説明

構造物の基礎構造

【課題】構成機器が偏在して偏荷重がかかりやすい構造物を安定支持し、該構造物の基礎構造の破損を防止する。
【解決手段】給湯器10の基礎構造70を、ハウジング12の底面を構成する平坦な基板14と、基板14の外縁下方を支持する方形基礎枠74、互いに交差する方向に配置された複数の横桁76及び縦桁78からなる基台72とで構成し、横桁76と縦桁78とを上面が平面をなすように交差結合し、該基台32の上面に固着される基板14を固着する。最重量物である圧縮機15の設置領域で横桁76又は縦桁78の間隔を狭くし、複数の横桁76又は縦桁78で支持し、軽量物である他の機器の設置領域では横桁76又は縦桁78の間隔を広くし、方形基礎枠75と1個の横桁76又は縦桁78で支持する。これによって、各桁材に負荷される重量を平均化して、給湯器10を安定支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばヒートポンプサイクル構成機器を備えた給湯器のように、ハウジング内に重量に差がある機器を内蔵し、偏荷重が発生しやすい構造物の基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人等は、先に、圧縮機、ガスクーラ、キャピラリチューブ等の膨脹器、及び蒸発器を備え、COを冷媒としてヒートポンプサイクルを構成し、COを圧縮機の吐出側で超臨界状態とすることにより、90℃程度の高温水を供給可能な給湯装置を提案している(特許文献1)。このような給湯装置は、通常1個のハウジング内に前記機器類が収納されたユニット構造となっている。
【0003】
前記機器類のうち、キャピラリチューブやガスクーラに給湯用水を導入する給水ポンプ等が軽量であるのに対し、圧縮機(駆動モータを含む)や給湯用の熱交換器のガスクーラ等の重量がはるかに大きいため、ハウジング内で偏荷重が生じやすい。そのため、設置時の玉掛けにおいてハウジングの据付が不安定となったり、大きな荷重が加わった領域の基礎部分が破損しやすくなる。
【0004】
また、蒸発器が空気を熱源とする場合、ハウジング内に外気を導入して冷媒と熱交換させる必要があるため、ハウジング内に外気流を形成させる空間を必要とし、ハウジングの容積が大型化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−303807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給湯装置のように、ハウジングに内蔵される構成機器の重量に差があり、基礎面に対して偏荷重がかかりやすい構造物は、据付が不安定になると共に、最重量が付加される領域で基礎部分が破損しやすいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、基礎面に対して偏荷重がかかりやすい構造物の据付を安定させると共に、基礎部分の破損の虞がない基礎構造を低コストで実現することを目的とする。
また、ヒートポンプサイクルを構成するユニット化された給湯器において、前記基礎構造を実現すると共に、蒸発器が空気を熱源とする場合でも、ハウジングをコンパクト化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明の構造物の基礎構造は、
ハウジング内で複数の機器を基礎面に対して据付固定してなる構造物の基礎構造において、
平坦な板状をなし前記基礎面を構成する基板と、該基板の外縁下方に配置され該基板を外縁下方から支持する方形基礎枠、該方形基礎枠の内側に配置され一方向に並列に配置された複数の第1の桁材、及び該第1の桁材と交差する方向に並列配置された第2の桁材からなり、該第1の桁材及び第2の桁材が上面が平面状をなすように交差部で結合された基台と、から構成され、
該基板を該基台上に固定すると共に、該基板上に複数の機器を据付固定し、該基板に負荷される重量分布に応じて前記第1の桁材又は第2の桁材を不等間隔とすることにより、第1の桁材及び第2の桁材に負荷される重量を平均化するように構成したものである。
【0009】
