説明

構造散乱シートを有するLED照明ユニット

【課題】本発明は、簡単で光分配に改良された均質性を有するLED発光ユニットに関する。
【解決手段】本発明は、少なくとも一つの光反射表面;1以上の発光ダイオード(LED);および少なくとも一つの透明プラスチックから製造された少なくとも一つの散乱シートを有し、該LED照明ユニットは少なくとも一つの反射表面の前面で、少なくとも一つの散乱シートの背面に配置され、前記散乱シートの少なくとも前面はレンズ領域と凸状コンパウンドパラボラ状コンセントレイター(CPC)領域からなる光誘導構造体を含むことを特徴とする発光ユニットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明ユニット、特に少なくとも一つの透明プラスチックからなり、その少なくとも表面上に光誘導エレメントを有する散乱シートを含むLED照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特に、直接バックライトを有する発光ダイオード(LED)光ユニットは以下の構造を有している。一般には、発光ユニットの大きさや用途に応じて、異なる数のLEDが導入されたハウジングを包含する。ハウジングは平坦な前面と裏面を有しかつ適当な形の側面を有する箱であってよく、もっと複雑な構成にするには内面と外面とを異なる形を有する側面を有してもよい。LEDは箱の裏面内部に、規則正しいグリッド上に配置される。このグリッドは、長手方向(n)と横方向(m)における列の数によって表現されうる。変数nとmで表される列の数は、それぞれ1以上の数である。LEDの間のハウジング内部の裏面は好ましくは白の拡散光反射表面を有している。この照明システムにおいて、厚さ1〜3mm、好ましくは厚さ1.5〜2.5mmの拡散シート又はプレートが通常存在する。この拡散シートは光を均一に散乱して、LEDマトリックスのポイントパターンを消し、最大限に均質な外観を達成している。シートからLEDマトリックスへの距離、即ちハウジングの深さは最大の均質発光を可能にするように選択される。LEDを含むマトリックスを有する発光ユニットのフレームは単純な箱あるいは光誘導自由形態を有してもよい。内部上には散乱白反射または金属反射であるように形成してもよい。
【0003】
ポリカーボネートと種々の光散乱添加剤からなる光散乱半透明物およびそれから得られる成形体は既に公知である。
【0004】
例えば、EP−A634,445号には、ビニルアクリレートに基づくコア/シェル構造のポリマー粒子とTiOとを含む光散乱組成物が開示されている。
【0005】
フラットスクリーンにおける光散乱ポリカーボネートシートの使用はUS−A2004/0066645号に記載されている。ここで、ポリアクリレート、PMMA、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアルキルトリアルコキシシロキサンおよびこれらの成分の混合物が散乱顔料として記載されている。
【0006】
DE−A102005/039413号には、散乱顔料0.01〜20%含有するPC拡散プレートを開示する。
【0007】
そのような拡散シートやプレートでは、LED発光ユニット中での光分散の十分な均一性が達成されておらず、個々のLEDが個別の光源として視覚的に認識される。
【0008】
表面構造による光分散の均質化はJP−A2006/284697号またはUS2006/10262666号に記載されている。これらは単純なバレル状またはプリズム状ウェブまたはそれらの組合せに基づく表面構造を基礎とし、ある場合には少しの変化、例えばノッチを有してもよい。数学的には、これらの構造体は楕円断面ということができ、一般にレンズ状構造とよばれる。達成されうる均質性は、制限的で従来の分散プレートで達成される均質性よりも低い場合すら存在する。
【0009】
CN−A1924620号には、円錐プリズム構造を有するプラスチックに散乱添加剤を配合した光誘導構造体が記載されている。この構造体は、三つのランプのクリアーなイメージを形成し、それを構造体内部の付加的に用いられた散乱添加剤で拡大して、均質なバックライトを達成している。しかしながら、この構造において、使用されている散乱添加剤は構造体の光誘導効果を阻害し、結果として均質なバックライトが達成され得ない。
【0010】
