説明

検索システム

【課題】既存のデータをオントロジーと対応させる情報構造及び機能を有し、これによってオントロジーを構築し、既存のデータベースと対応づけることで、オントロジーによる情報処理対象を簡便に拡大することができる検索システムのためのマッピングシステムを提供する。
【解決手段】既存データベースから構造化されたメタデータを作成するメタデータ作成手段と、該メタデータ作成手段によって構造化されたメタデータから特定の情報を抽出するための射影を作成する射影作成手段と、該射影作成手段によって作成された射影を情報オントロジーデータベースのクラスにマッピングさせる第1のマッピング手段と、射影の射影項目をクラスのプロパティにマッピングさせる第2のマッピング手段と、その射影項目の有効値リストの値をそのプロパティの有効値リストの値にマッピングさせる第3のマッピング手段とによって構成されたマッピングシステムを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既存のデータをオントロジーと対応させる情報構造および機能を有してオントロジーを構築し既存の情報システムのデータベースと対応付けるマッピングシステムを具備する検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、データベースから、オントロジーを考慮し、且つ、単一のインデックス化システムを使用して文書、画像及びその他の携帯のマルチメディア等の情報を取り出すことを目的として、各種の相互に関連したオントロジーにより処理されたオブジェクトを取得するための1台の検索エンジンを構成するためにネットワークにより相互に接続された1台以上のフロントエンド・コンピュータと1台以上のコンピュータ・ノードとを含む分散コンピュータ・データベース・システムを開示する。また、この特許文献1において、各オブジェクトは、特定のオントロジーに適合し、クエリは特定のオントロジーに適合するオブジェクトの一つで、1つ以上の目標オントロジーに適合するオブジェクトの検索に使用されるものである。ユーザからのクエリは、フロントエンド・コンピュータの1台へ送信され、このコンピュータがクエリをホーム・ノードと呼ばれる本発明の検索エンジンのコンピュータ・ノードの一つへ転送する。ホーム・ノードは、オントロジーにしたがってこのクエリから特徴を抽出する。ついでにこれらの特徴がハッシュされる。各々のハッシュされた特徴と目標オントロジーのリストがネットワーク上の1つのノードへ送信される。ネットワーク上にあってハッシュされた特徴を受信する各ノードはこのクエリのハッシュされた特徴を使用してデータベースの各々対応する部分に対して検索を実行する。ローカル・データベースの検索結果は、このクエリと、オブジェクトが処理されたオントロジーと、他のオントロジーの中にあるハッシュされた同等な特徴に位置するオブジェクトのオブジェクト識別子とからなる。これらのその他のハッシュされた特徴は必要に応じて各々対応するノードに転送され、希望する目標オントロジーに到達するまでこのプロセスが継続する。目標オントロジーに到達した場合には、ローカル・データベースの検索結果がホーム・ノードにより収集される。このクエリの結果は各目標オントロジーを計算し、このプロセスはクエリの結果を絞り込むためホーム・ノードにより反復される。つまり、この特許文献1に係る発明では、クエリのオントロジーに従ってクエリから複数の特徴と抽出し、その特徴の各々を特徴フラグメントに分割し、この特徴フラグメントの各々をハッシュしてハッシュされた特徴フラグメントにすることにより、データベースから情報を単語に基づいて又は単語以外のものに基づいて取り出すために、クエリを処理するための情報取り出しシステムを提供する。
【0003】
特許文献2に開示されるコンテンツアクセス装置は、コンテンツにおいて利用されているオントロジーと、コンテンツを参照するアプリケーションが利用するオントロジーが異なっている場合に、アプリケーションのオントロジーに近い体系のオントロジーでコンテンツデータを参照できるようにするために、オントロジーを保持するオントロジーデータベースにアクセスする手段を持ち、コンテンツとアプリケーションが利用する2つのオントロジーが異なる場合に、オントロジーデータベース中の第3のオントロジーを利用して、それらの間の対応関係を調整するマッピングを行うものである。
【0004】