本発明の基礎構造は、前記基台及び基板からなり、基板に負荷される重量分布に応じて、基台を構成する第1の桁材又は第2の桁材の間隔を不等間隔とすることにより、第1の桁材及び第2の桁材の各々に負荷される重量を平均化できる。そのため、基板に対して偏荷重がかかりやすい構造物でも、安定した据付が可能になると共に、基礎部分の破損を防止できる。
【0010】
本発明において、第1の桁材及び第2の桁材がコの字形状断面を有し、第1の桁材及び第2の桁材のコの字形状断面の両側壁に長手方向に間隔をおいてスリット状凹溝を刻設し、第1の桁材及び第2の桁材を向かい合わせにし、結合後の上面が平面状をなすように互いのスリット状凹溝を嵌合するとよい。
これによって、上面を平面化した基台を低コストで容易に製作でき、該上面への基板の固着が容易になる。
【0011】
本発明において、第1の桁材又は第2の桁材の先端部を基板の外縁から外方へ突出させると共に、該先端部に吊り具係止用孔を形成し、該吊り具係止用孔に吊り具を取り付けて吊り上げ可能に構成するとよい。
これによって、基礎構造を利用して低コストで構造物の吊り下げが可能になり、構造物の移動を低コストで可能にする。
【0012】
本発明において、第1の桁材及び第2の桁材が平坦な板状をなす板金に切削加工、孔開け加工及び折り曲げ加工を施して製作されるとよい。このように、平坦な板状の板金を用い、該板金に卦書きや切削加工、孔開け加工及び折り曲げ加工等の加工を施すことで、第1の桁材及び第2の桁材の製作が容易になり、製作費を低コスト化できる。
【0013】
構造物がハウジング内に圧縮機、凝縮器、膨脹器及び蒸発器を内蔵し、これら機器に冷媒を循環してヒートポンプサイクルを構成するヒートポンプサイクル装置である場合、最重量の圧縮機とその他の機器類との重量の格差が非常に大きく、ハウジング内で偏荷重が発生しやすい。
【0014】
そのため、本発明をヒートポンプサイクル装置に適用し、最重量物である圧縮機の設置領域で第1の桁材又は第2の桁材間の間隔を他の領域より密となるように配置し、該圧縮機を複数の第1の桁材又は第2の桁材で支持させ、他の機器を方形基礎枠と1個の第1の桁材又は第2の桁材とで支持させるように構成するとよい。
これによって、機器の重さに応じて基礎部分に負荷される荷重を平均化できるため、安定した据付が可能になると共に、基礎部分の破損を防止できる。
【0015】
ヒートポンプサイクル装置が給湯用の冷媒が循環する圧縮機、ガスクーラ、膨脹器及び空気熱源蒸発器を含むヒートポンプサイクルと、該ヒートポンプサイクルを内包すると共に、側面に空気吸入口、上面に空気排出口を有するハウジングと、該ハウジング内に、空気熱源蒸発器を介して空気吸入口から空気排出口に流れる空気流を形成する送風機とを備えた給湯器である場合には、空気熱源蒸発器を前記空気吸入口を貫設した板状体とすると共に、該板状体でハウジング側壁の少なくとも一部を構成するようにし、最重量物である圧縮機の設置領域で第1の桁材又は第2の桁材間の間隔を他の領域より密となるように配置し、該圧縮機を複数の第1の桁材又は第2の桁材で支持させ、他の機器を前記方形基礎枠と1個の第1の桁材又は第2の桁材とで支持させるように構成するとよい。
【0016】
このように、空気熱源蒸発器を備えた給湯器の場合に、該空気熱源蒸発器でハウジング壁を構成し、これを方形基礎枠で支持させるようにしたので、前記作用効果に加えて、空気熱源蒸発器を支持する基礎構造の強度を確保し、給湯器の安定した据付が可能になり、基礎部分の破損を防止できる。
