説明

植物貯蔵装置

【課題】 人工光源の光束を制御することなく低コストで植物に対する照度均斉度を高く制御することのできる植物栽培装置を提供する。
【解決手段】 外部光源5からの光が照射されるとともに、植物が植えられる培地3が収容されるケース筐体4と、ケース筐体4の光源側に設けられて、外部光源5からの光をケース筐体4の内部に透過させる天面パネル2と、を備え、天面パネル2は、培地3の表面に対する外部光源5からの光の照度均斉度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜又は花卉等の植物を貯蔵する植物貯蔵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、出荷前の植物を人工光源下で一時的に低温で貯蔵する植物貯蔵装置が知られている。かかる植物貯蔵装置においては、貯蔵時に植物に対して弱光を照射する方が暗黒下で貯蔵するよりも苗質を長く維持できることが知られているが、弱光を照射する場合には、照度のばらつきによる植物の貯蔵状況のばらつきが顕著となるので、植物に対する照度均斉度を高くして制御することが必要となる。このような植物貯蔵装置において照度均斉度を制御する技術として、特開2004−55号公報(特許文献1)に記載されているもの、すなわち、人工光源をオンオフすることで光束を制御することにより、植物に対する一日の光の積算光量を管理するものが例示されている。
【特許文献1】特開2004−55号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記構成では、人工光源に対して、植物の種類や生育状況毎に異なる条件による制御を行わなければならず、コストが増大する可能性があった。特に一台の植物貯蔵装置の内部に複数の植物を同時に収容した場合には、同時に複数の条件による制御を行わなければならず、さらにコストが増大する可能性があった。
【0004】
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、人工光源の光束を制御することなく低コストで植物に対する照度均斉度を高く制御することのできる植物栽培装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明は、外部光源からの光が照射されるとともに、植物が植えられる培地が収容されるケース筐体と、ケース筐体の外部光源に臨む面に設けられて、外部光源からの光をケース筐体の内部に透過させる天面パネルと、を備え、天面パネルは、培地の表面に対する外部光源からの光の照度均斉度を制御するものであることを特長とする植物貯蔵装置である。
【発明の効果】
【0006】
本願発明によれば、ケース筐体の外部光源に臨む面に外部光源からの光の照度均斉度を制御するための天面パネルを備えたので、外部光源の光束制御が不要となり、コストを低減できる。さらに培地に植えられる植物の種類や生育状況がケース筐体毎に異なる条件であっても、植物の種類や生育状況に応じた天面パネルをケース筐体に組み合わせることで、同一の外部光源で植物が貯蔵されることが可能となり、一層のコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本願の請求項1及び2に対応した植物貯蔵装置1の一実施形態を図1及び図2により説明する。
【0008】
本実施形態の植物貯蔵装置1は、図1及び図2に示す如く、外部光源5からの光が照射されるとともに、植物が植えられる培地3が収容されるケース筐体4と、ケース筐体4の外部光源5に臨む面に設けられて、外部光源5からの光をケース筐体4の内部に透過させる天面パネル2と、を備え、天面パネル2は、培地3の表面に対する外部光源5からの光の照度均斉度を制御するものである。ここで、天面パネル2は、培地3の表面に対する外部光源5からの照度均斉度を制御することに加え、光の波長構成を制御するものでもある。
【0009】
以下、本実施形態による植物貯蔵装置1の構成を、より具体的詳細に説明する。
【0010】
最初にケース筐体4について説明する。これは図1に示すごとく、略箱状の成形体であり、材質としては、樹脂、発泡樹脂、木材、金属等の汎用である成形材料が選択される。またケース筐体4の側面には、ケース筐体4の内部の植物に対する通気性が高めるため、換気用の小穴41が設けられている。
【0011】
そしてケース筐体4の内部には植物が植えられる培地3が収容される。培地3は植えられる植物に従って、種類及び収容後の厚さが選択され、収容後の培地3の厚さと、植物の培地3から高さとの合計がケース筐体4の内部の高さ以下となるように、ケース筐体4の高さ寸法が選択される。また培地3の面積も同様に植物に従って選択され、これに応じて、ケース筐体4の長さ寸法、幅寸法が選択される。
【0012】
次に天面パネル2について説明する。これは図3に示すごとく、薄肉板状のフレネルレンズ8であり、培地3に臨む表面に所定の波長を吸収する波長吸収シート9が貼り付けられている。さらにその上に透過光吸収剤が所定の濃度分布で分散された透過光吸収シート10が貼り付けられている(詳細後述)。波長吸収シート9又は透過光吸収シート10は、メタクリル酸メチルに透過光吸収剤又は波長吸収材を分散させたもの等の汎用の部材が選択される。天面パネル2はケース筐体4の上端縁部42に載置され、図示しない止め具で固定される。
