説明

検出装置及び方法

本出願は、第1流路部分と第2流路部分との間の流路にセンサ構成要素を含む検出装置の実施形態を開示する。説明された実施形態では、センサ構成要素は、重合組成物中に受容体を含む。受容体は、試験試料中の検体と結合するように構成される。結合した際、センサ構成要素は、検体の受容体との相互作用に応じて検出可能な変化を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の権利)
米国政府は、国防総省によって承諾された契約番号DAAD−13−03−C−0047(プログラム番号2640)の条件下で本発明に対する特定の権利を有することができる。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年11月20日に出願され、引用により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第60/989,291号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
一般的に使用される抗生物質に耐性を有する細菌の出現は、感染した人々の治療にとって深刻な意味を有する、増大しつつある問題である。したがって、このような細菌の存在を初期の段階で及び比較的迅速に見つけ出すことは、このような細菌のより良好な制御を得るためにますます重要になっている。これはまた様々な他の微生物にも当てはまる。
【0003】
高い関心のあるそのような1つの細菌は、黄色ブドウ球菌(「S.aureus」)である。これは、小さな皮膚膿瘍や創傷感染の表皮傷害、心内膜炎、肺炎、敗血症などの系統的で命を脅かす症状、及び食中毒や毒素性ショック症候群などの中毒症を含む、幅広い範囲の感染を引き起こす病原体である。いくつかの菌株(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、少数の選択された抗生物質に対してではあるが、それらの全てに耐性である。
【0004】
特に抗生物質に耐性がある細菌を検出するための現在の技術は、一般的に時間がかかり、典型的に純粋な形態で細菌を培養する工程を伴う。急性感染、すなわち、ヒト及び動物の黄色ブドウ球菌、並びに動物のスタフィロコッカス・インターメディウス及びスタフィロコッカス・ハイカスに伴う病原性ブドウ球菌を特定するこのような技術は、血漿を凝固する細菌の能力に基づく。少なくとも2つの異なるコアグラーゼ試験:遊離コアグラーゼの試験管試験及び「細胞結合コアグラーゼ」又はクランピング因子のスライド試験が記載されている。試験管コアグラーゼ試験は、一般的に、脳心臓進出物ブロス一夜培養物を再生血漿と混合し、その混合物を4時間培養し、試験管を徐々に傾けることにより管の凝固形成を観察することを含む。少数の菌株は凝固形成に4時間を超える場合があるため、一夜試験培養は黄色ブドウ球菌に推奨されている。スライド・コアグラーゼ試験は、一般的に、より迅速で経済的であるが、黄色ブドウ球菌菌株の10%〜15%が陰性結果となる場合があり、試験管試験による再試験による分離が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術分野では、他の細菌と同様に黄色ブドウ球菌を検出する方法がこれまで述べられてきたが、検出方法及び装置が改善されることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、試験試料中の検体を検出し、任意選択的に試料調製を行う検出装置の実施形態を開示する。図示された実施形態では、検出装置は、流路(第1流路部分と第2流路部分の間)にセンサ構成要素を含む。説明された実施形態では、センサ構成要素は、重合組成物中に受容体を含む。受容体は、試験試料中の検体と結合するように構成される。結合したとき、センサ構成要素は、検体の受容体との相互作用に応じて、検出可能な変化を受ける。
【0007】
本明細書で説明された好ましいセンサには、比色センサがある。1つの好ましいタイプの比色センサは、ジアセチレン含有重合体と受容体を含む重合組成物を有し、受容体は、重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を示すトランスデューサを構成する。
【0008】
本明細書で述べる装置は、水平流装置、垂直流装置、又はこれらの組み合わせでよい。特定の実施形態では、この試料流路は、少なくとも2つの部分(2つ以上の試料通過部分により画定することができる)を含み、これらは異なる方向に配向される。例えば、一方が他方に交差して配向することができる。センサ構成要素は、装置内の第1流路部分を第2流路部分から分離する流路内にあることが好ましい。センサ構成要素は、1つ又は複数の記号又は文字の形のパターン化センサ層内にあってもよい。
【0009】
様々な技術を使用して、流路(即ち、第1流路部分から第2流路部分まで)に沿ってセンサ構成要素を過ぎた流体(例えば、試験試料)の流れを誘導することができる。例えば、注射器、真空源、吸収パッド又は毛管圧などの圧力源を使用してもよい。
【0010】
一実施形態では、検体の有無を検出するための装置が提供され、この装置は、流路を有する本体と、流体透過膜と、流体透過膜内又は流体透過膜上に配置される比色センサ構成要素と有し、比色センサは、ジアセチレン含有重合体と受容体とを含む重合組成物を有し、受容体は、重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成する。
【0011】
この実施形態では、装置は、更に、装置の本体内の試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置された試料調製用の1つ又は複数の試薬を含むことができ、1つ又は複数のゾーンは、比色センサより上流の試料流路に配置される。装置は、追加又は代替として、装置の本体内の試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置される間接検体検出用の1つ又は複数のプローブを含み、1つ又は複数のゾーンは、比色センサの上流の試料流路に配置される。
【0012】
この装置の流路は、第1及び第2流路部分を形成する第1流れ通路部分と第2流れ通路部分とを含み、流体透過膜は、第1及び第2流れ通路部分を分割する。
【0013】
一実施形態では、検体の有無を検出するための装置が提供され、この装置は、流路と複層構造を構成する複数の層とを含む本体であって、第1層と第2層との間に形成された第1流れ通路部分と第2流れ通路部分とによって画定された前記流路と、第1層と第2層との間に配置されたセンサ構成要素であって、第1流れ通路部分を第2流れ通路部分から分離するためのセンサ構成要素とを有する。
【0014】
この実施形態の装置は、更に、第1層と第2層との間に1つ又は複数の中間層を含んでもよく、この中間層は、第1及び第2流れ通路部分の少なくとも一方を構成するパターン化部分を含む。流体透過膜は、中間層の少なくとも1つの開口部に配置されることが好ましい。この複層構造は、更に、流体透過膜を横切る流れを誘導するように中間層と外側層との間の吸収層又は部分を含んでもよい。
【0015】
好ましい実施形態では、この装置の複層構造は、第1及び第2外側層、スペーサ層、及び中間層を含み、中間層は、第1外側層と第2外側層との間に配置され、スペーサ層は、第1外側層と中間層との間に配置され、複層構造に沿った第1流路部分を構成する。流体透過膜は、中間層の開口に配置されることが好ましい。この複層構造は、更に、流体透過膜を横切る流れを誘導するように中間層と外側層との間の吸収層又は部分を含んでもよい。
【0016】
本発明の複層装置では、第1(外側)層は、センサ構成要素を見せる透視部分を有してもよい。
【0017】
センサ構成要素は、第1及び第2層の間の流体透過膜内又は流体透過膜上に配置されることが好ましい。必要に応じて、センサ構成要素は、1つ又は複数の目標検体及び/又はプローブが存在している間(即ち、試料分析中)にこの流体透過膜内又は流体透過膜上に配置されてもよい。
【0018】
一実施形態では、検体の有無を検出するための装置が提供され、この装置は、流路と複層構造を構成する複数の層とを含む本体であって、第1層と第2層の間に形成された第1流れ通路部分と第2流れ通路部分によって画定された前記流路と、第1層と第2層との間に挟まれたパターン化層であって、チャンバ、第1流れ通路部分及び第2流れ通路部分を構成するパターン化層と、パターン化層によって構成されるチャンバ内に配置されたセンサ構成要素と、を有する。センサ構成要素は、チャンバ内に密封された基板上に形成又は付着されてもよい。あるいは、センサ構成要素は、第1層又は第2層の少なくとも一方の上に形成又は付着されてもよい。必要に応じて、センサ構成要素は、パターン化層によって形成されたチャンバ内の流体透過膜内又は流体透過膜上に配置される。
【0019】
一実施形態では、試料流路と、センサ構成要素を含むゾーンと、試料流路のセンサ構成要素の前にある1つ又は複数の別個のゾーン内に配置された試料調製用の1つ又は複数の試薬と、任意選択的に、センサ構成要素の前にある試料流路の別個のゾーン内に配置され、1つ又は複数の試料調製試薬と異なるプローブと、を有する装置が提供される。センサ構成要素、1つ又は複数の試薬、及び/又は任意選択のプローブは、流体透過膜上又は流体透過膜内に配置されてもよい。
【0020】
一実施形態では、試料調製を行い目標検体を分析するための装置が提供され、この装置は、試料流路と、試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置された試料調製用の1つ又は複数の試薬と、試料調製試薬の少なくとも1つの下流の試料流路内に配置されるプローブを含むゾーンと、比色センサ構成要素を含むゾーンと、を有し、比色センサが、ジアセチレン含有重合体と受容体とを含む重合組成物を有し、受容体が、重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成する。
【0021】
本発明の装置は、一般に第1流路部分内に配置される1つ又は複数のチャンバを含むことができる。そのようなチャンバは、中に配置される1つ又は複数の試料調製試薬及び/又は1つ又は複数のプローブ(間接検定用)を含むことができる。更に、流路及び/又は流路を画定する流れ通路(詳細には、第1流路及び/又は通路部分)は、蛇行している。これは、試験試料と試料調製試薬及び/又はプローブとの混合を促進することができる。
【0022】
一実施形態では、1つ又は複数の目標検体を含む疑いのある試験試料を提供する工程と、本明細書に記載されたような試験試料と接触する前にセンサ構成要素を有する装置を提供する工程と、任意選択的に、1つ又は複数の目標検体の間接検定に適した1つ又は複数のプローブを提供する工程と、センサ構成要素の下流で第1流路部分から第2流路部分までの試験試料の流れを誘導する工程と、目標検体が試験試料中に存在する場合に、試験試料をセンサ構成要素にさらして、1つ又は複数の目標検体及び/又は1つ又は複数のプローブをセンサ構成要素に結合してセンサ構成要素における検出可能な変化を引き起こす工程と、目標検体及び/又はプローブと結合した際にセンサ構成要素における検出可能な変化を識別する工程と、を含む方法が提供される。必要に応じて、第1流路部分の装置内に1つ又は複数のプローブを配置することができる。
【0023】
別の実施形態では、検体の有無のための試料を調製して分析する方法が提供され、この方法は、1つ又は複数の目標検体を含む疑いのある試験試料を提供する工程と、本明細書に記載されたように、センサ構成要素と1つ又は複数の試料調製試薬を有する装置を提供する工程と、センサ構成要素の下流で第1流路部分から第2流路部分までの試験試料の流れを誘導する工程と、第1流路部分における試験試料と試料調製試薬のうちの少なくとも1つとの間の反応に有効な条件を提供する工程と、検体及び/又はプローブをセンサ構成要素と結合して検出可能な変化を生成するのに有効な条件下で、試験試料をセンサ構成要素にさらす工程と、目標検体及び/又はプローブと結合した際にセンサ構成要素における検出可能な変化を識別する工程と、を含む。
【0024】
本発明の装置のうちのいずれかのセンサ構成要素は、一般的に、使用前に装置内で被覆されるか、付着されるか、他の方法で形成される。次に、任意選択のプローブを含む試験試料が、センサ構成要素と相互作用するように装置に導入されてもよい。しかしながら、代替として、本明細書で述べる装置のセンサ構成要素が、1つ又は複数の目標検体及び/又はプローブがある間に(試料分析中に)流体透過膜内又は流体透過膜上に付着されてもよい。
【0025】
例えば、一実施形態では、検体の有無を検出する方法が提供され、この方法は、流路と複層構造を構成する複数の層とを含む本体と、流路が、第1層及び第2層の間に形成された第1流れ通路部分と第2流れ通路部分とによって画定された流路と、第1層及び第2層との間に配置された流体透過膜であって、第2流れ通路部分から第1流れ通路部分を分離する流体透過膜とを有する装置を提供する工程と、1つ又は複数の目標検体を含む疑いのある試験試料を提供する工程と、任意選択的に、1つ又は複数の目標検体の間接検定に適した1つ又は複数のプローブを提供する工程と、センサ構成要素を提供する工程と、試験試料、任意選択のプローブ及びセンサ構成要素を組み合わせて混合物を形成する工程と、流体透過膜を横切って第1流れ通路部分から第2流れ通路部分までの混合物の流れを誘導して、センサ構成要素と結合された目標検体及び/又はプローブとを収集する工程と、目標検体及び/又はプローブと結合する際にセンサ構成要素における検出可能な変化を識別する工程と、を含む。
【0026】
