説明

検出スイッチの取付構造及びそれを用いた仮設足場用防犯システム

【課題】不法侵入者に容易に気づかれ難い、検出スイッチの取付構造を提供する。
【解決手段】本発明の検出スイッチの取付構造は、仮設足場への不法侵入者を検出するためのものであって、仮設足場に用いられる長尺状の床付き布わく1の裏面側に、上下動自在に支持されて検出スイッチ11を押圧するためのスイッチ押圧部13が設けられ、スイッチ押圧部13の下方に、検出スイッチ11を上下動不可に支持するためのスイッチ支持部12が設けられ、床付き布わく1に荷重が加わることに応じてスイッチ押圧部13が下方へ変位し、この変位によって検出スイッチ11が押圧される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築現場等で組み立てられる仮設足場において、不法侵入者の侵入を検出するための検出スイッチの取付構造に関する。また、この取付構造を用いた、不法侵入者の侵入を防止するための仮設足場用防犯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の増改築や改修工事(塗装、タイル貼り、防水補修又はひび補修等)が実施される建築現場においては、建築物の周囲に作業者が高所作業を行うための仮設足場が組み立てられる。仮設足場の周囲には、例えば資材の落下防止、目隠しに用いられたり、作業時に発生する粉塵、及び騒音等を遮断するために用いられたりする工事用シートが取付けられる。
【0003】
仮設足場に工事用シートが取付けられると、工事用シートによって内部(建築物)の様子が外部から見え難くなる。そのため、作業者が工事現場にいなくなる夜間や工事作業の昼間の休憩中において、不法侵入者が仮設足場を利用して仮設足場からマンション等の建築物に侵入しやすくなる。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、仮設足場の水平材や支柱に例えば赤外線センサ等の侵入検出機器を設置し、この侵入検出機器によって不法侵入者の侵入を検出する防犯システムが提案されている。また、特許文献2には、シート状のフットスイッチが設けられ、不法侵入者がそのフットスイッチを踏むことにより、不法侵入者を検出する防犯システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−39529号公報
【特許文献2】特開2005−31831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記侵入検出機器は、仮設足場の水平材や支柱等に取り付けられて設置されるので、仮設足場に侵入する不法侵入者に発見されやすいといった問題点があった。また、シート状のフットスイッチは例えば階段の昇り口等に設置されるので、この場合も外観が露出され不法侵入者に発見されやすいといった問題点があった。そのため、不法侵入者が侵入検出機器やフットスイッチを避けて通ったり、不法侵入者に侵入検出機器等が壊されたりすることがあった。
【0007】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、不法侵入者に容易に気づかれ難い、検出スイッチの取付構造を提供することを、その課題とする。また、この検出スイッチの取付構造を用いた仮設足場用防犯システムを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される検出スイッチの取付構造は、仮設足場に侵入する者を検出するための検出スイッチの取付構造であって、前記仮設足場に用いられる長尺状の足場板の裏面側に、上下動自在に支持されて前記検出スイッチを押圧するためのスイッチ押圧部が設けられ、前記スイッチ押圧部の下方に、前記検出スイッチを上下動不可に支持するためのスイッチ支持部が設けられ、前記足場板に荷重が加わることに応じて前記スイッチ押圧部が下方へ変位し、この変位によって前記検出スイッチが押圧されることを特徴としている。
【0009】
本発明の検出スイッチの取付構造において、前記スイッチ押圧部は、前記足場板の長手方向に延びかつ上面が前記足場板の裏面側に接する荷重受材と、前記足場板の短手方向に延びかつ前記荷重受材をその下方側で支持するとともに、前記検出スイッチを押圧するための棒状部材とによって構成されるとよい。
【0010】
本発明の検出スイッチの取付構造において、前記棒状部材は複数設けられ、前記複数の棒状部材は、前記荷重受材の中央部に所定の間隔を隔てて並設されているとよい。
【0011】
