説明

植物病害防除方法

【課題】優れた植物病害防除方法を提供すること。
【解決手段】カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物を、植物の生育場所1ヘクタールあたり5〜50リットルの割合で処理してなる植物病害防除方法は、植物病害に対して優れた防除効力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害を防除するために多くの化合物が開発されており、それらを用いた植物病害防除方法が行われている。
植物病害から保護するための植物に対する植物病害防除成分の処理方法として、例えば、植物病害防除成分を含有する農薬製剤が水などで希釈された液状組成物として処理する方法が従来行われている。その場合、通常は液状組成物を植物病害から保護しようとする植物の生育場所に満遍なく行き届かせる必要があるため、液状組成物として植物の生育場所1ヘクタールあたりに100〜1000リットル程度の処理量を要する。しかしながら、前記液状組成物の単位面積あたりの処理量が多くなると、大規模農園等の広大な面積を有する植物の生育場所においては、植物病害防除成分の処理のために多くの労力を要することとなるため、例えば植物の生育場所1ヘクタールあたりで50リットル以下といった少ない処理量でも十分な防除効力を発揮する、優れた植物病害防除方法が求められていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】The Pesticide Manual − 15th edition(BCPC刊)ISBN 1901396188
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた植物病害防除方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、優れた植物病害防除方法を見出すべく検討の結果、カルベンダジム(carbendazim)、ベノミル(benomyl)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)及びチアベンダゾール(thiabendazole)からなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物と、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)と、パラフィンオイルと、水とを所定の割合で含有する液状組成物の所定量を、植物の生育場所に処理してなる植物病害防除方法が、植物病害に対して相乗的に優れた防除効果を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1] カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物を、植物の生育場所1ヘクタールあたり5〜50リットルの割合で処理してなる植物病害防除方法。
[2] 植物の生育場所1ヘクタールあたり18〜24リットルの処理割合である[1]記載の防除方法。
[3] 処理方法が茎葉散布処理である[1]又は[2]記載の防除方法。
[4] 植物の生育場所が、バナナの生育場所である[1]〜[3]いずれか一項記載の防除方法。
[5] 植物病害が、バナナイエローシガトカ病又はバナナブラックシガトカ病である[4]記載の防除方法。
[6] 液状組成物が、さらにマンゼブ(mancozeb)1〜10重量パーセントを含有するものである[1]〜[5]いずれか一項記載の防除方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、植物病害を防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の植物病害防除方法(以下、本発明防除方法と記す。)とは、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ(diethofencarb) 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物を、植物の生育場所1ヘクタールあたり5〜50リットルの割合で処理してなるものである。
【0008】
本発明に用いられるジエトフェンカルブ、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールは公知の化合物であり、例えば、The Pesticide Manual − 15th edition(BCPC刊)の351ページ、158ページ、85ページ、1128ページ及び1109ページにそれぞれ記載されている。これらの化合物は市販の製剤から得るか、公知の方法により製造することにより得られる。
【0009】
本発明に用いられる液状組成物(以下、本組成物と記す。)には、本組成物全量に対して、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物が0.1〜5重量パーセント、好ましくは0.4〜4重量パーセント、ジエトフェンカルブが0.1〜3重量パーセント、好ましくは0.4〜2重量パーセント含有される。
【0010】
本発明に用いられるパラフィンオイルとしては、特に限定されるものではないが、例えばCAS番号が64742−54−7であるパラフィンオイル、CAS番号が64742−46−7であるパラフィンオイル、CAS番号が72623−86−0であるパラフィンオイル、CAS番号が97862−82−3であるパラフィンオイル、CAS番号が8012−95−1であるパラフィンオイル、CAS番号が8042−47−5であるパラフィンオイル及びCAS番号が8012−95−1であるパラフィンオイルなどが挙げられる。
が用いられる。本組成物にはパラフィンオイルが、本組成物全量に対して5〜60重量パーセント、好ましくは10〜55重量パーセント含有される。
【0011】
本組成物には、水が含有されるが、その含有量は本組成物の処理量や他の含有成分の含有割合などに応じて適宜設定されうるものであるが、通常は本組成物全量に対して24〜94.8重量パーセント、好ましくは39〜89.2重量パーセント程度である。
【0012】
本組成物は、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物、ジエトフェンカルブ、パラフィンオイル及び水を単に混合しただけのものでもよく、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、乳剤等の液体製剤又は固体製剤に製剤化されたカルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物並びにジエトフェンカルブと、パラフィンオイル及び水とを混合したものでもよい。
また、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物とジエトフェンカルブとの各々を単独で、或いはこれらの混合物を、固体担体及び液体担体等の不活性担体に混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、乳剤等の液体製剤又は固体製剤に製剤化したものをパラフィンオイル及び水と混合したものでもよい。
【0013】
固体担体としては、例えば、粘土類(例えば、カオリン、珪藻土、合成含水酸化珪素、フバサミクレー、ベントナイト、酸性白土)、タルク類、その他の無機鉱物(例えば、セリサイト、石英粉末、硫黄粉末、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ)等の微粉末あるいは粒状物が挙げられる。液体担体としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサノン、灯油)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、イソブチルニトリル)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル)、酸アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素)等が挙げられる。
【0014】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類およびそのポリオキシエチレン化物、ポリオキシエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等が挙げられる。
【0015】
その他の製剤用補助剤としては、例えば固着剤、分散剤、安定剤等、具体的にはカゼイン、ゼラチン、多糖類(例えば、でんぷん、アラビヤガム、セルロース誘導体、アルギン酸)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、脂肪酸またはそのエステル等が挙げられる。
【0016】