US−A2007047260号、US−A2006250819号およびDE−A102007033300号には、バックライトユニット、即ち直接バックライト用の散乱プレート状の化合物パラボラ状集積体を開示する。しかしながら、BLUにとって、明るさの増大が特に重要であり、上流の分散プレートや分散層で散乱された光は前面の存在する散乱プレートや散乱層上のCPC構造体で再び集められて、明るさが改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP−A634,445号
【特許文献2】JP−A2006/284697号
【特許文献3】US2006/10262666号
【特許文献4】CN−A1924620号
【特許文献5】US−A2007047260号
【特許文献6】US−A2006250819号
【特許文献7】DE−A102001033300号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、簡単で光分配に改良された均質性を有するLED発光ユニットに関する。本発明の目的は、個々の光源が人間の目では分離した光源と認識できない最大の均質発光を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくとも一つの光反射表面;1以上の発光ダイオード(LED);および少なくとも一つの透明プラスチックから製造された少なくとも一つの散乱シートを有し、該LED照明ユニットは少なくとも一つの反射表面の前面で、少なくとも一つの散乱シートの背面に配置され、前記散乱シートの少なくとも前面はレンズ領域と凸状コンパウンドパラボラ状コンセントレイター(CPC)領域からなる光誘導構造体を含むことを特徴とする発光ユニットを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発光ユニットは、発光ユニットとして使用されている従来の拡散プレートや拡散シートに比べて非常に高い均質性をもたらす。
【0015】
従って、本発明は改良された発光ユニットを提供する。本発明の改良点は、図面や実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面において、同じ番号は同じ要素を表す。
【図1】図1は光誘導構造体の断面を表す。
【図2】図2は光誘導構造体の三次元模式図を表す。
【図3】図3はコンパウンドパラボラ状コンセントレイターのデザイン原理を示す。
【図4a】図4aは比較例による発光ユニットの模式図を表す。
【図4b】図4bは比較例による発光ユニットのCCDカメラを用いて測定した明るさの変化を示す図である。
【図4c】図4cは比較例による発光ユニットの明るさの変化を示す図である。
【図5a】図5aは実施例2の発光ユニットの模式図を表す。
【図5b】図5bは実施例2による発光ユニットのCCDカメラを用いて測定した明るさの変化を示す図である。
【図5c】図5cは実施例2による発光ユニットの明るさの変化を示す図である。
【図6a】図6aは実施例3の発光ユニットの模式図を表す。
【図6b】図6bは実施例3による発光ユニットのCCDカメラを用いて測定した明るさの変化を示す図である。
【図6c】図6cは実施例3による発光ユニットの明るさの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において、「前面」および「背面」は散乱シートの二つの相対する表面を意味する。「前面」は光源と反対の側で、「背面」は光源に向かう側である。
【0018】
また、明細書中「凸状CPC領域」とは、CPCの広がり部分が背面の方向に面することを意味する。
【0019】
本明細書中において、「並進不変(translation-invariant)」とは、構造が表面上の一方向に変化を示さないか、または少なくとも実質的なまたは重要な変化を示さないことであって、それに垂直の方向には伸びた上昇および低下を有する形状を有すること、即ち溝構造を示すことを意味する。
【0020】
明細書中において、「オーバーモデュレート(overmodulated)」とは、並進不変方向にそって、即ち溝構造に沿って、構造体が溝構造に対して直交的な変化とは独立して別の変化を有することを意味する。数学的に考えると、効果的表面構造は、以下オーバーモデュレートと呼ばれる独立した構造を有する溝構造を付加することを構成するこのオーバーモデュレート構造はシヌソイド的機能、無作為散乱構造または他の望ましい機能であってよい。