別の実施形態では、検体の有無を検出する方法が提供され、この方法は、流路と複層構造を構成する複数の層とを含む含む本体であって、第1層及び第2層との間に形成された第1流れ通路部分と第2流れ通路部分とによって画定された前記流路と、第1層及び第2層との間に挟まれたパターン化層であって、チャンバ、第1流れ通路部分及び第2流れ通路部分を構成するパターン化層と、パターン化層によって構成されるチャンバ内に配置された流体透過膜とを有する装置を提供する工程と、1つ又は複数の目標検体を含む疑いのある試験試料を提供する工程と、任意選択的に、1つ又は複数の目標検体の間接検定に適した1つ又は複数のプローブを提供する工程と、センサ構成要素を提供する工程と、試験試料、任意選択のプローブ及びセンサ構成要素を組み合わせて混合物を形成する工程と、チャンバ内で流体透過膜を横切って第1流れ通路部分から第2流れ通路部分までの混合物の流れを誘導して、センサ構成要素と結合された目標検体及び/又はプローブを収集する工程と、目標検体及び/又はプローブと結合する際にセンサ構成要素における検出可能な変化を識別する工程と、を含む。
【0027】
定義
用語「検体」及び「抗原」は互換可能に使用され、小分子、病原及び非病原組織、毒素、膜受容体及びフラグメント、揮発性有機化合物、酵素及び酵素基質、抗体、抗原、タンパク質、ペプチド、核酸、並びにペプチド核酸を指す。特定の好ましい実施形態では、これらは、目的とする微生物(microorganism)(すなわち、微生物(microbe))に特徴的である、様々な分子(例えば、プロテインA)若しくは分子のエピトープ(例えば、プロテインAの異なる結合部位)、又は微生物の全細胞を指す。これらには、細胞壁の構成要素(プロテインAなどの細胞壁タンパク質、黄色ブドウ球菌に見られる細胞壁関連フィブリノーゲン受容体であるクランピングファクター)、細胞外構成要素(例えば、莢膜多糖及び細胞壁炭水化物)、細胞内構成要素(例えば、原型質膜タンパク質)などが挙げられる。
【0028】
用語「センサ構成要素」は、直接検定での目標検体又は目標検体の間接検定用に設計されたプローブと結合した際に検出可能な変化を示すことができる材料を指す。一般的に、センサ構成要素は、重合組成物に組み込まれた受容体を含む。この受容体は、一般的に、目標検体及び/又はプローブと結合するように設計される。
【0029】
用語「有する(含む)」及びこの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に現れる場合、制限する意味を有さない。
【0030】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下において、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0031】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。
【0032】
用語「及び/又は」は、列記されている要素の1つ若しくはすべて、又は列記されている要素の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0033】
本発明の上記の「課題を解決するための手段」は、本発明が開示するそれぞれの実施形態又は全ての実施例を説明することを意図したものではない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本明細書にわたっていくつかの箇所で、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例は様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの事例において、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ役目を果たすのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
開示される主題は、添付図面を参照して更に説明され、同様の構造又はシステム要素は種々の図にわたって同様の参照番号によって示される。
【図1】試験チャンバ内の溶液中のセンサの一実施形態。
【図2】基板上のセンサ層又は部分の一実施形態。
【図3】パターン化センサ層又は部分を含む図2と類似のセンサ構成要素。
【図4】流路及びセンサ構成要素を含む装置の概略図。
【図5】複数の流路とセンサ構成要素とを含む装置の概略図。
【図6】装置の流路に沿って流れを誘導するように注射器又は圧力源を包含する装置の模式図。
【図7】装置の流路に沿って流れを誘導するように真空源を包含する装置の模式図。
【図8】第1流れ通路部分と第2流れ通路部分との間にセンサ構成要素を含む流路を構成する多層構造を含む装置の分解図。
【図9】装置の流路に沿って複数のチャンバを含む装置の概略図。
【図10】装置の第1流路部分と第2流路部分との間にセンサ構成要素を含む流路を構成する流体透過膜(即ち、多孔質膜)を含む横方向流れ装置の実施形態を概略的に示す。
【図11】装置の第1流路部分と第2流路部分との間にセンサ構成要素を含む流路を構成する流体透過膜(即ち、多孔質膜)を含む横方向流れ装置の実施形態を概略的に示す。
【図12】装置の流体透過膜上にセンサ構成要素を含む装置の実施形態を概略的に示す。
【図13】バイアル内に形成された複数の流路部分を分離する流体透過膜上のセンサ構成要素を含む装置を概略的に実施形態。
【図14】図13に示した実施形態のセンサ構成要素又は部分を概略的に示す。
【図15】複層構造を有しかつ流体透過膜上にセンサ構成要素を含む装置の一実施形態を概略的に示す。
【図16】図15に例示される型の装置のための複層構造体(すなわち、多層構造体)を例示する分解組立図。
【0035】
上記の図面は、開示される主題の1以上の実施形態を記載するが、他の実施形態もまた開示の中で述べられるように企図される。すべての場合において、本開示は、制限条件としてではなく、代表的な例として開示される主題を提供する。本開示の原則の範囲及び趣旨内に入る、多数の他の変更及び実施形態が当業者によって考案され得ることが、理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書に示した実施形態は、試験試料中の検体を検出する検出装置及び方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、試験試料を検定のために調製する装置及び方法を対象とする。
【0037】
本明細書に示した装置の実施形態は、試験試料中の検体との反応又は結合に応じて検出可能な変化(例えば、色変化)を受けるセンサ構成要素を含む。装置は、検体の存在を検出するだけでなく、好ましくはそのような検体の識別を含む方法に使用することができ、その方法により、例えば、検体の特徴的な微生物の識別が可能になる。特定の実施形態では、試料の検定は、検体の定量化を含む。
【0038】
センサ構成要素は、一般に、重合組成物に組み込まれた受容体を含む。受容体は、一般に、目標検体及び/又は目標検体の間接検定用に設計されたプローブと結合するように設計される。結合すると、重合組成物は、変換又は立体配座を受けて、試験試料中の検体の存在を示す検出可能な変化を生成する。検出可能な変化には、色変化、蛍光変化、又は検体の存在を示す他の検出可能な変化のうちの1つがある。他の検出可能な変化には、例えば、電圧装置や電流装置などの検出装置(図示せず)によって検出されるコンダクタンス又は抵抗の変化がある。好ましい変化は、色変化である。
【0039】
特に好ましいセンサ構成要素は、ジアセチレン含有重合体と受容体を含む重合組成物を含む比色センサであり、受容体は、後で更に詳しく説明するように、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成するように重合組成物に組み込まれる。適した比色センサは、2007年11月20日に出願された本出願の譲受人の同時係属出願番号60/989,298号に記載されている。
【0040】
図示された例では、検体は、試験試料中の対象となる病原体、有機体、毒素又は他の検体の存在を示すために直接形態で検出されてもよく間接形態で検出されてもよい。所定の目標検体を検出する検定では、センサは、後で更に詳しく説明されるように、溶液中で機能してもよく基板上に被覆されてもよい。
【0041】
簡単に言うと、溶液中で、センサは、直接検定で使用されてもよく、間接(拮抗)検定で使用されてもよい。直接形態では、検体は、検出可能な変化、例えば、色変化を生成するセンサに直接結合されてもよい。間接形態では、例えば、プローブが、最初に検体と混合され、所定の培養期間、相互作用するようにされる。一般に、この段階の完了後、センサの溶液が検体プローブ混合物と結合される。次に、残りの非結合プローブが、色変化などの検出可能な変化を生成する比色センサと結合することができる。非結合プローブの濃度は、最初に存在した検体の濃度に反比例するので、引き起こされた検出可能な変化は、検体の濃度に反比例し、したがってこのモードは間接的なものである。例えば、溶液中で実行された検定から得られる検出可能な変化が色変化の場合は、視覚的に観察することができるが、感度を高めるために、適した流体システムを使用して、比色センサ材料を固相上に集め、それにより色変化を増幅することができる。
【0042】
センサが基板上で被覆された場合、類似の直接測定と間接検定も可能である。センサ材料を溶液中に入れるのではないこれらの測定では、被覆された比色センサが、適した流体システムを使用することによって溶液相にさらされる。
【0043】
好ましい比色センサ ポリジアセチレン集合体
本発明の装置及び方法に使用するに適した好ましい比色センサは、受容体とジアセチレン含有高分子物質(ポリジアセチレン集合体)を含む重合組成物を含み、受容体は、重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を示すことができるトランスデューサを構成する。そのような比色センサは、分子識別事象を比色検出するための基礎として働くことができる。
【0044】
比色センサに使用の適したジアセチレン化合物は、溶液中で自己集合して、例えば紫外線又は可視光範囲の電磁スペクトルの電磁放射などの任意の化学線を使用して重合することができる規則的な集合体を形成する。ジアセチレン化合物の重合の結果、立体配座と外部因子への暴露とにより、570ナノメートル(nm)未満、570nm〜600nm、又は600nmを超える可視スペクトルの色を有する重合反応生成物が得られる。一般的に、本明細書に開示されたジアセチレン化合物の重合によって、ポリジアセチレン主鎖を含む準安定青色相高分子網が得られる。このような準安定青色相高分子網は、例えば、可能な場合は、熱、溶剤又は対イオンの変化、物理応力などの外部因子に暴露されると青みがかった色から赤みがかったオレンジ色に色変化する。
【0045】
本明細書に開示されたジアセチレン化合物とその重合生成物は、物理的応力にさらされたときに可視の色変化を示す能力により、検体を検出する検出装置を調整する候補である。開示されたジアセチレン化合物から構成されたポリジアセチレン集合体は、バイオセンシング用途でのトランスデューサとして働くことができる。
【0046】
所定の感覚検出用途のジアセチレン分子の構造要件は、一般に、用途に固有である。更なる分子修飾のための全体的な鎖の長さ、溶解度、極性、結晶性及び官能基の存在などの特徴は全て、ジアセチレン分子が有用な検出材料として働く能力を協力的に決定する。
【0047】
例えば、水媒体中の検体の生物検出の場合、ジアセチレン化合物の構造は、水中に安定分散の形成、有色材料への効率的な重合、検体に結合するのに適した受容体化学物質の組み込み、その結合相互作用の色変化による変換を可能にしなければならない。これらの能力は、ジアセチレン化合物の構造的特徴に依存する。
【0048】
本発明のジアセチレン化合物は、前述の能力を有し、所望の色変化を受けるポリジアセチレン集合体に容易かつ効率的に重合することができる。更に、ジアセチレン化合物は、安定した重合可能な溶液を形成しながら、後述する受容体などの非重合可能材料の過剰な組み込みを可能にする。
【0049】
開示されたジアセチレン化合物は、高スループットの合成方法を含む迅速で多収量の方式で合成することができる。例えば異種原子などのジアセチレン化合物の主鎖に官能性があるため、所定の感覚検出用途の要件を満たすように容易な構造的同化が可能になる。ジアセチレン化合物は、一般に、ジアセチレンを適した溶剤(例えば、水など)に加え、混合物を超音波処理し、次に溶液に通常は波長254nmの紫外線を照射することにより、所望のポリジアセチレン主鎖を含む網状構造に重合することができる。重合する際、溶液は、青みがかった紫に色変化を受ける。
【0050】
本発明に有用なジアセチレンは、一般的に、カルボキシル基、第一及び第三アミン基、カルボキシルのメチル・エステルなどの少なくとも1つの官能基を有する平均炭素鎖長8を含む。適したジアセチレンには、米国特許第5,491,097号(Ribiら)、PCT公開番号WO 02/00920号、米国特許第6,306,598号、及びPCT公開番号WO 01/71317号に記載されたものがある。
【0051】
好ましい実施形態では、ポリジアセチレン集合体は、次の式の重合化合物である。
【0052】
【化1】

【0053】
ここで、Rは、
【0054】
【化2】

【0055】
は次式のものであり、
【0056】
【化3】

【0057】
、R、R13、R21、R24、R31、及びR33は、単独でアルキルであり、R、R、R、R14、R16、R19、R20、R22、R25、及びR32は、単独でアルキレンであり、R、R15、R18,及びR26は、単独でアルキレン、アルケニレン、又はアリーレンであり、Rは、アルキレン又は−NR34−であり、R10、R12、R27、及びR29は、単独でアルキレン又はアルキレン−アリーレンであり、R11及びR28は、単独でアルキニルであり、R17はエステル活性化基であり、R23はアリーレンであり、R30アルキレン又は−NR36−であり、R34及びR36は、単独でH又はC〜Cアルキルであり、pは1〜5であり、nは1〜20であり、ここでRとRは同じではない。例示的な化合物は、米国特許第6,963,007号、及び米国特許出願公報第04−0126897−A1号及び同第04−0132217−A1号に更に詳しく説明されている。好ましい実施形態では、Rは、次の式で表される。
【0058】
【化4】

【0059】