本組成物には、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物と、ジエトフェンカルブとともに、他の植物病害防除活性成分を任意に含有してもよい。かかる、任意に含有してもよい植物病害防除活性成分としては、マンゼブ(mancozeb)が挙げられる。マンゼブは公知の化合物であり、例えば、The Pesticide Manual − 15th edition(BCPC刊)の702ページに記載されている。マンゼブは市販の製剤から得るか、公知の方法により製造することにより得られる。本組成物がマンゼブを含有する場合、その含有量は、本組成物全量に対して通常1〜10重量パーセント、好ましくは4〜8重量パーセントである。
【0017】
本組成物の態様としては、例えば以下のものが挙げられる。
カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
カルベンダジム 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
ベノミル 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
チオファネートメチル 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
チアベンダゾール 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
【0018】
カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、マンゼブ 1〜10重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
カルベンダジム 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
ベノミル 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、マンゼブ 1〜10重量パーセントと、マンゼブ 1〜10重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
チオファネートメチル 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、マンゼブ 1〜10重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
チアベンダゾール 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、マンゼブ 1〜10重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
【0019】
カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
カルベンダジム 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
ベノミル 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
チオファネートメチル 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
チアベンダゾール 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
【0020】
カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
カルベンダジム 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
ベノミル 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
チオファネートメチル 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
チアベンダゾール 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水とを含有する液状組成物;
【0021】
カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水31〜85.2重量パーセントとを含有する液状組成物;
カルベンダジム 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水31〜85.2重量パーセントとを含有する液状組成物;
ベノミル 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水31〜85.2重量パーセントとを含有する液状組成物;
チオファネートメチル 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水31〜85.2重量パーセントとを含有する液状組成物;
チアベンダゾール 0.4〜4重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.4〜2重量パーセントと、マンゼブ 4〜8重量パーセントと、パラフィンオイル 10〜55重量パーセントと、水31〜85.2重量パーセントとを含有する液状組成物。
【0022】
本発明防除方法は本組成物を植物病害から保護しようとする植物の生育場所に処理することにより行われる。かかる処理方法としては、生育する植物に対して茎葉処理されてもよく、また植物の生育する土壌へ処理することもできる。茎葉処理の方法としては、有人又は無人の航空機やヘリコプターによる航空散布が挙げられる。かかる植物の生育場所1ヘクタール当たり本組成物を例えば5〜50リットル、10〜30リットル、15〜25リットル、18〜24リットルの割合で処理することにより、植物病害を防除することができる。
【0023】
本発明防除方法は、例えば、以下の植物病害等に有効である。但し、これらに限定されるものではない。
【0024】
イネの病害:いもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi);
ムギ類の病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum, F. avenacerum, F. culmorum, Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis, P. graminis, P. recondite, P. hordei)、雪腐病(Typhula sp., Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、網斑病(Pyrenophora teres Drechsler);
カンキツ類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti);
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternate apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Colletotrichum acutatum);
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternate Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum);
モモの病害:灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.);
ブドウの病害:黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii);
カキの病害:炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae);
ウリ類の病害:炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、;
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum);
ナスの病害:褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
アブラナ科野菜の病害:黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae);
ネギの病害:さび病(Puccinia allii);
ダイズの病害:紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、さび病(Phakopsora pachyrhizi);
インゲンの病害:炭そ病(Colletotrichum lindemthianum);
ラッカセイの病害:黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii);
エンドウの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi);
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、粉状そうか病(Spongospora subterranean f. sp. Subterranea);
