説明

植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法

【課題】経済性および施工性に優れ、早期の植生緑化が図れる、植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の保護工法を提供する。
【解決手段】多数の長尺な割竹13を所定隙間を保持しながら複数の紐14で順次連結して竹製網11を得るとともに、同竹製網11の背面に可撓性のある種子入りまたは種子無しの植生シート12を貼り付けて植生シート付き竹製網10を得る第1の工程と、地山の斜面1に数段に亘り横一列に所定間隔を開けて杭木2を打ち込む第2の工程と、地山の斜面1に運搬した植生シート付き竹製網10を、その割竹13の向きを横方向に固定するとともに、各割竹13を湾曲させて1本または複数本の杭木2ごとに交互に杭木2の地山側または反地山側を通過させるようにして杭木2間に落とし込む第3の工程と、杭木2間に落とし込んだ植生シート付き竹製網10の背後空間に盛土6する第4の工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の治山工事においては、自然環境の保護の観点から、災害により崩壊した山腹の復旧工事、あるいは林道等の整備によって切土、盛土された斜面の安定、保護工事を行う際に、自然環境の保全や景観の保全に考慮を払うことが一般的になりつつある。例えば、図9は丸太を用いた冶山の保護工の一つである。この保護工は、山腹の斜面1に横一列に一定間隔を開けて杭木(丸太)2を打ち込み、杭木2の背面に横木(丸太)3を数段の高さにわたして鉄線4で杭木2と締結し、横木3の背後の空間に盛土して、斜面の土砂流出を防止するようにしている。さらに、盛土の上に苗木5を植生し、あるいは横木3の背面に図示しない種子シートを配置し、横木3の隙間から植物を成長させ、これにより自然環境の保全や景観保全を図るようにしている。
【0003】
上記従来の保護工は、丸太の収縮で鉄線が浮いて柵が緩くなったり、斜面の草刈り作業中にカッターの歯が鉄線に接触して欠けたり鉄線が切れたりして作業に危険が伴う問題があった。特開2000−120073号(特許文献1)には、丸太材からなるパネルユニットを複数段積み上げた柵状体と、長手方向に間隔をあけて設置され、柵状体と連結された固定杭と、斜面に設置され、柵状体または固定杭に連結されたアンカーからなる木製斜面保護体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−120073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の木製斜面保護体は、丸太材からなる重いパネルユニットを下から斜面の上まで持ち上げなければならず、作業員の負担が非常に大きい。また、安定化を図るためのアンカーを必要とし、作業工数が増えてしまう。さらに、木材を活用しているものの、植生緑化を図る点では工夫に乏しい。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたもので、経済性および施工性に優れるとともに、早期の植生緑化が図れ、環境保全に優れる、植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法は、
多数の長尺な割竹を所定隙間を保持しながら複数の紐で順次連結して竹製網を得るとともに、同竹製網の背面に可撓性のある種子入りまたは種子無しの植生シートを貼り付けて植生シート付き竹製網を得る第1の工程と、地山の斜面に数段に亘り横一列に所定間隔を開けて杭木を打ち込む第2の工程と、地山の斜面に運搬した植生シート付き竹製網を、その割竹の向きを横方向に固定するとともに、各割竹を湾曲させて1本または複数本の杭木ごとに交互に杭木の地山側または反地山側を通過させるようにして杭木間に落とし込む第3の工程と、杭木間に落とし込んだ植生シート付き竹製網の背後空間に盛土する第4の工程と、を有することを第1の特徴とする。
【0008】
本発明に係る竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法は、第1の工程において、紐の撚り数を調整することにより、割竹間の隙間寸法を調整することを第2の特徴とする。