本発明の検出スイッチの取付構造において、前記棒状部材と前記検出スイッチとの間には、弾性部材が介在されているとよい。
【0012】
本発明の検出スイッチの取付構造において、前記足場板は床付き布わくであり、前記スイッチ支持部は、前記床付き布わくの長手方向に沿う端部に折り返して延出された延出部に固定されて支持されているとよい。
【0013】
本発明の第2の側面によって提供される検出スイッチの取付構造は、仮設足場に侵入する者を検出するための検出スイッチの取付構造であって、前記仮設足場に用いられ、複数の踏板と、これらの踏板を所定の高さ位置で支持するための一対の支持部材と、前記一対の支持部材の最下端部同士を連結する連結板とを有する階段が設けられ、前記連結板の裏面側に、前記検出スイッチを上下動不可に支持するためのスイッチ支持部が設けられ、前記いずれかの踏板又は前記連結板に荷重が加わることに応じて前記いずれかの踏板又は前記連結板が下方へ変位し、この変位によって前記検出スイッチが押圧されることを特徴としている。
【0014】
本発明の第3の側面によって提供される仮設足場用防犯システムは、本発明の第1の側面又は第2の側面によって提供される検出スイッチの取付構造と、前記検出スイッチの出力に応じて検出信号を送信する送信手段と、前記送信手段から送信される検出信号を受信する受信手段と、前記受信手段が前記検出信号を受信することに基づいて警報する警報手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の検出スイッチの取付構造によると、検出スイッチが足場板(例えば床付き布わく)や階段の連結板の裏面側に取付けられるので、仮設足場への侵入者に容易に気づかれ難くなり、検出スイッチが侵入者に避けて通られたり壊されたりすることを抑制することができる。また、検出スイッチが足場板等の裏面側に取付けられるので、現場作業で用いられる例えば生コン、モルタル及び塗料等が飛散しても検出スイッチに付着し難くなる。したがって、検出スイッチ自体の動作不良を引き起こす可能性を少なくできる。
【0016】
また、本発明の仮設足場用防犯システムによると、検出スイッチからの検出信号は、送信手段によって受信手段に送られ、警報手段によって警報されるので、侵入者を仮設足場から退散させ、仮設足場やマンション等への侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る検出スイッチの取付構造が適用された床付き布わくの斜視図である。
【図2】図1に示すA−A矢視図である。
【図3】検出スイッチの取付構造を示す斜視図である。
【図4】検出スイッチの取付構造を示す透視図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図5】検出スイッチの拡大断面図である。
【図6】床付き布わくに荷重が加わった状態を説明するための図であり、(a)は通常の状態、(b)は荷重が加わった状態を示す。
【図7】荷重受材に加わる荷重力を説明するための図である。
【図8】仮設足場用防犯システムの構成図である。
【図9】仮設足場用防犯システムの他の構成図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る検出スイッチの取付構造が適用された階段の斜視図である。
【図11】第2実施形態に係る検出スイッチの取付構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る検出スイッチの取付構造が適用された床付き布わくの斜視図である。図2は、図1に示すA−A矢視図である。図3は、検出スイッチの取付構造を示す斜視図である。なお、図3では床付き布わくを省略している。また、図4は、検出スイッチの取付構造を示す透視図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0020】
本実施形態に係る検出スイッチの取付構造は、図1に示すように、例えば建築現場等の仮設足場に用いられる床付き布わく等に適用される。床付き布わく1は、仮設足場において足場板として用いられ、仮設足場内で作業者が歩行するために用いられる。
【0021】
床付き布わく1は、長尺状の2つの床基材2を有し、両床基材2の上面同士がほぼ面一になるように並設された構成とされている。床付き布わく1の長手方向における両端には、2つの床基材2を並設させるための連結部材3がそれぞれ設けられている。各連結部材3には、図示しない水平材等に床付き布わく1を係止するための一対の円弧状のフック4がそれぞれ設けられている。また、床付き布わく1には、この長手方向と直交する方向に延び、床基材2の外側の端部同士を連結する3つの補強部材5が所定の間隔を隔てて設けられている。
