説明

植物発育プロセスを遅延させるための生物学に基づく触媒

本発明は、植物または植物部分を1つ以上のバクテリアまたは酵素に露出させるステップを含む、植物発育プロセスを遅延させるための方法に関する。特定の実施形態において、1つ以上のバクテリアは、ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびこれらのバクテリアのあらゆる組み合わせを含む混合物から成る群より選択される。上述のバクテリアのうちの1つ以上を含む触媒を備える、植物発育プロセスを遅延させるための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物または植物部分を1つ以上のバクテリアまたは酵素に露出させるステップを含む、植物の発育を遅延させるための方法に関する。植物発育プロセスを遅延させるための装置がさらに提供される。
【背景技術】
【0002】
植物および植物部分内のエチレン産生は、損傷、ホルモン(例えば、オーキシン)の適用、嫌気性条件、冷却、熱、渇水および病原体感染を含む、種々の外部要因およびストレス要因によって誘導される。果実または野菜の成熟、種子発芽、落葉、および花の老化を含む、種々の植物発育プロセス中には、さらなるエチレン産生も観察される。
【0003】
植物におけるエチレン生合成は、一般的に、従来「ヤン(Yang)サイクル」と称される、3つの酵素が関係する酵素スキームとして示され、S−アデノシル−L−メチオニン(SAM)シンターゼは、メチオニンのS−アデノシル−L−メチオニン(AdoMet)への変換を触媒し、1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸(ACC)シンターゼは、AdoMetのACCへの変換を触媒し、ACCオキシダーゼは、ACCのエチレンおよび副産物の二酸化炭素およびシアン化水素への変換を触媒する。例えば、植物におけるエチレン生合成およびエチレンによって調節される植物の発育プロセスの概要については、Srivastava(2001) Plant Growth and Development:Holmons and Environment (Academic Press,New York)を参照されたい。
【0004】
以前の研究は、クライマクテリック型果実において、エチレン生合成の突然かつ顕著な増加によって、少なくとも部分的に、成熟が誘導されることを証明した。エチレン産生の突発は、クライマクテリック型果実の果実成熟プロセスに関係づけられているが、特に非クライマクテリック型果物においては、その厳密な機構は完全には分かっていない。非クライマクテリック型果実にはエチレン産生の突発は存在しないが、非クライマクテリック型果実はエチレンに反応する。さらに、果実、野菜、および他の植物産生物間で、合成されるエチレンの量、そしてまた、特定の産生物のエチレンに対する感度が異なる。例えば、リンゴは、高レベルのエチレン産生およびエチレン感度を示すが、チョウセンアザミは、低レベルのエチレン産生およびエチレン感度を示す。例えば、postharvest.ucdavis.edu/Produce/Storage/index.shtml(最終アクセス日、2007年3月6日)の、Cantwell(2001)「Properties and Recommended Conditions for Storage of Fresh Fruits and Vegitables」を参照されたく、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。果実の成熟は、一般的に、色の変化、果皮の軟化、果実の糖含量および風味の変化をもたらす。成熟は、最初のうちは果実をより食用に適した魅力的なものにするが、そのプロセスは、最終的に、果実品質の劣化および変質をもたらし、消費には向かないものにしてしまい、大幅な商業の財政的損失につながる。成熟プロセスの制御は、成熟を受ける果実および他の農産物の保管寿命の改善、および輸送、貯蔵、および販売が可能な時間の延長に望ましい。
【0005】
クライマクテリック型果実におけるエチレン生合成の急増に加えて、成熟に関係のある変化は、呼吸速度の上昇にも関連する。果実、野菜、および他の植物産生物の呼吸の結果として熱が産生され、結果的には、これらの商品の保管寿命および必要な貯蔵条件(例えば、冷蔵)に影響を与える。呼吸速度が速い植物産生物(例えば、チョウセンアザミ、切り花、アスパラガス、ブロッコリ、ホウレンソウ等)は、低呼吸速度のもの(例えば、木の実、ナツメヤシ、リンゴ、柑橘類の果実、ブドウ等)よりも短い保管寿命を呈する。呼吸は、温度、大気組成、物理的ストレス、光、化学的ストレス、放射線、水ストレス、成長調節物質、および病原体の攻撃を含む、多数の環境要因によって影響を受ける。特に、温度は、呼吸速度において重要な役割を果たす。果実、野菜、および他の植物産生物に関する呼吸代謝および推奨される制御大気条件の概要については、例えば、Kader(2001) Postharvest Horticulture Series No.22A:29−70(University of California−Davis);usna.usda.gov/hb66/019respiration.pdf(最終アクセス日、2007年3月6日)の、Saltveit(University of California−Davis)「Respiratory Metabolism」、およびpostharvest.ucdavis.edu/Produce/Storage/index.shtml(最終アクセス日、2007年3月6日)の、Cantwell(2001) 「Properties and Recommended Conditions for Storage of Fresh Fruits and Vegitables」を参照されたく、参照することによりそれらの全体が本願明細書に組み込まれる。
【0006】
果実成熟プロセスを遅延させるための方法および組成物は、例えば、銀塩(例えば、チオ硫酸銀)、2,5−ノルボルナジエン、過マンガン酸カリウム、1−メチルシクロプロパン(1−MCP)、シクロプロパン(CP)、およびその誘導体の適用を含む。これらの化合物には、重金属の存在、悪臭、および圧縮時の爆発性等の、重大な不利な点があり、該化合物を食品業界では受け入れられないもの、または適用性が限られたものにする。エチレン産生を制限する核酸配列を導入することによって、特に、ACCシンターゼまたはACCオキシダーゼ酵素の発現を削減することによって、植物発育プロセス(例えば、果実の成熟)を遅延させるように、エチレン産生を制御するための遺伝子組み換え手法も調査中である。しかしながら、遺伝子が組み換えられた農産物に対する大衆の反応は、全てが好意的なわけではない。
【0007】
したがって、植物発育プロセスを遅延させるための安全な方法および装置に対する技術には、重大な必要性が残されたままである。このような方法および装置は、果実の成熟、野菜の成熟、花の老化、落葉、および種子発芽のより良好な制御を提供すること、ならびに種々の農産物(例えば、果実、野菜、および切り花)の保管寿命を延ばすことができ、それによって、冷蔵を必要とせずにこれらの産生物の輸送距離をより長くすることが可能となり、産生物の消費者に対する望ましさを高め、また、尚早の成熟および老化に起因する産生物損失に関連する財政的コストを削減する。
【発明の概要】
【0008】
果実の成熟、野菜の成熟、花の老化、および落葉を含むが、これらに限定されない、植物発育プロセスを遅延させるための方法が提供される。本発明の方法は、概して、植物または植物部分を、関心の植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量の1つ以上のバクテリアに露出するステップを含む。本発明の特定の態様において、バクテリアは、ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物から成る群より選択される。本方法の実行時に使用されるバクテリアは、関心の植物発育プロセスを遅延させるバクテリアの能力を誘導するように、例えば、アスパラギン、グルタミン、コバルト、尿素、およびそれらの混合物を含む、誘導剤でさらに処理することができる。
【0009】
本発明は、バクテリアのうちの1つ以上、特にロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、またはその混合物を含む触媒を備える、植物発育プロセスを遅延させるための装置を提供する。植物または植物部分の触媒への露出を可能にし、関心の植物発育プロセスを遅延させる、あらゆる装置が、本発明によって包含される。例示的装置は、触媒が、マトリクス内に固定され、あらゆる物理的構造体内に配置されるか、その上に配置されるか、またはそれに取り付けられるものを含む。以下に、開示される装置の種々の構成が想定され、より詳細に記述される。植物発育プロセスを遅延させるための本発明の方法および装置は、果実、野菜、および花等の植物産生物の、保存期間の延長および長距離輸送の円滑化、消費製品の満足度の改善、および尚早の成熟または老化によって生じる産生物損失を削減するといった、特定の用途を見出す。
【0010】
上のように本発明を概括的に説明したが、以下、ここで添付図面を参照する。それらは必ずしも原寸に比例して描かれたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】果実の成熟を遅らせるための3層装置の限定的でない描写を示す図である。外層(AおよびBで示す)は、装置に構造的完全性を提供する。触媒層は、以下に定義されるように、本発明の酵素のうちの1つ以上を含み、外層の間に位置付けられる。
【図2】図2A〜図2Cは、果実の成熟を遅らせるための種々の装置の限定的でない描写を提供する図である。これらの装置は、触媒層と、構造的完全性を提供することを意図する1つ以上の層と、装置を使用する前に取り外されることを意図する1つ以上の層と、を備える。これらの層のうちの1つ以上を取り外すことで、例えば、他の物理的構造体への装置の取り付けのための粘着剤を露出させ得る。
【図3】図3A〜図3Bは、果実の成熟を遅らせるための装置の限定的でない描写を示す図である。装置は、フィルム層上に固定され、物理的構造体(例えば、果実の貯蔵/輸送に好適な箱)に取り付けられる触媒を含む。