【0009】
本発明に係る竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法は、杭木間に落とし込まれた割竹の隙間を通してその前方側から草木類の株をその背後の植生シートに植設する第5の工程を有することを第3の特徴とする。
【0010】
本発明に係る竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法は、横一列の杭木間の一部に斜面の縦方向に延びる断面U字形の水路用溝を掘削し、同水路用溝の表面に植生シート付き竹製網を張設する第6の工程を有することを第4の特徴とする。
【0011】
本発明に係る竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法は、第6の工程において、前記水路用溝の表面に、割竹の向きを横方向に固定する形で植生シート付き竹製網を張設することを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法によれば、以下のような優れた効果を奏する。
(1)植生シート付き竹製網は軽量でコンパクトに巻回して斜面上に運搬することができ、作業性に優れる。
(2)植生シート付き竹製網は湾曲変形可能であり、杭木間に容易に落とし込みでき、落とし込んだ後は杭木と強固に一体化される。また、結線等の熟練した技術や特殊な技術を特に必要とせず、早く簡単に施工でき、施工性に優れる。
(3)植生シート付き竹製網の割竹間に適度な隙間を設けているので、透水性・通気性・採光性に優れ、背面の植生シートから容易に種子が発芽し、割竹間の隙間から草木の成長が促進され、早期の植生緑化が図られる。また、竹は適度な腐食性があるので、地山の植生緑化と自然回帰を図れる。
(4)柵工用の資材として大量の竹を用いるので、竹資源の有効活用、放置竹林の減少に大きく寄与でき、経済性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。図1ないし図4は本発明の第1実施形態を示すもので、図中、符号1は山腹の斜面を示している。以下、斜面1の緑化保護工法として、種子入りの植生シート付き竹製網を用い、斜面1に柵を施工する(柵工)手順について、説明する。
【0014】
まず、種子入りの植生シート付き竹製網を製作工場等で準備する。図2に示すように、種子入りの植生シート付き竹製網10は、竹製網11(図示例の長さ約2.4m、幅約0.6m)の背面に複合資材として種子入り植生シート12が接着剤等で一体に貼り付けられた構成とされている。竹製網11は、図2(A)に示すように、1本の竹を複数本に縦割した長尺な割竹13を多数本(図示例では10本)平行に等間隔で並べ、各割竹13を紐14で順次連結して製作する。紐14は、割竹13の長さ(図示例では約2.4m)及び本数(図示例では10本)に合わせて所定長のものを複数本(図示例では4本)準備し、割竹13の長手方向複数箇所(図示例では4箇所)で結ぶようにする。割竹13は孟宗竹等の生竹あるいは乾燥竹でよい。紐14は強度確保の点で化学繊維製のものが好ましいが、環境保全の点ではマニラ麻、サイザル麻、ヤシ、ココナツなどの天然繊維製が好ましい。紐14は、隣接する割竹13,13間で撚り14Aの回数を増減することで、隣接する割竹13,13間の隙間dの寸法を調整できる。
【0015】
次に、図2(B)に示すように、上記竹製網11(図示例の長さ約2.4m、幅約0.6m)の背面に複合資材として種子入り植生シート12を接着剤等で一体に貼り付ける。種子入り植生シート12は、ポリエチレン製のネットや不織布シートに草花の植物の種子を混入した薄綿(肥料や土壌改良資材等)を装着したもので、湾曲性、可撓性を有する。生分解性樹脂製のネットや水溶性紙シート等を用いてもよい。このようにして製作された種子入りの植生シート付き竹製網10は、図2(C)に示すように、一方の側端から他方の側端にかけてぐるぐると巻いてコンパクトな状態とし、製作工場等から現地へ運搬する。必要に応じて、雨対策用に油紙等により複数単位で包装する。
【0016】
