検出装置及び方法
【課題】蛍光を励起するための光スポットの走査の速度変動に起因する画像の歪みと輝度値での誤差の発生を抑制する。
【解決手段】主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するラインセンサ13を有する検出装置において、センサアレイの各受光素子より得られる信号を蓄積するメモリ17と、制御回路13を設ける。制御回路13は、主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとにその光信号蓄積期間に蓄積された信号をラインセンサ13からメモリ17内のラインメモリに蓄積する。さらに制御回路13は、メモリ17に蓄積された信号を演算して補正し、対象物上で走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成する。
【解決手段】主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するラインセンサ13を有する検出装置において、センサアレイの各受光素子より得られる信号を蓄積するメモリ17と、制御回路13を設ける。制御回路13は、主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとにその光信号蓄積期間に蓄積された信号をラインセンサ13からメモリ17内のラインメモリに蓄積する。さらに制御回路13は、メモリ17に蓄積された信号を演算して補正し、対象物上で走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学反応を利用して検体中の被検出物を検出する生化学反応分析に用いられる検出装置及び方法に関し、特に、光源からの光を対象物に照射しつつ対象物からの光を検出する構成を有する検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学反応分析は、抗原抗体反応や核酸ハイブリダイゼーション反応などの生化学反応を利用して、検体中に含まれる細胞、微生物、染色体、核酸などの被検出物を検出するものである。例えばこの種の分析方法として、DNAチップを用いて核酸ハイブリダイゼーションを起こさせる方法がある。DNAチップを用いて核酸ハイブリダイゼーションを起こさせる方法では、DNAチップ上のサンプルのハイブリダイゼーション状態を検知するために、一般に、サンプルに蛍光標識として蛍光物質を付着させてサンプルからの蛍光を見る。そしてDNAチップに励起光を照射したときにサンプルに付された蛍光標識から発生する蛍光を撮像素子により検出する。撮像素子は、例えば、CMOSセンサやCCDセンサ等より構成されている。この場合、蛍光の検出を確実に行えるようにDNAチップに照射する励起光を構成した上で、励起光の光スポットをDNAチップで走査させ、発生した蛍光を一次元の撮像素子で受光する方法が知られている。一次元の撮像素子は、ラインセンサとも呼ばれ、フォトダイオードなどからなる個々の受光素子が一次元に配列したものである。以下の説明では、DNAチップなどの励起光による光スポット走査の対象となるもののことを対象物と呼ぶ。
【0003】
このように対象物上で光スポットを走査させ、対象物からの光を検出するようにした撮像装置として、特許文献1には、光スポットを試料上をスキャンさせ、試料からの反射光をラインセンサで検出を行う撮像装置が示されている。特許文献1では、撮像素子として用いられるラインセンサの位置が固定されているので、光スポットの走査における速度変動が起きても、歪のない画像が得られることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、光スポットを試料上を走査させ、スキャン方向に並べた光検出センサに向けて試料からの透過光を拡散させる画像読取装置が開示されている。特許文献2の構成では、光スポットの走査時に、方向付けされた光を全ての光検出センサで受光し全受光量を合算してスポットスキャンの輝度データにしており、これによって、感度が向上している。
【0005】
特許文献3には、光スポットを試料上を走査させ、試料からの反射光をラインセンサで検出を行う光学式読取装置において、ラインセンサの前面に光マスクを設け光の入力可能な範囲を限定することが開示されている。この構成では、光スポットの走査時に、光スポットの位置に合わせて光マスクを移動させ試料からの光は正規の位置で受光するとともに、周りからの不要な光が正規位置以外に入り込むのを防いでいる。不要光がラインセンサに入射しないことにより、結果として感度が向上する。
【特許文献1】特開昭61−80215号公報
【特許文献2】特開昭61−193560号公報
【特許文献3】特開平6−96250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものは、光スポットが試料上を走査する位置とラインセンサの各受光素子との位置が対応する構成である。したがって、光スポットの走査に速度変動がある場合には、ラインセンサにおける個々の受光素子に対応する試料上への光スポットが当たっている時間が変動する。このため、走査における速度変動に応じて個々の受光素子における受光量が変動することとなり、得られる画像における輝度値あるいは画素値において正確でない部分が発生することとなる。すなわち、輝度値に誤差が生じる。
【0007】
特許文献2のものは、光スポットの走査の時間経過に合せて各受光素子からの出力を合算する構成であるので、光スポットの走査に速度変動がある場合には試料上での光スポットが当たる位置が等間隔でなくなる。そのため、得られる画像に歪が生じてしまう。
【0008】
特許文献3のものは、光スポットの走査中、ラインセンサが受光蓄積状態を持続する構成のものである。したがって、1ライン走査時間の期間中の暗ノイズ(暗電流によるノイズ)がラインセンサの各受光素子に蓄積されることとなり、このため、信号対ノイズ比が劣化して、感度が低下する。
【0009】
本発明の目的は、光スポットの走査の速度変動に起因する画像の歪みと輝度値での誤差の発生をともに抑制し、さらに、走査中の暗ノイズを減少させ、これらによって蛍光検出を正確に行うことのできる検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の検出装置は、光源からの光を対象物に照射しつつ対象物上で主走査方向に走査する走査手段と、対象物から発せられた光を受光するための、主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するセンサアレイと、を有する検出装置において、
センサアレイの各受光素子より得られる信号を蓄積するメモリと、
主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとにその光信号蓄積期間に蓄積された信号をセンサアレイから読み出し、メモリに光信号蓄積期間ごとかつ受光素子ごとに蓄積する信号読み出し手段と、
メモリに蓄積された信号を演算して補正し、対象物上で走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成する補正手段と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の検出方法は、
光源からの光を対象物に照射しつつ対象物上で主走査方向に走査するステップと、主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するセンサアレイを用いて対象物から発せられた光を受光するステップと、を有する検出方法において、
主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとにその光信号蓄積期間に蓄積された信号をセンサアレイから読み出し、メモリに光信号蓄積期間ごとかつ受光素子ごとに蓄積するステップと、
メモリに蓄積された信号を演算して補正し、対象物上で走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成するステップと、
を有することを特徴とする。
【0012】
上述した構成において、センサアレイにおいて各受光素子は、例えば、対象物上で走査が等速で行われた場合に、対応する光信号蓄積期間において光が当該受光素子に投影されるように受光素子と前記光信号蓄積期間とが1対1で対応するように配置されている。また受光素子ごとの補正された受光量のデータを生成する際に、対象とする受光素子の前後にある所定数の受光素子からの信号のみを利用するようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メモリに保存されたデータに基き、光スポット位置の算出と算出された位置の画像輝度の補正を行うことで、光スポット走査の速度変動の影響を緩和した検査画像を作成することができるので、検出を正確に行うことができる。
【0014】
また、各光スポット位置で得られた保存データは蓄積時間が短く暗ノイズの蓄積が少ないことと、アレイセンサへの不要光による影響を除くため算出された光スポット位置近傍に位置する保存データのみを輝度算出に使うことで、検出の感度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の一形態の検出装置の構成の概略を示す図であり、図2は、図1における矢印方向からこの検出装置を見た図である。当然のことながら、図1及び図2において、同一の部材には同一の参照符号が付与されている。図1及び図2に示す検出装置は、流路内の蛍光強度を検知するスキャナとして用いられるものである。この検出装置は、例えば、微小な幅の流路内を流動する検体における2本鎖DNAの量や、DNAチップのプローブに結合した(ハイブリダイズした)ターゲットDNAの量の測定などに好適に用いられる。
【0016】
《装置構成》
まず、図1及び図2に示す検出装置の構成について説明する。ここでは、微小な幅の流路(マイクロ流路)内の被検出物は、蛍光標識でラベルされているものとする。蛍光標識を励起する光源として、波長(λ)が488nmのレーザ光源1が設けられている。流路上をレーザ光を走査させるために、レーザ光源1からのレーザ光を走査するスキャンミラー等の走査手段2と、fθレンズ3とが設けられている。fθレンズ3は、レーザ光のスキャン位置を走査手段2による偏向角度に比例した位置に変換する。レーザ光源1、走査手段2及びfθレンズ3は、流路に対してスポット光を投影し走査させるスポット光投影手段101を構成する。