【0021】
本明細書中において、「レンズ領域」とは光誘導構造体の部分がレンズ機能によって数学的に記載されうることを意味する。
【0022】
「CPC領域」とは、光誘導構造体の部分がCPC構造機能によって数学的に記載されうることを意味する。
【0023】
用語「同一」とは、レンズ領域が同じ形状で、CPC領域すべてが同じ形状を有することで、同じパラメーターで表現されうることを意味する。
【0024】
本明細書中において、用語「依存」とは、隣接するレンズ領域またはCPC領域が各々、異なってはいるけれど、隣接領域の影響を受けている、即ち依存していることを意味する。この用語は全体としては異なっている形だけれども周期的に変化している構造を表すために用いる。
【0025】
本明細書中において、用語「独立」とは、隣接するレンズ領域またはCPC領域がそれを表すパラメーターが他のものと完全に独立である形態であることを意味する。独立の構造体の各々はこの場合異なる形態を有してもよい。
【0026】
光誘導構造体もまた以下「ACPC」(Advanced compound parabolic concentrators;前コンパウンドパラボラ状コンセントレイター)とも記載する。
【0027】
光誘導構造体は好ましくは並進不変である。
【0028】
レンズ領域またはCPC領域は各々同一、依存または独立であってよい。一つの態様では、すべてのレンズ領域が同一で、すべてのCPC領域が同一である。
【0029】
独立のレンズ領域またはCPC領域は更に独立のパラメーター群で表現されうる。
【0030】
CPC領域は、以下の方法によって決定されてもよく、またそれが好ましい:
【0031】
a)フレスネル(Fresnel)の式から媒体中の開口部角θおよびθを定義された許容角によって計算し、
【0032】
b)式


(式中、θ1,2は左(θ)および右(θ)パラボラの媒体中における開口部角であり、xはX軸であり、y1,2は左(y)および右(y)パラボラのY軸である。)
に従って媒体中開口部角θでパラボラブランチPおよび開口部角θでパラボラブランチPを確立し、
【0033】
c)パラボラブランチの端部F、FおよびE、Eを計算し、
【0034】
d)媒体中の開口部角−θでパラボラブランチPを回転し、開口部角θでパラボラブランチPを回転し、パラボラブランチPをx軸にそって平行移動し、
【0035】
e)要すれば、θ≠θで非対称変体の場合、点EおよびEによって決定された傾斜表面のスロープを決定し、
【0036】
f)段階a)〜e)で形成された形態から空気中において効果的許容角を決定し、
【0037】
g)効果的許容角を定義された許容角と比較して、もし差が0.001%より大きかったら、段階a)〜f)を段階a)の定義された許容角の代わりに修正許容角を用いて繰り返し、修正許容角は定義された許容角とは等しくなく、かつ修正許容角は段階f)の効果的許容角が定義された許容角と一致するように選択され、
【0038】
h)定義された許容角と効果的許容角との角度の差が0.001%より小さくなったら、短縮要素によって決定された範囲によってy方向にパラボラを短縮する。
【0039】
一つの態様では、定義許容角θは5°〜60°であり、定義許容角θは5°〜60°である。
【0040】
別の態様では、段階h)中の短縮は単純な先端切りである。
【0041】
別の態様では、段階h)の短縮は短縮要素によって決定した要素によりy軸にそって大きさを圧縮する。
【0042】
他の好ましい態様では、θ=θである。
【0043】
また別の好ましい態様では、レンズの断面は楕円である。
【0044】
好ましい態様では、すべての周期は10μm〜1mm、好ましくは30μm〜500μm、特に好ましくは50μm〜300μmの範囲である。
【0045】
別の好ましい態様では、CPC領域は連続多項クロージャーを有する。このことは、CPC領域の二つの点F1およびF2の間の構造が連続多項関数で表現されうることを意味する。一つの態様では、多項関数はn次の多項であり、nは32以下である。別の態様では、多項関数は4次多項であり、連続的に点FおよびFを分ける。
【0046】
別の態様では、CPC領域の2点FおよびF間の構造はパラボラ、双曲線、円関数、シヌソイダル関数または直線によって記載されうる。
【0047】
別の態様では、領域は上記形態の一つから5%未満、または少なくとも10%未満の偏差がある。
