説明

植物栽培装置

【課題】装置の省スペース化を図りながら、苗作り、植え替え、手入れ、収穫、清掃、準備及び培養液管理などの各作業の作業性が良好となされた植物栽培装置を提供する。
【解決手段】培養槽1中に培養液を溜めこの培養液中で植物を栽培する植物栽培装置であって、複数の培養槽1を縦積みにして保持する保持棚2と、保持棚2に保持された複数の培養槽1のうちの所定の培養槽1を選択的に搬送する搬送手段3と、搬送手段3により選択された培養槽1が搬送され搬送された培養槽1に対する作業が行われる作業場4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内で、野菜、果物、その他の植物を栽培する植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内において、LEDなどの人工光を用いて、野菜、果物、その他の植物を栽培する植物栽培装置が提案されている。このような植物栽培装置は、特許文献1に記載されているように、培養槽に培養液を溜め、この培養液中で植物を栽培するものである。培養液中で栽培される植物には、太陽光などの自然光ではなく、LEDなどから発せられる人工光が照射され、光合成が行われるようにしている。
【0003】
このような植物栽培装置においては、苗作り、植え替え、手入れ及び収穫というサイクルが繰り返されることにより、野菜や果物が生産される。また、このサイクルと並行して、監視、清掃、準備、培養液管理といった作業を随時行うことが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−009808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のような植物栽培装置においては、苗作り、植え替え、手入れ及び収穫、さらに、清掃、準備、培養液管理といった各作業において、作業者は、培養槽の位置まで行かなければならない。培養槽は、装置の省スペース化を図るためには、平面状に配置するのみならず、縦積みにして配置する必要がある。そうすると、作業者が培養槽の位置まで行くには、脚立を用いたり、梯子を登ったりしなければならないため、作業性が悪く、また、安全な作業環境を確保することが困難となる。
【0006】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、装置の省スペース化を図りながら、苗作り、植え替え、手入れ、収穫、清掃、準備及び培養液管理などの各作業の作業性が良好となされた植物栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明に係る植物栽培装置は、以下の構成を有するものである。
【0008】
〔構成1〕
培養槽中に培養液を溜めこの培養液中で植物を栽培する植物栽培装置であって、複数の培養槽を縦積みにして保持する保持棚と、保持棚に保持された複数の培養槽のうちの所定の培養槽を選択的に搬送する搬送手段と、搬送手段により選択された培養槽が搬送され搬送された培養槽に対する作業が行われる作業場とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
〔構成2〕
構成1を有する植物栽培装置において、搬送手段は、作業場に搬送した培養槽を、作業場における作業が終了した後に、保持棚の元の場所に搬送し、保持棚に保持させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
構成1を有する本発明に係る植物栽培装置においては、複数の培養槽を縦積みにして保持する保持棚と、保持棚に保持された複数の培養槽のうちの所定の培養槽を選択的に搬送する搬送手段と、搬送手段により選択された培養槽が搬送され搬送された培養槽に対する作業が行われる作業場とを備えたので、作業者は、各培養槽に対する作業を行うにあたり、各培養槽の近くに移動する必要がなく、全ての培養槽に対する作業を作業場において行うことができる。
【0011】
構成2を有する本発明に係る植物栽培装置においては、搬送手段は、作業場に搬送した培養槽を、作業場における作業が終了した後に、保持棚の元の場所に搬送し、保持棚に保持させるので、作業を終了された各培養槽は、常に保持棚の所定の場所に保持される。
【0012】
すなわち、本発明は、装置の省スペース化を図りながら、苗作り、植え替え、手入れ、収穫、清掃、準備及び培養液管理などの各作業の作業性が良好となされた植物栽培装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る植物栽培装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る植物栽培装置の保持棚の構成を示す正面図である。