【図4】果実の成熟を遅らせるための装置の限定的でない描写を提供する図である。装置は、以下に定義される、1つ以上の触媒モジュール要素の挿入および交換を可能にする、スロット付きチャンバ構造体を含む。物理的構造体の外層は、触媒内への空気流を可能にする材料で構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の特定の実施形態を参照して、特に、これとともに提供される種々の図面を参照して、本発明をより完全に記述する。実際には、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本願明細書に記載される実施形態に制限されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、適用される法律要件を本開示が満たすように提供される。本願明細書および添付の請求項で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。
【0013】
本願明細書の全体にわたって、「含む(備える)」またはその文法的変形は、明示された要素、整数またはステップ、または要素群、複数の整数またはステップを包含するが、他のいかなる要素、整数またはステップ、または要素群、複数の整数またはステップの除外も暗示しないことを理解されるであろう。
【0014】
本発明は、植物または植物部分を1つ以上のバクテリアに露出させるステップを含む、植物発育プロセスを遅延させるための方法を提供する。特定の実施形態においては、植物または植物部分を、ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、1つ以上のバクテリアに露出させるステップを含む、植物発育プロセスを遅延させる方法が導き出され、1つ以上のバクテリアが、植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量で、植物または植物部分に露出される。関心の植物発育プロセスを遅延させるための、および本願明細書に記述される方法を実行するための装置が、さらに提供される。本発明の方法および装置は、例えば、果実/野菜の成熟または花の老化を遅延させるように、および果実、野菜、または花の保存期間を延ばすように使用することができ、それによって、このような植物産生物の輸送、配達、および販売を容易にする。
【0015】
本願明細書で使用する場合、「植物」または「植物部分」は、無傷植物、および果実、野菜、花、種子、葉、木の実、胚、花粉、胚珠、枝、実、穂、穂軸、外皮、茎、根、根端、葯等を含むが、これらに限定されない、あらゆる植物部分を含むように広く定義される。特定の実施形態では、植物部分は、果実、野菜、または花である。本発明の特定の態様において、以下に詳述するように、植物部分は、果実、より具体的にはクライマクテリック型果実である。
【0016】
本発明の方法および装置は、概してエチレン生合成の増加に関連する植物発育プロセス等の、植物発育プロセスを遅延させることを目的とする。「植物発育プロセス」は、果実の成熟、野菜の成熟、花の老化、落葉、種子発芽等を含むが、これらに限定されない、植物または植物部分のあらゆる成長または発育プロセスを意味することを意図したものである。特定の実施形態において、関心の植物発育プロセスは、果実または野菜の成熟、花の老化、または落葉、より特定すると果実または野菜の成熟である。本願明細書に定義される「植物発育プロセスを遅延させる」およびその文法的変形は、関心の植物発育プロセスのあらゆる減速、中断、抑制、または阻害、あるいは、一般的に特定の植物発育プロセスに関連する植物または植物部分に対する表現型または遺伝子型の変化を指す。例えば、関心の植物発育プロセスが果実の成熟である時には、果実の成熟の遅延は、概して、成熟プロセス(例えば、上述のように、色の変化、果皮(例えば、子房壁)の軟化、糖含量の増加、風味の変化、果実の全般的な劣化/変質、および消費者に対する果実の望ましさの減少)に関連する、変化の阻害を含み得る。当業者は、果実が成熟するのに必要な時間の長さは、例えば、果実の種類および利用される特定の貯蔵条件(例えば、温度、湿度、空気流等)に依存して変化することを認識するであろう。したがって、「果実の成熟を遅延させる」ことは、1〜90日、特に1〜30日、より特定すると5〜30日の遅延となる。果実の成熟、野菜の成熟、花の老化、および落葉等の植物発育プロセスの遅延を評価するための方法は、当業者の日常的な能力に十分含まれ、例えば、未処理の植物または植物部分における植物発育プロセスとの比較に基づき得る。本発明の特定の態様において、本方法の実行によって生じる植物発育プロセスの遅延は、未処理の植物または植物部分と、または関心の植物発育プロセスを遅らせることが知られている1つ以上の薬剤で処理した植物または植物部分とに対して、相対的に評価することができる。例えば、本発明の方法の実践から生じる果実の成熟の遅延は、未処理の果実、または上述したような抗成熟剤によって処理した果実の果実成熟時間と比較し得る。
【0017】
植物発育プロセスを遅延させるための本発明の方法は、一般的に、植物または植物部分を、以下のバクテリアのうちの1つ以上に露出するステップを含む。ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、またはこれらのバクテリアのあらゆる組み合わせを含む混合物。特定の実施形態において、1つ以上のバクテリアは、ロドコッカス種、より具体的には、ロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253株、ロドコッカス種DAP 96622株、ロドコッカス−エリスロポリス、またはそれらの混合物を含む。本願明細書で使用する場合、植物または植物部分の上述のバクテリアのうちの1つ以上への露出は、例えば、無傷の細菌細胞、細菌細胞溶解物、および酵素活性を持つ細菌抽出物(すなわち「酵素抽出物」)への露出を含む。細菌細胞を含む、細胞からの溶解物および酵素抽出物を調製するための方法は、従来技術において日常的なものである。本発明の方法および装置に使用される1つ以上のバクテリアは、本願明細書において、より全般的に「触媒」と称される場合もある。
【0018】
本発明の方法によれば、1つ以上のバクテリアが、植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量で、植物または植物部分に露出される。本発明のバクテリアのうちの1つ以上に植物または植物部分を「露出する」ステップは、植物または植物部分にバクテリアを提供するためのあらゆる方法を含む。間接的な露出方法は、例えば、バクテリアまたはバクテリアの混合物を、一般的な近さで植物または植物部分に配置する(すなわち、間接的な露出)ステップを含む。他の実施形態では、バクテリアは、植物または植物部分のより近くに、または直接的な接触を介して露出され得る。さらに、本願明細書に定義されるように、本発明の1つ以上のバクテリアの「十分な」量は、本方法で利用される特定のバクテリア、バクテリアが(例えば、上述のように、無傷の細菌細胞、細胞溶解物、または酵素抽出物として)植物または植物部分に露出される形態、バクテリアが植物または植物部分に露出される方法、および露出時間の長さを含むが、これに限定されない、種々の要因に依存する。それは、当業者にとって、関心の植物発育プロセスを遅延させるのに必要な1つ以上のバクテリアの「十分な」量を判定することは、日常的実験となるであろう。
【0019】
本発明の特定の実施形態では、1つ以上のバクテリアは、ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物から成る群より選択されるが、植物または植物部分に露出された時に、植物発育プロセスを遅延させるあらゆるバクテリアを、本方法および装置に使用することができる。例えば、ノカルジア属[日本国特許出願第54−129190号を参照されたい]、ロドコッカス[日本国特許出願第2−470号を参照されたい]、リゾビウム[日本国特許出願第5−236977号を参照されたい]、クレブシエラ[日本国特許出願第5−30982号]、アエロモナス[日本国特許出願第5−30983号]、アグロバクテリウム[日本国特許出願第8−154691号]、バチルス[日本国特許出願第8−187092号]、シュードノカルディア[日本国特許出願第8−56684号]、シュードモナス、およびマイコバクテリウムに属するバクテリアは、本発明に従って使用することができる微生物の限定的でない例である。所与の属内の全ての種が、同じ特性を呈し得るというわけではない。したがって、所望の活性(例えば、果実の成熟等の特定の植物発育プロセスを遅延させる能力)を呈することができる株を含むが、概して所望の活性を呈さない1つ以上の種を有することが一般に知られている、属を有することが可能である。しかしながら、本願明細書に提供される開示および従来技術の一般知識に照らして、当業者にとって、特定の種が所望の活性のうちの1つ以上を有するかどうかを判定するアッセイを実行するのは、日常的実験となるであろう。
【0020】
本発明による有用なバクテリアの特定の例には、ノカルジア種、ロドコッカス種、ロドコッカス−ロドクロウス、クレブシエラ種、アエロモナス種、シトロバクター−フロインディ、アグロバクテリウム−リゾネゲス、アグロバクテリウム−ツメファシエンス、キサントバクター−フラブス、エルウィニア−ニグリフルエンス、エンテロバクター種、ストレプトマイセス種、リゾビウム種、リゾビウム−ロティ、リゾビウム−レグミノサーラム、リゾビウム−メリオティ、カンディダ−グイリアモンジ、パントエア−アグロメランス、クレブシエラ−ニューモニアエ亜種ニューモニアエ、アグロバクテリウム−ラジオバクター、バチルス−スミシイ、シュードノカルディア−サーモフィラ、シュードモナス−クロロラフィス、シュードモナス−エリスロポリス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、ロドコッカス−エリスロポリス、ノカルジア−ファルシニカ、シュードモナス−アエルギノーザ、およびヘリコバクター−ピロリが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ロドコッカス属からのバクテリア、より具体的には、ロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253株(ATCC寄託番号55899;1996年12月11日にATCCに寄託)、ロドコッカス種DAP 96622株(ATCC寄託番号55898;1996年12月11日にATCCに寄託)、ロドコッカス−エリスロポリス、またはそれらの混合物が、本発明の方法および装置に使用される。
【0021】
