説明

植物養生・育成管理装置

【課題】 従来の冷暖房施設を備えた植物生理管理装置は、略密閉状態に保管される植物生理管理庫内に、負帯電微細水滴を気流に同伴させて供給する加湿器と、植物に光を照射する光源とが備えた構造で、負帯電微細水滴を、密閉状態の植物生理管理庫に確実に供給し、植物の生育に役立てること、また、加湿装置を外付け構造とし、ハウス内の空間(育成貯留空間)を有効利用できること等を意図する。

【構成】 略密閉状態植物養生・育成管理室の天板に付設した加湿装置と、加湿装置の吸込口と、天板の開口をダクトで連通し、加湿装置の吹出口と、ダクトの吸込口を連通して、ダクトに延設される植物養生・育成管理室内に配置したダクト/又は配管の吸込口を開放して、使用済み加湿空気を、ダクトで加湿装置に誘導し、調湿済み加湿空気に変換し、調湿済み加湿空気を、ダクト及び/又は配管の吹出口から植物養生・育成管理室内に満遍なく吹出す植物養生・育成管理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿装置を、植物養生・育成管理室外に設置し、この植物養生・育成管理装置の内外のスペースを利用することと、この植物養生・育成管理室内の使用済み加湿空気を効率的に吸込み、この吸込んだ使用済み加湿空気を、調湿済み空気に変換し、この植物養生・育成管理室にリターンする、効率的で、経済的な植物養生・育成管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この主の植物養生・育成管理装置は、特開2001−16981の「接ぎ木苗の養生装置」が広く知られている(文献(1)とする)。この発明は、装置構造体内に養生室と、この養生室を囲繞するように調湿済み加湿空気用の空気循環路を設け、また、この装置構造体内に加湿装置を設ける構造であり、この加湿装置からの調湿済み加湿空気を、空気循環路を介して、養生室の接ぎ木に供給する構造である。この発明は、装置構造体内の空間を利用して、加湿装置をセットする構造であるので、この養生室内部の空間(容積)が少なくなり、接ぎ木の収容数が少なくなることが考えられる。従って、この加湿装置を、装置構造体(植物養生・育成管理室)の外側に設け、この植物養生・育成管理装置及び/又は養生室の容積を有効利用することを意図しない。また、加湿装置を、結露より保護すること、また、この加湿装置から滴下する水滴の取扱に関し、充分な配慮がなされていないこと等の改良点がある。
【0003】
以上の改良として、特開2008−104364の「植物生理管理装置」がある(文献(2)とする)。この発明は、植物等の生体を生理管理する冷暖房施設を備えた植物生理管理装置であり、略密閉状態に保管される植物生理管理庫と、この植物生理管理庫内に、負帯電した微細な水滴(負帯電微細水滴)を気流に同伴させて供給する加湿器と、この植物に光を照射する光源とが備えられている構造である。この発明は、負帯電微細水滴を、密閉状態の植物生理管理庫に確実に供給し、植物の生育に役立てること、また、加湿装置を外付け構造とし、ハウス内の空間(育成貯留空間)を有効利用できること等の特徴がある。
【0004】
また、特開平8−37944号の「植物育成装置」がある(文献(3)とする)。この発明は、挿し木苗を収容する育成室と、この育成室にダクトを介して外付けした挿し木苗の育成条件に応じた空調空気を送給する空調装置で構成した植物育成装置において、この空調室に、熱交換器と加湿器を収容し、この空調室で生成した温湿度調整済の空気を、育成室に供給する構造であり、挿し木や培養条件から一般条件に変化させる馴化時の植物を育成するために最適な、植物が蒸散をしなくても植物体の温度が維持でき、蒸散を抑制する湿度条件の実現とその環境下での光照射を図りつつ、光照射による温度の上昇と湿度の低下を抑制し、常に低温かつ高湿度の空気を送り込むこと、又は必要により、冷却のエネルギーを供給し、挿し木や培養条件に最適な温湿度調整済の空気を、育成室に供給することを意図する。
【0005】
さらに、特開平10−295198号の「活着促進装置」がある(文献(4)とする)。この発明は、天井の上部の排気室とアクセスフロアの下部の導入室を連結し、かつ断熱パネルで区画された養生室に、空調空気を循環する外付けの空調ユニットを設ける構成であり、この空調ユニットは、そのケーシングの空気吸込側が吸込みダクトを介して排気室と接続し、また、吹出側が吹出しダクトを介して導入室と接続してなり、そして、この空調ユニットには、冷却コイル、電気ヒータ、送風機、並びに加湿器が配置される構造であって、養生室の接ぎ木苗に、空調空気の流れを良好にできる活着促進装置を提供する。
