検体ラック
【課題】試料容器の種類および試料容器の回転有無に関わらず、共通の検体ラックを提供する。
【解決手段】自動分析装置および検体前処理装置に用いる、複数個の試料容器を保持可能な検体ラックに適用するための検体ラック用アダプタであって、検体ラック本体のアダプタ挿入部に挿入して固定するための検体ラック取付部と、前記試料容器を保持するための試料容器位置決め部と、スリーブとを有する。
【解決手段】自動分析装置および検体前処理装置に用いる、複数個の試料容器を保持可能な検体ラックに適用するための検体ラック用アダプタであって、検体ラック本体のアダプタ挿入部に挿入して固定するための検体ラック取付部と、前記試料容器を保持するための試料容器位置決め部と、スリーブとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、アダプタを用いた検体ラックに関する。
【背景技術】
【０００２】
自動分析装置および検体前処理装置においては、液体試料の採取を容易に行うことが効率向上へと繋がるため、試料容器を複数搬送できる検体ラックが必要となっている。
【０００３】
特許文献１には、一種類の試験管支持ラックで異なる大きさの試験管を適切に支持するとともに、各試験管を試験や検査の目的に応じて別個独立に搬送することができる試験管支持ラックを提供することを目的として、円筒状の試験管支持ラック本体を備えた試験管支持ラックにおいて、試験管支持ラック本体の円形断面の中央部に、試験管支持ラックの中心軸と平行に、試験管担持底を備えた試験管挿入穴を形成するとともに、試験管担持底の中央部に、試験管の外形より小さなラック貫通孔を備えた試験管支持ラックが開示されている。
【０００４】
特許文献２には、自動分析装置、検体前処理装置の双方で運用が可能で、かつ各種外形の試料容器に対応可能な検体搬送ラックを提供することを目的として、複数の試料容器を保持可能な検体ラックと、検体ラックの試料容器の挿入口に挿入する、略リング形状のアダプタと、を備え、アダプタは、検体ラックに設けた試料容器の挿入口の内径とほぼ同一の外形を有し、保持する試料容器の外形とほぼ同一の内径を有する試料容器位置決め面と、試料容器位置決め面より内側に突出した試料容器押し付け部とを備えた検体ラックが開示されている。
【０００５】
さらに、試料の特定を行うためにバーコード読み取り装置を備えた自動分析装置がある。この場合、検体ラックが回転してしまうとバーコードの読み取りが行えないため、試料容器の回転を抑制する必要がある。
【０００６】
一方、検体前処理装置においては、バーコードの読み取りを回転させながら行うため、検体ラックを回転させる必要がある。このため、試料容器の大きさおよび試料容器の回転有無に応じた検体ラックが複数存在していた。
【０００７】
【特許文献１】特開平９−１５２４６号公報
【特許文献２】特開２００６−２９２６９６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
上記のように、検体ラックは試料容器の種類および試料容器の回転有無により複数存在している。そのため、自動分析装置や検体前処理装置のユーザは、使用用途に応じて複数の検体ラックを準備する必要があり、コスト面および保管場所の問題が生じていた。
【０００９】
本発明の目的は、試料容器の種類および試料容器の回転有無に関わらず、共通の検体ラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明の検体ラック用アダプタは、自動分析装置および検体前処理装置に用いる、複数個の試料容器を保持可能な検体ラックに適用するための検体ラック用アダプタであって、検体ラック本体のアダプタ挿入部に挿入して固定するための検体ラック取付部と、前記試料容器を保持するための試料容器位置決め部と、スリーブとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、検体ラック本体を１種類にし、検体ラック用アダプタを複数にすることにより、コストを低減することができる。
【００１２】
また、本発明によれば、使用用途に応じて検体ラック用アダプタを複数備えることにより、複数の穴に異なる検体ラック用アダプタの装着が可能となる。これにより、微量しか採取できない高齢者の血液と一般の血液とを同じ検体ラックを用いて行うことが可能となり、作業効率の向上を図ることができる。
【００１３】
さらに、本発明によれば、取り付けおよび取り外しを容易にすることにより、利便性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
本発明は、アダプタを用いた検体ラックに関し、特に、液体試料を用いる尿、生化学、免疫分析を行う自動分析装置および検体前処理装置において、試料容器を複数搬送できる検体ラックにおける、特に試料容器の大きさ、試料容器の回転有無が必要となる検体ラックに関する。
【００１５】