本発明の特定の態様において、1つ以上のバクテリアは、好適な誘導剤への露出またはこれによる処理によって、所望の特徴(例えば、果実の成熟等の植物発育プロセスを遅延させる能力)を呈するように「誘導される」。誘導剤には、アスパラギン、グルタミン、コバルト、尿素またはそのあらゆる混合物が挙げられるが、これに限定されない。特定の実施形態において、バクテリアは、アスパラギンの誘導剤、より具体的には、アスパラギン、コバルト、および尿素を含む誘導剤の混合物に露出されるか、またはこれによって処理される。誘導剤は、所望の細胞の培養中にいつでも添加することができる。例えば、バクテリアに関して、培地は、バクテリアの培養を開始する前に、誘導剤を補充することができる。代替として、バクテリアは、バクテリアを成長させるように、所定の期間、媒質上で培養することができ、誘導剤は、バクテリアに所望の酵素活性を誘導するように、1回以上の所定の回数添加することができる。さらに、誘導剤は、バクテリアの成長が完了した後に、バクテリアの所望の活性を誘導するように、成長媒質に(または予め成長させたバクテリアを含む別個の混合物に)添加することができる。
【0022】
特定の機構に制限することを意図していないが、本発明のバクテリアを「誘導する」ステップは、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、および/またはアスパラギナーゼ等の1つ以上の酵素の産生(または産生の増加)をもたらし得、これらの酵素のうちの1つ以上の誘導は、関心の植物発育プロセスを遅延させる役割を果たし得る。「ニトリルヒドラターゼ」「アミダーゼ」、および「アスパラギナーゼ」は、バクテリア、菌類、植物、および動物を含むが、これに限定されない、種々の有機体からの細胞内に存在する一群の酵素を含む。このような酵素は、当業者によく知られており、各酵素類は、認識された酵素活性を有する。「酵素活性」は、本願明細書で使用する場合、概して、酵素が、ある化合物を他の化合物に変換する等の、プロセスにおいて触媒として機能する酵素の能力を指す。具体的には、ニトリルヒドラターゼは、ニトリル(またはシアノヒドリン)の、対応するアミド(またはヒドロキシ酸)への加水分解を触媒する。アミダーゼは、アミドの対応する酸またはヒドロキシ酸への加水分解を触媒する。同様に、アスパラギナーゼI等のアスパラギナーゼ酵素は、アスパラギンのアスパラギン酸への加水分解を触媒する。
【0023】
本発明の特定の態様において、酵素活性は、(一般的に、細胞乾燥重量、例えば単位/mg cdwに基づいて)酵素または細胞の質量あたりの「単位」という表現で表すことができる。「単位」は、概して、時間の関数として、指定された一連の条件下で、特定の量の化合物を、異なる化合物に変換する能力を指す。特定の実施形態において、1「単位」のニトリルヒドラターゼ活性は、1μmolのアクリロニトリルを、7.0のpHおよび30℃の温度で、1分あたり、細胞1ミリグラム(乾燥重量)につき、その対応するアミドに変換する能力に関連させることができる。同様に1単位のアミターゼ活性は、1μmolのアクリルアミドを、7.0のpHおよび30℃の温度で、1分あたり、細胞1ミリグラム(乾燥重量)につき、その対応する酸に変換する能力に関連させることができる。さらに、1単位のアスパラギナーゼ活性は、1μmolのアスパラギンを、pH7.0および温度30℃で、1分あたり、細胞1ミリグラム(乾燥重量)につき、その対応する酸に変換する能力に関連させることができる。ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ活性、またはアスパラギナーゼ活性を測定するためのアッセイは、当技術分野において知られており、例えば、遊離アンモニアの検出を含む。Faecett and Scott(1960) J.Clin.Pathol.13:156−159を参照されたく、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。
【0024】
植物または植物部分を、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、アスパラギナーゼ、またはそれらの混合物から成る群より選択される1つ以上の酵素に露出するステップを含む、植物発育プロセスを遅延させる方法であって、植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量または酵素活性レベルの1つ以上の酵素が、植物または植物部分に露出される方法が、本発明によってさらに包含される。例えば、上述の酵素(すなわち、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、および/またはアスパラギナーゼ)のうちの1つ以上を産生する、産生するように誘導される、または産生するように遺伝子が組み換えられた細胞全体が、植物発育プロセスを遅延させる方法において使用され得る。代替として、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、および/またはアスパラギナーゼは、上述の細胞のうちのいずれかから単離、精製、または半精製されて、より単離された形態で植物または植物部分に露出され得る。例えば、Goba et al.(2001) J.Biol.Chem.276:23480−23485;Nagasawa et al.(2000) Eur.J.Biochem.267:138−144;Soong et al.(2000) Appl.Environ.Microbiol.66:1947−1952;Kato et al.(1999) Eur.J.Biochem.263:662−670を参照されたく、それらの全ては、参照することによりそれらの全体が本願明細書に組み込まれる。当業者は、単一の細胞型が、本発明の2つ以上の酵素を産生する(または産生するように、誘導する、あるいは遺伝子を組み換える)ことができ得ることをさらに認識されるであろう。そのような細胞は、開示された方法および装置での使用に好適である。
【0025】
種々の有機体から得られるいくつかのニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、およびアスパラギナーゼのヌクレオチドおよびアミノ酸配列が、公的に入手可能な配列データベースに開示されている。当技術分野において知られている代表的なニトリルヒドラターゼおよび脂肪族アミダーゼの限定的でないリストを、表1および2、ならびに配列表に記載する。表1および2に関する「タンパク質スコア」は、質量分光データに基づいた、単離タンパク質同定における信頼区間のパーセンテージ(信頼区間%)の概要を提供する。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
概して、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、アスパラギナーゼまたはあらゆるそれらの組み合わせを産生すること、または産生するように誘導することができる、あらゆる細菌、真菌、または動物細胞が、本発明の実行において使用されて得る。ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、および/またはアスパラギナーゼは、特定の有機体(例えば、バクテリア、真菌、植物細胞、または動物細胞)から、細胞内で構成的に産生されて得、または代替として、細胞は、好適な誘導剤による「誘導」を行うだけで、所望の単一または複数の酵素を産生し得る。「構成的に」とは、本発明の少なくとも1つの酵素が、継続的に産生される、または特定の細胞型で発現されることを意味することを意図している。しかしながら、他の細胞型は、上述のように、関心の植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量または細胞活性レベルで、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、および/またはアスパラギナーゼを発現するように「誘導」される必要があり得る。すなわち、本発明の酵素は、好適な誘導剤への露出、またはこれによる処理を行なった後にのみ産生され(または十分なレベルで産生され)得る。このような誘導剤は、当技術分野において知られており、上記に概説されている。例えば、本発明の特定の態様において、1つ以上のバクテリアは、アスパラギン、グルタミン、コバルト、尿素、またはそのあらゆる混合物、より具体的には、アスパラギン、コバルト、および尿素の混合物等の誘導剤によって処理される。さらに、2007年1月30日に出願された、係属中の米国特許出願第11/669,011号、名称「Induction and Stabilization of Enzymatic Activity in Microorganisms」に開示されているように、アスパラギナーゼI活性は、アミノ酸を含有するアミド、またはその誘導体を補充した媒質において、ロドコッカス−ロドクロウスDAP 96622(グラム陽性)、またはロドコッカス種DAP 96253(グラム陽性)内に誘導することができる。他のロドコッカス株も同様に、アミノ酸を含有するアミドまたはその誘導体を利用して、アスパラギナーゼI酵素活性を呈するように、選択的に誘導することができる。
【0029】
本発明の他の態様では、アスパラギンの存在下でアスパラギナーゼI活性を産生するシュードモナス−クロロラフィス(ATCC寄託番号43051)、および同じくアスパラギナーゼ活性の産生を示したグラム陽性バクテリアである、B.kletoglutamicum(ATCC寄託番号21533)が、開示された方法で使用される。フザリウム属、植物細胞、および動物細胞からのもの等の、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、および/またはアスパラギナーゼを発現する真菌細胞もまた、細胞全体として、または上述の酵素のうちの1つ以上が単離される源として、本願明細書に開示されている方法および装置において使用され得る。
【0030】