【0006】
尚、負に帯電した水滴と、植物への影響に関する先行文献としては、特開平8−3068914号の「高湿度活性空気」における明細書の[0006]に記載がある(文献(5)とする)。また、特開平7−114971号の「負イオン発生方法とその装置」における明細書の[0004]と、[0035]に記載がある(文献(6)とする)。さらに、特開平2000−140728号の「超音波振動水発生方法および超音波振動水供給装置並びに超音波振動水を利用した空気清浄装置」における明細書の[0004]と、並びに[0021]と、[0022]に記載がある(文献(7)とする)。
【0007】
【特許文献1】特開2001−16981
【特許文献2】特開2008−104364
【特許文献3】特開平8−37944号
【特許文献4】特開平10−295198号
【特許文献5】特開平8−308914号
【特許文献6】特開平7−114971号
【特許文献7】特開平2000−140728号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
文献(2)は、加湿装置を、植物生理管理室に外付けする構造とし、ハウス内の空間を有効利用できる特徴がある。しかし、この発明は、植物生理管理室(植物生理管理庫)の側部外方に、負帯電微細水滴生成用の加湿器を設ける構造であり、この加湿器に向かって、排気ダクトと、吸気ダクトを配備する構造である(明細書の[0063])。従って、ハウス、温室等の建屋内の幅方向において、スペースが必要となることから、建屋内の空間を有効利用するに際し、改良点となることが考えられる。また、人の往来の邪魔となることが考えられる。そして、また、作業器具が衝突した場合には、大変、問題となる。
【0009】
また、文献(3)、(4)は、断熱パネルを介して区画形成された育成室、又は養生室に外付けで、加湿器が配置される空調装置、又は空調ユニットを配備する構造であり、この育成室、又は養生室と、空調装置、又は空調ユニットを、ダクトを介して連通(連繋)する。そして、調温湿した空気を、育成室、又は養生室の挿し木、又は接ぎ木に供給することを特徴とする。しかし、この文献(3)、(4)は、加湿器であり、微細粒子の生成に限界があることと、稼働時間の長期化の際に故障の原因となること等の改良点がある。また、この文献(3)、(4)は、前述した文献(1)と同様な改良点が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1・2の発明は、植物養生・育成管理室の天板に、加湿装置を付設することで、建屋内の空間を有効利用するに際し、人の往来の邪魔とならないこと、また、作業器具が衝突しない装置とすること、又は植物養生・育成管理装置の設置の容易化と、台数の拡充を図ること等を意図する。また、請求項1・2の発明は、植物養生・育成管理室の天板に、加湿装置を付設し、植物養生・育成管理室内の使用済み加湿空気を、加湿装置に確実に誘導し、この加湿装置で調湿済み加湿空気を生成し、この調湿済み加湿空気を、前記植物養生・育成管理室内の接ぎ木に満遍なく供給できる植物養生・育成管理装置を提供する。さらに、請求項1・2の発明は、植物養生・育成管理室内に配置した(一本、又は数本の)ダクト及び/又は配管の一個、又は複数個の吹出口を介して、この植物養生・育成管理室内に満遍なく吹出す構成であり、この植物養生・育成管理室の接ぎ木に、満遍なく、調湿済み加湿空気を提供できることと、この接ぎ木の略均一な生育を図ることを意図する。そして、請求項1・2の発明は、植物養生・育成管理室の天板に、加湿装置を付設することで、この植物養生・育成管理室内のスペースを有効利用すること、また、トレーの取扱い、及び/又は、作業の容易化を図ることを意図する。
【0011】