特許文献3に開示される異種の生物学的データをオントロジー的に統合させる方法において、第1のデータセットからのデータを分析して第1のデータセットの構成要素がオントロジーへとマッピングする場所を決定する。第2のデータセットからのデータを分析して第2のデータセットの構成要素がオントロジーとマッピングする場所を決定する。第1のデータセットのサブセットを同定し、第2のデータセットのサブセットを同定する。第1のデータセットのサブセットの構成要素により第1のオントロジー項目を同定する。第2のデータセットのサブセットをオントロジーへのマッピングに関し統計的に分析し、第2のデータセットのサブセットの構成要素により第2のオントロジー項目を同定する。第1のオントロジー項目の第2のオントロジー項目との関連付けをさらに実行することが可能である。
【特許文献1】特表2002−521753号公報
【特許文献2】特開2001−75988号公報
【特許文献3】特開2006−120143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に情報システムは個々の業務プロセスを支援するために構築され、その業務プロセスに最適化された情報構造及び文法によりデータが生成、格納される。しかし、蓄積されたデータ資産を最大限に有効利用するためには各業務プロセスにて処理されるデータが単一の標準化された構造及び文法で生成、格納されることが望ましいが、組織、業務、場所が異なれば、文化、言語、用語、基準が異なるデータ構造及び文法でデータが生成、格納される情報システムが構築され、異なる情報システム間のデータの交換による有効利用が高負荷なものとなる。
【0006】
また、対象世界に存在するものの概念を構造化し、重複、欠損なく意味論によりものを表現することができる情報オントロジー技術は、単一の標準化された概念に基づいたデータを生成し、格納することから注目されている。
【0007】
オントロジーを構築し、そのオントロジーに基づいたデータの生成を行う情報システムは、上述した特許文献から明らかなように、既存の情報システムのデータの変換負荷や情報システムの再構築の負荷が大きい。また、オントロジーに対応するよう構築された情報システムのみがその恩恵を得られる範囲となる。
【0008】
このため、この発明は、既存のデータをオントロジーと対応させる情報構造及び機能を有し、これによってオントロジーを構築し、既存の情報システムのデータベースと対応づけることで、オントロジーによる情報処理対象を簡便に拡大することができる検索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明に係る検索システムは、特定の概念として知識化された情報オントロジーのクラスと、そのクラスで知識化された概念と同一若しくは同等な情報を有する既存データベースを結合させる仕組みであり、この仕組みにより、データ構造、文法、基準の異なる既存データベースの情報を、情報オントロジーの各構造にマッピングすることで既存データベースのデータを情報オントロジーで標準化されたデータに対して互換させるものである。
【0010】
また、単一の情報オントロジーに対し、複数の既存データベースをマッピングすることで、データ構造、文法、基準がそれぞれ異なる各既存データベースのデータは、情報オントロジーを通じて相互に互換することが可能となる。
【0011】
本願発明に係るマッピングシステムにおいて、情報オントロジーと既存データベースのマッピングの構造は、既存データベースのメタデータを基にクラス定義に近似の既存データベースの射影を構造定義し、射影の各部と情報オントロジーの各部を対応づけすることにより実現することができるものである。
【0012】
したがって、本願発明に係る検索システムは、対象物の概念により知識化するクラスを有し、該クラスを特定するプロパティが1つ以上結びつけられる情報オントロジーに基づいて、業務プロセスを支援する目的で構築され、稼働している既存の情報システムが使用している既存データベースから検索を行う検索システムにおいて、前記既存データベースから構造化されたメタデータを作成するメタデータ作成手段と、該メタデータ作成手段によって構造化されたメタデータから特定の情報を抽出するための射影を作成する射影作成手段と、該射影作成手段によって作成された射影を情報オントロジーデータベースのクラスにマッピングさせる第1のマッピング手段と、該第1のマッピング手段によってクラスと射影がマッピングされた状態で、射影の射影項目をクラスのプロパティにマッピングさせる第2のマッピング手段と、該第2のマッピング手段によって有効値リストを有するプロパティと有効値リストを有する射影項目がマッピングされた状態で、その射影項目の有効値リストの値をそのプロパティの有効値リストの値にマッピングさせる第3のマッピング手段とによって構成されるマッピングシステムを具備することにある。