式中、Rは、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン又はノナメチレンであり、Rは、エチレン、トリメチレン、エテニレン又はフェニレン基であり、Rは、次の式で表される。
【0060】
【化5】

【0061】
式中、R20は、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン又はノナメチレンであり、R21は、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシルであり、pは1である。
【0062】
本発明には、構造異性体及び幾何異性体などの異性体、塩、溶媒化合物、多形体などを含む本明細書に記載の化合物が含まれる。
【0063】
化学式XXIIIのジアセチレンは、スキーム1で示されるように調製することができ、nは一般に1〜4であり、mは一般に10〜14である。
【0064】
【化6】

【0065】
化学式XXIIIの化合物は、例えばDMFなどの適した溶剤中の適した酸化剤との反応により化学式XXIIの化合物から酸化により調製することができる。適した酸化剤には、例えば、ジョーンズ試薬と重クロム酸ピリジウムがある。前述の反応は、一般に、1時間〜48時間、一般に8時間の時間期間、0℃〜40℃、一般に0℃〜25℃の温度で実行される。
【0066】
化学式XXIIの化合物は、適した酸塩化物との反応によって化学式XXIの化合物から調製することができる。適した酸塩化物には、例えば、塩化ラウロイル、1−塩化ドデカノイル、1−塩化テトラデカノイル、1−塩化へクタデカノイル及び1−酸化オクタデカノイルなどの所望の生成物を提供する任意の酸塩化物がある。適した溶剤には、例えば、エーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びクロロホルムがある。前述の反応は、一般的に、トリアルキルアミンやピリジン塩基などの塩基がある状態で、1時間〜24時間、一般に3時間の時間期間、0℃〜40℃、一般に0℃〜25℃の温度で行われる。
【0067】
化学式XXIの化合物は、市販されているものでもよく、スキーム1で示され、Abrams et al.,Org.Synth.,66,127〜31(1988)とBrandsma,Preparative Acetylenic Chemistry,(Elsevier Pub.Co.,New York,1971)に開示されているような化合物XIX及びXXにより化学式XVIIIの化合物から調製されてもよい。
【0068】
本明細書に開示されているようなジアセチレン化合物は、トルエンなどの適した溶剤がある状態で、無水コハク酸、無水グルタール酸、無水フタル酸などの無水物と化学式XXIIの化合物を反応させることによって調製されてもよい。前述の反応は、一般的に、1時間〜24時間、一般に15時間の時間期間、50℃〜125℃、一般に100℃〜125℃の温度で実行される。
【0069】
ポリジアセチレン集合体を有するセンサは、従来のLB(ラングミュア・ブロジェット)プロセスによって薄膜を形成し、その後、それを適した支持体上に転写することなく得られる。あるいは、ポリジアセチレン集合体は、A.Ulman,An Introduction to Ultrathin Organic Films,Academic Press,New York,pp.101〜219(1991)に記載されたような既知のLBプロセスを使用して基板上に形成されてもよい。
【0070】
好ましい比色センサ 受容体
比色センサは、溶液中のポリジアセチレン集合体内に組み込まれた受容体で構成されたトランスデューサを含む。センサは、重合の前又は後にジアセチレン単量体に受容体を加えることにより調製することができる。受容体は、物理的混合、共有結合、及び非共有相互作用(静電相互作用、極性相互作用など)を含む様々な手段によってポリジアセチレン集合体を機能化させることができる。
【0071】
重合時又は重合後に、受容体は、検体又はプローブと受容体の相互作用により、共役エンイン重合体主鎖の摂動による可視の色変化が生じるように高分子網に有効に組み込まれる。
【0072】
ポリジアセチレン集合体を受容体に組み込むと、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体との相互作用又は結合に応じて変形することができる構造形状が得られる。特に有用な受容体は、v/(a)(Israelachvili et al.,Q.Rev.Biophys.,13,121(1980))として定義されたパッキング・パラメータを特徴とするロッド形分子構造を一般に有する両親媒性分子の集合体であり、vは、分子の炭化水素成分(例えば、リン脂質又は脂肪酸の炭化水素鎖)が占める体積、aは、極性頭部基(例えば、リン脂質のリン酸エステル頭部基又は脂肪酸のカルボン酸頭部基)が占める実効面積、lは、いわゆるクリティカル長であり、一般にその環境の温度での分子の長さを示す。受容体の好ましい環状分子は、1/3〜1のパッキング・パラメータv/(a)値を有するものである。
【0073】
有用な受容体の例には、脂質、表面膜タンパク白、酵素、レクチン、抗体、抗体フラグメント、組換タンパク質、ペプチド、ペプチド・フラグメントなどと、合成タンパク質、核酸、核酸タンパク質と、c−配糖体と、炭水化物と、ガングリオシードと、キレート試薬があるが、これらに限定されない。ほとんどの実施形態では、受容体は、リン脂質である。適したリン脂質には、ホスホコリン(例えば、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)と、ホスホエタノールアミンと、ホスファチジルエタノールアミンと、Silver,The Physical Chemistry of Membranes,Chapter 1,pp 1〜24(1985)に記載されたようなホスファチジルグリセロールがある。
【0074】
一実施形態では、受容体は、ポリジアセチレン中に物理的に混合され分散されて、構造体自体が対象のプローブ及び/又は検体に結合親和性を有する構造体を形成する。構造体には、リポソーム、ミセル及びラメラがあるこれらに限定されない。好ましい実施形態では、構造体は、リポソームである。理論によって拘束するものではないが、リン脂質は細胞膜とよく似ており、ポリジアセチレン集合体が、リポソームに生じている物理化学的変化を可視の色変化に変換することができると考えられる。調製されたようなリポソームは、明確な形態論、サイズ分布、及び明確な表面電位などの他の物理特性を有する。
【0075】
材料の選択と所望の比色応答に基づいて、リポソーム内のジアセチレン化合物に対する受容体の比率を変更することができる。ほとんどの実施形態では、ジアセチレン化合物に対するリン脂質の比率は、少なくとも25:75、より好ましくは少なくとも40:60である。好ましい実施形態では、リポソームは、6:4の比率で混合されたジアセチレン化合物:H(O)C(CHC(O)O(CHC≡C−C≡C(CHO(O)C(CH12CH[コハク酸モノ−(12−テトラデカノイルオキシ−ドデカ−5,7−ジイニル)エステル]と両性イオン・リン脂質1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン[DMPC]で構成される。
【0076】
リポソームは、調製緩衝液と呼ばれる緩衝液中に懸濁された材料混合物のプローブ超音波処理によって調製されてもよい。例えば、調製緩衝液は、低イオン強度(5mM)のN−2−ヒドロキシエチル・ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸[HEPES]緩衝液(pH=7.2)でよい。別の有用な調製緩衝液は、低イオン強度(2mM)のトリス・ヒドロキシメチルアミノエタン[TRIS]緩衝液(pH=8.5)である。
【0077】
好ましい比色センサ プローブ
本発明の比色センサは、1つ又は複数のプローブが、リン脂質などの受容体と重合ジアセチレンの両方を含むリポソームと相互作用できる方法を開発するために設計されることが好ましい。リポソームは、Oellerich et al.,J.Phys.Chem B,108,3871〜3878(2004)とZuckermann et al.,Biophysi.J.,81,2458〜2472(2001)とに記載されているように、タンパク質などのプローブと相互作用する生体膜のモデルと考えることができる。
【0078】
タンパク質のリポソームとの相互作用を、脂質(リポソーム相内で区分された)とタンパク濃度の比の観点から説明すると好都合である。脂質とタンパク質濃度の比が高いとき、タンパク質は、主に静電相互作用によりリポソームの表面に吸着する。タンパク質濃度が高くなり、脂質とタンパク質の比が低くなるとき、タンパク質は、リポソームを完全に飽和させるか包囲するまでリポソームの表面に静電気的に吸着したままになる。このプロセスが進むとき、リポソームとタンパク質は両方とも、リポソーム表面を覆っているタンパク質の疎水性部分が、リポソーム構造体の疎水性内面と相互作用し始めることができるまで、形態学的変化と構造的変化を受ける可能性がある。この時点で、タンパク質は、疎水的結合され、リポソーム構造体に浸透することができ、その結果、リポソーム構造体が実質的に形態論的に変化し、リポソームのサイズと浸透性が著しく変化する。最終的に、吸着したタンパク質層により、リポソームの凝集によって懸濁安定性が低下し、最終的に脂質相が沈殿する。
【0079】
このような静電相互作用の存在は、存在するタンパク質と脂質のタイプだけでなく、それらの環境にも大きく依存する。理論によって束縛されることを望まないが、所定の緩衝組成物のイオン強度が、リポソームと帯電タンパク質両方の表面電位を確立し、したがって静電気的に強く相互作用する能力を確立するのに役立つと思われる。
【0080】
例えば、中性pHの低イオン強度(2〜5mm)の緩衝組成物(例えば、HEPES、TRIS)では、帯電プローブが、ポリジアセチレン・リポソームに静電気的に吸着することができる。初期の吸着自体は、リポソームのサイズと形態の実質的な変化を引き起こす可能性がなく、したがって最初に小さいか又は無視できる比色応答を引き起こす可能性はないが、プローブが、脂質に対して過剰に存在する場合、プローブは、最終的に、リポソームに疎水的に結合され、その内部膜構造に浸透する可能性が高い。この時点で、リポソーム構造にプローブを組み込むことにより与えられる大きな機械的応力は、ポリジアセチレンの立体配座を大幅に変化させ、その結果、付随する比色応答が容易に観察できるようになることが期待される。
【0081】
あるいは、プローブが中性pHで負に帯電された場合は、ポリジアセチレン・リポソームと静電気的に相互作用する能力が著しく妨げられ、プローブと受容体含有ポリジアセチレン・リポソーム間の疎水的相互作用により比色応答を生成する能力が損なわれる場合がある。この場合、中性pHの高イオン強度(100ミリモル(mM)を超える)緩衝液(例えば、リン酸緩衝塩類溶液PBS、イミダゾール緩衝液)を使用することにより、(リポソームの表面電荷を遮ることによって)リポソームの表面電位を低下させる手段を提供し、リポソームと非帯電プローブの直接の疎水的相互作用が促進され、その結果、そのタンパク質がリポソーム構造体に組み込まれる。したがって、この場合、緩衝組成物は、実質的な比色応答を可能にするのに役立ち、これは、他の方法では起こらない。イオン強度が高い緩衝組成物は、リポソームの表面電位に影響があるため、プローブのない状態で強い比色応答を引き起こす可能性があるが、プローブが存在するときは、タンパク質リポソームの疎水的相互作用によって、比色応答が大幅に強化されることを確認した。これにより、所定の検出限界での検出時間を大幅に短縮することができ、あるいは逆に、検定時間が一定の場合は、検出限界を大幅に低くできるという、極めて有用な実用的な結果が得られる。
【0082】
この現象に基づいて、特に所定の目標検体及びポリジアセチレン・リポソームの両方と相互作用して比色応答を引き起こす能力に基づいてプローブを選択することができる。そのような直接検定の場合、ポリジアセチレン含有リポソームの比色応答は、プローブ又はプローブ検体複合体の濃度に正比例する。
【0083】
特定用途のプローブの選択は、プローブのサイズ、形状、帯電、分子に対する疎水性及び親和性にある程度依存する。プローブは、環境のpHにより、正に帯電されてもよく、負に帯電されてもよく、両性イオンでもよい。プローブの等電点より低いpHでは、プローブは、正に帯電され、この点より上では、負に帯電される。本明細書で使用されるとき、用語「等電点」は、プローブの正味電荷がゼロのpHを指す。
【0084】
ポリジアセチレン/リン脂質システムによる生化学検定を設計するために、受容体(又は、プローブ)の等電点を知ることは、緩衝液の組み合わせの選択に影響を及ぼす。リポソームの形態を変化させるために、等電点が低いプローブほどイオン強度の高い緩衝液を必要とする場合がある。色変化を生成するために、HEPES緩衝液のような低イオン強度緩衝液のような等電点が高いタンパク質を使用することができる。
【0085】
プローブは、目標検体と受容体の両方に親和性を有する任意の分子でよい。本発明で使用することが可能なプローブは、アラメシシン、マゲイニン、グラミシジン、硫酸ポリミクシンB及びメリチンなどのペプチドと、フィブリノーゲンと、ストレプトアビジンと、抗体と、レクチンと、これらの組み合わせと、を分離する膜を含む。例えば、米国特許出願公報第2004/132217号を参照されたい。硫酸ポリミクシンBなどのポリミクシンは、特にグラム陽性菌を検出するのに役立つ。
【0086】
抗体と抗体フラグメントもプローブとして使用することができる。これは、特定のタンパク質と選択的に反応することができる抗体分子のタンパク質分解で切断された部分又は組み換えで調製された部分のセグメントを含む。そのようなタンパク質分解及び/又は組み換えフラグメントの非限定的な例には、F(ab’)、F(ab)、Fv、並びにペプチド・リンカによって結合されたVL及び/又はVHドメインを含むを単一鎖抗体(scFv)がある。このscFvは、2つ以上の結合部位を有する抗体を形成するために共有結合又は非共有結合により結合することができる。このscFvは、2つ以上の結合部位を有する抗体を形成するために共有結合又は非共有結合により結合することができる。抗体は、当業者に既知の任意の検出可能な部分で標識することができる。一部の態様では、測定したい検体に結合する抗体(一次抗体)は、標識されないが、その代わり、標識された二次抗体又は一次抗体に特異的に結合する他の試薬の結合により間接的に検出される。
