説明

検査支援システム、製品の製造システムおよび製品の製造方法

【課題】本発明は、出荷先で発生するおそれがある不良を抑制することができる検査支援システム、製品の製造システムおよび製品の製造方法を提供する。
【解決手段】製品の構成要素に関する検査情報を格納する構成要素検査情報格納手段と、前記製品の品質保証検査に関する検査情報を格納する品質保証検査情報格納手段と、前記製品の構成要素に関する検査情報に基づいて不良発生の予測を行い、前記製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて代替的に不良発生の実績を求め、前記不良発生の予測と前記代替的な不良発生の実績とに基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価する検査評価手段と、を備えることを特徴とする検査支援システムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査支援システム、製品の製造システムおよび製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部品を組み付けることで製造されるような製品においては、製品を構成する各部品の品質(例えば、部品の加工精度など)が完成品である製品の品質(例えば、その製品が有するべき性能など)に大きな影響を及ぼす。そのため、製品の製造前に部品の検査を行い製造される製品が不良品となることを抑制するようにしている。
しかしながら、この部品の検査において合格した部品同士を組み付けた場合であっても完成品である製品の検査において不合格となる場合がある。
【0003】
そのため、本格的な製造を開始する前に各部品の精度検査と、検査を行った部品で組立てられた製品の性能検査とを行い、各部品の検査結果と製品の検査結果との相関関係を求めることで各部品の組み合わせを決定する技術が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示がされた技術では製品の製造過程における歩留まりを向上させることができても、製品の出荷先で発生する不良(典型的には、いわゆる初期不良など)を抑制することができないおそれがある。
【特許文献1】特開平8−215957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、出荷先で発生するおそれがある不良を抑制することができる検査支援システム、製品の製造システムおよび製品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、製品の構成要素に関する検査情報を格納する構成要素検査情報格納手段と、前記製品の品質保証検査に関する検査情報を格納する品質保証検査情報格納手段と、前記製品の構成要素に関する検査情報に基づいて不良発生の予測を行い、前記製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて代替的に不良発生の実績を求め、前記不良発生の予測と前記代替的な不良発生の実績とに基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価する検査評価手段と、を備えることを特徴とする検査支援システムが提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、製品の組立てを行う組立手段と、前記組立後に所定の検査基準に基づいて検査を行う第1の検査手段と、前記組立後に所定の数の製品の品質保証検査を行う第2の検査手段と、上記の検査支援システムと、を備え、前記検査支援システムは、製品の構成要素に関する検査情報に基づいて不良発生の予測を行うとともに、前記第2の検査手段から提供される前記製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて代替的に不良発生の実績を求め、前記不良発生の予測と前記代替的な不良発生の実績とに基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価して、前記評価を検査支援情報として前記第1の検査手段に提供すること、を特徴とする製品の製造システムが提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、製品の構成要素に関する検査情報に基づいて不良発生の予測を行い、製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて代替的に不良発生の実績を求め、前記不良発生の予測と前記代替的な不良発生の実績とに基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価すること、を特徴とする製品の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出荷先で発生するおそれがある不良を抑制することができる検査支援システム、製品の製造システムおよび製品の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。
