検体分析装置及び分析制御プログラム
【課題】オーダ登録を行う際のユーザの負担及び入力ミスを低減することができる検体分析装置を提供する。
【解決手段】生化学自動分析装置1は、分析オーダ設定部10と、分析オーダ情報登録部11と、現在値取得部12と、分析オーダ情報選択部13と、を備えている。分析オーダ設定部10は、検体が収容された検体管29の位置と、検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。分析オーダ情報登録部11は、分析オーダと、適用条件と、を関連づけた分析オーダ情報を登録する。現在値取得部12は、前記適用条件に対応する現在値を取得する。分析オーダ情報選択部13は、適用条件が現在値と合致した分析オーダ情報を選択する。
【解決手段】生化学自動分析装置1は、分析オーダ設定部10と、分析オーダ情報登録部11と、現在値取得部12と、分析オーダ情報選択部13と、を備えている。分析オーダ設定部10は、検体が収容された検体管29の位置と、検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。分析オーダ情報登録部11は、分析オーダと、適用条件と、を関連づけた分析オーダ情報を登録する。現在値取得部12は、前記適用条件に対応する現在値を取得する。分析オーダ情報選択部13は、適用条件が現在値と合致した分析オーダ情報を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、検体分析装置に関する。詳細には、検体分析装置において自動分析を実行する際の分析オーダの入力を支援ないし補助する機能に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば血漿、血清、尿等を検体として使用してコレステロール値等を検査するには、生化学自動分析装置等の検体分析装置が用いられる。生化学自動分析装置においては、検体に所定の試薬を反応させ、この反応液の吸光度を測定して、得られたデータからコレステロール値等の検査結果を得る。
【0003】
この種の分析装置においては、試薬の劣化や、装置状態の変化等が検査結果に影響を及ぼす。そこで、検査結果の精度を維持するために、キャリブレーションや精度管理といった操作が定期的又は不定期的に行われる。キャリブレーションとは、既知濃度の標準検体を生化学自動分析装置で測定して、検量線を作成する操作である。また精度管理とは、既知濃度のコントロール検体を生化学自動分析装置で検査して、検査結果が所定範囲内に収まっているか否かを判定することにより、分析精度が保たれているか否かを判定する操作である。
【0004】
上記キャリブレーションや精度管理をどの程度の頻度で行うかは、最終的にはユーザの判断に委ねられており、生化学自動分析装置のメーカが一律に決定できるものではない。従って、ユーザは、キャリブレーションや精度管理を行うスケジュールを自ら計画し、当該スケジュールに従って、キャリブレーションや精度管理を行う必要がある。しかしながら、このスケジュールの管理を全てユーザに任せてしまうと、キャリブレーションや精度管理の実行をユーザが忘れてしまうおそれがあり、この場合は分析結果の精度が保証されないことになる。特に、生化学自動分析装置は一般的に複数種類の試薬を使用するため、キャリブレーションや精度管理も測定項目ごとに行わなければならず、上記スケジュールの管理が煩雑になってしまうという問題がある。
【0005】
この点、特許文献1は、将来の一定期間に対するキャリブレーション及び精度管理の実施スケジュール表を自動的に作成・表示する機能を有する自動分析装置を開示している。特許文献1は、これにより、各ユーザ施設において日付毎の分析スケジュールの立案や検査技師のアサインを適切に行うことができるとともに、キャリブレーションや精度管理に必要な試薬の事前準備や在庫管理を効率的に行うことができるとしている。
【0006】
また、特許文献2は、ユーザの指示に応じて、分析項目名と、当該分析項目のキャリブレーション又は精度管理を実行すべき分析ユニット名と、を画面上に表示させる自動分析装置支援システムを開示している。特許文献1は、これにより、キャリブレーション又は精度管理すべき分析項目を、オペレータに容易に知らせることができ、必要性が発生した特定の分析ユニットのために所定のキャリブレーション又は精度管理を的確に実行させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−168730号公報
【特許文献2】特開平10−339732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、複数の検体をセットして自動分析を行う生化学分析装置においては、どの検体に対してどのような分析を行うべきかという情報(分析オーダ)を予め設定しておく必要がある。このような操作を、オーダ登録という。このようにオーダ登録を行うことにより、例えば検査項目が異なる検体が混在している場合であっても、適切に分析を行うことができる。
【0009】
このようなオーダ登録は、キャリブレーションや精度管理を行う際にも必要となる。即ち、キャリブレーションを行う際には、既知濃度の検体を生化学自動分析装置にセットしたうえで、当該検体をキャリブレーション用の標準検体としてオーダ登録する。また、精度管理を行う際には、既知濃度の検体を生化学自動分析装置にセットしたうえで、当該検体を精度管理用のコントロール検体としてオーダ登録する。ここで前述のように、キャリブレーションや精度管理は定期的に実行すべきものであるため、標準検体やコントロール検体のオーダ登録も定期的に繰り返し行う必要がある。しかし、標準検体やコントロール検体について、ユーザが毎回同じようなオーダ登録を行わなければならないようでは、ユーザにとって手間であり、また入力ミス等のおそれもある。
【0010】
この点、特許文献1が開示する自動分析装置は、キャリブレーション及び精度管理の実施スケジュール表を表示するのみであるから、ユーザとしては、当該表示されたスケジュール表を見た後、標準検体やコントロール検体のオーダ登録を自ら行わなければならない。従って、特許文献1の構成では、オーダ登録の際の手間を削減し、入力ミスを低減させるという課題を解決することができない。
【0011】
一方、特許文献2は、キャリブレーション又は精度管理の必要性が生じた場合に、ユーザが適宜のボタンを操作すると、当該キャリブレーション又は精度管理が起動される構成を開示している。しかしこの構成では、標準検体やコントロール検体を予めオーダ登録をしておくことができないため、柔軟性に欠ける。
【0012】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、オーダ登録を行う際のユーザの負担及び入力ミスを低減することができる検体分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0014】
本発明の第1の観点によれば、検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、を備えた検体分析装置であって、以下のように構成された検体分析装置が提供される。即ち、この検体分析装置は、分析オーダ設定部と、分析オーダ情報登録部と、現在値取得部と、分析オーダ情報選択部と、を備える。前記分析オーダ設定部は、検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。前記分析オーダ情報登録部は、前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する。前記現在値取得部は、前記適用条件に対応する現在値を取得する。前記分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する。
【0015】
このように、予め分析オーダ情報を作成しておき、当該分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成するように構成することで、ユーザが手作業で入力する手間を軽減することができるともに、入力ミスを防ぐことができる。また、分析オーダ情報に条件を関連付けて登録しておくことにより、条件が成立した分析オーダ情報を自動的に選択することができる。
【0016】
前記の検体分析装置は、前記分析オーダ情報選択部が選択した分析オーダ情報に基づいて、前記分析オーダを作成する分析オーダ情報適用部を備えることが好ましい。
【0017】
これにより、条件が成立した分析オーダ情報が自動的に適用されて分析オーダが作成されるので、適切な分析オーダを作成することができる。
【0018】
前記の検体分析装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記検体の分析内容は、少なくとも、当該検体の種類を示す情報を含んでいる。そして、前記検体の種類としては、少なくとも、キャリブレーション用の標準検体と、精度管理用のコントロール検体と、の中から、何れか1つを指定することができる。
【0019】
即ち、キャリブレーションや精度管理は定型的な分析であるため、分析オーダ情報に登録しておくことにより、当該キャリブレーションや精度管理のための検体を分析オーダに登録する手間を省くことができる。また、例えばキャリブレーションや精度管理を実施する日時等を適用条件として指定して分析オーダ情報を登録しておけば、キャリブレーションや精度管理を実施し忘れてしまうことを防止することができる。
【0020】
前記の検体分析装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記標準検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいてキャリブレーションを実施した場合において、当該キャリブレーションが失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、前記分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択する。
【0021】
これにより、キャリブレーションが失敗した場合、次回の分析時にキャリブレーションを再実行させることができる。
【0022】
前記の検体分析装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記コントロール検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいて精度管理を実施した場合において、当該精度管理が失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択する。
【0023】
これにより、精度管理が失敗した場合、次回の分析時に精度管理を再実行させることができる。
【0024】
前記の検体分析装置は、前記分析オーダ情報適用部において分析オーダ情報に基づく前記分析オーダの作成が行われる前に、当該分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かをユーザに問い合わせる分析オーダ情報適用確認部を備えることが好ましい。
【0025】
これにより、ユーザが望まない場合には、分析オーダを作成する際に分析オーダ情報を適用しないようにすることができる。従って、状況に応じて柔軟に分析を行うことができる。
【0026】
前記の検体分析装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この検体分析装置は、表示部を備える。当該表示部には、前記分析オーダの編集を行う分析オーダ編集画面を表示可能である。また、前記表示部には、ユーザが操作することにより前記分析オーダ編集画面を呼び出すための分析オーダ編集画面呼出部が表示されている。前記分析オーダ編集画面呼出部が操作されると、前記現在値取得部によって前記現在値が取得される。次に、前記分析オーダ情報選択部によって適用条件が前記現在値と合致する分析オーダ情報が選択される。そして、分析オーダ情報適用確認部は、前記分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かの確認メッセージを前記表示部に表示する。
【0027】
このように、ユーザが分析オーダを編集するために分析オーダ編集画面を表示させようとすると、自動的に分析オーダ情報が選択されるとともに、当該分析オーダ情報が適用される前に確認メッセージが表示される。このように、分析オーダを編集しようとする操作を行っただけで分析オーダ情報を適用可能であり、当該分析オーダ情報を適用するための特別な操作が必要ないので、分析オーダ情報の適用を忘れてしまうことを防止できる。
【0028】
前記の検体分析装置において、前記適用条件は、日付、曜日、時刻、又は分析回数のうち、少なくとも何れか1つを指定可能であることが好ましい。
【0029】
このように、分析オーダ情報の適用条件として、例えば日付、曜日、時刻、分析回数等を指定することができるので、当該特定の日付、曜日、時刻、又は分析回数になると、当該分析オーダ情報が自動的に適用されるので、入力の手間が省けるとともに、定期的な分析を実施し忘れてしまうことを防ぐことができる。
【0030】
前記の検体分析装置においては、メタ分析オーダ情報が予め用意されており、前記メタ分析オーダ情報に基づいて、前記分析オーダ情報を作成することが可能であることが好ましい。
【0031】
即ち、定型的な分析については、予め用意されたメタ分析オーダ情報に基づいて分析オーダ情報を作成することにより、分析オーダ情報作成の手間を削減することができる。
【0032】
前記の検体分析装置において、前記分析オーダ情報を作成する際に、所定期間内の分析回数をユーザが入力すると、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を選択して提示することが好ましい。
【0033】
このように、分析オーダ情報を作成する際に、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を自動的に選択して提示するので、当該分析オーダ情報を作成する際のユーザの負担を軽減することができる。
【0034】
本発明の第2の観点によれば、検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、を備えた検体分析装置を制御するための分析制御プログラムであって、以下のプログラムが提供される。即ち、この分析制御プログラムは、分析オーダ設定ステップと、分析オーダ情報登録ステップと、現在値取得ステップと、分析オーダ情報選択ステップと、を含む処理をコンピュータに実行させる。前記分析オーダ設定ステップでは、検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。前記分析オーダ情報登録ステップでは、前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する。前記現在値取得ステップでは、前記適用条件に対応する現在値を取得する。前記分析オーダ情報選択ステップでは、前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する。
【0035】
このように、予め分析オーダ情報を作成しておき、当該分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成するように構成することで、ユーザが手作業で入力する手間を軽減することができるともに、入力ミスを防ぐことができる。また、分析オーダ情報に条件を関連付けて登録しておくことにより、条件が成立した分析オーダ情報を自動的に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る生化学自動分析装置の構成を示す図。
【図2】生化学自動分析装置を用いた分析の流れを説明するフローチャート。
【図3】表示部に表示される初期画面の内容を示す図。
【図4】分析オーダ編集画面の表示内容を例示する図。
【図5】分析オーダ情報登録処理のフローチャート。
【図6】分析オーダ情報登録画面の1例を示す図。
【図7】分析オーダ情報登録画面の他の例を示す図。