並行して、図3(A)に示すように、現地の地山の斜面1に柵工用の杭木2を打ち込む。杭木2の実際の打込み角度は、植生可能な勾配を設ける(実際の施工上の勾配は70度であるが、図面上は説明の便宜上水平面に対し90度としてある)。杭木2は丸太(図示例の長さ約1.5m)を用いる。杭木2は地山の斜面1に数段に亘り横一列に一方の端から他方の端にかけて所定の間隔を開けて順次打ち込む。この打ち込み作業は斜面1の下側から上側にかけて縦方向(上下方向)に所定の間隔をあけて数段に亘り行う。このようにして、斜面1に柵工用の杭木2をすべて打ち込む(図示例の打ち込み量約0.9m、斜面1からの杭木2の突出量約0.6m、杭木2間の間隔約0.75m)。
【0017】
次に、現地へ運搬した巻回状の植生シート付き竹製網10を斜面1の各杭木2の打ち込まれた位置まで持上げ搬送する。植生シート付き竹製網10は軽量で巻回状にコンパクト化されているので、斜面1を所定の杭木2のある位置まで楽に搬送できる。
【0018】
次に、斜面1の杭木2の打ち込まれた位置において、巻回状の植生シート付き竹製網10を平板状に戻す。そして、図3(B)および図4に示すように、横方向Yに隣接して並ぶ杭木2間に植生シート付き竹製網10を落とし込む。植生シート付き竹製網10は、各割竹13の向き(長手方向)を横方向Yに固定し、図4(A)の平面図に示すように、各割竹13の湾曲性を利用し、各割竹13を湾曲させて、横方向に並ぶ杭木2(図示例は3本の杭木2)に対し、1本の杭木ごとに、交互に杭木2の地山側、反地山側を通過させるようにして杭木2間に上から落とし込む。植生シート付き竹製網10を杭木2間に落とし込んだ後は、植生シート付き竹製網10の、元の形状に復帰しようとする復帰力により各杭木2との一体化が高まる。これにより、植生シート付き竹製網10を杭木2に容易に固定することができ、鉄線等で杭木2に結束していた従来の煩雑作業から開放される。なお、杭木2間に落とし込まれる植生シート付き竹製網10どうしは、互いに突き合せるか、所定幅の重なり部分を設けるようにする。
【0019】
次に、横方向Yに一方の端から他方の端まで植生シート付き竹製網10をすべて杭木2間に落とし込んだら、各杭木2及び植生シート付き竹製網10の背後空間Sに、図3(C)に示すように、杭木2の突出高さまで盛土6を設ける。斜面1から突出する杭木2及び植生シート付き竹製網10の背後に盛土6を設けることで、斜面1が階段状に施工される。そして、図3(D)に示すように、各盛土6にはクヌギ等の苗木5を植生する。
【0020】
以上の施工手順により、杭木2および植生シート付き竹製網10を用いた柵7が斜面1に施工される。図1に斜面1に施工された柵7の断面を示す。
【0021】
施工後の柵7は、杭木2に固定された植生シート付き竹製網10の、種子入り植生シート12から種子が発芽し、図1に示すように、竹製網11の各隙間dから草花15が成長する。同時に盛土6上の苗木5が成長し、竹製網11の隙間dから成長する草花15とともに、斜面1全体の早期緑化が図られ、斜面1の土留めも図られる。
【0022】
植生シート付き竹製網10は、軽量で巻回状にコンパクト化できるので、製作工場から現場への運搬、現場から斜面1の所定高さへの持上げ搬送に有利である。また、施工性の点では、種子入り植生シート付き竹製網10の湾曲性を利用し、横方向に隣接する杭木2に対し、地山側、反地山側、地山側と順に交互に杭木2間を通過させるように落とし込む簡単な作業で杭木2に固定できることから、結線等の熟練した技術や特殊な技術は特に必要とせず、従って、早く簡単に施工でき、施工性の点でも有利である。
【0023】
さらに、植生シート付き竹製網10は、透水性および適度な腐食性に優れているので、地山に対しより自然な植生の回復実現に適している。しかも、柵工用の資材として大量の竹を用いるので、竹資源の有効活用、放置竹林の減少に大きく寄与できる。
【0024】
図5は本発明の第2実施形態を示すもので、斜面1に施工した柵7の一部に、縦方向に延びる断面略U字形の水路8を設けたものである。この水路8は地山に降った雨水等を集めて縦方向に流下させるものである。
【0025】
水路8の施工には種子入りの植生シート付き竹製網16を用いる。種子入りの植生シート付き竹製網16は、第1実施形態と同様に、多数本の割竹13を縦に並べて複数本の紐14で互いに結合してなる竹製網11’の背面に種子入り植生シート12’を接着剤等で一体に貼り付けて構成される。まず、斜面1に施工した柵7の一部に縦方向に延びるU字溝17を掘削し、竹製網11’の割竹13の長手方向を溝方向に合わせて、植生シート付き竹製網16をU字溝17内に湾曲配置し、植生シート付き竹製網16の、U字溝17内の中央部およびU字溝17から左右に出る両側部を杭18で斜面1に固定する。