【0087】
検出方法
本発明の方法では、試験試料は、一般に、試料収集装置から又は試料収集装置によって収集又は取得される。特定の実施形態では、材料の試料は、一般に、例えば水、生理食塩水、pH緩衝液、又は試料取得装置から検体又は試料を溶出する他の溶液若しくは溶液の組み合わせなどの緩衝液を使用して、試料収集装置から溶出される(又は「解放」又は「洗浄」される)。
【0088】
本発明の装置及び方法と共に使用することができる対象の試料(例えば、尿、傷浸出液)、対象の目標及び目標検体(例えば、対象の微生物、特にバクテリアの特徴をもつ1つ又は複数の検体)、試料収集手順、試料調製法、試料調製試薬の例は、2007年11月20日に出願された本出願の譲受人の同時係属出願番号60/989,298号に記載されている。
【0089】
本発明による1つ又は複数の検体の検定方法には、直接的な方法と間接的な方法がある。好ましい方法は、間接的な検出を伴う。
【0090】
一実施形態では、前述の比色センサを使用することにより、比色センサの色変化を検出するために直接吸収測定又は肉眼による目視観測が可能になる。場合により、プローブは、センサと直接相互作用することができる検体との複合体を構成し、比色応答が検体濃度に正比例する直接検定が行われる。
【0091】
代替の実施形態では、本発明は、ポリジアセチレン集合体に組み込まれた受容体と検体の両方と結合する親和性を有するプローブを選択することにより検体の間接的検出方法を提供する。選択されたプローブは、検体との競合的親和性を実証する。対象の検体が存在するとき、プローブは、ポリジアセチレン主鎖上の受容体以外の検体と結合してその結果、色変化が検体濃度に反比例する。検体が存在しない場合、プローブは、ポリジアセチレン主鎖上に組み込まれた受容体に結合する。プローブは、検体がセンサと接触した後でセンサと接触してもよく、混合物がセンサと接触する前に検体と混合されてもよい。
【0092】
間接検出検定の一実施形態では、プローブと目標検体は、緩衝液中で相互作用することができ、これはその後、センサと接触される。緩衝液中の自由プローブの濃度は、存在する目標検体の量に依存し、検体濃度が高いほどプローブの残りの濃度が低くなる。センサの比色応答が、利用可能な自由プローブの量に比例するので、比色応答は、検体濃度に反比例する。
【0093】
間接検定の特に好ましい実施形態では、センサ構成要素は、グラム陰性菌又はグラム陽性菌を検出するために、硫酸ポリミクシンBプローブや他の試薬と結合するように構成されたポリジアセチレン・リポソームを含む。硫酸ポリミクシンBプローブは、静かな攪拌した状態で試験試料と混合されて細菌と結合される。ポリジアセチレン・リポソームは、試験試料の細菌負荷を間接的に検出するために、非結合ポリミクシンを検出してきた。ポリジアセチレン・センサ構成要素は、色変化が試験試料中の細菌の濃度に反比例する非結合ポリミクシンとポリジアセチレン・リポソーム間で結合する際に色変化を受ける。
【0094】
検出検定は、一般に、検体とトランスデューサと間の相互作用を仲介する緩衝組成物を含む。緩衝組成物は、他の組成物がある状態でpHの変化に耐えることができ、プロトン受容体とプロトン供与体の比率が1に近い共役酸塩基対から成る系を提供する。更に、本発明の緩衝組成物は、検体と比色センサ構成要素間の物理的又は化学的相互作用を仲介する。例えば、緩衝組成物を適した選択することにより、試料中に存在する可能性のある他の潜在的妨害タンパク質の相互作用を抑制しながら、ジアセチレン・リポソームとタンパク質プローブの相互作用を促進することができる。特に有効な緩衝組成物には、HEPES緩衝液、イミダゾール緩衝液及びPBS緩衝液がある。適した緩衝組成物は、2007年11月20日に出願された本出願人の譲受人の同時係属出願番号60/989,298号に記載されている。
【0095】
一実施形態では、本発明の方法は、緩衝組成物中に検体を有する試験試料を提供する工程と、緩衝組成物中にプローブを提供する工程と、試験試料と検体に受容体より大きい結合親和力を示すプローブとを組み合わせる工程と、バイオセンサによって変化を検出する工程と、を含む。
【0096】
幾つかの検定では、プローブは、検体目標を粉砕するか他の方法で溶解させることによって現場で生成されてもよい。また、プローブは、有機体の細胞壁上に存在し、センサと直接相互作用するために利用可能なその有機体に特有のタンパク質、タンパク質フラグメント又は他の検体とみなされてもよい。プローブと検体間の相互作用は、例えば、リポソームとの相互作用を除いて作動する。あるいは、プローブは、検体と相互作用して複合体を形成し、その結果、複合体がリポソームと相互作用してもよい。プローブは、溶液中のセンサに接触するか、又は基材上で被覆され得る。
【0097】
間接検出法を使用することにより、使用されるプローブの濃度に基づいて、低レベルの検出を実現する高感度が可能になる。間接検出法を使用することにより、選択されるプローブの濃度に基づいて、低レベルの検出を実現する高感度が可能になる。プローブを使用する間接検出方法は、プローブのタイプと濃度を所定の用途での所望の感度に合わせたシステム設計を可能にする。これにより、トランスデューサを対象の複数の検体と共通にすることができる。例えば、単一トランスデューサ(ポリジアセチレンと受容体の組み合わせ)が、プローブの検体との親和性に応じてプローブのトランスデューサとの接触を変化させることによって複数の検体を検出する働きをすることができる。
【0098】
特定の実施形態では、比色センサは、単純なバイアル・システムの溶液又は懸濁液中に提供されてもよく、検体は、対象の検体に固有のトランスデューサと共に溶液を含むバイアルに直接加えられてもよい。あるいは、システムは、複数のバイアルを一式で含んでもよく、各バイアルは、様々な検体に特定の受容体が混和されたポリジアセチレン集合体を含むトランスデューサを収容する。
【0099】
検体をポリジアセチレン・トランスデューサに直接添加できない用途では、2つの部分で構成されたバイアル・システムを使用することができる。バイアルの1つの隔室は、ポリジアセチレン集合体から構成されたトランスデューサを収容する第2隔室から物理的に分離されて検体の試料調製のための試薬を収容することができる。試料調製が完了した後で、隔室を分離する物理障壁が、検出のために検体がトランスデューサと混合できるように除去される。
【0100】
あるいは、一式が、二次元基板上に被覆された比色センサと接触する前に試薬を貯蔵し検体を混合するためのバイアルを含んでもよい。一実施形態では、一式は、基板上に被覆された本発明のトランスデューサを収容するキャップ・システムと共に、試薬貯蔵と検体調製のためのバイアルを有してよい。
【0101】
次に、センサの溶液又は懸濁液は、基板上に点在させ液体キャリア(例えば、水)を蒸発させることによって、固体基板上に被覆されてもよい。適した基板には、露出し自己集合単分子層(SAM)で改質されてその表面エネルギーが系統的に変更された原子的に平坦なシリコン(111)ウェハ上の蒸着金、原子的に平坦なシリコン(111)ウェハ、又はフロート・ガラスなどの極めて平坦な基板、又は紙基板、高分子インク受容被覆、構造化重合体薄膜、微孔フィルム、及び膜材料を含む表面が極めて粗い微細構成を有する基板がある。
【0102】
あるいは、センサの溶液又は懸濁液を、適した孔サイズの膜を介して押し出し、ポリジアセチレン集合体を取り込み、その結果、被覆膜が得られ、この被覆膜は、後で乾燥させることができる。適した膜は、一般に、ポリカーボネート、ナイロン、PTFE、ポリエチレンなどのような材料を含む200nm以下の孔サイズを有するものである。
【0103】
これらの基板は、ジアセチレン集合体の重合懸濁液で被覆されてもよく、あるいは、懸濁液が、重合されていない形で被覆され、その後で被覆状態で重合されてもよい。センサの被覆重量は、一般に、センサの感度に影響を及ぼす。理想的には、被覆重量は、検体と結合して適した時間期間内に検出可能な変化を受けるように設計されなければならない。また、被覆重量は、試験試料が例えばセンサ構成要素に一様に露出するように、基板全体にわたって均一であることが好ましい。
【0104】
ポリジアセチレン指標からの比色応答は、色相角(h°)を測定することにより特徴づけられる。h°の値は、0°〜360°の範囲であり、本質的に所定の色のRGB(赤、緑、青)値を示す。純粋な赤は0°のh°値に対応し、純粋な緑は120°のh°値に対応し、純粋な青は240°のh°値に対応する。カラーサークルは連続的であり、したがって、360°〜0°の間に不連続性はない(両方の値は、純粋な赤に対応する)。平均では、好ましいポリジアセチレン標識のダイナミック・レンジは、約260°(青相)〜約360°(赤相)の色相角間隔をカバーする。h°値は、市販の分光光度計(Wilkens−anderson Co.,Chicago,ILから入手可能なAvantes AvaSpec−2048−SPU2−SD256)を使用した色の直接測定によって決定された。
【0105】
例えばテープやラベルの形態を含む様々な形態の比色センサを使用することができる。例えば、米国特許出願公報第2004/132217号を参照されたい。
【0106】
特定の実施形態では、本発明の比色センサは、細菌の特徴を示す検体や対象の他の検体の存在を多面的に決定するために他の既知の診断方法と対にされてもよい。
【0107】
装置設計
比色センサは、溶液中で機能することもでき基板上に被覆されてもよい。本明細書に示した装置では、センサを装置内に含めることができることが好ましい。例えば、センサ構成要素は、試料流路内の膜上に配置されてもよい。代替又は追加として、本明細書に記載された装置内に、2007年11月20日に出願された本出願の譲受人の同時係属出願番号60/989,298号に示されたような検出(例えば、プローブ)に使用される様々な試料調製試薬や他の試薬が配置されてもよい。
【0108】
本発明の一実施形態では、本明細書で述べるような様々な試薬は、固体の乾燥形態で配置されてもよく半固体形態で配置されてもよい。このような試薬は、真空乾燥などの様々な技術、並びに対流式オーブン及び凍結乾燥などの装置を使用して乾燥させることができる。試薬を乾燥させるために、乾燥希釈剤を使用することができる。例示的な乾燥希釈剤には、例えば、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)、共役の二糖類(例えば、トレハロース、蔗糖)と多糖類(例えば、グリセリン)、及び防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム)がある。
【0109】
内部に試薬(特に、内部で固体又は半固体の形態である乾燥試薬)を有する装置の使用は、より大きな効率、より少ない試料汚染、輸送を介してのより少ない試料損失、良好な安定性、及びより長い貯蔵寿命を提供することができる。
【0110】
例えば、装置の一部分において、表面が、ポリミクシン含有溶液で被覆され、任意選択的に乾燥されてもよく、また装置の下流部分において、表面が、比色センサで被覆され、任意選択的に乾燥されてもよい。試験試料が、装置内を流路に沿って流れるので、試験試料は、最初にプローブと接触して試験試料とプローブの混合物を形成し、この混合物は、更にその流路に沿って流れて比色センサと接触することになる。このようにして、プローブは、検体を含む試験試料と相互作用した後で比色センサと接触する。
【0111】
例示的な実施形態の以下の説明は、装置内の試料流路に配置されるセンサ(即ち、センサ構成要素)を含む。代替又は追加として、検出で使用される他の試薬(例えば、プローブ)及び/又は試料調製で使用される試薬(例えば、溶解剤)が、装置内の試料流路に配置されてもよい。このような試薬は、固体又は半固体形態であることができる。
【0112】
図1〜図7、図10及び図12は、流体装置の流路内にあるセンサ構成要素の一般概念をよりよく理解するための一般化された構造であり、溶液(図1)、固体形態(図2)、設計形態(図3)、1つ又は複数の流路を作り出す1つ又は複数の流れ通路(図4〜図5)、示された任意選択の流れ発生器(例えば、注射器/圧力/真空源)(図6〜図7)、横方向流れ形式(図10)、又は重力式システム(図12)を示す。そのような実施形態は、比色センサの観点から説明されるが、本明細書に記載された装置で使用するのに他のセンサが適する場合がある。
【0113】
図8〜図9、図11、及び図13〜図16は、実際の装置と、その実際の装置がどのように作製され、本明細書で述べる方法でどのように使用されるかをよりよく理解するための詳細な構造である。
【0114】
一般的に、図1に示したように、センサ(即ち、センサ構成要素)100は、センサ・チャンバ122内の溶液120である。図示されたように、チャンバ122は、第1流路部分124と第2流路部分126との間の流路に配置することができる。対象の検体を含む疑いのある試験試料が、チャンバ122に流れ込んで溶液120と混合する。混合される際、対象の検体は、試験試料中に存在する場合、センサ構成要素100の受容体と結合して例えば直接検定で検出可能な変化を生成する。
【0115】
溶液中で実行された検定によって生じる色変化を視覚的に検出することができる。あるいは、より高い感度が必要とされる場合は、適した流体システムを使用して、比色センサ物質を固相に濃縮し、それにより色変化を増幅させることができる。
【0116】
図2は、センサ構成要素100が、薄膜、多孔質膜(即ち、流体透過膜)、又は他の基板などの基板132上のセンサ層又は部分130から構成された例示的な実施形態を示す。一例では、センサ層又は部分130は、薄膜や他の基板上に付着されたポリジアセチレン・リポソームを含むことが好ましい。
【0117】