本発明は、検体ラック本体を１種類のみとし、検体ラック本体に挿入するための検体ラック用アダプタを複数にするものである。これにより、試料容器の大きさおよび試料容器の回転有無に応じた検体ラックとなる。また、検体ラック用アダプタを試料容器ごとに異なる重さにすることにより、試料容器によらず、検体ラックの重心を一定とする。さらに、ここで用いる検体ラック用アダプタは、検体ラック本体への取り付けおよび取り外しを容易にしてある。専用工具を使用することにより、更に容易に取り外すことも可能となる。
【００１６】
以下、本発明による実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【００１７】
図１は、本発明による検体ラックに試料容器が挿入された状態を示す斜視図である。
【００１８】
本実施例の検体ラック本体１には、直径１６ｍｍ試料容器２、直径１３ｍｍ試料容器３および微量試料容器４が挿入されている。検体ラック本体１は、長さ１２０ｍｍ、幅２０ｍｍ、高さ７０ｍｍの直方体である。また、直径１６ｍｍ試料容器２および直径１３ｍｍ試料容器３には、試料判別を行うためのバーコード５が貼られている。
【００１９】
本発明は、これらの寸法に限定されるものではない。また、本図においては、検体ラック本体１に設置可能な試料容器の本数が５本となっているが、これに限定されるものでもない。また、試料容器の配列も上記実施例に限定されるものではない。
【００２０】
図２は、直径１６ｍｍ試料容器２、直径１３ｍｍ試料容器３および微量試料容器４を検体ラック本体１に挿入する際に使用する検体ラック用アダプタおよび検体ラック本体１を示したものである。
【００２１】
検体ラック用アダプタは、略リング形状であるが、側面が完全に閉じているものではなく、側面の一部が開いている。これにより、試料容器の側面に貼付されたバーコードなどが読み取り可能となっている。ここで、検体ラック用アダプタの側面が一部開いた形状をＣ字形状と呼ぶことにする。
【００２２】
また、検体ラック用アダプタは、使用する試料容器の大きさおよび試料容器の回転の有無により異なり、回転抑制用アダプタ６、回転用アダプタ７および微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８より構成され、検体ラック本体１の５箇所の穴に自由に挿入することが可能である。回転抑制用アダプタ６、回転用アダプタ７および微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８は、検体ラック本体１のアダプタ挿入部９より挿入する。
【００２３】
さらに、検体ラック用アダプタの内径は、試料容器の外径よりも若干小さくしてあるが、ほぼ等しい。これにより、検体ラック用アダプタに設置した試料容器が振動等により破損することを防止している。
【００２４】
図３は、本発明による実施例の検体ラック用アダプタを挿入した検体ラックを示す斜視図である。図４Ａは、本発明による実施例の試料容器回転抑制用アダプタを示す斜視図であり、図４Ｂは、その上面図である。図５Ａは、本発明による実施例の試料容器回転用アダプタを示す斜視図であり、図５Ｂは、その上面図である。図６Ａは、本発明による実施例の微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタを示す上方斜視図である。図６Ｂは、その下方斜視図である。
【００２５】
図４Ａおよび４Ｂに示すように、回転抑制用アダプタ６は、アダプタ中間部に試料容器の回転を抑制する試料容器押し付け部１２を有する。本実施例では、４箇所で試料容器を押し付けている。これにより、試料容器を固定して回転を抑制することができるようになっている。また、試料容器押し付け部１２および試料容器位置決め部１３によって試料容器を保持している。試料容器は、図２に示すアダプタ挿入部９の上面に対して垂直に保持されることが望ましいが、これに限定されるものではない。さらに、検体ラック本体１および回転抑制用アダプタ６は、検体ラック取付部１４を図２に示すアダプタ挿入部９に挿入し、取り付ける（固定する）。
【００２６】
本実施例においては、検体ラック取付部１４を回転抑制用アダプタ６の上部４箇所に設けている。これにより、回転抑制用アダプタ６が検体ラック本体１に確実に固定される。検体ラック取付部１４は、検体ラック本体１に挿入する際、下端部が検体ラック本体１に引っかからないようにテーパを設けている。
【００２７】
また、本実施例においては、回転抑制用アダプタ６にスリーブ１０１を設けてあり、ユーザが回転抑制用アダプタ６を検体ラック本体１に安全かつ容易に挿入して取り付けることができるようになっている。スリーブ１０１の下端の外周部には、テーパが設けてある。これにより、回転抑制用アダプタ６を検体ラック本体１に挿入する際、回転抑制用アダプタ６と検体ラック本体１との間に隙間を生じさせて挿入を容易にしている。
【００２８】
さらに、スリーブ１０１には、２箇所のつまみ１０２が設けてあり、つまみ１０２の下端部にテーパを設けてある。このテーパと検体ラック本体１との間に隙間を生じさせ、この隙間にピンセット状の治具を挿入して２箇所のつまみ１０２を挟むことにより、回転抑制用アダプタ６を検体ラック本体１から安全かつ容易に取り外すことができるようになっている。
【００２９】