【0026】
施工後、水路8は、植生シート付き竹製網16の種子入り植生シート12’から種子が発芽し、竹製網11’の各隙間d’から草花が成長する。柵7に施工した種子入り植生シート付き竹製網10から成長する草花等とともに斜面1全体の早期緑化が図られる。
【0027】
図6は、本発明の第3実施形態を示すもので、本実施形態では、水路8に、割竹13の長手方向を溝方向と直交する横方向に固定した植生シート付き竹製網16’が張設されている。この場合、割竹13をU字溝17の形状に合わせてU字形に湾曲させ、杭18でU字溝17に固定する。水路8の流下方向に対し割竹13の長手方向を直交する方向に固定するので、降雨時など水の流下速度を各割竹13が段階的に抑制する作用を発揮し、またこれにより種子入り植生シート12’に含まれる種子が勢いのある水で流される事態を防ぐことができる。よって、水路8に効果的に早期植生を図ることができる。
【0028】
図7は本発明の第4実施形態を示すもので、図中、前記実施形態と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0029】
本実施形態では、図7(A)に示すように、斜面1’に対し階段状に段9を設ける(図示例の段9の高さは約0.6m)。そして、各段9の上面9Aの奥方に位置するとともに、上段の段9の前面9Bとの間に少しの背後空間S’を残して、杭木2を打ち込む。杭木2は、斜面1’の横方向に所定の間隔をあけて一方の端から他方の端まで順次打ち込む(図示例の打ち込み量約0.9m、斜面1’からの杭木2の突出量約0.6m、杭木2間の間隔約0.75m)。
【0030】
次に、前記実施形態と同様にして、横方向に隣接する杭木2に対し、種子無しの植生シート付き竹製網20を、割竹13を湾曲させながら、地山側、反地山側、地山側と順に交互に杭木2間に通過させるように上から落とし込み、これにより種子無しの植生シート付き竹製網20を横方向に隣接する杭木2に固定する。その後、図7(B)から図7(C)に示すように、植生シート付き竹製網20の背後空間S’に土を埋め戻す。植生シート付き竹製網20は、前記実施形態で用いた割竹13及び紐からなる竹製網21の背面に種子無し植生シート22を接着剤等で貼り付けたものである。種子無し植生シート22としては、椰子マットなどがある。
【0031】
次に、各段9の上面に苗木5を植生し、図7(D)に示すように、竹製網21の前方から隙間を通して、草木類の株23を種子無し植生シート22に対し植生する。草木類の株23としてはススキや萱などを用いる。竹製網21の背面の種子無し植生シート22に対し草木の株23を容易に根付かせることができるし、背後の土が竹製網21の隙間からこぼれることを種子無し植生シート22が防ぐ役割をする。
【0032】
施工後は、竹製網21の各隙間から草木類の株23が成長し、同時に盛土6上の苗木5も成長し、斜面1’全体の早期緑化が図られ、斜面1’の土留めも図られる。
【0033】
上記実施形態で用いた竹製網は、防風柵の構成材としても用いることができる。図8に防風柵の例を示す。
【0034】
図8に示す防風柵30は、海岸地帯や畑作地の地面に木製、鉄骨製、プラスチック製(擬木仕様)の柱31を横一列に所定間隔で立設し、各柱31に横木32を上下2列にボルト等で固定し、横木32に竹製網33を被覆鉄線等で取り付ける。竹製網33は、多数本の割竹34を紐35で順次連結してなるものである。
【0035】
かくして、本発明によれば、植生シート付き竹製網を用い、熟練した技術や特殊な技術を要することなく、地山の斜面に簡単に柵工や土留工を施工するとともに早期の植生緑化を図り、経済性および施工性に優れ、環境保全に優れる保護工法を提供することができる。また、防風柵としても応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る植生シート付き竹製網を用いた斜面緑化保護工法は、地山の斜面の柵工、土留工などの工法として、幅広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る工法により斜面に施工された柵工の例を示す断面図、