【0022】
上記検出スイッチの取付構造は、床付き布わく1の裏面側、すなわち各床基材2の裏面側にそれぞれ設けられ、床基材2の長手方向と直交する方向に並べて配されている。また、上記取付構造は、隣合う補強部材5同士の間に設けられている。
【0023】
各床基材2は、図2に示すように、断面コの字状に概略形成され、さらに長手方向に沿う端部が内側に巻き込むように折り曲げられて形成されている。すなわち、床基材2は、平板状の平面部2aと、平面部2aの長手方向に沿う端部から下方に向かって延出された垂直面部2bと、垂直面部2bの端部から水平方向に延出された水平面部2cと、水平面部2cの端部から上方に向かって延出された折り曲げ面部2dとを備えている。
【0024】
上記検出スイッチの取付構造は、検出スイッチ11と、この検出スイッチ11を支持するためのスイッチ支持部12と、検出スイッチ11を押圧するためのスイッチ押圧部13とによって構成されている。
【0025】
検出スイッチ11は、床付き布わく1が仮設足場への不法侵入者によって踏まれたことを検出するスイッチである。検出スイッチ11は、所定の長さ(例えば150mm)を有する長板状のテープスイッチによって構成されている。検出スイッチ11は、スイッチ支持部12のスイッチ取付板14(後述)の上面に固定されている。
【0026】
検出スイッチ11は、図5に示すように、被押圧部材(本実施形態では後述するスペーサ23に相当)による押圧状態を検出する検出部材11aと、検出部材11aを挿入支持するための支持部材11bとによって構成される。検出部材11aは、例えば塩化ビニールからなり、所望の弾力性を有している。検出部材11aの表面には、検出スイッチ11の長手方向に沿って突条11cが形成されている。突条11cは、被押圧部材によって押圧される部分である。なお、検出部材11aは、支持部材11bに対して交換可能とされている。
【0027】
スイッチ支持部12は、図2ないし図4に示すように、スイッチ取付板14とベース部材15とによって構成される。スイッチ取付板14は、検出スイッチ11を搭載するものであり、略平板状に形成されている。スイッチ取付板14は、ベース部材15の下面側にボルト止めされて取り付けられている。このように、スイッチ取付板14がボルト止めされることにより、検出スイッチ11の取付け高さを微調整することができ、検出スイッチ11が被押圧部材により押圧されるときのスイッチ感度を調整することができる。なお、スイッチ取付板14は、ベース部材15と一体的に設けられていてもよい。
【0028】
ベース部材15は、略平板状に形成されている。ベース部材15は、図2に示すように、床付き布わく1の長手方向に沿う両端部が上記した床基材2の一対の折り曲げ面部2dの端面に支持されている。より詳細には、ベース部材15の一方の端部は下方に折り曲げられており、この折り曲げ端部が床基材2の折り曲げ面部2dに係止されている。また、ベース部材15の他方の端部には、下方に突出する複数の突起16が形成されており、これらの突起16は、ベース部材15の床基材2からの抜け止め部材として機能する。
【0029】
また、ベース部材15の端部には、床付き布わく1の短手方向に進退自在なボルト17が取付板18に支持されている。ボルト17は、スイッチ支持部12を床基材2に固定するためのものである。この構成により、スイッチ支持部12は床基材2に固定され、検出スイッチ11は、床基材2に荷重力が加わったときでも上下動不可とされている。
【0030】
ベース部材15の中央部には、検出スイッチ11の外形より大の大きさを有する長矩形状の孔19が形成されている(図4(a)参照)。この長矩形状の孔19から検出スイッチ11が上方に臨むようにされている。
【0031】
ベース部材15には、床基材2の長手方向に沿う両端部上面に略L字状のアングル20がそれぞれ設けられている。アングル20には、略円形状の孔20aが形成されている。孔20aには、後述する円柱状の棒状部材21の両端部分が遊嵌される。すなわち、孔20aの直径は棒状部材21の直径より大とされ、棒状部材21は、この孔20a内において上下方向に移動自在とされる。
【0032】
スイッチ押圧部13は、検出スイッチ11を押圧するための2本の棒状部材21と、両棒状部材21に荷重力を伝達するための一対の荷重受材22と、各棒状部材21に巻装されたスペーサ23とによって構成される。
【0033】
