説明

検体検査支援装置及びその方法

【課題】
検査の取り違いが発生した場合に、当該取り違いを速やかに検知し、他の検体に対する当該取り違いの影響を効率的に抑える検体検査支援装置を提供する。
【解決手段】
検体検査支援装置は、採取20及び収集30が行われた患者の検体を検体データ入力手段1が受付け、検体チェック手段3が検体の取り違いをチェックし、検体グループ化手段2により特定された検体グループに基づいて、検体グループ特定手段4により特定された検体グループにより取り違いの可能性のある検体に関する影響範囲を取り違い範囲特定手段7が特定し、通知手段9が通知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関における検体検査を支援する検体検査支援装置に関して、特に検体の取り違いを検出してその影響を抑えることができる検体検査支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療機関での検体検査は、患者から検体、例えば、血液及び尿を採取するが、患者の同姓同名等の理由により当該検体に取り違いが発生する場合がある。当該検体の取り違いにより、別患者の検査結果に誤診が生じる可能性がある。当該検体検査は、医師が検査を依頼する単位である1オーダにおいては、通常、複数の検体が含まれ、検体採取時には、当該1オーダ内に複数検体を一括で収拾する事が多い。また、別の医師が同一患者に対して別オーダを依頼した場合には、複数のオーダ分の検体は、通常、一度に採取される。検体取り違いが発生した場合には、検体の取り違いは、該当オーダ内の複数の検体又は該当患者に関わる複数の検体にて発生していることが疑われる。
【0003】
従来の検体検査支援装置としては、採血管の製品種別に関する情報を記憶した無線タグを設け、採血管の種類の選択ミスを照合する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005―121559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の検体検査支援装置は、採血管の種類の選択ミスを照合した後の検査において、検査データの取り違いが発生した場合には、当該取り違いを検知できないという課題を有する。
【0006】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、検査データの取り違いが発生した場合に、当該取り違いを速やかに検知し、他の検体に対する当該取り違いの影響を効率的に抑える検体検査支援装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示する検体検査支援装置は、前記患者の検体に基づいて、入力された検体データから検体の取り違いをチェックし、当該検体の属する検体グループを特定し、取り違いの可能性のある前記検体に関する影響範囲を特定して通知を行うものである。
【発明の効果】
【0008】
本願に開示する検体検査支援装置は、取り違いされた検体の属する検体グループに応じた範囲を対象として通知できることとなり、取り違い発生時の影響を効率的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る検体検査支援装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る検体検査支援装置のデータ例
【図3】本発明の第1の実施形態に係る検体検査支援装置の全体構成図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る検体検査支援装置のフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態に係る検体検査支援装置の取り間違え相手判定フローチャート
【図6】本発明の第2の実施形態に係る検体検査支援装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る検体検査支援装置を、図1から図5に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の第1の実施形態に係る検体検査支援装置の構成を示すブロック図、図2はこの図1に記載された検体検査支援装置のデータ例、図3はこの図1に記載された検体検査支援装置の全体構成図を示す。また、図4はこの図1に記載された検体検査支援装置のフローチャート、図5はこの図1に記載された検体検査支援装置の取り間違え相手判定フローチャートを示す。
【0012】
