説明

検体に含まれる被測定物質の測定方法および該測定方法に用いられる試薬キット

【課題】免疫凝集法を測定原理とする測定法において、検体に含まれる測定干渉物質の影響を受けずに、被測定物質を正確に測定する方法を提供すること。
【解決手段】検体に含まれる被測定物質を測定するための本発明の方法は、(a)該検体に、緩衝剤を含む第1試薬、および該被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合された微小粒子を含む第2試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程;(b)該検体に、(b1)該緩衝剤および特異的結合物質を含む第3試薬、および微小粒子を含む第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程であって、この場合、該第4試薬が、該第2試薬と同じであってもよい、工程、あるいは(b2)該第1試薬、および該第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程であって、この場合、該第4試薬が、該第2試薬と異なる、工程;および(c)該工程(a)で得られる吸光度変化と、該工程(b)で得られる吸光度変化との差を求める工程;を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体に含まれる被測定物質を測定する方法、および該測定方法に用いられる試薬キットに関する。より詳細には、検体に含まれるヘリコバクター属細菌抗原を、該抗原に特異的に結合する物質(例えば、抗体)を用いて凝集反応(例えば、免疫凝集反応)により測定する方法、および該測定方法に用いられる試薬キットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘリコバクター属細菌について、疾患との関連性が明らかにされつつある。例えば、ヘリコバクター・ピロリと胃炎との関連性、ヘリコバクター・ヘパティカスと肝臓癌との関連性、ヘリコバクター・ビリスと肝疾患との関連性、およびヘリコバクター・ハイルマニーと胃粘膜障害との関連性が示唆されている。
【0003】
上記ヘリコバクター・ピロリは、体長5μm程度のらせん型をしたグラム陰性菌であり、微好気性条件下で生育可能である。1983年にJ. Robin WarrenとBarry J. Marshallとによって発見され、それ以来、多くの研究が進められている。ヘリコバクター・ピロリは、ヒトに感染すると、強酸性下の胃粘膜上皮に定着することが知られている。すなわち、菌表面に産生されたウレアーゼによって、胃粘膜液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素とに分解し、このアンモニアにより胃液(胃酸)を局所的に中和することによって生育可能な環境にする。胃粘膜上皮に定着すると、胃壁の萎縮が進み、慢性胃炎を引き起こし、重篤の場合には、消化性潰瘍あるいは胃癌へと進行し得る。
【0004】
ヘリコバクター・ピロリと消化性潰瘍との因果関係は、例えば、非特許文献1から明らかにされている。非特許文献1には、消化性潰瘍において問題となる治療後の再発が、ヘリコバクター・ピロリの除菌により防止されることが開示されている。他方、ヘリコバクター・ピロリ感染と胃癌羅患との関連性については、例えば、2006年厚生労働省研究班により、ヘリコバクター・ピロリ感染によって胃癌のリスクが5〜10倍に増加することが示されている(非特許文献2)。
【0005】
このような背景から、胃癌のリスクマーカーあるいはヘリコバクター・ピロリ除菌後の成否判定マーカーとして、ヘリコバクター・ピロリ感染診断が重要であることは疑いがない。現在、ヘリコバクター・ピロリ感染診断法としては、迅速ウレアーゼ試験法、鏡検法、培養法、13C尿素呼気試験法、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体測定法、および便中ヘリコバクター・ピロリ抗原測定法などが行われている。上記迅速ウレアーゼ試験法、鏡検法、および培養法は、医師によって採取された生体組織を検体とする侵襲的検査である。さらに、ウレアーゼ試験法は、偽陰性を含むことが多く、他法と組み合わせて測定する必要がある。上記13C尿素呼気試験は、検査薬の服用後、呼気を回収し特殊な装置で測定を行うことから人件費、設備費などの点で高コストとなる。さらに、胃潰瘍の治療薬であるプロトンポンプインヒビター系薬剤により測定結果が影響を受け得るため、早期の除菌判定には不向きである。上記抗ヘリコバクター・ピロリ抗体測定法は、抗体の体内残存性を考慮すると、除菌から長期間経過した後でなければ正確な除菌判定ができないため、これも早期の除菌判定には不向きである。
【0006】
上記ヘリコバクター・ピロリ感染診断法の中で、便中ヘリコバクター・ピロリ抗原測定法は、非侵襲であるため幼児にも適用できること、さらには早期除菌判定に有効であることなどの点から、他法と比較して優れた利便性を有する。現在、免疫学的測定法の中で、この測定法に該当する方法は、例えば、抗ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を利用したELISA法、簡易的イムノクロマト法である。しかし、上記ELISA法は、便検体のサンプリングから、繰り返し洗浄工程を行う必要があるため、酵素標識抗体や基質を添加する工程を含めると、結果を得るまでに最低でも1時間を必要とする。また、上記簡易的イムノクロマト法は、臨床現場で迅速に判定できる反面、マニュアル操作で行われるため、検体の取り違えが生じる場合があり、さらに大量の検体処理には不向きである。