また、空気熱源蒸発器でハウジング壁を構成するので、ハウジングの容積を低減でき、ハウジングをコンパクト化できると共に、空気熱源蒸発器と背丈の大きな圧縮機又はガスクーラの配置が干渉しないので、ハウジングの高さを低減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構造物の基礎構造によれば、ハウジング内で複数の機器を基礎面に対して据付固定してなる構造物の基礎構造において、平坦な板状をなし前記基礎面を構成する基板と、該基板の外縁下方に配置され該基板を外縁下方から支持する方形基礎枠、該方形基礎枠の内側に配置され一方向に並列に配置された複数の第1の桁材、及び該第1の桁材と交差する方向に並列配置された第2の桁材からなり、該第1の桁材及び第2の桁材が上面が平面状をなすように交差部で結合された基台と、から構成され、該基板を該基台上に固定すると共に、該基板上に複数の機器を据付固定し、該基板に負荷される重量分布に応じて前記第1の桁材又は第2の桁材を不等間隔とすることにより、第1の桁材及び第2の桁材に負荷される重量を平均化するように構成したので、構造物の安定した据付を可能にすると共に、基礎部分の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る給湯器の全体斜視図である。
【図2】前記給湯器のハウジング上面を省略した平面図である。
【図3】前記給湯器の空気熱源熱交換器40の一部拡大図である。
【図4】(a)は前記給湯器の左側面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく右側面図、(d)は同じく背面図である。
【図5】前記給湯器の基礎構造70の平面図である。
【図6】前記給湯器の基台72の正面図である。
【図7】前記給湯器の横桁76の斜視図である。
【図8】前記給湯器の基台72の組立状態を示す斜視図である。
【図9】図5中のA部を拡大した斜視図である。
【図10】前記給湯器の縦桁78を製作する前の板金の平面図である。
【図11】前記給湯器の基礎面fへの据付構造を示す断面図である。
【図12】前記給湯器の圧縮機15の据付構造の正面図である。
【図13】図12中のB−B線に沿う平面視断面図である。
【図14】圧縮機15の据付構造の低摩擦台1124及び126の斜視図である。
【図15】前記給湯器のガスクーラ20の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0020】
本発明をCOを冷媒としてヒートポンプサイクルを構成する給湯器に適用した一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。
まず、図1及び図2で本実施形態に係る給湯器10の全体構成を説明する。図1は給湯器10を正面12a側から視た斜視図であり、図2は給湯器10のハウジング12の上面12aを省略した平面図である。図1及び図2において、給湯器10のハウジング12は直方体をなし、ハウジング12の内部には、ハウジング12の底面を構成する基板14が設けられている。基板14は平坦面を有し、その外縁は長方形をなしている。
【0021】
基板14上の背面12c寄りの左側領域には、圧縮機15が配置され、圧縮機15の周囲を囲むように防音ケース16が配置されている。なお、図1では防音ケース16の図示を省略している。また、以後、「左」又は「右」の表記は正面12b側から視た場合の位置を示す。防音ケース16はFRPと吸音材からなり、防水機能も合わせもつ。防音ケース16の上面は開閉可能になっており、この上面を開放することにより、防音ケース16を設けたままでも圧縮機15の保守点検が可能になっている。
【0022】
右側背面上部には、動力制御盤18が配置され、基板30上の右側領域に、ガスクーラ20が配置され、ガスクーラ20の一面は背面12cに面している。また、基板14上の正面12b近傍の右側領域に、ガスクーラ20に給湯用水を供給する給水ポンプ22が固定されている。基板14の略中央には、円筒形状の超臨界タンク24が垂直方向に立設されている。
【0023】
圧縮機15の吐出側冷媒流路(図示省略)にバイパス路(図示省略)が分岐しており、超臨界タンク24は該バイパス路に介設され、超臨界タンク24に冷媒の一部を貯留することにより、冷媒流路を流れる冷媒量を調節している。また、冷媒流路と該バイパス路との分岐部に介設され、冷媒を冷媒流路又は該バイパス路に切替え供給するための電動二方弁26が、給水ポンプ22と超臨界タンク24との間に配置されている。また、左側正面12aに面した基板14上に、並列に配置された複数のキャピラリチューブの集合体を収納した箱型形状のキャピラリキット28が配置されている。