【0017】
複数種類の試薬に対応した微小な幅の流路5,6,7が、基板4に、相互に平行に形成されている。図1は、流路5〜7の延びる方向からこの検出装置を見た場合に相当する図である。各流路内には、バッファ液で分離された複数の被検体DNA及び蛍光標識が入れられている。この例では蛍光標識は、DNAの二本鎖の中に取り込まれた状態で波長470〜490nmの光で励起され、波長500〜530nmの蛍光を発する、いわゆるインターカレータ方式の蛍光標識である。このような蛍光標識としては、例えば、Molecular Probe社のSYBR(登録商標) GreenIを用いることができる。流路5〜7中の液体は、不図示のポンプなどの送液手段により、その流路の中を移動する。流路5〜7の温度を制御するために、基板4の下面を覆うように温度調節ブロック8が設けられ、温度調節ブロック8は温度調節手段9によって加熱冷却される。温度調節手段9の設定温度は温度調節コントローラ10により制御される。
【0018】
流路5〜7における蛍光像を撮像するために、結像光学系である結像素子アレイ11と、励起光を遮断し蛍光のみを透過させる蛍光フィルタ12と、センサアレイであるラインセンサ13が設けられている。蛍光フィルタ12は結像素子アレイ11の出射側に設けられており、蛍光フィルタ12を透過した光がラインセンサ13に結像するようになっている。結像素子アレイ11、蛍光フィルタ12及びラインセンサ13は、撮像手段102を構成する。
【0019】
ここでこの検出装置における主走査方向及び副走査方向について説明する。この検出装置では、図2において回転軸2bの周りで走査手段2であるスキャンミラーを回転させると、基板4上でのレーザ光のスポット位置が、図示矢印で示す方向2aすなわち流路6が延びる方向で移動する。そこで、この方向2aのことを主走査方向とする。また、基板4において相互に平行に設けられた複数の流路5〜7の一つを選択できるように、スポット光投影手段101及び撮像手段102を流路5〜7が配列している方向に移動させる必要がある。そこで、方向2aに垂直であってかつ流路5〜7が配列している方向15aのことを副走査方向と呼ぶ。
【0020】
スポット光投影手段101と撮像手段102は、ともに筐体14に固定されて一体のものとされており、ステッピングモーター、超音波モーターなどの副走査駆動手段15により、副走査方向(方向15a)に対して動かすことができるようになっている。副走査駆動手段15によってスポット光投影手段101と撮像手段102とを副走査方向に駆動することにより、流路5〜7のうちの任意のものにおける蛍光を検知することができる。
【0021】
結像素子アレイ11を構成する素子は、屈折率分布型の材料により形成された光学素子であり、被写体像を一度レンズ内部に結像した後、像面に正立の被写体像を形成する。結像素子アレイ11は、このようなレンズを直線上に配列した部材であり、像面に広い範囲の正立被写体像を形成することができる。このような結像素子アレイ11としては、例えば、日本板硝子株式会社のセルフォック(登録商標)レンズアレイを用いることができる。
【0022】
この検出装置の全体の動作を制御する制御回路16は、メモリ(MEM)17、CPU18及びA/D変換部19を有する。このような制御回路16は、スキャンミラー2の動作制御やラインセンサ13の動作制御、温度調節コントローラ10の制御、副走査駆動手段15の制御などの制御処理を実行する。CPU18は、本発明における補正手段として機能するものであり、制御回路16は、信号読み出し手段として機能するものである。また、ラインセンサ13からの出力は制御回路16に取り込まれるようになっている。具体的には、制御回路16に入力したラインセンサ13からの出力は、まず、A/D(アナログ/デジタル)変換部19に送られ、A/D変換部19でデジタルデータに変換された結果がメモリ17に送られて格納される。
【0023】
メモリ17は、制御回路16が検出装置の制御を行うために用いるメモリ領域のほかに、スキャン動作時に取得されたデータなどを格納するための主走査用メモリ領域を有する。主走査用メモリ領域は、ラインセンサ13で取得されたデータの保存を複数のラインメモリを構成している。すなわち、ラインセンサ13の各画素すなわち各受光素子を光スポットが通過する時間を一区切りとして、それぞれの時刻に対してラインセンサの全画素のデータを保存するラインメモリが、領域として確保されている。これらを時間別データ用ラインメモリと称する。また時間別データ用ラインメモリの保存データから求められる値を保存するためのラインメモリが、メモリ17において、別途、領域として確保されている。これを合成データ用ラインメモリと称する。
【0024】
さらに、主走査と副走査とを組み合わせた2次元データを保存するために、複数回の主走査に対応して合成データ用ラインメモリのデータを記憶する領域も、別途、メモリ17に確保されている。この2次元データを保存するための領域は、複数本のラインメモリに相当するサイズを有する領域である。
【0025】
本発明に用いることができる走査手段2としては、例えば、ガルバノミラー、MEMSミラー、マイクロミラーアレイ、ポリゴンミラーなどがある。また、本発明に用いることができる結像光学系としては、上述した結像素子アレイ11の他、マイクロレンズアレイや、通常の結像光学系を用いることができる。本発明において用いることができるセンサアレイとして、ライン型のセンサアレイすなわちラインセンサと、面積型のセンサアレイとがある。具体的に、本発明で用いることができるラインセンサとして、例えば、ライン型のCCDセンサあるいはライン型のCMOSセンサがある。また、本発明で用いられる面積型のセンサアレイとしては、例えば、複数ラインを有する面積型のCCDセンサ、あるいは複数ラインを有する面積型のCMOSセンサがある。
【0026】
《測定方法》
次に、基板4内に形成された流路5〜7における蛍光強度を上述した構成の検出装置を用いて測定する方法について説明する。
【0027】
レーザ光源1を発したレーザ光は、走査手段2により反射され、Fθレンズ3により直径(φ)が10μm程度のスポット光として基板4上に集光される。走査手段2は、レーザ光の反射点を含む軸を回転軸2bとしてこの回転軸2b周りを回転自在なスキャンミラーなどのマイクロミラーデバイスからなっており、回転軸2bを中心として、所定の角度範囲内で角振動して主走査を行う。走査手段2は、例えば、図示の方向2aで1秒間に10回程度の速さで往復振動する。
【0028】
図3は、基板4における流路5〜7の配置を示している。上述したように走査手段2が角振動することにより、図3に示すように、これにより、基板4に投影されたスポット光は、流路5〜7のそれぞれが延びる方向301で、10往復/秒程度の周期で往復走査することになる。この走査は、基板4上ですなわち流路の位置で等速走査であることが望ましいが、実際には正確な等速走査は困難であり、速度変化が生じる。この光スポットのスキャン開始の基準位置は、不図示の光センサが光スポットが通過することにより検知される。
【0029】
Fθレンズ3は、その焦点位置が走査手段2における光線反射点と一致するように配置されている。そのため、Fθレンズ3の屈折により、レーザ光は、走査手段2のミラーによる偏向角度に比例した距離だけ離れて光軸に平行に進む収束光になる。このスポット光の投影位置とラインセンサ13の受光部とが共役となるように、結像素子アレイ11及びラインセンサ13は配置されている。照明光束の通過領域のみが照明領域となるため、この光線幅が撮像深度となり、基板4の自家蛍光の影響を受けない高精度な検出が可能となる。したがって、撮像手段102による撮影光路とスポット光投影手段101による照明光路の交点に流路5〜7が一致した場合には、その流路内の蛍光標識の発した蛍光は、結像素子アレイ11によりラインセンサ13の受光部に導かれることになる。
【0030】
本実施形態の検出装置では、走査手段2すなわちスキャンミラーによるレーザスポットの1回の主走査の終了とともに、副走査駆動手段15により、スポット光投影手段101と撮像手段102とが一体のものとして、副走査方向に移動する。すなわち、走査手段2により主走査が行われ、副走査駆動手段15により副走査が行われることになる。このような主走査と副走査とを組み合わせることにより、図3に破線で示す撮影範囲302、303、304の画像がラインセンサ13によって取得される。撮影範囲302〜304は、それぞれ、流路5〜7に対応する撮影範囲である。この図に示すように、流路の長手方向に平行に主走査を行う場合には、流路の間を飛び越して副走査を行うことが可能であるため、高い走査効率が得られる。
【0031】
《ラインセンサ制御》
次に、ラインセンサ13の構成及びその制御について説明する。図4はラインセンサ13の構成を示している。ここでは、ラインセンサ13がライン型のCCDセンサであるものとする。
【0032】
ラインセンサ13の受光部13aは、それぞれフォトダイオードなどの光電変換素子のような受光素子からなる画素c1,c2,c3,…によって構成されており、光電変換によって生じた電荷を蓄積する作用を有する。画素c1,c2,c3,…は、一直線上に配置されている。これらの画素c1,c2,c3,…に電気的に接続するCCD13bが設けられている。CCD13bは、電荷結合素子であって、受光部13aの各画素c1,c2,c3,…に蓄積された電荷を電荷読出し指示信号に対応して並列に取り込む。その後、CCD13bは、電荷量をそれに応じた電圧値に変換する増幅器(AMP13c)を経由して、CCD転送指示信号に対応して、各画素での検出値を電圧信号として次々とすなわち直列に電圧信号として出力する。このようなライン型のCCDセンサであるラインセンサ13の動作は、当業者にはよく知られたものである。
【0033】
図4では、撮像手段102を介してラインセンサ13に投影されたスポット光の像も示している。ここに示す例では、スポット光の像1cは、スキュンミラーで構成された走査手段2による主走査動作によって、画素c1から画素c2、画素c3という順で投影されていき、現在、画素c7に投影されている。こののちも、走査手段2による主走査動作によって、スポット光bの像1cの位置は、画素の配列方向に移動する。
【0034】
