説明

植物性燃料ペレットの製造方法

【課題】製造にかかるエネルギーを大幅に低減させることのできる植物性燃料ペレットの製造方法を提供する。
【解決手段】植物性燃料ペレットの製造方法に、原料植物を所定の大きさとなるように粉砕する粉砕工程(ステップS1)と、粉砕工程で生成された原料粉を所定の水分率となるまで乾燥させる乾燥工程(ステップS2)と、乾燥工程で生成された乾燥原料粉をペレット状に加圧成形すると共に成形時に発生する加工熱により燃料に適した水分率に乾燥させる造粒工程(ステップS3)と、造粒工程で生成された製品を通気性を有した袋又は容器に梱包する梱包工程(ステップS4)とを具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を粉砕した上でペレット化して燃料とするための植物性燃料ペレットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料ペレットとして、間伐材や木工所等からでる端材等の木材を用いた植物性燃料ペレットが知られている。この植物性燃料ペレットの製造方法としては、原料となる原木を数mm以下に粉砕(粉砕工程)し、粉砕された原料粉をストックヤードに堆積させる(堆積工程)。そして、堆積された原料粉をペレット成形に適した水分率に調整(水分調整工程)した上で、原料粉をペレット成形機に投入してペレット状に加圧・固化成形する(成形工程)。その後、ペレット状に成形された製品を乾燥(乾燥工程)させてから、防湿性フィルムからなる袋に詰め(梱包工程)て保管・出荷するようにしていた。
【0003】
【特許文献1】特開2004−292787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の製造方法では、粉砕された原料粉がペレット状に成形されるまで、ストックヤードに数日間ストックされることとなるが、このストックヤードでは原料粉が山積されるため、原料粉の自然乾燥がし難いものとなっていた。特に、大量のペレットを製造できる大型の製造プラントでは、原料粉がストックヤードに数mの高さまで堆積されるため、自然乾燥が進むことは殆んど無かった。そのため、水分調整工程において、40%前後ある原料粉の水分率をペレット成形に適した20%以下程度まで強制乾燥させなければならず、多くの熱エネルギーを必要としコスト高の要因となっていた。また、原料粉が乾燥しすぎた場合は、水を添加する等して適切な水分率に調整しており、手間がかかると共に、無駄なエネルギーを消費していた。
【0005】
また、従来では、ペレット状に成形する成形工程では水分率が殆んど変化しないため、成形された植物性燃料ペレットの水分率が高く、そのままでは燃料としては不充分なため、熱風乾燥機などを用いて燃料として燃焼し易い水分率(概ね12%以下)まで強制乾燥させている。そのため、ここでも乾燥させるために多くの熱エネルギーを必要とする問題がある。
【0006】
更に、従来では、ペレット状に成形された植物性燃料ペレットを熱風乾燥機などで強制乾燥させているので、その乾燥状態(例えば、過乾燥状態)によっては再吸湿する可能性があり、植物性燃料ペレットを梱包する際に、防湿性フィルムからなる袋を用いて密封しなければならず、手間がかかりコストが高くなっていた。
【0007】
そこで、本願発明は上記の実状に鑑み、製造にかかるエネルギーを大幅に低減させることのできる植物性燃料ペレットの製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る植物性燃料ペレットの製造方法は、
「原料植物を所定の大きさとなるように粉砕する粉砕工程と、
該粉砕工程で生成された原料粉を、所定の水分率となるまで乾燥させる乾燥工程と、
該乾燥工程で生成された乾燥原料粉を、ペレット状に加圧成形すると共に成形時に発生する加工熱により燃料に適した水分率に乾燥させる造粒工程と、
該造粒工程で生成された製品を、通気性を有した袋又は容器に梱包する梱包工程と
を具備することを特徴とする」方法である。
【0009】
ここで、「原料植物」としては、「松、スギ、ヒノキ、ヒバなどの針葉樹」、「コナラ、ナラ、ブナ、ホオ等の広葉樹」、「ケナフ、藁等の草類」、等を例示することができる。また、乾燥工程における「所定の水分率」とは、造粒工程において原料粉をペレット状に加圧成形するのに適した水分率(17〜21%)であり、約20%以下、望ましくは約18%以下である。更に、造粒工程における「燃料に適した水分率」とは、燃焼に適した水分率(8〜13%)であり、約12%以下である。なお、本明細書で示す水分率は、重量%である。
【0010】
