説明

植物配送システム

【課題】 植物を陳列棚に陳列するに際して、小売店側における植物の陳列の準備を簡略化できるようにした植物配送システムを提供する。
【解決手段】 鉢2内に保水部3を設け、この保水部3に植物4を挿した状態で、鉢2を通い箱7に収容して、出荷元からスーパーマーケット等の小売店に出荷して配送し、小売店側では前記鉢のまま陳列する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷主がスーパーマーケット等の小売店に切花等の植物を配送する植物配送システムに係わり、特に、小売店側において、植物を陳列するための作業を簡略化できるようにした植物配送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーネーション等の切花を、スーパーマーケット等の小売店に陳列する場合、荷主が切花をダンボール箱等に箱詰めした状態で、小売店までの配送を宅配業者に委託する。そして、小売店では、ダンボール箱を開け、ダンボール箱内から切花を取り出して、陳列用の鉢等の容器に移して、陳列棚に陳列していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の配送システムにあっては、小売店において、切花を、ダンボール箱内から取り出して、陳列用の鉢等の容器に移して、陳列棚に陳列するため、陳列棚に陳列する植物を頻繁に入れ替えるような場合には、植物をダンボール箱から取り出して陳列棚に陳列するまでの作業に手間が掛かって煩雑であるため、小売店側の作業を簡略化できるようにすることが従来から臨まれていた。又、小売店側が給水装置を設けて、切花に給水していたため、小売店側で給水装置も準備しなければならず、その準備も煩雑であった。
【0004】
本発明は、前記従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、植物を陳列棚に陳列するに際して、小売店側における植物の陳列の作業を簡略化できるようにした植物配送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、鉢内に保水部を設け、この保水部に植物を挿した状態で、鉢を通い箱に収容して、出荷元からスーパーマーケット等の小売店に出荷して配送し、小売店では前記鉢のまま陳列することを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の植物配送システムにおいて、
前記鉢は、小売店の陳列棚の陳列皿に載置した状態で通い箱に収容されて小売店へ配送されることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は請求項1又は請求項2に記載の植物配送システムにおいて、鉢は、販売できる鉢であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の植物配送システムにおいて、鉢には、植物の名称、品番等を特定する識別部が設けられ、小売店での販売時にこの識別部の内容を読み取ることで、植物の販売をポスシステムを介して荷主側で認識した後、販売された植物の代替の植物を荷主が小売店に出荷して補充するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は請求項4に記載の植物配送システムにおいて、小売店で売れ残った植物を荷主が回収することを特徴とするものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の植物配送システムにおいて、植物は、切花であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載の発明は請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の植物配送システムにおいて、植物は、植木であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、小売店では、通い箱を開封して、鉢を取り出し、鉢を小売店の陳列棚に陳列するだけで、植物を陳列できる状態になるため、小売店では植物を並べ替えて陳列するための手間が不要となって、小売店側での作業を簡略化させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、小売店では、通い箱を開封して、陳列皿を取り出し、陳列皿を小売店の陳列棚に陳列するだけで、植物を陳列できる状態になるため、小売店では植物を並べ替えて陳列するための手間が不要となって、小売店側での作業を簡略化させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、陳列されている鉢のままで販売できるため、小売店では、植物を販売するに際して、植物を陳列用の鉢から販売用の鉢に入れ替える手間を省略することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、小売店で販売された植物を荷主側が通信回線を介して知ることができるため、荷主は販売された植物の補充を直ちに行うことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、小売店で売れ残った植物を荷主が回収することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、荷主は、植物配送システムによって切花を小売店へ配送することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、荷主は、植物配送システムによって植木を小売店へ配送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1及び図2は第1実施形態を示す。図1は、1植物配送システムにおいて配送される配送品を示す。図2は、図1に示す配送品1を配送する植物配送システムを示す。
【0020】
図1に示すように、配送品1は、鉢2内に保水部3を備え、この保水部3に植物4を挿すことによって完成する。鉢2は、例えば、プラスチックのような任意の素材で形成されることができる。前記鉢2は、小売店において、陳列棚に陳列できる形態の鉢であるが、その上、植物を収容した状態で販売可能な鉢であっても良い。
【0021】
保水部3は、保水性の部材に水を染み込ませて形成することができる。保水部3としては、例えば、スポンジのように、保水性があって、且つ、植物4を挿すことができる部材であることが好ましいが、例えば、綿のように、保水性があって、且つ、植物を載置することができる部材であっても、植物に給水することができる。