さらなる実施形態において、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、および/またはアスパラギナーゼを発現するように遺伝子を組み換えた宿主細胞は、植物の発育プロセスを遅延させるための本方法および装置に従って、植物または植物部分への露出に使用することができる。具体的には、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、またはアスパラギナーゼを符号化するポリヌクレオチド(または、それぞれが、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、またはアスパラギナーゼを符号化する、複合ポリヌクレオチド)を、本発明の酵素のうちの1つ以上を発現する遺伝子組み換え細胞を産生するように、標準的な分子生物学技術によって、宿主細胞内に誘導することができる。「ポリヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド構成体」、「ヌクレオチド」、または「ヌクレオチド構成体」という用語の使用は、本発明を、DNAを含むポリヌクレオチドまたはヌクレオチドに制限することを意図していない。当業者は、ポリヌクレオチドおよびヌクレオチドが、リボヌクレオチド、およびリボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドとの組み合わせを含むことができることを認識されるであろう。このようなデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドは、天然分子および合成類似体の両者を含む。本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖形態、二本鎖形態等を含むが、これらに限定されない、全ての配列形態も包含する。
【0031】
所望の酵素活性(すなわちニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、またはアスパラギナーゼ活性)を維持するポリペプチドを符合化するポリヌクレオチドの変異体および断片はまた、本発明の実行において使用され得る。「断片」は、ポリヌクレオチドの一部分を意図したものであり、したがって、対応するタンパク質の一部分も符号化する。酵素ヌクレオチド配列の断片であるポリヌクレオチドは、概して、少なくとも10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、または1,400の連続するヌクレオチド、または最高で完全長までの酵素ポリヌクレオチド配列内に存在するヌクレオチド数を含む。ポリヌクレオチド断片は、所望の酵素活性を有するポリペプチドを符合化し、概して、少なくとも15、25、30、50、100、150、200、または250の連続するアミノ酸、または最高で本発明の完全長の酵素アミノ酸内に存在するアミノ酸の総数までを符号化する。「変異体」とは、実質的に類似した配列を意味することを意図している。概して、本発明の特定の酵素配列の変異体は、標準的な配列整列プログラムによって決定される、基準酵素配列に対して、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有する。本発明によって包含される変異体ポリヌクレオチドは、所望の酵素活性を有するポリペプチドを符合化する。
【0032】
遺伝子組み換え細胞の産生に関して使用される場合、「導入する」という用語は、宿主細胞、特に大腸菌等の微生物に、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼおよび/または、アスパラギナーゼを符合化するポリヌクレオチドを提供することを意味することを意図する。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、宿主細胞のゲノム内へのその潜在的挿入を含む、配列が宿主細胞の内部を利用するような様態で提供される。本発明の方法は、配列を宿主細胞内に導入するための特定の方法に依存せず、ポリヌクレオチドが、少なくとも1つの宿主細胞の内部に接近するに過ぎない。ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための方法は、当技術分野においてよく知られており、安定なトランスフェクション法、過渡的なトランスフェクション法、およびウイルス媒介性の方法を含むが、これらに限定されない。「安定なトランスフェクション」とは、宿主細胞内に導入されるポリヌクレオチド構成体が、宿主のゲノム内に統合され、その子孫によって継承できることを意味することを意図している。「過渡的なトランスフェクション」または「過渡的な発現」とは、ポリヌクレオチドは、宿主細胞に導入されるが、ホストのゲノム内に統合されないことを意味することを意図している。
【0033】
さらに、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、またはアスパラギナーゼヌクレオチド配列は、例えば、宿主細胞内へ導入するためのプラスミド上に含有され得る。代表的な関心のプラスミドは、画定されたクローニング部位、複製開始点、および選択可能な標識を有するベクターを含む。プラスミドは、転写および翻訳開始配列と、転写および翻訳ターミネータと、をさらに含むことができる。プラスミドはまた、少なくとも1つの独立したターミネータ配列と、真核生物、原核生物、または両者でのカセットの複製を可能にする配列と、原核および真核生物系両者の選択標識と、を含有する遺伝子発現カセットも含むことができる。ベクターは、原核生物、真核生物、または最適には両者の複製および統合に好適である。クローニング、パッケージング、および発現系および方法の概要に関しては、Giliman and Smith(1979) Gene 8:81−97;Roberts et al.(1987) Nature 328:731−734;Berger and Kimmel(1989) Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology,Vol.152(Academic Press,Inc.,San Diego,California);Sambrook et al.(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Vols.1−3(2d ed;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York);およびAusbel et al.,eds.(1994) Current Protocols in Molecular Biology,Current Protocols(Greene Publishing Associates,Inc.,およびJohn Wiley&Sons,Inc.,Newyork;1994年追補)を参照されたい。本発明の酵素のうちの1つ以上を発現する遺伝子組み換え宿主細胞は、細胞全体として、または本発明の1つ以上の酵素を単離することができる生物学的源として、開示された方法および装置において使用され得る。
【0034】
植物発育プロセスを遅延させるための、および本発明の方法を実行するための装置がさらに提供される。特定の実施形態において、ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、1つ以上のバクテリアを含む触媒を備える、植物発育プロセス、特に果実の成熟を遅延させるための装置が、本発明によって包含される。ロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253株、ロドコッカス種DAP 96622株、ロドコッカス−エリスロポリス、またはそれらの混合物を、本発明の特定の態様において使用することができる。本発明の装置の1つ以上のバクテリアは、上記に定義されるように、植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量で提供される。本発明の他の態様において、触媒は、植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量または酵素活性レベルの、1つ以上の酵素(すなわち、ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、および/またはアスパラギナーゼ)を含む。本発明の装置における触媒として使用するための所望の酵素源は、上でも詳述されている。例えば、触媒は、本発明の酵素のうちの1つ以上を産生する(または産生するように、誘導される、あるいは遺伝子が組み換えられる)、細胞全体の形態で使用され得、または単離、精製、半精製形態で酵素自体を含むことができる。
【0035】
本発明によって包含される植物発育プロセスを遅延させるための装置は、種々の好適な形式で提供され得、また、単回使用または複数回使用(例えば、「再充電可能」)に適切なものであり得る。さらに、本発明の装置は、住居および商業環境の両方での使用を見出す。例えば、このような装置は、住居または商業用冷蔵庫内に統合すること、果実、野菜、または花の長距離輸送のために、列車、トラック等の中に含めること、またはこのような植物産生物の貯蔵または輸送のための独立型キャビネットとして使用することができる。例示的な、本発明の限定的でない装置を、以下および図1〜4に示す。
【0036】
特定の実施形態において、触媒は、固定化形式で提供される。触媒を固定するためのあらゆるプロセスまたはマトリクスは、植物発育プロセスを遅延させる1つ以上のバクテリア(または酵素)の能力が維持される限り、使用され得る。例えば、触媒は、アルギン酸(例えば、アルギン酸カルシウム)、カラギーン、DEAEセルロース、またはポリアクリルアミドを含むマトリクス内に固定され得る。他のこのようなマトリクスは、当技術分野においてよく知られており、さらに、触媒マトリクスの機械的強度を増加させるように、グルタルアルデヒドまたはポリエチレンイミンを含むが、これに限定されない、あらゆる適切な架橋剤で架橋され得る。本発明の一態様において、触媒は、グルタルアルデヒド架橋DEAEセルロースマトリクス内に固定される。触媒、特に固定化形態の触媒は、さらに、「触媒モジュール要素」として提供され得る。触媒モジュール要素は、例えば、触媒との潜在的な接触を削減する、触媒の交換を容易にする、または触媒全体の空気流を可能にする、さらなる構造体内に、固定化触媒等の触媒を備える。
【0037】
一実施形態において、マトリクスは、アルギン酸またはその塩を含む。アルギン酸は、異なる配列またはブロック内で互いに共有結合される、それぞれ、(1−4)リンクβ−D−マンヌロネート(M)のホモポリマーおよびそのC−5エピマーα−L−グルロネート(G)残基との線状コポリマーである。モノマーは、連続するG残基(Gブロック)、連続するM残基(Mブロック)、交互するMおよびG残基(MGブロック)のホモポリマーブロック、またはランダムに編成されたブロックで見ることができる。一実施形態において、アルギン酸カルシウムは、強化アルギン酸カルシウム基質を形成するように、基質として、より具体的には、ポリエチレンイミン等で架橋されたアルギン酸カルシウムとして使用される。このような固定化技術の記述は、Bucke(1987)「Cell Immobilization in Calcium Alginate」in Methods in Enzymology,Vol.135(B)(Academic Press,Inc.,San Diego,California;Mosbach,ed.)に見出すことができ、参照することにより本願明細書に組み込まれる。ポリエチレンイミン架橋アルギン酸カルシウムを使用する、例示的な固定化方法は、下記の実施例5にも記載されている。別の実施形態において、マトリクスは、アミド含有ポリマーを含む。1つ以上のアミド基を含むあらゆるポリマーを、本発明に従って使用することができる。一実施形態において、基質は、ポリアクリルアミドポリマーを含む。