図５Ａおよび５Ｂに示すように、回転用アダプタ７は、試料容器位置決め部１３で試料容器を保持している。回転用アダプタ７の取り付けについては、図４Ａおよび４Ｂに示した回転抑制用アダプタ６と同様である。スリーブ１０１およびつまみ１０２についても、図４Ａおよび４Ｂに示した実施例と同様である。
【００３０】
本実施例では、試料容器を回転可能とするため、回転用アダプタ７は、図４Ａおよび４Ｂに示した試料容器押し付け部１２を設けていない。これにより、試料容器と試料容器位置決め部１３との摩擦力を小さくして回転を容易にすることができる。
【００３１】
また、回転用アダプタ７には、検体前処理装置の回転機構に対応するため、切り欠き部１０３が設けられている。
【００３２】
図６Ａおよび６Ｂに示す微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８は、微量試料容器４および直径１３ｍｍ試料容器３の搬送の際に使用する。図１の微量試料容器４は、直径１６ｍｍ試料容器２および直径１３ｍｍ試料容器３と比較すると軽量であるため、検体ラックの重さが不均等になり、搬送中に検体ラックが転倒する可能性がある。
【００３３】
そこで、図６Ａおよび６Ｂに示すように、微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８底部に、微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８との取り付けおよび取り外しが可能な重り１６を取り付けてある（付設してある）。これにより、検体ラックの重さが均等となるようにした。ここで、重り１６は、金属製の方が体積を小さくして、検体ラック全体をコンパクト化できるが、材質は金属に限定するものではなく、樹脂で作製してもよい。
【００３４】
さらに、金属製の重り１６を取り付けることにより、微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８底部が不安定となることを防止するため、微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８底部に重り固定部１１４を設けてある。
【００３５】
微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８は、微量試料容器挿入穴１５に微量試料容器を挿入するようになっている。微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８は、側面が閉じた円筒形状であることから、この形状をＯ字形状と呼ぶことにする。
【００３６】
また、直径１６ｍｍ試料容器２および直径１３ｍｍ試料容器３を同じ検体ラック本体１に挿入し、遠心機に投入すると遠心機が停止してしまう。この問題を解決するため、直径１６ｍｍ試料容器２および直径１３ｍｍ試料容器３を用いて遠心機に投入する際には、検体ラック本体１の直径１３ｍｍ試料容器３の設置位置に微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８を設置して行う。
【００３７】
また、従来、自動分析用装置と検体前処理装置とで異なる検体ラック本体１を用いていたが、図３に示すように、検体ラック側面１０の高さを上面から７０ｍｍとすることにより自動分析用装置と検体前処理装置とで兼用できる検体ラックとした。さらに、検体ラック側面１０の高さよりも下側に検体ラック用アダプタ１１を設けることにより、自動分析装置および検体前処理装置に色別センサを設けることでバーコードでの管理だった試料を検体ラック用アダプタの色により選別することができるようにした。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】本発明による実施例の試料容器を挿入した検体ラックを示す斜視図である。
【図２】本発明による実施例の検体ラックおよび検体ラック用アダプタを示す斜視図である。
【図３】本発明による実施例の検体ラック用アダプタを挿入した検体ラックを示す斜視図である。
【図４Ａ】本発明による実施例の試料容器回転抑制用アダプタを示す斜視図である。
【図４Ｂ】本発明による実施例の試料容器回転抑制用アダプタを示す上面図である。
【図５Ａ】本発明による実施例の試料容器回転用アダプタを示す斜視図である。
【図５Ｂ】本発明による実施例の試料容器回転用アダプタを示す上面図である。
【図６Ａ】本発明による実施例の微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタを示す上方斜視図である。
【図６Ｂ】本発明による実施例の微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタを示す下方斜視図である。
【符号の説明】
【００３９】
１：検体ラック本体、２：直径１６ｍｍ試料容器、３：直径１３ｍｍ試料容器、４：微量試料容器、５：バーコード、６：回転抑制用アダプタ、７：回転用アダプタ、８：微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ、９：アダプタ挿入部、１０：検体ラック側面、１１：検体ラック用アダプタ、１２：試料容器押し付け部、１３：試料容器位置決め部、１４：検体ラック取付部、１５：微量試料容器挿入穴、１６：重り、１０１：スリーブ、１０２：つまみ、１０３：切り欠き部、１１４：重り固定部。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、アダプタを用いた検体ラックに関する。