【図8】分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成する流れを説明するフローチャート。
【図9】分析オーダ編集画面を最初に開いた状態を示す図。
【図10】分析オーダ情報適用確認メッセージの表示例を示す図。
【図11】分析オーダ情報が適用されて作成された分析オーダの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の1実施形態に係る検体分析装置としての生化学自動分析装置1は、分析制御装置2と、生化学分析装置本体3と、から構成されている。図1には、分析制御装置2の機能的な構成を示すブロック図と、生化学分析装置本体3の模式的な平面図と、が示されている。
【0038】
分析制御装置2は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)として構成されており、表示部4と、操作部5と、記憶部6と、制御部7と、通信部8と、を備えている。
【0039】
表示部4は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置として構成される。操作部5は、キーボード、マウス等の入力装置から構成される。記憶部6は、ハードディスク等の記憶装置として構成されているが、例えばCD−ROM等の外部記憶媒体であっても良い。この記憶部6には、生化学自動分析装置1による分析を制御するための分析制御プログラムが記憶されている。この分析制御プログラムには、分析オーダ設定ステップと、分析オーダ情報登録ステップと、現在値取得ステップと、分析オーダ情報選択ステップと、分析オーダ情報適用ステップと、分析オーダ情報適用確認ステップと、が含まれている。
【0040】
制御部7は、CPU、ROM、RAM等から構成されている。制御部7は、表示部4、操作部5、記憶部6、通信部8等と通信可能に構成されている。制御部7は、記憶部6に記憶された分析制御プログラムを読み込んで実行することにより、分析オーダ設定部10、分析オーダ情報登録部11、現在値取得部12、分析オーダ情報選択部13、分析オーダ情報適用部14、分析オーダ情報適用確認部15等として機能することができるように構成されている。
【0041】
通信部8は、例えばLANボード等の外部通信アダプタとして構成されている。この通信部8には、LANケーブル等を介して生化学分析装置本体3が接続されている。これにより、分析制御装置2と生化学分析装置本体3との間で、制御信号及びデータの相互通信が可能となっている。
【0042】
生化学分析装置本体3は、血漿、血清、尿等を検体として、コレステロール値等の各種検査項目を検査する目的で使用されるものである。簡単に説明すると、生化学分析装置本体3は、検体庫21にセットされている検体と、試薬庫22にストックされている試薬と、を反応槽23で反応させ、その反応液の吸光度を測定部24にて測定するように構成されている。
【0043】
この生化学自動分析装置1を用いた分析の流れについて、図2のフローチャートを参照して簡単に説明する。
【0044】
まず、ユーザが電源を入れることにより、又はタイマ等による自動ウェークアップ機能により、分析制御装置2及び生化学分析装置本体3が起動される(ステップS101)。続いて、ユーザにより、試薬庫22への試薬の設置(ステップS102)と、検体庫21への検体の設置(ステップS103)と、が行われる。次に、ユーザが分析制御装置2を操作することにより、分析オーダの登録(オーダ登録)が行われる(ステップS104)。なお、オーダ登録については後述する。
【0045】
続いて、ユーザが所定の分析開始操作を行うことにより、登録された分析オーダに従って、生化学分析装置本体3による測定が開始される(ステップS105)。この測定結果は、分析制御装置2の制御部7に送信される。分析制御装置2においては、測定部24から送信されてきた測定データに基づいて検査結果を求め、当該検査結果を表示部4に表示等する(ステップS106)。全ての測定が完了すると、分析制御装置2及び生化学分析装置本体3の電源をOFF、又はスリープさせる(ステップS107)ことにより、フローを終了させる。
【0046】
次に、生化学分析装置本体3の構成について詳しく説明する。
【0047】
反応槽23はターンテーブル25を備えており、このターンテーブル25上に、検体と試薬との反応容器であるセル26が環状に複数個(図1では90個)並べて配置されている。ターンテーブル25の近傍には光度計として構成された測定部(分析実行部)24が配置されており、セル26内の反応液の吸光度を測定するように構成されている。また、ターンテーブル25は、例えば図1の反時計回りに間欠的に回転させることができるように構成されている。このようにターンテーブル25を間欠的に回転させることにより、測定部24で吸光度を測定するセル26を、順次切り換えることができる。なお、反応槽23内は、検体と試薬との反応を進行させるのに適切な温度に保たれている。従って、測定部24における吸光度の測定を待っている間に、セル26の内部において検体と試薬とを適度に反応させることができる。
【0048】
ターンテーブル25の回転方向で見たときに、測定部24よりも下流側には、測定が終了したセル26内の反応液を廃棄して当該セル26を洗浄するためのセル洗浄部27が配置されている。これにより、測定が終了したセル26を再使用することができる。
【0049】
ターンテーブル25の回転方向で見たときに、セル洗浄部27よりも更に下流側には、検体庫21が配置されている。検体庫21は、回転可能な検体トレイ28を備えている。この検体トレイ(検体管設置部)28は、血漿、血清、尿等の検体(患者検体)が入った検体管29を、環状に複数(図1では92個)並べて搭載可能である。また、検体トレイ28の、各検体管29を保持する位置には、それぞれ固有のポジション番号が付与されている。
【0050】
また検体庫21の近傍には、検体管29内の検体を所定量吸い上げて、反応槽23のセル26内に滴下する検体ノズル30が配置されている。なお、検体ノズル30の近傍には、ノズル洗浄部31が配置されており、検体の滴下を行った検体ノズル30を洗浄液で洗浄できるように構成されている。
【0051】
ターンテーブル25の回転方向で見たときに、検体庫21よりも更に下流側には、試薬庫22が配置されている。試薬庫22は、回転可能な試薬トレイ32を備えている。この試薬トレイ32は、試薬が入った試薬ボトル33を環状に複数個(図1では60個)並べて搭載可能である。また試薬庫22の近傍には、試薬ボトル33内の検体を所定量吸い上げて、反応槽23のセル26内に滴下する試薬ノズル34が配置されている。なお、本実施形態の生化学分析装置本体3は、試薬ノズル34を2本備えており、2試薬系の検査項目にも対応できるように構成されている。
【0052】
以上のように構成された生化学分析装置本体3によって検体を測定する様子について簡単に説明すると、以下のとおりである。セル洗浄部27で洗浄されたセル26(空のセル)は、ターンテーブル25の回転により、下流側に送られる。送られてきた空のセル26には、検体ノズル30によって、所定量の検体が滴下される。検体が滴下されたセル26は、更に下流側に送られ、試薬ノズル34によって所定の試薬を所定量滴下される。セル26内においては、検体と試薬とが反応し、反応液となる。反応液を入れたセル26は、更に下流側へ送られ、測定部24で吸光度を測定される。そして、測定部24による測定結果が、分析制御装置2に送信される。
【0053】
次に、本実施形態の分析制御装置2の主要な機能について説明する。分析制御装置2は、主要には、分析オーダを編集する機能と、当該分析オーダに従って生化学分析装置本体3による分析を実施する自動分析機能と、分析オーダ情報(後述)を登録する分析オーダ情報登録機能と、を有している。
【0054】
分析制御装置2が起動されると、表示部4には、図3に示すような初期画面が表示される。図3の左側は、分析制御装置2の主要な機能を選択するための機能選択部40であり、自動分析開始を指示する分析開始ボタン41、分析オーダ編集機能の呼び出しを指示するオーダ編集ボタン(分析オーダ編集画面呼出部)42、分析オーダ情報登録機能の呼び出しを指示するオーダ情報登録ボタン43等が表示されている。ユーザは、操作部5を適宜操作することにより、機能選択部40に表示されている各ボタン41,42,43のうち何れかを押して、各機能を呼び出すことができる。図3の右側は、ユーザが押したボタン41,42,43に応じて、各種項目を表示する機能別表示部44である。なお、図3の初期画面においては、ボタン41,42,43の何れも操作されていないので、機能別表示部44には特に何も表示されていない。
【0055】
続いて、分析制御装置2における分析オーダの編集について説明する。ここで分析オーダとは、「どの検体に対してどのような分析内容の分析を行うべきか」を設定する設定データのことを指す。
【0056】
本実施形態の分析制御装置2において分析オーダの編集を行う際には、ユーザは、図3のオーダ編集ボタン42を押して分析オーダ編集機能を呼び出す。すると、分析オーダ情報適用確認メッセージ(後述)等が表示部に表示された後、分析オーダ編集画面が表示される。ユーザは、この分析オーダ編集画面で分析オーダを適宜編集することができる。
【0057】
このように分析オーダの編集を行っている途中の様子を、図4に例示する。図4に示すように、分析オーダ編集画面では、分析オーダ入力欄60と、分析オーダ保存ボタン61と、が表示される。
【0058】
分析オーダ入力欄60には、分析オーダの内容を適宜入力することができる。図4を参照して、分析オーダの内容について簡単に説明する。分析オーダは、検体トレイ28のポジション番号(Pos.)に対して、当該ポジションにセットされる検体の種類(Type)と、当該検体に対して行うべき検査項目(Method)と、を指定するものである。例えば図4の分析オーダ入力欄60に入力されている分析オーダに即して説明すると、番号1番から3番のポジションにセットされた検体は、キャリブレーション用の標準検体であり、その検査項目は「検査項目A」であることが指定されている。また、番号4番のポジションにセットされた検体は、精度管理用のコントロール検体であり、その検査項目は「検査項目B」であることが指定されている。また、番号5番以降のポジションにセットされた検体は、通常の分析対象となる患者検体であり、それぞれの検体に対して実施すべき検査の検査項目が指定されている。なお、図4等では検査項目(Method)を入力する欄は各検体につき1つずつとなっているが、1つの検体に対して複数の検査項目を設定することもできる。
【0059】
分析オーダ入力欄60の内容は、適宜の操作によって、追加、削除、ないし変更することができる。なお、本実施形態では、検体の種類として、「患者検体」、「標準検体」、「コントロール検体」等を指定可能となっている。また、分析オーダ保存ボタン61を押すことで、分析オーダ入力欄60に入力した分析オーダの内容を保存(設定)することができる。
【0060】
続いて、分析オーダに従った自動分析について説明する。分析開始ボタン41を押すことにより、保存された分析オーダに従った自動分析を開始することができる。図4に例示した分析オーダに従った自動分析について具体的に説明すると、以下のとおりである。即ち、図4の分析オーダに従って自動分析を開始すると、生化学分析装置本体3は、1番から3番までのポジションにセットされている検体を、それぞれ「検査項目A」に対応する試薬と反応させた後、測定部24で測定を行い、その結果を分析制御装置2に送信する。分析制御装置2においては、当該測定結果に基づいて、「検査項目A」についての検量線を作り直す(キャリブレーション)。
【0061】
次に、生化学分析装置本体3は、4番のポジションにセットされている検体を、「検査項目B」に対応する試薬と反応させた後、測定部24で測定を行い、その結果を分析制御装置2に送信する。分析制御装置2においては、当該測定結果に基づいて、「検査項目B」についての精度管理を実施する。
【0062】
次に、生化学分析装置本体3の測定部24は、5番以降のポジションにセットされている検体を、それぞれ分析オーダで指定されている検査項目に対応する試薬と反応させた後、測定部24で測定を行い、その結果を分析制御装置2に送信する。分析制御装置2においては、当該測定結果と、既に作成されている検量線と、に基づいて、前記検査項目についての検査結果を求める。
【0063】
以上のように、測定部24においては、それぞれの検体に対応した検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行するように構成されている。そして、患者検体、標準検体、コントロール検体が混在し、しかもそれぞれの検体の検査項目が異なる場合であっても、分析内容(検体の種類、及び検査項目)を予め分析オーダに登録しておくことにより、適切に分析を行うことができる。
【0064】
ところで、一般的に、上記のような分析オーダの編集は、自動分析を行うごとに行われる。これは、患者検体の数や分析項目等は、通常、毎回異なるためである。一方で、キャリブレーションや精度管理はいわば定型的な分析であるため、標準検体やコントロール検体のオーダ登録は毎回同じようなものとなる。図4の例でいうと、ポジション番号1番から4番までの分析オーダは、検査項目Aのキャリブレーション及び検査項目Bの精度管理を行う際に毎回同じ内容を入力しなければならない。
【0065】
そこで本実施形態の生化学自動分析装置1では、分析オーダの入力に要するユーザの負担を低減するため、分析オーダのうち定型的な部分(例えば図4のポジション番号1番から4番までの内容)を、予め登録しておき、当該登録した分析オーダに基づいて、新しい分析オーダを作成できるように構成されている。
【0066】
しかしながら、キャリブレーションや精度管理は、一定の周期で間欠的(例えば一週間ごと)に行われることも多く、自動分析を行うごとに(分析オーダを作成するごとに)実行されるとは限らない。従って、予め登録した分析オーダを毎回用いるということは現実的ではない。一方で、新しく分析オーダを作成する際に、予め登録しておいた分析オーダを用いるか否かの判断を全てユーザに任せてしまうと、予め登録しておいた分析オーダの適用をユーザが忘れてしまうおそれがある。
【0067】
そこで、本実施形態の分析制御プログラムにおいては、分析オーダと、適用条件と、を関連付けて、「分析オーダ情報」として登録できるようになっている。このように、分析オーダを適用条件と関連付けて登録することにより、当該適用条件が成立した場合には当該分析オーダ情報を自動的に適用し、適用条件が成立しない場合には当該分析オーダ情報を適用しないようにすることができる。
【0068】
以下、分析オーダ情報の登録について説明する。分析オーダ情報の登録を行う場合、ユーザは、操作部5を適宜操作して分析オーダ情報登録ボタン43を押す。これをトリガーとして、制御部7は、図5のフローを開始させるとともに、表示部4に分析オーダ情報登録画面を表示させる。この分析オーダ情報登録画面の表示例を、図6に示す。図6に示すように、この分析オーダ情報登録画面には、分析オーダ情報識別情報入力欄71と、適用条件入力欄72と、分析オーダ情報内容入力欄73と、分析オーダ情報保存ボタン74と、が表示される。
【0069】
ユーザは、分析オーダ情報識別情報入力欄71に対して、新しく作成する分析オーダ情報の番号及び名称を入力する(ステップS201)。
【0070】
分析オーダ情報の番号は、各分析オーダ情報を識別するための番号であり、分析オーダ情報番号入力欄46に入力する。なお、分析オーダ情報番号入力欄46は、いわゆるプルダウンリスト式の入力欄であり、本実施形態では1から10までの番号を指定できるようになっている。即ち、本実施形態の生化学自動分析装置1では、分析オーダ情報を10個まで登録することができる。もっとも、登録できる分析オーダ情報の数はいくつでも良く、10個に限定されるわけではない。分析オーダ情報の名称は、ユーザが各分析オーダ情報を識別し易いように任意の文字列を指定するものであり、名称入力欄47に入力する。
【0071】
続いて、ユーザは、適用条件入力欄72に対して、当該新しく作成した分析オーダ情報の適用条件を入力する(ステップS202)。
【0072】