図1において、本実施形態に係る検体検査支援装置は、検体データ入力手段1と、検体グループ化手段2と、検体チェック手段3と、検体グループ特定手段4とを備える構成である。また、本実施形態に係る検体検査支援装置は、検体チェック報告手段5と、取り違い検体入力手段6と、取り違い範囲特定手段7と、範囲補正手段8と、通知手段9と、記憶手段10とを備える構成である。
【0013】
この検体データ入力手段1は、患者の検体に基づいて、検体データを入力される。また、この検体グループ化手段2は、検体の採取20及び収集30に関する条件が1又は複数で共通する複数の検体をグループ化する。このグループ化に関しては、ある検体が、取り違いと疑われた検体と採取20及び収集30の条件を共に満たす場合には、採取20及び収集30の条件の一方のみを満たす場合より疑いが高いことを認識するように、重畳的に取り違いの確率を認識することができる。また、この記憶手段10は、取り違い自動判定マスタ11と、取り違い疑いテーブル12と、検体採取時情報保存テーブル13とを備える。
【0014】
この取り違い自動判定マスタ11は、図2(a)に示すように、検体データの取り違いチェックの元となるデータとして、検体ID項目、氏名項目、性別項目、年齢項目を備える。この検体ID項目は、検体を識別する番号である。この氏名項目、性別項目及び年齢項目は、各々、検体検査を行った患者の氏名、性別及び年齢を示す。
【0015】
また、この取り違い疑いテーブル12は、同図(b)に示すように、取り違いの疑いがある検体データが含まれ、取り違い疑いフラグ項目、検体ID項目、氏名項目、性別項目、年齢項目を備える。この取り違い疑いフラグ項目は、検体に取り違い疑いが発生した場合に設定されるフラグを示す。また、この氏名項目、性別項目及び年齢項目は、各々、検体検査を行った患者の氏名、性別及び年齢を示す。
【0016】
また、この検体採取時情報保存テーブル13は、同図(c)に示すように、検体の取り違い相手を特定するためのデータが含まれ、検体採取日項目、検体採取時間項目、検体採取場所項目、氏名項目、性別項目、年齢項目を備える。この検体採取日項目は、検体を採取した日にちを示す。また、この検体採取時間項目は、検体を採取した時間を示す。また、この氏名項目、性別項目及び年齢項目は、各々、検体検査を行った患者の氏名、性別及び年齢を示す。
【0017】
また、この検体チェック手段3は、この検体データ入力手段1に入力された検体データに対して、取り違い自動判定マスタ11に基づいて検体の取り違いが発生している可能性をチェックする。また、この検体グループ特定手段4は、この検体チェック手段3により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、この検体グループ化手段2によりグループ化された検体グループに基づいて、この検体の属する検体グループを紐付けて特定する。
【0018】
また、この検体チェック報告手段5は、この検体チェック手段3による結果を検査担当者40に通知する。また、この取り違い検体入力手段6は、この検体チェック手段3の結果に基づいて、取り違いが発生したと判断された検体データの入力をこの検査担当者40から受付ける。
【0019】
また、この取り違い範囲特定手段7は、この検体グループ特定手段4及びこの取り違い検体入力手段6により特定された検体グループに基づいて、取り違いと判断された検体に関する影響範囲を特定する。また、この取り違い範囲特定手段7は、この特定結果を、この取り違い疑いテーブル12及びこの検体採取時情報保存テーブル13に記憶する。また、この範囲補正手段8は、この取り違い範囲特定手段5により判断された影響範囲を、この検体チェック手段3により検出された検体に応じて補正する。また、この通知手段9は、この取り違い範囲特定手段5に基づいて、この検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う。
【0020】
この取り違い自動判定マスタ11は、検体データの取り違いチェックの元となるデータが含まれる。また、この取り違い疑いテーブル12は、取り違いの疑いがある検体データが含まれる。また、この検体採取時情報保存テーブル13は、検体の取り違い相手を特定するためのデータが含まれる。
【0021】
また、本実施形態の検体検査支援装置は、Hospital Information System;HIS(病院情報システム)200及びmedical electronics;ME(医療用電子機器)300と連携するLaboratory Information system;LIS(検体検査システム)100として機能する。このHIS200は、病院業務の分野、例えば、医事会計、診察・診療予約、検査、処方箋、及び中央材料部門を網羅し、医師からの検体採取の依頼を電子データのオーダーとして受付けることができる。このオーダーは、医者から患者への1回の検体採取の指示を1オーダーとして定義され、この1オーダーには複数の検体検査が含まれる。また、このME300は、医療用電子機器であり、検体検査を行うことができる。また、このLIS100は、このHIS200からの検体採取の依頼のオーダーに含まれる検体項目を確認し、このME300に検体検査の指示を行い、検体検査の結果をこのHIS200に報告して連携する。また、このLIS100は、このHIS200及びME300と、例えば、LANケーブルを介して通信を行うことができる。