図1は、本実施の形態に係る製品の検査支援システムの概略構成を例示するためのブロック図である。
図1に示すように、検査支援システム1には、構成要素検査情報格納手段2、品質保証検査情報格納手段3、参考情報格納手段4、検査評価手段5が設けられている。また、検査評価手段5には、構成要素検査情報格納手段2、品質保証検査情報格納手段3、参考情報格納手段4が電気的に接続され、それぞれに格納されている情報(データ)を検査評価手段5に提供できるようになっている。また、検査評価手段5は、提供された情報(データ)に基づいて出荷先で不良が発生する可能性を評価し、これを検査支援情報として外部の機器に提供できるようになっている。なお、出荷先で不良が発生する可能性の評価については後述する。
【0011】
構成要素検査情報格納手段2は、製品を構成する部品や装置等(以下、構成要素と称する)に関する検査情報を格納する。例えば、受入検査(入荷検査)や製造メーカにおける検査の情報をデータとして格納する。また、格納されている情報(データ)を検査評価手段5に提供できるようになっている。また、構成要素の品質にとって関係の深い事項も検査情報(データ)として格納することができるようになっている。例えば、製造メーカ名、製造時期、製造場所、構成要素の規格、ロット番号などをも格納することができるようになっている。
【0012】
品質保証検査情報格納手段3は、製品の品質保証検査に関する検査情報を格納する。例えば、環境検査や長期間にわたる信頼性検査に関する情報をデータとして格納する。また、格納されている情報(データ)を検査評価手段5に提供できるようになっている。
環境検査に関する情報(データ)としては、例えば、温度、湿度、気圧などを変化させて行う検査に関する情報(データ)を例示することができる。また、長期間にわたる信頼性検査に関する情報(データ)としては、例えば、基本性能の検査を長期間にわたり行う検査に関する情報(データ)を例示することができる。
参考情報格納手段4は、組立てられた製品の検査に関連する参考情報を格納する。例えば、熟練した作業者の知見や過去における同機種または類似機種の検査に関する情報をデータとして格納する。また、格納されている情報(データ)を検査評価手段5に提供できるようになっている。
なお、参考情報格納手段4は必ずしも必要ではない。ただし、参考情報格納手段4を設けるようにすれば、例えば、熟練した作業者の経験則のようなものも考慮することができるので、より多面的な評価を行うことができる。
【0013】
また、構成要素検査情報格納手段2、品質保証検査情報格納手段3、参考情報格納手段4に格納されている各情報(データ)は、ロット番号毎に区分されている。そのため、本実施の形態においては、ロット番号をキーとして不良発生を予測したり、代替的に不良発生の実績を求めたり、参考情報を考慮したり、出荷先で不良が発生する可能性を評価したりしている。
【0014】
次に、検査支援システム1の作用について例示をする。
検査支援システム1は、構成要素検査情報格納手段2に格納されている構成要素に関する検査情報に基づいて不良発生の予測を行う。この際、不良発生の予測の評価指標とするために所定の評価ポイントを用いて数値化を行う。
また、品質保証検査情報格納手段3に格納されている品質保証検査において不合格となった製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて代替的に不良発生の実績を求める。この際、不良発生の実績の評価指標とするために所定の評価ポイントを用いて数値化を行う。
そして、不良発生の予測と代替的な不良発生の実績とに基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価する。また、不良が発生する可能が高いとされた製品の情報を検査支援情報として出力する。なお、前述したように、参考情報格納手段4に格納されている参考情報をも加えて出荷先で不良が発生する可能性を評価することもできる。
【0015】
出荷先で不良が発生する可能性の評価についてさらに例示をする。
まず、不良発生の予測に関して例示をする。
図2は、不良発生の予測を例示するためのフローチャートである。
また、図3、図4は、構成要素の各ロットの等級分けと評価ポイントの付与を例示するための模式図である。
まず、構成要素検査情報格納手段2に格納されている構成要素の検査情報から、該当製品に使用される構成要素の各ロット毎の検査情報を取得する(ステップS1)。
【0016】
次に、各構成要素の各ロットを等級分けする(ステップS2)。