図5は、センサアレイ上すなわちラインセンサ13上での光スポット位置の変化と、ラインセンサ13及び制御回路16内の各所での動作との関係を示す図である。光スポットの走査が等速であってラインセンサ13上でもスポット光の像1cが等速で移動すると仮定する。像1cが画素c7に投影される期間が開始すると、電荷読出し指示信号が制御回路16からラインセンサ13に伝えられる。これにより、ラインセンサ13の受光部13aに蓄積されている各画素の電荷がCCD13bの対応する位置に移動し、これに伴い、受光部13aの各画素は電荷蓄積が空状態にされる。引き続き、受光部13aの全画素での電荷蓄積が開始され、画素c7に像1cが投影されている期間分の蓄積を続ける。ここでの画素ごとの電荷蓄積量は、その期間内にその画素が受光した光量に比例する。実際には光スポットは、画素の大きさに比べてある程度の拡がりを有するので、光スポットの中心が画素に投影され始めるときを像1cが画素に投影される期間の開始点とする。
【0035】
次に、等速移動している像1cが画素c8に投影される期間の開始時に、上述と同様に、電荷読出し指示信号が制御回路16からラインセンサ13に伝えられる。それにより、それまでに受光部13aの各画素に蓄積されている各画素の電荷がCCD13bの対応する位置に移動し、これに伴って受光部13aの各画素の電荷蓄積が空状態にされる。引き続き、受光部13aの全画素での電荷蓄積が開始され、画素c8に投影されている期間分の蓄積を続ける。一方、スポット像1cが画素c8に投影されている期間の一部、すなわち、CCD転送指示信号がハイレベルの期間内、CCD13bの全画素データが電気信号としてラインセンサ13から出力される。この出力は、逐次、A/D変換部19に送られアナログ/デジタル(A/D)変換されてデジタル信号とされ、メモリ17内のc7時間帯用の時間別データ用ラインメモリに送られる。その結果、スポット像1cが画素c7に投影されている期間における全画素の電荷蓄積状態が、メモリ17内のc7時間帯用の時間別データ用ラインメモリに保存される。
【0036】
このようにスポット像1cが画素c8に投影されている期間には、各画素における電荷蓄積と、画素c7に投影されている期間に蓄積された全画素の蓄積量の外部出力とが、並行に処理される。
【0037】
このような繰り返しで、ラインセンサ13では一定時間ごとに空状態からの各画素ごとの電荷蓄積が行われ、電荷蓄積量が外部出力され、個別の画素の蓄積量がメモリ17内の各時間帯用の時間別データ用ラインメモリに保存される。
【0038】
1画素の大きさが5μm角であり、10mmの走査範囲にわたってこのような画素が隙間なく配列しているとすると、画素数は2000となる。走査が一定速度で行われているとして、画素ごとの光スポットの像が投影されている時間で1回の主走査の期間を分割すると、2000の時間帯が得られることとなる。これら2000の時間帯のひとつひとつを光信号蓄積期間と呼ぶ。各光信号蓄積期間は、それぞれ、画素すなわち受光素子と1対1で対応する。これら2000の時間帯の1つごとに、全画素(画素c1〜c2000)の電荷蓄積状態が、対応する時間別データ用ラインメモリに保存される。したがって、1回の主走査によって、2000本の時間別データ用ラインメモリのそれぞれに、全画素の電荷蓄積状態が保存されることになる。本実施形態では、後述するように、これら2000本の時間別データ用ラインメモリに蓄積されたデータに基づいて画像補正を行うことにより、光スポットの走査速度が一定でないことによる影響を補償する。
【0039】
図6は、スポット像1cが画素c7に投影されている期間における全画素の電荷蓄積状態の一例を示している。同様に図7は、スポット像1cが画素c8に投影されている期間におけるに全画素の電荷蓄積状態の一例を示している。図6、図7において縦軸は電気出力を表わし、横軸は主走査方向に並んでいる各画素を表わしている。スポット像1cが投影されている画素における電気出力が最大となっているが、スポットの広がりや散乱光の影響により、像1cが投影されている画素を中心として数画素程度の範囲内の画素においても電気出力が生じている。また、暗ノイズの影響により、光が当たっていない画素においてもわずかな電気出力が観測されている。
【0040】
なお本実施形態では、電荷読出し指示信号やCCD転送指示信号は、制御回路16によって極めて正確なタイミングで発生する。これに対してスキャンミラーなどの走査手段2による光スポットの走査速度は1回の主走査の期間内においても変動し得る。その結果、極端な場合には、本来ならば例えば28番目の画素に光スポットが当たっているはずのタイミング(すなわち光信号蓄積期間)において、実際には30番目の画素に光スポットが投影されている、という事態が発生し得る。この場合、28番目の画素に対応した時間別データ用ラインメモリにおいては、28番目ではなく30番目の画素に対応する位置で最大の電荷蓄積状態のデータが保存されることになる。本実施形態では、このようなずれを補償して正確な結果が得られるようにするために、画像補正を行っている。
【0041】
《画像補正》
光スポットの走査速度が一定でないことによる影響を補償するための画像補正は、メモリ17において各画素ごとに蓄積されたデータを基に行われ、後述するように、画素ごとの輝度データが生成される。生成された輝度データは、メモリ17内の合成データ用ラインメモリに逐次保存される。全ての画素の処理が行われると、1回の主走査分の輝度データが、合成データ用ラインメモリに保存された状態になる。
【0042】
図8のフローチャートに基づいて、本実施形態における画像補正の手順を説明する。
【0043】
ステップS1において、処理する画素として一番目の画素c1を指定するために、画素番号を1とする。ステップS2において、メモリ17内の画素番号1用の時間別データ用ラインメモリに保存されている全画素のデータを合算する。次にステップS3において、メモリ17内の合成データ用ラインメモリの画素番号1用の位置に、ステップS2での合算された値を保存し、ステップS4に移行する。
【0044】
ステップS4では、処理する画素番号の値を1だけ増加させる。ステップS5では、画素番号から指定される時間別データ用ラインメモリに保存されている全データを用いて、光スポットの位置を推定する。処理の詳細については後述する。ステップS6では、画素番号によって指定される時間別データ用ラインメモリに保存されている全画素のデータを合算する。ステップS7では、ステップS6で得られた合算値に対して、ステップS5で推定された光スポットの位置に応じた補正を行う。この補正の処理の詳細については別途説明する。その後、ステップS8では、メモリ17内の合成データ用ラインメモリ中の位置であって現在の画素番号によって指定される位置に、補正された値を保存する。ステップS9では、画素番号が最終値かどうかを判断する。最終値でなければステップS4に戻り、最終値なら画像補正処理を終了する。
【0045】
次に、ステップS5で行われる光スポットの位置の推定の処理について、図9のフローチャートにしたがって手順を説明する。
【0046】
ステップS51では、画素番号から光スポットの正規位置を算出する。正規位置とは、光スポットの走査に時間変動がないとした場合の光スポットの位置のことである。本実施形態では、画素番号がiであれば、正規位置は、i番目の画素Ciの中心位置である。次に、ステップS52では、画素番号から指定される時間別データ用ラインメモリに保存されている全画素のデータを読み出す。図10は、画素番号が7であるとして、このように読み出されたデータの一例を示している。ステップS53では、ステップS52で読み出された各画素のデータのうち、ピーク値すなわち一番大きな値を示すものを見つけ出す。そしてステップS54では、ピーク値の半分の値と各画素の値を比較し、ピーク値の半分の値よりも大きな値を有する画素を残し、残りの画素を取り除く。図11、図12は、ステップS53、S54の処理を説明するものである。図示したものでは、画素C7においてピーク値となっており、ピーク値の半分の値よりも大きな値を有する画素として、画素C5〜C9の5画素が残されている。
【0047】
ステップ55では、残されている画素とその画素の値とを近似する曲線を求める。具体的には、適切な関数を想定してその関数に対するカーブフィッティング(曲線当てはめ)を行うことにより近似曲線を求める。図13は、近似曲線を求めるプロセスを示している。次に、ステップ56では、近似曲線のピークを見つけ、ピークが得られている位置を光スポットの位置とする。図14は、近似曲線におけるピークの位置を説明する図である。図示されるように、近似曲線におけるピークの位置は、何番目の画素といった整数値であ表わされるのではなく、原点から例えば画素7.51個分の位置というように、小数部分を伴う実数値として表わされる。ステップS57では、図15に示すように、得られた位置とそのときの正規位置との距離関係を求める。ここで求められた光スポットの位置は、画素番号がiであるとして、本来ならばi番目の画素に光スポットが投影されているべき期間(i番目の光信号蓄積期間)における、実際に光スポットが投影されている位置を示すものである。
【0048】
次に、ステップS7における補正の処理について説明する。
【0049】
上述したようにして光スポットの実際の位置が分かったとして、ステップS7の処理では、各画素の輝度値を得るために、光スポットの実際の位置に応じた補正を実行する。ここでは、光スポットの実際の位置と本来の位置(正規位置)との差がそれほど大きくない(例えば±1画素未満)であるものとして説明する。
【0050】
まず、推定された光スポットの位置と輝度を算出しようとしている画素の位置(正規位置)とがちょうど同じ場合、すなわち距離が0の場合を考える。この場合には、画素番号から指定される時間別データ用ラインメモリに保存されている全データの合算値を、その画素番号で表わされる画素の輝度データとする。ここでは補正は行われない。
【0051】
これに対し、推定された光スポットの位置と輝度を算出しようとしている画素の位置とが一致しない場合には、その距離差の大きさに合わせて輝度データの補正を行う。両者が一致しない場合としては、(a)光スポットの実際の位置がそのときの正規位置にまで進んでいない場合と、(b)光スポットの位置が正規位置よりさら先に進んだ位置の場合の2通りがある。以下、これら2通りの場合のそれぞれについての補正を説明する。