【0022】
以下、前記構成に基づく本実施形態の検体検査支援装置の動作について説明する。
まず、前記ME300は、図4に示すように、前記HIS200にて受付けた医師からの検体採取のオーダーに基づいて、検体検査された複数の検体データの採取20及び収集30が行われる(S1)。ここで、この1オーダーの中には、例えば、血算、血液像、尿定性、血糖及び便潜血に関する検体の検査項目が含まれる。
【0023】
本検体検査支援装置である前記LIS100は、前記検体データ入力手段1により、この検体データの入力を受付ける(S2)。前記検体グループ化手段2は、この検体データの採取20及び収集30に基づいて、検体をグループ化する(S3)。前記検体グループ化手段2は、このグループ化として、例えば、一定時間内の範囲において、この検体と同時に採取されたグループ及び同時に収集されたグループとして共通する検体をグループ化する。
【0024】
前記検体チェック手段3は、前記取り違い自動判定マスタ11に基づいて、検体に取り違いの疑いがあるかをチェックし、前記取り違い疑いテーブル12の前記取り違い疑いフラグ項目をフラグ設定することでチェック結果を登録する(S4)。また同時に、前記記憶手段10は、前記検体採取時情報保存テーブル13に、入力された検体のデータを登録する(S4)。前記検体グループ特定手段4は、前記検体チェック手段3にて取り違いの疑いのある検体が検出された場合に、この検体の属するグループを特定する(S5)。また、前記検体チェック報告手段5は、このチェック結果を前記検査担当者40に報告する(S6)。この報告に関しては、前記担当者40の使用する端末画面に対してメッセージ出力により行うことができる。
【0025】
前記取り違い検体入力手段6は、前記検体チェック報告手段5に基づいて前記検査担当者40により判断された取り違い判定を受付ける(S7)。前記記憶手段10は、このS7にて検体取り違いの問題が無いことを受付けた場合には、前記取り違い疑いテーブル12から、この検体に関する情報(レコード)を削除する(S8)。
【0026】
前記通知手段9は、上位システムである前記HIS200に、検体取り違いが発生しておらず、取り違いの疑いを有する状態を解除する旨の通知を行う(S9)。また、前記S4にて、前記検体チェック手段3により検体に取り違いの疑いが無いと判断された場合には、前記S1に戻り、検体採取のオーダーに基づいて、検体検査された複数の検体データの前記採取20及び収集30が再度行われ、以降、同様の処理を繰り返す。
【0027】
また、前記取り違い範囲特定手段7は、前記S7にて検体取り違いの疑いの旨を受付けた場合には、前記検体グループ化手段2により前記採取20及び収集30毎にグループ化された検体グループに基づいて、検体の取り違い範囲を特定する(S10)。ここで、前記範囲補正手段8は、前記取り違い範囲特定手段7により判断された検体の取り違い範囲を、前記検体チェック手段3により検出された検体、例えば、氏名、採取時間、採取場所に応じて補正することができる。前記範囲補正手段8は、同一の1オーダー内に含まれる検体であっても条件が異なる場合、例えば、検体の採取タイミング及び採取場所が異なる場合には、取り違い範囲の対象外とすることができる。このように、前記範囲補正手段8は、この取り違い範囲の補正により、取り違いとは無関係な検体を除外できることとなり、取り違い検体の検出精度を高めることができる。
【0028】
また、前記通知手段9は、前記検体の取り違い範囲を、前記検査担当者40の使用する端末の画面にメッセージ表示する(S11)。また、前記記憶手段10は、前記取り違い疑いテーブル12から、この検体に関する情報(レコード)の状態を、取り扱い疑い中として保存(登録)する(S12)。
【0029】
また、前記取り違い範囲特定手段7は、前記検体採取時情報保存テーブル13に基づいて、取り違い相手のデータを検索する(S13)。ここで、前記取り違い範囲特定手段7は、図5に示すように、検体採取時情報保存テーブル13に基づいて、前記取り違いと判断された検体と採取日及び採取場所が同一のデータを全件取得する(S21)。次に、前記取り違い範囲特定手段7は、採取時間が前後1時間以内のデータかを判断する(S22)。
【0030】
