説明

植物活力剤

【課題】植物の葉面に散布して適用する場合に、幅広い有効分濃度で優れた植物活力効果が得られる植物活力剤を提供する。
【解決手段】一般式(1−1)で表される特定の化合物(A)、ガム類、エステル化加工澱粉、水溶性タンパク質から選ばれる乳化・分散剤(B)、ノニオン界面活性剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)、カチオン界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、及びパラフィン類から選ばれる1種以上の展着剤(C)を含有する植物活力剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物活力剤、及びこれらを植物の葉面に散布して用いる植物活力向上方法に関する。ここで、以下、「植物」は、植物の語自体から認識され得るもの、野菜、果実、果樹、穀物、種子、球根、草花、香草(ハーブ)、分類学上の植物等を表すものとする。
【背景技術】
【0002】
農作物の生長を促進し、単位面積当たりの収穫量を増やして増収をはかることは農業生産上重要な課題であり、生産性の向上等を目的として、従来から、植物の成長に必要な栄養要素を含む肥料が用いられている。
【0003】
肥料は、元肥や追肥として施肥されたり、液状で土壌灌注もしくは葉面散布されたりして植物に供給されるが、ある程度の濃度以上に与えても、植物の生長や収量はそれほど大きくは向上しない。むしろ、過剰に肥料を供給すると、土壌中の栄養バランスが崩れたり、植物にストレスを与えたりして、植物の生長に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
このため、肥料とは別に種々の植物生長調節剤が利用されている。例えば、ジベレリンやオーキシン等に代表される植物生長調節剤は、発芽、発根、伸長、花成り、着果等生育、形態形成反応の調節のために用いられているが、これらの物質の作用は多面的かつ複雑であり、用途が限定されている。
【0005】
このような問題を解決するために、オリゴ糖を用いた葉面散布剤(特許文献1)や糖、ミネラル、アミノ酸、海藻抽出物や微生物の発酵エキスを含んだ液状肥料を葉面散布したり、溶液施肥するような技術が知られている。
【0006】
また、特許文献2には、炭素数12〜24の1価アルコールからなる植物活力剤が開示されており、この剤は、薬害が無く効率的に植物体に活力を付与できるとされている。また、特許文献3には、炭素数12〜24の1価アルコール等の特定の化合物と、乳化・分散剤と、水溶性糖類を含有する粉末状植物活力剤が開示されている。
【特許文献1】特開平9−322647号
【特許文献2】特開2000−198703号
【特許文献3】特開2003−123540号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
植物活力剤を植物の葉面に散布して適用する場合、湿展性、固着性、浸透性、分散性、可溶化性などの特性が総合的の良好でないと十分な効果は得られにくい。また、植物の種類や生育段階、栽培方法などによっては、植物活力効果が幅広い有効分濃度で発現することが望ましい場合がある。しかし、特許文献1〜3では、こうした背景から葉面散布に効果的な植物活力剤を得る点について、十分に検討されているとは言い難い。
【0008】
本発明の課題は、植物の葉面に散布して適用する場合に、幅広い有効分濃度で優れた植物活力効果が得られる植物活力剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記一般式(1−1)で表される化合物(A)〔以下、(A)成分という〕、ガム類、エステル化加工澱粉、水溶性タンパク質から選ばれる乳化・分散剤(B)〔以下、(B)成分という〕、ノニオン界面活性剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)、カチオン界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、及びパラフィン類から選ばれる1種以上の展着剤(C)〔以下、(C)成分という〕を含有する植物活力剤、並びに、該本発明の植物活力剤を植物の葉面に散布する、植物の処理方法に関する。
【0010】
【化2】