請求項1は、略密閉状態の植物養生・育成管理室の天板上面に、加湿装置を付設し、この加湿装置に設けた吸込口と、前記植物養生・育成管理室の天板に開設した開口を連通し、また、この加湿装置の吹出口と、ダクトの吸込口を連通し、前記植物養生・育成管理室内の使用済み加湿空気を、前記開口を介して、前記加湿装置に誘導し、この使用済み加湿空気を、調湿済み加湿空気に変換するとともに、この調湿済み加湿空気を、この植物養生・育成管理室内に配置したダクト及び/又は配管の吹出口を介して、この植物養生・育成管理室内に満遍なく吹出す構造とし、前記使用済み加湿空気と、調湿済み加湿空気の一連の流れを確保する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0012】
請求項2は、略密閉状態植物養生・育成管理室の天板上面に、加湿装置を付設し、この加湿装置の一個、又は数個の吸込口と、前記植物養生・育成管理室の天板に開設した一個、又は数個の開口を連通し、また、この加湿装置の一個、又は数個の吹出口と、一本、又は数本のダクトの吸込口を連通し、前記植物養生・育成管理室内の使用済み加湿空気を、前記開口を介して、前記加湿装置に誘導し、この使用済み加湿空気を、調湿済み加湿空気に変換するとともに、この調湿済み加湿空気を、この植物養生・育成管理室内に配置した一本、又は数本のダクト及び/又は配管の吹出口を介して、この植物養生・育成管理室内に満遍なく吹出す構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の目的達成すること、また、この目的を達成するに最適な、使用済み加湿空気のルートと、調湿済み加湿空気のルートを確保することを意図する。
【0014】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
前記加湿装置を、遠心噴霧装置と、この遠心噴霧装置との間に隙間を設けて囲繞するケーシングで構成し、このケーシングの底部の一個、又は数個の開口部を、この隙間を介して、前記一個、又は数個の吸込口に連通し、この遠心噴霧装置の一個、又は数個の吹出口に、前記一本、又は数本のダクトに連通する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の目的達成すること、また、この目的を達成するに最適な、ダクトであり、かつこのダクトの水滴を、加湿装置に戻すことを意図する。
【0016】
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
前記一本、又は数本のダクトを、前記加湿装置より立設した立上部と、この立上部より折り曲り、かつ略水平方向に延設した略水平部と、この略水平部より折り曲り垂下した垂下部で構成し、この垂下部に一個、又は数個の吹出口を備えた配管を連設する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2の目的達成すること、また、この目的を達成するに最適な、使用済み加湿空気のルートと、調湿済み加湿空気のルートを確保することを意図する。
【0018】
請求項5は、請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
前記一本、又は数本のダクト/又は配管を、植物養生・育成管理室の角隅部及び/又は中間部に配設し、その一個、又は数個の吹出口を、この角隅部及び/又は中間部から内方に向かって開設し、角隅部及び/又は中間部から内方に向かって、前記調湿済み加湿空気を供給する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1、又は請求項2の目的達成すること、また、この目的を達成するに最適な、使用済み加湿空気のルートと、調湿済み加湿空気のルートを確保できるダクトを提供することを意図する。
【0020】
請求項6は、請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
前記天板に開設した一個、又は数個の開口を、前記植物養生・育成管理室の略中心部で、かつ天板に開設し、この一個、又は数個の開口を介して、当該植物養生・育成管理室の使用済み加湿空気を、加湿装置の一個、又は数個の吸込口に供給する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1・2の発明は、略密閉状態植物養生・育成管理室の天板上面に付設した加湿装置と、加湿装置の吸込口と、植物養生・育成管理室の天板の開口をダクトで連通するとともに、加湿装置の吹出口と、ダクトの吸込口を連通して、植物養生・育成管理室内に配置したダクト/又は配管の吸込口を開放する構成とし、使用済み加湿空気を、ダクトを介して、加湿装置に誘導し、調湿済み加湿空気に変換し、調湿済み加湿空気を、ダクト及び/又は配管の吹出口を介して、植物養生・育成管理室内に満遍なく吹出す構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0022】
