説明

植物栽培用ラック

【課題】組立てが容易な照明器具組み込みの植物栽培用ラックを提供する。
【解決手段】支柱3b〜5a間に架設されて植物栽培用コンテナCを支持する棚1の上方に、下側面17が光反射面となっている盤状体10が棚1と平行に着脱自在に支持され、この盤状体10は、前記棚1のコンテナ支持面全体を覆う大きさのもので、この盤状体10には、下側の棚1のコンテナ支持面を照明する照明器具18が取り付けられ、この盤状体10の下側空間を囲み且つ内側面が光反射面となっている囲い板13〜16が設けられ、この囲い板13〜16の内、少なくとも棚間口方向と平行な前後両囲い板13,14は、前記盤状体10に取り付けられた構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用コンテナを使用して植物栽培が簡単に行える植物栽培用ラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラックの棚に植物栽培用コンテナを立体的に支持して植物栽培を行う場合、当該コンテナ内に植え込まれた植物に対して効率良く照明する必要がある。即ち、この種の植物栽培用ラックには、照明器具を組み込まなければならないが、従来周知のこの種のラックは、例えば特許文献1に記載されるように、ラックの棚の上側に、それぞれ光反射板を備えた照明器具を適当な配置で配設するか又は、照明器具それぞれには光反射板を設けずに複数の照明器具に共通の大きな光反射板を設け、この光反射板の下側に照明器具を取り付けるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の植物栽培用ラックでは、棚上に載置された植物栽培用コンテナの上側の植物栽培空間に対する照明効果を高めるためには、照明器具上側に光反射板を配設するだけでなく、植物栽培用空間を光反射板が囲むような囲い手段を設けて、この囲い手段の内側に照明器具の光源を配置しなければならない。しかしながら、植物栽培用コンテナを載置する棚上の表面積に適合したサイズの上側光反射板や、この上側光反射板の周辺から垂下する4枚の側面光反射板を準備してこれらを個々にラックに組み付けると共に、上側光反射板の下側に必要個数の照明器具を取り付け、更に各照明器具を電源に接続する作業を行なう必要があるので、照明を備えた植物栽培用ラックを完成させるのに多大の手間と時間を要するという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる植物栽培用ラックを提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係る植物栽培用ラックは、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、支柱(3a〜5b)間に架設されて植物栽培用コンテナ(C)を支持する棚(1)の上方に、下側面(17)が光反射面となっている盤状体(10)が棚(1)と平行に着脱自在に支持され、この盤状体(10)は、前記棚(1)のコンテナ支持面全体を覆う大きさのもので、この盤状体(10)には、下側の棚(1)のコンテナ支持面を照明する照明器具(18)が取り付けられ、この盤状体(10)の下側空間を囲み且つ内側面が光反射面となっている囲い板(13〜16)が設けられ、この囲い板(13〜16)の内、少なくとも棚間口方向と平行な前後両囲い板(13,14)は、前記盤状体(10)に取り付けられた構成になっている。
【0006】
上記本発明を実施する場合、具体的には請求項2に記載のように、前記前後両囲い板(13,14)の内、前側の囲い板(13)は、前記盤状体(10)の前側辺に蝶番(20)を介して上下開閉自在に取り付けることができる。
【0007】
又、前記盤状体(10)は、請求項3に記載のように、棚(1,2)を含むラック構成部材、例えば植物栽培用コンテナ(C)を支持する上段の棚(1)や、ラックの天井を構成する天井棚(2))などから吊り具(32)を介して吊り下げても良いし、請求項4に記載のように、ラックの前後両支柱(3a〜5b)間に取り付けられた左右一対の盤状体受け具(50)(植物栽培用コンテナ(C)を支持する棚(1)を支持する棚受け(33)を転用することができる)に、盤状体(10)の棚間口方向両端の左右両側辺を支持させることもできる。
【0008】