前記取り違い範囲特定手段7は、このS22にて採取時間が前後1時間以内のデータの場合には、前記取り違いと判断された検体の氏名と同姓同名かを判断する(S23)。前記取り違い範囲特定手段7は、このS23にて前記取り違いと判断された検体と同姓同名の場合には、取り違い相手の対象と判断する(S24)。
【0031】
また、前記取り違い範囲特定手段7は、このS23にて同姓同名で無い場合には、前記取り違いと判断された検体の氏名と1又は2文字違う名前であるかを判断する(S25)。前記取り違い範囲特定手段7は、このS25にて前記取り違いと判断された検体の氏名と1又は2文字違う名前である場合には、さらに、前記取り違いと判断された検体の氏名と同性で年齢がプラスマイナス1割の範囲内に収まっているかを判断する(S26)。前記取り違い範囲特定手段7は、このS26にて前記取り違いと判断された検体に対して同性且つ年齢がプラスマイナス1割の範囲内に収まっている場合には、取り違い相手の対象と判断する(前記S24)。
【0032】
また、前記取り違い範囲特定手段7は、このS22にて採取時間が前後1時間以内のデータではないと判断した場合、又は、このS25にて前記取り違いと判断された検体の氏名と3文字以上違う名前である場合には、取り違い相手の対象外と判断する(S27)。また、前記取り違い範囲特定手段7は、このS26にて前記取り違いと判断された検体に対して氏名と異性又はこの年齢差がプラスマイナス1割の範囲外の場合には、取り違い相手の対象外と判断する(同S27)。
【0033】
このように、前記取り違い範囲特定手段7は、検体の状況に応じて取り違い範囲を判断できることとなり、採取20及び収集30に基づいた検体グループにのみに限定された取り違い範囲よりも、より最適な範囲に対して取り違い範囲を柔軟に判断することができる。また、また、前記取り違い範囲特定手段7は、検体データからは判らない取り違い相手の可能性のある患者を検出できることとなり、取り違い検出を高精度化することができる。このように、前記取り違い範囲特定手段7は、医師から指示された1オーダーの範囲内のみならず、同時に採取した同一患者に関する検体に対しても取り違いの発生を考慮することができることとなり、取り違い検出を高精度化することができる。
【0034】
次に、前記通知手段9は、図4に示すように、上位システムである前記HIS200に、検体取り違いが発生した旨、例えば、「検体取り違いの疑いがあるため、検討中」とのメッセージの通知を行う(S14)。このように、前記通知手段9は、前記LIS100の上位システムである前記HIS200に対して、迅速に取り違い発生状況を連携することができることとなり、この取り違いが発生した検体による医師の誤診を未然に防ぐことができる。また、前記通知手段9は、取り違いが発生したオーダー以外の他のオーダーに対しても、通知を行うこととなり、取り違い発生による二次被害を効率的に抑えることができる。
また、本実施形態に係る検体検査支援装置のハードウェア構成は、CPU、メモリ、記憶装置、ディスプレイ、入力装置及び上記各部を接続するバスからなる。
【0035】
(本発明のその他の実施形態)
本発明のその他の実施形態に係る検体検査支援装置としては、前記第1の実施形態に記載した前記検体チェック手段3が、過去のチェック履歴に基づいて、検体チェックを行うこともできる。
【0036】
本検体検査支援装置は、前記第1の実施形態と同様に、前記検体データ入力手段1と、前記検体グループ化手段2と、前記検体チェック手段3と、前記検体グループ特定手段4とを備える構成である。また、本実施形態に係る検体検査支援装置は、前記検体チェック報告手段5と、前記取り違い検体入力手段6と、前記取り違い範囲特定手段7と、前記範囲補正手段8と、前記通知手段9と、前記記憶手段10とを備える構成である。
【0037】
また、本実施形態の検体検査支援装置は、図6に示すように、前記第1の実施形態に追加して、前記記憶手段10に、履歴情報14を備える構成である。この履歴情報14は、患者毎の特定の検査項目、例えば、血糖値、尿酸値及び肝機能値を保持することができる。
【0038】
本発明のその他の実施形態に係る検体検査支援装置を、前記第1の実施形態に追加された内容に関して、以下説明する。
前記検体チェック手段3は、前記第1の実施形態に記載した図4に示すように、前記S4にて、前記取り違い自動判定マスタ11に基づいて、検体に取り違いの疑いがあるかをチェックする。ここで、前記記憶手段10は、このチェック結果に基づいて、前記履歴情報14に前記特定の検査項目を累積記憶する。さらに、前記検体チェック手段3は、前記S4にて、同一患者に対する前記履歴情報14に登録された過去値と現在値との値変化までもチェックを行う。前記検体チェック手段3は、このチェックにより、同一患者の検体に関して、過去値との不自然な値変化がある場合に、その値変化を検出して検体取り違いの可能性を疑うことができることとなり、検体取り違いの検出をより高精度化することができる。