【0048】
別の態様では、構造は前面表面の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%をカバーする。
【0049】
CPC領域は常套の誘電CPC(コンパウンドパラボラ状コンセントレイター;compound parabolic concentrator)のデザインを引き継ぐが、連続多項クロージャーの違いがある。誘電CPCはコンセントレイターシステムとして常套に使用され、これまで長期間使用されてきた金属CPCと異なって、全内面反射の光学原理に基づいている。ここで使用された形態においてCPCを数学的に決定するために、決定パラメーターが二つの、通常同一の、許容角および短縮要因である。CPC(図3)は前述の式を用いて以下のようにデザインされる。記載した工程は、暗黙の最適化問題を含む:
1.フレスネル(Fresnel)の式から定義された許容角によって媒体中の開口部角θおよびθ(31および32)の計算。
2.式


に従って媒体中開口部角θでパラボラブランチP(22)および開口部角θでパラボラブランチP(23)の確立。
3.パラボラブランチの端部F、FおよびE、E(25、26、45、46)の解析的計算。
4.媒体中の開口部角−θでパラボラブランチPを回転し、開口部角θでパラボラブランチPを回転し、パラボラブランチPのx軸に沿う平行移動。
5.θ≠θ(31および32)で非対称変体の場合、点EおよびEによって決定された傾斜表面のスロープを決定する。
6.空気中において効果的許容角をデザインから決定する。
7.所望の許容角の比較。もしそこに不十分な合致があるならば、適用された許容角で点1において再開する。
8.もし不十分な正確性があるなら、新しい末端EおよびE4(27および28)で短縮要素(36)によって決定される範囲でy方向にパラボラの短縮−単純切断。
9.点FおよびF(25、26)で制限された端部をn次の多項によって置き換えて、連続的に異なり封じられる。
【0050】
このケースにおいて、CPCはその持っている機能とは異なった方法で使用されている。もしCPCがその許容角θおよびθ(図3)が二つのランプの間の領域中の拡散プレート状への光の入射角のちょっと下になるようにしたならば、発光濃度の上昇が自由限定可能位置で得られる。この方法で確定されたCPCは図1の点25および27の間と点26および28の間を決定する。CPCは対称的に同一の開口部角θ=θか、非対称的に異なる開口部角θ≠θのいずれかにしてもよい。
【0051】
図1中の点25および26の間の多項領域は連続適用関数(continuously adapted function)である。それはn次多項、円形、楕円形、シムソイダル、パラボラ、レンズまたは直線であってよい。好ましくは、n次多項である。特に好ましくは、4次多項であり、これは点25および26で連続的に異なりうる。
【0052】
点25および26間の多項は、点29および27間のレンズ領域と共に、ランプの直ぐ上の領域に最大の高さと幅を決定する。平面の場合、発光濃度は小さな空間範囲で非常に高いが、急に落ちる。この領域におけるレンズの発散効果はこの最大値の広がりと同時に低下をもたらす。この広がりは領域の湾曲化で制御されうる。決定パラメーターは発散レンズの通常の焦点である。レンズは以下の式;シヌソイダル、n次多項、パラボラハイパーボラ、楕円、円、円弧、直線、によって計算され得る。好ましくは楕円である。
【0053】
最後のデザインパラメーターは二つのサブ領域24および21、22および23の合計との比率である。この比率によって、ランプとランプ直上の最大値が同一の発光濃度レベルをもたらしうる。関数が多項領域に使用されることに対応して、対応する関数がレンズ領域に使用されなければならない。好ましい組合せを以下の表に記載する。
【0054】

【0055】
常套のレンズ状構造における2倍化と比較して、最大値を3倍にすることにより、同じシステム中での均質化効果がより大きくなる。最大値の位置、並びにその幅や最大濃度も互いに別個に採用される。従って、構造体はまたLED照明ユニット(例えば、少ないランプ、薄い構造)の要求に好適である。
【0056】
構造体は2,3のパラメーターで数学的に正確に表すことができ、LED照明ユニットの個々のデザインに採用されうる。更に、バルク散乱に基づく従来のシステムと異なり、効果が散乱シートの厚さとは無関係であり、それにより設計の自由度が拡大する。別の態様では、散乱シートは背面上に散乱効果を有する表面構造を有する。