【図3】本発明に係る植物栽培装置の保持棚の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る植物栽培装置の搬送手段及び制御装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る植物栽培装置の構成を示す斜視図である。
【0016】
本発明に係る植物栽培装置は、図1に示すように、複数の培養槽1中に培養液を溜め、この培養液中で植物を栽培する植物栽培装置である。この植物栽培装置は、複数の培養槽1を縦積みにして保持する保持棚2を備えている。
【0017】
保持棚2内においては、図2及び図3に示すように、各培養槽1は、所定の位置において保持され、培養液を供給される。また、各培養槽1の上方には、LED、または、蛍光灯12が設置されており、各培養槽1内の植物に光を照射するようになっている。
【0018】
そして、この植物栽培装置は、保持棚2に保持された培養槽1を搬送する搬送手段3を備えている。搬送手段3は、保持棚2に保持された複数の培養槽1のうちの所定の培養槽1を、選択的に搬送する。
【0019】
図4は、本発明に係る植物栽培装置の搬送手段及び制御装置の構成を示す斜視図である。
【0020】
搬送手段3は、図4に示すように、保持棚2に対する培養槽1の取り出し及び収納を行う移動操作装置5、培養槽1を上下に移動させる昇降装置6及び培養槽1を水平に移動させるコンベア装置7と、これら各装置を制御する制御装置8とにより構成されている。移動操作装置5は、保持棚2に保持された各培養槽1の近くに移動できるように構成されている。
【0021】
制御装置8は、信号処理装置(CPU)を有して構成され、記憶装置(メモリ)9、入力装置(キーボードなど)10及び表示装置(ディスプレイ)11が接続されている。
【0022】
搬送手段3による培養槽1の選択は、制御装置8に対する作業者による入力装置10を用いた手動入力に従って行ってもよいし、記憶装置9に記憶され制御装置8において実行されるプログラムに従って行われるようにしてもよい。
【0023】
搬送手段3により選択されて保持棚2より取り出された培養槽1は、図1中矢印Aで示すように、作業場4に搬送される。作業場4では、搬送された培養槽1に対して、作業者による作業が行われる。この作業は、例えば、苗作り、植え替え、手入れ及び収穫という培養サイクルをなす作業や、この培養サイクルと並行して行われる監視、清掃、準備、培養液管理といった作業である。
【0024】
この植物栽培装置においては、培養サイクルが繰り返されることにより、野菜や果物が生産される。作業者は、各培養槽に対する作業を行うにあたり、各培養槽1の近くに移動する必要がなく、全ての培養槽1に対する作業を作業場4において行うことができる。
【0025】
そして、搬送手段3は、作業場4における作業が終了した後に、作業場4に搬送した培養槽1を、図1中矢印Bで示すように、保持棚2の元の場所に搬送し、保持棚2に保持させる。したがって、この植物栽培装置においては、作業を終了された各培養槽1は、常に保持棚2の所定の場所に保持される。
【0026】
すなわち、本発明に係る植物栽培装置においては、装置の省スペース化が図られ、かつ、苗作り、植え替え、手入れ、収穫、清掃、準備及び培養液管理などの各作業の作業性が良好となされる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、屋内で、野菜、果物、その他の植物を栽培する植物栽培装置に適用される。
【符号の説明】
【0028】
1 培養槽
2 保持棚
3 搬送手段
4 作業場
5 移動操作装置
6 昇降装置
7 コンベア装置
8 制御装置
9 記憶装置
10 入力装置
11 表示装置
12 LED、または、蛍光灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養槽中に培養液を溜め、この培養液中で植物を栽培する植物栽培装置であって、
複数の前記培養槽を縦積みにして保持する保持棚と、
前記保持棚に保持された複数の培養槽のうちの所定の培養槽を選択的に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により選択された培養槽が搬送され、搬送された培養槽に対する作業が行われる作業場と
を備えたことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記作業場に搬送した培養槽を、前記作業場における作業が終了した後に、前記保持棚の元の場所に搬送し、保持棚に保持させる
ことを特徴とする請求項1記載の植物栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−136724(P2010−136724A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−12631(P2010−12631)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(507166885)
【Fターム(参考)】