【0039】
なお、上記の実施形態では共に、前記検体グループ化手段2が、前記採取20及び収集30に関する条件で複数の検体をグループ化したが、前記採取20又は収集30に関する条件のみでもグループ化することが可能である。また、前記検体グループ化手段2は、前記採取20及び収集30以外にも、グループ化することが可能であり、例えば、氏名の50音順、性別、検査日、検査時間に基づいて、グループ化することができる。
【0040】
なお、上記の実施形態では共に、前記取り違い検体入力手段6が、前記検体チェック報告手段5による前記検査担当者40からの検体取り違いの判断を受付けるものとしたが、前記検体チェック報告手段5及び前記取り違い検体入力手段6を含めないことも可能である。この場合には、入力された検体に対して前記検査担当者40の判断を含めずに前記取り違い範囲特定手段7が処理を行い、この処理結果の通知を受けた前記検査担当者40が取り違いの判断を行うことができ、取り違い判断を十分に行うことができる。
【0041】
なお、上記の実施形態では共に、前記範囲補正手段8を含むものとしたが、前記範囲補正手段8を含めずに前記検体検査支援装置を構成することができる。この場合には、前記取り違い範囲特定手段7に基づいて、前記通知手段9が、前記HIS200に通知を行う動作とすることができ、取り違い判断を十分に行うことができる。
【0042】
[付記] 以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)医者から患者への1回の検体採取の指示としての1オーダーに含まれる採取及び収集された複数の検体に対する検査担当者の検査を支援する検体検査支援装置において、前記患者の検体に基づいて、検体データを入力される検体データ入力手段と、
前記検体データ入力手段に入力された検体データに対して、検体の取り違いが発生している可能性をチェックする検体チェック手段と、前記検体チェック手段により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、相互関連する検体の集合体である複数の検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する検体グループ特定手段と、前記検体グループ特定手段により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いの可能性のある前記検体に関する影響範囲を特定する取り違い範囲特定手段と、
前記取り違い範囲特定手段に基づいて、前記検体の取り違いの可能性に関する影響範囲に対して、通知を行う通知手段とを備える検体検査支援装置。
【0043】
(付記2)前記採取及び/又は収集に関する条件が1又は複数で共通する複数の検体をグループ化する検体グループ化手段を備え、前記検体グループ特定手段が、前記検体チェック手段により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、前記検体グループ化手段によりグループ化された検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する付記1記載の検体検査支援装置。
【0044】
(付記3)前記検体チェック手段の結果を前記検査担当者に通知する検体チェック報告手段と、前記検体チェック報告手段に基づいて、前記検査担当者により取り違いが発生したと判断された検体データの入力を受付ける取り違い検体入力手段とを備え、前記検体グループ特定手段が、前記検体チェック手段及び前記取り違い検体入力手段に基づいて、取り違いと判断された検体検体の属する前記検体グループを紐付けて特定し、前記取り違い範囲特定手段が、前記検体グループ特定手段により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いと判断された前記検体に関する影響範囲を特定し、前記通知手段が、前記取り違い範囲特定手段に基づいて、前記検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う付記1又は付記2記載の検体検査支援装置。
【0045】
(付記4) 前記取り違い範囲特定手段により判断された前記影響範囲を、前記検体入力手段により入力された前記検体データに応じて検体の取り違いの有無を判断する範囲を補正する範囲補正手段を備え、前記通知手段が、前記取り違い範囲特定手段及び前記範囲補正手段に基づいて、前記検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う付記1ないし付記3のいずれかに記載の検体検査支援装置。
【0046】