【0013】
また、前記メタデータは、物理的なデータベース情報、データベースにストアされているデータファイルの情報、データファイル間の結合情報、データファイルのデータ項目の情報及びデータ項目の有効なデータ値の情報であることが望ましい。
【0014】
前記射影作成手段は、さらに単位データベースを具備し、射影の構造定義時に、単位概念を持つデータの射影項目に対して、単位が異なることを検知した場合、その単位間の互換方法を前記単位データベースから検索して単位変換することが望ましい。
【0015】
前記情報オントロジーから所望のクラスを選択することによって、前記マッピングシステムよって所望のクラスとマッピングされた少なくとも一つの射影を介して既存データベースから情報を入手することが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
したがって、本願発明によれば、情報オントロジーデータベースが、クラスのインスタンスデータを持たず、既存の情報システムが処理しているデータベース内のデータをインスタンスデータとして取り扱うことから、複数の既存データベースをそのまま使用することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に示すように、本願発明に係る検索システムは、ステップ100〜500で構成されるマッピングシステム1と検索処理手段600を具備する。このマッピングシステム1は、対象物の概念により知識化するクラスを有し、該クラスを特定するプロパティが1つ以上結びつけられる情報オントロジーに基づいて、業務プロセスを支援する目的で構築され、稼働している既存の情報システムが使用している既存データベースから検索を行う検索システムにおいて、前記既存のデータベースのメタデータを作成するメタデータ作成手段100と、このメタデータ作成手段100によって作成されたメタデータから特定の情報を抽出するための射影を作成する射影作成手段200と、この射影作成手段100によって作成された射影を情報オントロジーデータベースのクラスにマッピングさせる第1のマッピング手段300と、この第1のマッピング手段300によってクラスと射影がマッピングされた状態で、射影の射影項目をクラスのプロパティにマッピングさせる第2のマッピング手段400と、この第2のマッピング手段400によって有効値リストを有するプロパティと有効値リストを有する射影項目がマッピングされた状態で、その射影項目の有効値リストの値をそのプロパティの有効値リストの値にマッピングさせる第3のマッピング手段500とによって構成される。
【0018】
前記メタデータ作成手段100において、メタデータはデータに関するデータであり、既存データベースのメタデータとは、既存データベースに格納されているデータに関するデータである。既存データベースのメタデータは、物理的なデータベースの情報、データベースにストアされているデータファイルの情報、データファイル間の結合情報、データファイルのデータ項目の情報及びデータ項目の有効なデータ値の情報である。これらの既存データベースのメタデータは、既存データベースの管理システムが保有するカタログ情報などから自動的に生成することができる。また、不足する情報については手作業によって補完することも可能である。
【0019】
前記射影作成手段200における射影の作成は、例えば図2のフローチャートに示される。ステップ200から開始される射影の作成において、ステップ201において、既存データベース内のデータファイルを一つ選択する。ステップ202においてさらにデータファイルを選択するか否かが判定され、選択する場合(Y)には、ステップ201に戻ってさらにデータファイルを選択し、ステップ202の選択において選択しない(N)が判定されるまで、データファイルが選択される。これによって、既存データベース内にある1つ以上のデータファイルが選択される。
【0020】
ステップ203の判定において、選択されたデータファイル数が2以上ある場合(Y)には、ステップ204に進んで、選択したデータファイルの結合条件が設定され、ステップ205の射影項目が定義される。また、選択されたデータファイル数が1の場合(N)は、ステップ204を回避してステップ205に進んで射影項目が定義される。この定義は、
1.単一のデータ項目をそのまま参照する射影項目を定義する。
2.単一のデータ項目を計算して導出する射影項目を定義する。
3.複数のデータ項目を計算して導出する射影項目を定義する。
4.データ項目を参照しない、定数若しくは環境等から動的に導出する射影項目を定義する。
ことである。