【0007】
ところで、現在のところ、ヘリコバクター・ピロリ抗原の測定以外の方法として、免疫学的凝集法が利用されており、その測定試薬が普及している。この測定試薬は、生化学自動分析装置および便潜血自動分析装置などの専用機器などに搭載され、病院内の検査室、または検査センターなどの施設で使用されている。
【非特許文献1】van der Hulst RWら、ガストロエンテロロジー(Gastroenterology)、1997年、第113(4)巻、第1082頁〜第1086頁
【非特許文献2】Sasazuki Sら、カンサー・エピデミオロジー,バイオマーカーズ・アンド・プリベンション(Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention)、2006年、第15巻、第1341頁〜第1347頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヘリコバクター・ピロリ感染診断法の中で、大量検体の処理が可能であり、かつ迅速に測定できる測定法は存在しておらず、より簡便な測定法の開発が望まれている。そこで、本発明者らは、免疫凝集法を測定原理とする便中ヘリコバクター・ピロリ抗原測定法に使用できる試薬の開発に取り組んできたところ、便検体の中には、抗原以外にも、非特異的に凝集し得る物質(測定干渉物質)が含まれているため、現在の免疫凝集法による抗原測定法をそのまま採用すると、測定干渉物質も含めて測定されることを見出した。したがって、より正確な測定を行うためには、現在の免疫学的測定法のさらなる改良が必要である。
【0009】
したがって、本発明の目的は、免疫凝集法を測定原理とする測定法において、検体に含まれる測定干渉物質の影響を受けずに、被測定物質を正確に測定する方法および該方法に用いられる測定試薬、例えば、便検体中のヘリコバクター抗原を正確に測定する方法および該方法に用いられる測定試薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、検体に含まれる測定干渉物質のみを、微小粒子と凝集反応させて、その吸光度変化(バックグラウンド)を測定し、得られるバックグラウンド値を、従来の凝集法により得られた値から差し引くことによって、該測定干渉物質による弊害を除去できることを見出した。免疫凝集法において、このようなバックグラウンド補正を行う工程を用いることは全く知られておらず、本発明において初めて見出されたものである。
【0011】
本発明は、検体に含まれる被測定物質を測定する方法を提供し、該方法は、(a)該検体に、緩衝剤を含む第1試薬、および該被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合された微小粒子を含む第2試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程;(b)該検体に、(b1)該緩衝剤および特異的結合物質を含む第3試薬、および微小粒子を含む第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程であって、この場合、該第4試薬が、該第2試薬と同じであってもよい、工程、あるいは(b2)該第1試薬、および該第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程であって、この場合、該第4試薬が、該第2試薬と異なる、工程;および(c)該工程(a)で得られる吸光度変化と、該工程(b)で得られる吸光度変化との差を求める工程を包含する。
【0012】
ある実施態様においては、上記検体は、便である。
【0013】
ある実施態様においては、上記被測定物質は、ヘリコバクター属細菌抗原である。
【0014】
ある実施態様においては、上記ヘリコバクター属細菌抗原は、ヘリコバクター・ピロリ、ヘリコバクター・ビリス、ヘリコバクター・ハイルマニー、およびヘリコバクター・ヘパティカスからなる群より選択される少なくとも1種のヘリコバクター属細菌の抗原である。
【0015】
ある実施態様においては、上記特異的結合物質は、前記被測定物質に対する抗体である。
【0016】
ある実施態様においては、上記特異的結合物質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。
【0017】
ある実施態様においては、上記微小粒子は、ラテックス粒子または金属コロイド粒子である。
【0018】
ある実施態様においては、上記金属は、金、銀、銅、鉄、白金、およびパラジウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属である。
【0019】