【0038】
固定化触媒マトリクスの機械的強度の増加は、架橋を通じて達成することができる。例えば、細胞は、細胞の凝集を形成するように、化学的に架橋することができる。一実施形態において、採取される細胞は、グルタルアルデヒド使用して架橋される。例えば、細胞は、脱イオン水とグルタルアルデヒドとの混合物中に懸濁し、その後、最大凝集が達成されるまで、ポリエチレンイミンを添加することができる。架橋細胞(一般的に、多数の細胞で形成される粒子の形態)は、単純な濾過によって採取することができる。このような技術のさらなる説明は、Lopez−Gallego et al.(2005) J.Biotechnol.119:70−75に提供されており、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。グルタルアルデヒドで架橋したDEAEセルロースにおける、細胞、特にロドコッカス種細胞の固定化のための一般プロトコルも、下記の実施例4に概説される。
【0039】
本発明の特定の態様において、固定化触媒または1つ以上の触媒モジュール要素は、「物理的構造体」内に配置されるか、その上に配置されるか、またはそれに取り付けられる。物理的構造体には、1つ以上の触媒モジュール要素を保持することができる、フィルム、シート、被覆層、箱、ポーチ、バッグ、およびスロット付きチャンバが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、物理的構造体は、果実、野菜、または花の輸送または貯蔵に好適な容器を備える。物理的構造体は、2つ以上の個々の構造体をさらに備えてもよく、それによって、個々の構造体の全てが、中央の触媒または触媒モジュール要素に接続される。本願明細書において上述した物理的構造体は、随意に、外部手段によって冷蔵され得、または物理的構造体自体の中に冷蔵ユニットを含み得る。
【0040】
関心の植物発育プロセスを遅延させるための触媒の有効性を監視する(触媒または触媒モジュールをいつ交換すべきかを判断する)ための、または空気流、含水量/湿度、および二酸化炭素レベルを測定または監視するための要素が、随意に、本発明の装置内に含まれ得る。植物発育プロセスを遅延させるためのあらゆる装置は、触媒または触媒モジュール要素への、またはこれを通る空気流を可能にするように、1つ以上の要素をさらに備えることができる。当業者は、触媒、触媒モジュール要素、または物理的構造体の大気条件を監視および制御するための、本願明細書に記載された装置に対する他の可能な変形例を容易に想定するであろう。温度、大気組成(例えば、相対湿度、OおよびCOレベル)、物理的応力、光、化学的ストレス、放射線、水ストレス、成長調節物質、および病原体の攻撃等の条件は、呼吸速度において重要な役割を果たし、果実、野菜、花、および他の植物関連の産生物の保管寿命に大きな影響を及ぼす。貯蔵のための温度および大気条件は、関心の果実、野菜、または植物産生物に応じて変動するが、推奨される貯蔵温度は、一般的に、約0℃〜20℃の範囲であり、OおよびCOレベルは、それぞれ、約1〜10%および0〜20%の範囲である。果実、野菜、および関連する植物産生物の貯蔵には、概して、約50%〜約100%の相対湿度、特に85%〜95%、より具体的には約90%〜95%が推奨される。植物産生物の呼吸速度と保管寿命との間の重要な相関を考慮すると、このような産生物の変質を遅延させるには、上述の要因の制御が重要である。したがって、二酸化炭素量を削減するように、装置内に二酸化炭素捕捉剤を提供することができる。
【0041】
本発明の特定の実施形態では、複数の層を備える、植物発育プロセスを遅延させるための通気性の触媒装置が提供される。例えば、図1に示されているように、触媒装置10は、外層12および14と、外層12と14との間に位置付けられる中間触媒層16とを含むことができる。触媒層16は、1つ以上のバクテリア(例えば、ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物)、または酵素(ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、アスパラギナーゼ、およびそれらの混合物)であって、関心の植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量で提供される、1つ以上のバクテリアまたは酵素と、第3の層と、を含む。本実施形態において、外層12および14のうちの1つ以上は、触媒装置10に構造的完全性を提供する。外層12および14は、一般的に、触媒層16への空気流を可能にするが、一部の実施形態においては、例えば、装置が箱の側面を形成し、箱の最外層が、触媒層を環境に露出させないよう所望される場合に、非通気性の外層を有することが好都合となり得る。触媒装置10は、本発明に従って、再使用可能または再使用不可能なバッグまたはポーチで提供することができる。一実施形態において、触媒層16は、ロドコッカス種細胞、特にロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253株、ロドコッカス種DAP 96622株、ロドコッカス−エリスロポリス、またはそれらの混合物を含む。本発明の装置における触媒として利用される細菌細胞は、上記に詳述したように、1つ以上の誘導剤(例えば、アスパラギン、グルタミン、コバルト、尿素、またはそれらの混合物)によって誘導し得る。
【0042】
図2A〜2Cは、植物発育プロセスを遅延させるための、本発明による代替の装置を示している。これらの装置は、複数の層を含み、層のうちの1つ以上は取り外し可能である。図2Aに示されるように、装置は、通気性の構造層22と、触媒層24と、を含むことができる。取り外し可能な層26および/または28は、構造層22および/または触媒層24に沿って提供することができ、一般的に、触媒を使用する前、または活性化する前に取り外されることを意図している。本発明の特定の態様において、取り外し可能な層26および28の取り外しによって、触媒構造体の配置または取り付けを容易にする粘着剤が、別個の物理的構造体に露出する。図2Bは、装置30が、2つの通気性の構造層32および34と、中間触媒層36と、取り外し可能な層38と、を含む、代替の一実施形態を示している。図2Cは、装置40が、2つの通気性の構造層42および44と、中間触媒層46と、2つの取り外し可能な層48および50と、を含む、さらに別の実施形態を示している。
【0043】
図3A〜3Bは、触媒が、板紙箱等の容器の内側に取り付けられる、代替の一実施形態60を示している。図3Aに示されるように、容器の側面62は、粘着剤層66の使用を通じてそこに取り付けられる、触媒層64を含む。剥離可能なフィルム68は、触媒層を環境への露出から保護するように、触媒層64に隣接して提供することができる。剥離可能なフィルム68は、容器内に提供される植物部分に触媒を露出させ、それによって不要な植物発育プロセスを遅延させることによって、触媒層64内の触媒を活性化するように取り外すことができる。
【0044】
図3Bは、図3Aに示す様態で、触媒構造体を容器内部に取り付ける前の触媒構造体70を示している。触媒構造体70は、触媒層64、粘着剤層66、および剥離可能なフィルム68に加えて、さらなる剥離可能なフィルム72を含む。剥離可能なフィルム72は、剥離可能なフィルム68と同様に、それが包装、出荷、または貯蔵される時に、触媒構造体70を保護する。剥離可能なフィルム72は、図3Aに示す様態で、粘着剤層66を露出させて、触媒構造体70を容器内部に取り付けることができるように、取り外すことができる。
【0045】
図4は、触媒カセット(例えば、カセット86)を受容するための2つのスロット82および84を含む、触媒構造体80を示している。触媒カセット86は、通気性があり、容易にスロット84に挿入すること、またはそこから取り外すことができる。したがって、触媒カセット86は、触媒構造体80において新しい触媒カセットの使用が所望される場合に、容易に置き換えることができる。触媒カセット86は、本願明細書に記述されているような触媒を含み、好ましくは、マトリクス内に固定される。触媒構造体80は、触媒カセット86を通る空気流を可能にするように、メッシュスクリーン等の、向かい合った通気性の表面88および90を含むことができる。触媒構造体80は、代替の実施形態では、当業者に理解されるように、1つだけの通気性の表面、2つの向かい合っていない通気性の表面、または3つ以上の通気性の表面を含むことができる。図4は、触媒カセット(例えば、カセット86)を受容するための2つのスロット82および84を含んでいるが、当業者は、触媒構造体80が、カセットを受容するための1つ以上のスロットを含むことができることを理解されるであろう。触媒構造体80は、果実または花等の植物部分を輸送するのに使用される容器内に提供することによって、または、例えば本願明細書に論じられているような粘着剤層を使用することによって、容器に取り付けることができる。
【0046】
