説明

植物栽培面への支柱立てのための構造

【課題】支柱を植物栽培面に対して深くさし込んで立てることができない場合でも、立てた支柱を傾倒阻止状態にしっかりと保持でき、しかも、支柱を植物栽培面の好みの位置に立てうる植物栽培面への支柱立てのための構造を提供する
【解決手段】プランター1内に、上面部2aを植物栽培面とする土層2が設けられ、土層2の下にビーズ状保水剤層3が備えられ、土層2の深さ方向中間部に上メッシュシート4が設けられると共に、土層2とビーズ状保水剤層3との境界部に下メッシュシート5が水平に設けられ、支柱6を、植物栽培面2aに対して上下のメッシュシート4,5を貫通してビーズ状保水剤層3にさし込まれるように立てることで、支柱6が傾倒阻止状態に保持されるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培面への支柱立てのための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の栽培において、支柱立てをする場合に、支柱を植物栽培面に対して深くさし込める場合はよいが、例えばプランターでの栽培のように、支柱をさし込むことのできる土の深さ寸法が限られているような場合には、支柱を立てても倒れてしまうという問題がある。
【0003】
そのため、プランターに、支柱を立てた状態に保持する保持部を設け、該保持部に支柱を保持させて支柱立てをすることができるようになされたプランターが提供されているが、そのようなプランターでは、支柱を立てることのできる位置が限られてしまい、植物栽培面の好みの位置に支柱立てをすることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−92930号公報
【特許文献2】特開2001−28953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、支柱を植物栽培面に対して深くさし込んで立てることができない場合であっても、立てた支柱を傾倒阻止状態にしっかりと保持することができ、しかも、支柱を植物栽培面の好みの位置に立てることができる植物栽培面への支柱立てのための構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、植物栽培面の下方に、上下の支柱保持用メッシュシートが深さ方向に間隔をおいて水平に設けられ、これら上下メッシュシートに貫通状態に立てた支柱が、これら上下のメッシュシートによって傾倒阻止状態に保持されるようになされていることを特徴とする植物栽培面への支柱立てのための構造によって解決される(第1発明)。
【0007】
この構造では、支柱は、植物栽培面下の、深さ方向に間隔をおいた上下のメッシュシートに貫通状態となるように立てることによって、これら上下のメッシュシートによって傾倒阻止状態に保持されるようになされているので、支柱を植物栽培面に対して深くさし込んで立てることができない場合であっても、立てた支柱を、上下のメッシュシートの協働保持作用によって傾倒阻止状態にしっかりと保持することができる。
【0008】
しかも、上下のシートはメッシュシートからなるので、植物栽培面のどの位置に支柱を立てても、支柱を上下のメッシュシートに貫通させることができて、支柱を植物栽培面の好みの位置に立てることができる。
【0009】
第1発明において、プランター内に、上面部を前記植物栽培面とする土層が設けられると共に、該土層の下にビーズ状保水剤層が備えられ、前記上メッシュシートが、土層の深さ方向中間部に設けられると共に、前記下メッシュシートが、土層とビーズ状保水剤層との境界部に設けられているのもよい(第2発明)。
【0010】
この場合は、ビーズ状保水剤が、土層の下に層をなして備えられているから、灌水を行っても、ビーズ状保水剤を土層内に混入するような場合に比べて、柔らかくなりにくく、そのため、上下のメッシュシートに貫通状態されることによってビーズ状保水剤層中にさし込まれた支柱を、上下のメッシュシートとビーズ状保水剤層とによって、しっかりとした傾倒阻止状態にすることができる。
【0011】
しかも、ビーズ状保水剤が、土層の下に層をなして備えられていることにより、土層の土が流れるのをビーズ状保水剤層で阻止することができて、プランター設置面の土汚れを抑制ないしは阻止することができる。
【0012】
第2発明において、前記プランターが、上下の分割されており、上プランター部の下端開口周縁部、又は、下プランター部の上端開口周縁部に上メッシュシートの周縁部が止め付けられ、下プランター部の深さ方向中間部に下メッシュシートの周縁部が止め付けられているとよい(第3発明)。
【0013】
この場合は、上下のメッシュシートの周縁部がプランターに止め付けられていることで、上下のメッシュシートによる支柱の保持をしっかりとしたものにすることができるのみならず、
プランターを上下に分割したことで、プランター内における上メッシュシートの周縁部の止め付けを容易にすることができる。
【0014】
第1〜第3発明において、前記上下のメッシュシートがそれぞれ、伸縮性のある繊維で構成されている場合は(第4発明)、支柱を容易に上下のメッシュシートに貫通させることができる。
【0015】
第2発明において、前記下メッシュシートの目のサイズが、上メッシュシートの目のサイズよりも小さく設定されている場合は(第5発明)、植物の根が上メッシュシートの下方に伸びていきやすくすることができ、しかも、下メッシュシートによって土層の土がビーズ状保水剤層の側に流れるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の植物栽培面への支柱立てのための構造は、以上のとおりのものであるから、支柱を植物栽培面に対して深くさし込んで立てることができない場合であっても、立てた支柱を傾倒阻止状態にしっかりと保持することができ、しかも、支柱を植物栽培面の好みの位置に立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態の構造を示すもので、図(イ)は分解断面正面図、図(ロ)は支柱立てをした状態の断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示す実施形態の構造において、1はプランターであり、プランター1内には、上面部2aを植物栽培面とする土層2が設けられると共に、土層2の下にビーズ状保水剤層3が備えられており、土層2の深さ方向中間部に上メッシュシート4が水平に設けられると共に、土層2とビーズ状保水剤層3との境界部に下メッシュシート5が水平に設けられ、図1(ロ)に示すように、支柱6を、植物栽培面2aに対して上下のメッシュシート4,5を貫通してビーズ状保水剤層3にさし込まれるように立てることで、支柱6は、これら上下のメッシュシート4,5、更にはビーズ状保水剤層3によって傾倒阻止状態に保持されるようになされている。