本発明はまた、上記方法に用いられる試薬キットを提供し、該試薬キットは、緩衝剤を含む第1試薬;被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合された微小粒子を含む第2試薬;ならびに該緩衝剤と特異的結合物質とを含む第3試薬および微小粒子を含む第4試薬からなる群より選択される少なくとも1種の試薬を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法によれば、測定干渉物質を含む検体(例えば、便検体)においても、測定干渉物質による弊害を受けずに、目的の被測定物質(例えば、便検体中のヘリコバクター・ピロリ抗原)をより正確に測定することができる。本発明の方法は、反応液の分離や洗浄操作を行わない凝集法であるため、検査の自動化が容易である。
【0021】
さらに、本発明の方法は、便潜血検査で使用されている採便容器(例えば、アルフレッサファーマ株式会社製の採便容器A)によって採便された便検体をそのまま使用することが可能であり、便潜血自動分析装置に搭載し、さらに迅速に便検体中のヘリコバクター・ピロリ抗原を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
検体に含まれる被測定物質を測定するための本発明の方法は、
(a)該検体に、緩衝剤を含む第1試薬、および該被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合された微小粒子を含む第2試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程、
(b)該検体に、(b1)該緩衝剤および特異的結合物質を含む第3試薬、および微小粒子を含む第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程であって、この場合、該第4試薬が、該第2試薬と同じであってもよい、工程、あるいは(b2)該第1試薬、および該第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程であって、この場合、該第4試薬が、該第2試薬と異なる、工程、および
(c)該工程(a)で得られる吸光度変化と、該工程(b)で得られる吸光度変化との差を求める工程
を包含する。
【0023】
従来の免疫凝集法を測定原理とする抗原測定法においては、上記特異的物質が結合された微小粒子を用いて凝集反応が行われる。図1は、従来の免疫凝集法の測定原理を示す模式図である。検体に、特異的結合物質が結合された微小粒子を添加すると凝集が生じる。図1に示すように、検体に含まれる被測定物質のみが、微小粒子に結合した特異的結合物質と特異的に結合して凝集し、それによって引き起こされる吸光度変化(図1で白丸から黒丸への変化として示す。以下の図についても同様である。)を測定して被測定物質を測定する。しかし、検体は、被測定物質以外にも微小粒子と凝集反応を引き起こす物質(測定干渉物質)が含まれ得、例えば、図2に示すように、測定干渉物質と共に凝集する結果、被測定物質を正確に測定することが困難になる場合がある。
【0024】
本発明においては、測定干渉物質による弊害を除去するために、従来の測定方法と同じ操作である(a)工程に加えて、測定干渉物質のみを微小粒子と凝集反応させて、その吸光度変化を測定する(b)工程、すなわち、バックグラウンドを測定する工程を行う。この(b)工程は、代表的には、図3に示すように、検体にまず、微小粒子に結合していない特異的結合物質(第3試薬)を添加して、被測定物質と、この特異的結合物質とを予め結合させておき、次いで、微小粒子(第4試薬)を添加する((b1)工程)ことによって行われる。これによって、被測定物質は、予め特異的結合物質のみと結合しているため、第4試薬に含まれる微小粒子とは結合しない。その結果、微小粒子は、測定干渉物質とのみ凝集する。したがって、上記(b)工程の凝集反応によって得られる吸光度変化と、該(a)工程での吸光度変化との差を求めること((c)工程)によって、測定干渉物質による弊害を受けずに、被測定物質をより正確に測定することができる。
【0025】
(検体)
本発明の方法に供される検体は、目的の被測定物質が存在し得るものであればよく、特に制限されない。固体および液体のいずれであってもよい。例えば、便、消化液(唾液など)などの生体試料が用いられる。好ましくは各種動物の便、より好ましくはヒトの便である。なお、便を検体として使用する場合、便潜血検査に用いられる採便容器にて採取した便を転用可能である。このため、例えば、便潜血検査において、再度便を採取することなく、ヘリコバクター・ピロリの感染検査も付随して行うことができるという利点を有する。
【0026】
上記検体に含まれる被測定物質は、凝集法、好適には免疫凝集法により測定可能な物質であればよい。通常、抗原が被測定物質として採用される。本発明においては、好ましくはヘリコバクター属細菌抗原(例えば、ヘリコバクター・ピロリ抗原、ヘリコバクター・ビリス抗原、ヘリコバクター・ハイルマニー抗原、およびヘリコバクター・ヘパティカス抗原)であり、より好ましくはヘリコバクター・ピロリ抗原である。
【0027】
(第1試薬)
本発明の方法に使用される第1試薬は、緩衝剤を含み、必要に応じて、塩、凝集促進剤、その他の成分などを含み得る。この第1試薬は、pHの維持のため、あるいは検体を希釈する目的で用いられる。
【0028】