【0052】
(a)の光スポットの実際の位置がそのときの正規位置にまで進んでいない場合には、今回の画素で得られている合算値のデータと一つ前の画素の得られている輝度値データの差分と距離との比例関係に基づいて輝度補正を行う。図16に一例を示す。ここでLを本来の位置間隔(隣接する画素間での正規位置の間隔)、lを上述のステップS5の処理で得られた正規位置と実際の光スポット位置との距離差とする。一般にLは、ラインセンサ13内で一定の値である。距離差lは絶対値で表すものとする。また現在の画素番号をiとすれば、ここではi番目の画素に対する補正後の輝度値を算出する。そこでi−1番目の画素について既に算出された補正後の輝度値をd1とし、画素番号iについてステップS6において求められた合算値をd2とする。d1の値は、図8のステップS4〜S9のループを前回実行した際に、合算用ラインメモリに既に保存されているので、合算用ラインメモリから読み出して使用する。なお、1番目の画素については補正がなされないので、i=2の場合には、ステップS3で保存されている合算値をd1とする。そしていま求めようとしている、i番目の画素についての補正後の輝度値をdxとする。
【0053】
そして、dxを
dx=d1+(d2−d1)×L÷(L−l)
として求める。なお明らかにd1=d2の場合には、dx=d2となる。
【0054】
(b)の光スポットの位置が正規位置より先に進んだ位置である場合は、今回得られている合算値のデータと一つ前の画素で得られた輝度値データとの差分を距離の比で按分して輝度補正を行う。L,l,d1,d2及びdxの意味は上述と同じであるとする。この場合にはdxを
dx=d1+(d2−d1)×L÷(L+l)
として求める。このときもd1=d2の場合には、dx=d2となる。
【0055】
(a),(b)のいずれの場合においても、dxをその画素すなわち現在の画素番号の画素の輝度値データとする。なお、上記の計算はCPU18で実行されるが、使用する演算形式において演算中に負数が現れることが許されない場合には、d1とd2との大小関係に応じて上記式を書き直したものを使用すればよい。
【0056】
本実施形態では、上述したように、ステップS7で補正値を求めたのち、ステップS8において補正値を該当する画素番号の位置で合算用ラインメモリに保存している。したがって、ステップS4〜S9のループを全て画素番号に対して実行した後には、合算用ラインメモリには、最初の画素を除く全ての画素についての補正値が格納されることになる。この補正値は、光スポットの走査の速度変動による影響を補償し、本来のタイミングで各画素に光スポットが投影されたとしての各画素の輝度値を示している。したがって、合算用ラインメモリに格納されている各画素のデータは、画像の歪みや輝度値での誤差を含まないものである。このデータを用いることによって、光スポット走査の速度変動の影響を受けない検査画像を作成することができ、核酸のハイブリダイゼーション状況などを的確に検出できるようになる。
【0057】
《感度向上》
測定対象によっては、感度向上のために以下に述べる処理を施す場合もある。
【0058】
メモリ17内の時間別データ用ラインメモリに保存されている各画素のデータから各画素の輝度値を算出する際に、算出対象の画素位置の近傍の前後複数画素の位置までの保存されている値を合算し、それ以外の位置についての値は合算に入れないようにする。本実施形態の場合、走査の速度変動と光スポットの拡がりとを考慮しても、ラインセンサ13の受光部13aにおいて光スポットが投影される可能性のある位置は、主走査の進行とともに移動するものの、各瞬間で考えれば限定されている。そこで、ステップS2,S6において画素値を合算する際に、そのときの画素番号で示される画素を含めてその画素の前後にある所定数の画素の画素値のみを合算すればよい。このようにすることによって、不要光によって輝度が高くなっている画素の影響を防ぐことができ、合算値において本来の輝度に加算されているバックグラウンド成分が排除されるので、結果としてノイズ成分が減少し、感度が向上する。同様に、ステップS52、S53の処理も、そのときの画素番号に対応する画素の近傍の画素のみで実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の装置は、例えば、臨床検査において生化学的反応をマイクロ流路を用いて行う場合に、流路内の蛍光強度を検知する走査型の検出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の一形態の検出装置を示す配置図である。
【図2】図1の矢印方向から見た検出装置の配置図である。
【図3】流路とスキャン方向とを説明する平面図である。
【図4】ラインセンサの構造およびラインセンサの各画素とスポット像の位置関係とを示す図である。
【図5】ラインセンサ上での光スポット位置の変化と、ラインセンサ及び制御回路内の各所での動作との関係を示す図である。
【図6】スポット像が画素c7に投影されている期間における全画素の電荷蓄積状態の一例を説明する図である。
【図7】スポット像が画素c8に投影されている期間における全画素の電荷蓄積状態の一例を説明する図である。
【図8】画像補正の処理を説明するフローチャートである。
【図9】光スポットの位置を推定する処理を説明するフローチャートである。
【図10】光スポットの位置を推定する処理を説明する概念図である。
【図11】図10に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図12】図11に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図13】図12に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図14】図13に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図15】図14に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図16】輝度補正の概念を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 レーザ光源
2 走査手段
3 Fθレンズ
4 基板
5,6,7 流路
8 温度調節ブロック
9 温度調節手段
10 温度調節コントローラ
11 結像素子アレイ
12 蛍光フィルタ
13 ラインセンサ
14 筐体
15 副走査駆動手段
16 制御回路
17 メモリ
18 CPU
19 A/D変換部
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学反応を利用して検体中の被検出物を検出する生化学反応分析に用いられる検出装置及び方法に関し、特に、光源からの光を対象物に照射しつつ対象物からの光を検出する構成を有する検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学反応分析は、抗原抗体反応や核酸ハイブリダイゼーション反応などの生化学反応を利用して、検体中に含まれる細胞、微生物、染色体、核酸などの被検出物を検出するものである。例えばこの種の分析方法として、DNAチップを用いて核酸ハイブリダイゼーションを起こさせる方法がある。DNAチップを用いて核酸ハイブリダイゼーションを起こさせる方法では、DNAチップ上のサンプルのハイブリダイゼーション状態を検知するために、一般に、サンプルに蛍光標識として蛍光物質を付着させてサンプルからの蛍光を見る。そしてDNAチップに励起光を照射したときにサンプルに付された蛍光標識から発生する蛍光を撮像素子により検出する。撮像素子は、例えば、CMOSセンサやCCDセンサ等より構成されている。この場合、蛍光の検出を確実に行えるようにDNAチップに照射する励起光を構成した上で、励起光の光スポットをDNAチップで走査させ、発生した蛍光を一次元の撮像素子で受光する方法が知られている。一次元の撮像素子は、ラインセンサとも呼ばれ、フォトダイオードなどからなる個々の受光素子が一次元に配列したものである。以下の説明では、DNAチップなどの励起光による光スポット走査の対象となるもののことを対象物と呼ぶ。
【0003】
このように対象物上で光スポットを走査させ、対象物からの光を検出するようにした撮像装置として、特許文献1には、光スポットを試料上をスキャンさせ、試料からの反射光をラインセンサで検出を行う撮像装置が示されている。特許文献1では、撮像素子として用いられるラインセンサの位置が固定されているので、光スポットの走査における速度変動が起きても、歪のない画像が得られることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、光スポットを試料上を走査させ、スキャン方向に並べた光検出センサに向けて試料からの透過光を拡散させる画像読取装置が開示されている。特許文献2の構成では、光スポットの走査時に、方向付けされた光を全ての光検出センサで受光し全受光量を合算してスポットスキャンの輝度データにしており、これによって、感度が向上している。
【0005】
特許文献3には、光スポットを試料上を走査させ、試料からの反射光をラインセンサで検出を行う光学式読取装置において、ラインセンサの前面に光マスクを設け光の入力可能な範囲を限定することが開示されている。この構成では、光スポットの走査時に、光スポットの位置に合わせて光マスクを移動させ試料からの光は正規の位置で受光するとともに、周りからの不要な光が正規位置以外に入り込むのを防いでいる。不要光がラインセンサに入射しないことにより、結果として感度が向上する。
【特許文献1】特開昭61−80215号公報
【特許文献2】特開昭61−193560号公報
【特許文献3】特開平6−96250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものは、光スポットが試料上を走査する位置とラインセンサの各受光素子との位置が対応する構成である。したがって、光スポットの走査に速度変動がある場合には、ラインセンサにおける個々の受光素子に対応する試料上への光スポットが当たっている時間が変動する。このため、走査における速度変動に応じて個々の受光素子における受光量が変動することとなり、得られる画像における輝度値あるいは画素値において正確でない部分が発生することとなる。すなわち、輝度値に誤差が生じる。