従って、請求項1・2は、植物養生・育成管理室の天板に、加湿装置を付設することで、建屋内の空間を有効利用できることと、人の往来の邪魔とならないこと、また、作業器具が衝突しない装置となること、又は植物養生・育成管理装置の設置の容易化と、台数の拡充が図れること等の特徴を有する。また、請求項1・2は、植物養生・育成管理室の天板に、加湿装置を付設し、植物養生・育成管理室内の使用済み加湿空気を、加湿装置に確実に誘導し、この加湿装置で調湿済み加湿空気を生成し、この調湿済み加湿空気を、植物養生・育成管理室内の接ぎ木に満遍なく供給できる植物養生・育成管理装置を提供できる。さらに、請求項1・2は、植物養生・育成管理室内に配置した(一本、又は数本の)ダクト及び/又は配管の一個、又は複数個の吹出口を介して、この植物養生・育成管理室内に満遍なく吹出す構成であり、この植物養生・育成管理室の接ぎ木に、満遍なく、調湿済み加湿空気を提供できることと、この接ぎ木の略均一な生育が図れること等の特徴を有する。そして、請求項1・2は、植物養生・育成管理室の天板に、加湿装置を付設することで、この植物養生・育成管理室内のスペースを有効利用が図れること、また、トレーの取扱い、及び/又は、作業の容易化を図ること等の特徴がある。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
加湿装置を、遠心噴霧装置と、遠心噴霧装置との間に隙間を設けて囲繞するケーシングで構成し、ケーシングの底部の開口部を、隙間を介して、吸込口に連通し、遠心噴霧装置の吹出口に、ダクトに連通する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0024】
従って、請求項3は、請求項1、又は請求項2の目的達成できること、また、この目的を達成するに最適な、使用済み加湿空気のルートと、調湿済み加湿空気のルートを確保できること等の特徴を有する。
【0025】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
ダクトを、加湿装置より立設した立上部と、立上部より折り曲り、かつ略水平方向に延設した略水平部と、略水平部より折り曲り垂下した垂下部で構成し、垂下部に吹出口を備えた配管を連設する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0026】
従って、請求項4は、請求項1、又は請求項2の目的達成できること、また、この目的を達成するに最適な、ダクトであり、かつこのダクト内の水滴を、加湿装置に戻すことができる特徴を有する。
【0027】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
ダクト/又は配管を、植物養生・育成管理室の角隅部に配設し、吹出口を、角隅部から内方に向かって開設し、角隅部から内方に向かって、調湿済み加湿空気を供給する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0028】
従って、請求項5は、請求項1、又は請求項2の目的達成できること、また、この目的を達成するに最適な、使用済み加湿空気のルートと、調湿済み加湿空気のルートを確保できること等の特徴を有する。
【0029】
請求項6の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
天板に開設した開口を、植物養生・育成管理室の略中心部で、かつ天板に開設した開口を介して、植物養生・育成管理室の使用済み加湿空気を、加湿装置の吸込口に供給する構成とした植物養生・育成管理装置である。
【0030】
従って、請求項6は、請求項1、又は請求項2の目的達成できること、また、この目的を達成するに最適な、使用済み加湿空気のルートと、調湿済み加湿空気のルートを確保できるダクトを提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の一例を説明する。