(付記5)前記検体チェック手段による前記検体データのチェック結果を履歴情報として累積記憶する履歴記憶手段を備え、前記検体チェック手段が、前記履歴記憶手段により累積記憶された前記履歴情報に基づいて、前記検体のチェックを行う付記1ないし付記4のいずれかに記載の検体検査支援装置。
【0047】
(付記6)医者から患者への1回の検体採取の指示としての1オーダーに含まれる採取及び収集された複数の検体に対する検査担当者の検査を支援する検体検査支援方法において、前記患者の検体に基づいて、検体データを入力される検体データ入力工程と、前記検体データ入力工程に入力された検体データに対して、検体の取り違いが発生している可能性をチェックする検体チェック工程と、前記検体チェック工程により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、相互関連する検体の集合体である複数の検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する検体グループ特定工程と、前記検体グループ特定工程により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いの可能性のある前記検体に関する影響範囲を特定する取り違い範囲特定工程と、前記取り違い範囲特定工程に基づいて、前記検体の取り違いの可能性に関する影響範囲に対して、通知を行う通知工程とを備える検体検査支援方法。
【0048】
(付記7)前記採取及び/又は収集に関する条件が1又は複数で共通する複数の検体をグループ化する検体グループ化工程を備え、前記検体グループ特定工程が、前記検体チェック工程により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、前記検体グループ化工程によりグループ化された検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する付記6記載の検体検査支援方法。
【0049】
(付記8)前記検体チェック工程の結果を前記検査担当者に通知する検体チェック報告工程と、前記検体チェック報告工程に基づいて、前記検査担当者により取り違いが発生したと判断された検体データの入力を受付ける取り違い検体入力工程とを備え、前記検体グループ特定工程が、前記検体チェック工程及び前記取り違い検体入力工程に基づいて、取り違いと判断された検体検体の属する前記検体グループを紐付けて特定し、前記取り違い範囲特定工程が、前記検体グループ特定工程により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いと判断された前記検体に関する影響範囲を特定し、前記通知工程が、前記取り違い範囲特定工程に基づいて、前記検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う付記6又は付記7記載の検体検査支援方法。
【0050】
(付記9) 前記取り違い範囲特定工程により判断された前記影響範囲を、前記検体入力工程により入力された前記検体データに応じて検体の取り違いの有無を判断する範囲を補正する範囲補正工程を備え、前記通知工程が、前記取り違い範囲特定工程及び前記範囲補正工程に基づいて、前記検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う付記6ないし付記8のいずれかに記載の検体検査支援方法。
【0051】
(付記10)前記検体チェック工程による前記検体データのチェック結果を履歴情報として累積記憶する履歴記憶工程を備え、前記検体チェック工程が、前記履歴記憶工程により累積記憶された前記履歴情報に基づいて、前記検体のチェックを行う付記6ないし付記9のいずれかに記載の検体検査支援方法。
【0052】
(付記11)医者から患者への1回の検体採取の指示としての1オーダーに含まれる採取及び収集された複数の検体に対する検査担当者の検査を支援するようにコンピュータを機能させる検体検査支援プログラムにおいて、前記患者の検体に基づいて、検体データを入力される検体データ入力手段、前記検体データ入力手段に入力された検体データに対して、検体の取り違いが発生している可能性をチェックする検体チェック手段、前記検体チェック手段により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、相互関連する検体の集合体である複数の検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する検体グループ特定手段、前記検体グループ特定手段により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いの可能性のある前記検体に関する影響範囲を特定する取り違い範囲特定手段、前記取り違い範囲特定手段に基づいて、前記検体の取り違いの可能性に関する影響範囲に対して、通知を行う通知手段としてコンピュータを機能させる検体検査支援プログラム。