【0007】
特許文献2のものは、光スポットの走査の時間経過に合せて各受光素子からの出力を合算する構成であるので、光スポットの走査に速度変動がある場合には試料上での光スポットが当たる位置が等間隔でなくなる。そのため、得られる画像に歪が生じてしまう。
【0008】
特許文献3のものは、光スポットの走査中、ラインセンサが受光蓄積状態を持続する構成のものである。したがって、1ライン走査時間の期間中の暗ノイズ(暗電流によるノイズ)がラインセンサの各受光素子に蓄積されることとなり、このため、信号対ノイズ比が劣化して、感度が低下する。
【0009】
本発明の目的は、光スポットの走査の速度変動に起因する画像の歪みと輝度値での誤差の発生をともに抑制し、さらに、走査中の暗ノイズを減少させ、これらによって蛍光検出を正確に行うことのできる検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の検出装置は、光源からの光を対象物に照射しつつ対象物上で主走査方向に走査する走査手段と、対象物から発せられた光を受光するための、主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するセンサアレイと、を有する検出装置において、
センサアレイの各受光素子より得られる信号を蓄積するメモリと、
主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとにその光信号蓄積期間に蓄積された信号をセンサアレイから読み出し、メモリに光信号蓄積期間ごとかつ受光素子ごとに蓄積する信号読み出し手段と、
メモリに蓄積された信号を演算して補正し、対象物上で走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成する補正手段と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の検出方法は、
光源からの光を対象物に照射しつつ対象物上で主走査方向に走査するステップと、主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するセンサアレイを用いて対象物から発せられた光を受光するステップと、を有する検出方法において、
主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとにその光信号蓄積期間に蓄積された信号をセンサアレイから読み出し、メモリに光信号蓄積期間ごとかつ受光素子ごとに蓄積するステップと、
メモリに蓄積された信号を演算して補正し、対象物上で走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成するステップと、
を有することを特徴とする。
【0012】
上述した構成において、センサアレイにおいて各受光素子は、例えば、対象物上で走査が等速で行われた場合に、対応する光信号蓄積期間において光が当該受光素子に投影されるように受光素子と前記光信号蓄積期間とが1対1で対応するように配置されている。また受光素子ごとの補正された受光量のデータを生成する際に、対象とする受光素子の前後にある所定数の受光素子からの信号のみを利用するようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メモリに保存されたデータに基き、光スポット位置の算出と算出された位置の画像輝度の補正を行うことで、光スポット走査の速度変動の影響を緩和した検査画像を作成することができるので、検出を正確に行うことができる。
【0014】
また、各光スポット位置で得られた保存データは蓄積時間が短く暗ノイズの蓄積が少ないことと、アレイセンサへの不要光による影響を除くため算出された光スポット位置近傍に位置する保存データのみを輝度算出に使うことで、検出の感度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の一形態の検出装置の構成の概略を示す図であり、図2は、図1における矢印方向からこの検出装置を見た図である。当然のことながら、図1及び図2において、同一の部材には同一の参照符号が付与されている。図1及び図2に示す検出装置は、流路内の蛍光強度を検知するスキャナとして用いられるものである。この検出装置は、例えば、微小な幅の流路内を流動する検体における2本鎖DNAの量や、DNAチップのプローブに結合した(ハイブリダイズした)ターゲットDNAの量の測定などに好適に用いられる。
【0016】
《装置構成》
まず、図1及び図2に示す検出装置の構成について説明する。ここでは、微小な幅の流路(マイクロ流路)内の被検出物は、蛍光標識でラベルされているものとする。蛍光標識を励起する光源として、波長(λ)が488nmのレーザ光源1が設けられている。流路上をレーザ光を走査させるために、レーザ光源1からのレーザ光を走査するスキャンミラー等の走査手段2と、fθレンズ3とが設けられている。fθレンズ3は、レーザ光のスキャン位置を走査手段2による偏向角度に比例した位置に変換する。レーザ光源1、走査手段2及びfθレンズ3は、流路に対してスポット光を投影し走査させるスポット光投影手段101を構成する。
【0017】
複数種類の試薬に対応した微小な幅の流路5,6,7が、基板4に、相互に平行に形成されている。図1は、流路5〜7の延びる方向からこの検出装置を見た場合に相当する図である。各流路内には、バッファ液で分離された複数の被検体DNA及び蛍光標識が入れられている。この例では蛍光標識は、DNAの二本鎖の中に取り込まれた状態で波長470〜490nmの光で励起され、波長500〜530nmの蛍光を発する、いわゆるインターカレータ方式の蛍光標識である。このような蛍光標識としては、例えば、Molecular Probe社のSYBR(登録商標) GreenIを用いることができる。流路5〜7中の液体は、不図示のポンプなどの送液手段により、その流路の中を移動する。流路5〜7の温度を制御するために、基板4の下面を覆うように温度調節ブロック8が設けられ、温度調節ブロック8は温度調節手段9によって加熱冷却される。温度調節手段9の設定温度は温度調節コントローラ10により制御される。
【0018】
流路5〜7における蛍光像を撮像するために、結像光学系である結像素子アレイ11と、励起光を遮断し蛍光のみを透過させる蛍光フィルタ12と、センサアレイであるラインセンサ13が設けられている。蛍光フィルタ12は結像素子アレイ11の出射側に設けられており、蛍光フィルタ12を透過した光がラインセンサ13に結像するようになっている。結像素子アレイ11、蛍光フィルタ12及びラインセンサ13は、撮像手段102を構成する。
【0019】
ここでこの検出装置における主走査方向及び副走査方向について説明する。この検出装置では、図2において回転軸2bの周りで走査手段2であるスキャンミラーを回転させると、基板4上でのレーザ光のスポット位置が、図示矢印で示す方向2aすなわち流路6が延びる方向で移動する。そこで、この方向2aのことを主走査方向とする。また、基板4において相互に平行に設けられた複数の流路5〜7の一つを選択できるように、スポット光投影手段101及び撮像手段102を流路5〜7が配列している方向に移動させる必要がある。そこで、方向2aに垂直であってかつ流路5〜7が配列している方向15aのことを副走査方向と呼ぶ。
【0020】
スポット光投影手段101と撮像手段102は、ともに筐体14に固定されて一体のものとされており、ステッピングモーター、超音波モーターなどの副走査駆動手段15により、副走査方向(方向15a)に対して動かすことができるようになっている。副走査駆動手段15によってスポット光投影手段101と撮像手段102とを副走査方向に駆動することにより、流路5〜7のうちの任意のものにおける蛍光を検知することができる。
【0021】
結像素子アレイ11を構成する素子は、屈折率分布型の材料により形成された光学素子であり、被写体像を一度レンズ内部に結像した後、像面に正立の被写体像を形成する。結像素子アレイ11は、このようなレンズを直線上に配列した部材であり、像面に広い範囲の正立被写体像を形成することができる。このような結像素子アレイ11としては、例えば、日本板硝子株式会社のセルフォック(登録商標)レンズアレイを用いることができる。
【0022】
この検出装置の全体の動作を制御する制御回路16は、メモリ(MEM)17、CPU18及びA/D変換部19を有する。このような制御回路16は、スキャンミラー2の動作制御やラインセンサ13の動作制御、温度調節コントローラ10の制御、副走査駆動手段15の制御などの制御処理を実行する。CPU18は、本発明における補正手段として機能するものであり、制御回路16は、信号読み出し手段として機能するものである。また、ラインセンサ13からの出力は制御回路16に取り込まれるようになっている。具体的には、制御回路16に入力したラインセンサ13からの出力は、まず、A/D(アナログ/デジタル)変換部19に送られ、A/D変換部19でデジタルデータに変換された結果がメモリ17に送られて格納される。
【0023】
メモリ17は、制御回路16が検出装置の制御を行うために用いるメモリ領域のほかに、スキャン動作時に取得されたデータなどを格納するための主走査用メモリ領域を有する。主走査用メモリ領域は、ラインセンサ13で取得されたデータの保存を複数のラインメモリを構成している。すなわち、ラインセンサ13の各画素すなわち各受光素子を光スポットが通過する時間を一区切りとして、それぞれの時刻に対してラインセンサの全画素のデータを保存するラインメモリが、領域として確保されている。これらを時間別データ用ラインメモリと称する。また時間別データ用ラインメモリの保存データから求められる値を保存するためのラインメモリが、メモリ17において、別途、領域として確保されている。これを合成データ用ラインメモリと称する。
【0024】
さらに、主走査と副走査とを組み合わせた2次元データを保存するために、複数回の主走査に対応して合成データ用ラインメモリのデータを記憶する領域も、別途、メモリ17に確保されている。この2次元データを保存するための領域は、複数本のラインメモリに相当するサイズを有する領域である。
【0025】
