検出装置及び盗難自転車発見システム
【課題】大量の放置自転車等から盗難自転車を楽に発見できるようにする。
【解決手段】検出装置201は、作業者が手にもって使用し且つICタグに記憶されている防犯登録番号を読み取るためのものであり、作業者が握るグリップ3と、グリップ3から延出した伸縮型の棒体4と、棒体4の先に設けた検出部205とから構成される。検出部205は回転軸206により可動状態に取り付けられている。検出部205には、アンテナが設けられ、クッションで保護されている。作業者はグリップ3を持って検出部205を自転車のシートチューブTに貼付されたICタグ付近に近付けることで、防犯登録番号を読み取る。このようにすれば、腰をかがめることなく、放置自転車等の検査が可能となる。
【解決手段】検出装置201は、作業者が手にもって使用し且つICタグに記憶されている防犯登録番号を読み取るためのものであり、作業者が握るグリップ3と、グリップ3から延出した伸縮型の棒体4と、棒体4の先に設けた検出部205とから構成される。検出部205は回転軸206により可動状態に取り付けられている。検出部205には、アンテナが設けられ、クッションで保護されている。作業者はグリップ3を持って検出部205を自転車のシートチューブTに貼付されたICタグ付近に近付けることで、防犯登録番号を読み取る。このようにすれば、腰をかがめることなく、放置自転車等の検査が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の放置自転車等から盗難自転車を発見するための検出装置及び盗難自転車発見システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の盗難自転車の発見は、巡回中の警察官等が放置自転車の防犯登録番号を目視し、この防犯登録番号を警察の保有する情報センターに問い合わせることで行っている。或いは、防犯登録番号を書き写し、派出所に戻ってから問い合わせなどの処理を行っている。このようなことから、盗難自転車の発見にはかなりの手間がかかるため、大量の自転車が放置されている場所等において大量の放置自転車から盗難自転車を逐一発見するのは現実的ではない。また、実際に盗難届けを出しても、自転車が所有者に還付される割合は30%から40%程度である。
【0003】
上記のような現状からすると、短時間で盗難自転車の判断が可能なシステムがあれば、放置自転車のみならず、正規に駐輪している自転車に対しても照合を行うことが可能となり、盗難自転車の発見率を飛躍的に高めることができると思われる。
【0004】
このようなことから、特許文献1に係る発明では、防犯シールの防犯登録番号を読み取って照合することで作業効率を上げるようにしている。しかしながら、当該特許文献1に係る発明は、大量の自転車を短時間で検査する場合を想定していないため、現場の作業者に負担がかかるものとなっている。例えば、自転車の防犯シールはフレームの下方に張られていることが殆どであり、そうなると作業者は携帯端末本体を持って自転車の下方に手を伸ばさなければならない。これでは大量の自転車の検査を行うには不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−271106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、大量の放置自転車等から盗難自転車を楽に発見できるようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検出装置は、グリップと、グリップから延出する棒体と、棒体の先端に設けられると共に、筐体内部に複数のカメラを一定の角度をもって一方向に並設した検出部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明の検出装置は、上記発明において、前記検出部が、その検出面の両側に湾曲面に対して当接する突起を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、この発明の検出装置は、上記発明において、前記検出部が、棒体に対して可動状態で設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、この発明の検出装置は、上記発明において、前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明の検出装置は、グリップと、グリップから延出する棒体と、自転車に設けたICチップに記憶された情報を読み出すと共に前記棒体の先端に対して可動状態で設けられた無線近距離通信用のアンテナを内蔵した検出部と、当該アンテナに接続され前記ICチップの情報を読み出すリーダ部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明の検出装置は、上記発明において、前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、防犯シールの画像を撮影するカメラを有する検出部と、検出部のカメラの画像により取得された画像から防犯登録番号を認識する画像処理手段と、この防犯登録番号を外部のシステムが有する防犯登録番号と照合するように依頼すると共に照合結果を得る照合手段と、照合結果を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、前記検出部は、上記検出装置(グリップと、グリップから延出する棒体と、棒体の先端に設けられると共に、筐体内部に複数のカメラを一定の角度をもって一方向に並設した検出部とを備えたもの。前記検出部が、その検出面の両側に湾曲面に対して当接する突起を備えているもの。前記検出部が、棒体に対して可動状態で設けられているもの。前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であるもの)であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、自転車に設けたICチップに記憶された情報を検出する検出部と、検出部で読み出した防犯登録番号を外部のシステムが有する防犯登録番号と照合するように依頼すると共に照合結果を得る照合手段と、照合結果を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、前記検出部は、上記検出装置(グリップと、グリップから延出する棒体と、自転車に設けたICチップに記憶された情報を読み出すと共に前記棒体の先端に対して可動状態で設けられた無線近距離通信用のアンテナを内蔵した検出部と、当該アンテナに接続され前記ICチップの情報を読み出すリーダ部とを備えたことを特徴とするもの、または、前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であることを特徴とするもの)であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、更に、認識した前記防犯登録番号に識別番号を付与する識別番号付与手段を備えることを特徴とする。
【0018】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、更に、認識した前記防犯登録番号に位置情報を付与する位置情報付与手段を備えることを特徴とする。
【0019】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、更に、車体番号を入力する入力手段と、入力した車体番号に対して付加情報を付与する付加情報付与手段とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる盗難自転車発見システムを示す概念図である。
【図2】図1に示した盗難自転車発見システムの検出装置を示す側面図である。
【図3】図2の検出装置の先端を示す拡大図である。
【図4】使用状態の例を示す説明図である。
【図5】盗難自転車発見システムを示す構成図である。
【図6】盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。
【図7】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】検出装置の変形例を示す説明図である。
【図10】検出装置の変形例を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態2にかかる盗難自転車発見システムを示す概念図である。
【図12】図11に示した盗難自転車発見システムの検出装置を示す側面図である。
【図13】図11の検出装置の先端を示す拡大図である。