【背景技術】
【０００２】
自動分析装置および検体前処理装置においては、液体試料の採取を容易に行うことが効率向上へと繋がるため、試料容器を複数搬送できる検体ラックが必要となっている。
【０００３】
特許文献１には、一種類の試験管支持ラックで異なる大きさの試験管を適切に支持するとともに、各試験管を試験や検査の目的に応じて別個独立に搬送することができる試験管支持ラックを提供することを目的として、円筒状の試験管支持ラック本体を備えた試験管支持ラックにおいて、試験管支持ラック本体の円形断面の中央部に、試験管支持ラックの中心軸と平行に、試験管担持底を備えた試験管挿入穴を形成するとともに、試験管担持底の中央部に、試験管の外形より小さなラック貫通孔を備えた試験管支持ラックが開示されている。
【０００４】
特許文献２には、自動分析装置、検体前処理装置の双方で運用が可能で、かつ各種外形の試料容器に対応可能な検体搬送ラックを提供することを目的として、複数の試料容器を保持可能な検体ラックと、検体ラックの試料容器の挿入口に挿入する、略リング形状のアダプタと、を備え、アダプタは、検体ラックに設けた試料容器の挿入口の内径とほぼ同一の外形を有し、保持する試料容器の外形とほぼ同一の内径を有する試料容器位置決め面と、試料容器位置決め面より内側に突出した試料容器押し付け部とを備えた検体ラックが開示されている。
【０００５】
さらに、試料の特定を行うためにバーコード読み取り装置を備えた自動分析装置がある。この場合、検体ラックが回転してしまうとバーコードの読み取りが行えないため、試料容器の回転を抑制する必要がある。
【０００６】
一方、検体前処理装置においては、バーコードの読み取りを回転させながら行うため、検体ラックを回転させる必要がある。このため、試料容器の大きさおよび試料容器の回転有無に応じた検体ラックが複数存在していた。
【０００７】
【特許文献１】特開平９−１５２４６号公報
【特許文献２】特開２００６−２９２６９６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
上記のように、検体ラックは試料容器の種類および試料容器の回転有無により複数存在している。そのため、自動分析装置や検体前処理装置のユーザは、使用用途に応じて複数の検体ラックを準備する必要があり、コスト面および保管場所の問題が生じていた。
【０００９】
本発明の目的は、試料容器の種類および試料容器の回転有無に関わらず、共通の検体ラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明の検体ラック用アダプタは、自動分析装置および検体前処理装置に用いる、複数個の試料容器を保持可能な検体ラックに適用するための検体ラック用アダプタであって、検体ラック本体のアダプタ挿入部に挿入して固定するための検体ラック取付部と、前記試料容器を保持するための試料容器位置決め部と、スリーブとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、検体ラック本体を１種類にし、検体ラック用アダプタを複数にすることにより、コストを低減することができる。
【００１２】
また、本発明によれば、使用用途に応じて検体ラック用アダプタを複数備えることにより、複数の穴に異なる検体ラック用アダプタの装着が可能となる。これにより、微量しか採取できない高齢者の血液と一般の血液とを同じ検体ラックを用いて行うことが可能となり、作業効率の向上を図ることができる。
【００１３】
さらに、本発明によれば、取り付けおよび取り外しを容易にすることにより、利便性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
本発明は、アダプタを用いた検体ラックに関し、特に、液体試料を用いる尿、生化学、免疫分析を行う自動分析装置および検体前処理装置において、試料容器を複数搬送できる検体ラックにおける、特に試料容器の大きさ、試料容器の回転有無が必要となる検体ラックに関する。
【００１５】
本発明は、検体ラック本体を１種類のみとし、検体ラック本体に挿入するための検体ラック用アダプタを複数にするものである。これにより、試料容器の大きさおよび試料容器の回転有無に応じた検体ラックとなる。また、検体ラック用アダプタを試料容器ごとに異なる重さにすることにより、試料容器によらず、検体ラックの重心を一定とする。さらに、ここで用いる検体ラック用アダプタは、検体ラック本体への取り付けおよび取り外しを容易にしてある。専用工具を使用することにより、更に容易に取り外すことも可能となる。
【００１６】
以下、本発明による実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【００１７】
図１は、本発明による検体ラックに試料容器が挿入された状態を示す斜視図である。
【００１８】