【0013】
次に外部光源5について説明する。これは円筒形状のランプであり、特にフィルター等の光学要素を備えることなく用いている。外部光源は、例えば図2に示すごとく、初手の間隔をあけて隣接された2つの植物貯蔵装置1a、1bの間を通る中心線上に支持される。
【0014】
次に、本実施形態による植物貯蔵装置1aの動作を、より具体的詳細に説明する。
【0015】
まず、図2において外部光源5から光がケース筐体4aに照射されると、図3に示すごとく、外部光源5の直下に近い光は天面パネル2aに対し入射角6が深くなり、外部光源5の直下から遠い光は天面パネル2aに対し入射角7が浅くなる。これらの入射角を考慮してフレネルレンズ8の光路を設計することで、これらの光はフレネルレンズ8を透過した後に培地に対し略平行に照射される。
【0016】
しかしながら、外部光源5の光束が同じである場合には、フレネルレンズ8を透過した光は、外部光源5の直下に近い光の光束が大きく、外部光源5の直下から遠い光の光束が小さいものとなる。そこで外部光源5の直下に近い側から直下から遠い側に向けて透過光吸収剤量が漸減された透過光吸収シート10をフレネルレンズ8の培地3に臨む表面に貼り付けることで、培地3の表面に対する外部光源5からの光の照度均斉度が調節されるようにしている。
【0017】
さらに外部光源5からの光は透過光吸収シート10を透過する前に波長吸収シート9を透過しているため、植物の貯蔵に適する波長構成となる。好ましい波長構成として400〜800nmの波長領域の放射エネルギーのうち、400〜450nmの波長領域の割合を0〜10%とすること例示できる。
【0018】
また、図3における植物貯蔵装置1bについても同様に設計し、動作させることができる。なお、植えられる植物が、植物貯蔵装置1aに植えられたものと種類又は生育状況が異なる場合には、これに適する天然パネル2bを選択することで、同一の外部光源5で植物が貯蔵される。
【0019】
従って、本実施形態によれば、ケース筐体4の外部光源5に臨む面に外部光源5からの光の照度均斉度を制御するための天面パネル2を備えたたので、外部光源5の光束制御が不要となり、コストを低減できる。特に植物貯蔵装置1が載せられる複数の支持板と、支持板に載せられた植物貯蔵装置毎に外部光源を有する、いわゆる多段式と称される植物貯蔵システムにおいては、外部光源の設置スペースが比較的狭小であり、外部光源の光束制御が困難であることから、特に有効である。
【0020】
さらに培地3に植えられる植物の種類や生育状況がケース筐体4毎に異なる条件であっても、植物の種類や生育状況に応じた天面パネル2をケース筐体4に組み合わせることで、同一の外部光源5で植物が貯蔵されることが可能となり、一層のコスト低減を図ることができる。
【0021】
なお、本実施形態では、ケース筐体4の側面に、換気用の小穴41を設けることとしたが、設けていなくとも構わない。設けていない場合には、ケース筐体4の内部を高湿度に維持することが容易であり、この条件での貯蔵が求められる植物に対しての植物貯蔵装置1の適用が可能となる。
【0022】
また、本実施形態では、天面パネル2をフレネルレンズ8に波長吸収シート9及び透過光吸収シート10を貼り付けたものとしたが、フレネルレンズ8に替えてオパール型拡散板を使用しても良い。この場合には外部光源5の光量を低減できるので、外部光源5として自然光を使用することが可能となる。
【0023】
さらに、本実施形態では、透過光吸収シート10を、天面パネル2への入射角に応じて透過光吸収剤を漸減させながら分散させることとしたが、これに替えて、透過光吸収シート10の表面に、天面パネル2への入射角に応じて印刷密度が漸減するようにドットパターンを印刷するものとしても良い。この場合は、天面パネル2の面積が比較的大きい場合であっても精度良く、培地3の表面に対する外部光源5からの光の照度均斉度が調節されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明の一実施形態の分解斜視図
【図2】本願発明の一実施形態の側面図
【図3】本願発明の一実施形態の部分拡大図
【符号の説明】
【0025】
1 植物貯蔵装置
2 天面パネル
3 培地
4 ケース筐体
5 外部光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部光源からの光が照射されるとともに、植物が植えられる培地が収容されるケース筐体と、ケース筐体の外部光源に臨む面に設けられて、外部光源からの光をケース筐体の内部に透過させる天面パネルと、を備え、天面パネルは、培地の表面に対する外部光源からの光の照度均斉度を制御するものであることを特長とする植物貯蔵装置。
【請求項2】
天面パネルは、培地の表面に対する外部光源からの光の波長構成を制御するものであることを特長とする請求項1に記載の植物貯蔵装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−191880(P2006−191880A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8208(P2005−8208)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】