本発明に用いることができる走査手段2としては、例えば、ガルバノミラー、MEMSミラー、マイクロミラーアレイ、ポリゴンミラーなどがある。また、本発明に用いることができる結像光学系としては、上述した結像素子アレイ11の他、マイクロレンズアレイや、通常の結像光学系を用いることができる。本発明において用いることができるセンサアレイとして、ライン型のセンサアレイすなわちラインセンサと、面積型のセンサアレイとがある。具体的に、本発明で用いることができるラインセンサとして、例えば、ライン型のCCDセンサあるいはライン型のCMOSセンサがある。また、本発明で用いられる面積型のセンサアレイとしては、例えば、複数ラインを有する面積型のCCDセンサ、あるいは複数ラインを有する面積型のCMOSセンサがある。
【0026】
《測定方法》
次に、基板4内に形成された流路5〜7における蛍光強度を上述した構成の検出装置を用いて測定する方法について説明する。
【0027】
レーザ光源1を発したレーザ光は、走査手段2により反射され、Fθレンズ3により直径(φ)が10μm程度のスポット光として基板4上に集光される。走査手段2は、レーザ光の反射点を含む軸を回転軸2bとしてこの回転軸2b周りを回転自在なスキャンミラーなどのマイクロミラーデバイスからなっており、回転軸2bを中心として、所定の角度範囲内で角振動して主走査を行う。走査手段2は、例えば、図示の方向2aで1秒間に10回程度の速さで往復振動する。
【0028】
図3は、基板4における流路5〜7の配置を示している。上述したように走査手段2が角振動することにより、図3に示すように、これにより、基板4に投影されたスポット光は、流路5〜7のそれぞれが延びる方向301で、10往復/秒程度の周期で往復走査することになる。この走査は、基板4上ですなわち流路の位置で等速走査であることが望ましいが、実際には正確な等速走査は困難であり、速度変化が生じる。この光スポットのスキャン開始の基準位置は、不図示の光センサが光スポットが通過することにより検知される。
【0029】
Fθレンズ3は、その焦点位置が走査手段2における光線反射点と一致するように配置されている。そのため、Fθレンズ3の屈折により、レーザ光は、走査手段2のミラーによる偏向角度に比例した距離だけ離れて光軸に平行に進む収束光になる。このスポット光の投影位置とラインセンサ13の受光部とが共役となるように、結像素子アレイ11及びラインセンサ13は配置されている。照明光束の通過領域のみが照明領域となるため、この光線幅が撮像深度となり、基板4の自家蛍光の影響を受けない高精度な検出が可能となる。したがって、撮像手段102による撮影光路とスポット光投影手段101による照明光路の交点に流路5〜7が一致した場合には、その流路内の蛍光標識の発した蛍光は、結像素子アレイ11によりラインセンサ13の受光部に導かれることになる。
【0030】
本実施形態の検出装置では、走査手段2すなわちスキャンミラーによるレーザスポットの1回の主走査の終了とともに、副走査駆動手段15により、スポット光投影手段101と撮像手段102とが一体のものとして、副走査方向に移動する。すなわち、走査手段2により主走査が行われ、副走査駆動手段15により副走査が行われることになる。このような主走査と副走査とを組み合わせることにより、図3に破線で示す撮影範囲302、303、304の画像がラインセンサ13によって取得される。撮影範囲302〜304は、それぞれ、流路5〜7に対応する撮影範囲である。この図に示すように、流路の長手方向に平行に主走査を行う場合には、流路の間を飛び越して副走査を行うことが可能であるため、高い走査効率が得られる。
【0031】
《ラインセンサ制御》
次に、ラインセンサ13の構成及びその制御について説明する。図4はラインセンサ13の構成を示している。ここでは、ラインセンサ13がライン型のCCDセンサであるものとする。
【0032】
ラインセンサ13の受光部13aは、それぞれフォトダイオードなどの光電変換素子のような受光素子からなる画素c1,c2,c3,…によって構成されており、光電変換によって生じた電荷を蓄積する作用を有する。画素c1,c2,c3,…は、一直線上に配置されている。これらの画素c1,c2,c3,…に電気的に接続するCCD13bが設けられている。CCD13bは、電荷結合素子であって、受光部13aの各画素c1,c2,c3,…に蓄積された電荷を電荷読出し指示信号に対応して並列に取り込む。その後、CCD13bは、電荷量をそれに応じた電圧値に変換する増幅器(AMP13c)を経由して、CCD転送指示信号に対応して、各画素での検出値を電圧信号として次々とすなわち直列に電圧信号として出力する。このようなライン型のCCDセンサであるラインセンサ13の動作は、当業者にはよく知られたものである。
【0033】
図4では、撮像手段102を介してラインセンサ13に投影されたスポット光の像も示している。ここに示す例では、スポット光の像1cは、スキュンミラーで構成された走査手段2による主走査動作によって、画素c1から画素c2、画素c3という順で投影されていき、現在、画素c7に投影されている。こののちも、走査手段2による主走査動作によって、スポット光bの像1cの位置は、画素の配列方向に移動する。
【0034】
図5は、センサアレイ上すなわちラインセンサ13上での光スポット位置の変化と、ラインセンサ13及び制御回路16内の各所での動作との関係を示す図である。光スポットの走査が等速であってラインセンサ13上でもスポット光の像1cが等速で移動すると仮定する。像1cが画素c7に投影される期間が開始すると、電荷読出し指示信号が制御回路16からラインセンサ13に伝えられる。これにより、ラインセンサ13の受光部13aに蓄積されている各画素の電荷がCCD13bの対応する位置に移動し、これに伴い、受光部13aの各画素は電荷蓄積が空状態にされる。引き続き、受光部13aの全画素での電荷蓄積が開始され、画素c7に像1cが投影されている期間分の蓄積を続ける。ここでの画素ごとの電荷蓄積量は、その期間内にその画素が受光した光量に比例する。実際には光スポットは、画素の大きさに比べてある程度の拡がりを有するので、光スポットの中心が画素に投影され始めるときを像1cが画素に投影される期間の開始点とする。
【0035】
次に、等速移動している像1cが画素c8に投影される期間の開始時に、上述と同様に、電荷読出し指示信号が制御回路16からラインセンサ13に伝えられる。それにより、それまでに受光部13aの各画素に蓄積されている各画素の電荷がCCD13bの対応する位置に移動し、これに伴って受光部13aの各画素の電荷蓄積が空状態にされる。引き続き、受光部13aの全画素での電荷蓄積が開始され、画素c8に投影されている期間分の蓄積を続ける。一方、スポット像1cが画素c8に投影されている期間の一部、すなわち、CCD転送指示信号がハイレベルの期間内、CCD13bの全画素データが電気信号としてラインセンサ13から出力される。この出力は、逐次、A/D変換部19に送られアナログ/デジタル(A/D)変換されてデジタル信号とされ、メモリ17内のc7時間帯用の時間別データ用ラインメモリに送られる。その結果、スポット像1cが画素c7に投影されている期間における全画素の電荷蓄積状態が、メモリ17内のc7時間帯用の時間別データ用ラインメモリに保存される。
【0036】
このようにスポット像1cが画素c8に投影されている期間には、各画素における電荷蓄積と、画素c7に投影されている期間に蓄積された全画素の蓄積量の外部出力とが、並行に処理される。
【0037】
このような繰り返しで、ラインセンサ13では一定時間ごとに空状態からの各画素ごとの電荷蓄積が行われ、電荷蓄積量が外部出力され、個別の画素の蓄積量がメモリ17内の各時間帯用の時間別データ用ラインメモリに保存される。
【0038】
1画素の大きさが5μm角であり、10mmの走査範囲にわたってこのような画素が隙間なく配列しているとすると、画素数は2000となる。走査が一定速度で行われているとして、画素ごとの光スポットの像が投影されている時間で1回の主走査の期間を分割すると、2000の時間帯が得られることとなる。これら2000の時間帯のひとつひとつを光信号蓄積期間と呼ぶ。各光信号蓄積期間は、それぞれ、画素すなわち受光素子と1対1で対応する。これら2000の時間帯の1つごとに、全画素(画素c1〜c2000)の電荷蓄積状態が、対応する時間別データ用ラインメモリに保存される。したがって、1回の主走査によって、2000本の時間別データ用ラインメモリのそれぞれに、全画素の電荷蓄積状態が保存されることになる。本実施形態では、後述するように、これら2000本の時間別データ用ラインメモリに蓄積されたデータに基づいて画像補正を行うことにより、光スポットの走査速度が一定でないことによる影響を補償する。
【0039】
図6は、スポット像1cが画素c7に投影されている期間における全画素の電荷蓄積状態の一例を示している。同様に図7は、スポット像1cが画素c8に投影されている期間におけるに全画素の電荷蓄積状態の一例を示している。図6、図7において縦軸は電気出力を表わし、横軸は主走査方向に並んでいる各画素を表わしている。スポット像1cが投影されている画素における電気出力が最大となっているが、スポットの広がりや散乱光の影響により、像1cが投影されている画素を中心として数画素程度の範囲内の画素においても電気出力が生じている。また、暗ノイズの影響により、光が当たっていない画素においてもわずかな電気出力が観測されている。
【0040】
なお本実施形態では、電荷読出し指示信号やCCD転送指示信号は、制御回路16によって極めて正確なタイミングで発生する。これに対してスキャンミラーなどの走査手段2による光スポットの走査速度は1回の主走査の期間内においても変動し得る。その結果、極端な場合には、本来ならば例えば28番目の画素に光スポットが当たっているはずのタイミング(すなわち光信号蓄積期間)において、実際には30番目の画素に光スポットが投影されている、という事態が発生し得る。この場合、28番目の画素に対応した時間別データ用ラインメモリにおいては、28番目ではなく30番目の画素に対応する位置で最大の電荷蓄積状態のデータが保存されることになる。本実施形態では、このようなずれを補償して正確な結果が得られるようにするために、画像補正を行っている。
【0041】
《画像補正》
光スポットの走査速度が一定でないことによる影響を補償するための画像補正は、メモリ17において各画素ごとに蓄積されたデータを基に行われ、後述するように、画素ごとの輝度データが生成される。生成された輝度データは、メモリ17内の合成データ用ラインメモリに逐次保存される。全ての画素の処理が行われると、1回の主走査分の輝度データが、合成データ用ラインメモリに保存された状態になる。