【0032】
図面の説明をすると、図1は、本発明の植物養生・育成管理装置の一部欠截の概念図、図2−1は、図1の植物養生・育成管理装置を組立てる最初の状態を示した模式図、2−2は、植物養生・育成管理装置を組立てる中間の状態を示した模式図、図3は、加湿装置(遠心噴霧装置)の一例を示した一部欠截の拡大模式図、図4−1は、遠心噴霧装置の分解した拡大模式図、図4−2は、遠心噴霧装置の要部を示した拡大断面図、図4−3は、遠心噴霧装置の要部を示した拡大分解斜視図、図5は、本発明の他の遠心噴霧装置の拡大模式図、図6は、本発明の別の植物養生・育成管理装置の概念図である。
【0033】
図において、1は断熱パネルを内設した鋼材で構成した、略密閉状態で、その内部、又は外の上面(後述する)に、図示しない空調装置を備えた植物養生・育成管理室で、この植物養生・育成管理室1には、扉102と、その空間1aに、接ぎ木載置用のトレー(図示せず)を収容する棚、又は光源等を有する。また、棚を備えた台車が収容できる空間1aとすることもあり得る。そして、この植物養生・育成管理室1の天板100の上面100aには、一個、又は数個の開口101を設ける。この開口101は、後述する遠心噴霧装置2を囲繞する略方形状のケーシング3の底部3aの開口部300(底部を省略することもある)を介して、このケーシング3の内面3bと、遠心噴霧装置2のケース200の外面200aとで形成される隙間5に連通される。従って、この開口101を介して、上昇した使用済み加湿空気Aは、隙間5を介して、遠心噴霧装置2の一個、又は数個の吸込口201に到る構造である。尚、この開口101(開口部300)が下面で、その上方に吸込口201を設ける構造であるので、使用済み加湿空気Aの下から上へのスムーズな動きを確保すること、また、余分の水滴を峻別でき、この遠心噴霧装置2に過度の負担を掛けない構造とする。また、この開口101の周辺に堤を形成し、ケーシング3内の上面に貯留する水の垂れを防止し、接ぎ木(図示せず)への落下を回避できることと、雑菌の侵入防止と、疫病の発生回避が図れること等の利点がある。そして、この例の如く、ケーシング3に底部3aを形成した構造では、在来の植物養生・育成管理室1にも簡易に取付け得る利点がある。尚、図示しないが、ケーシング3を、直接、天板200bに設ける構造もできる。
【0034】
この遠心噴霧装置2の一例を説明すると、ケース200の天板200bには一個、又は数個の吹出口202を設け、この吹出口202より調湿済み加湿空気Bを吐出する。そして、このケース200内に設けたモータ203の回転軸203a(出力軸及び/又は回転軸)に固止した回転板204を、このケース200内に間隔をおいて設けるとともに、この回転板204の周辺部204aに近接してエリミネータ205を設ける(僅かな隙間を持って、エリミネ―タ205を設ける)。従って、この回転板204に滴下された水を、高速回転を介して、その周辺部204aより放射方向に飛散し、この飛散した微粒子を、エリミネ―タ205に衝突させて、超微粒子化する。この超微粒子のみを、吸込口201より吸込んだ使用済み加湿空気Aの流れに乗せることを特徴とし、また、超微粒子以外の、例えば、水粒子を、吹出口202に導かない(水粒子を、受け皿200cより、後述する水槽に戻す)構造とする。また、前記回転板204の下面には、前記回転軸203aに固止した羽根206aを備えた回転体206を設け、この回転体206と羽根206aを介して、前記吸込んだ使用済み加湿空気Aを、矢印「イ」の如く、エリミネ―タ205の外側205aから、その内側205bに向かって導く構造であり、前述の如く、この流れとなる使用済み加湿空気Aに、超微粒子のみを混合して、調湿済み加湿空気Bを生成し、かつ、この調湿済み加湿空気Bを、矢印「ロ」の如く、吹出口202に導く構造である。その他の構造は、水槽207と、この水槽207の水を抑揚するポンプ208及び/又は回転板204の上面に臨む配管208aと、フロート209を有する。尚、使用済み加湿空気Aと、調湿済み加湿空気Bの流れを説明すると、吸込口201→羽根206aによる誘導→エリミネ―タ205の外側205a→エリミネ―タ205の内側205b(エリミネ―タ205の隙間205cを通過)→ケース200の上方(調湿済み加湿空気Bに変換)→吹出口202の流れとなる。尚、ケース200は、図示の如く、分割式として、製造、組付け、並びに修理等の容易化、又は合理化等を図ることも可能である。
