2つの丸くされた作業側面14a,14bと2つの平らな上部および底部の表面14c,4dとにより楕円形を呈している。
【0022】
この図4の実施例においては、その頑丈さに大きく影響を及すことなしに、その空力特性および切断効率が改良されている。
【0023】
ここでのひもの幅と高さとの間の比率は1.6である。
【0024】
図5は第5実施例を示しているが、その断面形状は基本的に楕円形であり、植物に衝接する2つの領域15a,15bの湾曲は、上部および底部の領域15c,15dよりも顕著である。
【0025】
図6は、2つの材料から作られた本発明の切断ひもの実施例を示している。本体部分10は、例えば通常のポリアミドから作られるが、2つの上下方向に延びる表面16a,16bによって側方から面取りされるために、大きな水平軸を有した略楕円形の断面を有している。これらの上下方向に延びる表面は、それぞれ、湾曲している上面および湾曲している底面16c、16dによって相互に接続されている。
【0026】
このひもはまた2つの翼部21,22を有している。これらは、好ましくはポリアミドあるいはコポリアミドのような材料の共押出によって作られ、その強度は本体部分10よりも高い。これらの翼部は、翼部21においては21a,21bであり翼22においては22a,22bである上面および底面によって定められる、表面16aあるいは16bからそれぞれ延びる三角形断面をその切れ刃の位置に有している。連続する切れ刃は丸いクレータ21c,22cによって分断されているが、これらは、例えば押出成形工程において部分的に凝固している間に形態ローラにより形成され、あるいは凝固した材料を切除することによって形成される。
【0027】
この実施例においては、本体部分10における幅と高さとの間の比率が考慮され、ここでの値は約1.35である。
【0028】
注目すべきことは、これまで説明してきた本発明の全ての実施例のひもが、それぞれ同一な2つの仕事領域を有していて対称形であることである。このことは、蔓を刈り取る機械のヘッドにおいて所定の方向に維持されるひもの場合に、その第1仕事領域が磨耗したときにひもの位置を反転できるようにする。
【0029】
図7は、本発明の第7実施例を示しているが、このひもの本体部分10は、(空気が)流れ去る側の縁で接合する2つの表面17a,17bと、上部および底部の表面を介して2つの流れ去る表面17a,17bに接合するより湾曲が小さく丸くされた衝接領域17eとにより、空力的に流れる領域を呈している。衝接表面17eは、好ましくは共押出によって成形される歯が設けられた作業部分20を受容している。この部分は、その歯の位置に、上面および底面20a,20bにより画成される三角形断面と、歯を分断しているクレータ20cとを有している。
【0030】
この実施例においては、本体10の幅と高さとの間の比率は約1.55である。
【0031】
このひもは空力特性、頑丈さ、および切断効率の間における優れた妥協を示している。
【0032】
ここで注目されるべきことは、本発明の全てのひもについて、これらのひもを動作方向、すなわち、ひもの断面の長軸が水平にあるいは水平線方向に延びるように維持するための取付具あるいは装置を、切断装置のヘッドが有していることである。
【0033】
もちろん、いくつかの変形例を本発明に帰すことができる。
【0034】
第1に、本発明のひもは、任意の変形、溝、リブ、その他を有することができる。これらは伝統的に、運転騒音を減少させるために使用される。
【0035】
次に、本発明のひもは、2つの異なる材料から作ることもできるし、特に共押出によって追加的に作ることもでき、さらには単一ブロックのひも上に耐損耗性等の特定機能の被覆を付加することによっても作ることができる。
【0036】
さらに、本発明によるひもには、2つの側方領域のうちの少なくとも1つに切断縁(切れ刃)を形成する定着物を設けることができる。この場合、これらの定着物は両側において同一であり、ひもは、一方の側あるいは他方の側において使用することができ、または一方の側に続けて他方の側を使用することもできる。
【0037】
さらに、ひもの直径に応じ、このひもは、特定の長さを有する一本の索(大規模な作業のための大径なひも)として、あるいは特に自動ボビン巻取り機の場合にはボビンに(芝生のためにの小径なひもとして)使用することができる。典型的に、用途に応じ、ひもの断面積は約2〜20平方ミリメートルの範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による切断ひもの輪郭を示す断面図。
【図2】本発明による切断ひもの輪郭を示す断面図。
【図3】本発明による切断ひもの輪郭を示す断面図。
【図4】本発明による切断ひもの輪郭を示す断面図。
【図5】本発明による切断ひもの輪郭を示す断面図。
【図6】本発明による切断ひもの輪郭を示す断面図。
【図7】本発明による切断ひもの輪郭を示す断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンによって駆動されるとともにひもを保持できる回転切断ヘッドを備える、ブラシカッターやエッジトリマ等の植物切断装置のための切断ひもであって、その全長にわたって略一様な輪郭を有するひもにおいて、
切断方向に測定した幅と高さとの間の比率が1.2より大きく2未満である本体部分(10)を有することを特徴とするひも。
【請求項2】
鋭い切断縁(11a,11b;11c,11d;12a,12b;12c,12d)を有することを特徴とする請求項1に記載したひも。
【請求項3】
略平坦な仕事表面(13a,13b)を有することを特徴とする請求項1に記載したひも。
【請求項4】
丸みが付けられた仕事表面(14a,14b;15a,15b)を有することを特徴とする請求項1に記載したひも。
【請求項5】
歯を具備した仕事領域(21、22;20)を有することを特徴とする請求項1に記載したひも。
【請求項6】
単一ブロックの形態であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載したひも。
【請求項7】
このひもは、第1の材料である前記本体部分(10)と、前記第1の材料とは異なる第2の材料であるいくつかの切断付加物(21、22;20)とから構成され、
前記ひもの幅と高さとの間の比率は、前記本体部分において測定したものである
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載したひも。
【請求項8】
前記本体部分(10)および前記切断付加物(21、22;20)が共押出によって作られることを特徴とする請求項7に記載したひも。
【請求項9】
前記本体部分(10)の両側に配置された2つの切断付加物(21、22)を有していることを特徴とする請求項7または8に記載したひも。
【請求項10】
ブラシカッターやエッジトリマ等の植物切断装置のための切断組立体であって、
回転切断ヘッドと、
この切断ヘッドから延びるとともに特定の方向に維持される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載した切断ひもの少なくとも1つと、
を備えることを特徴とする切断組立体。
【請求項11】
ブラシカッターやエッジトリマ等の植物切断装置であって、請求項10に記載した切断組立体と、この切断組立体を回転駆動するためのエンジンと、を備えることを特徴とする植物切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−506963(P2006−506963A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−510514(P2004−510514)
【出願日】平成15年6月10日(2003.6.10)
【国際出願番号】PCT/FR2003/001727
【国際公開番号】WO2003/103373
【国際公開日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(504084306)スピード、フランス (7)
【氏名又は名称原語表記】SPEED FRANCE
【Fターム(参考)】