前記囲い板(13〜16)の内、棚奥行き方向と平行な左右両囲い板(15,16)は、請求項5に記載のように、前後両囲い板(13,14)と同様に前記盤状体(10)に取り付けることができるが、請求項4に記載のように、前記盤状体(10)の棚間口方向両端の左右両側辺が、ラックの前後両支柱(3a〜5b)間に取り付けられた左右一対の盤状体受け具(50)に支持されるときは、請求項6に記載のように、当該盤状体受け具(50)に前記棚奥行き方向と平行な左右両囲い板(15,16)を取り付けることもできる。
【0009】
ラックの棚(1)が奥行き方向に複数列に植物栽培用コンテナ(C)を支持できる奥行きを有する場合、この奥行きに適合した奥行きを有する大型の盤状体(10)を構成しても良いが、請求項7に記載のように、前記盤状体(10)は、棚奥行き方向のコンテナ列毎に分割された盤状体単体(11A〜11D)から構成することができる。
【0010】
更に、請求項8に記載のように、前記盤状体(10)は、下側面が光反射面となっている底板部(26)と、この底板部(26)の前後両側辺から上側に折曲連設された前後両側板部(27a,27b)と、前記底板部(26)の左右両側辺に沿って当該底板部(26)の上に載置固定された左右一対の奥行き方向門形カバー材(28a,28b)と、前記底板部(26)の上に前後両側辺と平行向きに載置固定された間口方向門形カバー材(29)とから構成し、前記照明器具は、前記左右一対の奥行き方向門形カバー材(28a,28b)の内側で前記底板部(26)に取り付けられた左右一対のソケット(19b,19c)と、前記間口方向門形カバー材(29)の内側で前記底板部(26)上に取り付けられた安定器(19g)を備えた蛍光灯型照明器具(18)とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の本発明の構成によれば、照明器具をラックの棚上方に取り付けるように盤状体を取り付けるだけで、植物栽培用コンテナを支持する棚全体の上方を覆う天井側の光反射板の取付けと、当該天井側光反射板の前後両側辺から垂下する前後両光反射板(前後両囲い板)の取付けと、前記天井側光反射板の下側に対する照明器具の取付けとが完了し、仮に前記天井側光反射板の左右両側辺から垂下する左右両光反射板(左右両囲い板)を前記盤状体とは別途取り付ける必要があるとしても、植物栽培用コンテナを支持する棚を備えたラックを、その棚の上側に照明器具と、その光源を取り囲むと共に当該棚のコンテナ支持面全体を覆う大きさの内側光反射面の囲いを備えた植物栽培用ラックに構成するための手間と時間を大幅に短縮することができる。
【0012】
尚、請求項2に記載の構成によれば、仮に囲い板の高さ(盤状体からの垂下長さ)を大きくしても、棚との間で植物栽培用コンテナを出し入れする場合や、栽培植物に対するメンテナンス作業に際しては、前側の囲い板を手前上方に開動させ、前側を大きく開放させて当該作業を容易に行なうことができる。換言すれば、棚のコンテナ支持面全体を覆う大きさの内側光反射面の囲いの下辺をできる限り低くして、棚のコンテナ支持面に載置された植物栽培用コンテナの周囲の開放された隙間の上下高さを低くし、以て、照明器具の照明効果を高めることも容易になる。
【0013】
又、盤状体を棚の上方所定高さに取り付ける手段としては種々考えられるところであるが、請求項3に記載の構成によれば、棚を含むラック構成部材側に、チエン、ワイヤーロープなどの紐状体、S杆など各種の吊り具の係止個所を確保するだけで、照明器具や光反射面を備えた囲い手段を備えた盤状体を簡単容易に着脱することができる。勿論、請求項4に記載の構成によれば、ラックの各段の棚を支持する棚受けを盤状体受け具に転用するなどして、上記盤状体を安定良く確実に支持させることができる。
【0014】
又、請求項5に記載の構成によれば、盤状体の下側空間を囲む囲い板の全てが盤状体に取り付けられることになるので、左右両側板を別途ラック側に適当な手段で取り付けなければならない場合よりも、ラック側に対する部材の着脱作業工数が少なくなり、一層簡単容易に植物栽培用ラックを組み立てることができる。勿論、請求項6に記載のように構成して、ラックの支柱に隣接することになる左右両側囲い板が盤状体に取り付けられている場合よりも、盤状体の着脱作業を容易にすることもできる。
【0015】