棒状部材21は、荷重受材22からの荷重力を検出スイッチ11に対して伝達するものである。棒状部材21は、円柱状に形成されている。2本の棒状部材21は、床基材2の長手方向と直交する方向に所定の間隔を隔てて並行配置されている。このように、棒状部材21は円柱状とされているので、棒状部材21は、検出スイッチ11の突条11cと点接触される。そのため、荷重受材22からの荷重力を検出スイッチ11の接触箇所に集中させて伝達することができる。
【0034】
一対の荷重受材22は、両棒状部材21にそれぞれ支持されている。2つの荷重受材22は、床付き布わく1が作業者によって踏まれたこと、つまり床付き布わく1に荷重が加わったことを棒状部材21に伝達するものである。荷重受材22は、断面コの字状に形成され、長手方向の長さが例えば600mmに形成されている。
【0035】
一対の荷重受材22は、床付き布わく1の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて平行に配されている。荷重受材22の表面は、図2に示すように、床基材2(床付き布わく1)の平面部2aの裏面側に接するように配置される。荷重受材22の長手方向に沿う側面には、下向き半円弧状の凹部が一対ずつ形成されている。これらの凹部には、2本の棒状部材21が荷重受材22の長手方向と直交する方向に配されて係止されている。
【0036】
荷重受材22が上記のような長さに設定されているのは人間の歩幅を考慮したもので、すなわち不法侵入者が床付き布わく1上を歩いた場合に荷重受材22の配置位置を跨ぐことのないように、荷重受材22の長さが設定されている。また、検出スイッチ11の取付構造が互い違いではなく床基材2の長手方向と直交する方向において並設されているのは、床付き布わく1上を不法侵入者が歩いた場合にいずれかの荷重受材22上を不法侵入者が踏む可能性が高いことを考慮したためである。
【0037】
また、荷重受材22の中央部に棒状部材21が配置されているので、荷重受材22のいずれかの箇所に荷重力が加わったとしても、荷重力を棒状部材21に集中させて伝えることができる。また、荷重受材22に対して2本の棒状部材21が並行配置されているので、荷重受材22を安定して支持することができる。したがって、荷重受材22は、その上面全体が床基材2の裏面側により接し易くなるといった利点がある。
【0038】
スペーサ23は、2つの荷重受材22の間であって各棒状部材21の中央部分にそれぞれ巻装されている。スペーサ23は、例えばOリングやオイルシール等に用いられるニトリルゴム等の弾性部材からなる。スペーサ23は、通常状態で後述する検出スイッチ11の突条11cの先端部分とわずかに接する位置に配置される。
【0039】
このように、ニトリルゴム程度の弾性力を有するスペーサ23を棒状部材21と検出スイッチ11の突条11cとの間に介在させることにより、スペーサ23と検出スイッチ11との間において適度な接触性を有することができる。すなわち、仮にスペーサ23が金属等で形成されていると、取付位置のがたつき等により床付き布わく1が踏まれない通常状態においても検出スイッチ11がオン状態のままとなる場合がある。また、仮にスペーサ23がニトリルゴム程度の弾性力以下の弾性力を有していると、床付き布わく1が踏まれた状態であっても検出スイッチ11がオフ状態のままとなる場合がある。そのため、荷重受材22の荷重力が適切に伝達されないことが生じるが、本実施形態では、スペーサ23が用いられることにより、荷重受材22に加わる荷重力を適切に検出スイッチ11に伝達させることができる。
【0040】
上記構成によれば、不法侵入者が仮設足場に侵入し、床付き布わく1、すなわち床基材2の荷重受材22が取付けられた表面側を不法侵入者が踏むと、図6に示すように、床基材2が撓み、それにともなって荷重受材22に荷重力Pが加わり荷重受材22が下方に変位する。これに応じて棒状部材21も下方に変位し、棒状部材21のスペーサ23の表面が検出スイッチ11の突条11cを押圧する。これにより、検出スイッチ11はオン状態となり、無接点の接点信号を出力する。後述するように、検出スイッチ11には無線送信機31(図8参照)が接続されているので、検出スイッチ11は、無線送信機31に上記接点信号を出力する。これにより、床付き布わく1に荷重が加わったことを検出することができ、検出スイッチ11によって不法侵入者の侵入を検出することができる。
【0041】
この場合、検出スイッチ11は、上記したように床付き布わく1の裏面側といった、不法侵入者の目に入り難い箇所に設けられるため、不法侵入者に容易に気づかれ難くなっている。そのため、検出スイッチ11が不法侵入者に避けて通られたり、壊されたりすることを抑制することができる。