【0021】
具体的には、図2で示すように、ステップ206において、射影項目がデータ項目の単純参照か否かが判定され、単純参照である場合(Y)には、ステップ207においてデータ項目が選択される。また、単純参照でない場合(N)には、ステップ208に進んで、射影項目がデータ項目を参照する場合(Y)には、ステップ209に進んでデータ項目を選択し、ステップ210において選択が終了するまで、ステップ209のデータ項目の選択が繰り返され、その後ステップ211に進んで射影項目を導出する式の定義が行われる。また、ステップ208の判定において射影項目がデータ項目を参照しない場合にもステップ211に進んで射影項目を導出する式の定義が行われる。そして、ステップ207及びステップ211からステップ212において、射影項目の名称が定義される。
【0022】
その後、ステップ213において意味データ型を設定する。射影項目に適用する意味データ型がある(字下げされたデータ側は、前行のデータ型のサブ型として扱われる)。
・論理型
・文字列型
・可変長文字型
・固定長文字型
・非数量コード型
・数値型
・整数型
・数量整数型
・数量レベル整数型
・非数量整数型
・通過整数型
・実数型
・数量実数型
・数量レベル実数型
・通過実数型
・日付時間型
【0023】
ステップ214では、単位が設定される。この単位としては、
・数量単位:メートル、グラム、リットル、摂氏度...等
・通貨単位:日本円、米国ドル、ユーロ、香港ドル...等
・紀年法 :西暦、和暦...等
・時間帯 :日本標準時間、米国西海岸時間(夏時間)...等
がある。これによって、将来的にマッピングされたプロパティと射影項目との間で単位が異なっていることを検知することが可能となる。利用者若しくはコンピュータシステムは、単位が異なることを検知した場合、その単位間の互換方法を単位データベースから検索し、単位変換を行う知識を得ることができる。
【0024】
さらに、ステップ216において、前記射影項目に有効値リストがあるか否かが判定される。無い場合(N)にはステップ220から基の制御ルーチンに回帰する。ある場合(Y)にはステップ217に進んで有効値リストを作成し、ステップ218において有効値リストに有効値を追加し、ステップ219の判定において有効値が無くなったと判定されるまでステップ218が継続され、無くなった場合(N)にステップ220において基のルーチンに回帰する。
【0025】
ステップ205からの射影項目の定義作業は、ステップ230の判定において定義される射影項目が無くなるまで実行され、すべての射影項目が定義されたと判定した場合(N)には、ステップ231に進んで射影の範囲となるレコードの検索条件が定義される(抽出条件の設定)。射影の範囲となるレコードの検索条件は、同一の既存データベースに定義される他の射影に対し、排他的な情報を提供するよう定義される。この排他的な射影定義が保障されなければ、既存データベースのあるデータが複数の情報オントロジーのクラスにマッピングされることになるため、情報オントロジーが表す概念が曖昧なものとなってしまうからである。尚、射影作成手段200は、ステップ232において終了し、メインルーチンに回帰する。
【0026】
前記第1のマッピング手段300は、射影を情報オントロジーデータベースのクラスにマッピングさせる。但し、射影とクラスのマッピングには以下の制約がある。
・射影を複数のクラスにマッピングさせることはできない。
・クラスは複数の射影にマッピングさせることができる。
・クラスは同一の既存データベースに対し定義された複数の射影をマッピングさせることができない。
情報オントロジーのクラスと、任意の既存データベースに対して定義された射影とのマッピングは、1:1である。
【0027】
前記第2のマッピング手段400は、クラスと射影がマッピングされた状態で、射影の射影項目をクラスのプロパティにマッピングさせる。プロパティのデータ型と射影項目の意味データ型が一致しているもののみをマッピングさせることができる。有効値リストを持つプロパティには有効値リストを持つ射影項目のみをマッピングさせることができる。
【0028】
前記第3のマッピング手段500は、有効値リストを持つプロパティと有効値リストを持つ射影項目がマッピングされた状態で、その射影項目の有効値リストの値をそのプロパティの有効値リストの値にマッピングさせるものである。
【0029】