また、「成形時に発生する加工熱」とは、乾燥原料粉を加圧することで発生する圧縮熱や、乾燥原料粉がペレット状に成形するためのダイス孔を通過する際に発生する摩擦熱などである。なお、加圧力、ダイス孔の長さや径などを適宜選択して発生する加工熱が約100℃ぐらいとなるようにすることが望ましい。
【0011】
本発明によると、ペレット状に加圧成形する際に発生する加工熱を用いて、燃焼に適した水分率となるように製品としての植物性燃料ペレットを乾燥させるようにしているので、従来のように、ペレット化した後に乾燥工程を設けて熱風乾燥機などで乾燥させる必要が無く、植物性燃料ペレットの製造にかかるエネルギーを低減させることができる。
【0012】
また、通気性を有した袋又は容器に梱包するようにしているので、造粒工程で成形された直後の加工熱によって室温よりもかなり温度の高くなっている植物性燃料ペレットを梱包しても、自然な水分蒸発の継続を妨げることが無く、植物性燃料ペレットを乾燥させることができる。なお、自然な水分蒸発により植物性燃料ペレットを乾燥させているので、通常の屋内における保管状態では、再吸湿が殆んど生じず、通気性を有した袋などに梱包しても何ら問題となることはない。
【0013】
更に、本発明では、従来の堆積工程を乾燥工程とすると共に、ペレット成形後の乾燥工程を造粒工程と一緒に行うようにしているので、水分調整工程や成形後の乾燥工程を廃止することができ、製造にかかる工程を少なくすることができる。
【0014】
なお、乾燥工程において、自然乾燥により原料粉の水分率を約18%ぐらいまで乾燥させるようにした場合、従来のように強制乾燥させる必要が無いので、乾燥にかかるエネルギーを大幅に削減することができ、植物性燃料ペレットの製造にかかるコストを低減させることができる。
【0015】
本発明に係る植物性燃料ペレットの製造方法は、上記の構成に加えて、
「前記乾燥工程は、
下側が嵩上げされた網状の床からなる乾燥床上に、前記原料粉を所定の厚さとなるように散布して乾燥させることを特徴とする」方法である。
【0016】
ここで、「乾燥床」としては、原料粉が通過不能な大きさの目からなる網(例えば、金網)を床面とし、その下側に棒状の支持部材(例えば、根太)を所定の間隔で配置して、床面を約50mm程度嵩上げしたものを例示することができる。
【0017】
また、原料粉を散布する「所定の厚さ」としては、20〜30mmの厚さとすることが望ましく、この範囲内とすることで自然乾燥により原料粉を所定の水分率まで容易に乾燥させることができる。なお、散布する厚さをこれよりも薄くすると、面積あたりの原料粉の量が少なくなり生産性が低下すると共に乾燥床の面積を大きくしなければならず設備にかかるコストが増加する問題が発生する。また、散布する厚さをこれよりも厚くすると、通気性が低下して乾燥にかかる時間が増加すると共に、原料粉の量が多くなり作業性が低下する問題が発生する。
【0018】
本発明によると、嵩上げされた網状の乾燥床に所定の厚さで原料粉を散布するようにしているので、散布された原料粉の通気性を高めることができ、自然乾燥でも充分に原料粉をペレット成形に最適な所定の水分率(約18%前後)まで乾燥させることができ、乾燥にかかるエネルギーを大幅に削減してコストを低減させることができる。
【0019】
また、自然乾燥させることができるので、乾燥速度が緩慢なものとなり過乾燥により水分率が低下しすぎるのを防止することができ、従来のように水を添加して水分調整する必要が無く、乾燥と共に水分調整にかかる手間を簡略化することができる。
【0020】
なお、原料粉を乾燥床上に20〜30mmの厚さとなるように散布した場合、散布された原料粉の通気性を最適な状態で確保することができ、容易に自然乾燥させることができると共に、散布作業を容易に行うことができる。
【0021】
また、高湿度の気候下では、乾燥工程の際に扇風機などの送風機により送風して、乾燥を促進させるようにしても良い。この場合、送風によりコストが若干上昇するものの、従来のように熱風により強制乾燥させる場合と比較すれば、熱エネルギーを大幅に削減することができる。
【0022】
本発明に係る植物性燃料ペレットの製造方法は、上記の構成に加えて、
「前記造粒工程は、
ペレット状に加圧成形するためのダイスにおけるダイス孔の長さが、前記原料植物の種類に対応した長さであることを特徴とする」方法である。
【0023】
ここで、「原料植物の種類に対応した長さ」とは、原料植物の種類によって原料粉がダイス孔内を通過する際に発生する摩擦熱が異なっており、発生する摩擦熱が少ないものの場合はダイス孔の長さを長くし、発生する摩擦熱が多いものの場合はダイス孔の長さを短くして発生する摩擦熱が約100℃程度となるような長さとするものである。具体的には、例えば、ダイス孔径が約6mm程度の場合では、松などの油脂分が多く流動性が良い比較的材質の柔らかいもの(例えば、針葉樹)の場合はダイス孔の長さを約20mm程度とし、コナラなどの材質の硬いもの(例えば、広葉樹)の場合はダイス孔の長さを約10mm程度とすることが望ましい。