【図14】盗難自転車発見システムを示す構成図である。
【図15】盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。
【図16】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態3にかかる盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。
【図18】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【図19】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる盗難自転車発見システムを示す概念図である。図2は、図1に示した盗難自転車発見システムの検出装置を示す側面図である。図3は、図2の検出装置の先端を示す拡大図である。図4は、使用状態の例を示す説明図である。図5は、盗難自転車発見システムを示す構成図である。
【0022】
この盗難自転車発見システム100は、検出装置1と、携帯端末2とから構成される。検出装置1は、作業者が手もって使用し且つ防犯シールの番号を読み取るためのものであり、作業者が握るグリップ3と、グリップ3から延出した伸縮型の棒体4と、棒体4の先に設けた検出部5とから構成される。検出部5は直交する2つの回転軸6,7により可動状態に取り付けられている。なお、棒体4への検出部5の取り付けは、ユニバーサルジョイントやボールジョイントにより取り付けても良い。これにより、検出部5は左右方向及び上下方向に可動となる。また、棒体4の先端近傍は曲げた状態を保持できるフレキシブルチューブ8により構成される。棒体4は筒径の異なる複数のパイプ部材を順次挿入した構造であり、自在に伸縮できる。
【0023】
検出部5は、図3に示すように、湾曲した筐体9の内部に2つのCCD(Charge Coupled Device)カメラ10を設けた構造であり、筐体9の内側(前面側)は透明板11が設けられている。CCDカメラ10は、CCDイメージセンサと、当該CCDイメージセンサの正面に配置した結像レンズとから構成される。また、筐体9の両側縁には自転車のチューブT(湾曲面)に当接する円柱突起12が設けられている。この円柱突起12はゴム等の摩擦力の高い素材で構成するのが好ましい。左右のCCDカメラ10は一定の角度Kをもって一方向に配置されている。前記角度は、90度以上150度以下とするのが好ましい。筐体9内部であって左右のCCDカメラ10の間にはLEDライト13が設けられている。
【0024】
図3に示すように、検出部5の円柱突起12をチューブTの湾曲面に押し付けることで、検出部5がチューブTに対して位置決めされる。これにより、防犯シールを貼り付けた部分に対して検出部5を押し付けて位置決めすることで、左側のCCDカメラ10Lがチューブ面の左面TLに対向し、右側のCCDカメラ10Rがチューブ面の右側TRに対向することになる。また、筐体9の中央に設けたLEDライト13も一定の間隔をもってチューブ面に対向することになる。
【0025】
また、円柱突起12はチューブ面に直線で当接するので、図3に示すように、異なる径のチューブTAとチューブTBとに対しても位置決めできる。また、前記フレキシブルチューブ8は変形させた状態を保持可能であり、例えば図4に示すように、棒体4の先端をU字に曲げその状態を保持できる。これにより、自転車のシートチューブの正面側に防犯シールが張られている場合、フレキシブルチューブ8を折り曲げることで自転車の後ろから検出部5を当該防犯シールの面に押し当てることができる。
【0026】
グリップ3内には、CCDカメラで検出した画像をA/D変換するA/D変換部21と、左右のCCDカメラ10で撮像した画像を合成すると共に画像に表示されている防犯登録番号を文字情報として認識する画像処理部22と、防犯登録番号に対して識別番号を付与する識別番号付与部23と、識別番号を付与した画像を記憶する記憶部24と、合成した画像を表示する表示部25と、携帯端末2に対して画像データを送信する通信部26と、二次電池等の電源27とが設けられている。
【0027】
携帯端末2には、検出装置1から受信した画像を表示する表示部28と、表示した画像を警察の所有するサーバに送信して照合を依頼すると共に照合結果を得る照合部30と、警察内システムと通信を行う通信部31と、取得した画像に位置情報を付与する位置情報付与部29とから構成される。携帯端末2は、専用の端末でもよいが、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯可能な汎用コンピュータに所定のプログラムを組み込んで構成したものでも良い。
【0028】
警察内システム32は、携帯端末2と通信を行う通信部33と、サーバ34と、盗難自転車の防犯登録番号を記憶したデータベース35とからなる。
【0029】
次に、この盗難自転車発見システム100の動作を説明する。図6は、盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。図7及び図8は、盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。この盗難自転車発見システム100は、複数の自転車が並べて駐輪されている場所において使用することが多い。作業者は、検出装置1のグリップ3を持って検査対象の自転車のフレームに貼り付けてある防犯シールSを探す。そして防犯シールSが張られている部分に検出部5を押し当てる。これにより、検出部5の両側の円柱突起12がチューブTに当接して検出部5が当該チューブTに対して位置決めされる。
【0030】
そして、グリップ3の撮影ボタン36を押すと筐体9内のLEDライト13が点灯して防犯シールが張られているチューブTを照らし、CCDカメラ10がチューブTに張られた防犯シールを撮影する(ステップ1)。これにより、左側のCCDカメラ10Lはチューブの左半分の画像を取得し、右側のCCDカメラ10Rはチューブの右半分の画像を取得する(ステップ2)。例えば、図6に示すように、左側のCCDカメラ10Lは防犯シールの「J24947」の番号を含む画像51を取得し、右側のCCDカメラ10Rは防犯シールの「4763」の番号を含む画像52を取得する。
【0031】
次に、画像処理部22は、図6に示すように、左右のCCDカメラ10で撮影した防犯シールの画像51,52を一つの連続した画像53に連結合成する(ステップ3)。画像の連結合成方法は、公知のプログラムを用いて行う。
【0032】
次に、画像処理部22は、連結した画像53に表示されている防犯登録番号を文字認識によりデータとして読み取る(ステップ4)。読み取った防犯登録番号情報は検出装置1の表示部25に表示される。また、検出装置1は、防犯登録番号が正確に読み取られたか否かを判断する(ステップ5)。文字認識が正確にできなかった場合、表示部25にエラーを表示する(ステップ6)。また、スピーカー等の警告音発生装置を用いて、前記エラー表示とともにブザー等の警告音を発生させる(図示省略)。この場合、再びステップ1〜5の処理を行う。
【0033】
次に、識別番号付与手段23は、文字認識された防犯登録番号情報に対して識別番号を付与する(ステップ7)。例えば図6に示すように防犯登録番号情報「J2494763」に対して識別番号「001」を、防犯登録番号情報「J5837349」に対して識別番号「002」を、防犯登録番号情報「J1090475」に対して識別番号「003」を付与する。個々の防犯登録番号情報に識別番号を付与するのは、複数台の自転車をまとめて警察内システムに照会する場合に、盗難自転車の大よその位置を判別できるようにするためである。例えば、30台の自転車の防犯登録番号情報を警察に照会する場合に、現場において防犯登録番号のみを目印にして盗難自転車を特定するのは手間がかかる。このため、撮影順として識別番号を付与しておけば、盗難自転車を見つけやすい(大体何番目あたりの自転車が該当するかを判断すればよいため)。識別番号を付与された登録番号情報は、検出装置1の記憶部24に記憶される(ステップ8)。
【0034】
続いて、次の自転車の防犯登録番号を取得するか否か決定する(ステップ9)。具体的には、グリップ3の撮影ボタン36を押すことで自動的に撮影が継続される(ステップ1に戻る)。一方、撮影を終了する場合は、撮影終了ボタン37を押す。これにより、記憶部24に記憶されている防犯登録番号情報が携帯端末2に送信される(ステップ10)。携帯端末2は防犯登録番号情報を受信し、これを表示部28に表示する(ステップ11)。また、携帯端末2は、GPS(Global Positioning System)装置38を備えており、当該GPS装置38により位置情報を取得し、その位置情報を受信した全ての防犯登録番号情報に付与する(ステップ12)。例えば、図6に示すように、全ての防犯登録番号情報に位置情報として「広島県東広島市鏡山三丁目」の情報が付与される。