本方法および装置は、あらゆる関心の植物または植物部分の植物発育プロセスを遅延させるのに使用され得る。特定の実施形態では、本発明の方法および装置は、成熟を遅延させることを目的とし、植物部分は、成熟を受ける果実(クライマクテリック型、または非クライマクテリック型)、野菜、または他の植物部分である。当業者は、「クライマクテリック型果実」は、果実の成熟中に突発のエチレン産生を呈するが、「非クライマクテリック型果実」は、概して、成熟プロセス中に、エチレン生合成の大幅な増加を受けるとは考えられないことを認識するであろう。例示的な関心の果実、野菜、および他の植物産生物には、リンゴ、アプリコット、ビリバ、パンノキの実、チェリモヤ、フェイジョア、イチジク、グァバ、パラミツ、キーウィ、バナナ、桃、アボカド、リンゴ、カンタロープ、マンゴー、マスクメロン、ネクタリン、柿、サポーテ、トゲバンレイシ、オリーブ、パパイア、パッションフルーツ、梨、プラム、トマト、ピーマン、ブルーベリー、カカオ、カシュー、キュウリ、グレープフルーツ、レモン、ライム、トウガラシ、サクランボ、オレンジ、ブドウ、パイナップル、イチゴ、スイカ、タマリロ、および木の実が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の他の態様においては、花の老化、しおれ、器官脱離、または花弁の閉鎖を遅延させる方法および装置が導き出される。本発明の実行においては、あらゆる花を使用し得る。例示的な関心の花には、バラ、カーネーション、ラン、スベリヒユ、ウスベニアオイ、およびベゴニアが挙げられるが、これらに限定されない。切り花、より具体的にはバラおよびカーネーション等の商業的に重要な切り花は、特に関心の対象となる。特定の実施形態において、エチレンに敏感な花が、本発明の実行において使用される。エチレンに敏感な花には、ユリズイセン属、アネモネ属、アンスリウム属、キンギョソウ属、シナギク属、アスティルベ属、カトレア属、シンビジウム属、ダリア属、デンドロビウム属、ナデシコ属、ユーストマ属、フリージア属、ガーベラ属、カスミソウ属、アイリス属、レンリソウ属、ユリ属、リモニウム属、ネリネ属、ローザ属、ハシドイ属、チューリップ属、およびヒャクニチソウ属の花が挙げられるが、これらに限定されない。代表的なエチレンに敏感な花には、ヒガンバナ科、ネギ科、スズラン科、キスゲ科、ヒアシンス科、ユリ科、ラン科、ザクロソウ科、サボテン科、キキョウ科、ナデシコ科、ベンケイソウ科、リンドウ科、アオイ科、イソマツ科、スベリヒユ科、ナス科、アガーベ科、アスフォデル科、クサスギカズラ科、シュウカイドウ科、スイカズラ科、マツムシソウ科、トウダイグサ科、マメ科、シソ科、フトモモ科、アカバナ科、ユキノシタ科、およびクマツヅラ科のものも挙げられる。例えば、Van Doom(2002) Annals of Botany 89:375−383;Van Doom(2002) Annals of Botany 89:689−693、およびhortnet.co.nz/pulications/hortfacts/hf305004.htm(最終アクセス日2007年3月20日)の、Elgar(1998) 「Cut Flowers and Foliage−Cooling Requirements and Temperature Management」を参照されたく、参照することによりそれらの全体が本願明細書に組み込まれる。落葉を遅延させるための方法および装置も、本発明によって包含される。植物、果実、野菜、および花産業においては、成熟、老化、および器官離脱等の植物発育プロセスを調節するための方法および装置に大きな商業的関心が存在している。
【0048】
当業者は、本願明細書に開示されている方法または装置のうちのいずれかを、植物発育プロセス、特に、概してエチレン生合成の増加(例えば、果実/野菜の成熟、花の老化、および落葉)に関係するプロセスを遅延させるための、他の公知の方法と組み合わせることができることをさらに認識されるであろう。さらに、上述のように、エチレン産生の増加は、病原性有機体による植物または植物部分の攻撃中にも観察されている。したがって、本発明の方法および装置は、病原体に対する応答の改善におけるさらなる用途を見出しうる。
【0049】
以下の実施例は、例証として提供されるものであり、制限するためのものではない。
【実施例】
【0050】
実験
以下、本発明を、具体的な種々の実施例を参照して説明する。以下の実施例は、本発明を制限することを目的としたものではなく、むしろ例示的実施形態として提供される。
【0051】
実施例1:誘導されたロドコッカス種への露出による果実の成熟の遅延
アスパラギン、アクリロニトリル、またはアセトニトリルによって誘導されるロドコッカス種細胞を、DEAEセルロースのグルタルアルデヒド架橋マトリクス内に固定した。細胞を誘導し、上述のマトリクスを準備する方法を以下に詳述する。
【0052】
架橋DEAEセルロース触媒マトリクスを、3つの別個の紙バッグ内に配置し(バッグあたり、湿重量約1〜2グラムの細胞で充填)、各バッグには、未成熟のバナナ、桃、またはアボカドを入れた。負の対照として、触媒マトリクスの非存在下で、同じ果実を別個の紙バッグ内に配置した。紙バッグは、室温に維持し、果実の成熟および劣化の徴候に対して、産生物を毎日観察した。
【0053】
触媒マトリクスに露出された全ての産生物は、果実の成熟の大幅な遅延を示した。より具体的には、触媒マトリクスの存在下では、桃の硬度および皮の完全性が、より長く維持された。同様に、バナナについては、負の対照に対して、褐色斑点の出現が遅延され、硬度がより長く維持された。
【0054】
実施例2:全般的な発酵および誘導プロトコル
発酵プロセス
他の実験で使用するためのロドコッカス種株ロドコッカス種DAP 96622、およびロドコッカス−ロドクロウスDAP 96523の発酵には、以下の一般プロトコルおよび培地を利用した。
【0055】
発酵容器は、溶解酵素(DO)およびpHを測定するプローブ、およびグルコース濃度(オフライン)を測定するサンプリングデバイスによって構成した。矯正剤(例えば、酸、塩基、または消泡剤)、誘導剤、栄養素、および補充物を添加するために、さらなるポートを使用した。予め洗浄した容器は、現場で消毒した。好適な基本培地(1または1.5倍)R2AまたはR3Aを使用した。これらの培地の特定の成分は後述する。ある実験において、媒質の内容物に対するある種の置換を行った。例えば、時には、プロテオースペプトンおよび/またはカザミノ酸の代わりに、Proflo(登録商標)(Trader’s Protein,Menphis,TN)を使用した。さらに、ある実験においては、Proflo(登録商標)(Trader’s Protein,Menphis,TN)の代わりに、Hy−Cotton 7803(登録商標)(Quest International,Hoffman Estates,IL)、Cottenseed Hydrolysate、Cottonseed Hydrolysate−Ultrafiltered(Marcor Development Corp.,Cartstadt,NJ)を使用した。
【0056】
栄養素補充のための供給プロファイルは、R2AまたはR3A基本培地を、より豊富な媒質、すなわち2倍のYEMEAと徐々に置き換えるように設定したが、その成分も以下に詳述する。他の随意の栄養素補充物は、マルトース50%(w/v)およびデキストロース50%(w/v)を含む。時折、マルトースおよびデキストロースの代わりに、デキストロース同等物(グルコース、マルトース、およびより高多糖類)を含有する商品を使用した。
【0057】
接種物は、好適な固体媒質上でのロドコッカス種DAP 96622およびロドコッカス−ロドクロウスDAP 96523株の培養物から調製し、それらの適切な温度(例えば、30℃)で培養した。特定の実施形態では、細胞は、4〜14日間、好ましくは7日間、YEMEA寒天プレート上で成長させた。代替として、接種物は、以前の発酵作業による冷凍細胞濃縮物から調製した。細胞濃縮物は、一般的に、発酵槽内に存在するものの20倍を超える濃度で調製した。加えて、接種物は、時折、好適な二相媒質(すなわち、同じ、または異なる組成物の固体媒質を覆う液体媒質の組み合わせ)から調製した。二相媒質を使用する時には、媒質は、概して、液体層および固体層の両方にYEMEAを含有した。
【0058】
ニトリルヒドラターゼの誘導については、5〜200ppmのCoCl、および750mg/l〜10g/lの尿素を達成するように、t=0時間で、CoCl−6HOおよび尿素を添加したが、概して、10〜50ppmのCoCl、および7500mg/l〜7.5g/lの尿素が好ましい。特定の一実施形態では、発酵中に、尿素および/またはコバルトを再び添加した。例えば、等容量の尿素および150ppmのCoClを、4〜6時間で、または24〜30時間で添加した。尿素に加えて、最終濃度300〜500ppmのアクリロニトリル/アセトニトリル、または0.1M〜0.2Mのアスパラギンの添加を、種々の時間で開始し、段階的に、または一定の速度で行った。細胞塊および酵素濃度が許容可能になった時、一般的には24〜96時間後に、発酵作業を終了した。
【0059】
細胞は、次いで、バッチまたは連続遠心分離、デカンティング、または濾過を含むが、これらに限定されない、あらゆる許容可能な方法によって採取した。採取した細胞は、発酵プロセス中に使用される誘導剤が補充される、50mMのリン酸緩衝食塩水(PBS)等の好適な緩衝液中で、20倍に濃縮される容量まで再懸濁した。細胞濃縮物は、次いで、特に急速冷凍によって冷凍した。冷凍細胞は、後の使用のために、−20℃〜−80℃で、または液体窒素下で貯蔵した。
【0060】
培地の説明
【表3】

【0061】
誘導
ロドコッカス種株ロドコッカス種DAP 96622、およびロドコッカス−ロドクロウスDAP 96523の誘導には、以下の一般プロトコルを利用した。
【0062】
揮発性の液体誘導剤(例えば、アクリロニトリル/アセトニトリル)を、特定の液体誘導剤の濃度に基づいて、濾過殺菌した液体誘導剤として、容量分析的に添加した。固体誘導剤(例えば、アスパラギン/グルタミン)の場合は、固体の重さを量り、培養物媒質に直接的に添加した。結果として生じる媒体は、加圧滅菌した。フィルタ殺菌した液体誘導剤を利用した時には、培地を単独で加圧滅菌し、液体誘導剤を添加する前に40℃まで冷却した。関心の誘導剤の代表的な濃度は、アクリロニトリル/アセトニトリルが500ppm、アスパラギン/グルタミンが500ppm、およびスクシノニトリルが50ppmであった。細胞は、次いで、指定の媒質上で成長させ、特定の酵素活性およびバイオマスのためにさらに分析した。
【0063】
実施例3:亜硝酸ヒドラターゼ、アミダーゼ、およびアスパラギナーゼ活性、ならびにアスパラギン誘導ロドコッカス種細胞内のバイオマスの分析
ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼ、およびアスパラギナーゼ活性、ならびにバイオマスを、ロドコッカス種株のロドコッカス種DAP 96622およびロドコッカス−ロドクロウスDAP 96523からのアスパラギン誘導細胞内で評価した。培地の成分、投与方法、速度、および細胞に提供されるアスパラギンの濃度、ならびに細胞源に対する種々の変形例を、上述の酵素の活性、およびバイオマスへのそれらの影響に関して分析した。本実施例のA〜G項は、各組の試験条件の詳細を説明し、各指定条件下で得られた酵素活性およびバイオマスの要約を提供する。
【0064】
A.基本的には、上記の実施例2に述べられているように、固体媒質から採取したロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253の細胞を使用して植菌した、20リットルの発酵槽に、誘導剤のアスパラギンを継続的に補充した(0.2Mの溶液、120μl/分)。Hy−Cotton 7803(登録商標)を、上述のR3A媒質中のプロテオースペプトン#3の代わりに使用した。発酵作業の終了時点で、アクリロニトリル固有のニトリルヒドラターゼ活性、アミダーゼ活性、およびバイオマスを、当技術分野で知られている標準的な手法に従って測定した。