緩衝剤は、被測定物質の種類に応じて適宜選択される。例えば、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、コハク酸緩衝液、グリシルグリシン、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、HEPES(N−2−ヒドロキシエチル−ピペラジン−N’−エタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸))などのグッド緩衝液が好適に用いられる。緩衝剤のpHは、例えば、2〜10である。緩衝剤の使用濃度は、終濃度で、好ましくは10〜400mM、より好ましくは50〜200mMである。
【0029】
塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機塩が挙げられる。これらは、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。これらの無機塩類の第1試薬中の濃度は、例えば、終濃度で1〜20質量/容量%である。
【0030】
凝集促進剤は、測定感度を高める目的で含まれ得る。凝集促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ポリアクリル酸、プルランなどの水溶性高分子が挙げられる。これらの水溶性高分子の平均分子量は、5,000〜500,000程度であることが好ましい。凝集促進剤の濃度は、終濃度で0.2〜12質量/容量%である。
【0031】
第1試薬に含まれ得るその他の成分としては、例えば、トリトンX−100などの界面活性剤、DTT、チオグリセロールなどのSH試薬、動物血清、アジ化ナトリウム、有機酸類、糖類、アミノ酸類、EDTAなどのキレート剤、各種動物由来のアルブミンなどが挙げられる。これらの成分の濃度は当業者により適宜決定される。
【0032】
(第2試薬)
本発明の方法に使用される第2試薬は、被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合された微小粒子を含み、必要に応じてその他の成分を含み得る。この第2試薬は、例えば、特異的結合物質が結合された微小粒子を第1試薬に用いる緩衝剤に添加することによって得られる。
【0033】
被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質としては、例えば、上記被測定物質に対する抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)あるいは抗原、レセプター、レクチンなどの特異的結合親和性を有する物質が挙げられる。例えば、被測定物質がヘリコバクター・ピロリ抗原の場合、特異的結合物質はヘリコバクター・ピロリ抗体である。
【0034】
特異的結合物質が結合される微小粒子は、免疫測定試薬として通常使用され得る微小粒子であればよく、好ましくはラテックス粒子および金属コロイド粒子である。金属コロイド粒子としては、金、銀、銅、鉄、白金、パラジウム、またはこれらの混合物(金−白金、金−銀、鉄−白金、パラジウム−白金などの混合物)が用いられる。中でも金コロイド粒子が、一般的に利用され易いため、好ましく用いられる。これらの金属コロイド粒子は、市販品を用いてもよいし、当業者が通常用いる方法により調製してもよい。金属コロイド粒子の粒径は、通常5nm〜100nm、好ましくは30nm〜60nmの範囲である。
【0035】
上記特異的結合物質が結合された微小粒子は、上記微小粒子に、上記特異的結合物質を当業者が通常用いる方法により結合させるかまたは吸着させることによって得られる。例えば、調製金コロイド粒子溶液(540nmにおける吸光度が約2.0)1Lに対して、通常、0.1〜100mg、好ましくは0.5〜20mgの特異的結合物質(例えば、抗体)を添加し、冷蔵または室温下で5分〜24時間撹拌する。次いで、牛血清アルブミン(BSA)などでブロッキングし、遠心分離などを行うことにより、特異的結合物質が結合された目的の感作金コロイド粒子を得ることができる。得られた感作金コロイド粒子は、測定に必要な濃度となるように緩衝液に分散させる。緩衝液のpHは、通常4.5〜9.5、好ましくは5.5〜8.5の範囲である。第2試薬中での特異的結合物質が結合された微小粒子の濃度は、例えば、終濃度で0.025〜0.5質量/容量%である。
【0036】
上記第2試薬に含まれ得るその他の成分としては、例えば、第1試薬に用いられ得る成分が適宜用いられる。これらの成分の濃度は当業者により適宜決定される。
【0037】
(第3試薬)
本発明の方法に使用される第3試薬は、緩衝剤および特異的結合物質を含み、必要に応じてその他の成分を含み得る。緩衝剤は、第1試薬で例示した緩衝剤を用いることができる。特異的結合物質は、検体中に含まれる被測定物質に特異的に結合することによって、被測定物質が微小粒子とともに凝集されることを防止する。したがって、第3試薬に用いられる特異的結合物質は、微小粒子に結合されていない。この特異的結合物質は、例えば、第2試薬で例示した特異的結合物質を用いることができる。第3試薬中での特異的結合物質の濃度は、例えば、終濃度で1〜100μg/mLである。その他の成分としては、第1試薬で用いられる緩衝剤以外の成分を適宜用いることができる。