すなわち、製品の各構成要素に関する検査情報をロット毎に所定の等級に等級分けする。例えば、図3(a)に示すように、一の構成要素において検査の規定値近傍の範囲にあるロットの等級を「A」、「A」より外れた範囲にあるロットの等級を「B」、「B」より外れた範囲にあるロットの等級を「C」、「C」より外れた範囲にあるロットを「NG」(不合格)とすることができる。
また、図3(a)は、分布がほぼ正規分布を呈する場合であるがこれに限定されるわけではない。例えば、図4(a)に示すような場合においても、検査の規定値近傍の範囲にあるロットの等級を「A」、「A」より外れた範囲にあるロットの等級を「B」、「B」より外れた範囲にあるロットの等級を「C」、「C」より外れた範囲にあるロットを「NG」(不合格)とすることができる。
すなわち、分布の形態にかかわらず等級分けを行うことができ、等級分けの各範囲も、検査の内容、構成要素の品種、経験値などに基づいて適宜決定することができる。また、等級分けの級数は例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
次に、等級分けされた等級に応じて所定の評価ポイントを付与し、これらを情報(データ)として格納する(ステップS3)。
例えば、図3(b)、図4(b)に示すように、等級「A」に対しては評価ポイント「1」、等級「B」に対しては評価ポイント「3」、等級「C」に対しては評価ポイント「5」を付与するようにすることができる。なお、「NG」(不合格)の構成要素は製品の製造に使用されることがないので評価ポイントを付与しないようにすることができる。また、評価ポイントも例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0017】
次に、格納されている各構成要素における各ロット毎の評価ポイント同士の積をロットの組み合わせ分だけ算出し、構成要素検査情報に基づく不良予測情報として格納する(ステップS4)。
すなわち、各構成要素間におけるロットの組合せ毎に、前述の付与された評価ポイントの積を求めることで評価ポイントを算出し、構成要素検査情報に基づく不良予測情報として格納する。
【0018】
例えば、表1に示すように、図3(b)、図4(b)に例示をした各構成要素における各ロット毎の評価ポイント同士の積を算出し、不良予測情報として格納する。
【0019】
【表1】


一般的には、構成要素に関する検査において合格したものであっても規定値に近いものほど信頼性が高いと考えられる。例えば、等級「A」のものは最も信頼性が高く、等級「B」、「C」となるにつれ信頼性が低下してゆくと考えられる。そのため、構成要素を組み合わせた場合においても等級「A」同士を組み合わせたものは最も信頼性が高く、等級「C」同士を組み合わせたものは最も信頼性が低くなると考えられる。
【0020】
本実施の形態においては、等級毎に付与された評価ポイント同士の積を求めることで不良の発生を予測するようにしている。例えば、最も信頼性が低い等級「C」同士を組み合わせた場合にはその値は「25」となり、最も信頼性が高い等級「A」同士を組み合わせた場合にはその値は「1」となる。なお、評価ポイント同士の積に限定されるわけではなく、和としてもよい。ただし、積とした方が算出された値の差が大きくなるので相違を明確にすることができる。
次に、算出された評価ポイント(付与された評価ポイントの積または和)に基づいて不良発生の予測を行う(ステップS5)。
【0021】
この場合、例えば、最も信頼性が低い等級「C」同士を組み合わせた評価ポイント「25」のものを不良発生の可能性が高いものとすることができる。なお、所定の閾値を設けて不良の発生を予測するようにすることもできる。
【0022】
ここで、構成要素検査情報に基づく不良発生の予測だけでは、出荷先で不良が発生する可能性に対する評価精度を向上させることができない。例えば、最も信頼性が低い等級「C」同士を組み合わせた評価ポイント「25」のものであっても常に出荷先において不良が発生するとは限らない。そのため、評価ポイント「25」のものをすべて廃棄したり、すべて再検査したりすれば、歩留まりや生産性が低下するおそれがある。
【0023】
そこで、本実施の形態においては、前述した不良発生の予測のみならず代替的に求められた不良発生の実績をも考慮することで、出荷先において不良が発生する可能性を評価するようにしている。ここで、一般的には、出荷先において発生した不良に関する情報(データ)を収集するのは困難である。また、収集できたとしても情報(データ)が偏在していたり、数が少ないなどの不都合が生じるおそれがある。
【0024】