前記情報オントロジーのクラス、プロパティ、プロパティの有効値等の定義において言語表記される情報は、同一の意味をなす別言語による表記を任意言語数登録することができ、かつ、言語毎に同一の意味をなす別表記を任意数登録することができる構造体に格納する。これによって、日本語での「テレビ」、「テレビジョン」、「TV」、「ティービー」、英語での「television」、中国語での「電視」などから同一の情報を発見することができるものである。
【0030】
前記検索処理手段600は、例えば図4で示すものである。この検索処理600において、先ずステップ601において、情報オントロジーを選択し、その情報オントロジー内の所定のクラスを選択する。そして、ステップ603において前記選択されたクラスにマッピングされている射影を取得し、ステップ604で射影の構造定義を取得し、ステップ605で、抽出する前記クラスのプロパティ/射影項目を選択する。ステップ606で抽出条件(検索条件)を指定し、ステップ607で既存データベースへの検索リクエストを生成し、ステップ608で既存データベースの検索処理を行う。ステップ609でこの検索結果データを取得し、ステップ610で単位を変化して整合させ、ステップ611で検索結果データを返し、ステップ612において検索処理作業が完了するものである。
【0031】
以上のことから、本願発明に係るマッピングシステムを概略的に説明すると、図5で示すようなブロック構成となる。このブロック構成において、既存データベースから抽出された既存データベースのメタデータ20は、少なくともデータベース情報、データファイル情報、データファイル項目情報、データファイル項目値リストから構成される。
【0032】
この既存データベースのメタデータ20の概念的上部には、射影構造定義30が存在する。この射影構造定義、具体的には、データファイル選択、データファイル結合定義、データファイル項目選択、データ抽出定義、射影項目表現定義、射影項目値リストによって射影が生成される。
【0033】
この射影は、射影−情報オントロジーマッピング40を介して、情報オントロジーデータベース50が有するクラスとマッピングされ、射影項目は、クラスのプロパティとマッピングされ、且つ射影項目の値リストの値は、クラスのプロパティ値リストの値とマッピングされる。
【0034】
図6において、これをさらに詳細に説明すると、既存データベース10から抽出されたメタデータ20は、データベースファイル情報Tbl1, Tbl2, Tbl3, Tbl4と、データベースファイル項目情報C11, C12, C13, C21, C22, C23, C31, C32, C33, C41, C42, C43と、データベースファイル項目の値リストLvとを具備する。
【0035】
前記データベースファイル情報Tbl1, Tbl2, Tbl3, Tbl4は、データ抽出条件34及びデータファイル結合条件35を介してデータファイル選択され、射影Prj1, Prj2, Prj3に生成され、またデータベースファイル項目情報C11〜C43はデータファイル項目選択されて射影項目Pjc1-1〜Pjc3-3が生成される。さらに、データベースファイル項目の値リストLvは、射影項目の値リストPjvとして生成される。これらが、射影構造定義30を構成する。
【0036】
この射影Prj1, Prj2, Prj3は、情報オントロジーデータベース50のクラスCls 1, Cls 2, Cls 3と、射影−情報オントロジーマッピング40を介してマッピングされる。これと同時に、クラスCls 1のクラスプロパティPrp1-1には例えば射影項目Pjc1-1,Pjc2-1がマッピングされ、クラスプロパティPrp1-2には、射影項目Pjc1-2, Pjc2-2がマッピングされ、クラスブロックパティPrp2-1には、射影項目Pjc1-3, Pjc2-3がマッピングされる。また、射影項目値リストPjvは、クラスプロパティの値リストPrpvにマッピングされる。
【0037】
これによって、例えばクラスCls2が選択された場合、射影Prj1及びPrj2が選択され、射影項目としてPjc1-1〜Pjc2-3が選択され、メタデータとしてそれぞれデータベースファイル情報Tbl1〜Tbl4が選択され、これに基づいて既存データベースの項目が選択され、抽出条件に従ってデータが吸い上げられるようになっている。
【実施例】
【0038】
情報オントロジーから特定の既存データベースの情報を検索する実施例を以下に示す。
【0039】