分析オーダ情報の適用条件は、各分析オーダ情報が適用される条件を指定するものであり、分析オーダ情報ごとに異なる適用条件を設定することができる。本実施形態では、日付又は曜日と、時間又はラウンド番号を指定することができるようになっている。例えば図6の例では、曜日入力欄49に「Mon(月曜日)」が入力され、時間入力欄51には「00:00〜11:59」と入力されている。この場合、「毎週月曜日の0時00分から11時59分までの間」が当該分析オーダ情報の適用条件となる。
【0073】
一方、例えば図7の例では、曜日の代わりに日付を、時間の代わりにラウンド番号を、それぞれ指定した例が示されている。図7の例では、日付入力欄55に「1」が入力され、ラウンド番号入力欄には「1」が入力されている。ここで、ラウンド番号とは、生化学分析装置本体3の電源を入れてからの累積の分析回数を指す。従って、図7の例では、「毎月1日に生化学分析装置の電源を入れた最初の分析のとき」が当該分析オーダ情報の適用条件となる。
【0074】
なお、日付と曜日の何れを適用条件として使用するかは、日付/曜日選択欄48によって指定する。日付/曜日選択欄48は、プルダウンリスト式の入力欄であり、「Day(日付)」と「Week(曜日)」の何れか一方を選択することができるようになっている。日付/曜日選択欄48で「Week」を選択すると、図6に示すように、日付/曜日選択欄48の右側に曜日入力欄49が表示される。これにより、適用条件として曜日を入力することができる。一方、日付/曜日選択欄48で「Day」を選択すると、図7に示すように、日付/曜日選択欄48の右側に日付入力欄55が表示される。これにより、適用条件として日付を入力することができる。なお、日付としては、月内の日付(1日〜31日)のうち何れかを指定できる他、「月末」又は「毎日」を指定することもできる。また、期間(何日から何日までの間など)を指定することができても良い。
【0075】
同様に、時間とラウンド番号の何れを適用条件として使用するかは、時間/ラウンド番号選択欄50によって指定する。時間/ラウンド番号選択欄50は、プルダウンリスト式の入力欄であり、「Time(時間)」と「Round No.(ラウンド番号)」の何れか一方を選択することができるようになっている。時間/ラウンド番号選択欄50で「Time」を選択すると、図6に示すように、時間/ラウンド番号選択欄50の右側に時間入力欄51が表示される。これにより、適用条件として時間を入力することができる。一方、時間/ラウンド番号選択欄50で「Round No.」を選択すると、図7に示すように、時間/ラウンド番号選択欄50の右側にラウンド番号入力欄56が表示される。これにより、適用条件としてラウンド番号を入力することができる。なお、ラウンド番号としては、1以上の数字を指定することができる他、「毎回」を選択することもできる。
【0076】
なお、本実施形態では、分析オーダ情報について、自動適用を有効化するか否かを個別に指定することができる。具体的には、自動適用可否選択欄58で「Enable」を選択すると、その分析オーダ情報の自動適用が有効化され、「Disable」を選択すると、その分析オーダ情報の自動適用が無効化される。これにより、登録されている分析オーダ情報を、個別に、かつ一時的に無効にすることができる。
【0077】
続いて、ユーザは、上記適用条件と関連付けたい分析オーダの内容(各ポジションの分析内容)を、分析オーダ情報内容入力欄73に入力する(ステップS203)。この分析オーダ情報内容入力欄73には、分析オーダのうち定型的な部分を入力することになる。例えば、図6の例では、この分析オーダ情報の適用条件は「毎週月曜日の0時00分から11時59分までの間」であるから、毎週月曜の午前中の行うべき定型的な分析の分析内容(検体の種類及び検査内容)を入力する。ここで、検体の種類としては、「標準検体」と「コントロール検体」等を選択することができる。なお、図6等では検査項目(Method)を入力する欄は各検体につき1つずつとなっているが、1つの検体に対して複数の検査項目を設定することもできる。
【0078】
最後に、ユーザが分析オーダ情報保存ボタン74を押すと(ステップS204)、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ情報登録ステップを実行する。このとき、制御部7は、分析オーダ情報登録部11として機能する。具体的には、分析オーダ情報登録部11は、分析オーダ情報識別情報入力欄71に入力されている情報と、適用条件入力欄に入力されている情報と、分析オーダ情報内容入力欄73に入力されている内容(分析オーダ)と、を関連付けて、記憶部6に保存する。以上により、分析オーダと、適用条件と、を関連付けて登録することができる。
【0079】
次に、分析オーダ情報登録部11が登録した分析オーダ情報に基づいて、実際に分析オーダを作成する処理について説明する。分析オーダを新しく作成する際には、オーダ編集ボタン42を押すことにより分析オーダ編集機能を呼び出す。分析オーダ編集機能が呼び出されると、制御部7は、図8に示すフローを開始する。
【0080】
制御部7は、まず、表示部4に、分析オーダ編集画面を表示させる(ステップS301)。このときに表示される分析オーダ編集画面を、図9に示す。このとき分析オーダは新規に作成されるので、図9に示すように、分析オーダ入力欄60の内容は空である。
【0081】
続いてステップS302に進むと、制御部7は、分析制御プログラムの現在値取得ステップを実行する。このとき、制御部7は、現在値取得部12として機能する。具体的には、現在値取得部12は、分析オーダ情報の適用条件に対応する現在値を取得する。前述のように本実施形態では、前記適用条件として、日付、曜日、時刻、及びラウンド番号(分析回数)を指定可能であるので、現在値取得部12は、これに対応した現在値、即ち、現在の日付、現在の曜日、現在の時刻、及び現在のラウンド番号を取得する。なお、現在の日付、現在の曜日及び現在の時刻は、PC内部の時計及びカレンダー機能を参照して取得することができる。
【0082】
続いてステップS303に進むと、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ情報選択ステップを実行する。このとき、制御部7は分析オーダ情報選択部13として機能する。具体的には、分析オーダ情報選択部13は、登録されている分析オーダ情報の中で、適用条件が成立している分析オーダ情報が存在するか否かの検索を行い、そのような分析オーダ情報が存在した場合には、当該分析オーダ情報を選択する。ここで、適用条件が成立するとは、具体的には、分析オーダ情報の適用条件として指定された日付又は曜日と、現在の日付又は曜日と、が合致し、かつ、当該分析オーダ情報の適用条件として指定された時刻又はラウンド番号と、現在の時刻又はラウンド番号と、が合致していることをいう。なお、適用条件と現在値とが合致するとは、適用条件として指定した値と上記現在値とが一致する場合の他、適用条件が範囲として指定されているときは(例えば図6では時刻が範囲として指定されている)、当該範囲内に現在値が含まれている場合も含む。
【0083】
適用条件が成立する分析オーダ情報が見つからない場合、制御部の処理はステップS306に進む。一方、適用条件が成立する分析オーダ情報が見つかり、当該分析オーダ情報が選択された場合、制御部7の処理はステップS304に進む。ただし、適用条件が成立している場合であっても、自動適用が無効化されている場合は、当該分析オーダ情報の適用条件は成立しなかったとみなしてステップS306へ進む。
【0084】
ステップS304に進むと、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ情報適用確認ステップを実行する。このとき、制御部7は、分析オーダ情報適用確認部15として機能する。具体的には、分析オーダ情報適用確認部15は、図10に示すように、分析オーダ情報適用確認メッセージを表示部4に表示させる。この分析オーダ情報適用確認メッセージの表示では、具体的には「条件が成立する分析オーダ情報が見つかりました。分析オーダ情報を適用しますか?」というメッセージとともに、分析オーダ情報を適用する旨を指定するYesボタン45と、分析オーダ情報を適用しない旨を指定するNoボタン59が表示される。
【0085】
このように、分析オーダ情報を適用するか否かをいったんユーザに問い合わせるので、ユーザの判断によって柔軟に分析オーダを作成することができる。
【0086】
ステップS304でYesボタン45が押された場合は、制御部7は処理をステップS305に進ませる。一方、Noボタン59が押された場合、制御部は、ステップS306へ処理を進ませる。
【0087】
ステップS305では、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ情報適用ステップを実行する。このとき、制御部7は、分析オーダ情報適用部14として機能する。具体的には、分析オーダ情報適用部14は、分析オーダ情報選択部13が選択した分析オーダ情報に基づいて、分析オーダを作成する。より具体的な処理としては、分析オーダ情報適用部14は、選択されている分析オーダ情報の内容(分析オーダ情報内容入力欄73に入力されていた内容)を、分析オーダ入力欄60にコピーする。
【0088】
例えば、月曜日の午前中にオーダ編集ボタン42が押されて分析オーダが作成された場合について考える。この場合、例えば図6に示す分析オーダ情報は適用条件が「毎週月曜日の0時00分から11時59分までの間(月曜日の午前中)」なので、当該分析オーダ情報の適用条件が成立している。従って、この分析オーダ情報が分析オーダ情報選択部13によって選択された後、分析オーダ情報適用確認メッセージが表示され、ユーザがYesボタン45を押すと、当該分析オーダ情報に登録されている内容(図6の分析オーダ情報登録画面で分析オーダ情報内容入力欄73に入力された内容)が、分析オーダ入力欄60にコピーされる。この結果、図10のように、図6の分析オーダ情報の内容に基づいて分析オーダが作成されたことになる。
【0089】
このように、分析オーダ情報の適用条件が成立すると、当該分析オーダ情報の内容に基づいて分析オーダが作成される。従って、定期的に行われる定型的な分析については、適切な適用条件を指定して分析オーダ情報に登録しておくことにより、分析オーダの編集に要する労力を大幅に削減することができる。また、適用条件が成立すれば、自動的に分析オーダ情報が適用されるので、分析オーダ情報を適用する時期をユーザが自らスケジュール管理する必要が無い。従って、分析のスケジュール管理も容易になる。
【0090】
更に、ユーザが分析オーダを作成するためには、オーダ編集ボタン42を押して分析オーダ編集画面を表示させなければならないが、本実施形態では、オーダ編集ボタン42を押すだけで、分析オーダ情報が選択され、適用される。従って、ユーザが分析オーダを作成する際に、分析オーダ情報の適用を忘れてしまうことを防止することができる。
【0091】
ユーザは、分析オーダ情報に基づいて作成された分析オーダを、分析オーダ編集画面で自由に編集することができる(S306)。例えば、図11の状態から、分析予定の患者検体の分析オーダを順次入力していくことにより、図4のような分析オーダを組むことができる。このように、自動的に作成された分析オーダを、ユーザが自由に編集できるので、状況に応じて柔軟に分析オーダを作成することができる。
【0092】
また、ステップS305において、分析オーダ情報適用部14は、分析オーダ情報の内容を分析オーダ入力欄60にコピーしているだけであるから、ユーザが当該分析オーダ入力欄60を編集しても、元の分析オーダ情報が上書きされる心配はない。このように、分析オーダ情報自体が不用意に上書きされることがないので、ユーザのミスによって分析オーダ情報の内容が失われてしまうことを防止できる。
【0093】
ユーザは、分析オーダの編集が完了すると、当該分析オーダを保存(S307)するために、分析オーダ保存ボタン61を押す。すると、これをトリガーとして、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ設定ステップを実行する。このとき、制御部7は、分析オーダ設定部10として機能する。具体的には、分析オーダ設定部10は、分析オーダ入力欄60に入力された内容(それぞれの検体のポジションと、当該検体の分析内容)を、記憶部6に記憶(設定)する。以上により、分析オーダの編集を終了する。以上のように分析オーダが設定されると、当該分析オーダに基づいて、検体の分析を行うことが可能となる。
【0094】
なお、S303で適用条件が成立する分析オーダ情報が見つからなかった場合、又はS304でNoボタン59が押された場合は、分析オーダ情報を適用することなく分析オーダの編集を開始する。この場合は、図9のように分析オーダ入力欄60に何も入力されていない状態から、ユーザが分析オーダを入力する。
【0095】
以上で説明したように、本実施形態の生化学自動分析装置1は、検体が収容された複数の検体管29を設置可能な検体トレイ28と、それぞれの検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する測定部24と、を備えており、以下のように構成されている。即ち、この生化学自動分析装置1は、分析オーダ設定部10と、分析オーダ情報登録部11と、現在値取得部12と、分析オーダ情報選択部13と、を備えている。分析オーダ設定部10は、検体が収容された検体管29の位置と、検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。分析オーダ情報登録部11は、分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する。現在値取得部12は、前記適用条件に対応する現在値を取得する。分析オーダ情報選択部13は、適用条件が現在値と合致した分析オーダ情報を選択する。
【0096】
また、本実施形態の分析制御プログラムは、分析オーダ設定ステップ(ステップS307)と、分析オーダ情報登録ステップ(ステップS204)と、現在値取得ステップ(ステップS302)と、分析オーダ情報選択ステップ(ステップS303)と、を含む処理をコンピュータに実行させる。分析オーダ設定ステップでは、検体が収容された検体管29の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。分析オーダ情報登録ステップでは、分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する。現在値取得ステップでは、前記適用条件に対応する現在値を取得する。分析オーダ情報選択ステップでは、適用条件が現在値と合致した分析オーダ情報を選択する。
【0097】
このように、予め分析オーダ情報を作成しておき、当該分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成するように構成することで、ユーザが手作業で入力する手間を軽減することができるともに、入力ミスを防ぐことができる。また、分析オーダ情報に条件を関連付けて登録しておくことにより、条件が成立した分析オーダ情報を自動的に選択することができる。
【0098】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1は、分析オーダ情報選択部13が選択した分析オーダ情報に基づいて、分析オーダを作成する分析オーダ情報適用部14を備えている。
【0099】
これにより、条件が成立した分析オーダ情報が自動的に適用されて分析オーダが作成されるので、適切な分析オーダを作成することができる。
【0100】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1は、以下のように構成されている。即ち、前記検体の分析内容は、少なくとも、当該検体の種類を示す情報を含んでいる。そして、前記検体の種類としては、少なくとも、キャリブレーション用の標準検体と、精度管理用のコントロール検体と、の中から、何れか1つを指定することができる。
【0101】
即ち、キャリブレーションや精度管理は定型的な分析であるため、分析オーダ情報に登録しておくことにより、当該キャリブレーションや精度管理のための検体を分析オーダに登録する手間を省くことができる。また、例えばキャリブレーションや精度管理を実施する日時等を適用条件として指定して分析オーダ情報を登録しておけば、キャリブレーションや精度管理を実施し忘れてしまうことを防止することができる。