【0011】
〔式中、R11は炭素数10〜22の炭化水素基、R12は水素原子、水酸基又は炭素数1〜24の炭化水素基、R13は水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表し、R11、R12、R13のいずれか2つが一緒になって環を形成していても良い。〕
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特に植物の葉面に散布して適用する場合に、幅広い有効分濃度で優れた植物活力効果が得られる植物活力剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<(A)成分>
(A1)成分
一般式(1−1)において、R11、R12、R13の炭化水素基は、それぞれ飽和、不飽和の何れでも良く、好ましくは飽和であり、また直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良く、好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖である。また、R11、R12、R13のいずれか2つが一緒になって環を形成していても良い。更に炭化水素基の総炭素数は奇数でも偶数でもよいが、偶数が好ましい。
【0014】
また、R11、R12、R13の炭素数の合計は、何れも50以下が好ましく、より好ましくは10〜48、更に好ましくは10〜44、特に好ましくは10〜22、最も好ましくは12〜20である。
【0015】
一般式(1−1)において、R11の炭素数は14〜22が好ましく、より好ましくは14〜20、更に好ましくは14〜18である。また、一般式(1−1)で表される化合物は、総炭素数が12〜48、更に16〜28、特に16〜24であることが好ましい。更に、総炭素数が12〜24で水酸基を1個有するものが好ましく、特に総炭素数が14〜22で水酸基を1個有するものが好ましく、総炭素数が16〜20で水酸基を1個有するものが最も好ましい。一般式(1−1)で表される化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0016】
(A−1)
CH3(CH2)o-1OH(oは12〜24、好ましくは14〜24、更に好ましくは14〜22、特に好ましくは16〜20の整数)で表される1−アルカノールが挙げられる。すなわち、一般式(1−1)で表される化合物として、炭素数12〜24の1価アルコールが挙げられる。具体的には、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール、1−ヘンエイコサノール、1−ドコサノール、1−トリコサノール、1−テトラコサノールが挙げられる。
【0017】
(A−2)
CH3CH(OH)(CH2)p-3CH3(pは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される2−アルカノールが挙げられる。具体的には、2−ドデカノール、2−トリデカノール、2−テトラデカノール、2−ペンタデカノール、2−ヘキサデカノール、2−ヘプタデカノール、2−オクタデカノール、2−ノナデカノール、2−イコサノール等が挙げられる。
【0018】
(A−3)
CH2=CH(CH2)q-2OH(qは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される末端不飽和アルコールが挙げられる。具体的には、11−ドデセン−1−オール、12−トリデセン−1−オール、15−ヘキサデセン−1−オール等が挙げられる。
【0019】
(A−4)
その他の不飽和長鎖アルコールとして、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール(α又はβ)、リシノイルアルコール、フィトール等が挙げられる。
【0020】
(A−5)
HOCH2CH(OH)(CH2)r-2H(rは12〜24、好ましくは16〜24、更に好ましくは16〜20の整数)で表される1,2−ジオールが挙げられる。具体的には、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等が挙げられる。
【0021】
上記(A−1)〜(A−5)のうち、(A−1)、(A−2)、(A−4)、(A−5)が好ましく、(A−1)、(A−2)、(A−4)がより好ましく、(A−1)、(A−4)が更に好ましく、(A−1)、中でも1−オクタデカノール(ステアリルアルコール)が特に好ましい。
【0022】
本発明の植物活力剤中の(A)成分の含有量は、形態が粉末状の場合、経済性の観点から、植物活力剤の3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。又、粒子の溶解性及び効果発現の観点から、植物活力剤の70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。従って、経済性、溶解性及び効果発現の観点から、該含有量は植物活力剤の5〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。
【0023】
<(B)成分>
(B)成分は、(A)成分を粒子内に油滴として安定に乳化・分散させる機能を持ち、且つ粒子を形成させる段階で悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。
【0024】
ガム類としては、アラビアガム、キサンタンガム等が挙げられる。また、エステル化加工澱粉としては、オクテニルコハク酸澱粉等が挙げられる。また、水溶性タンパク質としては、カゼインナトリウム、ゼラチン、乳蛋白、大豆蛋白等が挙げられる。
【0025】
これらの中でも、効果発現、乳化・分散能力、粒子形成性の観点から、常温で固体状を呈する乳化・分散剤を少なくとも1種使用することが好ましい。具体的には、ゼラチン、カゼインナトリウム等の水溶性蛋白質、オクテニルコハク酸澱粉等のエステル化加工澱粉、キサンタンガムが好ましく、カゼインナトリウム、オクテニルコハク酸澱粉が更に好ましく、オクテニルコハク酸澱粉が特に好ましい。
【0026】
オクテニルコハク酸澱粉は、澱粉懸濁液を微アルカリ性として、これにオクテニルコハク酸無水物を徐々に滴下することにより、下記の反応式(式中のStは澱粉残基である)のように親水基と疎水基を有するエステル化澱粉として得られる。その場合、オクテニルコハク酸無水物の添加量により種々の置換度を有するエステル化澱粉が得られる。
【0027】
【化3】