そのため、本実施の形態においては、品質保証検査情報格納手段3に格納されている品質保証検査において不合格となった製品の品質保証検査に関する検査情報を用いて、代替的に不良発生の実績を求めるようにしている。前述したように、品質保証検査においては環境検査や長期間にわたる信頼性検査などが行われる。一般的に、このような検査の内容は搬送や出荷先における状況をも考慮して決められている場合が多い。そのため、品質保証検査において不合格となったものを、出荷先において不良を発生させたものと見なすことができる。また、検査対象製品や検査数なども任意に決定することができるので、情報(データ)の偏在や数などを制御することもできる。
【0025】
次に、代替的な不良発生の実績に関して例示をする。
図5は、代替的な不良発生の実績を求める場合を例示するためのフローチャートである。
まず、品質保証検査で不合格となった製品を構成する各構成要素のロット番号に関する情報(データ)を取得し、これを格納、蓄積する(ステップS10)。
表2は、格納、蓄積された各構成要素のロット番号に関する情報(データ)を例示するための表である。
【表2】


次に、蓄積された各構成要素のロット番号の組み合わせの数を算出する(ステップS11)。
すなわち、品質保証検査において不合格となった製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて、各構成要素間におけるロットの組合せを求めてその組合せの数を算出する。
【0026】
表3は、表2における「構成要素1」と「構成要素2」とに着目し、算出された組み合わせの数に関する情報(データ)を例示するための表である。例えば、表2における「構成要素1」と「構成要素2」とにおいて各ロット番号の組み合わせの数を算出し、「ロットA3」と「ロットB3」の組み合わせが「10」組あった場合には表3の該当欄に「10」と入力される。
【表3】


次に、組み合わせの数に応じて評価ポイントを付与し、付与された評価ポイントに基づいて代替的な不良発生の実績を求める(ステップS12)。
表4は、表3における組み合わせの数に応じて評価ポイントを付与したものを例示するための表である。例えば、組み合わせの数が「0」の場合は評価ポイントを「0」、組み合わせの数が「1以上、4以下」の場合は評価ポイントを「1」、組み合わせの数が「5以上」の場合は評価ポイントを「5」とすることができる。
なお、以上は「構成要素1」と「構成要素2」とに着目した場合であるが、同様の処理(組み合わせの数の算出、評価ポイントの付与)がすべての構成要素の組み合わせに関して行われる。また、求められた代替的な不良発生の実績は不良実績評価情報として格納される。
【0027】
【表4】


ここで、品質保証検査の検査数が増加すると、各構成要素のロット番号の組み合わせの数もそれにつれて増加することになる。そのため、ロット番号の組み合わせの数をそのまま用いると適切な評価ができなくなる場合が生じ得る。本実施の形態においては、組み合わせの数に応じて評価ポイントを付与することで情報(データ)に普遍性を持たせるようにしている。
【0028】
なお、組み合わせの数に応じた評価ポイントは例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。また、経験則などにより品質保証検査の検査数が所定の範囲に決められている場合には、組み合わせの数をそのまま用いるようにすることもできる。
【0029】
以上のようにして求められた不良発生の予測(不良予測情報)と代替的な不良発生の実績(不良実績評価情報)とを用いて、出荷先で不良が発生する可能性を評価する。この場合、格納されている不良予測情報における評価ポイントと不良実績評価情報における評価ポイントとの積を算出し、算出された値に基づいて出荷先で不良が発生する可能性を評価するようにすることができる。
表5は、表1(不良予測情報)における評価ポイントと、表4(不良実績評価情報)における評価ポイントとの積を算出した場合を例示するための表である。例えば、表1における「A3とB3との組み合わせ」に関する評価ポイント「25」と、表4における「A3とB3との組み合わせ」に関する評価ポイント「5」との積が、表5における「A3とB3との組み合わせ」に関する値「125」となる。
この場合、評価ポイントが高いものほど出荷先で不良が発生する可能が高いと評価することができる。そのため、所定の閾値などを設けるなどして該当する製品を割り出し、その情報を検査支援情報として出力するようにすることもできる。
なお、評価ポイントの積に限定されるわけではなく、和としてもよい。ただし、積とした方が算出された値の差が大きくなるので相違を明確にすることができる。
【0030】
【表5】


一般的には、品質保証検査において検査されるものの数は少ない。そのため、出荷先における不良発生の可能性を不良実績評価情報のみを用いて評価するものとすれば、評価の精度が低くなるおそれがある。一方、構成要素の検査においては検査されるものの数が非常に多い。
そのため、不良発生の予測(不良予測情報)と代替的な不良発生の実績(不良実績評価情報)の双方を用い、互いの欠点を補い合わせることで評価の精度を向上させるようにしている。
【0031】