【0065】
ニトリルヒドラターゼ活性、アミダーゼ活性、およびバイオマスの結果を、下記表3に提供するが、活性は、単位/mg cdw(細胞乾燥重量)で与えられる。1単位のニトリルヒドラターゼ活性は、pH7.0および温度30℃で、1分あたり、細胞1ミリグラム(乾燥重量)につき、1μmolのアクリロニトリルを、その対応するアミドに変換する能力に関連する。1単位のアミダーゼ活性は、pH7.0および温度30℃で、1分あたり、細胞1ミリグラム(乾燥重量)につき、1μmolのアクリルアミドを、その対応する酸に変換する能力に関連する。バイオマスは、g/l cww(細胞湿重量)で充填される細胞として記録される。
【0066】
【表4】

【0067】
B.基本的には、上記の実施例3Aに述べられているように、下述する媒質に変更し、ロドコッカス−ロドクロウスDAP 96523細胞によって、酵素活性およびバイオマスを評価した。より具体的には、YEMEA、デキストロース、またはマルトースを、プロテオースペプトン#3の代用物としてHy−Cotton 7803(登録商標)をさらに含有する、修飾R3A媒質に添加した。0.2Mのアスパラギン溶液の添加は、t=8時間で開始し、120μl/分の連続的な速度で行った。発酵作業の終了時点で、アクリロニトリル固有のニトリルヒドラターゼ活性、アミダーゼ活性、およびバイオマスを測定した。結果を表4に要約する。YEMEA、デキストロース、またはマルトースの媒質への添加によって、生ずるバイオマスの増加が観察された。
【0068】
【表5】

【0069】
C.固体媒質からのロドコッカス種DAP 96622細胞を、20リットルの発酵作業のための接種源として使用した(発酵プロセスの詳細については、実施例2を参照されたい)。0.2Mのアスパラギン溶液の添加は、t=24時間で開始し、2ml/分の速度で50〜70分間、半連続的に6時間毎に行った。Hy−Cotton 7803(登録商標)を、修飾R3A媒質中のプロテオースペプトン#3の代わりに使用した。発酵作業の終了時点で、アクリロニトリル固有のニトリルヒドラターゼ活性、アミダーゼ活性、およびバイオマスを測定した。結果を表5に要約する。
【0070】
【表6】

【0071】
D.固体媒質からのロドコッカス種DAP 96622細胞を、20リットルの発酵作業のための接種源として使用した。0.2Mのアスパラギン溶液の添加は、t=12時間で開始し、2.5ml/分の速度で12〜85分間、半連続的に6時間毎に行った。Cotton Seed Hydrolysateを、修飾R3A媒質のプロテオースペプトン#3の代わりに使用した。発酵作業の終了時点で、アクリロニトリル固有のニトリルヒドラターゼ活性、アミダーゼ活性、およびバイオマスを測定し、結果を表6に要約する。
【0072】
【表7】

【0073】
E.予め冷凍したロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253細胞を、20リットルの発酵作業のための接種源として使用した。YEMEA、デキストロース、またはマルトースを、プロテオースペプトン#3の代用物としてHy−Cotton 7803(登録商標)をさらに含有する、修飾R3A媒質に添加した。0.15Mのアスパラギン溶液の添加は、t=8時間で開始し、120μl/分の連続的な速度で行った。発酵作業の終了時点で、アクリロニトリル固有のニトリルヒドラターゼ活性、アミダーゼ活性、およびバイオマスを測定した。結果を表7に要約する。
【0074】
【表8】

【0075】
F.三相媒質上で成長させたロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253細胞を、20リットルの発酵作業のための接種源として使用した。炭水化物(すなわち、YEMEA、デキストロース、またはマルトース)の添加によって補充し、プロテオースペプトン#3の代わりにCottonseed Hydrolysateをさらに含有する、修飾R3A媒質を使用した。0.15Mのアスパラギン溶液の添加は、t=10時間で開始し、1000μl/分の連続的な速度で行った。発酵作業の終了時点で、アクリロニトリル固有のニトリルヒドラターゼ活性、アミダーゼ活性、アスパラギナーゼI活性、およびバイオマスを測定した。結果を表8に要約する。
【0076】
【表9】

【0077】
G.二相媒質上で成長させたロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253細胞を、20リットルの発酵作業のための接種源として使用した。マルトース(デキストロースの代わりに)、およびプロテオースペプトン#3の代用物としてHy−Cotton 7803(登録商標)を含有する、修飾R3A媒質を使用した。0.15Mのアスパラギン溶液の添加は、t=8時間で開始し、476μl/分の連続的な速度で行った。発酵作業の終了時点で、アクリロニトリル固有のニトリルヒドラターゼ活性、アミダーゼ活性、およびバイオマスを測定し、結果を表9に要約する。
【0078】
【表10】

【0079】
実施例4:グルタルアルデヒドで架橋したDEAEセルロースにおけるロドコッカス種細胞の固定化
米国特許第4,229,536号、およびLopez−Gallego et al.(2005) J.Biotechnol.119:70−75に記載されている方法から導出された修正プロセスを、グルタルアルデヒド架橋DEAEセルロースを含むマトリクス内にロドコッカス種を固定するのに使用する。
細胞の調製
【0080】
ロドコッカス細胞は、適切な培地(例えば、YEMEA−マルトース+誘導剤、二相培養物等)内で成長させ、8,000回転で10分間の遠心分離によって採取する。結果として生じた細胞ペレットを、100mlの50mMリン酸緩衝液(pH7.2)中で再懸濁し、8,000回転で10分間、遠心分離する。細胞ペレットを再懸濁し、8,000回転で10分間、遠心分離するこのプロセスを二回繰り返す。最終細胞試料の充填湿重量(ww)を記録する。細胞の小試料のニトリルヒドラターゼ活性を行い、細胞全体の酵素活性を評価する。
【0081】
細胞の固定化
採取したロドコッカス種細胞と同量のDEAEセルロースが得られ、細胞およびDEAEセルロースは、100mlの脱イオンHO中で再懸濁される。0.5%の最終濃度を達成するのに十分なグルタルアルデヒドの25%溶液の容量を、撹拌しながら、細胞/DEAEセルロースの混合物に添加する。混合物を1時間撹拌し、その後、400mlの脱イオンHOを、さらに撹拌しながら添加する。撹拌している間、50%(溶液重量)のポリエチレンイミン(PEI;MW 750,000)を添加する。凝集が完了するまで撹拌を続ける。凝集させた混合物を濾過し、適切なサイズの注射器で押し出す。固定化細胞は、小片に分割し、終夜乾燥して、使用前に約2〜3mmの顆粒状に切断する。
【0082】
実施例5:アルギン酸カルシウムにおけるロドコッカス種細胞の固定化およびアルギン酸カルシウムビーズの硬化
Methods in Enzymology,Vol.135(B)のBucke(1987)「Cell Immobilization in Calcium Alginate」(Academic Press,Inc.,San Diego,Carifornia;Mosbach,ed)に記載されている方法から採用したプロセスを、アルギン酸カルシウム中にロドコッカス種を固定するのに使用する。
【0083】
細胞の調製
ロドコッカス種細胞は、上記の実施例4に述べられているように調製される。
【0084】
細胞の固定化
25gの4%ナトリウムアルギン酸溶液を、1gのナトリウムアルギン酸を24mlの50mMのトリスHCl(pH7.2)中に溶解することによって生成する。25mgのナトリウムメタ過ヨウ素酸塩を、アルギン酸溶液に添加し、25℃で1時間、またはアルギン酸が完全に溶解するまで撹拌する。上述のように調製した細胞を、50mMのトリスHCl(pH7.2)中で最終容量が50mlになるまで再懸濁し、次いで、撹拌しながら、ナトリウムアルギン酸溶液に添加する。結果として生じるビーズを、27ゲージ針によって、500mlの0.1MのCaCl溶液中に押し出す。針は、概して、空気がビーズの中に入らないように、また、ビーズに刺さらないように、溶液の約2インチ上に配置される。ビーズは、CaCl溶液中で約1時間で硬化し、次いで、ビーズを、水ですすいで、使用前に0.1MのCaCl溶液中に4℃で貯蔵する。
【0085】
ロドコッカス種細胞を含むアルギン酸カルシウムビーズの硬化
上記に概説したように調製したアルギン酸カルシウムビーズは、PEIで架橋することによってさらに増強し得る。ビーズは、2Lの0.1MのCaCl溶液(0.1MのCaCl溶液中に20gの50%PEI)中の0.5%PEI中で培養する。最終溶液のpHは、必要に応じて、HClまたはNaOHによって7.0に調整し、ビーズは、24時間培養する。ビーズは、次いで、水ですすいで、使用前に、0.1MのCaCl溶液中に4℃で貯蔵する。
【0086】