【0022】
前記植物4としては、切花等が該当するものであって、切花としては、例えば、榊、カーネーション等の任意の切花が該当する。又、複数本の植物4を束ねて透明の包装紙5で包装してあっても良い。
【0023】
前記鉢2の外側面や植物4の包装紙5等には、バーコードのような識別記号6が付されている。この識別記号6は、植物4の種類や名称等を特定するための記号である。この識別記号6に、植物4の値段等を含ませることによって、植物4の販売時に料金の支払いと同時に、販売された植物4の種類や名称を認識できるようになっている。読み取られた識別記号6の内容は、インターネット等の通信回線を介して荷主側へ伝送されるようになっている。
【0024】
次に、図2に基づき、植物配送システムについて説明する。図中、A工程は荷主としての生産工場で鉢2、保水部3、植物4から配送品1を製造し、図中、B工程は、配送品1を配送する工程を示し、図中、C工程は植物4の小売店としてのスーパーマーケット内での作業を示す工程である。
【0025】
図中、A工程に示すように、荷主側の生産工場において、鉢2内に保水部3を収容し、次に、保水部3に植物4の枝や茎を挿すようにして植物4を鉢2内に収容する。その後、配送品1を通い箱7内に収容する。この場合、鉢2の数は、必要に応じて、一又は複数個である。
【0026】
そして、前記通い箱7を梱包した後、通い箱7を小売店に配送することを配送業者Sに委託し、B工程に示すように、宅配業者Sが通い箱7をトラックに積んで小売店まで配送する。
【0027】
次に、同図2中、C工程に示すように、小売店において、通い箱7を開封し、通い箱7内に収容されている鉢2を取り出し、鉢2を小売店の陳列棚8に陳列する。
【0028】
以上説明したように、小売店側では、荷主から配送されてきた鉢2内に収容されている植物4を陳列用の鉢等の容器に並べ替えることなく、配送されてきた鉢2内に植物4が収容されている状態のままで陳列棚8に陳列することができるため、小売店側での作業を従来と比較して簡略化することができる。
【0029】
図3乃至図6は、本発明の第2実施形態を示す。図3は小売店に設置されている陳列棚8に植物を陳列した状態を示す。図4は、陳列棚8から皿11を外した状態を示す。図5は図3に示す皿の外形を示す。図6は皿の上に鉢を載置した状態の斜視図である。
【0030】
図4に示すように、陳列棚8は、平面形状が四角形の台座9と、この台座の四隅に立設された4本の脚10と、図3に示すように、この脚10の間に設けられた複数の皿11とを備えている。複数の皿11は、互いに上下に間隔を開けて前記脚10に支持されるように構成されている。
【0031】
図5に示すように、前記皿11は平板状に形成されると共に互いに対向する端部に引っ掛け部12を有し、図3に示すように、この引っ掛け部12が、前記脚10に設けられた支持棒13に引っ掛けられた状態で、前記皿11は、前記脚10に支持されるようになっている。
【0032】
第2実施形態の特徴は、図6に示すように、荷主が、前記皿11の上に、第1実施形態で示した鉢2を載置した状態で、通い箱7内に梱包して、小売店へ配送するようにした点にある。この第2実施形態においては、図3に示すように、小売店側において、陳列棚8の脚10の支持棒13に皿11の引っ掛け部12を引っ掛けるようにして、皿11を脚10に設置するだけで、植物4を陳列棚8に陳列できるため、小売店側で行う作業を極めて簡略化させることができる。
【0033】
以上の説明においては、植物配送システムによって、切花を荷主側から小売店まで配送する形態を説明したが、この植物配送システムによって、図7に示すように、植木14を配送することも可能である。
【0034】
又、鉢2内に、消臭剤を袋詰めした状態で添付することを可能である。この消臭剤を開封して、鉢2内に撒くことによって、鉢2が置かれている室内を脱臭することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は、配送品の形態を分解して示す斜視図である。(第1実施形態)
【図2】は、植物配送システムの工程を示す図である。(第1実施形態)
【図3】は、小売店の陳列棚に植物を陳列した状態の斜視図である。(第2実施形態)
【図4】は、陳列棚から皿を取り外した状態の斜視図である。(第2実施形態)
【図5】は、皿の外形を示す斜視図である。(第2実施形態)
【図6】は、複数の植物を収容した鉢を皿の上に載置した状態を示す斜視図である。(第2実施形態)
【図7】は、植物配送システムで配送される植木の斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 配送品
2 鉢
3 保水部
4 植物
5 包装紙
7 通い箱
8 陳列棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢内に保水部を設け、この保水部に植物を挿した状態で、鉢を通い箱に収容して、荷主がスーパーマーケット等の小売店に出荷して配送し、小売店側では前記鉢のまま陳列することを特徴とする植物配送システム。
【請求項2】
前記鉢は、小売店の陳列棚の陳列皿に載置した状態で通い箱に収容されて小売店へ配送されることを特徴とする請求項1に記載の植物配送システム。
【請求項3】
前記鉢は、販売できる鉢であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物配送システム。
【請求項4】
前記鉢には、植物の名称、品番等を特定する識別部が設けられ、小売店での販売時にこの識別部の内容を読み取ることで、植物の販売をポスシステムを介して荷主側で認識した後、販売された植物の代替の植物を荷主が小売店に出荷して補充するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の植物配送システム。
【請求項5】
小売店で売れ残った植物を回収することを特徴とする請求項4に記載の植物配送システム。
【請求項6】
前記植物は、切花であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の植物配送システム。
【請求項7】
前記植物は、植木であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の植物配送システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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