図3に示した実施形態では、センサ層又は部分130は、1つ又は複数の記号又は英数字134を形成する特定パターンで基板132上に付着される。例えば、示された実施形態では、センサ層又は部分130は、陽性試験結果を示すように「+」記号134のパターンで形成される。検体又はプローブと結合すると、「+」記号134は、背景部分136に対して見えるようになり陽性試験結果を示す。記号又は文字134のパターンは、既知のマスキング技術によって、センサ層又は部分130のない所望のパターン及び背景部分136内に、付着させられたセンサ層又は部分を作製するように形成される。図3は、「+」記号を例示しているが、本出願はいかなる特定の記号及び文字にも限定されない。
【0118】
本明細書に示した装置は、前述のようなセンサ構成要素100を利用して、例えば直接検定又は間接検定を使用して試験試料中の目標検体の存在を検出する。間接検定の場合、本明細書に示した装置内に配置されているセンサ構成要素に加えて、1つ又は複数のプローブは、装置内のセンサ構成要素の上流に配置されてもよい。
【0119】
図4は、本出願の検出装置200が装置200の本体201上にセンサ構成要素100を含む一実施形態を概略的に示す。示された装置200では、センサ構成要素100は、装置200の流路(第1流路部分202と第2流路部分204との間に)に配置される。使用中に、試験試料は、第1流路部分202に沿ってセンサ構成要素100を過ぎて流れ、次に第2流路部分204に沿って流れる。試験試料が、センサ構成要素100を過ぎて流れるとき、検体又はプローブは、センサ構成要素100内に収容された受容体と結合して検出可能な変化を生成する。図示されるように、試料は入口206で流路の中に注入され、出口208で第2流路部分204から収集又は排出される。
【0120】
図示されていないが、プローブが、センサ構成要素の装置上流内の試料流路(即ち、第1流路部分202)に配置されてもよい。更に、1つ又は複数の試料調製試薬が、装置のセンサ構成要素の上流の試料流路(即ち、第1流路部分202)に配置されてもよい。試料流路部分、特に上流すなわち第1流路部分202は、蛇行することができ、これにより、試料と、使用される試料調製試薬(装置の中に配置されるかどうかによらず)との混合を促進する。
【0121】
図4に示したように、試験試料の流路は、試験試料中の検体とセンサ構成要素100を接触させて検出可能な変化を生成するために、センサ構成要素100を過ぎる流れを誘導するセンサ構成要素100の上流と下流の両方の流路部分を含む。下流部分は、典型的には廃棄流れである。検体、任意の試料調製試薬(装置内に配置される場合)、プローブ(装置内で使用され配置された場合)、及びセンサ構成要素100間の反応時間と相互作用は、本明細書に示したセンサ構成要素100や他の変形物を過ぎる試料の流量に基づいて制御される。
【0122】
図5は、図4に示した装置を図式的に示し、この装置は、単一装置を使用して同じ検体又は異なる検体を検出するために同一装置200−1上に複数のセンサ構成要素100−1、100−2を有する。例えば、直接検定では、センサ構成要素100−1と100−2に含まれる受容体は、試験試料中の様々な検体と結合して試験試料中の様々な検体(様々な有機体又は物質の特徴を示す)の存在を検出することもでき、同じ検体と結合することもできる。図5に示したように、センサ100−1、100−2は、第1流路部分202−1、202−2と第2流路部分204−1、204−2との間の流路に配置されてもよい。試験試料は、第1流路部分202−1、202−2の中に入口206を介して導入され、第2流路部分204−1、204−2から出口208で排出される。図5は、単一の入口206及び出口208を例示するが、複数の流路のために所望される場合には複数の入口及び出口を使用することができる。
【0123】
図6〜7は、検出装置240の実施形態を例示し、流路は流れ通路により形成され、装置の本体241を通過して延びる。図示されるように、流れ通路は、流れ通路部分242及び流れ通路部分244を包含する。図示されるように、第1流れ通路部分242はチャンバ246の上流にあり、第2流れ通路部分244はチャンバ246の下流にある。センサ構成要素100は、第1流れ通路部分242と第2流れ通路部分244との間の流路のチャンバ246内に配置される。試験試料は、第1流れ通路部分242に注入され、第1流れ通路部分242から、チャンバ246を通り、チャンバ246内のセンサ構成要素100を過ぎて、第2流れ通路部分244まで流れる。センサ構成要素100を過ぎた試験試料の流れは、前に説明されたように、検体がセンサ構成要素内の受容体と結合して検体又はプローブの存在に応じて検出可能な変化を生成することを可能にする。
【0124】
例示された装置では、センサ構成要素100の感度は、例えば、被覆重量、試験試料の流量、検体又はプローブの濃度、検体又はプローブの結合率、流路又は通路の断面積、センサ構成要素100全体の又は流路又は経路に沿った圧力低下を含む様々な因子による影響を受ける。リポソームに対するプローブ又は検体の結合は、プローブ又は検体の結合率Kと、プローブ又は検体及び受容体の濃度又は用量に比例する。試薬プローブ又は試料の濃度又は用量は、次の式に比例する。
【0125】
【数1】

【0126】
Dは、拡散率であり、
lは、長さであり、
Fは、流量であり、
MWは、間接検定でのプローブの分子量、又は直接検定での検体の分子量である。
【0127】
圧力低下は、ハーゲン・ポアズイユの式によって近似することができる。結合を強化するためには、センサ構成要素の全体が最も大きい圧力低下であることが好ましい。
【0128】
有効流量は、2.5μL/分〜1000μL/分であり、最も好ましい流量は、25μL/分〜250μL/分の範囲である。
【0129】
図示された各実施形態では、センサ構成要素100への試験試料の露出の時間又は期間は、センサ構成要素100全体にわたる試験試料の流量に基づいて制限される。流体は、センサ構成要素100を過ぎて流れた後で、センサ層又はセンサ部分にさらされなくなり、それにより、試験試料のセンサ構成要素100への露出が制限されて、試験の結末により大きく変動しない比較的安定した試験結果が提供される。
【0130】
本発明の実施形態は、間接検定で使用される低分子量プローブ又は直接検出される検体(10kDA未満)に特定の用途を有し、100μL未満の試料には10分未満で5nモル/mlの検出限界が可能である。非特異的結合を制限するために、追加の遮断薬(ウシ血清アルブミン、二糖類(例えば、蔗糖、トレハロース)など)を使用することができる。
【0131】
流れ通路部分を通過する流れ又は流路部分に沿う流れは、例えば、重力により又は毛管圧力により誘導することができる。毛管流動は、多孔質媒体若しくはポリマー発泡体を介して、又は毛管チャネル若しくは通過域を通して、付与することができる。センサ構成要素を横切る所望の流れを提供するように、通路のサイズと領域を設計することができる。
【0132】
あるいは、流れは、図6〜7に例示されているように、圧力装置又は他の圧力源により能動的に誘導されてもよい。図6に模式的に示されている実施形態では、注射器260が使用されて試験試料を第1流れ通路部分242の中に注入する。試験試料は、圧力下で注射器260により注入され、流体の流れを流路に沿って第1流れ通路部分242、チャンバ246、及び第2流れ通路部分244を通過するように誘導する。図6に示されるように、本装置は、第2流れ通路部分244に開いている通気孔263を包含し、取り込まれた空気又は気泡を逃がす。通気孔263は、第2流れ通路部分244と流体連通する、透過性若しくは半透過性カバーを有する開口部、又はカバーを有さない開口部であることができる。あるいは、例えば、下塗り技術又は開放バルブなどの他の技術又は装置を使用して、取り込まれた気泡又は気体を減少させることができる。別の実施例では、本装置自体を、試験の間、気泡が自然に退去するように配置することができる。
【0133】
別の実施形態では、図7に例示されるように、流体流れは真空源264により誘導され得る。これらの装置の中にある特定の目的の真空源には、真空を作り出す機械的動作によるものが挙げられるが、これに限定されない。例えば、レバー又はボタンの形状でユーザにより作動されるバネ仕掛けの機構、ユーザが作動した動作(感圧性接着ストリップの除去など)を通して非圧縮状態を取り戻せるようになっている圧縮されたエラストマーの袋が挙げられる。図示されるように、真空源264は、第2流れ通路部分244に接続されて流体流れを流路又は流れ通路域に沿って誘導する。
【0134】
図8は、多層構造で構成された検出装置270の分解図を示す。多層構造は、第1流れ通路部分と第2流れ通路部分との間にセンサ構成要素を有する流路を構成する。より具体的には、図示された装置の複層構造は、第1層又は下層274と第2層又は上層276との間に挟まれたパターン化層272を有する。実例として、パターン化層272は、打ち抜き薄膜層でもよい。層272、274、276が組み立てられたとき、層272上のパターン(即ち、流れ通路)は、チャンバ280、第1流れ通路部分282、及び第2流れ通路部分284を構成する。第1層又は上層276は、第1流れ通路への入口と第2流れ通路部分284からの出口をそれぞれ提供する入口290と出口292を有する。
【0135】
示された実施形態では、これらの層は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)材料で製造されてもよいが、必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレンを含む他の多数の材料を使用することもできる。第1及び第2層274、276は、パターン化層272に取り付けられるか又は接続される。これは、好ましくは感圧接着剤などの接着剤による、様々な技術(例えば、接着層、熱溶融フィルム、熱融着フィルム、超音波溶接)を使用して行うことができる。そのような層(例えば、接着層、熱溶融フィルム層)は、一般に、独立層として示され、パターン被覆されてもよくされていなくてもよく、そのような層は、図8に示されていない。
【0136】
図8に示した施形態では、センサ構成要素100は、チャンバ(即ち、リザーバ又はウェル)280内に配置される。示された実施形態では、センサ構成要素100は、複層構造の層274上に付着又は被覆された層又は部分130を含む。あるいは、センサ層又は部分は、層276又は個別基板上に形成又は付着され、チャンバ280内に密閉されてもよい。
【0137】
図8に示した実施形態は、間接検定でも直接検定でも使用することができる。間接検定では、検体は、一般的に、最初にバイアル内でプローブと混合され、次にピペット又は注射器を用いて図8の装置に導入される。流れは、受動的でもよく能動的でもよい。受動形態では、試料は、導入された後で、毛管作用で装置内を流れ、一方、能動形態では、注射器を使用して試料を装置に注入したり吸い出したりすることができる。プローブ/検体混合物が、チャンバ280内に密閉されたセンサ構成要素100の上を通るとき、目標検体に結合されていないプローブは、センサ構成要素100に拡散的に達し、可視の色変化を引き起こす。一般的に、色変化は、最初に、流れの前縁(したがって、チャンバ280の上流端)で生じ、徐々にチャンバ280の後部に下流に移動する。試料中の検体の濃度は、色変化するセンサ構成要素100の長さによって評価することができ、その場合、青から赤に色変化する合計長は、試料中に存在する検体の濃度に反比例する。
【0138】
直接検定では、センサ構成要素100は、受容体を含み、したがって、検体がセンサ構成要素100と接触したときにこの受容体に結合しセンサ構成要素100の可視の色変化を引き起こす。この場合、試料は、ピペット又は注射器を用いて図8の装置に単純に導入することができる。間接検定と同じように、流れは、受動的でも能動的でもよい。検出は、間接検定に関して前述した方式と同じ方式で視覚化され、違いは、直接検定では、青から赤に色変化する全体の長さが、試料中に存在する検体の濃度に正比例することである。
【0139】
図示されたように、パターン化層272の第1流路部分282は、蛇行経路を有する。蛇行経路は、流路に沿った試験試料の混合又は攪拌を促進することができる。蛇行経路を使用して、例えば試料調製試薬及び/又はプローブと試験試料の混合を促進することができる。そのような試料調製試薬及び/又はプローブは、装置に付与される前に試料と前もって混合されてもよい。あるいは、それらは、試料流路(例えば、第1流路部分282の蛇行経路)内に配置されてもよい(例えば、固体又は半固体の形で)。
【0140】
図8に示したタイプの複層構造を使用して、幅500μmで厚さ25μmもの小さなチャンネルを製造することができる。例えば、図8に示したパターン化層272は、厚さが50μmから150μmまで変化してもよい。層272、274、276の厚さは、流路の幅全体にわたって均一なチャンネル領域を提供できるようにひずみを制限できることが好ましい。必要に応じて、1つ又は複数の層が剛性でもよい。剛性層の一例は、ガラス層又はウェハである。そのような剛性層は、流れ通路又はチャンバの中央の反りの大きさを減少させ、それにより装置に望ましい流動パラメータが提供される。
【0141】
図9は、試料が単一装置内で混合され試験される検出装置320を示す。図9に示したように、例示された装置320は、装置の本体321上に形成され、試験前に試験試料及びプローブや他の試料調製試薬を混合する混合チャンバ322を含む。例示された実施形態では、混合チャンバ322は、試験試料(又は、溶出された試料)とプローブ又は試料調製試薬のための複数の入口324−1、324−2から流体を受け取る。混合チャンバ322は、センサ構成要素100を有するチャンバ325に、流路の第1流路部分326を介して結合される。混合チャンバ322からの混合物は、第1流れ通路部分326を通ってチャンバ325まで流れる。次に、混合物は、チャンバ325を通って第2流れ通路部分328に流れる。
【0142】