【図2】(A)は本発明の工法に用いる竹製網の正面図、(B)は植生シート付き竹製網の側面図、(C)は植生シート付き竹製網を巻回状にした側面図、
【図3】(A)乃至(D)は本発明の工法により地山の斜面に柵工を施工する手順を示す説明図、
【図4】(A)は斜面に打ち込まれた横一列の杭木に植生シート付き竹製網を落とし込んだ状態を示す平面図、(B)はその正面図、
【図5】本発明の第2実施形態を示すもので、(A)は図1に示す柵工の一部に水路を設ける例を斜面のやや斜め方向下向きに見た状態を示す正面図、(B)は(A)におけるA−A線矢視断面図、
【図6】本発明の第3実施形態を示すもので、(A)は図1に示す柵工の一部に水路を設ける例を斜面のやや斜め方向下向きに見た状態を示す正面図、(B)は(A)におけるB−B線矢視断面図、
【図7】本発明の第4実施形態を示すもので、(A)乃至(D)は本発明の工法により地山の斜面に柵工を施工する手順を示す説明図、
【図8】本発明に用いる植生シート付き竹製網の応用例を示すもので、防風柵の例を示す正面図、
【図9】従来の柵工を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1,1’ 斜面
2 杭木(丸太)
3,32 横木
4 鉄線
5 苗木
6 盛土
7 柵
8 水路
9 段
9A 段の上面
9B 段の前面
10,16,20 植生シート付き竹製網
11,11’,21,33 竹製網
12,12’ 種子入り植生シート
13,34 割竹
14,35 紐
15 草花
17 U字溝
18 杭
22 種子無し植生シート
23 草木類の株
30 防風柵
31 柱
d,d’ 割竹間の隙間
S,S’ 背後空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の長尺な割竹を所定隙間を保持しながら複数の紐で順次連結して竹製網を得るとともに、同竹製網の背面に可撓性のある種子入りまたは種子無しの植生シートを貼り付けて植生シート付き竹製網を得る第1の工程と、地山の斜面に数段に亘り横一列に所定間隔を開けて杭木を打ち込む第2の工程と、地山の斜面に運搬した植生シート付き竹製網を、その割竹の向きを横方向に固定するとともに、各割竹を湾曲させて1本または複数本の杭木ごとに交互に杭木の地山側または反地山側を通過させるようにして杭木間に落とし込む第3の工程と、杭木間に落とし込んだ植生シート付き竹製網の背後空間に盛土する第4の工程と、を有することを特徴とする植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法。
【請求項2】
第1の工程において、紐の撚り数を調整することにより、割竹間の隙間寸法を調整することを特徴とする請求項1記載の植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法。
【請求項3】
杭木間に落とし込まれた割竹の隙間を通してその前方側から草木類の株をその背後の植生シートに植設する第5の工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法。
【請求項4】
横一列の杭木間の一部に斜面の縦方向に延びる断面U字形の水路用溝を掘削し、同水路用溝の表面に植生シート付き竹製網を張設する第6の工程を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法。
【請求項5】
第6の工程において、前記水路用溝の表面に、割竹の向きを横方向に固定する形で植生シート付き竹製網を張設することを特徴とする請求項4に記載の植生シート付き竹製網を用いた地山斜面の緑化保護工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−52420(P2011−52420A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201205(P2009−201205)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(305050188)
【Fターム(参考)】