【0020】
上下のメッシュシート4,5は、いずれも、伸縮性のある繊維で構成されていて、支柱6を容易に上下のメッシュシート4,5に貫通させることができるようになっている。また、上メッシュシートはメッシュ幅が例えば7mm、下メッシュシート5はメッシュ幅が例えば5mmというように、下メッシュシート5の目のサイズは、上メッシュシート4の目のサイズよりも小さく設定されていて、植物の根が上メッシュシート4の下方に伸びていきやすくなっていると共に、下メッシュシート5によって土層2の土がビーズ状保水剤層3の側に流れるのが抑制されるようになされている。
【0021】
そして、図1(イ)に示すように、上記のプランター1は上下に分割されており、上メッシュシート4の周辺部が、上プランター部8の下端開口周縁部8a、又は、下プランター部9の上端開口周縁部9aに止め付けられており、また、下プランター部9の深さ方向中間部に下メッシュシート5の周縁部が止め付けられていて、上下のメッシュシート4,5による支柱6の保持がしっかりとしたものになるようにされていると共に、プランター1内における上メッシュシート4の周縁部の止め付けを容易にすることができるようになされている。
【0022】
施工は、下プランター部9の内の中間高さ位置のところまでビーズ状保水剤を入れてビーズ状保水剤層3を形成したのち、その上に下メッシュシート5を敷いて、その周辺部を下プランター部9に止め付け、その上に土層2の下半部を構成する土2bを下プランター部9の上端高さ位置まで入れる。しかる後、上メッシュシート4の周縁部を、上プランター部8の下端開口周縁部8a、又は、下プランター部9の上端開口周縁部9aに止め付け、次いで、上プランター部8と下プランター部9とを合体し、上プランター部8の上端開口部を通じて、土層2の上半部を構成する土2cを上プランター部8内に入れるというようにして行えばよい。10は排水口である。
【0023】
上記の構造では、支柱6は、植物栽培面2a下の、深さ方向に間隔をおいた上下のメッシュシート4,5に貫通状態となるように立てることによって、これら上下のメッシュシート4,5によって傾倒阻止状態に保持されるようになされているので、支柱6を植物栽培面2aに対して深くさし込んで立てることができなくても、立てた支柱6を、上下のメッシュシート4,5の協働保持作用によって傾倒阻止状態にしっかりと保持することができる。
【0024】
特に、本実施形態では、土層2の下、即ち、下メッシュシート5の下にビーズ状保水剤層3が備えられているので、灌水を行っても、柔らかくなりにくく、そのため、上下のメッシュシート4,5に貫通状態されることによってビーズ状保水剤層3中にさし込まれた支柱6を、上下のメッシュシート4,5とビーズ状保水剤層3とによって、しっかりとした傾倒阻止状態にすることができる。
【0025】
しかも、上下のシート4,5はメッシュシートからなっており、保水層3はビーズ状保水剤層からなっているので、植物栽培面2aのどの位置に支柱6を立てても、支柱6を上下のメッシュシート4,5に貫通させることができて、支柱6を植物栽培面2aの好みの位置に立てることができる。
【0026】
加えて、土層2の下にビーズ状保水剤層3が備えられているので、土層2の土がビーズ状保水剤層3の側に流れるのをビーズ状保水剤層3が防いで、ベランダなどのプランター設置面の土汚れを抑制ないしは阻止することができる。
【0027】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、本発明をプランターに適用した場合を示したが、第1発明は、コンクリート面上に設けた土層などに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1…プランター
2…土層
2a…植物栽培面
3…ビーズ状保水剤層
4…上メッシュシート
5…下メッシュシート
6…支柱
8…上プランター部
8a…下端開口周縁部
9…下プランター部
9a…上端開口周縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培面の下方に、上下の支柱保持用メッシュシートが深さ方向に間隔をおいて水平に設けられ、これら上下メッシュシートに貫通状態に立てた支柱が、これら上下のメッシュシートによって傾倒阻止状態に保持されるようになされていることを特徴とする植物栽培面への支柱立てのための構造。
【請求項2】
プランター内に、上面部を前記植物栽培面とする土層が設けられると共に、該土層の下にビーズ状保水剤層が備えられ、前記上メッシュシートが、土層の深さ方向中間部に設けられると共に、前記下メッシュシートが、土層とビーズ状保水剤層との境界部に設けられている請求項1に記載の植物栽培面への支柱立てのための構造。
【請求項3】
前記プランターが、上下の分割されており、上プランター部の下端開口周縁部、又は、下プランター部の上端開口周縁部に上メッシュシートの周縁部が止め付けられ、下プランター部の深さ方向中間部に下メッシュシートの周縁部が止め付けられている請求項2に記載の植物栽培面への支柱立てのための構造。
【請求項4】
前記上下のメッシュシートがそれぞれ、伸縮性のある繊維で構成されている請求項1乃至3のいずれか一に記載の植物栽培面への支柱立てのための構造。
【請求項5】
前記下メッシュシートの目のサイズが、上メッシュシートの目のサイズよりも小さく設定されている請求項2に記載の植物栽培面への支柱立てのための構造。

【図1】
image rotate