【0042】
図8のフローチャートに基づいて、本実施形態における画像補正の手順を説明する。
【0043】
ステップS1において、処理する画素として一番目の画素c1を指定するために、画素番号を1とする。ステップS2において、メモリ17内の画素番号1用の時間別データ用ラインメモリに保存されている全画素のデータを合算する。次にステップS3において、メモリ17内の合成データ用ラインメモリの画素番号1用の位置に、ステップS2での合算された値を保存し、ステップS4に移行する。
【0044】
ステップS4では、処理する画素番号の値を1だけ増加させる。ステップS5では、画素番号から指定される時間別データ用ラインメモリに保存されている全データを用いて、光スポットの位置を推定する。処理の詳細については後述する。ステップS6では、画素番号によって指定される時間別データ用ラインメモリに保存されている全画素のデータを合算する。ステップS7では、ステップS6で得られた合算値に対して、ステップS5で推定された光スポットの位置に応じた補正を行う。この補正の処理の詳細については別途説明する。その後、ステップS8では、メモリ17内の合成データ用ラインメモリ中の位置であって現在の画素番号によって指定される位置に、補正された値を保存する。ステップS9では、画素番号が最終値かどうかを判断する。最終値でなければステップS4に戻り、最終値なら画像補正処理を終了する。
【0045】
次に、ステップS5で行われる光スポットの位置の推定の処理について、図9のフローチャートにしたがって手順を説明する。
【0046】
ステップS51では、画素番号から光スポットの正規位置を算出する。正規位置とは、光スポットの走査に時間変動がないとした場合の光スポットの位置のことである。本実施形態では、画素番号がiであれば、正規位置は、i番目の画素Ciの中心位置である。次に、ステップS52では、画素番号から指定される時間別データ用ラインメモリに保存されている全画素のデータを読み出す。図10は、画素番号が7であるとして、このように読み出されたデータの一例を示している。ステップS53では、ステップS52で読み出された各画素のデータのうち、ピーク値すなわち一番大きな値を示すものを見つけ出す。そしてステップS54では、ピーク値の半分の値と各画素の値を比較し、ピーク値の半分の値よりも大きな値を有する画素を残し、残りの画素を取り除く。図11、図12は、ステップS53、S54の処理を説明するものである。図示したものでは、画素C7においてピーク値となっており、ピーク値の半分の値よりも大きな値を有する画素として、画素C5〜C9の5画素が残されている。
【0047】
ステップ55では、残されている画素とその画素の値とを近似する曲線を求める。具体的には、適切な関数を想定してその関数に対するカーブフィッティング(曲線当てはめ)を行うことにより近似曲線を求める。図13は、近似曲線を求めるプロセスを示している。次に、ステップ56では、近似曲線のピークを見つけ、ピークが得られている位置を光スポットの位置とする。図14は、近似曲線におけるピークの位置を説明する図である。図示されるように、近似曲線におけるピークの位置は、何番目の画素といった整数値であ表わされるのではなく、原点から例えば画素7.51個分の位置というように、小数部分を伴う実数値として表わされる。ステップS57では、図15に示すように、得られた位置とそのときの正規位置との距離関係を求める。ここで求められた光スポットの位置は、画素番号がiであるとして、本来ならばi番目の画素に光スポットが投影されているべき期間(i番目の光信号蓄積期間)における、実際に光スポットが投影されている位置を示すものである。
【0048】
次に、ステップS7における補正の処理について説明する。
【0049】
上述したようにして光スポットの実際の位置が分かったとして、ステップS7の処理では、各画素の輝度値を得るために、光スポットの実際の位置に応じた補正を実行する。ここでは、光スポットの実際の位置と本来の位置(正規位置)との差がそれほど大きくない(例えば±1画素未満)であるものとして説明する。
【0050】
まず、推定された光スポットの位置と輝度を算出しようとしている画素の位置(正規位置)とがちょうど同じ場合、すなわち距離が0の場合を考える。この場合には、画素番号から指定される時間別データ用ラインメモリに保存されている全データの合算値を、その画素番号で表わされる画素の輝度データとする。ここでは補正は行われない。
【0051】
これに対し、推定された光スポットの位置と輝度を算出しようとしている画素の位置とが一致しない場合には、その距離差の大きさに合わせて輝度データの補正を行う。両者が一致しない場合としては、(a)光スポットの実際の位置がそのときの正規位置にまで進んでいない場合と、(b)光スポットの位置が正規位置よりさら先に進んだ位置の場合の2通りがある。以下、これら2通りの場合のそれぞれについての補正を説明する。
【0052】
(a)の光スポットの実際の位置がそのときの正規位置にまで進んでいない場合には、今回の画素で得られている合算値のデータと一つ前の画素の得られている輝度値データの差分と距離との比例関係に基づいて輝度補正を行う。図16に一例を示す。ここでLを本来の位置間隔(隣接する画素間での正規位置の間隔)、lを上述のステップS5の処理で得られた正規位置と実際の光スポット位置との距離差とする。一般にLは、ラインセンサ13内で一定の値である。距離差lは絶対値で表すものとする。また現在の画素番号をiとすれば、ここではi番目の画素に対する補正後の輝度値を算出する。そこでi−1番目の画素について既に算出された補正後の輝度値をd1とし、画素番号iについてステップS6において求められた合算値をd2とする。d1の値は、図8のステップS4〜S9のループを前回実行した際に、合算用ラインメモリに既に保存されているので、合算用ラインメモリから読み出して使用する。なお、1番目の画素については補正がなされないので、i=2の場合には、ステップS3で保存されている合算値をd1とする。そしていま求めようとしている、i番目の画素についての補正後の輝度値をdxとする。
【0053】
そして、dxを
dx=d1+(d2−d1)×L÷(L−l)
として求める。なお明らかにd1=d2の場合には、dx=d2となる。
【0054】
(b)の光スポットの位置が正規位置より先に進んだ位置である場合は、今回得られている合算値のデータと一つ前の画素で得られた輝度値データとの差分を距離の比で按分して輝度補正を行う。L,l,d1,d2及びdxの意味は上述と同じであるとする。この場合にはdxを
dx=d1+(d2−d1)×L÷(L+l)
として求める。このときもd1=d2の場合には、dx=d2となる。
【0055】
(a),(b)のいずれの場合においても、dxをその画素すなわち現在の画素番号の画素の輝度値データとする。なお、上記の計算はCPU18で実行されるが、使用する演算形式において演算中に負数が現れることが許されない場合には、d1とd2との大小関係に応じて上記式を書き直したものを使用すればよい。
【0056】
本実施形態では、上述したように、ステップS7で補正値を求めたのち、ステップS8において補正値を該当する画素番号の位置で合算用ラインメモリに保存している。したがって、ステップS4〜S9のループを全て画素番号に対して実行した後には、合算用ラインメモリには、最初の画素を除く全ての画素についての補正値が格納されることになる。この補正値は、光スポットの走査の速度変動による影響を補償し、本来のタイミングで各画素に光スポットが投影されたとしての各画素の輝度値を示している。したがって、合算用ラインメモリに格納されている各画素のデータは、画像の歪みや輝度値での誤差を含まないものである。このデータを用いることによって、光スポット走査の速度変動の影響を受けない検査画像を作成することができ、核酸のハイブリダイゼーション状況などを的確に検出できるようになる。
【0057】
《感度向上》
測定対象によっては、感度向上のために以下に述べる処理を施す場合もある。
【0058】
メモリ17内の時間別データ用ラインメモリに保存されている各画素のデータから各画素の輝度値を算出する際に、算出対象の画素位置の近傍の前後複数画素の位置までの保存されている値を合算し、それ以外の位置についての値は合算に入れないようにする。本実施形態の場合、走査の速度変動と光スポットの拡がりとを考慮しても、ラインセンサ13の受光部13aにおいて光スポットが投影される可能性のある位置は、主走査の進行とともに移動するものの、各瞬間で考えれば限定されている。そこで、ステップS2,S6において画素値を合算する際に、そのときの画素番号で示される画素を含めてその画素の前後にある所定数の画素の画素値のみを合算すればよい。このようにすることによって、不要光によって輝度が高くなっている画素の影響を防ぐことができ、合算値において本来の輝度に加算されているバックグラウンド成分が排除されるので、結果としてノイズ成分が減少し、感度が向上する。同様に、ステップS52、S53の処理も、そのときの画素番号に対応する画素の近傍の画素のみで実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の装置は、例えば、臨床検査において生化学的反応をマイクロ流路を用いて行う場合に、流路内の蛍光強度を検知する走査型の検出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の一形態の検出装置を示す配置図である。
【図2】図1の矢印方向から見た検出装置の配置図である。
【図3】流路とスキャン方向とを説明する平面図である。
【図4】ラインセンサの構造およびラインセンサの各画素とスポット像の位置関係とを示す図である。
【図5】ラインセンサ上での光スポット位置の変化と、ラインセンサ及び制御回路内の各所での動作との関係を示す図である。
【図6】スポット像が画素c7に投影されている期間における全画素の電荷蓄積状態の一例を説明する図である。
【図7】スポット像が画素c8に投影されている期間における全画素の電荷蓄積状態の一例を説明する図である。
【図8】画像補正の処理を説明するフローチャートである。
【図9】光スポットの位置を推定する処理を説明するフローチャートである。
【図10】光スポットの位置を推定する処理を説明する概念図である。