【0053】
(付記12)前記採取及び/又は収集に関する条件が1又は複数で共通する複数の検体をグループ化する検体グループ化手段としてコンピュータを機能させ、前記検体グループ特定手段が、前記検体チェック手段により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、前記検体グループ化手段によりグループ化された検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する付記11記載の検体検査支援プログラム。
【0054】
(付記13)前記検体チェック手段の結果を前記検査担当者に通知する検体チェック報告手段、前記検体チェック報告手段に基づいて、前記検査担当者により取り違いが発生したと判断された検体データの入力を受付ける取り違い検体入力手段としてコンピュータを機能させ、前記検体グループ特定手段が、前記検体チェック手段及び前記取り違い検体入力手段に基づいて、取り違いと判断された検体検体の属する前記検体グループを紐付けて特定し、前記取り違い範囲特定手段が、前記検体グループ特定手段により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いと判断された前記検体に関する影響範囲を特定し、前記通知手段が、前記取り違い範囲特定手段に基づいて、前記検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う付記11又は付記12記載の検体検査支援プログラム。
【0055】
(付記14) 前記取り違い範囲特定手段により判断された前記影響範囲を、前記検体入力手段により入力された前記検体データに応じて検体の取り違いの有無を判断する範囲を補正する範囲補正手段としてコンピュータを機能させ、前記通知手段が、前記取り違い範囲特定手段及び前記範囲補正手段に基づいて、前記検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う付記11ないし付記13のいずれかに記載の検体検査支援プログラム。
【0056】
(付記15)前記検体チェック手段による前記検体データのチェック結果を履歴情報として累積記憶する履歴記憶手段としてコンピュータを機能させ、前記検体チェック手段が、前記履歴記憶手段により累積記憶された前記履歴情報に基づいて、前記検体のチェックを行う付記11ないし付記14のいずれかに記載の検体検査支援プログラム。
【符号の説明】
【0057】
1 検体データ入力手段
2 検体グループ化手段
3 検体チェック手段
4 検体グループ特定手段
5 検体チェック報告手段
6 取り違い検体入力手段
7 取り違い範囲特定手段
8 範囲補正手段
9 通知手段
10 記憶手段
11 自動判定マスタ
12 取り違い疑いテーブル
13 検体採取時情報保存テーブル
20 採取
30 収集
100 LIS
200 HIS
300 ME

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医者から患者への1回の検体採取の指示としての1オーダーに含まれる採取及び収集された複数の検体に対する検査担当者の検査を支援する検体検査支援装置において、
前記患者の検体に基づいて、検体データを入力される検体データ入力手段と、
前記検体データ入力手段に入力された検体データに対して、検体の取り違いが発生している可能性をチェックする検体チェック手段と、
前記検体チェック手段により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、相互関連する検体の集合体である複数の検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する検体グループ特定手段と、
前記検体グループ特定手段により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いの可能性のある前記検体に関する影響範囲を特定する取り違い範囲特定手段と、
前記取り違い範囲特定手段に基づいて、前記検体の取り違いの可能性に関する影響範囲に対して、通知を行う通知手段とを備える
検体検査支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体検査支援装置において、
前記採取及び/又は収集に関する条件が1又は複数で共通する複数の検体をグループ化する検体グループ化手段を備え、
前記検体グループ特定手段が、前記検体チェック手段により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、前記検体グループ化手段によりグループ化された検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する