【0028】
又、(b)成分は、上記の乳化・分散剤を、必要に応じて2種以上組合わせて使用しても良い。組合せにより、複合効果を期待することができる。
【0029】
本発明の植物活力剤中の(B)成分の含有量は、形態が粉末状の場合、乳化・分散性の観点から、植物活力剤の1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。又、効果発現、粒子の溶解性及びコストの観点から、植物活力剤の60重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下が特に好ましく、30重量%以下が最も好ましい。従って、効果発現、乳化・分散性、溶解性及びコストの観点から、該含有量は植物活力剤の1〜60重量%が好ましく、1〜50重量%がより好ましく、5〜40重量%が特に好ましく、5〜30重量%が最も好ましい。
【0030】
また、(B)成分と(A)成分の重量比(B)/(A)は、効果を安定に発現させ、良好な溶解性を得る観点から、1/5〜5/1が好ましく、1/3〜3/1がより好ましい。
【0031】
<(C)成分>
(C)成分は、展着目的の成分であり、特に(A)成分の付着性、固着性、浸透性を高め、効果を強化するために用いられる。こうした観点から、本発明では、ノニオン界面活性剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)、カチオン界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、及びパラフィン類から選ばれる1種以上の展着剤が用いられる。(C)成分は、固着性の高い性質を持った、上記ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及びパラフィン類から選ばれる1種以上が好ましい。
【0032】
(C)成分のうち、ノニオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンポリグリセリン脂肪酸エステル、樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(ポリ)グリコシド等が挙げられる。好ましくは、窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤及びエステル基含有非イオン界面活性剤が挙げられる。中でもソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、更に、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、特にポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは好ましいノニオン界面活性剤である。
【0033】
また、(C)成分のうち、カチオン界面活性剤としては、アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、アルキルアミンプロピレンオキサイド付加物、例えばタローアミンエチレンオキサイド付加物、オレイルアミンエチレンオキサイド付加物、ソイアミンエチレンオキサイド付加物、ココアミンエチレンオキサイド付加物、合成アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、オクチルアミンエチレンオキサイド付加物、WO95/33379に記載のアルカノールアミンアルキルエステル化物及びそのアルキレンオキサイド付加物など並びにこれらの化合物から誘導された4級アンモニウム化合物、さらにそれらの混合物がある。中でも、第4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤が好ましい。
【0034】
また、(C)成分のうち、ベタイン型両性界面活性剤としては、アルキルジメチルベタイン、アルキルヒドロキシエチルベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニアスルホベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニアスルホベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルカルボキシメチルアンモニアベタイン等が挙げられる。
【0035】
また、(C)成分のうち、パラフィン類としては、バンガードA(パラフィン含有量16重量%)、ペタンV(パラフィン含有量42重量%)の登録名で知られている展着剤が挙げられる。
【0036】
本発明の植物活力剤中の(C)成分の含有量は、形態が粉末状の場合、展着性効果の観点から、植物活力剤の3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。又、植物への薬害、経済性の観点から、植物活力剤の95重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましい。従って、展着性効果、薬害、経済性の観点から、該含有量は植物活力剤の3〜95重量%が好ましく、3〜90重量%がより好ましく、5〜90重量%が特に好ましい。
【0037】
<(D)成分>
本発明の植物活力剤は、更に水溶性糖類(D)を含有することができる。(D)成分は、賦形剤であり、(A)成分を油滴として固定化し粒子を形成させる為のもので、水に接触した場合速やかに溶解する水溶性糖類である。例えば、グルコース、果糖、乳糖、麦芽糖、蔗糖、デキストリン、シクロデキストリン、マルトース、フルクトース、プルラン、あるいはソルビトール、マンニトール等の糖アルコール等が挙げられる。この中でも、溶解性、吸湿性、粒子形成性の観点から、デキストリンが特に好ましい。又、上記の水溶性糖類は、必要に応じて2種以上組合わせて使用しても良い。