本実施例の検体ラック本体１には、直径１６ｍｍ試料容器２、直径１３ｍｍ試料容器３および微量試料容器４が挿入されている。検体ラック本体１は、長さ１２０ｍｍ、幅２０ｍｍ、高さ７０ｍｍの直方体である。また、直径１６ｍｍ試料容器２および直径１３ｍｍ試料容器３には、試料判別を行うためのバーコード５が貼られている。
【００１９】
本発明は、これらの寸法に限定されるものではない。また、本図においては、検体ラック本体１に設置可能な試料容器の本数が５本となっているが、これに限定されるものでもない。また、試料容器の配列も上記実施例に限定されるものではない。
【００２０】
図２は、直径１６ｍｍ試料容器２、直径１３ｍｍ試料容器３および微量試料容器４を検体ラック本体１に挿入する際に使用する検体ラック用アダプタおよび検体ラック本体１を示したものである。
【００２１】
検体ラック用アダプタは、略リング形状であるが、側面が完全に閉じているものではなく、側面の一部が開いている。これにより、試料容器の側面に貼付されたバーコードなどが読み取り可能となっている。ここで、検体ラック用アダプタの側面が一部開いた形状をＣ字形状と呼ぶことにする。
【００２２】
また、検体ラック用アダプタは、使用する試料容器の大きさおよび試料容器の回転の有無により異なり、回転抑制用アダプタ６、回転用アダプタ７および微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８より構成され、検体ラック本体１の５箇所の穴に自由に挿入することが可能である。回転抑制用アダプタ６、回転用アダプタ７および微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８は、検体ラック本体１のアダプタ挿入部９より挿入する。
【００２３】
さらに、検体ラック用アダプタの内径は、試料容器の外径よりも若干小さくしてあるが、ほぼ等しい。これにより、検体ラック用アダプタに設置した試料容器が振動等により破損することを防止している。
【００２４】
図３は、本発明による実施例の検体ラック用アダプタを挿入した検体ラックを示す斜視図である。図４Ａは、本発明による実施例の試料容器回転抑制用アダプタを示す斜視図であり、図４Ｂは、その上面図である。図５Ａは、本発明による実施例の試料容器回転用アダプタを示す斜視図であり、図５Ｂは、その上面図である。図６Ａは、本発明による実施例の微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタを示す上方斜視図である。図６Ｂは、その下方斜視図である。
【００２５】
図４Ａおよび４Ｂに示すように、回転抑制用アダプタ６は、アダプタ中間部に試料容器の回転を抑制する試料容器押し付け部１２を有する。本実施例では、４箇所で試料容器を押し付けている。これにより、試料容器を固定して回転を抑制することができるようになっている。また、試料容器押し付け部１２および試料容器位置決め部１３によって試料容器を保持している。試料容器は、図２に示すアダプタ挿入部９の上面に対して垂直に保持されることが望ましいが、これに限定されるものではない。さらに、検体ラック本体１および回転抑制用アダプタ６は、検体ラック取付部１４を図２に示すアダプタ挿入部９に挿入し、取り付ける（固定する）。
【００２６】
本実施例においては、検体ラック取付部１４を回転抑制用アダプタ６の上部４箇所に設けている。これにより、回転抑制用アダプタ６が検体ラック本体１に確実に固定される。検体ラック取付部１４は、検体ラック本体１に挿入する際、下端部が検体ラック本体１に引っかからないようにテーパを設けている。
【００２７】
また、本実施例においては、回転抑制用アダプタ６にスリーブ１０１を設けてあり、ユーザが回転抑制用アダプタ６を検体ラック本体１に安全かつ容易に挿入して取り付けることができるようになっている。スリーブ１０１の下端の外周部には、テーパが設けてある。これにより、回転抑制用アダプタ６を検体ラック本体１に挿入する際、回転抑制用アダプタ６と検体ラック本体１との間に隙間を生じさせて挿入を容易にしている。
【００２８】
さらに、スリーブ１０１には、２箇所のつまみ１０２が設けてあり、つまみ１０２の下端部にテーパを設けてある。このテーパと検体ラック本体１との間に隙間を生じさせ、この隙間にピンセット状の治具を挿入して２箇所のつまみ１０２を挟むことにより、回転抑制用アダプタ６を検体ラック本体１から安全かつ容易に取り外すことができるようになっている。
【００２９】
図５Ａおよび５Ｂに示すように、回転用アダプタ７は、試料容器位置決め部１３で試料容器を保持している。回転用アダプタ７の取り付けについては、図４Ａおよび４Ｂに示した回転抑制用アダプタ６と同様である。スリーブ１０１およびつまみ１０２についても、図４Ａおよび４Ｂに示した実施例と同様である。
【００３０】
本実施例では、試料容器を回転可能とするため、回転用アダプタ７は、図４Ａおよび４Ｂに示した試料容器押し付け部１２を設けていない。これにより、試料容器と試料容器位置決め部１３との摩擦力を小さくして回転を容易にすることができる。
【００３１】
また、回転用アダプタ７には、検体前処理装置の回転機構に対応するため、切り欠き部１０３が設けられている。