【0024】
また、「ダイス」としては、ペレット成形するための複数の貫通孔(ダイス孔)を備えたものであり、円盤状、或いは円筒状のものを例示することができる。なお、円盤状のダイスとすることで、円筒状のものと比較してダイスを安価に製造することができる。
【0025】
本発明によると、ダイス孔の長さを植物性燃料ペレットに用いる原料植物の種類に応じた長さとしているので、原料となる植物の種類が変わっても、原料植物の種類に対応した長さのダイス孔を備えたダイスと交換するだけで、容易にその原料植物で燃料に適した水分率の植物性燃料ペレットを製造することができ、熱エネルギーを削減することができると共に、汎用性の高いものとすることができる。
【0026】
ところで、従来の植物性燃料ペレットを製造するプラントでは、水分調整工程や乾燥工程で熱風乾燥機などを用いて強制乾燥させるようにしており、多くの熱エネルギーを消費するので、例えば、一時間当り1000kg程の製造能力を持つ大型のペレット成形機を用いて大量に植物性燃料ペレットを製造(成形)することで製造コストを低減させるようにしていた。そのため、製造プラント全体が大型化し、製造プラントの設置場所が限定されると共に、一つの製造プラントにかかる設備コストが高いものとなり、容易に増設することができず、生産量の変化に対して対応し難いものとなっていた。
【0027】
しかしながら、本発明によると、上述した通り、乾燥工程や造粒工程において熱風乾燥機などを備える必要が無く、エネルギー消費量を大幅に削減することができるので、大量生産しなくても製造コストを低減させることができ、小型(例えば、製造能力が100kg/h程度)のペレット成形機を用いることが可能となり、製造プラント全体を小型化することができると共に、設備コストを大幅に低減させることができる。
【0028】
そのため、製造プラントの設置自由度が高くなり、例えば、植物性燃料ペレットの消費地毎に製造プラントを分散配置させたり、移動可能な製造プラントとしたりすることができる。また、小型で低コストの製造プラントとすることができるので、複数の製造プラントにて植物性燃料ペレットを製造し、生産量が変化した場合は、製造プラントを増設したり、一部の製造プラントを停止させたりして、変化に容易に対応させることができ、効率よく植物性燃料ペレットを製造することができる。
【発明の効果】
【0029】
上記のように、本発明によると、製造にかかるエネルギーを大幅に低減させることのできる植物性燃料ペレットの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1乃至図3に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る植物性燃料ペレットの製造方法を示す工程図である。図2は、図1の乾燥工程における乾燥床を概略構成で示す断面図である。図3は、図1の造粒工程におけるダイスの要部を示す拡大断面図である。
【0031】
本実施形態の植物性燃料ペレットの製造方法は、まずステップS1の粉砕工程では、原料植物として所定樹種の原木を、公知の粉砕機を用いて数mm以下のチップ状或いはおが屑状に粉砕して原料粉10を生成する。なお、この粉砕工程で生成された原料粉10の水分率は、約40%前後である。
【0032】
続いて、ステップS2の乾燥工程では、ステップS1の粉砕工程で生成された原料粉10を、乾燥床11上に厚さが20〜30mm程度となるように散布し原料粉10の水分率が18%以下となるまで1〜3日程度の間、自然乾燥させて乾燥原料粉20を生成する。
【0033】
この乾燥工程で用いられる乾燥床11は、図2に示すように、原料粉10が通過不能な大きさの目からなる網体12と、網体12を床面13から嵩上げするために、網体12の下側に所定間隔で配置される複数の支持部材14とから構成されている。なお、本例では、網体12が金網とされている。また、支持部材14は、網体12を床面13から約50mm程度嵩上げできる高さの根太とされている。
【0034】
この乾燥床11は、支持部材14により原料粉10が散布される網体12を床面13から嵩上げした構造としているので、散布された原料粉10の上側だけでなく、下側の通気性も確保することができ、原料粉10を自然乾燥できるようになっている。なお、図示は省略するが、乾燥床11を原料粉10を載置した状態で移動できるようにしたり、上下に複数段重ね積みできるようにしても良く、より使い勝手の良いものとすることができる。