【0057】
別の態様では、散乱シートは背面上にUV吸収層を有し、それにより並進不変方向に散乱効果を付加することができる。
【0058】
好ましく使用される散乱シートは少なくとも一つの透明熱可塑性材料を有する。
【0059】
熱可塑性材料は、好ましくは、エチレン系不飽和モノマーのポリマーおよび/または二官能反応性化合物のポリ縮合体および/または二官能性反応性化合物のポリ付加生成物、好ましくはエチレン系不飽和モノマーのポリマーおよび/または二官能性反応性化合物のポリ縮合体から選択される少なくとも一つの熱可塑性材料であってよい。
【0060】
特に、適当な熱可塑性材料は、ジフェノールに基づくポリカーボネートまたはコポリカーボネート、ポリ−またはコポリアクリレートおよびポリ−またはコポリメタクリレート、例えばポリメチルメタクリレートまたはポリ(メタ)アクリレート(PMMA)、スチレンとのポリ−またはコポリマー、例えばポリスチレンまたはポリスチレンアクリロニトリル(SAN)、熱可塑性ポリウレタンおよびポリオレフィン、例えば環状オレフィンに基づくポリプロピレン類またはポリオレフィン(例えば、TOPAS、ヘキスト)、テレフタル酸に基づくポリ−または共縮合体、例えばポリ−またはコポリエチレンテレフタレート(PETまたはCoPET)、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性ポリ−またはコポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCTG)またはポリ−またはコポリブチレンテレフタレート(PBTまたはCoPBT)またはそれらの混合物である。ポリオレフィン、例えばポリプロピレンは、他の熱可塑性材料の添加が無い場合には、本発明の方法にはあまり好適でない。
【0061】
好ましい熱可塑性材料は、ポリカーボネートまたはコポリカーボネート、ポリ−またはコポリアクリレート、ポリ−またはコポリメタクリレート、ポリスチレン、テレフタル酸のポリ−または共縮合体またはこれらの少なくとも一つを含む混合物である。ポリカーボネートまたはコポリカーボネートは特に好ましく、平均分子量はM500〜100,000,好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは15,000〜40,000またはそれらの混合物である。
【0062】
散乱シートは好ましくは90%以上、好ましくは95%以上の透過率(transmission)を有する。
【0063】
使用される散乱シートは押出で製造される。
【0064】
特定のケースでは、前面および/または背面上に散乱効果を有する別の表面構造を付加して、光分配の均一性効果をより改良してもよい。
【0065】
使用される光誘導ACPC構造体を有する散乱シートは、押出、射出成形、射出押圧成形、箔押、常温型打ちまたは高圧変形、好ましくは押出で製造されてもよい。押出の場合、構造体はローラーとして提供される。構造体はローラー上に、超精密混合(ultra-precision milling)、レーザープロセス、化学構造化(chemical structuring)、フォトリソグラフィーまたは他の当業者に公知の技術で付加することができる。
【0066】
散乱シートは、複数の層、中央の層と前面および/または背面の層を有してもよい。
【0067】
散乱シートは、好ましくは厚さ50〜1000μm、特に好ましくは50〜700μm、より好ましくは100〜600μm、特に250〜500μmを有する。ここで、散乱シートの厚さは、散乱シートの背面と、その前面の構造体の最大到達点との間の距離を意味する。
【0068】
好ましい態様では、発光ユニットは少なくとも一つの拡散シートを有し、拡散シートは散乱粒子を含み、散乱シートの前面、即ちレンズ領域およびコンプレックスCPC領域からなる光誘導構造体を有する前面の前に配置される。そのような拡散シートは、好ましくは主材料としてプラスチック、好ましくは透明プラスチックに基づくものであり、それは主材料中に散乱粒子を有する。
【0069】
散乱粒子は、ポリマーまたは無機粒子であってよい。広い範囲の異なる物質、例えば無機または有機材料が散乱粒子に用いられてもよい。これらは、更に固体、液体またはガス状で存在してもよい。
【0070】