上述の説明に示される内容の利益を有する、本発明に関連する当業者には、本願明細書に記載される本発明の多数の変形例および他の実施形態が想起されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、その変形例および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図するものであると理解されたい。特定の用語を本願明細書に用いたが、それらは一般的に使用され、記述を意識しただけのものであり、制限するためのものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物または植物部分を1つ以上のバクテリアに露出させるステップを含む、植物発育プロセスを遅延させるための方法であって、前記1つ以上のバクテリアは、ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物から成る群より選択され、前記1つ以上のバクテリアが、前記植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量で、前記植物または植物部分に露出される、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のバクテリアは、ロドコッカス種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロドコッカス種は、ロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253株、ロドコッカス種DAP 96622株、ロドコッカス−エリスロポリス、またはそれらの混合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のバクテリアは、アスパラギン、グルタミン、コバルト、尿素、およびそれらの混合物から成る群より選択される誘導剤への露出によって誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のバクテリアは、アスパラギンへの露出によって誘導される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のバクテリアは、アスパラギン、コバルト、および尿素への露出によって誘導される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記植物または植物部分は、前記1つ以上のバクテリアに間接的に露出される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記植物または植物部分は、前記1つ以上のバクテリアに直接的に露出される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記植物発育プロセスは、果実または野菜の成熟である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記植物部分は、果実である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記果実は、クライマクテリック型果実である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記クライマクテリック型果実は、バナナ、桃、およびアボカドから成る群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記果実は、非クライマクテリック型果実である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記植物部分は、野菜である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記植物部分は、花であり、前記植物発育プロセスは、花の老化である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記花は、カーネーション、バラ、ラン、スベリヒユ、アオイ、またはベゴニアである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記植物発育プロセスは、落葉である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物から成る群より選択される1つ以上のバクテリアを含む触媒を備える、植物発育プロセスを遅延させるための装置であって、前記1つ以上のバクテリアは、前記植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量で提供される、装置。
【請求項19】
前記1つ以上のバクテリアは、ロドコッカス種を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ロドコッカス種は、ロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253株、ロドコッカス種DAP 96622株、ロドコッカス−エリスロポリス、またはそれらの混合物を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記1つ以上のバクテリアは、アスパラギン、グルタミン、コバルト、尿素、およびそれらの混合物から成る群より選択される誘導剤への露出によって誘導される、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記植物発育プロセスは、果実または野菜の成熟、花の老化、および落葉から成る群より選択される、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記1つ以上のバクテリアは、架橋DEAEセルロースを含むマトリクス、アルギン酸を含むマトリクス、カラギーンを含むマトリクス、架橋アルギン酸を含むマトリクス、架橋カラギーンを含むマトリクス、ポリアクリルアミドを含むマトリクス、またはアルギン酸カルシウムビーズ内に固定される、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記マトリクスは、架橋DEAEセルロースを含み、前記DEAEセルロースは、グルタルアルデヒドで架橋される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記触媒は、物理的構造体内に配置されるか、その上に配置されるか、またはそれに取り付けられる、触媒モジュール内に存在する、請求項18に記載の装置。
【請求項26】
植物または植物部分への前記触媒の露出を調整するように、制御デバイスをさらに備える、請求項18に記載の装置。
【請求項27】
前記植物発育プロセスの遅延における前記触媒の有効性を監視するための、監視デバイスをさらに備える、請求項18に記載の装置。
【請求項28】
前記物理的構造体は、フィルム、シート、被覆層、スロット付きチャンバ、箱、ポーチ、およびバッグから成る群より選択される、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記触媒モジュールは、取り外して第2の触媒モジュールと置き換えることができる、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
2つ以上の触媒モジュールが、前記物理的構造体内に配置されるか、その上に配置されるか、またはそれに取り付けられる、請求項25に記載の装置。
【請求項31】
前記物理的構造体は、前記触媒モジュール内への空気流を可能にする、請求項25に記載の装置。
【請求項32】
前記触媒モジュール内への前記空気流を制御するための要素をさらに備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記物理的構造体は、冷蔵構造体として提供される、請求項25に記載の装置。
【請求項34】
前記物理的構造体内の水分レベルを制御するための要素をさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項35】
前記物理的構造体内の二酸化炭素レベルを調節するための要素をさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項36】
植物発育プロセスを遅延させるための通気性触媒装置であって、
第1の層と、
ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物から成る群より選択される1つ以上のバクテリアを含む触媒を含む第2の層であって、前記1つ以上のバクテリアは、前記植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量で提供される、第2の層と、
第3の層と、
を備え、前記第2の層は、前記第1および第3の層の間に位置付けられ、前記第1および第3の層のうちの少なくとも1つは、前記装置に構造的完全性を提供する、
通気性触媒装置。
【請求項37】
前記1つ以上のバクテリアは、ロドコッカス種を含む、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記ロドコッカス種は、ロドコッカス−ロドクロウスDAP 96253株、ロドコッカス種DAP 96622株、ロドコッカス−エリスロポリス、またはそれらの混合物を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記1つ以上のバクテリアは、アスパラギン、グルタミン、コバルト、尿素、およびそれらの混合物から成る群より選択される誘導剤への露出によって誘導される、請求項36に記載の装置。
【請求項40】
前記植物発育プロセスは、果実または野菜の成熟、花の老化、および落葉から成る群より選択される、請求項36に記載の装置。
【請求項41】
前記第3の層は、前記触媒装置を別個の構造体に取り付けるために使用することができる、粘着剤層を露出させるように、前記第2の層から取り外すことができる、請求項36に記載の触媒装置。
【請求項42】
前記第2の層は、前記粘着剤層である、請求項41に記載の触媒装置。
【請求項43】
触媒構造体を別個の構造体に取り付けるために使用することができる、粘着剤層を露出させるように、前記第3の層から取り外すことができる、前記第3の層に隣接する第4の層をさらに備える、請求項36に記載の触媒装置。
【請求項44】
前記第3の層は、前記接着剤層である、請求項43に記載の触媒装置。
【請求項45】
請求項36に記載の触媒装置を含む通気性のバッグまたはポーチ。
【請求項46】
植物または植物部分を、ロドコッカス種、シュードモナス−クロロラフィス、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、およびそれらの混合物から成る群より選択される、1つ以上のバクテリアの酵素抽出物に露出させるステップを含む、植物発育プロセスを遅延させるための方法であって、前記バクテリアは、アスパラギン、グルタミン、コバルト、尿素、およびそれらの混合物から成る群より選択される誘導剤によって誘導され、前記酵素抽出物が、前記植物発育プロセスを遅延させるのに十分な量で、前記植物または植物部分に露出される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−523575(P2010−523575A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502199(P2010−502199)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/058286
【国際公開番号】WO2008/124307
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(509064613)ジョージア・ステイト・ユニヴァーシティ・リサーチ・ファウンデイション,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】