【0035】
この乾燥工程で生成された乾燥原料粉20は、次のステップS3の造粒工程で、公知のペレット成形機21を用いて製品としてのペレット状の植物性燃料ペレット30に成形される。この造粒工程に用いるペレット成形機21は、図3に示すように、直径が6〜8mm程度(本例では約6mm程度)のダイス孔22が複数穿設された円盤状或いは円筒状のダイス23と、ダイス23の一方の面に圧接する加圧ローラ24とを備えている。本例のペレット成形機21は、具体的な構成は省略するが、ダイス23の交換が容易に行える構造とされており、図3(A)及び(B)に示すように、原料植物の種類に応じて、ダイス孔22の長さ(図中、L1やL2)が異なるダイス23と交換できるようになっている。
【0036】
この造粒工程では、水分率が約18%程度となった乾燥原料粉20をペレット成形機21のダイス23上に投入しながら、加圧ローラ24を転動させることで、ダイス23上の乾燥原料粉20がダイス孔22内へ圧入され、その加圧力と含まれる水分とによって円柱状に圧縮形成されてダイス孔22の反対側から押出され、自然に或いは切断装置等により20〜30mmの長さに破断或いは切断されて、植物性燃料ペレット30が形成(造粒)されるようになっている。その際に、ダイス孔22内では、圧縮された乾燥原料粉20の移動により摩擦熱が発生して温度が上昇して約100℃程度となるようになっており、その温度によって更に乾燥させて、約12%程度の燃料に適した水分率となるようになっている。
【0037】
ところで、本例の造粒工程では、ダイス孔22内で発生する摩擦熱が原料植物の種類に応じて異なっているので、発生する摩擦熱が約100℃程度となるような長さのダイス孔22を備えたダイス23を用いて造粒するようになっている。詳述すると、原料植物として流動性の良いものや材質の柔らかいものの場合は、発生する摩擦熱が少ないため、ダイス孔22の長さが長いダイス23を用い(図3(A)参照)、原料植物として材質の硬いものの場合は、発生する摩擦熱が多くダイス孔22の長さが短いダイス23を用いるようにしている(図3(B)参照)。具体的には、松などの油脂分が多く流動性が良い比較的材質の柔らかいもの(例えば、針葉樹)の場合はダイス孔22の長さL1が約20mm程度のダイス23を用いる一方、コナラなどの材質の硬いもの(例えば、広葉樹)の場合はダイス孔22の長さL2が約10mm程度のダイス23を用いるようにしている。
【0038】
なお、原料植物として木材を用いる場合は、上記したダイス孔22の長さが約20mmのものと約10mmのものの二種類のダイス23を予め用意しておけば、その他の樹種であっても充分に対応することができるが、特殊な材質(例えば、緻密で硬い組織を持つ木材)の植物を原料とする場合は、更にダイス孔22の長さが短いダイス23を用意することが望ましい。
【0039】
そして、ステップS3の造粒工程で成形された植物性燃料ペレット30は、続くステップS4の梱包工程で、通気性を有した袋に詰めて梱包され、保管、或いは出荷されることとなる。この梱包工程では、造粒工程で成形された直後の植物性燃料ペレット30、つまり、加工熱により温度が室温よりもかなり高くなっている植物性燃料ペレット30を梱包するようにしているが、通気性を有した袋などに梱包するようにしているので、温度の高い植物性燃料ペレット30からの自然な水分蒸発が妨げられることが無く、温度の低下と共に、燃焼に適した水分率まで自然に乾燥できるようになっている。
【0040】
このように、本実施形態の植物性燃料ペレットの製造方法によると、ペレット状に加圧成形する際に発生する加工熱を用いて、燃焼に適した水分率となるように植物性燃料ペレット30を乾燥させるようにしているので、従来のように、ペレット化した後に乾燥工程を設けて熱風乾燥機などで乾燥させる必要が無く、植物性燃料ペレット30の製造にかかるエネルギーを低減させることができる。
【0041】
また、通気性を有した袋などに梱包するようにしているので、造粒工程(ステップS3)で成形された直後の加工熱によって室温よりもかなり温度の高くなっている植物性燃料ペレット30を梱包しても、自然な水分蒸発の継続を妨げることが無く、植物性燃料ペレット30を乾燥させることができる。なお、自然な水分蒸発により植物性燃料ペレット30を乾燥させているので、通常の屋内における保管状態では、再吸湿が殆んど生じず、通気性を有した袋などに梱包しても何ら問題となることはない。
【0042】