図7(a)で示すように、例えば既存データベースに基づいて作成されたメタデータdb01は、商品分類情報として、商品分類コード及び商品分類名を有し、商品情報として、SKU、代表JANコード8桁、代表JANコード13桁、商品名及び分類を有し、仕入情報としてSKU、会社コード、仕入開始、仕入終了及び仕入価格を有し、仕入先企業情報として会社コード及び会社名を有する。また、メタデータdb02は、図7(b)で示すように、商品部門情報として部門CD及び部門名を有し、品名情報として品名CD、品名及び部門CDを有し、販売商品情報として商品CD、商品CD国、商品CDアイテム、商品CDチェックデジット、商品名、商品レシート表示名、品名CD及び登録日を有し、EAN国CD情報として国CD及び国名を有し、取引先情報として取引先CD及び取引先名を有し、仕入情報として商品CD、仕入先会社、開始日及び終了日を有し、価格情報として、商品CD、開始日、終了日及び価格を有する。
【0040】
また図8に示すように、プロパティとして、商品名、商品短縮名、商品分類、商品指令先企業、商品仕入開始日、商品仕入終了日、商品仕入価格を有する情報オントロジーデータベースのクラス(:電化製品)は、商品名については射影:db01電化製品の商品名及び射影:db02電化製品の商品名がマッピングされ、商品短縮名については射影:db02電化製品の商品レシート表示名がマッピングされ、商品分類については射影:db01電化製品の商品分類名及び射影:db02電化製品の部門名がマッピングされ、商品仕入先企業については射影:db01電化製品の会社名及び射影:db02電化製品の取引先名がマッピングされ、商品仕入開始日については射影:db01電化製品の仕入開始及び射影:db02電化製品の開始日がマッピングされ、商品仕入終了日については、射影:db01電化製品の仕入終了及び射影:db02電化製品の終了日がマッピングされ、商品仕入価格については射影:db01電化製品の仕入価格がマッピングされる。
【0041】
また、図9で示すように、この実施例では射影:db01電化製品の射影項目:商品分類名には有効値リストとして商品分類コード及び商品分類名があり、さらに射影:db02電化製品の射影項目:部門名には、有効値リストとして部門CDと部門名が付随し、これらはクラス:電化製品のプロパティ:有効値リスト商品分類及び正式名称にマッピングされる。
【0042】
以上構成により、情報オントロジーから既存データベースの製品情報を検索する例を以下に示す。利用者が音響映像製品の一覧とその仕入価格を既存データベースから取得する場合、利用者は、情報オントロジーからクラス:電化製品を走査し選択する。上述したように、クラス:電化製品には、プロパティ:商品名、プロパティ:商品短縮名、プロパティ:商品分類、プロパティ:商品仕入終了日、プロパティ:商品仕入価格がある。また、クラス:電化瀬品は、射影:db01電化製品、射影:db02電化製品にマッピングされている。利用者は、一覧に必要な項目としてプロパティ:商品名、プロパティ:商品分類、プロパティ:商品仕入価格を選択する。
【0043】
プロパティ:商品名、プロパティ:商品分類は、射影:db01電化製品、射影:db02電化製品の対応する射影項目にマッピングされているが、仕入価格は、射影:db01電化製品の射影項目:仕入価格のみマッピングされている。このため、使用する射影は、射影:db01電化製品を選択する。プロパティ:製品名は、射影項目:製品名に、プロパティ:商品分類は、射影項目:商品分類コードに、プロパティ:商品仕入価格は、射影項目:仕入価格にマッピングされている。
【0044】
また、射影:db01電化製品は、db01メタデータから構造化されており、射影項目:製品名は、データファイルの項目:商品名に、射影項目:商品分類コードはデータファイル:商品分類の項目:商品分類コードに、射影項目:仕入価格は、データファイル:仕入の項目:仕入価格にマッピングされている。この2層のマッピングから情報オントロジー(クラス:電化製品)→既存のデータベース:db01へのマッピングが行われる。既存データベース:db01がRDBMSである場合、既存データ:db01のメタデータから以下のSQLがオントロジーから既存データベースへのリクエストとして得られる。
【0045】
select 商品分類.商品分類コード as 商品分類、
商品.商品名 as 商品名、
仕入.仕入価格 as 商品仕入価格
from 商品分類
left join 商品 on (商品分類.商品分類コード=商品.分類)
left join 仕入 on (商品.SKU=仕入.SKU);
【0046】
利用者は、音響映像製品の一覧が必要であるため、検索条件としてプロパティ:商品分類の有効値リストの値、商品分類:2(音響映像品)を設定する。プロパティ:商品分類の有効値リストの値、商品分類:2は、射影項目:商品分類の有効値リストの値、商品分類コード:DD200(図9参照)にマッピングされている。これにより、前記SQLは、以下のように条件が付加される。