【図11】図10に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図12】図11に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図13】図12に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図14】図13に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図15】図14に続き、光スポット位置推定の処理を説明する概念図である。
【図16】輝度補正の概念を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 レーザ光源
2 走査手段
3 Fθレンズ
4 基板
5,6,7 流路
8 温度調節ブロック
9 温度調節手段
10 温度調節コントローラ
11 結像素子アレイ
12 蛍光フィルタ
13 ラインセンサ
14 筐体
15 副走査駆動手段
16 制御回路
17 メモリ
18 CPU
19 A/D変換部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を対象物に照射しつつ該対象物上で主走査方向に走査する走査手段と、前記対象物から発せられた光を受光するための、前記主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するセンサアレイと、を有する検出装置において、
前記センサアレイの各受光素子より得られる信号を蓄積するメモリと、
前記主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとに当該光信号蓄積期間に蓄積された信号を前記センサアレイから読み出し、前記メモリに前記光信号蓄積期間ごとかつ前記受光素子ごとに蓄積する信号読み出し手段と、
前記メモリに蓄積された信号を演算して補正し、前記対象物上で前記走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成する補正手段と、
を有することを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記センサアレイから出力される信号をデジタル信号に変換するA/D変換部をさらに有し、前記デジタル信号が前記メモリに蓄積される、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記各信号蓄積期間において実際に前記センサアレイ上での前記光が照射されている位置を算出し、算出された位置に基づいて補正を行う、請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記メモリは、
各光信号蓄積期間にそれぞれ対応して設けられ、各受光素子からの信号を受光素子ごとに蓄積する複数の時間別データ用ラインメモリの領域と、
受光素子ごとの前記補正手段によって補正されたデータが蓄積される合成データ用ラインメモリの領域と、
を有する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記センサアレイにおいて前記各受光素子は、前記対象物上で前記走査が等速で行われた場合に、対応する前記光信号蓄積期間において前記光が当該受光素子に投影されるように前記受光素子と前記光信号蓄積期間とが1対1で対応するように配置されており、
前記補正手段によって前記受光素子ごとの補正された受光量のデータを生成する際に、対象とする受光素子の前後にある所定数の受光素子からの信号のみを利用する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
光源からの光を対象物に照射しつつ該対象物上で主走査方向に走査するステップと、前記主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するセンサアレイを用いて前記対象物から発せられた光を受光するステップと、を有する検出方法において、
前記主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとに当該光信号蓄積期間に蓄積された信号を前記センサアレイから読み出し、メモリに前記光信号蓄積期間ごとかつ前記受光素子ごとに蓄積するステップと、
前記メモリに蓄積された信号を演算して補正し、前記対象物上で前記走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成するステップと、
を有することを特徴とする検出方法。
【請求項7】
前記センサアレイから出力される信号をデジタル信号に変換するステップをさらに有し、前記デジタル信号が前記メモリに蓄積される、請求項6に記載の検出方法。
【請求項8】
前記生成するステップは、前記各信号蓄積期間において実際に前記センサアレイ上での前記光が照射されている位置を算出するステップと、算出された位置に基づいて補正を行うステップと、を有する請求項6に記載の検出方法。
【請求項9】
前記センサアレイにおいて前記各受光素子は、前記対象物上で前記走査が等速で行われた場合に、対応する前記光信号蓄積期間において前記光が当該受光素子に投影されるように前記受光素子と前記光信号蓄積期間とが1対1で対応するように配置されており、
前記生成するステップにおいて、前記受光素子ごとの補正された受光量のデータを生成する際に、対象とする受光素子の前後にある所定数の受光素子からの信号のみを利用する、請求項6に記載の検出方法。
【請求項1】
光源からの光を対象物に照射しつつ該対象物上で主走査方向に走査する走査手段と、前記対象物から発せられた光を受光するための、前記主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するセンサアレイと、を有する検出装置において、
前記センサアレイの各受光素子より得られる信号を蓄積するメモリと、
前記主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとに当該光信号蓄積期間に蓄積された信号を前記センサアレイから読み出し、前記メモリに前記光信号蓄積期間ごとかつ前記受光素子ごとに蓄積する信号読み出し手段と、
前記メモリに蓄積された信号を演算して補正し、前記対象物上で前記走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成する補正手段と、
を有することを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記センサアレイから出力される信号をデジタル信号に変換するA/D変換部をさらに有し、前記デジタル信号が前記メモリに蓄積される、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記各信号蓄積期間において実際に前記センサアレイ上での前記光が照射されている位置を算出し、算出された位置に基づいて補正を行う、請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記メモリは、
各光信号蓄積期間にそれぞれ対応して設けられ、各受光素子からの信号を受光素子ごとに蓄積する複数の時間別データ用ラインメモリの領域と、
受光素子ごとの前記補正手段によって補正されたデータが蓄積される合成データ用ラインメモリの領域と、
を有する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記センサアレイにおいて前記各受光素子は、前記対象物上で前記走査が等速で行われた場合に、対応する前記光信号蓄積期間において前記光が当該受光素子に投影されるように前記受光素子と前記光信号蓄積期間とが1対1で対応するように配置されており、
前記補正手段によって前記受光素子ごとの補正された受光量のデータを生成する際に、対象とする受光素子の前後にある所定数の受光素子からの信号のみを利用する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
光源からの光を対象物に照射しつつ該対象物上で主走査方向に走査するステップと、前記主走査方向に対応して配列された複数の受光素子を有するセンサアレイを用いて前記対象物から発せられた光を受光するステップと、を有する検出方法において、
前記主走査方向への1回の走査の期間を複数の光信号蓄積期間に分割し、各光信号蓄積期間ごとに当該光信号蓄積期間に蓄積された信号を前記センサアレイから読み出し、メモリに前記光信号蓄積期間ごとかつ前記受光素子ごとに蓄積するステップと、
前記メモリに蓄積された信号を演算して補正し、前記対象物上で前記走査が等速で行われた場合の各受光素子の受光量に対応するデータを生成するステップと、
を有することを特徴とする検出方法。
【請求項7】
前記センサアレイから出力される信号をデジタル信号に変換するステップをさらに有し、前記デジタル信号が前記メモリに蓄積される、請求項6に記載の検出方法。
【請求項8】
前記生成するステップは、前記各信号蓄積期間において実際に前記センサアレイ上での前記光が照射されている位置を算出するステップと、算出された位置に基づいて補正を行うステップと、を有する請求項6に記載の検出方法。
【請求項9】
前記センサアレイにおいて前記各受光素子は、前記対象物上で前記走査が等速で行われた場合に、対応する前記光信号蓄積期間において前記光が当該受光素子に投影されるように前記受光素子と前記光信号蓄積期間とが1対1で対応するように配置されており、
前記生成するステップにおいて、前記受光素子ごとの補正された受光量のデータを生成する際に、対象とする受光素子の前後にある所定数の受光素子からの信号のみを利用する、請求項6に記載の検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−25893(P2010−25893A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190900(P2008−190900)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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