【0038】
第3試薬は、例えば、上記特異的結合物質を緩衝剤に添加することによって得られる。
【0039】
(第4試薬)
本発明の方法に使用される第4試薬は、微小粒子を含み、必要に応じてその他の成分を含み得る。この微小粒子は、第2試薬に含まれる特異的結合物質が結合されるべき微小粒子として用いられるものと同じ微小粒子が用いられる。
【0040】
第4試薬において、微小粒子は、被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合されていても結合されていなくてもよい。特異的結合物質が結合されていない微小粒子は、そのままであってもよく、あるいは特異的結合物質以外の物質(例えば、測定干渉物質に特異的に結合する物質)などが結合された微小粒子であってもよい。ただし、本発明の方法の工程(b)において、第1試薬を用いる場合(b2)では、第4試薬の微小粒子として、特異的結合物質が結合された微小粒子を用いること(すなわち、第2試薬を用いること)は避けるべきである。なぜなら、第1試薬と第2試薬とを用いる工程(a)と実質的に同じになり、測定干渉物質のみを凝集させる工程(b)の目的が達成されないからである。
【0041】
第4試薬中での微小粒子の濃度は、例えば、終濃度で0.025〜0.5質量/容量%である。
【0042】
上記第4試薬に含まれ得るその他の成分としては、例えば、第1試薬に用いられ得る成分が適宜用いられる。これらの成分の濃度は当業者により適宜決定される。
【0043】
(本発明の測定方法)
検体に含まれる被測定物質を測定するための本発明の方法は、(a)該検体に、上記第1試薬、および上記第2試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程、(b)該検体に、(b1)上記第3試薬、および上記第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程、あるいは(b2)該第1試薬、および該第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程、および(c)該工程(a)で得られる吸光度変化と、該工程(b)で得られる吸光度変化との差を求める工程を包含する。
【0044】
工程(a)では、当業者が通常用いる凝集反応が行われる。例えば、免疫比濁法、免疫凝集法(ラテックス凝集法、金属コロイド凝集法など)などが挙げられる。反応液の分離、洗浄操作などを行う必要がなく、検査の自動化が容易な免疫凝集法が好ましく、特にラテックス凝集法または金属コロイド凝集法が望ましい。例えば、金コロイド凝集法の場合、予め金コロイドと結合させた標識抗体(または標識抗原)が、被測定物質である抗原(または抗体)を介して凝集する。その際に生じる色差(色調変化)を光学的に測定し、抗原量または抗体量が測定される。工程(a)はまた、直接的に被測定物質を検出する方法、あるいは被測定物質とその競合物質とを共存させて競合免疫反応を検出することにより間接的に被測定物質を検出する方法のいずれの方法を用いてもよい。
【0045】
上記工程(a)は、具体的には、以下のようにして行われる(図2を参照のこと):まず、検体100容量部に対して、第1試薬25〜400容量部を添加して37℃にて0.5〜5分間保持する。次いで、第2試薬25〜400容量部を添加して混合し、37℃にて3〜15分間保持しながら、被測定物質と特異的結合物質が結合された微小粒子との特異的凝集による吸光度を主波長(530〜570nm)および副波長(600〜800nm)の二波長もしくは主波長(530〜570nm)のみの一波長で2回以上測定し、吸光度変化量を求めることによって行われる。この吸光度変化量は、その後、既存の被測定物質(例えば、ヘリコバクター・ピロリ抗原)を標準物質として検量線を作成し、その濃度(ヘリコバクター抗原濃度)に換算してもよい。
【0046】
例えば、便中ヘリコバクター・ピロリ抗原の免疫学的測定法では、被測定物質である便中ヘリコバクター抗原と、それに対応する免疫学的パートナーであるヘリコバクター・ピロリ抗原に対する抗体との間の免疫反応を利用する。便検体を、ヘリコバクター・ピロリ抗原に対応する免疫学的パートナー(ヘリコバクター・ピロリ抗体)を含む反応用試薬と合わせて(競合法の場合は、さらにヘリコバクター・ピロリ抗原と競合する物質を含む反応用試薬と合わせて)、反応液を生成し、反応液中での免疫学的反応による変化または生成物の量を測定し、該便検体中に含まれるヘリコバクター・ピロリ抗原の量を測定する。測定手段としては、光学的手段が好適に用いられ得る。
【0047】
検体中の被測定物質の量(通常、濃度)は、上記光学的手段において、検体と反応用試薬を合わせて反応液を生成し、反応液中で起こる免疫学的反応に伴う吸光度変化の大きさから被測定物質の存在量に換算する。ここで示す測定値は吸光度変化の大きさを示し、相対的な被測定物質量とする。しかし、換算方法はこれに限定されるものではなく、例えば、既存のヘリコバクター抗原を標準物質として検量線を作成し、ヘリコバクター抗原濃度に換算することも可能である。
【0048】