【0024】
ハウジング12は、上下方向に立設された5本の支柱30,32,34,36及び38に化粧板等が取り付けられて隔壁を形成している。ハウジング12の正面12b、左側面12d及び右側面12eの上部領域は、コの字形状をなすパネル状に形成された空気熱源熱交換器40で構成されている。図3に示すように、空気熱源熱交換器40は、上下方向に間隔iをおいて並設された多数の採熱フィン42と、該採熱フィン42を貫いて採熱フィン42と直角方向に互いに間隔をおいて配置された冷媒流通用熱交換管群44とで構成されている。そして、間隔iから外気aが導入され、外気aが冷媒流通用熱交換管群44を流れるCO冷媒と熱交換して、CO冷媒に蒸発潜熱を付与する。
【0025】
空気熱源熱交換器40及び動力制御盤18以外で構成されるハウジング12の隔壁は、夫々別体で構成された遮蔽パネル54〜66で遮蔽されている。これら遮蔽パネルは支柱40〜48に取り外し可能に取り付けられている。
ハウジング12の上面12aには、2個の円形の空気導出口46が設けられ、該空気導出口46に空気導出用ファン48が設けられている。該空気導出口46は、同心円状の網と放射状の網とを組み合わせた防鳥ネット50で覆われている。
【0026】
空気導出用ファン48の稼動によって、空気熱源熱交換器40に形成された間隔iから外気aが導入され、ハウジング12内の上部空間に空気流を形成して、空気導出口46からハウジング外に排出される。
図4は、給湯器10を各方向から視た外観図である。図4に示すように、空気熱源熱交換器40の外側には針金を格子状に組み合わせてなる網状の防鳥ネット52が設けられている。
【0027】
次に、図5〜図8により給湯器10の基礎構造70を説明する。図5に示すように、基礎構造70は、基板14と、基板14の下方に配置された基台72とから構成されている。基台72は、基板14の四隅を下方に折り曲げてコの字形状に形成した方形基礎枠74(図8参照)と、互いに交差配置された状態で基板14の下面に固着された横桁76及び縦桁78とからなる。
【0028】
複数の横桁76及び縦桁78が基板14の下方で夫々平行に配置されている。横桁76と縦桁78とは、互いに90°で直交する方向に交差し、交差部で結合されている。
図7に示すように、横桁76はコの字形の断面を有する。横桁76には長手方向に等間隔にスリット状凹溝80が形成されている。横桁76の長辺の長さは、基板14の長辺から方形基礎枠74の板厚分だけ差し引いた長さを有する。横桁76は基板14の長辺と平行に配置される。横桁76の先端は、方形基礎枠74の内側面に固着されている。
【0029】
図8に示すように、縦桁78はコの字形の断面を有し、長手方向に不等間隔でスリット状凹溝82が設けられている。縦桁78の上面78aには、基板14を結合するためのボルト孔84が穿設されている。縦桁78は基板14の短辺と平行に配置され、縦桁78の長辺の長さは、基板14の短辺の長さより大きく、図9に示すように、縦桁78の両端部86が基板14の長辺から突出するように製作されている。
【0030】
縦桁78の先端部86には、底板88が溶接され、箱形断面を形成している。底板88には基台72を基礎面fに固定するためのアンカーボルトを挿入するボルト孔90が穿設されている。縦桁78の両側壁78b及び78cには、荷降ろし用スリングベルト92を通すための孔94及び96が穿設され、荷降ろし用スリングベルト92によって給湯器10を吊り下げ可能になっている。ボルト孔90の上方に位置する上面78aには、ボルト孔90にアンカーボルトを通すとき、その作業性を良くするために凹溝98が設けられている。
【0031】
横桁76又は縦桁78は、平坦な板金から製作される。図10に縦桁用板金100を示す。平坦な長方形状の板金100に、凹溝98及び100やスリット状凹溝82及びボルト孔84を設けると共に、折れ目線bを設ける。次に、折れ目線bに沿って側壁78b及び78cを曲げ加工してコの字形状の断面とする。次に、両端部に底板88を溶接する。横桁76も類似の加工手順で平坦な板金から作製する。
【0032】