【0038】
(D)成分は、(A)成分が粒子内に油滴の状態で分散した構造を有する粒子からなる粉末状植物活力剤を得る際に特に好適に用いられる。粉末状植物活力剤中の(D)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合量により変動するので特に限定されないが、粒子形成性の観点から、粉末状植物活力剤の5〜90重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
【0039】
本発明の植物活力剤には、(A)成分、(B)成分、(C)成分、更に(D)成分以外にも、必要に応じ他の物質が含まれていても良い。例えば、酸化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、キレート剤、崩壊剤(水溶性無機塩類、水不溶性物質)、肥料等が挙げられる。又、使用する原料及び製造プロセス由来の水分を含有しても良い。植物活力剤中の水分は、形態が粉末の場合、菌増殖に関わる水分活性の観点から粉末状植物活力剤の10重量%以下が好ましく、ブロッキング抑制の観点から5重量%以下がより好ましい。
【0040】
本発明の植物活力剤は、葉面散布、土壌灌注等の方法で植物に施用できるが、土壌植物の葉面に散布して適用することが好ましい。具体的には、本発明の植物活力剤を水に溶解、分散させて水性組成物(乳化・分散液)を調製し、これを植物の葉面に散布する方法が挙げられる。該水性組成物中、(A)成分濃度は0.01〜10000ppm、更に1〜1000ppm、特に1〜500ppmが好ましく、(B)成分濃度は0.01〜30000ppm、更に1〜3000ppm、特に10〜1500ppmが好ましく、(C)成分濃度は5重量%以下、更に1重量%以下、特に0.5重量%以下が好ましい。かかる水性組成物の散布量、散布回数は、植物の種類、生育段階などを考慮して適宜決めればよい。
【0041】
本発明の植物活力剤により処理できる植物としては、果菜類では、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、オクラ、サヤインゲン、ソラマメ、エンドウ、エダマメ、トウモロコシ等が挙げられる。葉菜類では、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガス、レタス、サラダナ、セルリー、ホウレンソウ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、ウド、ミョウガ、フキ、シソ等が挙げられる。根菜類としては、ダイコン、カブ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ、ショウガ、レンコン等が挙げられる。その他に、稲、麦類、花卉類等にも使用が可能である。
【実施例】
【0042】
実施例1<トマト苗への葉面散布試験>
品種 :「ホーム桃太郎」(タキイ種苗(株))
栽培容器:発芽用 50穴のセルトレイ
栽培用 9cm(直径)ポット
使用培土:タキイ種まき培土〔N:P25:K20=480:750:345(mg/L)、pH6.4、EC:0.96〕
上記条件で50穴セルトレイに播種し、発芽2週間後ポットに移植し、表1に示したような植物活力剤組成物を7日間隔で計3回処理した。配合原料の濃度(有効分濃度、以下同様)は表1に示した通りで残部は水であり、1回の処理量は1ポット当たり約10mlで葉面に散布した。処理終了後7日目にそれぞれの植物重量(重量とは生重量を意味する。以下同様)を測定した。測定値は5反復を平均して、無処理区(比較品1−7)を100としたときの相対値で比較し、その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
(注)表中、POEはポリオキシエチレンの略であり、( )内の数字はエチレンオキサイドの平均付加モル数である(以下同様)。また、表中の成分は以下の通りである。
*1:花王(株)製「レオドールSP-L10」
*2:花王(株)製「エマノーンCH80」
【0045】
実施例2<チンゲンサイ苗への葉面散布試験>
チンゲンサイ種子:タキイ種苗(株)
栽培容器:50穴のセルトレイ
使用培土:タキイ種まき培土(実施例1と同じもの)
上記条件で50穴セルトレイに播種し、発芽2週間後から7日間隔で表2に示したような植物活力剤及びOKF2(大塚化学(株))をNPKベースとして希釈〔N:P:K=260:149:247(ppm)/OKF2を538倍希釈〕を含む植物活力剤組成物を4回葉面処理した。配合原料の濃度は表2に示した通りで残部は水であり、1回の処理量は10穴当たり約50mlで葉面に散布した。試験は各組成物を10穴を1反復として3反復で行った。4回目の処理終了後7日目にそれぞれの植物重量を測定した。測定値は3反復を平均して、無処理区(比較品2−3)を100としたときの相対値で比較し、その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
(注)表中の成分は以下の通りである。
*1:花王(株)製「レオドールSP-L10」
*3:アグロカネショウ(株)製「ペタンV」
*4:シンジェンタジャパン(株)製「ミックスパワー」
*5:シンジェンタジャパン(株)製「ミックスパワー」
*6:花王(株)製「レオドールTW-O120」
*7:花王(株)製「レオドール440」
*8:下記式で表される高分子化合物
【0048】
【化4】