無機材料の例としては、塩状化合物、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸バリウム等であるが、アモルファス材料、例えば無機ガラスであってもよい。
【0071】
有機材料の例としては、ポリアリーレート、ポリメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリアルキロキシシロキサンあってもよい。散乱粒子はコア−シェル構造を有するアクリレート系のポリマー粒子であってもよい。この場合、EP−A634445に記載のものが存在する。
【0072】
ガス状材料の例としては、不活性ガス、例えば窒素、希ガスであってよく、空気や二酸化炭素であってもよい。ガス状材料は加圧下にポリマー溶融物中に「溶解」し、その後散乱シートを例えば押出で形成する。シートを冷却/緩和時にガスの泡が形成される。
【0073】
これらの散乱粒子は、更に、種々の形態、例えば球状から結晶で示されるような形態を有してもよい。その中間的な形状も同様に可能である。更に、これらの散乱粒子は例えば散乱粒子の被膜やコアーシェル構造として断面中で異なる屈折率を有してもよい。
【0074】
散乱粒子はそれらが埋設されている透明プラスチックに光散乱性を付与するのに有効である。散乱粒子の屈折率nは好ましくは、+/−0.25ユニット以内、より好ましくは屈折率+/−0.18ユニット以内、最も好ましくは透明プラスチックの+/−0.12ユニット以内である。散乱粒子の屈折率nは透明プラスチックの屈折率に+/−0.003ユニットより近くなく、より好ましくは+/−0.01ユニットより近くなく、最も好ましくは+/−0.05ユニットより近くないのが好ましい。屈折率はASTM D542−50および/またはDIN53 400で測定する。
【0075】
散乱粒子は一般的に平均粒径少なくとも0.5μm、好ましくは少なくとも2μm、より好ましくは2〜50μm、最も好ましくは2〜15μmである。「平均粒径」とは数平均である。
【0076】
好ましくは、散乱粒子の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%は粒径2μm以上を有する。散乱粒子は、好ましくは自由流動粉末である。
【0077】
ベース材料における散乱粒子は、好ましくは、ベース材料の総重量に基づいて0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%の量で使用される。
【0078】
別の態様において、発光ユニットは少なくとも2種、好ましくは2種類の散乱シートを有し、その一方はレンズ領域と凸状CPC領域からなる前面に光誘導構造を有し、第2の散乱シートは第1の散乱シートの前面の前で裏面を有するように配置し、第2の散乱シートの光誘導構造は第1の散乱シートの光誘導構造に対して30〜150°、特に好ましくは60〜120°、より特に好ましくは90°回転させる。
【0079】
上記発光ユニットの態様は、光分配の非常に改善された均質性を示す。
【0080】
発光ユニットは、好ましくは、光反射表面、LED(複数も可)、散乱シート(複数も可)および要すれば拡散シート(複数も可)を有する光ボックス、即ちハウジングを有する。ボックスは、表面と裏面を有し、側面は種々の形状でよく、より複雑な側面形状を有してもよく、内側と外側で異なっていてもよい。光ボックスの基本面は好ましくは光反射表面である。この場合、光ボックスは特に好ましくは分散的に反射性、または金属的に反射性、特に好ましくは分散的に白色反射性であるように形成する。この場合、光ボックスのベースプレート自体または両方のベースプレートおよび側面は、分散的に反射性、または金属的に反射性、特に好ましくは分散的に白色反射性(white-reflective)であるように内面を形成してもよい。
【0081】
光反射表面は好ましくは分散的に反射性または金属的に反射性であってよく、特に好ましくは、それは分散的に白色反射性である。
【0082】
LEDは、光ボックスの裏面上の内面に置き、規則的グリッドまたは非規則的に配置してもよい。LEDは点状または線状光源である。規則的グリッドに配列する場合、このグリッドは縦方向と横方向の列の数によって表してもよい。変数「n」および「m」で列の数は、それぞれ1以上の数である。
【実施例】
【0083】
本発明を実施例により説明するが、これらは発明を限定するように解してはならない。