また、前述したように、参考情報格納手段4に格納されている参考情報をも加えて出荷先で不良が発生する可能性を評価することもできる。
表6は、参考情報を例示するための表である。
表6に例示をするものは、構成要素相互間における相性の経験値を評価ポイントを用いて表したものである。例えば、「構成要素1」と「構成要素2」との相性が悪い(不良を発生させやすい)ことが経験的に分かっているような場合には高い評価ポイント(「5」)を付与し、「構成要素1」と「構成要素3」との相性が良い(不良を発生させ難い)ことが経験的に分かっているような場合には、低い評価ポイント(「1」)を付与するようにすることができる。
【0032】
そして、表5に例示した評価ポイントとの積を算出し、算出した値に基づいて出荷先で不良が発生する可能性を評価することができる。この場合、評価ポイントが高いものほど出荷先で不良が発生する可能が高いと評価することができる。そのため、所定の閾値などを設けるなどして該当する製品を割り出し、その情報を検査支援情報として出力するようにすることもできる。
なお、評価ポイントの積に限定されるわけではなく、和としてもよい。ただし、積とした方が算出された値の差が大きくなるので相違を明確にすることができる。
【0033】
【表6】

このようにすれば、熟練した作業者の経験則のようなものも考慮することができるので、より多面的な評価を行うことができる。
【0034】
次に、本実施の形態に係る製品の製造システム100について例示をする。なお、部品や装置などから製品を組立てる場合を例にとって説明をする。
図6は、本実施の形態に係る製品の製造システムを例示するためのブロック図である。 なお、図中の実線の矢印はデータの流れを表し、破線の矢印は工程の流れを表している。
製品の製造システム100は、受入検査(入荷検査)手段101、構成要素搬入手段102、組立手段103、製品検査手段104、品質保証検査手段105、本実施の形態に係る検査支援システム1を備えている。また、出荷ステージ106を適宜備えるようにすることができる。
【0035】
受入検査手段101は、図示しない各種の測定手段を備え、入荷した構成要素の寸法、精度、性能などの検査を行い、これを構成要素の検査情報(データ)として検査支援システム1に設けられた構成要素検査情報格納手段2に送ることができるようになっている。また、構成要素の品質にとって関係の深い事項に関する情報(データ)も検査支援システム1に設けられた構成要素検査情報格納手段2に送るようになっている。そのようなものとしては、例えば、製造メーカ名、製造時期、製造場所、構成要素の規格、ロット番号などを例示することができる。
【0036】
なお、受入検査手段101は必ずしも必要ではない。例えば、構成要素の製造メーカにおける検査のデータが添付されている場合には、受入検査(入荷検査)を省くこともできる。そのような場合には、添付されている検査情報(データ)を検査支援システム1に設けられた構成要素検査情報格納手段2に送るようにすればよい。ただし、受入検査手段101が設けられていれば、種々の受入形態にも対応することができる。
【0037】
構成要素搬入手段102は、図示しない各種のハンドリング手段などを備え、受入検査(入荷検査)手段101による検査で合格したもの、あるいは製造メーカにおける検査の合格データが添付されたものを組立手段103に搬入する。なお、受入検査(入荷検査)手段101による検査で不合格となったもの、製造メーカにおける検査のデータに不備があるものなどは、組立手段103に搬入されず修正、廃棄などが行われる図示しないステージに向けて搬出される。
【0038】
組立手段103は、製品の組立てを行う。すなわち、図示しない各種の組み付け装置や処理装置などを備え搬入された構成要素の組み付け、処理などを行う。例えば、モータ、センサ、記録媒体、コンデンサなどの電気部品、回路基板、半導体装置、電池などをフレームや装置に組み付けたり、配線の半田付けをしたり、塗装などの表面処理を行ったりする。
【0039】
製品検査手段104は、製品の組立後に所定の検査基準に基づいて検査を行う。すなわち、図示しない各種の測定手段などを備え、製品の寸法、精度、外観、性能などを検査する。また、各種の検査に必要な情報(データ)を格納する図示しない格納手段を備えている。製品検査手段104による検査で合格となったものの一部は、品質保証検査手段105に送られ、残りは出荷ステージ106に送られる。なお、製品検査手段104による検査で不合格となったものは出荷ステージ106に送られず、修正、廃棄などが行われる図示しないステージに向けて搬出される。
【0040】