【0035】
尚、前記遠心噴霧装置2の吹出口202には、ダクト6の吸込口600が接続されるとともに、このダクト6の排出口601は、この例では、植物養生・育成管理室1にセットされた配管7に接続される。そして、図例では、配管7は、この植物養生・育成管理室1の角隅部103に設けるが、一例であり、図示しないが、この植物養生・育成管理室1の形状及び/又は容積等により、中間部104の壁側、又はその他のスペース等に配管7を設けることもあり得る。所謂、この植物養生・育成管理室1内に満遍なく、調湿済み加湿空気Bを供給することを意図する。この一例では、ダクト6に配管7を接続する構造であるが、ダクト6を直接、植物養生・育成管理室1内に配備する構造もできる。そして、この配管7と、ダクト6には、略均等にノズル700(吹出口)が複数個設けられる。そして、このノズル700から、図示しない器具と、この遠心噴霧装置2で生成される負イオンに帯電した調湿済み加湿空気Bを供給することが望ましい。尚、この配管7を設けた構造では、従来の設備の有効利用と、最適な調湿済み加湿空気Bの供給が図れる。また、この配管7等を角隅部103に設ける構造では、トレーの取扱いの容易化と、最適な調湿済み加湿空気Bの供給が図れること、又はスペースの有効利用が図れること等の特徴がある。
【0036】
前記ダクト6の好ましい一例を説明すると、このダクト6は、遠心噴霧装置2の吹出口202より立設した立上部602と、この立上部602より折り曲り、かつ略水平方向に延設した略水平部603と、この略水平部603より折り曲り垂下した垂下部604で構成し、この垂下部604を配管7に連設する構造であり、水粒子、又は水滴のダクト6からの流れをなくし、適切な調湿済み加湿空気Bを供給する。そして、前述した如く、このダクト6の垂下部604を、直接、植物養生・育成管理室1内に臨ませることもできる。尚、ノズル700の噴射口の寸法は、配管7の上方より、下方に向かって、順次、小径から大径とし、植物養生・育成管理室1の空間1a内に均等な調湿済み加湿空気Bを噴霧する構造とする(ダクト6を延設した構造も同じ)。また、この配管7の底部に水抜き孔を開設する(ダクト6を延設した構造も同じ)。
【0037】
以上の構造において、使用済み加湿空気Aと、調湿済み加湿空気Bの流れを説明すると、この植物養生・育成管理室1内の使用済み加湿空気Aは、その天井面から、一個、又は複数個の開口101→上方に位置する遠心噴霧装置2の吸込口201(この開口101と、吸込口201との下位置関係を利用し、水粒子、水滴を排除する)→羽根206aによる誘導→エリミネ―タ205の外側205a→エリミネ―タ205の内側205b(エリミネ―タ205の隙間205cを通過)→ケース200の上方(調湿済み加湿空気Bに変換)→吹出口202→ダクト6の吸込口→ダクト6内→配管7→ノズル700→植物養生・育成管理室1の空間1a内に満遍なく吹出しできる。
【0038】
尚、図5は、他の遠心噴霧装置2を示している。この例は、ケース200の形状を変更した一例であり、他の構造は前述の例に準ずる。
【0039】
また、図6は、別の植物養生・育成管理装置の組合せ構造を示した一例であり、他の構造は前述の例に準ずる。また、効率化、合理化、又は装置の有効利用を意図し、例えば、遠心噴霧装置2及び/又はダクト6を、他の植物養生・育成管理室1に共用する構造もあり得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の植物養生・育成管理装置の一部欠截の概念図
【図2−1】図1の植物養生・育成管理装置を組立てる最初の状態を示した模式図
【図2−2】植物養生・育成管理装置を組立てる中間の状態を示した模式図
【図3】加湿装置(遠心噴霧装置)の一例を示した一部欠截の拡大模式図
【図4−1】遠心噴霧装置の分解した拡大模式図
【図4−2】遠心噴霧装置の要部を示した拡大断面図
【図4−3】遠心噴霧装置の要部を示した拡大分解斜視図
【図5】本発明の他の本発明の他の遠心噴霧装置の拡大模式図
【図6】本発明の別の植物養生・育成管理装置の概念図
【符号の説明】
【0041】
1 植物養生・育成管理装室
1a 空間
100 天板
100a 上面
101 開口
102 扉