こうして作製した横桁76と縦桁78とを、図8に示すように、スリット状凹溝80及び82で嵌合し、図5に示すように、互いに直交する格子状に組み合わせる。そして、嵌合部を溶接wによって結合する。
なお、スリット状凹溝80は等間隔に配置されているので、縦桁78は等間隔に配置される。一方、スリット状凹溝82は、基板14に負荷される重量分布に応じて不等間隔に配置されている。即ち、大きな重量が負荷される領域には、横桁76が密に配置されるように設定されている。
【0033】
また、図8において、横桁76の左右側面76b及び76cの端縁104のうち、縦桁78の上面78aが当る部分の端縁104aは、該上面78aの厚さ分だけ短くなっている。そのため、該上面78aの上側面と横桁76の端縁104とが同一高さとなり、これによって、基板14が載置される平坦面を形成する。
図9に示すように、方形基礎枠74には、縦桁78が嵌合する凹溝74aが刻設され、該凹溝74aに縦桁78の先端部86が嵌合されている。方形基礎枠74の高さは横桁76又は縦桁78の高さと同一となるように設定されているので、基台72の底面はすべて同一高さの底面を形成し、該底面が基礎面fに当接される。
【0034】
次に、横桁76の端縁104及び縦桁78の上面78aに基板14を載せ、基板14をボルト孔84を使って縦桁78の上壁78aにボルト結合する。こうして基礎構造70が形成される。図9に示すように、基板14には遮蔽パネル106がボルト結合等によって立設される。遮蔽パネル106はハウジング12内の機器類の保守点検作業時には、取り外すことができる。
【0035】
次に、図11により基台72を基礎面fに固定するための手段を説明する。図11において、基礎面fにドリルで穴108を開ける。次に、該穴108に接着剤sが封入されたカプセル110を挿入する。次に、先端を斜めに切ったアンカーボルト112をボルト孔90を介してカプセル110の内部に打ち込む。これによって、カプセル110内に封入された接着剤が化学変化を起して固化し、アンカーボルト112を基礎面fに固定する。
【0036】
給湯器10では、圧縮機15は数100kgを越える最重量物であり、次にガスクーラ20は100kgを越える重量がある。図1に示すように、これらの重い重量物がハウジングの背面側に偏在する一方、ハウジングの正面側は、10kg前後の軽量の給水ポンプ22やキャピラリキット28が配置されている。そのため、設置時の玉掛けにおいて背面寄りの基板14に偏荷重が負荷され、最重量が負荷される圧縮機下方の基礎構造に破損が生じやすい。
この問題を解消するため、背面側の横桁76の間隔を正面側と比べて密に配置し、各々の横桁76に負荷される重量を平均化している。
【0037】
即ち、最重量物である圧縮機15の設置領域には、横桁76を他の領域より間隔を密に配置し、圧縮機15を2本の縦桁78で支持している。次に重量のあるガスクーラ20、及び軽量の給水ポンプ22及びキャピラリキット28は、1本の横桁76と方形基礎枠74とで支持している。また、空気熱源熱交換器40でハウジングの側壁の一部を形成し、それを方形基礎枠74で支持している。基板14の略中央に配置された超臨界タンク24は1本の縦桁78で支持している。重量物が配置されていない領域では、横桁76間の間隔は広く設定されている。
【0038】
このように、ハウジング12に内蔵されている重量物の重量によって、基礎構造70、即ち、横桁76、縦桁78及び方形基礎枠74に負荷される荷重を平均化している。従って、設置時の玉掛けにおいて給湯器10を安定支持でき、基礎構造70又は基礎面fの破損を防止できる。
なお、横桁76又は縦桁78間の間隔は、スリット状凹溝80又は82の間隔を変えることによって、容易に変更できる。
【0039】
次に、図12〜図14により圧縮機15を基板14に据え付ける据付構造を説明する。図12〜図14において、圧縮機15のケーシング114の下部には、ケーシング114を支えるステー116が一体に形成されている。ステー116と基板14との間に平板状の架台118が配置され、架台118の下面にケース120及び122がハウジング12の背面側に向けて溶接されている。ケース120は架台118の短辺と同一の長辺をもち、ケース122はケース120より短い長辺をもち、ケース122は2個直列に配置されている。