【0042】
また、検出スイッチ11は、床付き布わく1の裏面側に設けられるため、作業者が現場作業で用いられる、例えば生コン、モルタル及び塗料等の材料が付着し難くなる。そのため、それらの材料が検出スイッチ11に付着して固化することによって動作不良を引き起こす可能性を少なくでき、長期的に検出スイッチ11を使用することができる。
【0043】
さらに、荷重受材22は略円柱状の棒状部材21に支持されているため、図7に示すように、例えば荷重受材22の一方端に荷重力P0が加わったとき、荷重受材22の他方端は、棒状部材21を支点Cにして上方に向けて作用力P1が生じる。そのため、この作用力P1により、棒状部材21を支点Cにしてさらに一方端において下方に向けてさらなる荷重力(反力)P2が加わる。
【0044】
このように、検出スイッチ11の取付構造において荷重受材22がいわゆるシーソー状に設置されると、上記したように、荷重受材22への荷重力が約2倍になるので、少しの荷重力で検出スイッチ11を確実にオン状態にすることができる。また、約150mmの比較的短い検出スイッチ11によって、不法侵入者を検出する範囲を約600mm(荷重受材22の長さ)の距離に設定することができる。したがって、検出スイッチ11の外形をコンパクトにすることができる一方、不法侵入者を検出する範囲を広げることができる。
【0045】
上記の検出スイッチの取付構造は、図8に示すような不法侵入者が仮設足場へ侵入するのを防止するための仮設足場用防犯システムに適用される。すなわち、仮設足場用防犯システムは、仮設足場側に設けられた機器と、現場事務所側に設けられた機器とによって大別される。仮設足場側機器は、検出スイッチ11、無線送信機31及び足場側警報機32によって構成される。現場事務所側機器は、無線受信機及び無線送信機としてのコントローラ33及び事務所側警報機34によって構成される。
【0046】
無線送信機31は、図1に示すように、床付き布わく1の裏面側であって検出スイッチ11の取付位置の近傍に配置されている。無線送信機31は、検出スイッチ11によって検出された検出信号(接点信号)を現場事務所に設けられたコントローラ33に無線で伝達するものである。すなわち、無線送信機31は、検出スイッチ11からの検出信号が入力されると、コントローラ33に対してその旨の送信信号を無線によって送信する。無線送信機31は、電源としてのたとえば乾電池によって動作可能とされ、例えばAC100Vといった交流電圧が不要とされる。
【0047】
このように、無線送信機31は、検出スイッチ11による検出信号を無線によって現場事務所側に伝達するので、有線で信号を伝達する場合に比べケーブルの引き回しが不要であり、低コスト化を図ることができる。また、無線送信機31も床付き布わく1の裏面側に設けられるので、不法侵入者の目に入り難い。
【0048】
足場側警報機32は、不法侵入者に警告し不法侵入者を威嚇するためのものである。足場側警報機32は、例えば図示しない音声出力部及び光出力部を有している。足場側警報機32は、コントローラ33からの動作信号に応じて音声出力部から警告音を発したり、光出力部から点滅光を発したりする。
【0049】
なお、足場側警報機32は、音声出力部及び光出力部のうちいずれか一方のみが設けられていてもよい。また、足場側警報機32は、仮設足場の水平材や支柱に取り付けられていてもよいが、不法侵入者の目につき難い箇所、例えば検出スイッチ11と同様に床付き布わく1の裏面側に配置されることがより望ましい。また、足場側警報機32は、検出スイッチ11から直接的に検出信号を受信し、それに基づいて報知するようにしてもよい。
【0050】
コントローラ33は、足場側警報機32及び事務所側警報機34を動作させるためのものである。コントローラ33は、無線送信機31からの送信信号を受信すると、足場側警報機32に対して動作信号を無線によって伝達するとともに、同じ事務所に設けられた事務所側警報機34に対して動作信号を有線によって伝達する。
【0051】
事務所側警報機34は、不法侵入者を検出した場合に事務所内にいる作業者に報知するためのものである。事務所側警報機34は、足場側警報機32と同様に、図示しない音声出力部及び光出力部を有している。足場側警報機32は、コントローラ33からの動作信号に応じて音声出力部から警告音を発したり、光出力部から点滅光を発したりする。
【0052】