103 角隅部
104 中間部
2 遠心噴霧装置
201 吸込口
200 ケース
200a 外面
200b 天板
200c 受け皿
202 吹出口
203 モータ
203a 回転軸
204 回転板
204a 周辺部
205 エリミネ―タ
205a 外側
205b 内側
205c 隙間
206 回転体
206a 羽根
207 水槽
208 ポンプ
208a 配管
209 フロート
3 ケーシング
3a 底部
3b 内面
300 開口部
5 隙間
6 ダクト
600 吸込口
601 排出口
602 立上部
603 略水平部
604 垂下部
7 配管
700 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略密閉状態の植物養生・育成管理室の天板上面に、加湿装置を付設し、この加湿装置に設けた吸込口と、前記植物養生・育成管理室の天板に開設した開口を連通し、また、この加湿装置の吹出口と、ダクトの吸込口を連通し、前記植物養生・育成管理室内の使用済み加湿空気を、前記開口を介して、前記加湿装置に誘導し、この使用済み加湿空気を、調湿済み加湿空気に変換するとともに、この調湿済み加湿空気を、この植物養生・育成管理室内に配置したダクト及び/又は配管の吹出口を介して、この植物養生・育成管理室内に満遍なく吹出す構造とし、前記使用済み加湿空気と、調湿済み加湿空気の一連の流れを確保する構成とした植物養生・育成管理装置。
【請求項2】
略密閉状態の植物養生・育成管理室の天板上面に、加湿装置を付設し、この加湿装置の一個、又は数個の吸込口と、前記植物養生・育成管理室の天板に開設した一個、又は数個の開口を連通し、また、この加湿装置の一個、又は数個の吹出口と、一本、又は数本のダクトの吸込口を連通し、前記植物養生・育成管理室内の使用済み加湿空気を、前記開口を介して、前記加湿装置に誘導し、この使用済み加湿空気を、調湿済み加湿空気に変換するとともに、この調湿済み加湿空気を、この植物養生・育成管理室内に配置した一本、又は数本のダクト及び/又は配管の吹出口を介して、この植物養生・育成管理室内に満遍なく吹出す構成とした植物養生・育成管理装置。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
前記加湿装置を、遠心噴霧装置と、この遠心噴霧装置との間に隙間を設けて囲繞するケーシングで構成し、このケーシングの底部の一個、又は数個の開口部を、この隙間を介して、前記一個、又は数個の吸込口に連通し、この遠心噴霧装置の一個、又は数個の吹出口に、前記一本、又は数本のダクトに連通する構成とした植物養生・育成管理装置。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
前記一本、又は数本のダクトを、前記加湿装置より立設した立上部と、この立上部より折り曲り、かつ略水平方向に延設した略水平部と、この略水平部より折り曲り垂下した垂下部で構成し、この垂下部に一個、又は数個の吹出口を備えた配管を連設する構成とした植物養生・育成管理装置。
【請求項5】
請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
前記一本、又は数本のダクト/又は配管を、植物養生・育成管理室の角隅部及び/又は中間部に配設し、その一個、又は数個の吹出口を、この角隅部及び/又は中間部から内方に向かって開設し、隅部及び/又は中間部から内方に向かって、前記調湿済み加湿空気を供給する構成とした植物養生・育成管理装置。
【請求項6】
請求項1、又は請求項2に記載の植物養生・育成管理装置であって、
前記天板に開設した一個、又は数個の開口を、前記植物養生・育成管理室の略中心部で、かつ天板に開設し、この一個、又は数個の開口を介して、当該植物養生・育成管理室の使用済み加湿空気を、加湿装置の一個、又は数個の吸込口に供給する構成とした植物養生・育成管理装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−124758(P2010−124758A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302995(P2008−302995)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】