【実施例1】
【0084】
この実施例は比較例であり、本発明の実施態様ではない。反射体およびLEDの中心が50mmの間隔でかつ分散体からLEDの距離15mmである6つの線状配置発光ダイオード(LED)を有する発光ユニットを形成した。一般的な分散体プレート、即ち住友化学からSumipexFX151である標準アクリレート分散体プレートを、この場合使用した。この発光ユニットの構造は図4aに示されている。ランプ上の明るさの変化(標準偏差;standard deviation)は33%であった。明るさの変化は図4cにLEDの中間点を通る直線の断面として示す。人間の目には、この発光の場合、明らかに異なる点の光源であるとの印象を与えた。測定図4cの基準として使用された明るさの変化がスターライト・エキスプレス社(STARLIGHT XPRESS Ltd.)からモデルSXVF−H9のCCDカメラで記録し、図4bに示す。
【実施例2】
【0085】
この実施例は、本発明の一態様を示す。反射体およびLEDの中心が50mmの間隔でかつ分散体からLEDの距離15mmである6つの線状配置発光ダイオード(LED)を有する発光ユニットを形成した。以下のパラメーターを有するACPC構造の280μm散乱プレートを分散体として提供した:許容角40°、切り詰め因子0.1、ポリマー:ビスフェノールAに基づくポリカーボネート(MakrolonR 3108(高粘度BPA−PC、ISO1133で300℃1.2KgでMFR6.5g/10min))、レンズ構造:ストレート(フラット)、比率0.03、多項(ポリノミアル)領域:2次多項。ACPC散乱シートの線状構造がLED配置に向かって横断方向(水平方向)に延伸された。この発光ユニットの構造は、図5aに示されている。ランプ上の明るさの変化は12%であった。明るさの変化は図5cにLEDの中間点を通る直線の断面として示す。人間の目には、この発光の場合、線状光源であるとの印象を与えた。測定図5cの基準として使用された明るさの変化がスターライト・エキスプレス社(STARLIGHT XPRESS Ltd.)からモデルSXVF−H9のCCDカメラで記録し、図5bに示す。
【実施例3】
【0086】
この実施例は、本発明の一態様を示す。反射体およびLEDの中心が50mmの間隔でかつ分散体からLEDの距離15mmである6つの線状配置発光ダイオード(LED)を有する発光ユニットを形成した。以下のパラメーターを有するACPC構造の280μm散乱プレートを分散体として提供した:許容角40°、切り詰め因子0.1、ポリマー:ビスフェノールAに基づくポリカーボネート(MakrolonR 3108(高粘度BPA−PC、ISO1133で300℃1.2KgでMFR6.5g/10min))、レンズ構造:ストレート(フラット)、比率0.03、多項領域:2次多項。ACPC散乱シートの線状構造がLED配置に向かって横断方向(水平方向)に延伸された。この上に、別の散乱シートを厚さ375μmで配置した(ローム&ハース社からのMakrolonR 3108で市販のコアーシェルアクリレート散乱粒子ParaloidR4重量%)。この発光ユニットの構造は、図6aに示されている。ランプ上の明るさの変化は10%であった。明るさの変化は図5cにLEDの中間点を通る直線の断面として示す。人間の目には、この発光の場合、広がった線状光源であるとの印象を与えた。測定図6cの基準として使用された明るさの変化がスターライト・エキスプレス社(STARLIGHT XPRESS Ltd.)からモデルSXVF−H9のCCDカメラで記録し、図6bに示す。
【0087】
従って、発光ユニットを説明する。本発明の態様は示され、説明されたが、多くの変更が発明の概念から離れないで可能であることは当業者に明らかである。従って、本発明は以下の請求項の精神の範囲内を除いて、限定されることはない。
【符号の説明】
【0088】
1 光反射表面
2 LED
3 分散プレート
4 光誘導構造を有する散乱シート
5 分散シート
6 発光濃度
7 距離
21 光誘導構造体の多項領域
22 光誘導構造体の左のCPC領域(パラボラP1)
23 光誘導構造体の右のCPC領域(パラボラP2)
24 光誘導構造体のレンズ領域
25 CPCの上部末端F1
26 CPCの上部末端F2
27 CPCの下部末端E3
28 CPCの下部末端E4
29 レンズ領域の左末端L1
31 パラボラP1の開口部角θ