【0047】
select 商品分類.商品分類コード as 商品分類、
商品.商品名 as 商品名、
仕入.仕入価格 as 商品仕入価格
from 商品分類
left join 商品 on (商品分類、商品分類コード=商品.分類)
left join 仕入 on (商品.SKU=仕入.SKU);
when 商品分類.商品分類コード='DD200';
このリクエストを既存データベース:db01に対して実行することで必要とする情報が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本願発明に係るマッピングシステムを具備する検索システムの構成を示したフローチャート図である。
【図2】本願発明に係るマッピングシステムの射影の作成を示したフローチャート図である。
【図3】本願発明に係るマッピングシステムの射影項目の定義を示したフローチャート図である。
【図4】本願発明に係る検索システムの検索処理を示したフローチャート図である。
【図5】本願発明に係るマッピングシステムの構造ブロック図である。
【図6】本願発明に係るマッピングシステムの一例を示した説明図である。
【図7】(a),(b)は本願発明の実施例に係るマッピングシステムのメタデータの一例を示した説明図である。
【図8】本願発明の実施例に係る射影項目とクラスのマッピングの一例を示した説明図である。
【図9】本願発明の実施例に係る有効値リストのマッピングの一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0049】
100 メタデータ作成手段
200 射影作成手段
300 第1のマッピング手段
400 第2のマッピング手段
500 第3のマッピング手段
600 検索処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の概念により知識化するクラスを有し、該クラスを特定するプロパティが1つ以上結びつけられる情報オントロジーに基づいて、業務プロセスを支援する目的で構築され、稼働している既存の情報システムが使用している既存データベースから検索を行う検索システムにおいて、
前記既存データベースから構造化されたメタデータを作成するメタデータ作成手段と、
該メタデータ作成手段によって構造化されたメタデータから特定の情報を抽出するための射影を作成する射影作成手段と、
該射影作成手段によって作成された射影を情報オントロジーデータベースのクラスにマッピングさせる第1のマッピング手段と、
該第1のマッピング手段によってクラスと射影がマッピングされた状態で、射影の射影項目をクラスのプロパティにマッピングさせる第2のマッピング手段と、
該第2のマッピング手段によって有効値リストを有するプロパティと有効値リストを有する射影項目がマッピングされた状態で、その射影項目の有効値リストの値をそのプロパティの有効値リストの値にマッピングさせる第3のマッピング手段とによって構成されるマッピングシステムを具備することを特徴とする検索システム。
【請求項2】
前記メタデータは、物理的なデータベース情報、データベースにストアされているデータファイルの情報、データファイル間の結合情報、データファイルのデータ項目の情報及びデータ項目の有効なデータ値の情報であることを特徴とする請求項1記載の検索システム。
【請求項3】
前記射影作成手段は、さらに単位データベースを具備し、射影の構造定義時に、単位概念を持つデータの射影項目に対して、単位が異なることを検知した場合、その単位間の互換方法を前記単位データベースから検索して単位変換することを特徴とする請求項1又は2記載の検索システム。
【請求項4】
前記情報オントロジーから所望のクラスを選択することによって、前記マッピングシステムによって、所望のクラスとマッピングされた少なくとも一つの射影を介して既存データベースから情報を入手することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の検索システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−86437(P2010−86437A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256994(P2008−256994)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(508296875)アグラ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】