【0102】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1は、前記分析オーダ情報適用部14において分析オーダ情報に基づく前記分析オーダの作成が行われる前に、当該分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かをユーザに問い合わせる分析オーダ情報適用確認部15を備えている。
【0103】
これにより、ユーザが望まない場合には、分析オーダを作成する際に分析オーダ情報を適用しないようにすることができる。従って、状況に応じて柔軟に分析を行うことができる。
【0104】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1は、以下のように構成されている。即ち、この生化学自動分析装置1は、表示部4を備える。当該表示部4には、分析オーダの編集を行う分析オーダ編集画面を表示可能である。また、表示部4には、ユーザが操作することにより前記分析オーダ編集画面を呼び出すためのオーダ編集ボタン42が表示されている。オーダ編集ボタン42が操作されると、現在値取得部12によって適用条件に対応した現在値が取得される。次に、分析オーダ情報選択部13によって適用条件が現在値と合致する分析オーダ情報が選択される。そして、分析オーダ情報適用確認部15は、前記分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かの確認メッセージを表示部4に表示する。
【0105】
これにより、ユーザが分析オーダを編集するために分析オーダ編集画面を表示させようとすると、自動的に分析オーダ情報が選択されるとともに、当該分析オーダ情報が適用される前に確認メッセージが表示される。このように、分析オーダを編集しようとする操作を行っただけで分析オーダ情報を適用可能であり、当該分析オーダ情報を適用するための特別な操作が必要ないので、分析オーダ情報の適用を忘れてしまうことを防止できる。
【0106】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1において、前記適用条件は、日付、曜日、時刻、ラウンド番号を指定することが可能である。
【0107】
このように、分析オーダ情報の適用条件として、例えば日付、曜日、時刻、分析回数等を指定することができるので、当該特定の日付、曜日、時刻、又は分析回数になると、当該分析オーダ情報が自動的に適用されるので、入力の手間が省けるとともに、定期的な分析を実施し忘れてしまうことを防ぐことができる。
【0108】
次に、本発明の変形例について説明する。前述のようにキャリブレーションや精度管理をどの程度の頻度で行うかはユーザの判断によるものであるため、生化学自動分析装置1のメーカが、分析オーダ情報を予め用意しておくことは現実的ではない。しかしながら、キャリブレーションや精度管理は定型的な操作であるため、分析オーダ情報の基になる情報、即ちメタ分析オーダ情報を用意しておくことはできると考えられる。
【0109】
例えば、図6に示す分析オーダ情報内容入力欄73の、検体種類(Type)の欄だけ入力されたメタ分析オーダ情報をメーカが予め用意しておき、ユーザが検査項目(Method)の欄を埋めることにより分析オーダ情報を完成させる、というように構成することができる。なお、メタ分析オーダ情報が予め用意されているとは、予めデータとして用意されている場合のほか、予め用意されたアルゴリズムに従って自動的に作成される場合も含む。
【0110】
また、メタ分析オーダ情報に基づいて分析オーダ情報を登録するように構成する場合、最適なメタ分析オーダ情報を自動的に選択し、ユーザに提示できれば更に好ましい。例えば、分析オーダ情報を新規に登録すべくユーザが分析オーダ情報登録ボタン43を押すと、制御部7は、表示部4に、所定期間内の分析回数等を入力する入力欄を表示させる。ユーザは、これから登録しようとしている分析オーダ情報を用いた分析を、所定期間内にどの程度実行する予定か等を入力する。すると、制御部7は、当該指定された分析回数等から、当該新規の分析オーダ情報に含ませるべきキャリブレーション及び精度管理等を判断して、適切なメタ分析オーダ情報をユーザに提示する。なおこのとき、既に作成された分析オーダ情報が存在しており、当該既成の分析オーダ情報を元に新しい分析オーダ情報を作成した方が適切であると判断できる場合には、メタ分析オーダ情報に代えて当該既成の分析オーダ情報をユーザに提示しても良い。
【0111】
以上で説明したように、本変形例の生化学自動分析装置1においては、メタ分析オーダ情報が予め用意されており、前記メタ分析オーダ情報に基づいて前記分析オーダ情報を作成することが可能である。
【0112】
即ち、定型的な分析については、予め用意されたメタ分析オーダ情報に基づいて分析オーダ情報を作成することにより、分析オーダ情報作成の手間を削減することができる。
【0113】
また、本変形例の生化学自動分析装置1において、前記分析オーダ情報を作成する際に、所定期間内の分析回数をユーザが入力すると、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を選択して提示するように構成されている。
【0114】
このように、分析オーダ情報を作成する際に、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を自動的に選択して提示するので、当該分析オーダ情報を作成する際のユーザの負担を軽減することができる。
【0115】
次に、上記実施形態の別の変形例について説明する。キャリブレーションや精度管理は、失敗する場合がある。ここで、キャリブレーションの失敗とは、作成された検量線の式が予想された式と大きく異なる場合をいう。また、精度管理の失敗とは、コントロール検体を分析した結果が所定の許容範囲を超えてしまった場合をいう。このように失敗した場合にはキャリブレーションや精度管理を再実行する必要がある。
【0116】
そこで、この変形例では、キャリブレーション用の標準検体や精度管理用のコントロール検体が登録された分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成し、当該分析オーダに従った分析を行った場合であって、当該キャリブレーションや精度管理が失敗した場合は、次回に分析を行う際に、適用条件が成立しているか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を適用するように構成している。即ち、分析オーダ情報の適用条件が成立しているか否かにかかわらず、失敗したキャリブレーション又は精度管理をやり直すようにしている。これにより、キャリブレーションや精度管理のやり直しの際にユーザが分析オーダを入力しなければならないという手間を削減することができる。
【0117】
以上で説明したように、本変形例の生化学自動分析装置1は、以下のように構成されている。即ち、前記標準検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいてキャリブレーションを実施した場合において、当該キャリブレーションが失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、前記分析オーダ情報選択部13は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択する。
【0118】
これにより、キャリブレーションが失敗した場合、次回の分析時にキャリブレーションを再実行させることができる。
【0119】
また、本変形例の生化学自動分析装置1は、以下のように構成されている。即ち、前記コントロール検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいて精度管理を実施した場合において、当該精度管理が失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、分析オーダ情報選択部13は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択する。
【0120】
これにより、精度管理が失敗した場合、次回の分析時に精度管理を再実行させることができる。
【0121】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0122】
上記実施形態では、検体分析装置は生化学自動分析装置であるとして説明した。しかし本発明の構成はこれに限らず、例えば免疫分析装置等の他の種類の検体分析装置にも適用することができる。
【0123】
分析制御装置は一般的なPCであるとしたが、専用機器であっても良い。
【0124】
また、生化学分析装置本体3と分析制御装置2は、一体化されていても良い。
【0125】
上記の説明では、分析オーダに入力できる情報は、各ポジションの検体の種類と分析項目であるとしたが、これに限らず、検体に関する様々な情報を入力できるようにすることができる。例えば、標準検体やコントロール検体の製造番号等を入力できるようにしても良い。
【0126】
検体の種類としては、患者検体、標準検体、コントロール検体の3種類を例示したが、検体の種類はこれだけに限らない。例えばブランクを指定できるようにしても良い。また上記実施形態では、分析オーダ情報に登録する検体の例としてキャリブレーション用の標準検体と、精度管理用のコントロール検体と、を挙げたが、これ以外の検体を分析オーダ情報に登録することも可能である。即ち、キャリブレーションや精度管理以外であっても、定期的に行う必要がある定型的な分析については、当該分析に係る検体を分析オーダ情報に登録しておくことにより、ユーザが分析オーダを作成する際の負担を低減することができる。
【0127】
分析オーダ情報の適用条件は、日付、曜日、時刻、ラウンド番号等に限らず、その他適宜の条件を指定することができる。
【0128】
上記実施形態では、分析オーダ情報は、分析オーダ情報登録画面で行うものとしたが、この構成に限らない。例えば、図4のように分析オーダ編集画面で分析オーダを入力した後、当該分析オーダを、そのまま分析オーダ情報として登録することができるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0129】
1 生化学自動分析装置(検体分析装置)
2 分析制御装置
3 生化学分析装置本体
4 表示部
7 制御部
10 分析オーダ設定部
11 分析オーダ情報登録部
12 現在値取得部
13 分析オーダ情報選択部
14 分析オーダ情報適用部
15 分析オーダ情報適用確認部
24 測定部(分析実行部)
28 検体トレイ(検体管設置部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、検体分析装置に関する。詳細には、検体分析装置において自動分析を実行する際の分析オーダの入力を支援ないし補助する機能に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば血漿、血清、尿等を検体として使用してコレステロール値等を検査するには、生化学自動分析装置等の検体分析装置が用いられる。生化学自動分析装置においては、検体に所定の試薬を反応させ、この反応液の吸光度を測定して、得られたデータからコレステロール値等の検査結果を得る。
【0003】
この種の分析装置においては、試薬の劣化や、装置状態の変化等が検査結果に影響を及ぼす。そこで、検査結果の精度を維持するために、キャリブレーションや精度管理といった操作が定期的又は不定期的に行われる。キャリブレーションとは、既知濃度の標準検体を生化学自動分析装置で測定して、検量線を作成する操作である。また精度管理とは、既知濃度のコントロール検体を生化学自動分析装置で検査して、検査結果が所定範囲内に収まっているか否かを判定することにより、分析精度が保たれているか否かを判定する操作である。
【0004】
上記キャリブレーションや精度管理をどの程度の頻度で行うかは、最終的にはユーザの判断に委ねられており、生化学自動分析装置のメーカが一律に決定できるものではない。従って、ユーザは、キャリブレーションや精度管理を行うスケジュールを自ら計画し、当該スケジュールに従って、キャリブレーションや精度管理を行う必要がある。しかしながら、このスケジュールの管理を全てユーザに任せてしまうと、キャリブレーションや精度管理の実行をユーザが忘れてしまうおそれがあり、この場合は分析結果の精度が保証されないことになる。特に、生化学自動分析装置は一般的に複数種類の試薬を使用するため、キャリブレーションや精度管理も測定項目ごとに行わなければならず、上記スケジュールの管理が煩雑になってしまうという問題がある。
【0005】
この点、特許文献1は、将来の一定期間に対するキャリブレーション及び精度管理の実施スケジュール表を自動的に作成・表示する機能を有する自動分析装置を開示している。特許文献1は、これにより、各ユーザ施設において日付毎の分析スケジュールの立案や検査技師のアサインを適切に行うことができるとともに、キャリブレーションや精度管理に必要な試薬の事前準備や在庫管理を効率的に行うことができるとしている。
【0006】
また、特許文献2は、ユーザの指示に応じて、分析項目名と、当該分析項目のキャリブレーション又は精度管理を実行すべき分析ユニット名と、を画面上に表示させる自動分析装置支援システムを開示している。特許文献1は、これにより、キャリブレーション又は精度管理すべき分析項目を、オペレータに容易に知らせることができ、必要性が発生した特定の分析ユニットのために所定のキャリブレーション又は精度管理を的確に実行させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−168730号公報
【特許文献2】特開平10−339732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、複数の検体をセットして自動分析を行う生化学分析装置においては、どの検体に対してどのような分析を行うべきかという情報(分析オーダ)を予め設定しておく必要がある。このような操作を、オーダ登録という。このようにオーダ登録を行うことにより、例えば検査項目が異なる検体が混在している場合であっても、適切に分析を行うことができる。
【0009】
このようなオーダ登録は、キャリブレーションや精度管理を行う際にも必要となる。即ち、キャリブレーションを行う際には、既知濃度の検体を生化学自動分析装置にセットしたうえで、当該検体をキャリブレーション用の標準検体としてオーダ登録する。また、精度管理を行う際には、既知濃度の検体を生化学自動分析装置にセットしたうえで、当該検体を精度管理用のコントロール検体としてオーダ登録する。ここで前述のように、キャリブレーションや精度管理は定期的に実行すべきものであるため、標準検体やコントロール検体のオーダ登録も定期的に繰り返し行う必要がある。しかし、標準検体やコントロール検体について、ユーザが毎回同じようなオーダ登録を行わなければならないようでは、ユーザにとって手間であり、また入力ミス等のおそれもある。
【0010】
この点、特許文献1が開示する自動分析装置は、キャリブレーション及び精度管理の実施スケジュール表を表示するのみであるから、ユーザとしては、当該表示されたスケジュール表を見た後、標準検体やコントロール検体のオーダ登録を自ら行わなければならない。従って、特許文献1の構成では、オーダ登録の際の手間を削減し、入力ミスを低減させるという課題を解決することができない。
【0011】
一方、特許文献2は、キャリブレーション又は精度管理の必要性が生じた場合に、ユーザが適宜のボタンを操作すると、当該キャリブレーション又は精度管理が起動される構成を開示している。しかしこの構成では、標準検体やコントロール検体を予めオーダ登録をしておくことができないため、柔軟性に欠ける。
【0012】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、オーダ登録を行う際のユーザの負担及び入力ミスを低減することができる検体分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0014】