このように、本実施形態の仮設足場用防犯システムは、仮設足場において検出スイッチ11によって不法侵入者が侵入するのを検出すると、無線送信機31を介してコントローラ33にその旨を示す信号が伝達され、足場側警報機32及び事務所側警報機34において報知される。そのため、不法侵入者は足場側警報機32による報知に驚きその場を退散する可能性が高い。したがって、それ以上の仮設足場への侵入やマンション等の建築物への侵入を抑制することができる。また、現場事務所において、事務所側警報機34が報知することにより、現場事務所にいる作業員は、仮設足場に不法侵入者が侵入したことを確実に知ることができる。
【0053】
なお、仮設足場用防犯システムは、上記構成に限らず、仮設現場で作業する作業者が検出スイッチ11が設けられた床付き布わく1を踏んでも足場側警報機32が報知しない構成としてもよい。この仮設足場用防犯システムは、例えば図9に示すように、上述した図8に示す構成に加えて、作業者が常時携帯する携帯発信機35と、携帯発信機35からの発信信号を受信する受信機36とを備えていてもよい。
【0054】
すなわち、作業者が、検出スイッチ11が設けられた床付き布わく1を踏んだ場合には、足場側警報機32で報知する必要がない。そのため、作業者が携帯する携帯発信機35から発信信号を発信させ、受信機36でこの発信信号を受信した場合には、無線送信機31にコントローラ33への警報信号を禁止する禁止信号を送信する。これにより、携帯発信機35を携帯する作業者が当該床付き布わく1を踏んだとしても足場側警報機32は鳴動しないので、作業者は安心して作業を行うことができ、すなわち不法侵入者と作業者との区別を明確にすることができる。
【0055】
さらに、現場事務所に設置されるコントローラ33には、特定の携帯電話機に通報する機能が備えられていてもよい。すなわち、コントローラ33は、無線送信機31から不法侵入者が床付き布わく1を踏んだことの検出信号を受信すると、例えば作業者が通常携帯している携帯電話機にメール、呼び出し音、又は音声通報等で通知する。したがって、携帯電話機を所有する作業者は、現場事務所にいない場合であっても、不法侵入者の侵入を知ることができ、適切な処置を施すことができる。
【0056】
<第2実施形態>
図10は、本発明の第2実施形態に係る検出スイッチの取付構造を示す斜視図である。図11は、同じく検出スイッチの取付構造を示す側面図である。この第2実施形態に係る検出スイッチの取付構造は、検出スイッチ11が取付けられる取付箇所が仮設足場に敷設される階段である点で、取付箇所が床付き布わく1である第1実施形態と異なる。
【0057】
仮設足場に用いられる階段41は、例えばアルミニウム合金とされ上記した床付き布わく1の上方に設けられる。階段41は、高さ方向に等間隔で配置された複数の踏板42と、複数の踏板42を左右から支持するための一対の支持部材43と、支持部材43の最下端部同士を連結するための連結板44とによって構成される。
【0058】
第2実施形態に係る検出スイッチの取付構造は、連結板44の裏面側に備えられ、図11に示すように、スイッチ取付板45と、無線送信機取付板46とによって構成される。スイッチ取付板45は、断面略コ字状に形成され、下板45aと、下板45aの端部から上方に向かって延出された中板45bと、中板45bの端部から水平方向に延出された上板45cとによって構成される。下板45aは、上板45cより大の長さとされている。
【0059】
下板45aの上面には、検出スイッチ11が搭載され、検出スイッチ11は、下板45aと連結板44との間に狭持されている。中板45bには、無線送信機取付板46が連接されている。無線送信機取付板46は、略コの字状に形成され、垂直方向に延びている。送信機取付板46の内側には、無線送信機31が取り付けられている。なお、送信機取付板46は、水平方向に延びて取り付けられていてもよい。また、図11中、符号47は、スイッチ取付板45を連結板44に固定するためのボルトである。
【0060】
上記構成によれば、不法侵入者がいずれかの踏板42を踏むと、その荷重力が一対の支持部材43を介して連結板44の裏面側に設けられた検出スイッチ11に加わり、検出スイッチ11がオン状態となる。検出スイッチ11は、検出信号を無線送信機31に出力するので、このように検出スイッチ11が連結板44の裏面側に設けられた場合でも不法侵入者の侵入を検出することができる。また、例えば不法侵入者が連結板44を踏んだ場合でも、連結板44は検出スイッチ11に踏板42における荷重力を伝達することができる。したがって、検出スイッチ11は、適切にオン状態となり、不法侵入者の侵入を検出することができる。
【0061】