更に、支持部材14により嵩上げされた網体12を有した乾燥床11に、原料粉10を20〜30mm程度の厚さに散布しているので、散布された原料粉10の通気性を高めることができ、自然乾燥でも充分に原料粉10をペレット成形に最適な水分率(約18%前後)まで乾燥させることができ、乾燥にかかるエネルギーを大幅に削減してコストを低減させることができる。また、自然乾燥させることができるので、乾燥速度が緩慢なものとなり過乾燥により水分率が低下しすぎるのを防止することができ、従来のように水分調整する必要が無く、乾燥と共に水分調整にかかる手間を簡略化することができる。
【0043】
また、ダイス孔22の長さを、植物性燃料ペレット30に用いる原料植物の種類に応じた長さとしているので、原料となる植物の種類が変わっても、原料植物の種類に対応した長さのダイス孔22を備えたダイス23と交換するだけで、容易にその原料植物で最適な植物性燃料ペレット30を製造することができ、熱エネルギーを削減することができると共に、汎用性の高いものとすることができる。
【0044】
更に、乾燥工程(ステップS2)や造粒工程(ステップS3)において熱風乾燥機などを備える必要が無く、エネルギー消費量を大幅に削減することができるので、大量生産しなくても製造コストを低減させることができ、小型のペレット成形機を用いることが可能となり、製造プラント全体を小型化することができると共に、設備コストを大幅に低減させることができる。そのため、製造プラントの設置自由度が高くなり、例えば、植物性燃料ペレット30の消費地毎に製造プラントを分散配置させたり、移動可能な製造プラントとしたりすることができる。また、小型で低コストの製造プラントとすることができるので、複数の製造プラントにて製造し、生産量が変化した場合は、製造プラントを増設したり、一部の製造プラントを停止させたりして、変化に容易に対応させることができ、効率よく植物性燃料ペレット30を製造することができる。
【0045】
以上、本発明を実施するための最良の実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0046】
すなわち、上記の本実施形態では、乾燥工程(ステップS2)では、室内などに放置して自然乾燥させるようにしているが、これに限定するものではなく、高湿度の気候下などの場合では、扇風機や送風機を用いて乾燥床11に散布された原料粉10に送風することで、乾燥を促進させるようにしても良い。この場合、送風に若干のエネルギーが必要となるが、従来のように熱風により強制乾燥させる場合と比較すれば、エネルギーを大幅に削減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、原料植物として木材を用いた場合を示したが、これに限定するものではなく、原料植物として、ケナフ、藁、雑草、などの草類を用いても良好な植物性燃料ペレットを製造することができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る植物性燃料ペレットの製造方法を示す工程図である。
【図2】図1の乾燥工程における乾燥床を概略構成で示す断面図である。
【図3】図1の造粒工程におけるダイスの要部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0049】
S1 粉砕工程
S2 乾燥工程
S3 造粒工程
S4 梱包工程
10 原料粉
11 乾燥床
12 網体
13 床面
14 支持部材
20 乾燥原料粉
21 ペレット成形機
22 ダイス孔
23 ダイス
24 加圧ローラ
30 植物性燃料ペレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料植物を所定の大きさとなるように粉砕する粉砕工程と、
該粉砕工程で生成された原料粉を、所定の水分率となるまで乾燥させる乾燥工程と、
該乾燥工程で生成された乾燥原料粉を、ペレット状に加圧成形すると共に成形時に発生する加工熱により燃料に適した水分率に乾燥させる造粒工程と、
該造粒工程で生成された製品を、通気性を有した袋又は容器に梱包する梱包工程と
を具備することを特徴とする植物性燃料ペレットの製造方法。
【請求項2】
前記乾燥工程は、
下側が嵩上げされた網状の床からなる乾燥床上に、前記原料粉を所定の厚さとなるように散布して乾燥させることを特徴とする請求項1に記載の植物性燃料ペレットの製造方法。
【請求項3】
前記造粒工程は、
ペレット状に加圧成形するためのダイスにおけるダイス孔の長さが、前記原料植物の種類に対応した長さであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物性燃料ペレットの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate