説明

検体容器供給装置

【課題】検体容器供給装置の大きさを変えずに収納庫の収納容量を増やす手段を提供する。
【解決手段】検体容器収納庫10a〜10dの収納底部16と繰出貯蓄部18との間に移送体20a、20b、20cを設け、収納底部16の傾斜により移送体20a、20b、20cに移動する検体容器を移送体20a、20b、20cの上面に載せ、上昇することにより繰出貯蓄部18へと移送することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者から採取した血液等の検体をもとに各種検査を行うために必要な遠心分離等の処理を自動で行う検体処理システムに備えられ、検体を仕分け分注で必要な仕分け用の検体容器を供給するための検体容器供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模な病院や検査センタ等の医療施設で被検者から採取した検体液(血液、尿)を検査、分析するのに必要な処理(遠心分離や検査、分析項目別の分注)を行う検体処理システムが用いられ、そのシステムの一部として分注用検体容器を100本程複数種、収納して検体情報別に指定の検体容器の方向(開口面上向き)を揃えて検体処理システム内次工程装置に供給する検体容器供給装置が用いられている。
【0003】
また、ここで使用される検体容器は検査内容(血沈検査、生科学検査、血清学検査、血液学検査、血糖検査等)により多数必要となるため、大病院や検査センタ等の医療施設における1日あたりに消費する本数は数千本に及ぶことがある。そのため、使用する検体容器には安価な樹脂製が用いられる。
従来の検体容器供給装置は、検査用途別に検体容器を別々の収容部に収容するように構成されて、各収容部は所定の方向に傾斜してその傾斜の下流側の上部が開口すると共に、底面には下流側に集まっている検体容器を上部の開口へと押し上げる押し上げ部材が収容部内に入り込むための挿入開口が設けられ、押し上げ部材が挿入開口から入り込んで検体容器を押し上げることで、その検体容器は上部の開口から収納部の外に排出されてガイドに沿って移送待機位置まで送られるようになる。
【0004】
一方、押し上げ部材は検体容器を押し上げた後、収容部内から退避することで、収容部内に残った検体容器は傾斜の下流側に転がって整列するようになる(例えば、特許文献1参照。)。
また、押し上げ部材は、収容部内に入り込んだときに検体容器が下方に入り込むのを防止するために、その長さが少なくとも収容部の深さと同じ長さになっている。
【特許文献1】特許2871502号公報(段落「0011」―段落「0013」、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、押し上げ部材を収容部の外に位置させる構造となっているために、押し上げ部材の動作ストロークに必要な空間を確保しなくてはならず、また押し上げ部材の長さを検体容器の深さに合わせた長さにしなくてはならないために押し上げ部材に必要な空間を小さくするには収容部の深さを短くしなくてはならず、よって検体容器の収容本数が減ってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、収納空間に検体容器を重ねて収納する収納庫を有し、該収納庫から検体容器を繰出す検体容器供給装置であって、前記収納庫の底面を傾斜させ、その傾斜した底面の下端側で、かつ前記収納庫の上面側に位置するゲート部と、該ゲート部に隣接して検体容器を所定の数だけ貯める繰出貯蓄部とを設けると共に、前記底面の下端側と前記繰出貯蓄部との間に上下動可能な移送部を設け、前記底面の傾斜により前記移送部に移動する検体容器を前記移送部の上昇により前記繰出貯蓄部に移送し、移送された検体容器を前記ゲート部により繰出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、検体容器収納庫同士をより近接させて配置することが可能となり、検体容器供給装置の大きさを変えずに検体容器収納庫を大きくできるので、検体容器の収納本数を増やすことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による検体容器供給装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は検体容器供給装置を含んだ検体処理システムである。
図1において、1は検体処理システムであり、予め被験者から採取した血液等の親検体が納められた試験管等の検体容器を立位の状態で収納するためのトレイ1aに収納し、そのトレイ1aを遠心分離処理や分注処理等の各種処理に応じた後述の各装置へと移動させる。
【0011】
そのため、検体処理システム1は各装置間へとトレイ1aを移動させる図示しない移動機構を備えている。
2は親検体投入装置であり、予め被験者から採取した血液等の親検体を納めた栓で閉じられた検体容器を投入させる投入口を有すると共に、検体容器に添付されたバーコードを読取る読取手段を有し、投入口に投入された検体容器のバーコードを読取ることでその親検体の検体識別情報を認識する。ここで投入された検体容器は上述のトレイに収納されるようになる。
【0012】
3は遠心分離装置であり、親検体の入った検体容器に対して遠心分離処理を行う機能を有する。
4は開栓装置であり、遠心分離処理がなされた検体容器の栓を開ける機能を有し、分注可能な状態にする。
5は分注装置であり、開栓された検体容器内の親検体を一定量吸引し、分析項目別に一定少量の子検体に仕分ける分注処理を行う機能を有する。
【0013】
6は検体容器供給装置であり、分注される子検体を納めるための試験管等の子検体容器(検体容器)を供給する機能を有する。
6aはマニピュレータ部であり、検体容器供給装置6から供給された子検体容器を掴んでトレイ1aに運ぶ機能を有している。
なお、マニュピュレータ部6aによって子検体容器が運ばれている際、トレイ1aは既に検体容器供給装置6に移動してきているものとする。
【0014】
また、分注処理を行う場合、例えば分注装置5で先に親検体を入れた検体容器から親検体を吸引し、トレイ1aを検体容器供給装置6へ移動させ検体容器供給装置6から供給された子検体容器をマニピュレータ部6aによりトレイ1aに移して収納してから、そのトレイ1aを分注装置5へと移動させる。そして分注装置5により吸引した親検体を子検体として複数の子検体容器に分注するようにしている。
【0015】
7は閉栓装置であり、分注された子検体を納めた子検体容器に閉栓を行う機能を有する。
8は分類装置であり、閉栓された子検体容器をトレイ1aから取り出し、子検体の種類ごとに分けて内部に収納する機能を有する。
9は制御端末であり、LCDやCRT等の表示画面やキーボード等の入力手段を備えており、操作者が入力手段により入力した入力内容に従って検体処理システム1の各装置に動作指示を行う機能を有する。
【0016】
図2は実施例1の検体容器供給装置の構成を示す説明図である。
図2において、10a〜10dは検体容器収納庫であり、筐体内に縦一列に並べられており、内部に子検体容器Tを横に倒して並べ、かつ複数段に重ねて集積して収納するための収納空間を有し、一方の側壁の上面側に子検体容器Tを繰出すための繰出口11を設けている。
【0017】
検体容器収納庫10a〜10dの配置は、上から下にかけて検体容器収納庫10a、10b、10c、10dの順に配置されているものとする。
なお、上記各実施例においては、4つの検体容器収納庫10a〜10dを配したものとして説明したが、その数は4つに限らず幾つであってもよいことはいうまでもない。
12はラベル貼付部であり、検体容器収納庫10aの上方に設けられ、台紙に貼り付けられた無地ラベルに被検者情報、検体採取日時、検査項目等により構成される検体識別情報を印字し、印字したラベルを台紙から剥がして子検体容器Tに貼り付けるための機構が設けられている。
【0018】
ラベル貼付部12は、ラベルを貼り付けた子検体容器Tを上方へと繰出すことで、上記マニピュレータ部6aへと運ぶ機構を備えている。
14は垂直移送部であり、検体容器収納庫10a〜10dの繰出口11の側方およびラベル貼付部12の側方にかけて上下方向に延在するように配され、検体容器供給装置6内の上部と下部に配したローラに無端状のベルトを巻き掛け、そのベルトに子検体容器Tをすくい上げるための突起を複数設け、さらにベルトにすくい上げられた子検体容器Tをラベル貼付部12に滑り落とすための斜面等を備える。
【0019】
これによって垂直移送部14は、検体容器収納庫10a〜10dの繰出口11から繰出された子検体容器Tをラベル貼付部12に搬送するように機能する。
ここで図3は実施例1の検体容器収納庫の構成を示す説明図であり、(a)は側面から見た様子を示し、(b)は矢印A方向から見た様子を示している。
図3において、16は収納底部であり、前記繰出口11が設けられている側に向かって傾斜して子検体容器Tが集積する底面を有する。
【0020】
繰出口11が設けられている側に向かって下方に傾斜するように形成され、これによって子検体容器Tが傾斜に沿って転がり落ちるようになる。
17は繰出ゲート部(ゲート部)であり、収納底部16の傾斜の下端側で、かつ検体容器収納庫10a〜10dの上面側で、繰出口11の手前に位置して、子検体容器Tを垂直移送部14へと移動させる機構を有している。
【0021】
繰出ゲート部17は、例えば上下にスライド可能で子検体容器1つ分の幅で、繰出口11に向かって下方に傾斜し、下った位置にあるときは繰出口11よりも下方で、上昇した際に繰出口11の下部と連続する箇所に位置する移動板を設け、子検体容器を載置した状態で移動板を上昇させることで、その子検体容器Tが繰出口11から転がって垂直移送部14へと移動するようになっている。
【0022】
18は繰出貯蓄部であり、繰出ゲート部17に隣接するように設けられ、子検体容器Tを2本分載置可能な大きさの載置面を有し、その載置面は繰出ゲート部17に向かって下降するように傾斜する。
なお、繰出貯蓄部18の載置面は子検体容器Tを2本載置する大きさとして説明したが、これに限るものではなくその大きさは任意であることはいうまでもない。
【0023】
19は容器移送部(移送部)であり、収納底部16と繰出貯蓄部18との間に設けられ、上下動可能な3つの移送体20a、20b、20cによって構成され、収納底部16に集積した子検体容器Tを各移送体20a、20b、20c間で受け渡しながら繰出貯蓄部18へ移送する。
移送体20a、20b、20cはその符号に付されたアルファベット順に繰出貯蓄部18側から収納底部16の下端側に向かってその上面の高さが順に低くなるように並べられ、上面が繰出ゲート部17に向かって下降するように傾斜する。
【0024】
初期状態における移送体20aの初期位置は繰出貯蓄部18の上流側の高さよりも2段分低い位置にあり、移送体20bの初期位置は移送体20aよりもさらに1段低い位置にあり、移送体20cの初期位置は移送体20bよりもさらに2段分低い位置で収納底部16の下流側の面と同一面をなす位置にある。
なお、ここでの一段分の高さは子検体容器Tの直径の長さと同程度であるものとする。
【0025】
22は駆動ギアであって、図3(b)に示すように回転シャフト23が挿通し、図示しない駆動源側に取り付けられたギアと噛み合うことで、駆動源による駆動が伝達して回転シャフト23と共に回転する。
移送体20a、20b、20cは、それぞれが動作アームを介して回転シャフト23の回転に従動するカムローラ等によるカム機構と連結しており、回転シャフト23の回転に従動するようにして上下動する。
【0026】
なお、回転シャフト23に片歯ギアを取り付け、その片歯ギアに噛み合うカム側ギアを介しカムローラを回転させる等とすることで、移送体20a、20b、20cは互いに異なるタイミングで上下動するように構成される。
上述した構成の作用について説明する。
ここでは、駆動ギア22および回転シャフト23を一回転させたときの移送体20a、20b、20cの動作を段階的に示す。
【0027】
また、検体容器収納庫内では繰出貯蓄部18に乗り上げる手前まで子検体容器Tが収納されているものとし、そのようなとき図3に示すように移送体20a上には子検体容器Tが2本分、移送体20bには子検体容器Tが3本分、移送体20cには子検体容器Tが5本分、積み上がっているものとする。
図4は実施例1の検体容器収納庫から子検体容器を繰出す様子を示す説明図であり、(a)は移送体20a、20cが初期状態から一段上昇した様子、(b)は移送体20a、20bが一段上昇した様子、(c)は移送体20aが二段下降した様子、(d)は移送体20bが二段下降した様子、(e)は移送体20bが一段上昇すると共に、移送体20cが一段下降した様子を示している。
【0028】
図示しない駆動源によって駆動ギア22と共に回転シャフト23が回転すると、先ず図4(a)に示すように、移送体20a、20cが一段上昇、つまり子検体容器Tの直径と同じ高さだけ上昇することで、移送体20c上の子検体容器Tが持ち上がる。一方、移送体20a上に集積し、かつその最上位に位置していた子検体容器Tが繰出貯蓄部18に乗り上げて繰出ゲート部17へと転がる。
【0029】
なお、繰出ゲート部17は下降しているため子検体容器Tは繰出口11の手前に載置される。
回転シャフト23が回転すると、図4(b)に示すように移送体20a、20bが一段上昇し、移送体20b上の子検体容器Tが持ち上がる。一方、移送体20a上の子検体容器Tが繰出貯蓄部18に乗り上げて繰出ゲート部17に載置される。
【0030】
これによって、移送体20a上の子検体容器Tが無くなる状態となり、移送体20bに積み重なっている子検体容器Tの内、移送体20aよりも高い位置にある子検体容器Tは移送体20a側へと崩れるように転がる。
ここで、回転シャフト23がさらに回転すると、図4(c)に示すように移送体20aが2段下降するため、移送体20a側に転がった子検体容器Tは繰出ゲート部17に転がることなく移送体20a上に落下する。
【0031】
これによって移送体20aは初期位置に戻る。
なお、移送体20aの上面と移送体20bの上面とが同一の高さとなるので、移送体20b上に集積している子検体容器Tが移送体20a上へと転がるようになる。
次に回転シャフト23が回転すると、図4(d)に示すように移送体20bが2段下降することで、移送体20bと移送体20cとが同一の高さ位置で並ぶ。
【0032】
そのため、移送体20b上に集積している子検体容器Tは移送体20bと共に下降するようになる。
このときに、移送体20bと移送体20cの上面が同一の高さとなるので、移送体20b上に子検体容器Tが載っていなかった場合は、移送体20c上に集積している子検体容器Tが移送体20b側に転がるようになる。
【0033】
さらに回転シャフト23が回転すると、図4(e)に示すように移送体20bが一段上昇すると共に、移送体20cが一段下降して移送体20b、20cが共に初期位置に戻るようになり、さらにこのときに回転シャフト23はちょうど1回転した状態となる。
このようにして、移送体20a〜20cを上下動させることによって、子検体容器Tを繰出貯蓄部18または繰出ゲート部17に移送すると共に、次に移送する子検体容器Tを移送体20aの上に載置する。
【0034】
以上説明したように、本実施例では、回転シャフトの回転に従って上下動する3つの移送体を設け、各移送体を検体容器収納庫内からはみ出ることがない大きさで検体容器収納庫内に収めることで、検体容器収納庫同士をより近接させて配置することが可能となるので、検体容器供給装置の大きさを変えずに検体容器収納庫をより大きくでき、よって子検体容器の収納本数を増やすことができる。
【0035】
また、3つの移送体によって子検体容器を移送させることで、各移送体の上下の移動量を小さくすることができ、移送体の動作による移送体と子検体容器との擦り合せまたは、子検体容器同士の擦り合せによって子検体容器の傷付きを軽減することができる。
なお、移送体は3つに限定するものではなく、検体容器の大きさ、許容される検体容器収納庫の大きさにより適宜設定できることは言うまでもない。
【実施例2】
【0036】
本実施例において、上記実施例1と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図5は実施例2の検体容器収納庫の構成を示す説明図であり、(a)は側面から見た様子を示し、(b)は矢印B方向から見た様子を示している。
本実施例は、上記実施例1の容器移送部19に該当する箇所が、図5に示す階段状に形成された階段状部分を有してその各段で子検体容器Tを受ける可動式の段状移送部31である点が相違する。
【0037】
図5において、段状移送部31は、回転シャフトに連結する図示しない動作アームと連結することで、回転シャフト23の回転に従って水平方向および垂直方向へとスライドするように構成されており、また階段状部分の各段は繰出ゲート部17に向かって下降するように傾斜し、かつ一段分の高さは子検体容器Tの直径の長さと同程度であるものとする。
【0038】
32は支持段部であり、多段状で収納底部16から繰出貯蓄部18へと至るように形成され、その段の大きさは段状移送部31の階段状部分と同一に形成されている。
また、支持段部32は、段状移送部31の上下動や上昇した状態から繰出貯蓄部18側への水平移動等を妨げないために、その一部が切り欠かれている。
さらに段状移送部31は、図5に示すように段が形成されている箇所の最上段が、支持段部32の繰出貯蓄部18よりも一段低い位置にある段とほぼ同位置にあるときを初期位置とする。
【0039】
上述した構成の作用について説明する。
ここでは、駆動ギア22および回転シャフト23を一回転させたときの段状移送体31の動作を段階的に示す。
図6は実施例2の検体容器収納庫から子検体容器を繰出す様子を示す説明図であり、(a)は段状移送部31が初期位置から一段上昇した様子、(b)は段状移送部31が右方向に水平移動した様子、(c)は段状移送部31が一段下降した様子、(d)は段状移送部31が左方向に水平移動して初期位置に移動した様子を示している。
【0040】
なお、段状移送部31の最上段から最下段にかけて各段に1本の子検体容器T1〜T6が載置されているものとする。
また、段状移送部31は図5に示すように検体容器収納庫の最下部にあって、かつその階段状部分が支持段部32と一致している位置を初期位置とする。
図示しない駆動源によって駆動ギア22と共に回転シャフト23が回転すると、先ず図6(a)に示すように、段状移送部31が一段上昇、つまり子検体容器の直径と同じ高さだけ上昇して、最上段が繰出貯蓄部18とほぼ同じ高さに位置するため、最上段に載置されていた子検体容器T1が繰出貯蓄部18側に転がって繰出ゲート部17に向かう。
【0041】
回転シャフト23が回転すると、図6(b)に示すように段状移送部31は右方向に水平移動し、段が形成されている箇所が支持段部32と重なる位置で停止する。
このとき、段状移送部31が移動したことで、支持段部32の最下段に空間が生じそこに集積している子検体容器T7が入り込む。
回転シャフト23がさらに回転すると、図6(c)に示すように段状移送部31が1段下降し、段状移送部31は支持段部32よりも下方に位置するようになり段状移送部31に載置されていた子検体容器T2〜T6が支持段部32の各段に載置される。
【0042】
次に回転シャフト23が回転すると、図6(d)に示すように段状移送部31が左方向に水平移動することで、初期位置へと戻るようになる。このとき子検体容器T2〜T7が段状移送部31に最上段から最下段にかけて載置される。
このようにして、段状移送部31を移動させることによって、その上に載置している子検体容器Tを1本ずつ繰出貯蓄部18へと移送する。
【0043】
以上説明したように、本実施例では、回転シャフトの回転に従ってスライド移動する段状移送部を設けて、その段状移送部を検体容器収納庫内で移動することで検体容器収納庫同士をより近接させて配置することが可能となるので、検体容器供給装置の大きさを変えずに検体容器収納庫をより大きくでき、よって子検体容器の収納本数を増やすことができる。
【0044】
また、段状移送部は上下動する際にのみ、収納されている子検体容器同士の擦り合わせが生じるため、従来技術と比較して子検体容器同士の擦り合せでの子検体容器の傷付きを軽減することができる。
さらに、本実施例は段状移送部を移動させるものであるため、上記実施例1の3つの移送体を移動させる機構に比べてより簡単な機構で構成することができる。
【実施例3】
【0045】
本実施例において、上記実施例1と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図7は実施例3の検体容器収納庫の構成を示す説明図である。
本実施例は、上記実施例1の容器移送部19に該当する図7の容器移送部40を、上面に子検体容器Tを載置する3つの移送体41a、41b、41cによって構成した点が相違する。
【0046】
図7において、35は本実施例の繰出貯蓄部であり、繰出ゲート部17の手前側に設けられてアーチ状に形成され、繰出ゲート部17に隣接する載置箇所に2本程度の子検体容器Tが載置可能で、かつ載置箇所は繰出ゲート部17側に傾くような円弧になっている。
移送体41a、41b、41cは、繰出貯蓄部35側から収納底部16の下端側に向かってその上面の高さが順に低くなるように並べられ、それぞれがアームを介して回転シャフト23側に設けられた図示しない回転駆動機構に連動するように取り付けられ、回転シャフト23を回転させることによって、各移送体41a、41b、41cが順番に上下動するように回動する。
【0047】
移送体41aは繰出貯蓄部35の円弧に沿うように回動することにより、上昇したときに上面に載っている子検体容器Tを繰出貯蓄部35に沿わせるようにして持ち上げ、繰出ゲート部17へと移送する。
また、移送体41aは上面に載っている子検体容器Tを繰出貯蓄部35の載置箇所まで移送する程度に上昇可能であるが、既に繰出貯蓄部35に子検体容器Tが載置しているために上昇できない場合は図示しないトルクリミッタによって上昇が止まり、子検体容器Tを圧接しないようになっている。
【0048】
移送体41b、41cについても同様にトルクリミッタが設けられている。
ここで、図8は実施例3の繰出貯蓄部を示す斜視図である。
図8に示すように、繰出貯蓄部35は、各移送体41a、41b、41cのアームが挿通するスリット36や、移送体41bの収納底部16側の端部と同位置まで延び回動する移送体41a、41bの下に子検体容器Tが入り込むのを防止する落下防止リブ37が設けられている。
【0049】
落下防止リブ37は、繰出貯蓄部35の収納底部16に対向する箇所から収納底部16側に向かって移送体41bに一致する箇所まで突出するように取り付けられ、移送体41aと一致する箇所は後述する初期位置にある移送体41aの上面とほぼ同じ高さまで形成される。
また落下防止リブ37の移送体41bと一致する箇所は後述する初期位置にある移送体41bの上面とほぼ同じ高さまで形成されている。
【0050】
なお、移送体41a、41bには上記の落下防止リブ37と接触するのを防ぐ図示しないスリットが設けられている。
上述した構成の作用について説明する。
ここでは、駆動ギア22および回転シャフト23を一回転させたときの移送体41a、41b、41cの動作を段階的に示す。
【0051】
なお、移送体41a、41b、41cは図7に示すように移送体41aが検体容器収納庫の最下部から子検体容器Tの直径分程度だけ上方に位置し、移送体41b、41cが検体容器収納庫の最下部にあるときを初期位置とする。
図9は実施例3の検体容器収納庫から子検体容器を繰出す様子を示す説明図であり、(a)は移送体41aが初期位置から上昇した様子、(b)は移送体41aが下降し、移送体41bが上昇した様子、(c)は移送体41bが下降し、移送体41cが上昇した様子、(d)は移送体41cが下降した様子を示している。
【0052】
図示しない駆動源によって駆動ギア22と共に回転シャフト23が回転すると、図9(a)に示すように、移送体41aが上昇して移送体41aの上面に載っている子検体容器Tを持ち上げて繰出貯蓄部35へ移送する。
なお、図9(a)では移送体41aの下面が移送体41bの上面よりも高い位置にあるが、上述した繰出貯蓄部35の落下防止リブ37によって移送体41aの下側に子検体容器Tが入り込むのを防止している。
【0053】
回転シャフト23が回転すると、図9(b)に示すように移送体41aが下降すると共に、移送体41bが上昇するため、移送体41aと移送体41bの上面が同一面をなすようになり、移送体41b上の子検体容器Tが移送体41a側に転がって移送されるようになる。
なお、図9(b)では移送体41bの下面が移送体41cの上面よりも高い位置にあるが、上述した繰出貯蓄部35の落下防止リブ37によって移送体41bの下側に子検体容器Tが入り込むのを防止している。
【0054】
次に回転シャフト23が回転すると、図9(c)に示すように移送体41bが下降し、移送体41cが上昇し、移送体41bの上面と移送体41cの上面とが同一面をなすようになり、移送体41cに集積する子検体容器Tが移送体41b上へと転がるようになる。
さらに回転シャフト23が回転すると、図9(d)に示すように移送体41cが下降し初期位置に戻る。
【0055】
以上説明したように、本実施例は、上記実施例1の効果に加えて、繰出貯蓄部側の移送体が子検体容器を繰出貯蓄部の載置箇所まで持ち上げるので、繰出貯蓄部の繰出ゲート部の手前でスキューが起きて、繰出ゲート部まで子検体容器が転がらず繰出貯蓄部にたまってしまっても、移送体によって持ち上げた子検体容器によって繰出貯蓄部にたまった子検体容器を繰出ゲート部側へ押し出すことができる。
【0056】
なお、上記各実施例においては、医療施設に導入される検体処理システムに含まれる検体容器供給装置として説明したが、検査・分析で検体容器を必要とする分野は人体だけに限定されず、例えば地質・水質調査、考古学調査など、サンプル採取と調査・分析を行う様々な分野において、採取サンプルを分析項目別に仕分け分注して検査、分析を行うことのできるシステムの検体容器準備装置としても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】検体容器供給装置を含んだ検体処理システム
【図2】実施例1の検体容器供給装置の構成を示す説明図
【図3】実施例1の検体容器収納庫の構成を示す説明図
【図4】実施例1の検体容器収納庫から子検体容器を繰出す様子を示す説明図
【図5】実施例2の検体容器収納庫の構成を示す説明図
【図6】実施例2の検体容器収納庫から子検体容器を繰出す様子を示す説明図
【図7】実施例3の検体容器収納庫の構成を示す説明図
【図8】実施例3の繰出貯蓄部を示す斜視図
【図9】実施例3の検体容器収納庫から子検体容器を繰出す様子を示す説明図
【符号の説明】
【0058】
1 検体処理システム
1a トレイ
2 親検体投入装置
3 遠心分離装置
4 開栓装置
5 分注装置
6 検体容器供給装置
6a マニピュレータ部
7 閉栓装置
8 分類装置
9 制御端末
10a〜10d 検体容器収納庫
11 繰出口
12 ラベル貼付部
14 垂直移送部
16 収納底部
17 繰出ゲート部
18、35 繰出貯蓄部
19 容器移送部(移送部)
20a、20b、20c 移送体
22 駆動ギア
23 回転シャフト
31 段状移送部
32 支持段部
36 スリット
37 落下防止リブ
41a、41b、41c 移送体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間に検体容器を重ねて収納する収納庫を有し、該収納庫から検体容器を繰出す検体容器供給装置であって、
前記収納庫の底面を傾斜させ、その傾斜した底面の下端側で、かつ前記収納庫の上面側に位置するゲート部と、該ゲート部に隣接して検体容器を所定の数だけ貯める繰出貯蓄部とを設けると共に、前記底面の下端側と前記繰出貯蓄部との間に上下動可能な移送部を設け、
前記底面の傾斜により前記移送部に移動する検体容器を前記移送部の上昇により前記繰出貯蓄部に移送し、移送された検体容器を前記ゲート部により繰出すことを特徴とする検体容器供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体容器供給装置において、
前記繰出貯蓄部は、前記ゲート部に向かって下降するように傾斜し、
前記移送部は、前記底面側から前記繰出貯蓄部側に向かって高くなるように並んだ上下動可能な複数の移送体によって構成し、
前記各移送体は、上面が前記繰出貯蓄部と同じ向きに傾斜した形状であって、
前記底面の傾斜により移動する検体容器を前記各移送体の上面に載せて前記繰出貯蓄部に移送することを特徴とする検体容器供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検体容器供給装置において、
前記底面と前記繰出貯蓄部との間に、階段状の支持段部を設け、
前記繰出貯蓄部は、前記ゲート部に向かって下降するように傾斜し、
前記移送部は、前記支持段部と同じ階段状部分を有し、かつ上下方向および水平方向に移動可能とし、
前記支持段部と前記階段状部分の各段の上面は前記繰出貯蓄部と同じ向きに傾斜した形状であってその各段で検体容器を受け、
前記移送部は、前記階段状部分に検体容器を載せて上昇し、そこから前記支持段部の段と一致するように前記繰出貯蓄部側に移動し、更に下降して前記支持段部の段と一致するように前記底面側に移動することで、前記底面の傾斜により移動する検体容器を前記支持段部一段分ずつ持ち上げて前記繰出貯蓄部に移送することを特徴とする検体容器供給装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検体容器供給装置において、
前記移送部は、前記繰出貯蓄部の下方に配された回転シャフトを中心に回動し、前記底面側から前記繰出貯蓄部側に向かって高くなるように並んだ複数の円弧状の移送体によって構成し、
前記底面の傾斜により移動した検体容器を前記移送体の上面に載せ、前記繰出貯蓄部に近い側から順に上下方向に回動させて、前記繰出貯蓄部へと移送することを特徴とする検体容器供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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