検体検査支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の検体検査支援装置において、
前記検体チェック手段の結果を前記検査担当者に通知する検体チェック報告手段と、
前記検体チェック報告手段に基づいて、前記検査担当者により取り違いが発生したと判断された検体データの入力を受付ける取り違い検体入力手段とを備え、
前記検体グループ特定手段が、前記検体チェック手段及び前記取り違い検体入力手段に基づいて、取り違いと判断された検体検体の属する前記検体グループを紐付けて特定し、
前記取り違い範囲特定手段が、前記検体グループ特定手段により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いと判断された前記検体に関する影響範囲を特定し、
前記通知手段が、前記取り違い範囲特定手段に基づいて、前記検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う
検体検査支援装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検体検査支援装置において、
前記取り違い範囲特定手段により判断された前記影響範囲を、前記検体入力手段により入力された前記検体データに応じて検体の取り違いの有無を判断する範囲を補正する範囲補正手段を備え、
前記通知手段が、前記取り違い範囲特定手段及び前記範囲補正手段に基づいて、前記検体の取り違いに関する影響範囲に対して通知を行う
検体検査支援装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検体検査支援装置において、
前記検体チェック手段による前記検体データのチェック結果を履歴情報として累積記憶する履歴記憶手段を備え、
前記検体チェック手段が、前記履歴記憶手段により累積記憶された前記履歴情報に基づいて、前記検体のチェックを行う
検体検査支援装置。
【請求項6】
医者から患者への1回の検体採取の指示としての1オーダーに含まれる採取及び収集された複数の検体に対する検査担当者の検査を支援する検体検査支援方法において、
前記患者の検体に基づいて、検体データを入力される検体データ入力工程と、
前記検体データ入力工程に入力された検体データに対して、検体の取り違いが発生している可能性をチェックする検体チェック工程と、
前記検体チェック工程により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、相互関連する検体の集合体である複数の検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する検体グループ特定工程と、
前記検体グループ特定工程により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いの可能性のある前記検体に関する影響範囲を特定する取り違い範囲特定工程と、
前記取り違い範囲特定工程に基づいて、前記検体の取り違いの可能性に関する影響範囲に対して、通知を行う通知工程とを備える
検体検査支援方法。
【請求項7】
医者から患者への1回の検体採取の指示としての1オーダーに含まれる採取及び収集された複数の検体に対する検査担当者の検査を支援するようにコンピュータを機能させる検体検査支援プログラムにおいて、
前記患者の検体に基づいて、検体データを入力される検体データ入力手段、
前記検体データ入力手段に入力された検体データに対して、検体の取り違いが発生している可能性をチェックする検体チェック手段、
前記検体チェック手段により検体データの取り違いの可能性が検出された場合に、相互関連する検体の集合体である複数の検体グループに基づいて、当該検体の属する検体グループを紐付けて特定する検体グループ特定手段、
前記検体グループ特定手段により特定された前記検体グループに基づいて、取り違いの可能性のある前記検体に関する影響範囲を特定する取り違い範囲特定手段、
前記取り違い範囲特定手段に基づいて、前記検体の取り違いの可能性に関する影響範囲に対して、通知を行う通知手段としてコンピュータを機能させる
検体検査支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−216868(P2010−216868A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61539(P2009−61539)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】