【0035】
次に、携帯端末2の照合部30は、警察内システム32に接続し(ステップ13)、記憶している防犯登録番号情報を送信する(ステップ14)。
【0036】
警察内システム32では、アクセス許可されている携帯端末2であることを確認のうえで防犯登録番号情報を受信する(ステップ15)。警察内システム32では、受信した防犯登録番号と、盗難届等に基づいて蓄積されている盗難自転車にかかる防犯登録番号との照合を行う(ステップ16)。照合の結果、盗難自転車と判断された場合(ステップ17)、その結果を「盗難自転車」として記憶する(ステップ18)。この照合は、受信した防犯登録番号情報の全てに対して行い、盗難自転車と判断されたものについてはその結果を全て記憶する。そして、警察内システム32は、記憶した照合結果を携帯端末2に送信する(ステップ19)。
【0037】
携帯端末2ではこの照合結果を受信し(ステップ20)、照合部30は、その照合結果に「盗難自転車」の情報が含まれている場合(ステップ21)、図6に示すように、表示部25には、照合結果である「盗難自転車」と、防犯登録番号情報に付与した識別番号「0003」と、防犯登録番号「J1098475」が表示される(ステップ22)。作業者は識別番号を参照しながら盗難自転車と思われる自転車の見当を付け、その自転車の防犯登録番号を目視で確認し、盗難自転車であることを特定する。作業者は、当該盗難自転車に対して鍵をかけるなどの所定の処置を行う。その上で、処置の報告を携帯端末2から警察内システム32に対して行う(ステップ24)。例えば、鍵をかける等の予め警察との間で定めた処理を行った旨の情報を携帯端末2から警察内システム32に送信する。
【0038】
一方、照合結果に盗難自転車が含まれていない場合には、表示部25に「盗難自転車なし」の表示を行う(ステップ23)。
【0039】
警察内システム32は、盗難自転車に対する処置の結果を記憶し(ステップ25)、被害届の際に電子メールアドレスを登録した所有者に対し、盗難自転車発見の連絡を行う(ステップ26)。このとき、携帯端末2において付与した位置情報が同時に送られるので、所有者は自己の自転車が存在する大よその場所を確認できる。なお、本願出願時の現状では電子メールの登録はされていないので、警察官が個別に所有者に電話や手紙等で連絡を行う。また、盗難自転車の引き取り方法については警察と所有者との間の取り決めに従う。
【0040】
以上、この盗難自転車発見システム100によれば、防犯登録番号を簡単かつ正確に読み取り、これを警察内システム32に照合することで、簡単に盗難自転車を判別できる。また、検出装置1は、検出部5が自在に動くこと、伸縮して長さを調整できること、自在に曲げられることから、作業者が腰をかがめたり無理な体勢をとったりすることなく、楽に使用できる。
【0041】
また、盗難自転車の防犯登録番号情報に位置情報を付与することで、警察では、被害届に含まれる盗難場所と当該位置情報とを比較し、盗難自転車の移動距離、場所等の統計を取得できる。かかる統計は、今後の自転車の盗難対策に利用できる。
【0042】
また、携帯端末2に作業者の情報を記憶させておき、防犯登録番号情報に当該作業者の情報を付与しても良い。これにより、作業者の担当した自転車を特定できる。また、作業者ごとの防犯登録番号情報の数、発見された盗難自転車の数、作業時間等の情報を警察側で把握可能になる。例えば、最初に送信されてきた防犯登録番号情報に含まれる時刻を作業開始時刻とし、最後に送信されてきた防犯登録番号情報に含まれる時刻を作業終了時間とすることで、その作業者の作業時間を取得できる。また、防犯登録番号情報の数と時間から作業者毎の作業負荷を計測できる。
【0043】
図9および図10は、検出装置1の変形例を示す説明図である。この検出装置1は、上記検出装置1と略同様の構成であるが、棒体4の先端の構造が異なる。その他の構造は上記検出装置1と同じであるからその説明を省略する。棒体4の先端は長手方向に対して直交方向に回転軸62を有する第一可動部61と、この第一可動部61の回転軸62の先端に設けられ且つ当該回転軸62に対して直交方向に回転する第二可動部63とを備える。検出部5は、回転軸62に対して第二可動部63により回転自在に設けられる。回転軸62の長さは、検出部5の幅の半分より長くする。検出部5は、第二可動部63により180度回転可能である。棒体4は上記検出装置1と同様の伸縮構造である。
【0044】
この検出装置1の動作を説明する。自転車の前からシートチューブTの前面に張られた防犯シールSを撮影する場合、自転車の前方から検出部5をフレームの間に位置させると共に検出部5を回転させて撮影面が前方を向くようにし、続いて、検出装置1を前に押し出しながら検出部5の円柱突起12をシートチューブTの湾曲面に押し当てる。シートチューブTは地面に対して傾斜しているのが通常であり、この傾斜に対しては第一可動部61により検出部5を回動させる。そして、この状態で防犯シールSを撮影する。
【0045】
次に、自転車の後からシートチューブTの前面に張られた防犯シールSを撮影する場合、自転車の後方から検出部5をフレームの間に位置させると共に当該検出部5を回転させて撮影面が後方を向くようにし、続いて、検出装置1を後に引きながら検出部5の円柱突起12をシートチューブTの湾曲面に押し当てる。シートチューブTは地面に対して傾斜しているのが通常であり、この傾斜に対しては第一可動部61により検出部5を回動させる。そして、この状態で防犯シールSを撮影する。
【0046】
また、自転車の横からシートチューブTの前面に張られた防犯シールSを撮影する場合、自転車の側方から検出部5をフレームの間に位置させると共に当該検出部5を回転させて撮影面が側方を向くようにし、続いて、検出装置1を横に動かしながら検出部5の円柱突起12をシートチューブTの湾曲面に押し当てる。シートチューブTは地面に対して傾斜しているのが通常であり、この傾斜に対してはグリップ3を手で少し傾けることで検出部5がチューブTに上手く当接するようにする。そして、この状態で防犯シールSを撮影する。
【0047】
このように、略L字形状に曲げた先端に検出部5を可動状態で設けることで、防犯シールSの貼り付け位置が作業者の正面側、裏面側或いは側面側になる場合でも容易に撮影できるようになる。
【0048】
(実施の形態2)
この実施の形態2に係る盗難自転車発見システムは、防犯登録シールに代えてICタグを用いた場合の例である。図11は、この発明の実施の形態2にかかる盗難自転車発見システムを示す概念図である。図12は、図11に示した盗難自転車発見システムの検出装置を示す側面図である。図13は、図11の検出装置の先端を示す拡大図である。図14は、盗難自転車発見システム200を示す構成図である。自転車のフレームのいずれかの場所にシールによりICタグが張り付けられ、このICタグに自転車の防犯登録番号その他の情報が記憶されている(所有者の氏名や住所、連絡先等は個人情報の漏えいにつながるため記憶されていない)。盗難自転車発見システム200は、検出装置201と、携帯端末2とから構成される。なお、実施の形態1の盗難自転車発見システム100と同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
前記検出装置201は、作業者が手に持って使用し且つ防犯登録番号を読み取るためのものであり、作業者が握るグリップ3と、グリップ3から延出した伸縮型の棒体4と、棒体4の先に設けた検出部205とから構成される。検出部205は、回転軸206により一方向に回転状態で取り付けられている。検出部205は平板状であり、内部には無線近距離通信手段であるパッシブタイプのRFID(RA/Dio Frequency IDentifICation)のアンテナ207が設けられている。また、検出部205の表面にはクッション材212が設けられている。クッション材212はウレタン、スポンジ、シリコンゴム等である。このクッション材212の厚さは、ICタグの読み取り距離よりも小さいものとする。例えば、読み取り距離が3cmであれば、厚さは2cm以下とするのが好ましい。
【0050】
また、前記クッション材212は、検出部205の筐体が自転車のフレームに当たって内部にダメージを与えることを防止すると共に自転車のフレームを傷つけることによるトラブルを防止できる。また、自転車のフレームに当てることで発生する音を減少できる。特に、棒体4により検出部205が離れているので作業者の手で微妙な位置調整ができない。このためクッション材212をフレームに押しつけるようにすれば、作業が楽になる。