なお、階段41はアルミニウム合金製とされて比較的軽量とされるため、通常状態で検出スイッチ11はオフ状態とされる。仮に検出スイッチ11が連結板44の裏面側に設けた場合に階段41の自重でオン状態となる場合には、第1実施形態に示したような例えばニトリルゴムからなるスペーサを連結板44と検出スイッチ11との間に設けるようにしてもよい。
【0062】
なお、本発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態では、検出スイッチの取付構造が床付き布わく1の裏面側に設けられている場合について説明したが、上記検出スイッチ11の取付構造は、例えば検出スイッチ11を上下動不可に固定した上で検出スイッチ11を押圧することのできる構造であれば、上記したような床付き布わく1に限らない。また、上記取付構造を構成する各部材は、上記した実施形態の形状、数量及び位置関係等に限るものではたい。
【0063】
また、仮設足場においては、上記した検出スイッチの取付構造は、複数設けられてもよく、この場合には、無線送信機31の送信周波数を各取付構造で異なるものにすることが望ましい。
【符号の説明】
【0064】
1 床付き布わく
2 床基材
11 検出スイッチ
12 スイッチ支持部
13 スイッチ押圧部
14 スイッチ取付板
15 ベース部材
21 棒状部材
22 荷重受材
23 スペーサ
31 無線送信機
32 足場側警報機
33 コントローラ
34 事務所側警報機
41 階段
42 踏板
44 連結板
45 スイッチ取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設足場に侵入する者を検出するための検出スイッチの取付構造であって、
前記仮設足場に用いられる長尺状の足場板の裏面側に、上下動自在に支持されて前記検出スイッチを押圧するためのスイッチ押圧部が設けられ、
前記スイッチ押圧部の下方に、前記検出スイッチを上下動不可に支持するためのスイッチ支持部が設けられ、
前記足場板に荷重が加わることに応じて前記スイッチ押圧部が下方へ変位し、この変位によって前記検出スイッチが押圧されることを特徴とする、検出スイッチの取付構造。
【請求項2】
前記スイッチ押圧部は、
前記足場板の長手方向に延びかつ上面が前記足場板の裏面側に接する荷重受材と、
前記足場板の短手方向に延びかつ前記荷重受材をその下方側で支持するとともに、前記検出スイッチを押圧するための棒状部材とによって構成される、請求項1に記載の検出スイッチの取付構造。
【請求項3】
前記棒状部材は複数設けられ、
前記複数の棒状部材は、前記荷重受材の中央部に所定の間隔を隔てて並設されている、請求項2に記載の検出スイッチの取付構造。
【請求項4】
前記棒状部材と前記検出スイッチとの間には、弾性部材が介在されている、請求項2又は3に記載の検出スイッチの取付構造。
【請求項5】
前記足場板は床付き布わくであり、
前記スイッチ支持部は、前記床付き布わくの長手方向に沿う端部に折り返して延出された延出部に固定されて支持されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の検出スイッチの取付構造。
【請求項6】
仮設足場に侵入する者を検出するための検出スイッチの取付構造であって、
前記仮設足場に用いられ、複数の踏板と、これらの踏板を所定の高さ位置で支持するための一対の支持部材と、前記一対の支持部材の最下端部同士を連結する連結板とを有する階段が設けられ、
前記連結板の裏面側に、前記検出スイッチを上下動不可に支持するためのスイッチ支持部が設けられ、
前記いずれかの踏板又は前記連結板に荷重が加わることに応じて前記いずれかの踏板又は前記連結板が下方へ変位し、この変位によって前記検出スイッチが押圧されることを特徴とする、検出スイッチの取付構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の検出スイッチの取付構造と、
前記検出スイッチの出力に応じて検出信号を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信される検出信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記検出信号を受信することに基づいて警報する警報手段とを備えることを特徴とする、仮設足場用防犯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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