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli);
チャの病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis);
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum);
テンサイの病害:褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanidermatum cochlioides);
バラの病害:黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa);
キクの病害:褐斑病(Septoria chrysanthemi-indici)、白さび病(Puccinia horiana);
種々の植物の病害:灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum);
ダイコンの病害:黒斑病(Alternaria brassicicola);
シバの病害:ダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、ブラウンパッチ病及びラージパッチ病(Rhizoctonia solani);
バナナの病害:イエローシガトカ病(Mycosphaerella musicola)ブラックシガトカ病(Mycosphaerella fijiensis)。
【0025】
本発明防除方法により、植物病害を防除することができる植物としては、例えば以下の植物が挙げられる。
農作物:トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、
観葉植物、
シバ、
果樹:仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0026】
これらの植物は、遺伝子組み換え植物であってもよい。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を試験例等によりさらに詳しくは説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部とは重量部を表す。
【0028】
まず。本組成物の参考製造例を示す。
【0029】
参考製造例1
ジエトフェンカルブ 0.6部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 0.6部と、パラフィンオイル 14部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0030】
参考製造例2
ジエトフェンカルブ 0.4部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 0.4部と、パラフィンオイル 10部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0031】
参考製造例3
ジエトフェンカルブ 0.6部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 3.6部と、パラフィンオイル 14部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0032】
参考製造例4
ジエトフェンカルブ 0.4部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 2.4部と、パラフィンオイル 10部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0033】
参考製造例5
ジエトフェンカルブ 1.2部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 1.2部と、パラフィンオイル 14部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0034】
参考製造例6
ジエトフェンカルブ 0.8部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 0.8部と、パラフィンオイル 10部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0035】
参考製造例7
ジエトフェンカルブ 1.2部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 3.6部と、パラフィンオイル 14部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0036】
参考製造例8
ジエトフェンカルブ 0.8部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 2.4部と、パラフィンオイル 10部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0037】
参考製造例9
ジエトフェンカルブ 0.6部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 0.6部と、パラフィンオイル 55部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0038】
参考製造例10
ジエトフェンカルブ 0.4部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 0.4部と、パラフィンオイル 42部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0039】
参考製造例11
ジエトフェンカルブ 0.6部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 3.6部と、パラフィンオイル 55部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0040】
参考製造例12
ジエトフェンカルブ 0.4部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 2.4部と、パラフィンオイル 42部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0041】
参考製造例13
ジエトフェンカルブ 1.2部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 1.2部と、パラフィンオイル 55部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0042】
参考製造例14
ジエトフェンカルブ 0.8部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 0.8部と、パラフィンオイル 42部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0043】
参考製造例15
ジエトフェンカルブ 1.2部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 3.6部と、パラフィンオイル 55部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0044】
参考製造例16
ジエトフェンカルブ 0.8部と、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル又はチアベンダゾール 2.4部と、パラフィンオイル 42部と、水 残部とを混合し、本組成物 100部を得る。
【0045】
参考製造例17〜32
参考製造例1〜16の各々において、さらにマンゼブ 5部を混合することにより、各々の本組成物 100部を得る。
【0046】
次に試験例を示す。
【0047】
試験例1
ナタネの葉を葉柄部で切断し、[表1]記載の所定量のジエトフェンカルブの水和剤(パウミル(登録商標) 25WP、含量 25%、住友化学株式会社製)、チオファネートメチルの水和剤(トップジン(登録商標)M水和剤、含量 70%、日本曹達株式会社製)及びパラフィンオイル(CAS番号:64742−54−7)の混合物を所定量の水に懸濁した散布液を、[表1]記載の所定の散布液量になるよう上記ナタネ葉に散布する。散布液が乾燥するまで放置した後、当該処理ナタネ葉(これを処理区とする。)に、菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)を培養した0.9%ポテトデキストロースアガー(Difco製)を粉砕し、ゲル状にしたものを50マイクロリットル接種する。5日後に病斑の半径を測定する。
前記散布液を処理しない以外は同様の処理を行ったナタネ葉(これを無処理区とする。)における病斑の半径を測定し、次の式により防除価を算出する。その結果、処理区が良好な植物病害防除効果を示すことが確認できる。