【0051】
また、棒体4の先端近傍は曲げた状態を保持できるフレキシブルチューブ8により構成される。棒体4は筒径の異なる複数のパイプ部材を順次挿入した構造であり、自在に伸縮できる。
【0052】
グリップ3内には、前記アンテナ207に接続されたRFIDリーダ222と、RFIDリーダ222で取得した防犯登録番号情報に対して識別番号を付与する識別番号付与部23と、識別番号を付与した防犯登録番号情報を記憶する記憶部24と、取得した防犯登録番号を表示する表示部25と、携帯端末2に対して画像データを送信する通信部26と、二次電池等の電源27とが設けられている。
【0053】
次に、この盗難自転車発見システムの動作を説明する。図15は、盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。図16は、盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。この盗難自転車発見システム200は、複数の自転車が並べて駐輪されている場所において使用することが多い。作業者は、検出装置1のグリップ3を持って検査対象の自転車のシートチューブに貼り付けてあるICタグGを探す。そしてICタグGが張られている部分に検出部205を押し当てる。検出部205の表面にはクッション材212が設けられているので、シートチューブTに当てても接触音が出ず、検出部205や自転車のフレームにダメージを与えることがない。
【0054】
ICタグGに対して検出部205が近づくと、内蔵されているFRIDリーダ222がICタグGの防犯登録番号情報を読み取る(ステップ1)。検出装置1は、防犯登録番号が正確に読み取られたか否かを判断する(ステップ2)。正確に認識できなかった場合、表示部にエラーを表示する(ステップ3)。また、スピーカー等の警告音発生装置を用いて、前記エラー表示とともにブザー等の警告音を発生させる(図示省略)。
【0055】
次に、識別番号付与部23は、取得した防犯登録番号情報に対して識別番号を付与する(ステップ4)。例えば図15に示すように防犯登録番号情報「J2494763」に対して識別番号「001」を、防犯登録番号情報「J5837349」に対して識別番号「002」を、防犯登録番号情報「J1090475」に対して識別番号「003」を付与する。個々の防犯登録番号情報に識別番号を付与する理由は上記の通りである。識別番号を付与された登録番号情報は、検出装置1の記憶部に記憶される(ステップ5)。
【0056】
続いて、次の自転車の防犯登録番号を取得するか否か決定する(ステップ6)。具体的には、検出部205により次のICタグGの情報を取得した場合には自動的に継続される(ステップ1に戻る)。一方、終了する場合は、終了ボタン37を押す。これにより、記憶部24に記憶されている防犯登録番号情報が携帯端末2に送信される(ステップ7)。携帯端末2は防犯登録番号情報を受信し、これを表示部25に表示する(ステップ8)。また、携帯端末2では、GPS機能により位置情報を取得し、その位置情報を受信した全ての防犯登録番号情報に付与する(ステップ9)。例えば、図15に示すように、全ての防犯登録番号情報に位置情報として「広島県東広島市鏡山三丁目」の情報が付与される。
【0057】
次に、携帯端末2の照合部30は、警察内システム32に接続し(ステップ10)、記憶している防犯登録番号情報を送信する(ステップ11)。以降の処理は、図8に示すフローチャートに示す処理と同じであるからその説明を省略する。
【0058】
以上、この盗難自転車発見システム200によれば、RFIDにより防犯登録番号を簡単かつ正確に読み取り、これを警察内システム32に照合することで、簡単に盗難自転車を判別できる。また、検出装置201は、検出部205が自在に動くこと、伸縮して長さを調整できること、自在に曲げられることから、作業者が腰をかがめたり無理な体勢をとったりすることなく、楽に使用できる。
【0059】
なお、検出部5の表裏のみならず全面に渡りクッション材212を設けても良い。また、クッション材212の表面に撥水処理を施すか、又はクッション材212の外装に撥水機能を備えた素材を用いても良い。また、上記検出部205は、棒体4に対して一定の角度(例えば45度以上90度以下)をもって固定しても良い。その場合は、回転軸206は不要である。また、フレキシブルチューブ8も省略できる。
【0060】
(実施の形態3)
図17は、この発明の実施の形態3にかかる盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。図18及び図19は、盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。以下実施の形態1と異なる点について主に説明する。この盗難自転車発見システムは、防犯登録番号を記載した防犯シールが自転車から剥がされている場合の処理を行う点に特徴がある。上記実施の形態1及び2の盗難自転車発見システムにおいて携帯端末2にはテンキー等の入力手段および入力した車体番号に対して付加情報を付与する付加情報付与手段とが設けられている(図示省略)。警察内システム32のデータベース35には、防犯登録番号と共に車体番号の情報が格納されている。
【0061】
作業者は、放置されている自転車の防犯シールが剥がされている場合、自転車のフレームの下に刻印されている車体番号を読み、携帯端末の入力手段からその車体番号を入力する(ステップ31)。携帯端末での入力時に、車体番号を入力することを示す付加情報を番号情報の頭に付与する(ステップ32)。例えば付加情報として「xxxx」が自動的に入力される。この付加情報が入力された車体番号情報には、識別番号付与部23により識別番号が付与される(ステップ7)。以下、ステップ8からステップ14までは実施の形態1と同様である。
【0062】
次に、警察内システムでは、サーバ34は送信されてきた防犯登録番号情報と車体番号情報とを前記付加情報に基づいて振り分け(ステップ33)、車体番号情報が含まれている場合には、データベース35に記憶されている車体番号情報との照合を行う(ステップ34)。照合の結果、盗難自転車と判断された場合(ステップ17)、その結果を「盗難自転車」として記憶する。以下、ステップ19からステップ26までは実施の形態1と同様である。
【0063】
なお、携帯端末2における盗難自転車である旨の表示には、「車体番号に基づく結果」であることも表示する。これは、車体番号の場合は手入力であるため入力間違い等が生じる可能性があり、作業者に再確認を促すためである。
【0064】
以上のように、車体番号を入力することで、防犯シールが剥がされている場合で盗難車の発見を容易に行うことができるようになる。
【0065】
また、他の実施の形態として、上記実施の形態1〜3の他、上記検出装置1及び携帯端末2(201)を同一の筐体に設けるようにしても良い。この場合、検出装置1と携帯端末2(201)の通信部26,31は省略される。具体的には、グリップ3内に携帯端末2の表示部28、照合部30、位置情報付与部29が内蔵される。かかる構成によれば、携帯端末2を紛失することがなく、管理しやすい。
【符号の説明】
【0066】
100 盗難自転車発見システム
1 検出装置
2 携帯端末
3 グリップ
4 棒体
5 検出部
10 CCDカメラ
21 A/D変換器
22 画像処理部
23 識別番号付与部
24 記憶部
25 表示部
30 照合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の放置自転車等から盗難自転車を発見するための検出装置及び盗難自転車発見システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の盗難自転車の発見は、巡回中の警察官等が放置自転車の防犯登録番号を目視し、この防犯登録番号を警察の保有する情報センターに問い合わせることで行っている。或いは、防犯登録番号を書き写し、派出所に戻ってから問い合わせなどの処理を行っている。このようなことから、盗難自転車の発見にはかなりの手間がかかるため、大量の自転車が放置されている場所等において大量の放置自転車から盗難自転車を逐一発見するのは現実的ではない。また、実際に盗難届けを出しても、自転車が所有者に還付される割合は30%から40%程度である。
【0003】
上記のような現状からすると、短時間で盗難自転車の判断が可能なシステムがあれば、放置自転車のみならず、正規に駐輪している自転車に対しても照合を行うことが可能となり、盗難自転車の発見率を飛躍的に高めることができると思われる。
【0004】