上記工程(b)は、検体中に含まれる測定干渉物質のみを微小粒子と共に凝集反応させる工程である。この工程(b)により、工程(a)で得られる値のバックグラウンドが測定される。上記工程(b)は、特異的結合物質を用いるか否かの観点から、特異的結合物質を含む第3試薬と、第4試薬とを順次添加する工程(b1)と、特異的結合物質を含まない第1試薬と、第4試薬とを順次添加する工程(b2)工程とに分けられる。検体中に含まれる全ての被測定物質を、予め大量の特異的結合物質に結合させて捕捉し、後に添加する微小粒子(特に特異的物質を結合させた微小粒子)と凝集が起きないようにすることによって、被測定物質と微小粒子との凝集反応を起こすことをより確実に排除することができる点で、特異的結合物質を含む第3試薬を用いる工程(b1)が好ましい。さらに工程(b1)および工程(b2)は、それぞれ、第4試薬に含まれる微小粒子の種類に応じて種々の実施態様を採り得る。以下、工程(b)の具体的な実施態様を示す。なお、工程(b2)においては、上述のように、微小粒子として特異的結合物質が結合された微小粒子を用いない。
【0049】
上記工程(b)の第1の実施態様を図3に示す。この実施態様においては、第3試薬として特異的結合物質を含む試薬、第4試薬として微小粒子を含む試薬がそれぞれ採用される。例えば、まず、検体100容量部に対して、第3試薬25〜400容量部を添加して37℃にて0.5〜5分間保持する。これによって、検体中に含まれる被測定物質と、特異的結合物質とが結合する。次いで、第4試薬25〜400容量部を添加して混合し、37℃にて3〜15分間保持する。検体中に含まれる被測定物質は、既に特異的結合物質と結合されており、さらに第4試薬中の微小粒子は特異的結合物質を有していないため、被測定物質と、微小粒子とは凝集反応を起こさない。その結果、上記第4試薬の添加により、微小粒子と測定干渉物質のみとが非特異的に凝集する。
【0050】
上記工程(b)の第2の実施態様を図4に示す。この実施態様は、図3に示す第1の実施態様の変法であり、第4試薬に含まれる微小粒子として、特異的結合物質が結合された微小粒子が用いられる。この場合、検体中に含まれる被測定物質は、第3試薬の添加により既に特異的結合物質と結合しているため、これらは、第4試薬中の特異的結合物質が結合された微小粒子とは凝集反応を起こさない。その結果、上記第4試薬の添加により、特異的結合物質が結合された微小粒子と測定干渉物質のみとが非特異的に凝集する。
【0051】
上記工程(b)の第3の実施態様を図5に示す。この実施態様は、図3に示す第1の実施態様の変法であり、第4試薬に含まれる微小粒子として、特異的結合物質以外の物質(例えば、測定干渉物質に特異的に結合する物質(抗体))などが結合された微小粒子が用いられる。この場合も、被測定物質が予め特異的結合物質と結合しているので、第4試薬の添加により、特異的結合物質が結合された微小粒子と測定干渉物質のみとが非特異的に凝集する。
【0052】
上記工程(b)の第4の実施態様を図6に示す。この実施態様は、第1試薬および第4試薬を用いる態様であり、第4試薬として微小粒子を含む試薬が用いられる。例えば、まず、検体100容量部に対して、第1試薬25〜400容量部を添加して37℃にて0.5〜5分間保持する。次いで、第4試薬25〜400容量部を添加して混合し、37℃にて3〜15分間保持する。第4試薬に含まれる微小粒子は特異的結合物質を有していないため、被測定物質と、微小粒子とは特異的凝集反応を起こさない。その結果、上記第4試薬の添加により、微小粒子と測定干渉物質のみとが非特異的に凝集する。
【0053】
上記工程(b)の第5の実施態様を図7に示す。この実施態様は、図6に示す第4の実施態様の変法であり、第4試薬に含まれる微小粒子として、特異的結合物質以外の物質(例えば、測定干渉物質に特異的に結合する物質)などが結合された微小粒子が用いられる。第4試薬に含まれる微小粒子は特異的結合物質を有していないため、被測定物質と上記微小粒子とは特異的凝集反応を起こさない。その結果、上記第4試薬の添加により、上記微小粒子と測定干渉物質のみとが非特異的に凝集する。
【0054】
次いで、工程(c)において、該工程(a)で得られる吸光度変化と、該工程(b)で得られる吸光度変化との差を求める。これによって、測定干渉物質の凝集反応による測定誤差を排除でき、被測定物質のより正確な測定が可能となる。
【0055】
(本発明の試薬キット)
本発明の試薬キットは、上記緩衝剤を含む第1試薬;上記被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合された微小粒子を含む第2試薬;ならびに上記緩衝剤と特異的結合物質とを含む第3試薬および微小粒子を含む第4試薬からなる群より選択される少なくとも1種の試薬を含む。この試薬キットは、本発明の方法に好適に用いられ、これによって、測定干渉物質の凝集反応による弊害(すなわち、バックグラウンド)を排除することができ、被測定物質のより正確な測定を行うことができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0057】
(参考例:検体の調製)
20検体の各便について、ヘリコバクター・ピロリ抗原の有無を、2種類の市販の便中ヘリコバクター・ピロリ抗原測定キット(イムノカードST HpSA、株式会社テイエフビー社製、およびテストメイト ラピッドピロリ抗原、ベクトンディッキンソン社製)を用いてイムノクロマト法により測定した。測定方法は、添付のプロトコールに従って正確に行った。上記イムノクロマト法により陰性と判定された検体を検体1〜10とし、陽性と判定された検体を検体11〜20とした。結果を表1にまとめて示す。