【００３２】
図６Ａおよび６Ｂに示す微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８は、微量試料容器４および直径１３ｍｍ試料容器３の搬送の際に使用する。図１の微量試料容器４は、直径１６ｍｍ試料容器２および直径１３ｍｍ試料容器３と比較すると軽量であるため、検体ラックの重さが不均等になり、搬送中に検体ラックが転倒する可能性がある。
【００３３】
そこで、図６Ａおよび６Ｂに示すように、微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８底部に、微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８との取り付けおよび取り外しが可能な重り１６を取り付けてある（付設してある）。これにより、検体ラックの重さが均等となるようにした。ここで、重り１６は、金属製の方が体積を小さくして、検体ラック全体をコンパクト化できるが、材質は金属に限定するものではなく、樹脂で作製してもよい。
【００３４】
さらに、金属製の重り１６を取り付けることにより、微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８底部が不安定となることを防止するため、微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８底部に重り固定部１１４を設けてある。
【００３５】
微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８は、微量試料容器挿入穴１５に微量試料容器を挿入するようになっている。微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８は、側面が閉じた円筒形状であることから、この形状をＯ字形状と呼ぶことにする。
【００３６】
また、直径１６ｍｍ試料容器２および直径１３ｍｍ試料容器３を同じ検体ラック本体１に挿入し、遠心機に投入すると遠心機が停止してしまう。この問題を解決するため、直径１６ｍｍ試料容器２および直径１３ｍｍ試料容器３を用いて遠心機に投入する際には、検体ラック本体１の直径１３ｍｍ試料容器３の設置位置に微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ８を設置して行う。
【００３７】
また、従来、自動分析用装置と検体前処理装置とで異なる検体ラック本体１を用いていたが、図３に示すように、検体ラック側面１０の高さを上面から７０ｍｍとすることにより自動分析用装置と検体前処理装置とで兼用できる検体ラックとした。さらに、検体ラック側面１０の高さよりも下側に検体ラック用アダプタ１１を設けることにより、自動分析装置および検体前処理装置に色別センサを設けることでバーコードでの管理だった試料を検体ラック用アダプタの色により選別することができるようにした。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】本発明による実施例の試料容器を挿入した検体ラックを示す斜視図である。
【図２】本発明による実施例の検体ラックおよび検体ラック用アダプタを示す斜視図である。
【図３】本発明による実施例の検体ラック用アダプタを挿入した検体ラックを示す斜視図である。
【図４Ａ】本発明による実施例の試料容器回転抑制用アダプタを示す斜視図である。
【図４Ｂ】本発明による実施例の試料容器回転抑制用アダプタを示す上面図である。
【図５Ａ】本発明による実施例の試料容器回転用アダプタを示す斜視図である。
【図５Ｂ】本発明による実施例の試料容器回転用アダプタを示す上面図である。
【図６Ａ】本発明による実施例の微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタを示す上方斜視図である。
【図６Ｂ】本発明による実施例の微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタを示す下方斜視図である。
【符号の説明】
【００３９】
１：検体ラック本体、２：直径１６ｍｍ試料容器、３：直径１３ｍｍ試料容器、４：微量試料容器、５：バーコード、６：回転抑制用アダプタ、７：回転用アダプタ、８：微量試料容器・直径１３ｍｍ試料容器兼用アダプタ、９：アダプタ挿入部、１０：検体ラック側面、１１：検体ラック用アダプタ、１２：試料容器押し付け部、１３：試料容器位置決め部、１４：検体ラック取付部、１５：微量試料容器挿入穴、１６：重り、１０１：スリーブ、１０２：つまみ、１０３：切り欠き部、１１４：重り固定部。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
自動分析装置および検体前処理装置に用いる、複数個の試料容器を保持可能な検体ラックに適用するための検体ラック用アダプタであって、検体ラック本体のアダプタ挿入部に挿入して固定するための検体ラック取付部と、前記試料容器を保持するための試料容器位置決め部と、前記検体ラック本体の前記アダプタ挿入部への挿入を容易にするためのスリーブとを有することを特徴とする検体ラック用アダプタ。