【0049】
*9:花王(株)製「エマノーン4110」
*10:三共社製「スプレースチッカー」
【0050】
実施例3<トマト苗への葉面散布試験>
品種 :「ホーム桃太郎」(タキイ種苗(株))
栽培容器:発芽用 50穴のセルトレイ
栽培用 1/2000ワグネルポット
使用培土:タキイ種まき培土(実施例1と同じもの)
上記条件で50穴セルトレイに播種し、発芽2週間後ポットに定植後、表3に示したような植物活力剤組成物を月2回の間隔で処理した。配合原料の濃度は表3に示した通りで残部は水であり、1回の処理量は1ポット当たり約10mlで葉面に散布し、5段まで栽培した後に収量調査を行った。測定値は7反復を平均して、無処理区(比較品3−4)を100としたときの相対値で比較し、その結果を表3に示す。
【0051】
【表3】

【0052】
(注)表中の成分は以下の通りである。
*1:花王(株)製「レオドールSP-L10」
*10:三共社製「スプレースチッカー」
【0053】
実施例4<トマト苗への葉面散布試験>
品種:「ホーム桃太郎」(タキイ種苗(株))
栽培容器:発芽用 50穴のセルトレイ
栽培用 9cm(直径)ポット
使用培土:タキイ種まき培土(実施例1と同じもの)
上記条件で50穴セルトレイに播種し、発芽2週間後ポットに定植後、表4に示したような植物活力剤組成物を7日間隔で計2回、葉面散布処理した。配合原料の濃度は表4に示した通りで残部は水であり、1回の処理量は1ポット当たり約10mlで葉面に散布し、処理終了後7日目にそれぞれの植物重量を測定した。測定値は3反復を平均して、無処理区(比較品4−7)を100としたときの相対値で比較し、その結果を表4に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
(注)表中の成分は以下の通りである。
*1:花王(株)製「レオドールSP-L10」
*10:三共社製「スプレースチッカー」
【0056】
実施例5<トマト苗への葉面散布試験>
品種 :「ホーム桃太郎」(タキイ種苗(株))
栽培容器:発芽用 50穴のセルトレイ
栽培用 9cm(直径)ポット
使用培土:タキイ種まき培土(実施例1と同じもの)
上記条件で50穴セルトレイに播種し、発芽2週間後ポットに移植し、表5に示したような植物活力剤組成物を7日間隔で計3回処理した。配合原料の濃度は表5に示した通りで残部は水であり、1回の処理量は1ポット当たり約10mlで葉面に散布した。処理終了後7日目にそれぞれの植物重量を測定した。測定値は5反復を平均して、無処理区(比較品5―5)を100としたときの相対値で比較し、その結果を表5に示す。
【0057】
【表5】

【0058】
注)表中の成分は以下の通りである。
*10:三共社製「スプレースチッカー」

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1−1)で表される化合物(A)、ガム類、エステル化加工澱粉、水溶性タンパク質から選ばれる乳化・分散剤(B)、ノニオン界面活性剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)、カチオン界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、及びパラフィン類から選ばれる1種以上の展着剤(C)を含有する植物活力剤。
【化1】


〔式中、R11は炭素数10〜22の炭化水素基、R12は水素原子、水酸基又は炭素数1〜24の炭化水素基、R13は水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表し、R11、R12、R13のいずれか2つが一緒になって環を形成していても良い。〕
【請求項2】
(C)成分が、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、カチオン界面活性剤及びパラフィン類から選ばれる1種以上である請求項1記載の植物活力剤。
【請求項3】
更に水溶性糖類(D)を含有する請求項1又は2記載の植物活力剤。
【請求項4】
植物葉面散布用である請求項1〜3の何れか1項記載の植物活力剤。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の植物活力剤を植物の葉面に散布する、植物活力向上方法。

【公開番号】特開2007−169217(P2007−169217A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369427(P2005−369427)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】