更に、奥行き方向に複数列に植物栽培用コンテナを支持できる奥行きの大きな棚を備えた大型のラックの場合、請求項7に記載の構成によれば、当該奥行きの大きな棚に合わせた奥行きの大きな大型の盤状体を使用する場合と比較して、ラックに対する盤状体の着脱作業に際して1つのコンテナ列の幅に相当する奥行きの小さな盤状体単体に分けて作業できるので、作業性を向上させることができる。又、1種類の盤状体を各種の奥行きサイズのラックに適用することができ、コストダウンを図ることができる。
【0016】
又、請求項8に記載の構成によれば、盤状体の左右方向(棚間口方向)の曲げ強度を前後両側板部と間口方向門形カバー材とで確保すると共に、盤状体の前後方向(棚奥行き方向)の曲げ強度を左右一対の奥行き方向門形カバー材で確保することができるので、盤状体全体を比較的板厚の薄い薄板で構成して、軽量化とコストダウンを図ることができる。しかも上記のように曲げ強度を高めるための間口方向門形カバー材は、蛍光灯型照明器具の安定器及びその周辺の配線の保護カバーとして役立たせると共に、左右一対の奥行き方向門形カバー材は、盤状体底板部から上側に突出する前記蛍光灯型照明器具の左右一対のソケットの取付け座部及びその周辺の配線の保護カバーとして役立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る植物栽培用ラックの一部縦断正面図である。
【図2】同上ラックの一部縦断側面図である。
【図3】同上ラックの植物栽培用コンテナを支持する棚を示す横断平面図である。
【図4】同上ラックの盤状体を示す横断平面図である。
【図5】同上ラックにおける1つの盤状体単体を示す一部切欠き平面図である。
【図6】同盤状体単体における照明器具とその電源回路の構成を説明するブロック線図である。
【図7】A図は図5の縦断正面図、B図はA図のB部拡大図である。
【図8】同上ラックの盤状体取付け構造を示す要部の縦断側面図である。
【図9】別の実施例における盤状体取付け構造を示す要部の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図4に示すラックは、上下複数段のコンテナ支持用棚1とラックの天井を構成する天井棚2とを備えている。各段のコンテナ支持用棚1と天井棚2は、右端側前後一対の支柱3a,3bと中央部前後一対の支柱4a,4bとで左右両端が支持された右側前後2列の棚板6,7と、中央部前後一対の支柱4a,4bと左端側前後一対の支柱5a,5bとで左右両端が支持された左側前後2列の棚板8,9から構成されている。全ての棚板6〜9は同一サイズのものであって、それぞれ棚間口方向に同一サイズの2つの植物栽培用コンテナCを支持することができる長さを有するものであるから、各段のコンテナ支持用棚1及び天井棚2は、同一サイズの8つの植物栽培用コンテナCを前後方向2列に支持することができる面積を有する矩形状のものである。
【0019】
各段のコンテナ支持用棚1の真上に位置するコンテナ支持用棚1の下側及び天井棚2の下側には、直下の各段のコンテナ支持用棚1と平行に盤状体10が配設されている。これら各段の盤状体10は、その直下に位置するコンテナ支持用棚1を構成する4つの棚板6〜9と平面視において略同一サイズの、4つに分割された盤状体単体11A〜11Dから構成されている。そして各段の盤状体10の周囲には、当該盤状体10の下側空間を取り囲む囲い手段12が配設されている。この囲い手段12は、棚間口方向と平行な前後の囲い板13,14と棚奥行き方向と平行な左右の囲い板15,16から構成され、各囲い板13〜15の内側面は光反射面となっている。
【0020】
各段の盤状体10を構成する4つの盤状体単体11A〜11Dの下側面17は光反射面に構成されており、これら各盤状体単体11A〜11Dには、それぞれ蛍光灯型照明器具18が、その光源である2本の蛍光管19a,19bが盤状体単体11A〜11Dの下側で棚間口方向と平行向きで前後2列に並ぶように取り付けられている。
【0021】
前記囲い手段12の前側の囲い板13は、その内側の左右2つの盤状体単体11A,11Cの前側辺にそれぞれ蝶番20を介して上下開閉自在に軸支された2枚の囲い板単体13a,13bから構成されたもので、それぞれ上側辺には、盤状体単体11A,11Cの直下で当該盤状体単体11A,11Cに沿って通風用開口21が形成され、後ろ側の囲い板14は、その内側の左右2つの盤状体単体11B,11Dの後側辺にそれぞれ止め具(ビス、ボルト、リベットなど)により取り付けられた2枚の囲い板単体14a,14bから構成されたもので、それぞれ上側辺には、盤状体単体11B,11Dの直下で当該盤状体単体11B,11Dに沿って通風用開口22が設けられている。