このようなことから、特許文献1に係る発明では、防犯シールの防犯登録番号を読み取って照合することで作業効率を上げるようにしている。しかしながら、当該特許文献1に係る発明は、大量の自転車を短時間で検査する場合を想定していないため、現場の作業者に負担がかかるものとなっている。例えば、自転車の防犯シールはフレームの下方に張られていることが殆どであり、そうなると作業者は携帯端末本体を持って自転車の下方に手を伸ばさなければならない。これでは大量の自転車の検査を行うには不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−271106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、大量の放置自転車等から盗難自転車を楽に発見できるようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検出装置は、グリップと、グリップから延出する棒体と、棒体の先端に設けられると共に、筐体内部に複数のカメラを一定の角度をもって一方向に並設した検出部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明の検出装置は、上記発明において、前記検出部が、その検出面の両側に湾曲面に対して当接する突起を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、この発明の検出装置は、上記発明において、前記検出部が、棒体に対して可動状態で設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、この発明の検出装置は、上記発明において、前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明の検出装置は、グリップと、グリップから延出する棒体と、自転車に設けたICチップに記憶された情報を読み出すと共に前記棒体の先端に対して可動状態で設けられた無線近距離通信用のアンテナを内蔵した検出部と、当該アンテナに接続され前記ICチップの情報を読み出すリーダ部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明の検出装置は、上記発明において、前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、防犯シールの画像を撮影するカメラを有する検出部と、検出部のカメラの画像により取得された画像から防犯登録番号を認識する画像処理手段と、この防犯登録番号を外部のシステムが有する防犯登録番号と照合するように依頼すると共に照合結果を得る照合手段と、照合結果を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、前記検出部は、上記検出装置(グリップと、グリップから延出する棒体と、棒体の先端に設けられると共に、筐体内部に複数のカメラを一定の角度をもって一方向に並設した検出部とを備えたもの。前記検出部が、その検出面の両側に湾曲面に対して当接する突起を備えているもの。前記検出部が、棒体に対して可動状態で設けられているもの。前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であるもの)であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、自転車に設けたICチップに記憶された情報を検出する検出部と、検出部で読み出した防犯登録番号を外部のシステムが有する防犯登録番号と照合するように依頼すると共に照合結果を得る照合手段と、照合結果を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、前記検出部は、上記検出装置(グリップと、グリップから延出する棒体と、自転車に設けたICチップに記憶された情報を読み出すと共に前記棒体の先端に対して可動状態で設けられた無線近距離通信用のアンテナを内蔵した検出部と、当該アンテナに接続され前記ICチップの情報を読み出すリーダ部とを備えたことを特徴とするもの、または、前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であることを特徴とするもの)であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、更に、認識した前記防犯登録番号に識別番号を付与する識別番号付与手段を備えることを特徴とする。
【0018】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、更に、認識した前記防犯登録番号に位置情報を付与する位置情報付与手段を備えることを特徴とする。
【0019】
また、この発明の盗難自転車発見システムは、上記発明において、更に、車体番号を入力する入力手段と、入力した車体番号に対して付加情報を付与する付加情報付与手段とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる盗難自転車発見システムを示す概念図である。
【図2】図1に示した盗難自転車発見システムの検出装置を示す側面図である。
【図3】図2の検出装置の先端を示す拡大図である。
【図4】使用状態の例を示す説明図である。
【図5】盗難自転車発見システムを示す構成図である。
【図6】盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。
【図7】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】検出装置の変形例を示す説明図である。
【図10】検出装置の変形例を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態2にかかる盗難自転車発見システムを示す概念図である。
【図12】図11に示した盗難自転車発見システムの検出装置を示す側面図である。
【図13】図11の検出装置の先端を示す拡大図である。
【図14】盗難自転車発見システムを示す構成図である。
【図15】盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。
【図16】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態3にかかる盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。
【図18】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【図19】盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる盗難自転車発見システムを示す概念図である。図2は、図1に示した盗難自転車発見システムの検出装置を示す側面図である。図3は、図2の検出装置の先端を示す拡大図である。図4は、使用状態の例を示す説明図である。図5は、盗難自転車発見システムを示す構成図である。
【0022】
この盗難自転車発見システム100は、検出装置1と、携帯端末2とから構成される。検出装置1は、作業者が手もって使用し且つ防犯シールの番号を読み取るためのものであり、作業者が握るグリップ3と、グリップ3から延出した伸縮型の棒体4と、棒体4の先に設けた検出部5とから構成される。検出部5は直交する2つの回転軸6,7により可動状態に取り付けられている。なお、棒体4への検出部5の取り付けは、ユニバーサルジョイントやボールジョイントにより取り付けても良い。これにより、検出部5は左右方向及び上下方向に可動となる。また、棒体4の先端近傍は曲げた状態を保持できるフレキシブルチューブ8により構成される。棒体4は筒径の異なる複数のパイプ部材を順次挿入した構造であり、自在に伸縮できる。
【0023】
検出部5は、図3に示すように、湾曲した筐体9の内部に2つのCCD(Charge Coupled Device)カメラ10を設けた構造であり、筐体9の内側(前面側)は透明板11が設けられている。CCDカメラ10は、CCDイメージセンサと、当該CCDイメージセンサの正面に配置した結像レンズとから構成される。また、筐体9の両側縁には自転車のチューブT(湾曲面)に当接する円柱突起12が設けられている。この円柱突起12はゴム等の摩擦力の高い素材で構成するのが好ましい。左右のCCDカメラ10は一定の角度Kをもって一方向に配置されている。前記角度は、90度以上150度以下とするのが好ましい。筐体9内部であって左右のCCDカメラ10の間にはLEDライト13が設けられている。
【0024】