本発明の第1の観点によれば、検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、を備えた検体分析装置であって、以下のように構成された検体分析装置が提供される。即ち、この検体分析装置は、分析オーダ設定部と、分析オーダ情報登録部と、現在値取得部と、分析オーダ情報選択部と、を備える。前記分析オーダ設定部は、検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。前記分析オーダ情報登録部は、前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する。前記現在値取得部は、前記適用条件に対応する現在値を取得する。前記分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する。
【0015】
このように、予め分析オーダ情報を作成しておき、当該分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成するように構成することで、ユーザが手作業で入力する手間を軽減することができるともに、入力ミスを防ぐことができる。また、分析オーダ情報に条件を関連付けて登録しておくことにより、条件が成立した分析オーダ情報を自動的に選択することができる。
【0016】
前記の検体分析装置は、前記分析オーダ情報選択部が選択した分析オーダ情報に基づいて、前記分析オーダを作成する分析オーダ情報適用部を備えることが好ましい。
【0017】
これにより、条件が成立した分析オーダ情報が自動的に適用されて分析オーダが作成されるので、適切な分析オーダを作成することができる。
【0018】
前記の検体分析装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記検体の分析内容は、少なくとも、当該検体の種類を示す情報を含んでいる。そして、前記検体の種類としては、少なくとも、キャリブレーション用の標準検体と、精度管理用のコントロール検体と、の中から、何れか1つを指定することができる。
【0019】
即ち、キャリブレーションや精度管理は定型的な分析であるため、分析オーダ情報に登録しておくことにより、当該キャリブレーションや精度管理のための検体を分析オーダに登録する手間を省くことができる。また、例えばキャリブレーションや精度管理を実施する日時等を適用条件として指定して分析オーダ情報を登録しておけば、キャリブレーションや精度管理を実施し忘れてしまうことを防止することができる。
【0020】
前記の検体分析装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記標準検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいてキャリブレーションを実施した場合において、当該キャリブレーションが失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、前記分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択する。
【0021】
これにより、キャリブレーションが失敗した場合、次回の分析時にキャリブレーションを再実行させることができる。
【0022】
前記の検体分析装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記コントロール検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいて精度管理を実施した場合において、当該精度管理が失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択する。
【0023】
これにより、精度管理が失敗した場合、次回の分析時に精度管理を再実行させることができる。
【0024】
前記の検体分析装置は、前記分析オーダ情報適用部において分析オーダ情報に基づく前記分析オーダの作成が行われる前に、当該分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かをユーザに問い合わせる分析オーダ情報適用確認部を備えることが好ましい。
【0025】
これにより、ユーザが望まない場合には、分析オーダを作成する際に分析オーダ情報を適用しないようにすることができる。従って、状況に応じて柔軟に分析を行うことができる。
【0026】
前記の検体分析装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この検体分析装置は、表示部を備える。当該表示部には、前記分析オーダの編集を行う分析オーダ編集画面を表示可能である。また、前記表示部には、ユーザが操作することにより前記分析オーダ編集画面を呼び出すための分析オーダ編集画面呼出部が表示されている。前記分析オーダ編集画面呼出部が操作されると、前記現在値取得部によって前記現在値が取得される。次に、前記分析オーダ情報選択部によって適用条件が前記現在値と合致する分析オーダ情報が選択される。そして、分析オーダ情報適用確認部は、前記分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かの確認メッセージを前記表示部に表示する。
【0027】
このように、ユーザが分析オーダを編集するために分析オーダ編集画面を表示させようとすると、自動的に分析オーダ情報が選択されるとともに、当該分析オーダ情報が適用される前に確認メッセージが表示される。このように、分析オーダを編集しようとする操作を行っただけで分析オーダ情報を適用可能であり、当該分析オーダ情報を適用するための特別な操作が必要ないので、分析オーダ情報の適用を忘れてしまうことを防止できる。
【0028】
前記の検体分析装置において、前記適用条件は、日付、曜日、時刻、又は分析回数のうち、少なくとも何れか1つを指定可能であることが好ましい。
【0029】
このように、分析オーダ情報の適用条件として、例えば日付、曜日、時刻、分析回数等を指定することができるので、当該特定の日付、曜日、時刻、又は分析回数になると、当該分析オーダ情報が自動的に適用されるので、入力の手間が省けるとともに、定期的な分析を実施し忘れてしまうことを防ぐことができる。
【0030】
前記の検体分析装置においては、メタ分析オーダ情報が予め用意されており、前記メタ分析オーダ情報に基づいて、前記分析オーダ情報を作成することが可能であることが好ましい。
【0031】
即ち、定型的な分析については、予め用意されたメタ分析オーダ情報に基づいて分析オーダ情報を作成することにより、分析オーダ情報作成の手間を削減することができる。
【0032】
前記の検体分析装置において、前記分析オーダ情報を作成する際に、所定期間内の分析回数をユーザが入力すると、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を選択して提示することが好ましい。
【0033】
このように、分析オーダ情報を作成する際に、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を自動的に選択して提示するので、当該分析オーダ情報を作成する際のユーザの負担を軽減することができる。
【0034】
本発明の第2の観点によれば、検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、を備えた検体分析装置を制御するための分析制御プログラムであって、以下のプログラムが提供される。即ち、この分析制御プログラムは、分析オーダ設定ステップと、分析オーダ情報登録ステップと、現在値取得ステップと、分析オーダ情報選択ステップと、を含む処理をコンピュータに実行させる。前記分析オーダ設定ステップでは、検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。前記分析オーダ情報登録ステップでは、前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する。前記現在値取得ステップでは、前記適用条件に対応する現在値を取得する。前記分析オーダ情報選択ステップでは、前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する。
【0035】
このように、予め分析オーダ情報を作成しておき、当該分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成するように構成することで、ユーザが手作業で入力する手間を軽減することができるともに、入力ミスを防ぐことができる。また、分析オーダ情報に条件を関連付けて登録しておくことにより、条件が成立した分析オーダ情報を自動的に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る生化学自動分析装置の構成を示す図。
【図2】生化学自動分析装置を用いた分析の流れを説明するフローチャート。
【図3】表示部に表示される初期画面の内容を示す図。
【図4】分析オーダ編集画面の表示内容を例示する図。
【図5】分析オーダ情報登録処理のフローチャート。
【図6】分析オーダ情報登録画面の1例を示す図。
【図7】分析オーダ情報登録画面の他の例を示す図。
【図8】分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成する流れを説明するフローチャート。
【図9】分析オーダ編集画面を最初に開いた状態を示す図。
【図10】分析オーダ情報適用確認メッセージの表示例を示す図。
【図11】分析オーダ情報が適用されて作成された分析オーダの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の1実施形態に係る検体分析装置としての生化学自動分析装置1は、分析制御装置2と、生化学分析装置本体3と、から構成されている。図1には、分析制御装置2の機能的な構成を示すブロック図と、生化学分析装置本体3の模式的な平面図と、が示されている。
【0038】
分析制御装置2は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)として構成されており、表示部4と、操作部5と、記憶部6と、制御部7と、通信部8と、を備えている。
【0039】
表示部4は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置として構成される。操作部5は、キーボード、マウス等の入力装置から構成される。記憶部6は、ハードディスク等の記憶装置として構成されているが、例えばCD−ROM等の外部記憶媒体であっても良い。この記憶部6には、生化学自動分析装置1による分析を制御するための分析制御プログラムが記憶されている。この分析制御プログラムには、分析オーダ設定ステップと、分析オーダ情報登録ステップと、現在値取得ステップと、分析オーダ情報選択ステップと、分析オーダ情報適用ステップと、分析オーダ情報適用確認ステップと、が含まれている。
【0040】
制御部7は、CPU、ROM、RAM等から構成されている。制御部7は、表示部4、操作部5、記憶部6、通信部8等と通信可能に構成されている。制御部7は、記憶部6に記憶された分析制御プログラムを読み込んで実行することにより、分析オーダ設定部10、分析オーダ情報登録部11、現在値取得部12、分析オーダ情報選択部13、分析オーダ情報適用部14、分析オーダ情報適用確認部15等として機能することができるように構成されている。
【0041】
通信部8は、例えばLANボード等の外部通信アダプタとして構成されている。この通信部8には、LANケーブル等を介して生化学分析装置本体3が接続されている。これにより、分析制御装置2と生化学分析装置本体3との間で、制御信号及びデータの相互通信が可能となっている。
【0042】
生化学分析装置本体3は、血漿、血清、尿等を検体として、コレステロール値等の各種検査項目を検査する目的で使用されるものである。簡単に説明すると、生化学分析装置本体3は、検体庫21にセットされている検体と、試薬庫22にストックされている試薬と、を反応槽23で反応させ、その反応液の吸光度を測定部24にて測定するように構成されている。
【0043】
この生化学自動分析装置1を用いた分析の流れについて、図2のフローチャートを参照して簡単に説明する。
【0044】
まず、ユーザが電源を入れることにより、又はタイマ等による自動ウェークアップ機能により、分析制御装置2及び生化学分析装置本体3が起動される(ステップS101)。続いて、ユーザにより、試薬庫22への試薬の設置(ステップS102)と、検体庫21への検体の設置(ステップS103)と、が行われる。次に、ユーザが分析制御装置2を操作することにより、分析オーダの登録(オーダ登録)が行われる(ステップS104)。なお、オーダ登録については後述する。
【0045】
続いて、ユーザが所定の分析開始操作を行うことにより、登録された分析オーダに従って、生化学分析装置本体3による測定が開始される(ステップS105)。この測定結果は、分析制御装置2の制御部7に送信される。分析制御装置2においては、測定部24から送信されてきた測定データに基づいて検査結果を求め、当該検査結果を表示部4に表示等する(ステップS106)。全ての測定が完了すると、分析制御装置2及び生化学分析装置本体3の電源をOFF、又はスリープさせる(ステップS107)ことにより、フローを終了させる。
【0046】
次に、生化学分析装置本体3の構成について詳しく説明する。
【0047】
反応槽23はターンテーブル25を備えており、このターンテーブル25上に、検体と試薬との反応容器であるセル26が環状に複数個(図1では90個)並べて配置されている。ターンテーブル25の近傍には光度計として構成された測定部(分析実行部)24が配置されており、セル26内の反応液の吸光度を測定するように構成されている。また、ターンテーブル25は、例えば図1の反時計回りに間欠的に回転させることができるように構成されている。このようにターンテーブル25を間欠的に回転させることにより、測定部24で吸光度を測定するセル26を、順次切り換えることができる。なお、反応槽23内は、検体と試薬との反応を進行させるのに適切な温度に保たれている。従って、測定部24における吸光度の測定を待っている間に、セル26の内部において検体と試薬とを適度に反応させることができる。
【0048】
ターンテーブル25の回転方向で見たときに、測定部24よりも下流側には、測定が終了したセル26内の反応液を廃棄して当該セル26を洗浄するためのセル洗浄部27が配置されている。これにより、測定が終了したセル26を再使用することができる。
【0049】
ターンテーブル25の回転方向で見たときに、セル洗浄部27よりも更に下流側には、検体庫21が配置されている。検体庫21は、回転可能な検体トレイ28を備えている。この検体トレイ(検体管設置部)28は、血漿、血清、尿等の検体(患者検体)が入った検体管29を、環状に複数(図1では92個)並べて搭載可能である。また、検体トレイ28の、各検体管29を保持する位置には、それぞれ固有のポジション番号が付与されている。
【0050】
また検体庫21の近傍には、検体管29内の検体を所定量吸い上げて、反応槽23のセル26内に滴下する検体ノズル30が配置されている。なお、検体ノズル30の近傍には、ノズル洗浄部31が配置されており、検体の滴下を行った検体ノズル30を洗浄液で洗浄できるように構成されている。
【0051】
ターンテーブル25の回転方向で見たときに、検体庫21よりも更に下流側には、試薬庫22が配置されている。試薬庫22は、回転可能な試薬トレイ32を備えている。この試薬トレイ32は、試薬が入った試薬ボトル33を環状に複数個(図1では60個)並べて搭載可能である。また試薬庫22の近傍には、試薬ボトル33内の検体を所定量吸い上げて、反応槽23のセル26内に滴下する試薬ノズル34が配置されている。なお、本実施形態の生化学分析装置本体3は、試薬ノズル34を2本備えており、2試薬系の検査項目にも対応できるように構成されている。
【0052】
以上のように構成された生化学分析装置本体3によって検体を測定する様子について簡単に説明すると、以下のとおりである。セル洗浄部27で洗浄されたセル26(空のセル)は、ターンテーブル25の回転により、下流側に送られる。送られてきた空のセル26には、検体ノズル30によって、所定量の検体が滴下される。検体が滴下されたセル26は、更に下流側に送られ、試薬ノズル34によって所定の試薬を所定量滴下される。セル26内においては、検体と試薬とが反応し、反応液となる。反応液を入れたセル26は、更に下流側へ送られ、測定部24で吸光度を測定される。そして、測定部24による測定結果が、分析制御装置2に送信される。
【0053】
次に、本実施形態の分析制御装置2の主要な機能について説明する。分析制御装置2は、主要には、分析オーダを編集する機能と、当該分析オーダに従って生化学分析装置本体3による分析を実施する自動分析機能と、分析オーダ情報(後述)を登録する分析オーダ情報登録機能と、を有している。
【0054】
分析制御装置2が起動されると、表示部4には、図3に示すような初期画面が表示される。図3の左側は、分析制御装置2の主要な機能を選択するための機能選択部40であり、自動分析開始を指示する分析開始ボタン41、分析オーダ編集機能の呼び出しを指示するオーダ編集ボタン(分析オーダ編集画面呼出部)42、分析オーダ情報登録機能の呼び出しを指示するオーダ情報登録ボタン43等が表示されている。ユーザは、操作部5を適宜操作することにより、機能選択部40に表示されている各ボタン41,42,43のうち何れかを押して、各機能を呼び出すことができる。図3の右側は、ユーザが押したボタン41,42,43に応じて、各種項目を表示する機能別表示部44である。なお、図3の初期画面においては、ボタン41,42,43の何れも操作されていないので、機能別表示部44には特に何も表示されていない。
【0055】
続いて、分析制御装置2における分析オーダの編集について説明する。ここで分析オーダとは、「どの検体に対してどのような分析内容の分析を行うべきか」を設定する設定データのことを指す。
【0056】
本実施形態の分析制御装置2において分析オーダの編集を行う際には、ユーザは、図3のオーダ編集ボタン42を押して分析オーダ編集機能を呼び出す。すると、分析オーダ情報適用確認メッセージ(後述)等が表示部に表示された後、分析オーダ編集画面が表示される。ユーザは、この分析オーダ編集画面で分析オーダを適宜編集することができる。
【0057】
このように分析オーダの編集を行っている途中の様子を、図4に例示する。図4に示すように、分析オーダ編集画面では、分析オーダ入力欄60と、分析オーダ保存ボタン61と、が表示される。
【0058】
分析オーダ入力欄60には、分析オーダの内容を適宜入力することができる。図4を参照して、分析オーダの内容について簡単に説明する。分析オーダは、検体トレイ28のポジション番号(Pos.)に対して、当該ポジションにセットされる検体の種類(Type)と、当該検体に対して行うべき検査項目(Method)と、を指定するものである。例えば図4の分析オーダ入力欄60に入力されている分析オーダに即して説明すると、番号1番から3番のポジションにセットされた検体は、キャリブレーション用の標準検体であり、その検査項目は「検査項目A」であることが指定されている。また、番号4番のポジションにセットされた検体は、精度管理用のコントロール検体であり、その検査項目は「検査項目B」であることが指定されている。また、番号5番以降のポジションにセットされた検体は、通常の分析対象となる患者検体であり、それぞれの検体に対して実施すべき検査の検査項目が指定されている。なお、図4等では検査項目(Method)を入力する欄は各検体につき1つずつとなっているが、1つの検体に対して複数の検査項目を設定することもできる。
【0059】
分析オーダ入力欄60の内容は、適宜の操作によって、追加、削除、ないし変更することができる。なお、本実施形態では、検体の種類として、「患者検体」、「標準検体」、「コントロール検体」等を指定可能となっている。また、分析オーダ保存ボタン61を押すことで、分析オーダ入力欄60に入力した分析オーダの内容を保存(設定)することができる。
【0060】
続いて、分析オーダに従った自動分析について説明する。分析開始ボタン41を押すことにより、保存された分析オーダに従った自動分析を開始することができる。図4に例示した分析オーダに従った自動分析について具体的に説明すると、以下のとおりである。即ち、図4の分析オーダに従って自動分析を開始すると、生化学分析装置本体3は、1番から3番までのポジションにセットされている検体を、それぞれ「検査項目A」に対応する試薬と反応させた後、測定部24で測定を行い、その結果を分析制御装置2に送信する。分析制御装置2においては、当該測定結果に基づいて、「検査項目A」についての検量線を作り直す(キャリブレーション)。
【0061】
次に、生化学分析装置本体3は、4番のポジションにセットされている検体を、「検査項目B」に対応する試薬と反応させた後、測定部24で測定を行い、その結果を分析制御装置2に送信する。分析制御装置2においては、当該測定結果に基づいて、「検査項目B」についての精度管理を実施する。
【0062】
次に、生化学分析装置本体3の測定部24は、5番以降のポジションにセットされている検体を、それぞれ分析オーダで指定されている検査項目に対応する試薬と反応させた後、測定部24で測定を行い、その結果を分析制御装置2に送信する。分析制御装置2においては、当該測定結果と、既に作成されている検量線と、に基づいて、前記検査項目についての検査結果を求める。
【0063】
以上のように、測定部24においては、それぞれの検体に対応した検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行するように構成されている。そして、患者検体、標準検体、コントロール検体が混在し、しかもそれぞれの検体の検査項目が異なる場合であっても、分析内容(検体の種類、及び検査項目)を予め分析オーダに登録しておくことにより、適切に分析を行うことができる。
【0064】
ところで、一般的に、上記のような分析オーダの編集は、自動分析を行うごとに行われる。これは、患者検体の数や分析項目等は、通常、毎回異なるためである。一方で、キャリブレーションや精度管理はいわば定型的な分析であるため、標準検体やコントロール検体のオーダ登録は毎回同じようなものとなる。図4の例でいうと、ポジション番号1番から4番までの分析オーダは、検査項目Aのキャリブレーション及び検査項目Bの精度管理を行う際に毎回同じ内容を入力しなければならない。
【0065】
そこで本実施形態の生化学自動分析装置1では、分析オーダの入力に要するユーザの負担を低減するため、分析オーダのうち定型的な部分(例えば図4のポジション番号1番から4番までの内容)を、予め登録しておき、当該登録した分析オーダに基づいて、新しい分析オーダを作成できるように構成されている。
【0066】
しかしながら、キャリブレーションや精度管理は、一定の周期で間欠的(例えば一週間ごと)に行われることも多く、自動分析を行うごとに(分析オーダを作成するごとに)実行されるとは限らない。従って、予め登録した分析オーダを毎回用いるということは現実的ではない。一方で、新しく分析オーダを作成する際に、予め登録しておいた分析オーダを用いるか否かの判断を全てユーザに任せてしまうと、予め登録しておいた分析オーダの適用をユーザが忘れてしまうおそれがある。
【0067】
そこで、本実施形態の分析制御プログラムにおいては、分析オーダと、適用条件と、を関連付けて、「分析オーダ情報」として登録できるようになっている。このように、分析オーダを適用条件と関連付けて登録することにより、当該適用条件が成立した場合には当該分析オーダ情報を自動的に適用し、適用条件が成立しない場合には当該分析オーダ情報を適用しないようにすることができる。
【0068】
以下、分析オーダ情報の登録について説明する。分析オーダ情報の登録を行う場合、ユーザは、操作部5を適宜操作して分析オーダ情報登録ボタン43を押す。これをトリガーとして、制御部7は、図5のフローを開始させるとともに、表示部4に分析オーダ情報登録画面を表示させる。この分析オーダ情報登録画面の表示例を、図6に示す。図6に示すように、この分析オーダ情報登録画面には、分析オーダ情報識別情報入力欄71と、適用条件入力欄72と、分析オーダ情報内容入力欄73と、分析オーダ情報保存ボタン74と、が表示される。
【0069】
ユーザは、分析オーダ情報識別情報入力欄71に対して、新しく作成する分析オーダ情報の番号及び名称を入力する(ステップS201)。
【0070】
分析オーダ情報の番号は、各分析オーダ情報を識別するための番号であり、分析オーダ情報番号入力欄46に入力する。なお、分析オーダ情報番号入力欄46は、いわゆるプルダウンリスト式の入力欄であり、本実施形態では1から10までの番号を指定できるようになっている。即ち、本実施形態の生化学自動分析装置1では、分析オーダ情報を10個まで登録することができる。もっとも、登録できる分析オーダ情報の数はいくつでも良く、10個に限定されるわけではない。分析オーダ情報の名称は、ユーザが各分析オーダ情報を識別し易いように任意の文字列を指定するものであり、名称入力欄47に入力する。
【0071】
続いて、ユーザは、適用条件入力欄72に対して、当該新しく作成した分析オーダ情報の適用条件を入力する(ステップS202)。
【0072】
分析オーダ情報の適用条件は、各分析オーダ情報が適用される条件を指定するものであり、分析オーダ情報ごとに異なる適用条件を設定することができる。本実施形態では、日付又は曜日と、時間又はラウンド番号を指定することができるようになっている。例えば図6の例では、曜日入力欄49に「Mon(月曜日)」が入力され、時間入力欄51には「00:00〜11:59」と入力されている。この場合、「毎週月曜日の0時00分から11時59分までの間」が当該分析オーダ情報の適用条件となる。
【0073】
一方、例えば図7の例では、曜日の代わりに日付を、時間の代わりにラウンド番号を、それぞれ指定した例が示されている。図7の例では、日付入力欄55に「1」が入力され、ラウンド番号入力欄には「1」が入力されている。ここで、ラウンド番号とは、生化学分析装置本体3の電源を入れてからの累積の分析回数を指す。従って、図7の例では、「毎月1日に生化学分析装置の電源を入れた最初の分析のとき」が当該分析オーダ情報の適用条件となる。
【0074】
なお、日付と曜日の何れを適用条件として使用するかは、日付/曜日選択欄48によって指定する。日付/曜日選択欄48は、プルダウンリスト式の入力欄であり、「Day(日付)」と「Week(曜日)」の何れか一方を選択することができるようになっている。日付/曜日選択欄48で「Week」を選択すると、図6に示すように、日付/曜日選択欄48の右側に曜日入力欄49が表示される。これにより、適用条件として曜日を入力することができる。一方、日付/曜日選択欄48で「Day」を選択すると、図7に示すように、日付/曜日選択欄48の右側に日付入力欄55が表示される。これにより、適用条件として日付を入力することができる。なお、日付としては、月内の日付(1日〜31日)のうち何れかを指定できる他、「月末」又は「毎日」を指定することもできる。また、期間(何日から何日までの間など)を指定することができても良い。
【0075】
同様に、時間とラウンド番号の何れを適用条件として使用するかは、時間/ラウンド番号選択欄50によって指定する。時間/ラウンド番号選択欄50は、プルダウンリスト式の入力欄であり、「Time(時間)」と「Round No.(ラウンド番号)」の何れか一方を選択することができるようになっている。時間/ラウンド番号選択欄50で「Time」を選択すると、図6に示すように、時間/ラウンド番号選択欄50の右側に時間入力欄51が表示される。これにより、適用条件として時間を入力することができる。一方、時間/ラウンド番号選択欄50で「Round No.」を選択すると、図7に示すように、時間/ラウンド番号選択欄50の右側にラウンド番号入力欄56が表示される。これにより、適用条件としてラウンド番号を入力することができる。なお、ラウンド番号としては、1以上の数字を指定することができる他、「毎回」を選択することもできる。
【0076】
なお、本実施形態では、分析オーダ情報について、自動適用を有効化するか否かを個別に指定することができる。具体的には、自動適用可否選択欄58で「Enable」を選択すると、その分析オーダ情報の自動適用が有効化され、「Disable」を選択すると、その分析オーダ情報の自動適用が無効化される。これにより、登録されている分析オーダ情報を、個別に、かつ一時的に無効にすることができる。
【0077】
続いて、ユーザは、上記適用条件と関連付けたい分析オーダの内容(各ポジションの分析内容)を、分析オーダ情報内容入力欄73に入力する(ステップS203)。この分析オーダ情報内容入力欄73には、分析オーダのうち定型的な部分を入力することになる。例えば、図6の例では、この分析オーダ情報の適用条件は「毎週月曜日の0時00分から11時59分までの間」であるから、毎週月曜の午前中の行うべき定型的な分析の分析内容(検体の種類及び検査内容)を入力する。ここで、検体の種類としては、「標準検体」と「コントロール検体」等を選択することができる。なお、図6等では検査項目(Method)を入力する欄は各検体につき1つずつとなっているが、1つの検体に対して複数の検査項目を設定することもできる。
【0078】
最後に、ユーザが分析オーダ情報保存ボタン74を押すと(ステップS204)、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ情報登録ステップを実行する。このとき、制御部7は、分析オーダ情報登録部11として機能する。具体的には、分析オーダ情報登録部11は、分析オーダ情報識別情報入力欄71に入力されている情報と、適用条件入力欄に入力されている情報と、分析オーダ情報内容入力欄73に入力されている内容(分析オーダ)と、を関連付けて、記憶部6に保存する。以上により、分析オーダと、適用条件と、を関連付けて登録することができる。
【0079】
次に、分析オーダ情報登録部11が登録した分析オーダ情報に基づいて、実際に分析オーダを作成する処理について説明する。分析オーダを新しく作成する際には、オーダ編集ボタン42を押すことにより分析オーダ編集機能を呼び出す。分析オーダ編集機能が呼び出されると、制御部7は、図8に示すフローを開始する。
【0080】
制御部7は、まず、表示部4に、分析オーダ編集画面を表示させる(ステップS301)。このときに表示される分析オーダ編集画面を、図9に示す。このとき分析オーダは新規に作成されるので、図9に示すように、分析オーダ入力欄60の内容は空である。
【0081】
続いてステップS302に進むと、制御部7は、分析制御プログラムの現在値取得ステップを実行する。このとき、制御部7は、現在値取得部12として機能する。具体的には、現在値取得部12は、分析オーダ情報の適用条件に対応する現在値を取得する。前述のように本実施形態では、前記適用条件として、日付、曜日、時刻、及びラウンド番号(分析回数)を指定可能であるので、現在値取得部12は、これに対応した現在値、即ち、現在の日付、現在の曜日、現在の時刻、及び現在のラウンド番号を取得する。なお、現在の日付、現在の曜日及び現在の時刻は、PC内部の時計及びカレンダー機能を参照して取得することができる。
【0082】
続いてステップS303に進むと、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ情報選択ステップを実行する。このとき、制御部7は分析オーダ情報選択部13として機能する。具体的には、分析オーダ情報選択部13は、登録されている分析オーダ情報の中で、適用条件が成立している分析オーダ情報が存在するか否かの検索を行い、そのような分析オーダ情報が存在した場合には、当該分析オーダ情報を選択する。ここで、適用条件が成立するとは、具体的には、分析オーダ情報の適用条件として指定された日付又は曜日と、現在の日付又は曜日と、が合致し、かつ、当該分析オーダ情報の適用条件として指定された時刻又はラウンド番号と、現在の時刻又はラウンド番号と、が合致していることをいう。なお、適用条件と現在値とが合致するとは、適用条件として指定した値と上記現在値とが一致する場合の他、適用条件が範囲として指定されているときは(例えば図6では時刻が範囲として指定されている)、当該範囲内に現在値が含まれている場合も含む。