【0022】
又、囲い手段12の左右の囲い板15,16は、その内側の前後2つの盤状体単体11A〜11Dの側辺に止め具(ビス、ボルト、リベットなど)により取り付けられた前後2枚の囲い板単体15a,15b及び16a,16bから構成されたもので、それぞれ上側辺には、盤状体単体11A〜11Dの直下で当該盤状体単体11A〜11Dに沿って通風用開口23,24が形成され、右側(左側でも良い)の囲い板15には、その2枚の囲い板単体15a,15b毎に、外気を取り込んで内側へ送風する送風用ファン25a,25bが取り付けられている。
【0023】
以下に各盤状体単体11A〜11Dの詳細構造を、図5〜図8に基づいて説明すると、この盤状体単体11A〜11Dの光反射面である下側面17を形成する底板部26と、この底板部26の棚間口方向と平行な前後両側辺から上向きに折曲連設された縦断面内向きコ字形の前後両側板部27a,27bと、前記底板部26の左右両側辺に沿って当該底板部26の上に載置固定された左右一対の奥行き方向門形カバー材28a,28bと、前記底板部26の上に前後両側辺と平行向きに載置固定された間口方向門形カバー材29とから構成されている。前記左右一対の奥行き方向門形カバー材28a,28bの前後両端は、前後両側板部27a,27bの内側に入り込んでこれら両側板部27a,27bに隣接し、前記間口方向門形カバー材29は、その両端が左右一対の奥行き方向門形カバー材28a,28bの中間位置に隣接し、これら左右一対の奥行き方向門形カバー材28a,28bと間口方向門形カバー材29とで、平面視H形の補強用構造体を形成している。尚、間口方向門形カバー材29は、縦断面形状が両勾配の屋根形である。
【0024】
尚、盤状体単体11A,11Cに対して前側の囲い板単体13a,13bを取り付ける蝶番20は、盤状体単体11A,11Cの前側の側板部27aの垂直板部に止め具により取り付けられ、後ろ側の囲い板単体14a,14bは、盤状体単体11B,11Dの後ろ側の側板部27bの垂直板部に止め具により取り付けられる。又、左右両側の囲い板単体15a〜16bは、その上側辺に隣接する盤状体単体11A〜11Dの奥行き方向門形カバー材28a又は28bの外側垂直板部とこれに続く水平天井板部との間の出隅部に嵌合する倒立L形の取付け板部30が設けられており、この取付け板部30が奥行き方向門形カバー材28a又は28bの外側垂直板部に止め具により取り付けられる。
【0025】
各盤状体単体11A〜11Dに取り付けられる前記蛍光灯型照明器具18の2本の蛍光管19a,19bを取り付ける左右一対のソケット19c,19d及び19e,19fは、前記左右一対の奥行き方向門形カバー材28a,28bの内側で底板部26を上から下向きに挿通し、各ソケット19c〜19fの取付け座部が底板部26上に固定されている。そしてこの蛍光灯型照明器具18の2本の蛍光管19a,19bに共通の安定器19gが、前記間口方向門形カバー材29の内側で底板部26上に載置固定されている。
【0026】
以上のように構成された各盤状体単体11A〜11Dは、その前後両側板部27a,27bの上端内向き水平板部の長さ方向両端近傍位置に設けられた吊下げ用孔31を利用して、盤状体10の真上に位置するコンテナ支持用棚1又は天井棚2に、チエン、ワイヤーロープなどの紐状体、S杆など各種の吊り具32を介して吊り下げられている。尚、コンテナ支持用棚1及び天井棚2を構成する各棚板6〜9は、従来周知のもので、右端側前後一対の支柱3a,3bの内側、中央部前後一対の支柱4a,4bの両側、及び左端側前後一対の支柱5a,5bの内側にそれぞれ架設された棚受け33に、その棚間口方向の両端が支持されるものであって、これら各棚板6〜9の前後両側辺に下向きに折曲連設されている縦断面内向きコ字形の前後両側板部34a,34bの下端水平板部に、前記吊り具31を係止するための盤状体吊下げ用孔が設けられている。
【0027】