【0040】
ケース120はコ字状断面をなし、四隅を隔壁で囲まれた袋状の凹部を有する。ケース122は四方を囲む長方形のリング状をなし、架台118の下面に固着されて袋状の凹部を形成している。ケース120の凹部には、図14(a)に示す低摩擦台124が嵌入され、ケース122の凹部には、図14(b)に示す低摩擦台126が嵌入される。低摩擦台124の両端には、ボルト128を挿入するための貫通孔124aが穿設され、低摩擦台126の一端にh、ボルト130を挿入するための貫通孔16aが穿設されている。低摩擦台124及び126は、例えば高分子量ポリエチレン等の低摩擦係数を有する樹脂からなる。
【0041】
架台118、ケース120及び低摩擦台124は、ボルト128で基板14に結合され、架台118、ケース122及び低摩擦台126は、ボルト130で基板14に結合されている。ステー116と架台118間には、長方形のプレート132と防振板134が配置され、ボルト138及びナット139で結合されている。防振板134は、鉄板と、該鉄板の両側に配置されたゴム板からなり、該鉄板と該ゴム板とを加硫接着させている。ナット139とステー116間には防振ゴム136が挿入されて、ケーシング114の振動がボルト138を介して架台118に伝達するのを防止している。
【0042】
圧縮機15の保守点検作業を行なう場合には、まず、ボルト128及び130を取り外して圧縮機15を非固定状態とする。次に、圧縮機15の前面に配置された遮蔽パネル66を取り外し、圧縮機15近傍の背面側ハウジング壁を開放する(図4(d)参照)。次に、圧縮機15のケーシング114をスライドさせてハウジング外に出し、保守点検作業を行なう。
【0043】
次に、ガスクーラ20の据付構造を図15により説明する。図15において、ガスクーラ20のケーシング21は箱形形状をなし、ケーシング21の下部4箇所に据付用のステー140が一体に固着されている。また、ケーシング21の下面にハウジング12の縦桁78と平行に2本の丸棒142が固着されている。ケーシング21は、ステー140の孔140aに挿入される図示省略の取付けボルトにより基板14に固定される。
【0044】
ガスクーラ20は、動力制御盤18の下方に配置され、図4(d)に示す遮蔽パネル64の直ぐ内側に配置されている。ガスクーラ20のメンテナンスを行なう場合には、遮蔽パネル64を取り外して、ガスクーラ近傍の背面側ケーシング壁を開放する。次に、ステー140を基板14に固定しているボルトを取り外し、ケーシング21を非固定状態とする。次に、ケーシング21をスライドさせて、ハウジング外に搬出し、保守点検作業を行なう。
【0045】
給水ポンプ22及びキャピラリキット28は、ハウジング12の正面側に配置されている。給水ポンプ22及びキャピラリキット28は軽量であるため、特にスライド機構を必要としない。これらを基板14に固定しているボルト等の固定具を取り外せば、基板14上をスライドさせるのは容易である。そのため、圧縮機15やガスクーラ20にように特別のスライド機構を設けていない。
【0046】
給水ポンプ22又はキャピラリキット28の保守点検作業を行なう時は、これら機器の近傍にある遮蔽パネル58を取り外す。次に、給水ポンプ22又はキャピラリキット28を固定している固定具を取り外して非固定状態とする。次に、これら機器をハウジング外にスライドさせて保守点検作業を行なう。
【0047】
本実施形態によれば、給湯器10を構成する圧縮機15、ガスクーラ20、給水ポンプ22及びキャピラリキット28等の主な機器類をハウジング12外に搬送して保守点検作業を行なうことができる。そのため、保守点検作業を容易に行なうことができる。
また、空気熱源熱交換器40をパネル状に形成し、該空気熱源熱交換器40でハウジング12の側壁を形成させているので、ハウジング12の容積をコンパクト化できると共に、空気熱源熱交換器40が大型で高さの大きな重量物である圧縮機15やガスクーラ20の配置と干渉しないので、ハウジング12の高さを低減できる。さらに、該空気熱源熱交換器40を方形基礎枠74で支持しているので、支持強度を高めることができる。