混合物がチャンバ325内を流れるとき、検体又はプローブは、センサ構成要素100の受容体108と結合して検出可能な変化102を生成する。図示されたように、第1流れ通路部分324は、蛇行しており、センサ構成要素100と接触前に試料とプローブ又は試料調製試薬との混合を促進する。代替の実施形態では、装置は、試験試料と試料調製試薬又はプローブとの両方を導入する入口を1つだけ有する。図示示された実施形態では、流れは、前に述べたように、流れは、消極的に誘導されてもよく、圧力源又は装置によって誘導されてもよい。あるいは、流路に沿った混合チャンバや他のチャンバは、スクィーズ構造から構成されてもよく、それにより、圧力が印加されたとき、流体は、チャンバ322又はチャンバ325から絞り出されて、前述のように流路に沿った流体流れを誘導する。
【0143】
代替の実施形態では、試料調製試薬又はプローブは、流路に沿って又は混合チャンバ322内配置される。接触すると、試料調製試薬は、試料と相互作用して、例えば、検体を解放する。解放された検体は、次に、プローブと結合することができ(間接分析)、次に流路に沿って移動してセンサ構成要素と相互作用する。示された実施形態では、試料調製試薬又はプローブは、固体で配置されてもよく半固体の形(例えば、脱水形態)で配置されてもよい。次に、試薬又はプローブは、検出前に水和され試験試料と混合される。
【0144】
図9に示された実施形態は、間接検定で使用されても直接検定で使用されてもよい。間接検定では、検体とプローブは、例えばピペット又は注射器を用いることにより、図9の装置の対応する入口324−1と324−2に導入される。前述のように、流れは、受動的でもよく能動的でもよい。プローブと検体は、混合チャンバ322内で一緒になり、第1通路部分324の蛇行経路内を流れている間に更に混合される。プローブ/検体混合物が、チャンバ325に密閉されたセンサ構成要素100の上を通るとき、目標検体に結合されていないプローブは、散乱的にセンサ構成要素100に達し、可視の色変化を引き起こすことができる。一般的に、色変化は、最初に、流れの前縁(したがって、チャンバ325の上流端)に生じ、徐々にチャンバ325の後部に移動する。試料中の検体の濃度は、色変化するセンサ構成要素100の長さによって測定されてもよく、青から赤に色変化する全長が、試料中に存在する検体の濃度に反比例する。
【0145】
直接検定では、センサ構成要素100は、受容体を含み、したがって、検体がセンサ構成要素100と接触したときにこの受容体に結合しセンサ構成要素100の可視の色変化を引き起こす。この場合、試料は、ピペット又は注射器を使用することによって図9の装置の入口324−1の1つに単純に導入されてもよい。検体を直接検出するために試料調製試薬を必要とする場合がある。例えば、検出可能なタンパク質目標を解放するために目標検体を溶解しなけばならない場合がある。そのような溶解薬剤は、図9の装置の第2入口324−2に導入することができる。間接検定と同じように、流れは、受動的でも能動的でもよい。検体と試料調製試薬は、混合チャンバ322内で一緒になり、第1通路部分324の蛇行経路内を流れている間に更に混合される。次に、試料の溶解により解放された目標は、間接検定に関して前に述べたものと同じ方式で検出することができ、唯一の異なる点は、直接検定では、青から赤に色変化する全長(センサ構成要素の)が、試料中に存在する検体の濃度に正比例することである。
【0146】
図9は、流路に沿って複数のチャンバを含む装置の一実施形態を示すが、応用は、示された実施形態に限定されず、本出願の装置の代替実施形態は、様々な試料調製又は処理段階を実施する任意数のチャンバを含むことができる。図9は、試料調製試薬及び/又はプローブを試料流路に沿って配置することができるチャンバ(即ち、リザーバ又はウェル)を示すが、様々な試料調製試薬及び/又はプローブを、流路に沿ったゾーン(例えば、流路を構成する流れ通路)内に配置することができる他の装置を想起することができる。
【0147】
図10は、前述したようなセンサ構成要素100と流路を含む検出装置340の一実施形態を示す。図示された実施形態では、センサ構成要素100は、流路の第1流路部分342と第2流路部分344の間に入れられる。図示されるように、流路は、膜350の対向する末端部350aと350bとの間の膜350に沿って形成される。膜350は吸収性本体から形成され、例えば、ニトロセルロース、ナイロン、ポリスチレン、ポリプロピレン、又は他の適した材料から形成される膜であり、膜350に沿う流れ(すなわち、貫流)を促進して装置340の流路並びに第1流路部分342及び第2流路部分344を形成する孔径を有する。センサ構成要素100は、膜100の中間部分に沿って膜上に付着されたセンサ層又は部分352を有する。示された実施形態では、センサ構成要素100の下流の膜350に吸収パッド354が結合されて、流体が、膜350に沿って第1流路部分342からセンサ構成要素100を過ぎて第2流路部分344まで流される。吸収性パッド354は、ガラス繊維、セルロースなどのような材料から作製することができる。
【0148】
代表的な実施形態では、膜は、例えばニトロセルロース材から形成される。例示的な実施形態では、センサ層又は部分352は、装置の構成により、膜350上に、幅が平均2〜3ミリメートル(mm)で4〜100μL/平方センチメートル(μL/cm)の被覆重量の細いストライプで被覆される。例えば、検定で使用するために、試料調製試薬(例えば、粘液溶解剤や溶解試薬)が、センサ層又は部分352の上流に点在されてもよく、その近くで、試料が、例えばニトロセルロース材料に追加される。
【0149】
図11に示された例示的な実施形態では、図10の類似部分を指すために同じ番号が使用されており、装置340−1は、センサ構成要素100の上流にパッド358を有する。パッド358は、間接検定に関して前に述べたように試験試料と混合されたプローブを有する。あるいは、又は追加的に、パッド358は1種以上の試料調製試薬を包含することが可能である。パッド358は、間接検定に関して前に述べたように試験試料と混合されたプローブを有する。
【0150】
1種以上の試料調製試薬が、共に又は別々に(図10及び11の装置の)流路の中の分離した領域の中に、いくつかの被検査物処理が流路の中で続けて実施できるように、添加され得る。これらの領域は、流路の中に異なる試料調製試薬でコーティングされた異なる物質を定置すること又は流路の中に直接こうした物質をコーティングすることにより、構成することができる。これらの構造体は、流路の中での連続的な被検査物処理を可能にし、これは下流での検出に有利である。
【0151】
図10と図11の装置が、間接検定で使用される場合、最初に、試薬プローブと対象の検体含有試料を管(例えば、マイクロ遠心分離管)内で混合することができる。混合が完了した後、膜350の第1端(即ち350a)をプローブ/検体混合物を収容しているマイクロ遠心分離管に挿入することができる。この時点で、混合物は、一般に、毛管作用によって膜350に沿って流れ始める。溶液がセンサ構成要素100に達したとき、存在する目標検体に結合されていないプローブは、センサ構成要素100の可視の色変化を引き起こすことができる。検定は、検体濃度が特定のしきい値を超えたときに、非結合プローブ濃度が、センサ構成要素100が検出できる濃度より低くなるように設計されてもよい。そのような間接検定では、色変化が、検体の濃度がしきい値より低いことを示し、一方、可視の色変化がないことは、しきい値より高い検体濃度を示す。
【0152】
図10と図11の装置が、直接検定で使用される場合、センサ構成要素100は、受容体を含み、その結果、検体がセンサ構成要素100と接触したときにその受容体と結合してセンサ構成要素100に可視の色変化を引き起こす。この場合、膜の第1端は、検定される試料を収容するマイクロ遠心分離管に挿入されてもよい。この時点で、試料溶液は、一般に、毛管作用によって膜350に沿って流れ始める。溶液が、センサ構成要素100に達したとき、存在する目標検体が、センサ構成要素100の可視の色変化を引き起こすことができる。検定は、検体濃度が特定のしきい値を超えたときに、センサ構成要素100の完全な色変化を引き起こすことができるように設計することができる。そのような直接検定では、色変化は、検体の濃度がしきい値より高いことを示し、可視の色変化がないことは、検体濃度がしきい値より低いことを示す。
【0153】
間接検定では、プローブが共役パッド358上又はパッド358内に配置された図11の例示的な装置を使用することにより、装置と接触する前に試薬プローブと検体含有試料を混合しなくてもよくなる。検体を含む試料は、ピペット又は注射器を用いて共役パッド358上に単純に滴下されてもよい。試料がパッド358を濡らすとき、試薬プローブは、溶液に再構成され、目標検体と混ざることができる。間接検定の残りの部分は、前述のものと同一である。
【0154】
直接検定で図11の例示的な装置を使用することにより、試料調製試薬を使用することができる。例えば、検出可能なタンパク質目標を解放するために目標検体を溶解しなけばならない場合がある。このような場合には、溶解剤をパッド358の中に組み込むことが可能である。検体試料がパッド358を濡らすとき、溶解している試薬は、溶液中に再構成され、目標検体と混ざってそれを溶解し、検出可能なタンパク質を解放することができる。直接検定の残りの部分は、前述のものと同一である。
【0155】
本明細書で開示された側方流動の実施形態に適した例示的な装置は、例えば、米国特許第5,753,517号又は米国特許第6,509,196号、米国特許出願公報第2003/0162236号及び同第2003/0199004号に記載されている。このような装置は、試料調製及び分析の両方のために使用することができる。
【0156】
例えば、一実施形態では、本発明は、試料流路と、センサ構成要素を含むゾーンと、センサ構成要素より前(即ち、上流)にある試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置された試料調製用の1つ又は複数の試薬と、任意選択的に、試料流路のセンサ構成要素より前の別個のゾーン内に配置され、1つ又は複数の試料調製試薬と異なるローブとを含む装置を提供する。
【0157】
別の実施形態では、本発明は、試料調製と目標検体の分析のための装置を提供し、この装置は、試料流路と、試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置された試料調製用の1つ又は複数の試薬と、試料調製試薬の少なくとも1つの下流の試料流路内に配置されるプローブを含むゾーンと、比色センサ構成要素を含むゾーンと、を有し、比色センサが、ジアセチレン含有重合体と受容体と含む重合組成物を有し、受容体が、重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成する。
【0158】
図12は、装置の本体386内の第1流路部分382(第1流路部分を画定する)と第2流路部分384(第2流路部分を画定する)の間の流路内にセンサ構成要素100を含む検出装置380の別の実施形態を概略的に示す。図示された実施形態では、センサ構成要素100は、流体透過膜390上にセンサ層又は部分の130を含む。膜390とセンサ層又は部分130は、流路内に配置され、第1流路部分382及び第2流路部分384を分離する。例示される実施形態では、試料は入口392で第1流れ通路部分382の中に導入され(模式的に例示される)、第1流れ通路部分382から流体透過膜390を通過して第2流れ通路部分384へ流れる。試料の流れは、出口394で第2流れ通路部分384から排出される。前述のように、センサ層又は部分130は、試料が、センサ層又は部分130を過ぎて流体透過膜390内を流れるときに検体又はプローブと結合するように構成された受容体を含む。結合すると、センサ構成要素100は、前述のように、検体及び/又はプローブの存在を検出する検出可能な変化を受ける。
【0159】
流体透過膜390は、小さな穴サイズ(例えば、200マイクロメートル(μm))を有する多孔質膜でよい。例示的な流体透過膜は、ポリエーテルスルホン(Pall Corporation,Ann Arbor MIから商標SUPORで入手可能。0.2,0.45μm)、ポリスルホン(Pall Corporation,Ann Arbor MIによるI.C.E.又はTuffryn。0.4μm)、セルロース・エステル(Millipore Corporation,Billerica MAによるMF Millipore。0.4μm)、ポリカーボネート(G.E.Osmonics,Minnetonka,MNからG.E.Polycarbonate Membranes。0.2μm,0.4μm)、又は所望の貫流特徴とセンサ互換性を有する他の材料で構成することができる。一実施形態では、センサ層又は部分130は、流体透過膜390の孔内に拡散されたリポソームを含む。図示した実施形態では、リポソームの被覆重量は、比較的低い(例えば、約12μL/cm)。
【0160】
図13は、流路の第1流路部分406と第2流路部分408を分離するセンサ層又は部分130を有する流体透過膜402を含む検出装置400の別の実施形態を示す。例示されている実施形態では、流体透過膜402は、装置400の本体並びに装置400の第1流れ通路部分406及び第2流れ通路部分408を形成する、管410の中に配置される。例示される実施形態では、流体透過膜402は、第1流れ通路部分406と第2流れ通路部分408との間の流路の中に配置される支持体414上の管410の中に支持される。
【0161】
例示される実施形態に示されるように、支持体414は、管410の先細状部分に近接する複数のフィルタ層416を包含する。しかしながら、本出願は、図示されるような複数のフィルタ層416を包含する特定の支持体414に限定されない。流体透過膜402は、支持体414に近接する。図13〜14に連携して示されるように、流体透過膜402の表裏をなす表面は、接着層420、422を包含する。接着層422は、流体透過膜402を支持体414に連結する。図示されたように、接着層420、422は、第1及び第2流路部分406、408の間にセンサ通路424を協力的に構成する間隙又は空所を有する。センサ通路424は、特定の流れ領域を画定し、またセンサ通路424内の流体透過膜402上に形成された第2センサ層又は部分130に試料を集中させるように、第1及び第2流路部分406、408より狭い。