【0058】
【表1】

【0059】
(実施例1)
以下のようにして、第1試薬〜第3試薬を調製し、上記検体1〜20中のヘリコバクター・ピロリ抗原を測定した。なお、以下において、%は、特に記載がない限り、W/V%を表す。
【0060】
(1)第1試薬の調製
5.0%塩化ナトリウム、3.05%ポリエチレングリコール2000(PEG)、0.05%トリトンX−100、0.002%ジチオトレイトール(DTT)、0.005%1−チオグリセロール、および3.0%ウサギ血清を含む100mM HEPES(pH7.5)を調製し、これを第1試薬とした。
【0061】
(2)第2試薬の調製
95℃の蒸留水1Lに、10%塩化金酸溶液2mLを撹拌しながら加え、さらに2%クエン酸ナトリウム溶液10mLを加えて撹拌した。その後、冷却し、0.1M炭酸カリウム溶液を用いてpH7.1に調節して金コロイド液を得た。
【0062】
抗ヘリコバクター・ピロリポリクローナル抗体(Dako社製)が50μg/mLの濃度となるように、0.05%アジ化ナトリウムを含む10mM HEPES(pH7.1)で希釈した。この希釈液100mLを、上記金コロイド液1Lに加え、冷蔵下で2時間撹拌した。次いで、5.46%マンニトール、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)、および0.05%アジ化ナトリウムを含む10mM HEPES(pH7.1)を110mL添加し、37℃にて90分間撹拌した後、8,000回転で40分間遠心分離し、上清を除去した。得られた抗ヘリコバクター・ピロリポリクローナル抗体結合金コロイドに、3%マンニトール、0.1%BSA、および0.05%アジ化ナトリウムを含む5mM HEPES(pH7.5)(A溶液)を約1L加えて分散させた後、8,000回転で40分間遠心分離し、上清を除去した。そして再度、A溶液に分散させて、抗ヘリコバクター・ピロリポリクローナル抗体結合金コロイドの原液とした。なお、この原液は、精製水で30倍希釈したときに540nmでの吸光度が1.0となるように、抗ヘリコバクター・ピロリポリクローナル抗体結合金コロイドの濃度が調整されている。
【0063】
さらに、この原液をA溶液で3倍希釈して、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体結合金コロイド試薬を調製し、これを第2試薬とした。
【0064】
(3)第3試薬の調製
上記第1試薬に、抗ヘリコバクター・ピロリポリクローナル抗体(Dako社製)を10μg/mLの濃度となるように添加し、ポリエチレングリコール(PEG)で測定感度を適宜調整し、これを第3試薬とした。
【0065】
(4)ヘリコバクター・ピロリ抗原の測定
上記参考例で用いた各便検体(陰性検体1〜10および陽性検体11〜20)をそれぞれ、採便容器(アルフレッサファーマ株式会社製)に採った。各便検体50μLと、第1試薬140μLとを混合し、37℃にて約5分間保持した。次いで、第2試薬50μLを加えて混合し、37℃にて保持しながら、日立7060形自動分析装置により主波長546nmおよび副波長660nmで測光ポイント18から31の2ポイント測定を行って、2ポイント間の吸光度の差を求めた(吸光度変化量1とする)。測定時間は約10分間であった。
【0066】
他方、第1試薬の代わりに、第3試薬を用いたこと以外は、上記と同様の操作を行って吸光度の差を求めた(吸光度変化量2とする)。
【0067】
得られた吸光度変化量1と吸光度変化量2との差(吸光度変化量3)を求めた。結果を表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
表2の結果から明らかなように、陰性検体1〜10の吸光度変化量3は、69〜211の範囲であった。他方、陽性検体11〜20の吸光度変化量3は、313〜596であり、と陰性検体の吸光度変化量3に比べて高い値であった。図8に、これらの吸光度変化量3を、イムノクロマト法により判定された陰性検体と陽性検体とに分けて示す。図8に示すように、陰性検体と陽性検体との吸光度変化量3はオーバーラップしておらず、差が明確であった。このことは、本発明の方法により、ヘリコバクター・ピロリ抗原の有無を、手動で行うイムノクロマト法と同様に正確に判定ができることを示す。
【0070】
他方、吸光度変化量1は、陰性検体では、2363〜3813の範囲であり、陽性検体では、2588〜4519の範囲であった。図9に、これらの吸光度変化量1を陰性検体と陽性検体とに分けて示す。図9に示すように、4つの陰性検体と6つの陽性検体とが、2588〜3813の範囲でオーバーラップしており、差が明らかでないことがわかる。このことは、従来の第1試薬および第2試薬のみを用いる方法では、検体中に含まれる干渉物質により正確な判定ができないことを示す。
【0071】