図3に示すように、検出部5の円柱突起12をチューブTの湾曲面に押し付けることで、検出部5がチューブTに対して位置決めされる。これにより、防犯シールを貼り付けた部分に対して検出部5を押し付けて位置決めすることで、左側のCCDカメラ10Lがチューブ面の左面TLに対向し、右側のCCDカメラ10Rがチューブ面の右側TRに対向することになる。また、筐体9の中央に設けたLEDライト13も一定の間隔をもってチューブ面に対向することになる。
【0025】
また、円柱突起12はチューブ面に直線で当接するので、図3に示すように、異なる径のチューブTAとチューブTBとに対しても位置決めできる。また、前記フレキシブルチューブ8は変形させた状態を保持可能であり、例えば図4に示すように、棒体4の先端をU字に曲げその状態を保持できる。これにより、自転車のシートチューブの正面側に防犯シールが張られている場合、フレキシブルチューブ8を折り曲げることで自転車の後ろから検出部5を当該防犯シールの面に押し当てることができる。
【0026】
グリップ3内には、CCDカメラで検出した画像をA/D変換するA/D変換部21と、左右のCCDカメラ10で撮像した画像を合成すると共に画像に表示されている防犯登録番号を文字情報として認識する画像処理部22と、防犯登録番号に対して識別番号を付与する識別番号付与部23と、識別番号を付与した画像を記憶する記憶部24と、合成した画像を表示する表示部25と、携帯端末2に対して画像データを送信する通信部26と、二次電池等の電源27とが設けられている。
【0027】
携帯端末2には、検出装置1から受信した画像を表示する表示部28と、表示した画像を警察の所有するサーバに送信して照合を依頼すると共に照合結果を得る照合部30と、警察内システムと通信を行う通信部31と、取得した画像に位置情報を付与する位置情報付与部29とから構成される。携帯端末2は、専用の端末でもよいが、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯可能な汎用コンピュータに所定のプログラムを組み込んで構成したものでも良い。
【0028】
警察内システム32は、携帯端末2と通信を行う通信部33と、サーバ34と、盗難自転車の防犯登録番号を記憶したデータベース35とからなる。
【0029】
次に、この盗難自転車発見システム100の動作を説明する。図6は、盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。図7及び図8は、盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。この盗難自転車発見システム100は、複数の自転車が並べて駐輪されている場所において使用することが多い。作業者は、検出装置1のグリップ3を持って検査対象の自転車のフレームに貼り付けてある防犯シールSを探す。そして防犯シールSが張られている部分に検出部5を押し当てる。これにより、検出部5の両側の円柱突起12がチューブTに当接して検出部5が当該チューブTに対して位置決めされる。
【0030】
そして、グリップ3の撮影ボタン36を押すと筐体9内のLEDライト13が点灯して防犯シールが張られているチューブTを照らし、CCDカメラ10がチューブTに張られた防犯シールを撮影する(ステップ1)。これにより、左側のCCDカメラ10Lはチューブの左半分の画像を取得し、右側のCCDカメラ10Rはチューブの右半分の画像を取得する(ステップ2)。例えば、図6に示すように、左側のCCDカメラ10Lは防犯シールの「J24947」の番号を含む画像51を取得し、右側のCCDカメラ10Rは防犯シールの「4763」の番号を含む画像52を取得する。
【0031】
次に、画像処理部22は、図6に示すように、左右のCCDカメラ10で撮影した防犯シールの画像51,52を一つの連続した画像53に連結合成する(ステップ3)。画像の連結合成方法は、公知のプログラムを用いて行う。
【0032】
次に、画像処理部22は、連結した画像53に表示されている防犯登録番号を文字認識によりデータとして読み取る(ステップ4)。読み取った防犯登録番号情報は検出装置1の表示部25に表示される。また、検出装置1は、防犯登録番号が正確に読み取られたか否かを判断する(ステップ5)。文字認識が正確にできなかった場合、表示部25にエラーを表示する(ステップ6)。また、スピーカー等の警告音発生装置を用いて、前記エラー表示とともにブザー等の警告音を発生させる(図示省略)。この場合、再びステップ1〜5の処理を行う。
【0033】
次に、識別番号付与手段23は、文字認識された防犯登録番号情報に対して識別番号を付与する(ステップ7)。例えば図6に示すように防犯登録番号情報「J2494763」に対して識別番号「001」を、防犯登録番号情報「J5837349」に対して識別番号「002」を、防犯登録番号情報「J1090475」に対して識別番号「003」を付与する。個々の防犯登録番号情報に識別番号を付与するのは、複数台の自転車をまとめて警察内システムに照会する場合に、盗難自転車の大よその位置を判別できるようにするためである。例えば、30台の自転車の防犯登録番号情報を警察に照会する場合に、現場において防犯登録番号のみを目印にして盗難自転車を特定するのは手間がかかる。このため、撮影順として識別番号を付与しておけば、盗難自転車を見つけやすい(大体何番目あたりの自転車が該当するかを判断すればよいため)。識別番号を付与された登録番号情報は、検出装置1の記憶部24に記憶される(ステップ8)。
【0034】
続いて、次の自転車の防犯登録番号を取得するか否か決定する(ステップ9)。具体的には、グリップ3の撮影ボタン36を押すことで自動的に撮影が継続される(ステップ1に戻る)。一方、撮影を終了する場合は、撮影終了ボタン37を押す。これにより、記憶部24に記憶されている防犯登録番号情報が携帯端末2に送信される(ステップ10)。携帯端末2は防犯登録番号情報を受信し、これを表示部28に表示する(ステップ11)。また、携帯端末2は、GPS(Global Positioning System)装置38を備えており、当該GPS装置38により位置情報を取得し、その位置情報を受信した全ての防犯登録番号情報に付与する(ステップ12)。例えば、図6に示すように、全ての防犯登録番号情報に位置情報として「広島県東広島市鏡山三丁目」の情報が付与される。
【0035】
次に、携帯端末2の照合部30は、警察内システム32に接続し(ステップ13)、記憶している防犯登録番号情報を送信する(ステップ14)。
【0036】
警察内システム32では、アクセス許可されている携帯端末2であることを確認のうえで防犯登録番号情報を受信する(ステップ15)。警察内システム32では、受信した防犯登録番号と、盗難届等に基づいて蓄積されている盗難自転車にかかる防犯登録番号との照合を行う(ステップ16)。照合の結果、盗難自転車と判断された場合(ステップ17)、その結果を「盗難自転車」として記憶する(ステップ18)。この照合は、受信した防犯登録番号情報の全てに対して行い、盗難自転車と判断されたものについてはその結果を全て記憶する。そして、警察内システム32は、記憶した照合結果を携帯端末2に送信する(ステップ19)。
【0037】
携帯端末2ではこの照合結果を受信し(ステップ20)、照合部30は、その照合結果に「盗難自転車」の情報が含まれている場合(ステップ21)、図6に示すように、表示部25には、照合結果である「盗難自転車」と、防犯登録番号情報に付与した識別番号「0003」と、防犯登録番号「J1098475」が表示される(ステップ22)。作業者は識別番号を参照しながら盗難自転車と思われる自転車の見当を付け、その自転車の防犯登録番号を目視で確認し、盗難自転車であることを特定する。作業者は、当該盗難自転車に対して鍵をかけるなどの所定の処置を行う。その上で、処置の報告を携帯端末2から警察内システム32に対して行う(ステップ24)。例えば、鍵をかける等の予め警察との間で定めた処理を行った旨の情報を携帯端末2から警察内システム32に送信する。
【0038】
一方、照合結果に盗難自転車が含まれていない場合には、表示部25に「盗難自転車なし」の表示を行う(ステップ23)。
【0039】
警察内システム32は、盗難自転車に対する処置の結果を記憶し(ステップ25)、被害届の際に電子メールアドレスを登録した所有者に対し、盗難自転車発見の連絡を行う(ステップ26)。このとき、携帯端末2において付与した位置情報が同時に送られるので、所有者は自己の自転車が存在する大よその場所を確認できる。なお、本願出願時の現状では電子メールの登録はされていないので、警察官が個別に所有者に電話や手紙等で連絡を行う。また、盗難自転車の引き取り方法については警察と所有者との間の取り決めに従う。
【0040】