上記のようにコンテナ支持用棚1の下側又は天井棚2の下側に吊り下げられる各盤状体単体11A〜11Dは、右端側前後一対の支柱3a,3bと中央部前後一対の支柱4a,4bとの間、及び中央部前後一対の支柱4a,4bと左端側前後一対の支柱5a,5bとの間に吊り下げられるので、中央部前後一対の支柱4a,4b間には、棚間口方向に隣り合う盤状体単体11A,11B間及び盤状体単体11C,11D間には、相当の隙間が生じることになるので、この実施例では、この盤状体単体11A,11B間及び盤状体単体11C,11D間の隙間を埋めるための前後一対のカバー材35A,35Bが組み込まれている。このカバー材35A,35Bは、それぞれ外端側に支柱4a又は支柱4bに外嵌する二股部35aを備えると共に、囲い板単体15a〜16bの上側辺に形成した倒立L形の取付け板部30と同一の倒立L形の取付け板部35b,35cを左右両側辺から上向きに折曲連設されている。
【0028】
この前後一対のカバー材35A,35Bを、盤状体単体11A,11B間及び盤状体単体11C,11D間に、それぞれの二股部35aを支柱4a,4bに外嵌させると共に取付け板部35b,35cを、これらカバー材35A,35Bが隣接する両側の盤状体単体11A〜11Dの奥行き方向門形カバー材28a,28bの外側垂直板部とこれに続く水平天井板部との間の出隅部に嵌合させ、当該取付け板部35b,35cを奥行き方向門形カバー材28a,28bの水平天井板部に上から止め具により取り付けることにより、棚間口方向に隣り合う盤状体単体11A,11B間及び盤状体単体11C,11D間の隙間を前記カバー材35A,35Bにより塞ぐことができる。尚、このように取り付けられたカバー材35A,35Bは、両隣の盤状体単体11A,11B及び盤状体単体11C,11Dの底板部26とほぼ面一の状態にある。勿論、前後一対のカバー材35A,35Bの内端は互いに隣接して、棚奥行き方向に連続したカバー面を形成する。
【0029】
各盤状体単体11A〜11Dでは、図5に示すように、蛍光灯型照明器具18の2本の蛍光管19a,19bのソケット19c〜19fと安定器19gとが接続線36,37によって接続されると共に、安定器19gは、両端にコネクタ38a,38bを備えた電源接続コード39に並列に接続されている。前記接続線36,37は、盤状体単体11A〜11Dの底板部26と奥行き方向門形カバー材28a,28bとの間の空間、当該奥行き方向門形カバー材28a,28bの側板部に設けられた開口部40、及び当該底板部26と間口方向門形カバー材29との間の空間を経由するように配線され、電源接続コード39は底板部26と間口方向門形カバー材29との間の空間内に納められている。そして、各盤状体単体11A〜11Dの蛍光灯型照明器具18は、それぞれの電源接続コード39を介して各蛍光灯型照明器具18どうしを並列に接続する電源中継コード41、即ち、電源接続コード39のコネクタ38a,38bに接続自在なコネクタ42a,42bを両端に備えた電源中継コード41、を介して電源コード43に並列に接続することができ、この電源コード43を電源コンセントに接続することによって、各蛍光灯型照明器具18に電源電圧を印荷し、蛍光管19a,19bを点灯させることができる。
【0030】
上記の電源中継コード41を介して1つの電源コード43に並列に接続される蛍光灯型照明器具18は、1つのラックが備える全ての蛍光灯型照明器具18であっても良いが、この1つのラックが備える多数の蛍光灯型照明器具18を複数グループ、例えば盤状体10が備える同一レベルにある4つの蛍光灯型照明器具18を1グループとして複数グループに分け、各グループ内の複数の蛍光灯型照明器具18を、電源中継コード41を介して1つの電源コード43に並列に接続しても良い。何れにしても、前後に隣り合う盤状体単体11A,11B又は11C,11Dの蛍光灯型照明器具18どうしを並列に接続する電源中継コード41は、間口方向門形カバー材29の側板部に設けられた開口部44と、各盤状体単体11A〜11Dの互いに隣接する前後両側板部27a,27bの側板部に設けられて互いに連通する開口部45とを利用して、各盤状体単体11A〜11Dの底板部26上で配線することができる。
【0031】