【0083】
適用条件が成立する分析オーダ情報が見つからない場合、制御部の処理はステップS306に進む。一方、適用条件が成立する分析オーダ情報が見つかり、当該分析オーダ情報が選択された場合、制御部7の処理はステップS304に進む。ただし、適用条件が成立している場合であっても、自動適用が無効化されている場合は、当該分析オーダ情報の適用条件は成立しなかったとみなしてステップS306へ進む。
【0084】
ステップS304に進むと、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ情報適用確認ステップを実行する。このとき、制御部7は、分析オーダ情報適用確認部15として機能する。具体的には、分析オーダ情報適用確認部15は、図10に示すように、分析オーダ情報適用確認メッセージを表示部4に表示させる。この分析オーダ情報適用確認メッセージの表示では、具体的には「条件が成立する分析オーダ情報が見つかりました。分析オーダ情報を適用しますか?」というメッセージとともに、分析オーダ情報を適用する旨を指定するYesボタン45と、分析オーダ情報を適用しない旨を指定するNoボタン59が表示される。
【0085】
このように、分析オーダ情報を適用するか否かをいったんユーザに問い合わせるので、ユーザの判断によって柔軟に分析オーダを作成することができる。
【0086】
ステップS304でYesボタン45が押された場合は、制御部7は処理をステップS305に進ませる。一方、Noボタン59が押された場合、制御部は、ステップS306へ処理を進ませる。
【0087】
ステップS305では、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ情報適用ステップを実行する。このとき、制御部7は、分析オーダ情報適用部14として機能する。具体的には、分析オーダ情報適用部14は、分析オーダ情報選択部13が選択した分析オーダ情報に基づいて、分析オーダを作成する。より具体的な処理としては、分析オーダ情報適用部14は、選択されている分析オーダ情報の内容(分析オーダ情報内容入力欄73に入力されていた内容)を、分析オーダ入力欄60にコピーする。
【0088】
例えば、月曜日の午前中にオーダ編集ボタン42が押されて分析オーダが作成された場合について考える。この場合、例えば図6に示す分析オーダ情報は適用条件が「毎週月曜日の0時00分から11時59分までの間(月曜日の午前中)」なので、当該分析オーダ情報の適用条件が成立している。従って、この分析オーダ情報が分析オーダ情報選択部13によって選択された後、分析オーダ情報適用確認メッセージが表示され、ユーザがYesボタン45を押すと、当該分析オーダ情報に登録されている内容(図6の分析オーダ情報登録画面で分析オーダ情報内容入力欄73に入力された内容)が、分析オーダ入力欄60にコピーされる。この結果、図10のように、図6の分析オーダ情報の内容に基づいて分析オーダが作成されたことになる。
【0089】
このように、分析オーダ情報の適用条件が成立すると、当該分析オーダ情報の内容に基づいて分析オーダが作成される。従って、定期的に行われる定型的な分析については、適切な適用条件を指定して分析オーダ情報に登録しておくことにより、分析オーダの編集に要する労力を大幅に削減することができる。また、適用条件が成立すれば、自動的に分析オーダ情報が適用されるので、分析オーダ情報を適用する時期をユーザが自らスケジュール管理する必要が無い。従って、分析のスケジュール管理も容易になる。
【0090】
更に、ユーザが分析オーダを作成するためには、オーダ編集ボタン42を押して分析オーダ編集画面を表示させなければならないが、本実施形態では、オーダ編集ボタン42を押すだけで、分析オーダ情報が選択され、適用される。従って、ユーザが分析オーダを作成する際に、分析オーダ情報の適用を忘れてしまうことを防止することができる。
【0091】
ユーザは、分析オーダ情報に基づいて作成された分析オーダを、分析オーダ編集画面で自由に編集することができる(S306)。例えば、図11の状態から、分析予定の患者検体の分析オーダを順次入力していくことにより、図4のような分析オーダを組むことができる。このように、自動的に作成された分析オーダを、ユーザが自由に編集できるので、状況に応じて柔軟に分析オーダを作成することができる。
【0092】
また、ステップS305において、分析オーダ情報適用部14は、分析オーダ情報の内容を分析オーダ入力欄60にコピーしているだけであるから、ユーザが当該分析オーダ入力欄60を編集しても、元の分析オーダ情報が上書きされる心配はない。このように、分析オーダ情報自体が不用意に上書きされることがないので、ユーザのミスによって分析オーダ情報の内容が失われてしまうことを防止できる。
【0093】
ユーザは、分析オーダの編集が完了すると、当該分析オーダを保存(S307)するために、分析オーダ保存ボタン61を押す。すると、これをトリガーとして、制御部7は、分析制御プログラムの分析オーダ設定ステップを実行する。このとき、制御部7は、分析オーダ設定部10として機能する。具体的には、分析オーダ設定部10は、分析オーダ入力欄60に入力された内容(それぞれの検体のポジションと、当該検体の分析内容)を、記憶部6に記憶(設定)する。以上により、分析オーダの編集を終了する。以上のように分析オーダが設定されると、当該分析オーダに基づいて、検体の分析を行うことが可能となる。
【0094】
なお、S303で適用条件が成立する分析オーダ情報が見つからなかった場合、又はS304でNoボタン59が押された場合は、分析オーダ情報を適用することなく分析オーダの編集を開始する。この場合は、図9のように分析オーダ入力欄60に何も入力されていない状態から、ユーザが分析オーダを入力する。
【0095】
以上で説明したように、本実施形態の生化学自動分析装置1は、検体が収容された複数の検体管29を設置可能な検体トレイ28と、それぞれの検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する測定部24と、を備えており、以下のように構成されている。即ち、この生化学自動分析装置1は、分析オーダ設定部10と、分析オーダ情報登録部11と、現在値取得部12と、分析オーダ情報選択部13と、を備えている。分析オーダ設定部10は、検体が収容された検体管29の位置と、検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。分析オーダ情報登録部11は、分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する。現在値取得部12は、前記適用条件に対応する現在値を取得する。分析オーダ情報選択部13は、適用条件が現在値と合致した分析オーダ情報を選択する。
【0096】
また、本実施形態の分析制御プログラムは、分析オーダ設定ステップ(ステップS307)と、分析オーダ情報登録ステップ(ステップS204)と、現在値取得ステップ(ステップS302)と、分析オーダ情報選択ステップ(ステップS303)と、を含む処理をコンピュータに実行させる。分析オーダ設定ステップでは、検体が収容された検体管29の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する。分析オーダ情報登録ステップでは、分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する。現在値取得ステップでは、前記適用条件に対応する現在値を取得する。分析オーダ情報選択ステップでは、適用条件が現在値と合致した分析オーダ情報を選択する。
【0097】
このように、予め分析オーダ情報を作成しておき、当該分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成するように構成することで、ユーザが手作業で入力する手間を軽減することができるともに、入力ミスを防ぐことができる。また、分析オーダ情報に条件を関連付けて登録しておくことにより、条件が成立した分析オーダ情報を自動的に選択することができる。
【0098】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1は、分析オーダ情報選択部13が選択した分析オーダ情報に基づいて、分析オーダを作成する分析オーダ情報適用部14を備えている。
【0099】
これにより、条件が成立した分析オーダ情報が自動的に適用されて分析オーダが作成されるので、適切な分析オーダを作成することができる。
【0100】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1は、以下のように構成されている。即ち、前記検体の分析内容は、少なくとも、当該検体の種類を示す情報を含んでいる。そして、前記検体の種類としては、少なくとも、キャリブレーション用の標準検体と、精度管理用のコントロール検体と、の中から、何れか1つを指定することができる。
【0101】
即ち、キャリブレーションや精度管理は定型的な分析であるため、分析オーダ情報に登録しておくことにより、当該キャリブレーションや精度管理のための検体を分析オーダに登録する手間を省くことができる。また、例えばキャリブレーションや精度管理を実施する日時等を適用条件として指定して分析オーダ情報を登録しておけば、キャリブレーションや精度管理を実施し忘れてしまうことを防止することができる。
【0102】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1は、前記分析オーダ情報適用部14において分析オーダ情報に基づく前記分析オーダの作成が行われる前に、当該分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かをユーザに問い合わせる分析オーダ情報適用確認部15を備えている。
【0103】
これにより、ユーザが望まない場合には、分析オーダを作成する際に分析オーダ情報を適用しないようにすることができる。従って、状況に応じて柔軟に分析を行うことができる。
【0104】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1は、以下のように構成されている。即ち、この生化学自動分析装置1は、表示部4を備える。当該表示部4には、分析オーダの編集を行う分析オーダ編集画面を表示可能である。また、表示部4には、ユーザが操作することにより前記分析オーダ編集画面を呼び出すためのオーダ編集ボタン42が表示されている。オーダ編集ボタン42が操作されると、現在値取得部12によって適用条件に対応した現在値が取得される。次に、分析オーダ情報選択部13によって適用条件が現在値と合致する分析オーダ情報が選択される。そして、分析オーダ情報適用確認部15は、前記分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かの確認メッセージを表示部4に表示する。
【0105】
これにより、ユーザが分析オーダを編集するために分析オーダ編集画面を表示させようとすると、自動的に分析オーダ情報が選択されるとともに、当該分析オーダ情報が適用される前に確認メッセージが表示される。このように、分析オーダを編集しようとする操作を行っただけで分析オーダ情報を適用可能であり、当該分析オーダ情報を適用するための特別な操作が必要ないので、分析オーダ情報の適用を忘れてしまうことを防止できる。
【0106】
また、本実施形態の生化学自動分析装置1において、前記適用条件は、日付、曜日、時刻、ラウンド番号を指定することが可能である。
【0107】
このように、分析オーダ情報の適用条件として、例えば日付、曜日、時刻、分析回数等を指定することができるので、当該特定の日付、曜日、時刻、又は分析回数になると、当該分析オーダ情報が自動的に適用されるので、入力の手間が省けるとともに、定期的な分析を実施し忘れてしまうことを防ぐことができる。
【0108】
次に、本発明の変形例について説明する。前述のようにキャリブレーションや精度管理をどの程度の頻度で行うかはユーザの判断によるものであるため、生化学自動分析装置1のメーカが、分析オーダ情報を予め用意しておくことは現実的ではない。しかしながら、キャリブレーションや精度管理は定型的な操作であるため、分析オーダ情報の基になる情報、即ちメタ分析オーダ情報を用意しておくことはできると考えられる。
【0109】
例えば、図6に示す分析オーダ情報内容入力欄73の、検体種類(Type)の欄だけ入力されたメタ分析オーダ情報をメーカが予め用意しておき、ユーザが検査項目(Method)の欄を埋めることにより分析オーダ情報を完成させる、というように構成することができる。なお、メタ分析オーダ情報が予め用意されているとは、予めデータとして用意されている場合のほか、予め用意されたアルゴリズムに従って自動的に作成される場合も含む。
【0110】
また、メタ分析オーダ情報に基づいて分析オーダ情報を登録するように構成する場合、最適なメタ分析オーダ情報を自動的に選択し、ユーザに提示できれば更に好ましい。例えば、分析オーダ情報を新規に登録すべくユーザが分析オーダ情報登録ボタン43を押すと、制御部7は、表示部4に、所定期間内の分析回数等を入力する入力欄を表示させる。ユーザは、これから登録しようとしている分析オーダ情報を用いた分析を、所定期間内にどの程度実行する予定か等を入力する。すると、制御部7は、当該指定された分析回数等から、当該新規の分析オーダ情報に含ませるべきキャリブレーション及び精度管理等を判断して、適切なメタ分析オーダ情報をユーザに提示する。なおこのとき、既に作成された分析オーダ情報が存在しており、当該既成の分析オーダ情報を元に新しい分析オーダ情報を作成した方が適切であると判断できる場合には、メタ分析オーダ情報に代えて当該既成の分析オーダ情報をユーザに提示しても良い。
【0111】
以上で説明したように、本変形例の生化学自動分析装置1においては、メタ分析オーダ情報が予め用意されており、前記メタ分析オーダ情報に基づいて前記分析オーダ情報を作成することが可能である。
【0112】
即ち、定型的な分析については、予め用意されたメタ分析オーダ情報に基づいて分析オーダ情報を作成することにより、分析オーダ情報作成の手間を削減することができる。
【0113】
また、本変形例の生化学自動分析装置1において、前記分析オーダ情報を作成する際に、所定期間内の分析回数をユーザが入力すると、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を選択して提示するように構成されている。
【0114】
このように、分析オーダ情報を作成する際に、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を自動的に選択して提示するので、当該分析オーダ情報を作成する際のユーザの負担を軽減することができる。
【0115】
次に、上記実施形態の別の変形例について説明する。キャリブレーションや精度管理は、失敗する場合がある。ここで、キャリブレーションの失敗とは、作成された検量線の式が予想された式と大きく異なる場合をいう。また、精度管理の失敗とは、コントロール検体を分析した結果が所定の許容範囲を超えてしまった場合をいう。このように失敗した場合にはキャリブレーションや精度管理を再実行する必要がある。
【0116】
そこで、この変形例では、キャリブレーション用の標準検体や精度管理用のコントロール検体が登録された分析オーダ情報を適用して分析オーダを作成し、当該分析オーダに従った分析を行った場合であって、当該キャリブレーションや精度管理が失敗した場合は、次回に分析を行う際に、適用条件が成立しているか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を適用するように構成している。即ち、分析オーダ情報の適用条件が成立しているか否かにかかわらず、失敗したキャリブレーション又は精度管理をやり直すようにしている。これにより、キャリブレーションや精度管理のやり直しの際にユーザが分析オーダを入力しなければならないという手間を削減することができる。