以上、この盗難自転車発見システム100によれば、防犯登録番号を簡単かつ正確に読み取り、これを警察内システム32に照合することで、簡単に盗難自転車を判別できる。また、検出装置1は、検出部5が自在に動くこと、伸縮して長さを調整できること、自在に曲げられることから、作業者が腰をかがめたり無理な体勢をとったりすることなく、楽に使用できる。
【0041】
また、盗難自転車の防犯登録番号情報に位置情報を付与することで、警察では、被害届に含まれる盗難場所と当該位置情報とを比較し、盗難自転車の移動距離、場所等の統計を取得できる。かかる統計は、今後の自転車の盗難対策に利用できる。
【0042】
また、携帯端末2に作業者の情報を記憶させておき、防犯登録番号情報に当該作業者の情報を付与しても良い。これにより、作業者の担当した自転車を特定できる。また、作業者ごとの防犯登録番号情報の数、発見された盗難自転車の数、作業時間等の情報を警察側で把握可能になる。例えば、最初に送信されてきた防犯登録番号情報に含まれる時刻を作業開始時刻とし、最後に送信されてきた防犯登録番号情報に含まれる時刻を作業終了時間とすることで、その作業者の作業時間を取得できる。また、防犯登録番号情報の数と時間から作業者毎の作業負荷を計測できる。
【0043】
図9および図10は、検出装置1の変形例を示す説明図である。この検出装置1は、上記検出装置1と略同様の構成であるが、棒体4の先端の構造が異なる。その他の構造は上記検出装置1と同じであるからその説明を省略する。棒体4の先端は長手方向に対して直交方向に回転軸62を有する第一可動部61と、この第一可動部61の回転軸62の先端に設けられ且つ当該回転軸62に対して直交方向に回転する第二可動部63とを備える。検出部5は、回転軸62に対して第二可動部63により回転自在に設けられる。回転軸62の長さは、検出部5の幅の半分より長くする。検出部5は、第二可動部63により180度回転可能である。棒体4は上記検出装置1と同様の伸縮構造である。
【0044】
この検出装置1の動作を説明する。自転車の前からシートチューブTの前面に張られた防犯シールSを撮影する場合、自転車の前方から検出部5をフレームの間に位置させると共に検出部5を回転させて撮影面が前方を向くようにし、続いて、検出装置1を前に押し出しながら検出部5の円柱突起12をシートチューブTの湾曲面に押し当てる。シートチューブTは地面に対して傾斜しているのが通常であり、この傾斜に対しては第一可動部61により検出部5を回動させる。そして、この状態で防犯シールSを撮影する。
【0045】
次に、自転車の後からシートチューブTの前面に張られた防犯シールSを撮影する場合、自転車の後方から検出部5をフレームの間に位置させると共に当該検出部5を回転させて撮影面が後方を向くようにし、続いて、検出装置1を後に引きながら検出部5の円柱突起12をシートチューブTの湾曲面に押し当てる。シートチューブTは地面に対して傾斜しているのが通常であり、この傾斜に対しては第一可動部61により検出部5を回動させる。そして、この状態で防犯シールSを撮影する。
【0046】
また、自転車の横からシートチューブTの前面に張られた防犯シールSを撮影する場合、自転車の側方から検出部5をフレームの間に位置させると共に当該検出部5を回転させて撮影面が側方を向くようにし、続いて、検出装置1を横に動かしながら検出部5の円柱突起12をシートチューブTの湾曲面に押し当てる。シートチューブTは地面に対して傾斜しているのが通常であり、この傾斜に対してはグリップ3を手で少し傾けることで検出部5がチューブTに上手く当接するようにする。そして、この状態で防犯シールSを撮影する。
【0047】
このように、略L字形状に曲げた先端に検出部5を可動状態で設けることで、防犯シールSの貼り付け位置が作業者の正面側、裏面側或いは側面側になる場合でも容易に撮影できるようになる。
【0048】
(実施の形態2)
この実施の形態2に係る盗難自転車発見システムは、防犯登録シールに代えてICタグを用いた場合の例である。図11は、この発明の実施の形態2にかかる盗難自転車発見システムを示す概念図である。図12は、図11に示した盗難自転車発見システムの検出装置を示す側面図である。図13は、図11の検出装置の先端を示す拡大図である。図14は、盗難自転車発見システム200を示す構成図である。自転車のフレームのいずれかの場所にシールによりICタグが張り付けられ、このICタグに自転車の防犯登録番号その他の情報が記憶されている(所有者の氏名や住所、連絡先等は個人情報の漏えいにつながるため記憶されていない)。盗難自転車発見システム200は、検出装置201と、携帯端末2とから構成される。なお、実施の形態1の盗難自転車発見システム100と同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
前記検出装置201は、作業者が手に持って使用し且つ防犯登録番号を読み取るためのものであり、作業者が握るグリップ3と、グリップ3から延出した伸縮型の棒体4と、棒体4の先に設けた検出部205とから構成される。検出部205は、回転軸206により一方向に回転状態で取り付けられている。検出部205は平板状であり、内部には無線近距離通信手段であるパッシブタイプのRFID(RA/Dio Frequency IDentifICation)のアンテナ207が設けられている。また、検出部205の表面にはクッション材212が設けられている。クッション材212はウレタン、スポンジ、シリコンゴム等である。このクッション材212の厚さは、ICタグの読み取り距離よりも小さいものとする。例えば、読み取り距離が3cmであれば、厚さは2cm以下とするのが好ましい。
【0050】
また、前記クッション材212は、検出部205の筐体が自転車のフレームに当たって内部にダメージを与えることを防止すると共に自転車のフレームを傷つけることによるトラブルを防止できる。また、自転車のフレームに当てることで発生する音を減少できる。特に、棒体4により検出部205が離れているので作業者の手で微妙な位置調整ができない。このためクッション材212をフレームに押しつけるようにすれば、作業が楽になる。
【0051】
また、棒体4の先端近傍は曲げた状態を保持できるフレキシブルチューブ8により構成される。棒体4は筒径の異なる複数のパイプ部材を順次挿入した構造であり、自在に伸縮できる。
【0052】
グリップ3内には、前記アンテナ207に接続されたRFIDリーダ222と、RFIDリーダ222で取得した防犯登録番号情報に対して識別番号を付与する識別番号付与部23と、識別番号を付与した防犯登録番号情報を記憶する記憶部24と、取得した防犯登録番号を表示する表示部25と、携帯端末2に対して画像データを送信する通信部26と、二次電池等の電源27とが設けられている。
【0053】
次に、この盗難自転車発見システムの動作を説明する。図15は、盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。図16は、盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。この盗難自転車発見システム200は、複数の自転車が並べて駐輪されている場所において使用することが多い。作業者は、検出装置1のグリップ3を持って検査対象の自転車のシートチューブに貼り付けてあるICタグGを探す。そしてICタグGが張られている部分に検出部205を押し当てる。検出部205の表面にはクッション材212が設けられているので、シートチューブTに当てても接触音が出ず、検出部205や自転車のフレームにダメージを与えることがない。
【0054】
ICタグGに対して検出部205が近づくと、内蔵されているFRIDリーダ222がICタグGの防犯登録番号情報を読み取る(ステップ1)。検出装置1は、防犯登録番号が正確に読み取られたか否かを判断する(ステップ2)。正確に認識できなかった場合、表示部にエラーを表示する(ステップ3)。また、スピーカー等の警告音発生装置を用いて、前記エラー表示とともにブザー等の警告音を発生させる(図示省略)。
【0055】
次に、識別番号付与部23は、取得した防犯登録番号情報に対して識別番号を付与する(ステップ4)。例えば図15に示すように防犯登録番号情報「J2494763」に対して識別番号「001」を、防犯登録番号情報「J5837349」に対して識別番号「002」を、防犯登録番号情報「J1090475」に対して識別番号「003」を付与する。個々の防犯登録番号情報に識別番号を付与する理由は上記の通りである。識別番号を付与された登録番号情報は、検出装置1の記憶部に記憶される(ステップ5)。
【0056】