防除価(%) = 100×(A−B)/A

A:無処理区の病斑半径
B:処理区の病斑半径
【0048】
【表1】

【0049】
試験例2
バナナ葉を葉柄部で切断し、[表2]記載の所定量のジエトフェンカルブの水和剤(パウミル(登録商標) 25WP、含量 25%、住友化学株式会社製)、チオファネートメチルの水和剤(トップジン(登録商標)M水和剤、含量 70%、日本曹達株式会社製)及びパラフィンオイル(CAS番号:64742−54−7)の混合物を所定量の水に懸濁し、[表2]記載の所定の散布液量となるように上記バナナ葉に茎葉散布する。散布液が乾燥するまで放置した後、当該処理バナナ葉(これを処理区とする)に、バナナのイエローシガトカ病菌(Mycosphaerella musicola)を培養した0.9%ポテトデキストロースアガー(DIFCO)を粉砕し、ゲル状にしたものを50マイクロリットル接種する。5日後に病斑の半径を測定する。
前記散布液を処理しない以外は同様の処理を行ったバナナ葉(これを無処理区とする。)における病斑の半径を測定し、次の式により防除価を算出する。その結果、処理区が良好な植物病害防除効果を示すことが確認できる。

防除価(%) = 100×(A−B)/A

A:無処理区の病斑半径
B:処理区の病斑半径
【0050】
【表2】

【0051】
試験例3
[表3]記載の所定量のジエトフェンカルブの水和剤(パウミル(登録商標) 25WP、含量 25%、住友化学株式会社製)、チオファネートメチルの水和剤(トップジン(登録商標)M水和剤、含量 70%、日本曹達株式会社製)及びパラフィンオイル(CAS番号:64742−54−7)の混合物を所定量の水に懸濁した散布液を、[表3]記載の所定の散布液量になるようバナナに茎葉散布する。当該処理バナナ(これを処理区とする)に、バナナのイエローシガトカ病菌(Mycosphaerella musicola)もしくはブラックシガトカ病(Mycosphaerella fijiensis)を自然発病させる。下記の基準に従い発病の程度を調査し、次の式により発病度を算出する。

(指数)
0:発病なし
1:病斑1個
3:病斑が2〜3個、又はそれ相当の大きな病斑が1個
5:病斑が4個以上、又はそれ相当の大きな病斑が2個以上

発病度=100×Σ(指数×程度別発病葉数) /5×調査葉数

前記散布液を処理しないバナナ(これを無処理区とする。)における発病度を測定し、次の式により防除価を算出する。その結果、処理区が良好な植物病害防除効果を示すことが確認できる。

防除価(%) = 100×(A−B)/A

A:無処理区の発病度
B:処理区の発病度
【0052】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル及びチアベンダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンズイミダゾール系化合物 0.1〜5重量パーセントと、ジエトフェンカルブ 0.1〜3重量パーセントと、パラフィンオイル 5〜60重量パーセントと、水とを含有する液状組成物を、植物の生育場所1ヘクタールあたり5〜50リットルの割合で処理してなる植物病害防除方法。
【請求項2】
植物の生育場所1ヘクタールあたり18〜24リットルの処理割合である請求項1記載の防除方法。
【請求項3】
処理方法が茎葉散布処理である請求項1又は2記載の防除方法。
【請求項4】
植物の生育場所が、バナナの生育場所である請求項1〜3いずれか一項記載の防除方法。
【請求項5】
植物病害が、バナナイエローシガトカ病又はバナナブラックシガトカ病である請求項4記載の防除方法。
【請求項6】
液状組成物が、さらにマンゼブ1〜10重量パーセントを含有するものである請求項1〜5いずれか一項記載の防除方法。

【公開番号】特開2011−225497(P2011−225497A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98578(P2010−98578)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】