【0117】
以上で説明したように、本変形例の生化学自動分析装置1は、以下のように構成されている。即ち、前記標準検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいてキャリブレーションを実施した場合において、当該キャリブレーションが失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、前記分析オーダ情報選択部13は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択する。
【0118】
これにより、キャリブレーションが失敗した場合、次回の分析時にキャリブレーションを再実行させることができる。
【0119】
また、本変形例の生化学自動分析装置1は、以下のように構成されている。即ち、前記コントロール検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいて精度管理を実施した場合において、当該精度管理が失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、分析オーダ情報選択部13は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択する。
【0120】
これにより、精度管理が失敗した場合、次回の分析時に精度管理を再実行させることができる。
【0121】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0122】
上記実施形態では、検体分析装置は生化学自動分析装置であるとして説明した。しかし本発明の構成はこれに限らず、例えば免疫分析装置等の他の種類の検体分析装置にも適用することができる。
【0123】
分析制御装置は一般的なPCであるとしたが、専用機器であっても良い。
【0124】
また、生化学分析装置本体3と分析制御装置2は、一体化されていても良い。
【0125】
上記の説明では、分析オーダに入力できる情報は、各ポジションの検体の種類と分析項目であるとしたが、これに限らず、検体に関する様々な情報を入力できるようにすることができる。例えば、標準検体やコントロール検体の製造番号等を入力できるようにしても良い。
【0126】
検体の種類としては、患者検体、標準検体、コントロール検体の3種類を例示したが、検体の種類はこれだけに限らない。例えばブランクを指定できるようにしても良い。また上記実施形態では、分析オーダ情報に登録する検体の例としてキャリブレーション用の標準検体と、精度管理用のコントロール検体と、を挙げたが、これ以外の検体を分析オーダ情報に登録することも可能である。即ち、キャリブレーションや精度管理以外であっても、定期的に行う必要がある定型的な分析については、当該分析に係る検体を分析オーダ情報に登録しておくことにより、ユーザが分析オーダを作成する際の負担を低減することができる。
【0127】
分析オーダ情報の適用条件は、日付、曜日、時刻、ラウンド番号等に限らず、その他適宜の条件を指定することができる。
【0128】
上記実施形態では、分析オーダ情報は、分析オーダ情報登録画面で行うものとしたが、この構成に限らない。例えば、図4のように分析オーダ編集画面で分析オーダを入力した後、当該分析オーダを、そのまま分析オーダ情報として登録することができるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0129】
1 生化学自動分析装置(検体分析装置)
2 分析制御装置
3 生化学分析装置本体
4 表示部
7 制御部
10 分析オーダ設定部
11 分析オーダ情報登録部
12 現在値取得部
13 分析オーダ情報選択部
14 分析オーダ情報適用部
15 分析オーダ情報適用確認部
24 測定部(分析実行部)
28 検体トレイ(検体管設置部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、
それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、
を備えた検体分析装置であって、
検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する分析オーダ設定部と、
前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する分析オーダ情報登録部と、
前記適用条件に対応する現在値を取得する現在値取得部と、
前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する分析オーダ情報選択部と、
を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体分析装置であって、
前記分析オーダ情報選択部が選択した分析オーダ情報に基づいて、前記分析オーダを作成する分析オーダ情報適用部を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検体分析装置であって、
前記検体の分析内容は、少なくとも、当該検体の種類を示す情報を含んでおり、
前記検体の種類としては、少なくとも、キャリブレーション用の標準検体と、精度管理用のコントロール検体と、の中から、何れか1つを指定することができることを特徴とする検体分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体分析装置であって、
前記標準検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいてキャリブレーションを実施した場合において、
当該キャリブレーションが失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、前記分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択することを特徴とする検体分析装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の検体分析装置であって、
前記コントロール検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいて精度管理を実施した場合において、
当該精度管理が失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択することを特徴とする検体分析装置。
【請求項6】
請求項2から5までの何れか一項に記載の検体分析装置であって、
前記分析オーダ情報適用部において分析オーダ情報に基づく前記分析オーダの作成が行われる前に、当該分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かをユーザに問い合わせる分析オーダ情報適用確認部を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検体分析装置であって、
表示部を備え、
当該表示部には、前記分析オーダの編集を行う分析オーダ編集画面を表示可能であるとともに、
前記表示部には、ユーザが操作することにより前記分析オーダ編集画面を呼び出すための分析オーダ編集画面呼出部が表示されており、
前記分析オーダ編集画面呼出部が操作されると、
前記現在値取得部によって前記現在値が取得され、
前記分析オーダ情報選択部によって適用条件が前記現在値と合致する分析オーダ情報が選択され、
前記分析オーダ情報適用確認部は、前記分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かの確認メッセージを前記表示部に表示することを特徴とする検体分析装置。
【請求項8】
請求項1から5までの何れか一項に記載の検体分析装置であって、
前記適用条件は、日付、曜日、時刻、又は分析回数のうち、少なくとも何れか1つを指定することが可能であることを特徴とする検体分析装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の検体分析装置であって、
メタ分析オーダ情報が予め用意されており、前記メタ分析オーダ情報に基づいて、前記分析オーダ情報を作成することが可能であることを特徴とする検体分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検体分析装置であって、
前記分析オーダ情報を作成する際に、所定期間内の分析回数をユーザが入力すると、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を選択して提示することを特徴とする検体分析装置。
【請求項11】
検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、
それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、
を備えた検体分析装置を制御するための分析制御プログラムであって、
検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する分析オーダ設定ステップと、
前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する分析オーダ情報登録ステップと、
前記適用条件に対応する現在値を取得する現在値取得ステップと、
前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する分析オーダ情報選択ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする分析制御プログラム。
【請求項1】
検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、
それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、
を備えた検体分析装置であって、
検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する分析オーダ設定部と、
前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する分析オーダ情報登録部と、
前記適用条件に対応する現在値を取得する現在値取得部と、
前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する分析オーダ情報選択部と、
を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体分析装置であって、
前記分析オーダ情報選択部が選択した分析オーダ情報に基づいて、前記分析オーダを作成する分析オーダ情報適用部を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検体分析装置であって、
前記検体の分析内容は、少なくとも、当該検体の種類を示す情報を含んでおり、
前記検体の種類としては、少なくとも、キャリブレーション用の標準検体と、精度管理用のコントロール検体と、の中から、何れか1つを指定することができることを特徴とする検体分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体分析装置であって、
前記標準検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいてキャリブレーションを実施した場合において、
当該キャリブレーションが失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、前記分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択することを特徴とする検体分析装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の検体分析装置であって、
前記コントロール検体として指定された検体の情報を含む分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行い、当該分析オーダに基づいて精度管理を実施した場合において、
当該精度管理が失敗した場合、次回に分析オーダを作成する際には、分析オーダ情報選択部は、前記適用条件が前記現在値と合致するか否かにかかわらず、当該分析オーダ情報を選択することを特徴とする検体分析装置。
【請求項6】
請求項2から5までの何れか一項に記載の検体分析装置であって、
前記分析オーダ情報適用部において分析オーダ情報に基づく前記分析オーダの作成が行われる前に、当該分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かをユーザに問い合わせる分析オーダ情報適用確認部を備えることを特徴とする検体分析装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検体分析装置であって、
表示部を備え、
当該表示部には、前記分析オーダの編集を行う分析オーダ編集画面を表示可能であるとともに、
前記表示部には、ユーザが操作することにより前記分析オーダ編集画面を呼び出すための分析オーダ編集画面呼出部が表示されており、
前記分析オーダ編集画面呼出部が操作されると、
前記現在値取得部によって前記現在値が取得され、
前記分析オーダ情報選択部によって適用条件が前記現在値と合致する分析オーダ情報が選択され、
前記分析オーダ情報適用確認部は、前記分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かの確認メッセージを前記表示部に表示することを特徴とする検体分析装置。
【請求項8】
請求項1から5までの何れか一項に記載の検体分析装置であって、
前記適用条件は、日付、曜日、時刻、又は分析回数のうち、少なくとも何れか1つを指定することが可能であることを特徴とする検体分析装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の検体分析装置であって、
メタ分析オーダ情報が予め用意されており、前記メタ分析オーダ情報に基づいて、前記分析オーダ情報を作成することが可能であることを特徴とする検体分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検体分析装置であって、
前記分析オーダ情報を作成する際に、所定期間内の分析回数をユーザが入力すると、最適な分析オーダ情報又はメタ分析オーダ情報を選択して提示することを特徴とする検体分析装置。
【請求項11】
検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、
それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、
を備えた検体分析装置を制御するための分析制御プログラムであって、
検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する分析オーダ設定ステップと、
前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する分析オーダ情報登録ステップと、
前記適用条件に対応する現在値を取得する現在値取得ステップと、
前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する分析オーダ情報選択ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする分析制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−226868(P2011−226868A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95529(P2010−95529)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
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