【0048】
また、空気導出口46をハウジング12の上面12aに設け、空気導出口46に空気導出用ファン48を設けたことにより、ハウジング12内の空間を空気流路として有効利用できると共に、ハウジング側面から流入しハウジング上面から流出する迂回流路のない空気流路を形成できて、該空気流路の圧力損失を低減できる。さらに、ハウジング12内に空気導出用ファン48用の特別なスペースを必要とせず、ハウジング12の省スペース化を可能とする。
【0049】
また、圧縮機15のケーシング114を防振板134及び防振ゴム136を介して架台118に固定したことにより、圧縮機15の振動が基板14に伝達するのを防止できると共に、該架台118を低摩擦台124及び126を介して基板14に固定したことにより、圧縮機15が基板14上を容易にスライドでき、圧縮機15のハウジング12外への搬出が容易になる。
また、ガスクーラ20のケーシング21の下面に丸棒142を固着した低コストなスライド機構で、ガスクーラ20のハウジング外の搬出が可能になる。
【0050】
また、空気熱源熱交換器40が間隔iを有して並列配置された多数の採熱フィン42と、該採熱フィン42に貫設された冷媒流通用熱交換管群44とを備え、該採熱フィン42間に空気流通路を形成したので、冷媒流通用熱交換管群44と空気との熱交換面積を拡大でき、熱交換効率を向上できる。
また、本実施形態では、冷媒がCOであり、圧縮機15の出口側でCOが超臨界状態となるヒートポンプサイクルを構成しているので、ガスクーラ20で90℃を越える用途の広い高温水を高効率で製造可能になる。
【0051】
なお、本実施形態では、圧縮機15の周囲を取り巻く防音ケース16の上面のみを開閉可能とし、かつ圧縮機15の上方に位置する遮蔽パネル62を開閉可能としているので、遮蔽パネル62及び防音ケース16の上面を開放することにより、圧縮機15をハウジング12内に固定したまま保守点検が可能になる。
【0052】
また、本実施形態によれば、横桁76と縦桁78とを交差配置した基台72と基板14とからなる簡素な構成の基礎構造70で足りるため、施工が容易であり、低コストとなる。
また、縦桁78の両端部86を基板14の外方へ突出させると共に、上壁78aに凹溝98を設け、該両端部86にアンカーボルト112を施工するようにしたので、アンカーボルト112の施工が容易にできる。
【0053】
また、両端部86の側壁78b及び78cに孔94及び96を設け、該孔に荷降ろし用スリングベルト92等の荷降ろし具を装着可能にしたので、給湯器10の吊り上げ及び搬送が容易になる。
なお、本実施形態では、縦桁78間の間隔を等間隔としたが、基礎面fに負荷される重量分布によっては、縦桁78間の間隔を不等間隔としてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、方形基礎枠74を基板14の四隅を折り曲げ成形したが、方形基礎枠74を基板14とは別個に製作し、基板14の下面四隅に固着するようにしてもよい。
なお、本発明は、給湯器以外に、重量物が偏在しがちな構造物に広く適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、簡単かつ低コストな構造で構造物を安定支持可能であり、構造物の基礎構造及び基礎面の破損を防止できるため、内蔵する機器が偏在しがちで偏荷重がかかりやすい重量構造物に適用して有益である。
【符号の説明】
【0056】
10 給湯器
12 ハウジング
14 基板
15 圧縮機
16 防音ケース
18 動力制御盤
20 ガスクーラ
22 給水ポンプ
24 超臨界タンク
28 キャピラリキット
30,31,34,36,38 支柱
40 空気熱源熱交換器(空気熱源蒸発器)
42 採熱フィン
44 冷媒流通用熱交換管群
46 空気導出口
48 空気導出用ファン
50,52 防鳥ネット
54、56,58,60,62,64,66,106 遮蔽パネル