品質保証検査手段105は、製品の品質保証検査を行うための各種の検査手段を備え、製品の組立後に所定の数の製品の品質保証検査を行う。各種の検査手段としては、例えば、環境検査や長期間にわたる信頼性検査を行うための検査手段などを例示することができる。また、検査結果を品質保証検査に関する検査情報(データ)として検査支援システム1に設けられた品質保証検査情報格納手段3に送ることができるようになっている。品質保証検査情報格納手段3に送られる情報(データ)としては、例えば、環境検査に関する情報(データ)として温度、湿度、気圧を変化させて行う検査に関する情報(データ)や、長期間にわたる信頼性検査に関する情報(データ)として基本性能の検査を長期間にわたり行う検査に関する情報(データ)などを例示することができる。また、各種の品質保証検査に必要な情報(データ)を格納する図示しない格納手段を備えている。
また、品質保証検査手段105により検査が行われた製品は廃棄されるようになっている。なお、品質保証検査の内容などによっては、出荷ステージ106に送るようにすることもできる。
【0041】
前述したように、検査支援システム1は、構成要素検査情報格納手段2に格納されている情報(データ)に基づいて不良発生の予測を行う。また、品質保証検査手段105から送られ品質保証検査情報格納手段3に格納されている不合格となった製品に関する情報(データ)に基づいて代替的な不良発生の実績を求める。そして、不良発生の予測と代替的な不良発生の実績とから出荷先で不良が発生する可能性を評価し、不良が発生する可能が高いとされた製品の情報を検査支援情報として製品検査手段104に送る。この際、参考情報格納手段4に格納されている参考情報をも考慮して出荷先で不良が発生する可能性を評価し、これを検査支援情報として製品検査手段104に送るようにすることもできる。
【0042】
検査支援システム1から送られた検査支援情報は、製品検査手段104に設けられた図示しない格納手段に格納される。そして、出荷先で不良が発生する可能性が高いとされた情報(データ)に該当する製品が出荷ステージ106にある場合には、これを再検査するようにすることができる。この場合、再検査をより詳細に行うようにすることもできる。また、製品検査手段104に設けられた図示しない格納手段に格納されている検査データを書き換えて、該当する製品が流れてきた場合にはより詳細な検査を行ったり、繰り返し検査を行ったりするようにすることができる。
【0043】
出荷ステージ106は、製品を保管するための各種手段が設けられ、出荷のための準備が行えるようになっている。また、検査支援システム1から送られた検査支援情報に基づいて、該当する製品を製品検査手段104に向けて搬出することができるようになっている。
【0044】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、検査支援システム1、製品の製造システム100などが備える各要素の配置、数などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、評価ポイントの付与に関しても、不良発生の可能性が高くなるほど高い評価ポイントを付与するようにしたが、不良発生の可能性が高くなるほど低い評価ポイントを付与するようにしてもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施の形態に係る製品の検査支援システムの概略構成を例示するためのブロック図である。
【図2】不良発生の予測を例示するためのフローチャートである。
【図3】構成要素の各ロットの等級分けと評価ポイントの付与を例示するための模式図である。
【図4】構成要素の各ロットの等級分けと評価ポイントの付与を例示するための模式図である。
【図5】代替的な不良発生の実績を求める場合を例示するためのフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る製品の製造システムを例示するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
1 検査支援システム、2 構成要素検査情報格納手段、3 品質保証検査情報格納手段、4 参考情報格納手段、5 検査評価手段、100 製造システム、101 受入検査(入荷検査)手段、102 構成要素搬入手段、103 組立手段、104 製品検査手段、105 品質保証検査手段、106 出荷ステージ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の構成要素に関する検査情報を格納する構成要素検査情報格納手段と、
前記製品の品質保証検査に関する検査情報を格納する品質保証検査情報格納手段と、
前記製品の構成要素に関する検査情報に基づいて不良発生の予測を行い、前記製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて代替的に不良発生の実績を求め、前記不良発生の予測と前記代替的な不良発生の実績とに基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価する検査評価手段と、