【請求項２】
前記試料容器の回転を抑制するための試料容器押し付け部を有することを特徴とする請求項１記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項３】
前記検体ラック本体から取り外しを容易にするためのつまみを有することを特徴とする請求項１または２に記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項４】
側面が一部開いた形状をＣ字形状であることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項５】
取り付けおよび取り外しが可能な重りを付設したことを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項６】
側面が閉じたＯ字形状であることを特徴とする請求項５記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項７】
請求項１〜６のいずれか一項に記載の検体ラック用アダプタを挿入可能としたことを特徴とする検体ラック。
【請求項８】
自動分析装置と検体前処理装置とで兼用可能としたことを特徴とする請求項７記載の検体ラック。
【請求項９】
前記つまみを２箇所に設け、前記つまみの下端部、及び前記スリーブの下端の外周部にテーパを設けたことを特徴とする請求項３記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項１０】
前記検体ラック取付部を上部の４箇所に設けたことを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項１】
自動分析装置および検体前処理装置に用いる、複数個の試料容器を保持可能な検体ラックに適用するための検体ラック用アダプタであって、検体ラック本体のアダプタ挿入部に挿入して固定するための検体ラック取付部と、前記試料容器を保持するための試料容器位置決め部と、前記検体ラック本体の前記アダプタ挿入部への挿入を容易にするためのスリーブとを有することを特徴とする検体ラック用アダプタ。
【請求項２】
前記試料容器の回転を抑制するための試料容器押し付け部を有することを特徴とする請求項１記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項３】
前記検体ラック本体から取り外しを容易にするためのつまみを有することを特徴とする請求項１または２に記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項４】
側面が一部開いた形状をＣ字形状であることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項５】
取り付けおよび取り外しが可能な重りを付設したことを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項６】
側面が閉じたＯ字形状であることを特徴とする請求項５記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項７】
請求項１〜６のいずれか一項に記載の検体ラック用アダプタを挿入可能としたことを特徴とする検体ラック。
【請求項８】
自動分析装置と検体前処理装置とで兼用可能としたことを特徴とする請求項７記載の検体ラック。
【請求項９】
前記つまみを２箇所に設け、前記つまみの下端部、及び前記スリーブの下端の外周部にテーパを設けたことを特徴とする請求項３記載の検体ラック用アダプタ。
【請求項１０】
前記検体ラック取付部を上部の４箇所に設けたことを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載の検体ラック用アダプタ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４Ａ】
【図４Ｂ】
【図５Ａ】
【図５Ｂ】
【図６Ａ】
【図６Ｂ】
【図２】
【図３】
【図４Ａ】
【図４Ｂ】
【図５Ａ】
【図５Ｂ】
【図６Ａ】
【図６Ｂ】
【公開番号】特開２０１０−７８３４４（Ｐ２０１０−７８３４４Ａ）
【公開日】平成２２年４月８日（２０１０．４．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２４３９６６（Ｐ２００８−２４３９６６）
【出願日】平成２０年９月２４日（２００８．９．２４）
【出願人】（５０１３８７８３９）株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年４月８日（２０１０．４．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年９月２４日（２００８．９．２４）
【出願人】（５０１３８７８３９）株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Ｆターム（参考）】
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