【0162】
したがって、製造では、流体透過膜402と接着層420、422の内側領域に付着されたセンサ層又は部分130は、流体透過膜402の外周に位置決めされて、センサ通路424が構成される。示された実施形態では、センサ層又は部分は、流体透過膜402の片側に付着され、接着層又は部分420、422は、流体透過膜402の両側に配置される。しかしながら、本出願は示される特定の実施形態に限定されない。図示されたように、真空源430によって、流路に沿って検出装置400を通り、センサ通路424を通る流れが生成される。しかしながら、本出願は流体の流れを誘導する真空源430に限定されるものではなく、前述したように、他の技術を使用することができる。
【0163】
図15〜図16は、センサ層又は部分130と流体透過膜460を有する検出装置450(密封された垂直ウェル装置)であって、装置の本体が複層構造で構成された一実施形態を示す。図示されるように、複層構造体は、表面すなわち第1外側層454、裏面すなわち第2外側層456、及び1つ以上の中間層を包含する。示された実施形態では、センサ構成要素100は、中間層458を貫通する開口457の近くに支持される。センサ層又は部分130は、膜460上に配置され、開口457の近くで中間層458に結合される。複層構造はまた、表面層454と中間層458との間に配置されるスペーサ層462を包含する。スペーサ層462はパターニングされて、入口464(図16に示される)及び第1流路部分を形成する。吸収層466は、開口457の近くで中間層458と裏打層456の間に配置されて、開口457内で流体透過膜460を貫通して形成されたセンサ通路を横切る流体の流れを生成する。この実施形態では、層454、462、及び458は、封入されている垂直ウェル(すなわち、リザーバ又はチャンバ)463を形成し、層454及び458はウェル463の壁及び入口464の壁を形成する。
【0164】
記載されるように、第1流路部分は表面層454と中間層458との間の複層構造体の長さに沿って配向される通過域の形状を呈して、第1方向に流れを供給する。本装置はまた、第1流路部分を交差して形成される第2流路部分を含み、流体透過膜460を通過する第1方向をほぼ交差する第2方向に流れを供給する。示された実施形態では、面層454は、透明又は透視性フィルムから形成することができ、それにより、センサ構成要素100は、検体がセンサ構成要素100と反応したときに検出可能な変化を識別できるように可視である。あるいは、面層454の一部分は、センサ構成要素100が見えるように透明又は透視性でよい。
【0165】
例示される実施形態では、流体の流れは、吸収層466により流体透過膜460を通過して誘導される。層466はパターン化されて、流体透過膜460の下流にある吸収性領域を形成し、交差流路又は通過域を形成することができる。図15〜16は分離している裏面すなわち外側層456を例示するが、代替的な実施形態では、吸収層466は本装置の裏面層を形成することができ、本出願は図示される特定の層に限定されない。
【0166】
図15〜16の実施形態の使用の間、流体試料は入口464を通通して、封入されている垂直ウェル463に入り、流体はそこに蓄積する。必要に応じて、試料調製試薬(例えば、点465によって示された)は、検出前の処理を可能にする流体経路内の任意の場所(即ち、センサ構成要素100の上流の流体流路)に配置されてもよい。1つのウェル(又は、リザーバ)463だけが示されているが、この実施形態は、流体「蓄積」を可能にする幾つかの異なる「リザーバ」を含むことができる。これにより、例えば、リザーバ内でプローブ又は試料調製試薬を順次又は同時に混合することによって、試料調製(即ち、処理)を促進することができる。
【0167】
示された実施形態のそれぞれにおいて、試験試料をセンサ構成要素100にさらす時間又は期間は、センサ構成要素100を横切る試験試料の流量に基づいて制限される。流体は、センサ構成要素100を過ぎて流れた後で、センサ層又はセンサ部分にさらされなくなり、それにより、試験試料のセンサ構成要素100への露出が制限されて、試験の結末により大きく変動しない比較的安定した試験結果が提供される。
【0168】
図15〜図6の装置は、以下の材料を使用して構成することができる。即ち、層456は、ビニル・テープ(3M Company,St.Paul MNから入手可能なSCOTCH Super 33 Plus Vinyl Electrical Tape)でよく、層466は、ガラス繊維ウィッキング材料(Sterlitech Corporation,Kent WAから入手可能なSterlitech GB 140 Glass Fiber)、層460は、450nm多孔度ポリエーテルスルホン(Pall Corporation,Ann Arbor MIから入手可能なPall SUPOR 450 Membrane)でよく、層458は、片側に感圧接着剤を有する0.8mm厚ポリ塩化ビニル(PVC)裏材料(Diagnostic Consulting Network,Irvine CAから入手可能なDiagnostic Consulting Network Miba−010)でよく、層462は、両側に感圧接着剤を有する1.6mm厚3Mポリエチレン・ブロン・フォーム(3M Medical Division,3M Company,St.Paul MNから入手可能)であり、層454は、3Mポリエステル汎用透明フィルム(3M Company,St.Paul MNから入手可能)でよい。検出装置を構成するために、フィルム層のそれぞれは、回転ダイを使用して適した形状及びサイズにダイカットすることができる。組み立ては、貫流フィルタ膜460を開口部457を覆って中間層458の接着剤側の上に置くことにより開始する。次に、吸収層466を、フィルタ膜を覆って置くことができ、開口部457を覆って中間層458の接着剤側の上に配置することができる。この最初の積層体は、吸収層466を下にして裏面層456の接着剤側上に配置することができ、裏面層456が吸収層466の周りで中間層458に接着することを確実にするように端部に圧力を加えて封止めを形成する。次に、スペーサ層462の一方からのライナーを取り除くことができ、スペーサ層462の接着剤側は中間層458の非接着剤側上に積層される。最後に、スペーサ層462のもう一方からのライナーを取り除くことができ、外側層454はスペーサ層462上の接着層に積層される。針を使用して、試料チャンバの頂部に配置される2つの通気孔を作ることができる。
【0169】
本発明の装置のうちのいずれかのセンサ構成要素は、一般的に、使用前に装置内で被覆されるか、付着されるか、他の方法で形成される。次に、任意選択のプローブを含む試験試料が、センサ構成要素と相互作用するように装置に導入されてもよい。本明細書では、装置についてセンサ構成要素が使用前に組み込まれるかのように述べたが、そのような装置内のセンサ構成要素は現場で形成されてもよいことを当業者は理解するであろう。即ち、本明細書で述べた装置のセンサ構成要素は、1つ又は複数の目標検体及び/又はプローブが存在している間に、(試料分析中に)流体透過膜内又は流体透過膜上に付着されてもよい。
【0170】
図13〜図16の装置は、間接検定と直接検定の両方に同じように使用することができる。間接検定の一実施形態では、例えば、目標検体を含む試料は、一般的に、試薬プローブと最初に混合される。この段階を完了した後、溶液中のセンサ構成要素をプローブ/検体混合に追加してもよい。この時点で、目標検体に結合されていないプローブは、溶液中のセンサ構成要素の可視の色変化を引き起こす。色変化の程度は、最初に試料中に存在する検体の量に反比例する。次に、最終的な溶液混合物は、図13〜図16に示した装置のうちのどれに導入されてもよく、センサ構成要素を流体透過膜(例えば、図13の膜402か図16の膜460)に収集させ濃縮して、処理中に(即ち、現場で)センサ層130を形成することができ、ユーザは、検定の結果を見ることができる。
【0171】
あるいは、センサ構成要素は、図13〜図16の装置に、流体透過膜(例えば、図13の膜402か図16の膜460)上に被覆センサ層130として組み込まれてもよい。この態様において、間接検定では、目標検体を含む試料は、一般的に、最初に試薬プローブと混合される。混合した後、プローブ検体混合体は、図13〜図16に示した装置のうちのどれかに導入され、センサ層130と流体透過膜(例えば、図13の膜402か図16の膜460)を介して所定の流量で流される。試料溶液がセンサ層を通過するとき、目標検体に結合されないプローブは、センサ層130の可視の色変化を引き起こすことができる。この場合、色変化の範囲は、一般的に、最初に試料中に存在する検体の量に反比例する。
【0172】
直接検定では、センサ構成要素は受容体を含み、その結果、検体がセンサ構成要素と接触したときにこの受容体と結合して可視の色変化を引き起こす。一実施形態では、センサ構成要素は、溶液中にあってもよく、検体含有試料に加えられてもよい。次に、この溶液混合物は、図13〜図16の装置のうちのどれに導入されてもよく、この場合、センサ構成要素を収集させ濃縮して、流体透過膜(例えば、図13の膜402か図16の膜460)上のセンサ層130(検出プロセスの間)を形成することができ、ユーザは検定結果を見ることができる。色変化の程度は、一般的に、最初に試料中に存在する検体の量に正比例する。
【0173】
あるいは、センサ構成要素は、図13〜図16の装置に、流体透過膜(例えば、図13の膜402か図16の膜460)上の被覆センサ層130として組み込まれてもよい。この態様において、直接検定で使用する場合、検体を含む試料は、単純に、図13〜図16の装置のいずれかに導入され、流体が、センサ層130と流体透過膜(例えば、図13の膜402か図16の膜460)を介して所定の流量で流される。試料溶液がセンサ層を通過するので、検体は、センサ構成要素に組み込まれた受容体と結合することができ、センサ層130の可視の色変化が生じる。色変化の程度は試料中に元々存在する検体の量に正比例する。
【0174】
以上本明細書の例示的な実施形態の考察は、主に、試料流路にある装置内に配置されるセンサ(即ち、センサ構成要素)を対象としているが、検出で使用される他の試薬(例えば、プローブ)及び/又は試料調製(例えば、溶解剤)で使用される試薬が、試料流路にある装置内に配置されてもよい。試薬は、このような装置内で様々な周知の機構により分離され得る。例えば、流路の一部分が、1つの試薬(例えば、試料調製試薬)を含むことができ、また試料と接触したときに溶ける材料(例えば、ヒドロゲルなど)で作成された弁によって、別の試薬(例えば、プローブ)を含む流路の別の部分から分離されてもよい。他の分離機構には、例えば、様々な多孔度又は流体流量の膜/材料がある。
【0175】
本明細書に記載される実施形態は、本質的に例示的なものである。他の物理的構造を有する装置が、本発明の方法を実行するのに使用できることは当業者により理解されよう。更に、本明細書に記載される具体的な装置は、具体的に記載されるもの以外の様々な方法(当業者により理解されよう)において使用することができる。
【0176】
本明細書に記載されるすべての特許、特許出願、刊行物、並びに核酸及びタンパク質データベースエントリ(例えば、GenBank受入番号を含む)のすべての開示は、個々に組み込まれるように、参照することによって本願に組み込まれる。本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び変化が当業者には明らかであろうし、本明細書に記載の説明的実施例に本発明が不当に制限されないことは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の有無を検出するための装置であって、
流路、流体透過膜、及び前記流体透過膜内又は前記流体透過膜上に配置される比色センサ構成要素を含む本体を有し、
前記比色センサが、ジアセチレン含有重合体と受容体とを含む重合組成物を有し、前記受容体が、前記重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成する装置。
【請求項2】
前記装置の前記本体内の前記試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置される試料調製用の1つ又は複数の試薬を更に有し、前記1つ又は複数のゾーンが、前記試料流路内の前記比色センサより上流に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置の前記本体内の前記試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置される間接検体検出用の1つ又は複数のプローブを更に有し、前記1つ又は複数のゾーンが、前記試料流路内の前記比色センサより上流に配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサ構成要素が、ポリジアセチレン・リポソームを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記センサ構成要素が、1つ又は複数の記号又は文字の形のパターン化センサ層を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記流路が、第1及び第2流路部分を構成する第1流れ通路部分と第2流れ通路部分とを有し、前記流体透過膜が、前記第1及び第2流れ通路部分を分割する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記センサ構成要素を過ぎる前記第1流路部分から前記第2流路部分までの流れを誘導する圧力源を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記圧力源が、注射器、真空源、吸収性パッド、又は毛管圧力の1つである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
水平流装置である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