続いて、次の自転車の防犯登録番号を取得するか否か決定する(ステップ6)。具体的には、検出部205により次のICタグGの情報を取得した場合には自動的に継続される(ステップ1に戻る)。一方、終了する場合は、終了ボタン37を押す。これにより、記憶部24に記憶されている防犯登録番号情報が携帯端末2に送信される(ステップ7)。携帯端末2は防犯登録番号情報を受信し、これを表示部25に表示する(ステップ8)。また、携帯端末2では、GPS機能により位置情報を取得し、その位置情報を受信した全ての防犯登録番号情報に付与する(ステップ9)。例えば、図15に示すように、全ての防犯登録番号情報に位置情報として「広島県東広島市鏡山三丁目」の情報が付与される。
【0057】
次に、携帯端末2の照合部30は、警察内システム32に接続し(ステップ10)、記憶している防犯登録番号情報を送信する(ステップ11)。以降の処理は、図8に示すフローチャートに示す処理と同じであるからその説明を省略する。
【0058】
以上、この盗難自転車発見システム200によれば、RFIDにより防犯登録番号を簡単かつ正確に読み取り、これを警察内システム32に照合することで、簡単に盗難自転車を判別できる。また、検出装置201は、検出部205が自在に動くこと、伸縮して長さを調整できること、自在に曲げられることから、作業者が腰をかがめたり無理な体勢をとったりすることなく、楽に使用できる。
【0059】
なお、検出部5の表裏のみならず全面に渡りクッション材212を設けても良い。また、クッション材212の表面に撥水処理を施すか、又はクッション材212の外装に撥水機能を備えた素材を用いても良い。また、上記検出部205は、棒体4に対して一定の角度(例えば45度以上90度以下)をもって固定しても良い。その場合は、回転軸206は不要である。また、フレキシブルチューブ8も省略できる。
【0060】
(実施の形態3)
図17は、この発明の実施の形態3にかかる盗難自転車発見システムの動作を示す説明図である。図18及び図19は、盗難自転車発見システムの動作を示すフローチャートである。以下実施の形態1と異なる点について主に説明する。この盗難自転車発見システムは、防犯登録番号を記載した防犯シールが自転車から剥がされている場合の処理を行う点に特徴がある。上記実施の形態1及び2の盗難自転車発見システムにおいて携帯端末2にはテンキー等の入力手段および入力した車体番号に対して付加情報を付与する付加情報付与手段とが設けられている(図示省略)。警察内システム32のデータベース35には、防犯登録番号と共に車体番号の情報が格納されている。
【0061】
作業者は、放置されている自転車の防犯シールが剥がされている場合、自転車のフレームの下に刻印されている車体番号を読み、携帯端末の入力手段からその車体番号を入力する(ステップ31)。携帯端末での入力時に、車体番号を入力することを示す付加情報を番号情報の頭に付与する(ステップ32)。例えば付加情報として「xxxx」が自動的に入力される。この付加情報が入力された車体番号情報には、識別番号付与部23により識別番号が付与される(ステップ7)。以下、ステップ8からステップ14までは実施の形態1と同様である。
【0062】
次に、警察内システムでは、サーバ34は送信されてきた防犯登録番号情報と車体番号情報とを前記付加情報に基づいて振り分け(ステップ33)、車体番号情報が含まれている場合には、データベース35に記憶されている車体番号情報との照合を行う(ステップ34)。照合の結果、盗難自転車と判断された場合(ステップ17)、その結果を「盗難自転車」として記憶する。以下、ステップ19からステップ26までは実施の形態1と同様である。
【0063】
なお、携帯端末2における盗難自転車である旨の表示には、「車体番号に基づく結果」であることも表示する。これは、車体番号の場合は手入力であるため入力間違い等が生じる可能性があり、作業者に再確認を促すためである。
【0064】
以上のように、車体番号を入力することで、防犯シールが剥がされている場合で盗難車の発見を容易に行うことができるようになる。
【0065】
また、他の実施の形態として、上記実施の形態1〜3の他、上記検出装置1及び携帯端末2(201)を同一の筐体に設けるようにしても良い。この場合、検出装置1と携帯端末2(201)の通信部26,31は省略される。具体的には、グリップ3内に携帯端末2の表示部28、照合部30、位置情報付与部29が内蔵される。かかる構成によれば、携帯端末2を紛失することがなく、管理しやすい。
【符号の説明】
【0066】
100 盗難自転車発見システム
1 検出装置
2 携帯端末
3 グリップ
4 棒体
5 検出部
10 CCDカメラ
21 A/D変換器
22 画像処理部
23 識別番号付与部
24 記憶部
25 表示部
30 照合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップから延出する棒体の先端に対して可動状態に設けられ且つ自転車に設けたICチップに記憶された情報を読み出す無線近距離通信用のアンテナを内蔵した検出部と、
当該アンテナに接続され前記ICチップの情報を読み出すリーダ部と、
前記検出部で読み出した防犯登録番号を外部のシステムが有する防犯登録番号と照合するように依頼すると共に照合結果を得る照合手段と、
照合結果を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする盗難自転車発見システム。
【請求項2】
前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
更に、認識した前記防犯登録番号に識別番号を付与する識別番号付与手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の盗難自転車発見システム。
【請求項4】
更に、認識した前記防犯登録番号に位置情報を付与する位置情報付与手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の盗難自転車発見システム。
【請求項5】
更に、車体番号を入力する入力手段と、入力した車体番号に対して付加情報を付与する付加情報付与手段とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の盗難自転車発見システム。
【請求項1】
グリップから延出する棒体の先端に対して可動状態に設けられ且つ自転車に設けたICチップに記憶された情報を読み出す無線近距離通信用のアンテナを内蔵した検出部と、
当該アンテナに接続され前記ICチップの情報を読み出すリーダ部と、
前記検出部で読み出した防犯登録番号を外部のシステムが有する防犯登録番号と照合するように依頼すると共に照合結果を得る照合手段と、
照合結果を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする盗難自転車発見システム。
【請求項2】
前記棒体が曲げた状態を保持できる構造であることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
更に、認識した前記防犯登録番号に識別番号を付与する識別番号付与手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の盗難自転車発見システム。
【請求項4】
更に、認識した前記防犯登録番号に位置情報を付与する位置情報付与手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の盗難自転車発見システム。
【請求項5】
更に、車体番号を入力する入力手段と、入力した車体番号に対して付加情報を付与する付加情報付与手段とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の盗難自転車発見システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−233139(P2011−233139A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21251(P2011−21251)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【分割の表示】特願2010−100424(P2010−100424)の分割
【原出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(308030765)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【分割の表示】特願2010−100424(P2010−100424)の分割
【原出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(308030765)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]