を備えたことを特徴とする検査支援システム。
【請求項2】
前記検査評価手段は、前記製品の各構成要素に関する検査情報をロット毎に所定の等級に等級分けし、前記等級分けされた等級に応じて第1の評価ポイントを付与し、各構成要素間におけるロットの組合せ毎に前記付与された第1の評価ポイントの積または和を求めることで第2の評価ポイントを算出し、前記第2の評価ポイントに基づいて前記不良発生の予測を行うこと、を特徴とする請求項1記載の検査支援システム。
【請求項3】
前記検査評価手段は、品質保証検査において不合格となった製品の前記品質保証検査に関する検査情報に基づいて、各構成要素間におけるロットの組合せを求めてその組合せの数を算出し、前記算出された組合せの数に応じて第3の評価ポイントを付与し、前記付与された第3の評価ポイントに基づいて前記代替的な不良発生の実績を求めること、を特徴とする請求項1または2に記載の検査支援システム。
【請求項4】
前記検査評価手段は、前記第2の評価ポイントと、前記第3の評価ポイントと、の積または和に基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価すること、を特徴とする請求項3記載の検査支援システム。
【請求項5】
組立てられた製品の検査に関連する参考情報を格納する参考情報格納手段をさらに備え、
前記検査評価手段は、前記参考情報に第4の評価ポイントを付与し、前記第2の評価ポイントと、前記第3の評価ポイントと、前記第4の評価ポイントと、の積または和に基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価することを特徴とする請求項4記載の検査支援システム。
【請求項6】
製品の組立てを行う組立手段と、
前記組立後に所定の検査基準に基づいて検査を行う第1の検査手段と、
前記組立後に所定の数の製品の品質保証検査を行う第2の検査手段と、
請求項1〜5のいずれか1つに記載の検査支援システムと、を備え、
前記検査支援システムは、製品の構成要素に関する検査情報に基づいて不良発生の予測を行うとともに、前記第2の検査手段から提供される前記製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて代替的に不良発生の実績を求め、前記不良発生の予測と前記代替的な不良発生の実績とに基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価して、前記評価を検査支援情報として前記第1の検査手段に提供すること、を特徴とする製品の製造システム。
【請求項7】
入荷した前記構成要素の検査を行う受入検査手段をさらに備え、
前記受入検査手段から前記検査支援システムへ前記製品の構成要素に関する検査情報が提供されること、を特徴とする請求項6記載の製品の製造システム。
【請求項8】
製品の構成要素に関する検査情報に基づいて不良発生の予測を行い、製品の品質保証検査に関する検査情報に基づいて代替的に不良発生の実績を求め、前記不良発生の予測と前記代替的な不良発生の実績とに基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価すること、を特徴とする製品の製造方法。
【請求項9】
前記製品の各構成要素に関する検査情報をロット毎に所定の等級に等級分けし、
前記等級分けされた等級に応じて第1の評価ポイントを付与し、
各構成要素間におけるロットの組合せ毎に前記付与された第1の評価ポイントの積または和を求めることで第2の評価ポイントを算出し、前記第2の評価ポイントに基づいて前記不良発生の予測を行うこと、を特徴とする請求項8記載の製品の製造方法。
【請求項10】
品質保証検査において不合格となった製品の前記品質保証検査に関する検査情報に基づいて、各構成要素間におけるロットの組合せを求めてその組合せの数を算出し、
前記算出された組合せの数に応じて第3の評価ポイントを付与し、
前記付与された第3の評価ポイントに基づいて前記代替的な不良発生の実績を求めること、を特徴とする請求項8または9に記載の製品の製造方法。
【請求項11】
前記第2の評価ポイントと、前記第3の評価ポイントと、の積または和に基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価すること、を特徴とする請求項10記載の製品の製造方法。
【請求項12】
組立てられた製品の検査に関連する参考情報に第4の評価ポイントを付与し、
前記第2の評価ポイントと、前記第3の評価ポイントと、前記第4の評価ポイントと、の積または和に基づいて、出荷先で不良が発生する可能性を評価すること、を特徴とする請求項11記載の製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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