70 基礎構造
72 基台
74 方形基礎枠
76 横桁
78 縦桁
86 先端部
88 防振板
92 荷降ろし用スリングベルト(吊り具)
94,96 孔
98 凹部
100 板金
116、140 ステー
118 架台
120,122 ケース
124,126 低摩擦台
134 防振板
136 防振ゴム
142 丸棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内で複数の機器を基礎面に対して据付固定してなる構造物の基礎構造において、
平坦な板状をなし前記基礎面を構成する基板と、該基板の外縁下方に配置され該基板を外縁下方から支持する方形基礎枠、該方形基礎枠の内側に配置され一方向に並列に配置された複数の第1の桁材、及び該第1の桁材と交差する方向に並列配置された第2の桁材からなり、該第1の桁材及び第2の桁材が上面が平面状をなすように交差部で結合された基台と、から構成され、
該基板を該基台上に固定すると共に、該基板上に複数の機器を据付固定し、該基板に負荷される重量分布に応じて前記第1の桁材又は第2の桁材を不等間隔とすることにより、第1の桁材及び第2の桁材に負荷される重量を平均化するように構成したことを特徴とする構造物の基礎構造。
【請求項2】
前記第1の桁材及び第2の桁材がコの字形状断面を有し、第1の桁材及び第2の桁材のコの字形状断面の両側壁に長手方向に間隔をおいてスリット状凹溝を刻設し、
第1の桁材及び第2の桁材を向かい合わせにし、結合後の上面が平面状をなすように互いのスリット状凹溝を嵌合したことを特徴とする請求項1に記載の構造物の基礎構造。
【請求項3】
前記第1の桁材又は第2の桁材の先端部を前記基板の外縁から外方へ突出させると共に、該先端部に吊り具係止用孔を形成し、該吊り具係止用孔に吊り具を取り付けて吊り上げ可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の構造物の基礎構造。
【請求項4】
前記第1の桁材及び第2の桁材が平坦な板状をなす板金に切削加工、孔開け加工及び折り曲げ加工を施して製作されたことを特徴とする請求項1に記載の構造物の基礎構造。
【請求項5】
構造物がハウジングに圧縮機、凝縮器、膨脹器及び蒸発器を内蔵し、これら機器に冷媒を循環してヒートポンプサイクルを構成するものであり、
最重量物である圧縮機の設置領域で第1の桁材又は第2の桁材間の間隔を他の領域より密となるように配置し、該圧縮機を複数の第1の桁材又は第2の桁材で支持させ、
他の機器を前記方形基礎枠と1個の第1の桁材又は第2の桁材とで支持させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の構造物の基礎構造。
【請求項6】
構造物が、給湯用の冷媒が循環する圧縮機、ガスクーラ、膨脹器及び空気熱源蒸発器を含むヒートポンプサイクルと、該ヒートポンプサイクルを内包すると共に、側面に空気吸入口、上面に空気排出口を有するハウジングと、該ハウジング内に、前記空気熱源蒸発器を介して前記空気吸入口から前記空気排出口に流れる空気流を形成する送風機とを備えた給湯器であり、
前記空気熱源蒸発器を前記空気吸入口を貫設した板状体とすると共に、該板状体でハウジング側壁の少なくとも一部を構成するようにし、
最重量物である圧縮機の設置領域で第1の桁材又は第2の桁材間の間隔を他の領域より密となるように配置し、該圧縮機を複数の第1の桁材又は第2の桁材で支持させ、
他の機器を前記方形基礎枠と1個の第1の桁材又は第2の桁材とで支持させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の構造物の基礎構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−1795(P2011−1795A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147651(P2009−147651)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】