垂直流装置である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記試料流路が少なくとも2つの部分を有し、一方が他方に交差する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記比色センサ構成要素が、1つ又は複数の目標検体及び/又はプローブが存在する間に前記流体透過膜内又は前記流体透過膜上に付着される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
検体の有無を検出するための装置であって、
流路と複層構造を構成する複数の層とを含む本体と、
第1層と第2層との間に形成された第1流れ通路部分と第2流れ通路部分とによって画定された前記流路と、
前記第1層と第2層との間に配置されたセンサ構成要素であって、前記第2流れ通路部分から前記第1流れ通路部分を分離するセンサ構成要素とを有する装置。
【請求項14】
前記センサ構成要素が、比色センサを有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記比色センサが、ジアセチレン含有重合体と受容体とを含む重合組成物を有し、前記受容体が、前記重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1層と前記第2層との間に1つ又は複数の中間層を更に含み、前記中間層が、前記第1及び第2流れ通路部分の少なくとも1つを構成するパターン化部分を含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記中間層の少なくとも1つの開口部に配置される流体透過膜を更に有する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複層構造が、第1及び第2外側層、スペーサ層及び中間層を含み、前記中間層が、前記第1外側層と前記第2外側層との間に配置され、前記スペーサ層が、前記第1外側層と前記中間層との間に配置され、前記複層構造に沿った第1流れ通路部分を構成する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記中間層の開口部に配置される流体透過膜を更に有する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記流体透過膜を通過する流れを誘導するように中間層と外側層との間に吸収層又は部分を更に有する、請求項17又は19に記載の装置。
【請求項21】
前記第1層が、前記センサ構成要素を見せる透過性部分を有する、請求項13〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記第1流れ通路部分内に配置される1つ以上のチャンバを更に有する、請求項13〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記1つ又は複数のチャンバの少なくとも1つの中に試料調製試薬及び/又はプローブが配置された、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1流れ通路部分が蛇行している、請求項13〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記第1及び第2流れ通路部分が異なる方向に配向されている、請求項13〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記センサ構成要素が、前記第1層と第2層との間の流体透過膜内又は流体透過膜上に配置される、請求項13〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記センサ構成要素が、1つ又は複数の目標検体及び/又はプローブが存在している間に前記流体透過膜内又は前記流体透過膜上に付着される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
検体の有無を検出するための装置であって、
流路と複層構造を構成する複数の層とを含む本体と、
第1層と第2層との間に形成された第1流れ通路部分と第2流れ通路部分によって画定された前記流路と、
前記第1層と前記第2層との間に挟まれたパターン化層であって、チャンバ、前記第1流れ通路部分及び前記第2流路部分を構成するパターン化層と、
前記パターン化層によって構成された前記チャンバ内に配置されるセンサ構成要素と、を有する装置。
【請求項29】
前記第1流れ通路部分内に配置された1つ又は複数の追加のチャンバを更に有する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記1つ又は複数の追加のチャンバの少なくとも1つの中に試料調製試薬及び/又はプローブが配置された、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記センサ構成要素が、前記チャンバ内に密封された基板上に形成又は付着された、請求項28〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記センサ構成要素が、前記第1層又は前記第2層の少なくとも1つの上に形成又は付着される、請求項28〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記センサ構成要素が、比色センサを有する、請求項28〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記比色センサが、ジアセチレン含有重合体と受容体とを含む重合組成物を有し、前記受容体が、前記重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成する、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記第1流れ通路部分が蛇行している、請求項28〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記センサ構成要素が、前記パターン化層によって形成された前記チャンバ内の流体透過膜内又は流体透過膜上に配置される、請求項28〜35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記センサ構成要素が、1つ又は複数の目標検体及び/又はプローブが存在している間に前記流体透過膜内又は前記流体透過膜上に付着される、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
試料流路と、
センサ構成要素を含むゾーンと、
前記センサ構成要素の前にある前記試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置された試料調製用の1つ又は複数の試薬と、
任意選択的に、前記センサ構成要素の前にある試料流路内の別個のゾーン内に配置され、前記1つ又は複数の試料調製試薬と異なるプローブと、を有する装置。
【請求項39】
前記センサ構成要素が、流体透過膜内又は流体透過膜上に配置される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記1つ又は複数の試薬と任意選択のプローブが、流体透過膜上又は流体透過膜内に配置される、請求項38又は39に記載の装置。
【請求項41】
前記センサ構成要素が、1つ又は複数の記号又は文字の形のパターン化層を有する、請求項38〜40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
水平流装置である、請求項38〜41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
垂直流装置である、請求項38〜41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記試料流路が少なくとも2つの部分を有し、一方が他方に交差する、請求項38〜41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記センサ構成要素が、比色センサを有する、請求項38〜44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
前記比色センサが、ジアセチレン含有重合体と受容体とを含む重合組成物を有し、前記受容体が、前記重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成する、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
試料調製と目標検体の分析のための装置であって、
試料流路と、
前記試料流路の1つ又は複数の別個のゾーン内に配置された試料調製用の1つ又は複数の試薬と、
前記試料調製試薬の少なくとも1つの下流の前記試料流路内に配置されるプローブを含むゾーンと、
比色センサ構成要素を含むゾーンと、を有し、
前記比色センサが、ジアセチレン含有重合体と受容体とを含む重合組成物を有し、前記受容体が、前記重合組成物に組み込まれて、1つ又は複数のプローブ及び/又は検体と結合した際に色変化を提供するトランスデューサを構成する装置。
【請求項48】
1つ又は複数の目標検体を含む疑いのある試験試料を提供する工程と、
請求項1〜11、13〜26、28〜36、及び38〜47のいずれか1項に記載の装置を提供する工程であって、試験試料と接触する前にセンサ構成要素を有する前記装置を提供する工程と、
任意選択的に、前記1つ又は複数の目標検体の間接検定に適した1つ又は複数のプローブを提供する工程と、
前記センサ構成要素の下流で第1流路部分から第2流路部分までの試験試料の流れを誘導する工程と、
前記目標検体が前記試験試料中に存在する場合に、前記試験試料を前記センサ構成要素にさらして、1つ又は複数の目標検体及び/又は1つ又は複数のプローブを前記センサ構成要素と結合して前記センサ構成要素における検出可能な変化を引き起こす工程と、
前記目標検体及び/又はプローブと結合した際に前記センサ構成要素における前記検出可能な変化を識別する工程と、を含む方法。
【請求項49】
前記1つ又は複数のプローブが、前記装置内の前記第1流れ通路部分に配置された、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
検体の有無のための試料を調製して分析する方法であって、
1つ又は複数の目標検体を含む疑いのある試験試料を提供する工程と、
請求項38〜47のいずれか1項に記載の装置を提供する工程であって、センサ構成要素と1つ又は複数の試料調製試薬とを有する装置を提供する工程と、
前記センサ構成要素の下流で第1流路部分から第2流路部分までの試験試料の流れを誘導する工程と、
前記試験試料と、前記第1流路部分内の前記試料調製試薬の少なくとも1つとの間の反応に有効な状態を提供する工程と、
検体及び/又はプローブを前記センサ構成要素と結合して検出可能な変化を生成するのに有効な条件下で、前記センサ構成要素に前記試験試料を露出する工程と、
前記目標検体及び/又はプローブと結合した際に前記センサ構成要素における検出可能な変化を識別する工程と、を含む方法。
【請求項51】
検体の有無を検出する方法であって
流路と複層構造を構成する複数の層とを含む本体であって、前記流路が、第1層と第2層との間に形成された第1流れ通路部分と第2流れ通路部分とによって画定される本体と、前記第1層と前記第2層との間に配置された流体透過膜であって、前記第1流れ通路部分を前記第2流れ通路部分から分離する流体透過膜とを有する装置を提供する工程と、
1つ又は複数の目標検体を含む疑いのある試験試料を提供する工程と、
任意選択的に、1つ又は複数の目標検体の間接検定に適した1つ又は複数のプローブを提供する工程と、
前記試験試料、任意選択のプローブ及びセンサ構成要素を組み合わせて混合物を形成する工程と、
センサ構成要素を提供する工程と、
前記流体透過膜を横切って前記第1流れ通路部分から前記第2流れ通路部分まで前記混合物の流れを誘導して、前記センサ構成要素及び結合された標的検体及び/又はプローブを収集する工程と、
前記目標検体及び/又はプローブと結合した際に前記センサ構成要素における前記検出可能な変化を識別する工程と、を含む検出方法。
【請求項52】
検体の有無を検出する方法であって、
流路と複層構造を構成する複数の層とを含む本体であって、前記流路が、第1層と第2層の間に形成された第1流れ通路部分と第2流れ通路部分によって画定される本体と、前記第1層と前記第2層との間に挟まれたパターン化層であって、チャンバ、前記第1流れ通路部分及び第2流れ通路部分を構成するパターン化層と、前記パターン化層によって構成される前記チャンバ内に配置された流体透過膜と、を有する装置を提供する工程と、
1つ又は複数の目標検体を含む疑いのある試験試料を提供する工程と、
任意選択的に、前記1つ又は複数の目標検体の間接検定に適した1つ又は複数のプローブを提供する工程と、
センサ構成要素を提供工程と、
前記試験試料、任意選択のプローブ及びセンサ構成要素を組み合わせて混合物を形成する工程と、
前記チャンバ内の前記流体透過膜を横切って前記第1流れ通路部分から前記第2流れ通路部分まで前記混合物の流れを誘導して、前記センサ構成要素と結合された目標検体及び/又はプローブを収集する工程と、
前記目標検体及び/又はプローブと結合する際に前記センサ構成要素における前記検出可能な変化を識別する工程と、を含む検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−516819(P2011−516819A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535065(P2010−535065)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/084195
【国際公開番号】WO2009/079156
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】