尚、この実施例では、図6に示すように、各盤状体単体11A〜11Dの蛍光灯型照明器具18の電源回路(例えば安定器19gと電源中継コード41との間)毎に電源スイッチ46を介装し、各盤状体単体11A〜11Dの蛍光灯型照明器具18を個別にON/OFF操作できるように構成している。この電源スイッチ46は、各盤状体単体11A〜11Dの正面又は背面に向かって露出する垂直板部(前後両側板部27a,27b)に取り付けることができる。勿論、先に説明したように、それぞれ電源コード43を備えたグループ毎に1つの電源スイッチを設けることもできる。尚、各盤状体10に2つの送風用ファン25a,25bが設けられているが、これら送風用ファン25a,25bは、蛍光灯型照明器具18の電源回路とは別の、電源スイッチを備えた専用電源回路を介して電源コンセントに接続できるように構成しても良いし、蛍光灯型照明器具18の電源回路に接続し、この送風用ファン25a,25bのみをON/OFF操作するための電源スイッチを設けても良い。
【0032】
以上のように構成された植物栽培用ラックは、用土を充填して播種又は苗の植付けを行なった植物栽培用コンテナCを各段のコンテナ支持用棚1上の所定位置に載置して使用するのであるが、この各段のコンテナ支持用棚1に対する植物栽培用コンテナCの出し入れに際しては、各段のコンテナ支持用棚1の上側に併設された囲い手段12における正面側の囲い板単体13a,13bを、蝶番20を利用して手前上方に開動させることができる。この手前上方に開動させた囲い板単体13a,13bは、チエンやロープなどの係止索で開動位置に保持できるように構成できるが、囲い板単体13a,13bが磁性金属板から構成されるときは、図8に仮想線で示すように、手前上方に開動させた囲い板単体13a,13bを吸着保持する磁石47を、この囲い板単体13a,13bを軸支する盤状体単体11A,11Cの前側に取り付けておくことができる。
【0033】
而して、各段のコンテナ支持用棚1上に載置された植物栽培用コンテナC内の種子や苗は、当該コンテナC内の用土に対する散水や用土中に対する給水、各蛍光灯型照明器具18の蛍光管19a,19bの点灯による光線の照射、送風用ファン25a,25bの稼働による囲い手段12内の雰囲気の流動、及び施肥などを必要に応じて適宜実施しすることにより、育成することができる。
【0034】
尚、上記実施例では、盤状体10を構成する各盤状体単体11A〜11Dを吊り具32により直上のコンテナ支持用棚1や天井棚2など、この植物栽培用ラックを構成する部材に吊り下げたが、コンテナ支持用棚1や天井棚2を構成する棚板6〜9を支持する棚受け33を転用して、各盤状体単体11A〜11Dを所定レベルに支持させることもできる。即ち、図9に示すように、前記棚板6〜9を支持する棚受け33は、各支柱3a〜5bにその長さ方向適当間隔おきに設けられた係止孔48に棚受け両端の係止片49を係合させることにより、任意の高さに水平に架設することができるものであるから、この棚板6〜9を支持するための棚受け33と同一の棚受け50を別に用意し、この棚受け50を、各段のコンテナ支持用棚1の真上に位置するコンテナ支持用棚1又は天井棚2の直下で、右端側前後一対の支柱3a,3bの内側、中央部前後一対の支柱4a,4bの両側、及び左端側前後一対の支柱5a,5bの内側にそれぞれ同一レベルで架設することにより、盤状体10を構成する各盤状体単体11A〜11Dの両端を各棚受け50に載置して、支柱3a〜5bに所定高さで支持させることができる。
【0035】
上記のように棚受け50を利用して各盤状体単体11A〜11Dの両端を支柱3a〜5bに支持させるときは、図9の左半分に示すように、左右両側の囲い板単体15a,15b及び16a,16bを、当該棚受け50の垂直板部50aの外側(支柱3a〜5bに隣接する側)に止め具にて取り付けることが可能である。勿論、この棚受け50を利用する場合でも、図9の右半分に示すように、左右両側の囲い板単体15a,15b及び16a,16bを、各盤状体単体11A〜11Dの底面(底板部26)に止め具にて取り付けても良い。
【0036】