32 パラボラP2の開口部角θ
33 CPC本体
34 X軸
35 Y軸
36 切断部によって決定されるCPC本体の切り詰め部
45 未切断CPCの低端部E1
46 未切断CPCの低端部E2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの光反射表面;1以上の発光ダイオード(LED);および少なくとも一つの透明プラスチックから製造された少なくとも一つの散乱シートを有し、該LED照明ユニットは少なくとも一つの反射表面の前面で、少なくとも一つの散乱シートの背面に配置され、前記散乱シートの少なくとも前面はレンズ領域と凸状コンパウンドパラボラ状コンセントレイター(CPC)領域からなる光誘導構造体を含むことを特徴とする発光ユニット。
【請求項2】
CPC領域はa)フレスネル(Fresnel)の式から媒体中の開口部角θおよびθを定義された許容角によって計算し、
b)式


(式中、θ1,2は左(θ)および右(θ)パラボラの媒体中における開口部角であり、xはX軸であり、y1,2は左(y)および右(y)パラボラのY軸である。)
に従って媒体中開口部角θでパラボラブランチPおよび開口部角θでパラボラブランチPを確立し、
c)パラボラブランチの端部F、FおよびE、Eを計算し、
d)媒体中の開口部角−θでパラボラブランチPを回転し、開口部角θでパラボラブランチPを回転し、パラボラブランチPをx軸にそって平行移動し、
e)段階a)〜e)で形成された形態から空気中において効果的許容角を決定し、
f)効果的許容角を定義された許容角と比較して、もし差が0.001%より大きかったら、段階a)〜e)を段階a)の定義された許容角の代わりに修正許容角を用いて繰り返し、修正許容角は定義された許容角とは等しくなく、かつ修正許容角は段階f)の効果的許容角が定義された許容角と一致するように選択され、
g)定義された許容角と効果的許容角との角度の差が0.001%より小さくなったら、短縮要素によって決定された範囲によってy方向にパラボラを短縮する
ことによって計算されうる、請求項1記載の発光ユニット。
【請求項3】
CPC領域の2点FおよびF間の構造は連続多項作用によって表現されうる請求項2記載の発光ユニット。
【請求項4】
CPC領域が、θ≠θで非対称変体の場合、点EおよびEによって決定された傾斜表面のスロープを決定し、その後形成された形態から空気中において効果的許容角を決定することによって表される請求項2記載の発光ユニット。
【請求項5】
散乱シートが少なくとも一つの熱可塑性ポリマーを含有する請求項1記載の発光ユニット。
【請求項6】
更に、散乱シートの前面に散乱粒子を含有する少なくとも一つの拡散シートを含む請求項1記載の発光ユニット。
【請求項7】
反射表面が拡散性光反射表面である請求項1記載の発光ユニット。
【請求項8】
拡散性光反射表面が白色拡散性光反射表面である請求項7記載の発光ユニット。
【請求項9】
一つの光反射表面が光ボックスのベースプレートを形成し、それが少なくともLEDおよび拡散シートを含む請求項1記載の発光ユニット。
【請求項10】
光ボックスがさらに拡散シートを含む請求項9記載の発光ユニット。
【請求項11】
散乱シートが各々厚さ50〜100μmを有する請求項1記載の発光ユニット。
【請求項12】
光誘導構造が並進不変(translation-invariant)である請求項1記載の発光ユニット。
【請求項13】
散乱シートが、並進不変方向に置いて別の散乱効果を達成するオーバーモデュレート構造を有する請求項1記載の発光ユニット。
【請求項14】
発光ユニットが少なくとも2種類の散乱シートを有し、その一方はレンズ領域と凸状CPC領域からなる前面に光誘導構造を有し、第2の散乱シートは第1の散乱シートの前面の前で裏面を有するように配置し、第2の散乱シートの光誘導構造は第1の散乱シートの光誘導構造に対して30〜150°回転させる、請求項1記載の発光ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公開番号】特開2011−82174(P2011−82174A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−229286(P2010−229286)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】