このように、本発明は、検体中に含まれる測定干渉物質のみを微小粒子と凝集反応させて吸光度変化を測定する工程(b)を含むことによって、工程(a)で得られる値に含まれ得る測定干渉物質によるバックグラウンド値が得られる。したがって、本発明の方法は、バックグラウンド値を除去できるので、干渉物質を含む検体であっても、測定干渉物質の影響を受けずに、目的の被測定物質を正確に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、測定干渉物質を含む検体において、目的の被測定物質のより正確な測定を可能とする。例えば、便中に存在するヘリコバクター・ピロリ抗原を測定するには、便中に含まれる凝集反応に影響する測定干渉物質が大きな障害となっていたが、本発明により正確かつ迅速な測定が可能である。このため、院内の検査室や検査センターなどで広く使用されている自動分析装置および便潜血自動分析装置での測定が可能となり、時間も手間もかからず正確かつ迅速な測定ができるようになる。また、便潜血自動分析装置において、便潜血検査と組み合わせる測定を行うことにより、上部、下部消化管の総合的な検査サービスが可能になると予想される。さらに、ヘリコバクター・ヘパティカス、ヘリコバクター・ビリス、ヘリコバクター・ハイルマニーなどのその他ヘリコバクター属に由来する細菌の検出にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】従来の免疫凝集法の測定原理を示す模式図である。
【図2】本発明の方法における工程(a)、すなわち検体に、特異的結合物質が結合された微小粒子を添加した場合に生じる凝集反応を示す模式図である。
【図3】本発明の方法における工程(b)の第1の実施態様を示す模式図である。
【図4】本発明の方法における工程(b)の第2の実施態様を示す模式図である。
【図5】本発明の方法における工程(b)の第3の実施態様を示す模式図である。
【図6】本発明の方法における工程(b)の第4の実施態様を示す模式図である。
【図7】本発明の方法における工程(b)の第5の実施態様を示す模式図である。
【図8】各検体について、本発明の方法により測定された吸光度変化量を示すグラフである。
【図9】各検体について、本発明の方法の工程(a)工程のみ(すなわち、従来の方法)から測定された吸光度変化量を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体に含まれる被測定物質を測定する方法であって、
(a)該検体に、緩衝剤を含む第1試薬、および該被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合された微小粒子を含む第2試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程;
(b)該検体に、
(b1)該緩衝剤および特異的結合物質を含む第3試薬、および微小粒子を含む第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程であって、この場合、該第4試薬が、該第2試薬と同じであってもよい、工程、あるいは
(b2)該第1試薬、および該第4試薬を順次添加して凝集反応させ、該凝集反応により得られる吸光度変化を測定する工程であって、この場合、該第4試薬が、該第2試薬と異なる、工程;および
(c)該工程(a)で得られる吸光度変化と、該工程(b)で得られる吸光度変化との差を求める工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記検体が、便である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被測定物質が、ヘリコバクター属細菌抗原である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヘリコバクター属細菌抗原が、ヘリコバクター・ピロリ、ヘリコバクター・ビリス、ヘリコバクター・ハイルマニー、およびヘリコバクター・ヘパティカスからなる群より選択される少なくとも1種のヘリコバクター属細菌の抗原である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記特異的結合物質が、前記被測定物質に対する抗体である、請求項1から4のいずれかの項に記載の方法。
【請求項6】
前記特異的結合物質が、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である、請求項1から5のいずれかの項に記載の方法。
【請求項7】
前記微小粒子が、ラテックス粒子または金属コロイド粒子である、請求項1から6のいずれかの項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属が、金、銀、銅、鉄、白金、およびパラジウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法に用いられる試薬キットであって、
緩衝剤を含む第1試薬;
被測定物質に特異的に結合する特異的結合物質が結合された微小粒子を含む第2試薬;ならびに
該緩衝剤と特異的結合物質とを含む第3試薬および微小粒子を含む第4試薬からなる群より選択される少なくとも1種の試薬
を含む、試薬キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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