以上の実施例では、下側空間が囲い手段12の囲い板13〜16で囲まれる1つの盤状体10を合計4つの盤状体単体11A〜11Dで構成したが、この1つの盤状体10を構成する盤状体単体の数は特に限定されるものではない。特に実施例のように棚奥行き方向に並ぶ盤状体単体11A,11B(11C,11D)が使用されるときは、その前後2つの盤状体単体11A,11B(11C,11D)どうしをボルトナットやビスなどの連結具により連結一体化するのが望ましい。又、実施例のように棚間口方向に並ぶ盤状体単体11A,11C(11B,11D)が使用されるときは、その左右2つの盤状体単体11A,11C(11B,11D)どうしを、中間の隙間を塞ぐカバー材35A(35B)などを介して連結一体化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の植物栽培用ラックは、組立てが容易な照明器具組み込みの植物栽培用ラックとして活用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 コンテナ支持用棚
2 天井棚
3a〜5b 支柱
6〜9 棚板
10 盤状体
11A〜11D 盤状体単体
12 囲い手段
13〜16 囲い板
13a〜16b 囲い板単体(内側光反射面)
17 盤状体単体下側面(光反射面)
18 蛍光灯型照明器具
19a,19b 蛍光管
19c〜19f 蛍光管ソケット
19g 安定器
20 蝶番
21〜24 通風用開口
25a,25b 送風用ファン
26 盤状体単体の底板部
27a,27b 盤状体単体の前後両側板部
28a,28b 奥行き方向門形カバー材
29 間口方向門形カバー材
32 吊り具
33,50 棚受け
35A,35B カバー材
36,37 接続線
38a,38b,42a,42b コネクタ
39 電源接続コード
41 電源中継コード
43 電源コード
46 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱間に架設されて植物栽培用コンテナを支持する棚の上方に、下側面が光反射面となっている盤状体が棚と平行に着脱自在に支持され、この盤状体は、前記棚のコンテナ支持面全体を覆う大きさのもので、この盤状体には、下側の棚のコンテナ支持面を照明する照明器具が取り付けられ、この盤状体の下側空間を囲み且つ内側面が光反射面となっている囲い板が設けられ、この囲い板の内、少なくとも棚間口方向と平行な前後両囲い板は、前記盤状体に取り付けられている、植物栽培用ラック。
【請求項2】
前記前後両囲い板の内、前側の囲い板は、前記盤状体の前側辺に蝶番を介して上下開閉自在に取り付けられている、請求項1に記載の植物栽培用ラック。
【請求項3】
前記盤状体は、棚を含むラック構成部材から吊り具を介して吊り下げられている、請求項1又は2に記載の植物栽培用ラック。
【請求項4】
前記盤状体は、ラックの前後両支柱間に取り付けられた左右一対の盤状体受け具に、棚間口方向両端の左右両側辺が支持されている、請求項1又は2に記載の植物栽培用ラック。
【請求項5】
前記囲い板の内、棚奥行き方向と平行な左右両囲い板も前記盤状体に取り付けられている、請求項1〜4の何れか1項に記載の植物栽培用ラック。
【請求項6】
前記盤状体は、ラックの前後両支柱間に取り付けられた左右一対の棚受けに、棚間口方向両端の左右両側辺が支持され、前記囲い板の内、棚奥行き方向と平行な左右両囲い板は、前記盤状体の左右両側辺を支持する左右一対の棚受けに取り付けられている、請求項1又は2に記載の植物栽培用ラック。
【請求項7】
前記棚が奥行き方向に複数列に植物栽培用コンテナを支持できる奥行きを有し、前記盤状体は、棚奥行き方向のコンテナ列毎に分割された盤状体単体から構成されている、請求項1〜6の何れか1項に記載の植物栽培用ラック。
【請求項8】
前記盤状体は、下側面が光反射面となっている底板部と、この底板部の前後両側辺から上側に折曲連設された前後両側板部と、前記底板部の左右両側辺に沿って当該底板部の上に載置固定された左右一対の奥行き方向門形カバー材と、前記底板部の上に前後両側辺と平行向きに載置固定された間口方向門形カバー材とから構成され、前記照明器具は、前記左右一対の奥行き方向門形カバー材の内側で前記底板部に取り付けられた左右一対のソケットと、前記間口方向門形カバー材の内側で前記底板部上に取り付けられた安定器を備えた蛍光灯型照明器具である、請求項1〜7の何れか1項に記載の植物栽培用ラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−115099(P2011−115099A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276005(P2009−276005)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】