説明

構造物の測量方法及び測量システム

【課題】トンネルなどの構造物の表面上の測量対象点を見通せる任意の位置から、測量器を移動させることなく、この構造物の所望の横断面上の測量対象点の位置を測量することが可能な測量方法及び測量システムを提供する。
【解決手段】測量方法100は、トンネル内部に測量器を設置する測量器設置工程110と、測量器により第1の点の座標を測量する測量工程120と、第1の点から第2の点の座標を計算する第1計算工程130と、第2の点から第3の点の座標を計算する第2計算工程140と、第3の点から視準点と第3の点との距離を計算し、この距離が所定の近似条件を満たすか否かを判定する判定工程150とを備え、近似条件を満たせば第3の点の座標を測量対象点の座標とし、近似条件を満たさなければ、これら110〜150の工程を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トンネルなどの構造物の測量方法及び測量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図7に、従来のトンネルの内壁面上の点の位置を測量する方法の一例を示す。
【0003】
トンネルの掘削後には、例えば、図7に示すように、トンネル60の施工において計画設計された設計壁面20と、実際に掘削した後のトンネル内壁面である実壁面30との寸法の誤差の測量を行ったり、また、掘削後に実壁面30上に、寸法用の測量点、アンカーボルト、又は壁面ボーリングなどを設置するための位置を設定する測量を行ったりする。
【0004】
このような測量では、図7の(a)に示すように、まず、トンネル60の空間内の適宜な位置に測量器10を設置して、測量を行いたいトンネル横断面50と、このトンネル横断面50と直交する基準軸である、例えば、トンネル基軸40との交点Oの位置を測量する。次に、図7の(b)に示すように、交点Oを新たな測量を実施する基準点として、測量器10を基準点Oへ移動し、基準点Oから、トンネル横断面50上の測定したい方向αに位置する設計壁面20上の点Aを視準し、基準点Oから点Aを通り延伸する半直線rと、実壁面30との交点である点Mの位置を測量することで、実壁面30上の測量対象となる点Mの座標を求める。
【0005】
従来より、このようなトンネル横断面の内周壁面上の点の位置の測量には、例えば、特許文献1に記載されるように、トンネル横断面上に配置された光波測距機から発生されるレーザー光を、横断面に沿ってトンネル内周壁面に所定の角度毎に順次照射して、光波測距機で各角度における内周壁面を測距し、その測量結果に基づき、トンネル形状の断面データを作成する測量技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−65755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の測量方法では、実壁面30上における点の位置を測量するためには、トンネル60の空間内の適宜な位置に設置された測量器10による測量により、点Oを求めた後、測量器10を点Oに移動させなければならない。特に、測定対象となる点Mが複数のトンネル横断面にわたって位置する場合、その度に、測量器を繰り返して移動させなければならず、手間と労力を要してしまう。また、トンネル横断面50上に資器材が設置される場合や、切羽断面の内周壁面上の点の位置の測量及び位置出し測量などには、横断面上に測量器10を設置できないため、この方法は適用できない。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、トンネルなどの構造物の表面上の測量対象点を見通せる任意の位置から、測量器を移動させることなく、この構造物の所望の横断面上の測量対象点の位置を測量することが可能な測量方法及び測量システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、所定の基準軸に直交する各横断面における設計断面形状が既知の構造物について、前記基準軸上の所与の位置を通り前記所定の基準軸に直交する横断面(以下、対象横断断面という)内での、前記基準軸から見て所与の方向における表面上の点を測量対象点としてその座標を測量する測量方法であって、
前記測量対象点を見通せる適宜な点を基準点として、この基準点に、視準点に向かう方向に位置する対象物表面上の点の座標を測量可能な測量器を設置する測量器設置工程と、
前記測量器により、前記対象横断面内での、前記基準軸から見て前記所与の方向における前記設計断面形状上の点を視準点として、前記基準点と前記視準点とを結ぶ直線が前記構造物の表面と交わる第1の点の座標を測量する測量工程と、
前記第1の点の座標に基づいて、前記視準点を前記対象横断面内にて更新する視準点更新工程と、
前記更新前の視準点と前記更新後の視準点との距離を計算し、この距離が所定の近似条件を満たすか否かを判定する判定工程とを備え、
前記所定の近似条件を満たせば、前記更新後の視準点の座標を前記測量対象点の座標とし、前記所定の近似条件を満たさなければ、前記更新後の視準点を用いて、前記測量工程、前記視準点更新工程、及び判定工程を繰り返すことを特徴とする(第1の発明)。
【0009】
本発明による測量方法によれば、構造物内の任意の位置に測量器を設置しても、測量器を移動することなく、構造物の所望の横断面の内周壁に位置する測量対象点の近似位置を導出できる。また、測量対象点が複数の横断面に位置する場合にも、測量器を移動する必要がなく測量対象点の近似位置を特定できるため、作業効率が大幅に向上する。
【0010】
また、中空空間における所望の横断面上に、資器材が設置される場合や、トンネル切羽断面上の内周壁を測量する場合などにも、資器材が設置場所以外の所や、切羽面から離れた所などから測量できる。これにより、測量可能な範囲が広くなるだけでなく、安全に測量を実施できるとともに、掘削工事と並行した測量も実施できる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記視準点更新工程は、前記第1の点を、前記対象横断断面上へ、前記対象横断断面と直交する向きに投影した第2の点の座標を計算する第1計算工程と、前記対象横断断面上において、前記基準軸からの距離が前記第2の点と同じで、かつ、前記基準軸から見た向きが前記視準点と同じである第3の点を更新後の視準点としてその座標を計算する第2計算工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記測量器はレーザー光を出射して、前記レーザー光が対象物表面に照射された点の座標を測量する光波測量器であることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1〜3の発明において、前記基準軸は直線又は曲線であることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第1〜4の発明において、前記近似条件は、前記距離が所定値以下であることを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第1〜5の発明において、前記構造物はトンネルであることを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、所定の基準軸に直交する各横断面における設計断面形状が既知の構造物について、前記基準軸上の所与の位置を通り前記所定の基準軸に直交する横断面(以下、対象横断面という)内での、前記基準軸から見て所与の方向における表面上の点を測量対象点としてその座標を測量する測量システムであって、視準点に向かう方向に位置する対象物表面上の点の座標を計測可能な測量部と、前記測量部の視準点を調整する視準点調整部と、前記測量対象点を見通せる適宜な点を基準点とし、前記対象横断面内での、前記基準軸から見て前記所与の方向における前記設計断面形状上の点を視準点として、前記基準点に設置された前記測量部により、前記基準点と前記視準点とを結ぶ直線が前記構造物の表面と交わる第1の点の座標を測量した時の、第1の点の座標を取得する測量値取得部と、前記第1の点の座標に基づいて、前記視準点を前記対象横断面内にて更新する視準点更新部と、前記更新前の視準点と前記更新後の視準点との距離を計算し、この距離が所定の近似条件を満たすか否かを判定し、前記所定の近似条件を満たせば、前記更新後の視準点の座標を前記測量対象点の座標とし、前記所定の近似条件を満たさなければ、前記更新後の視準点を用いて前記視準点調整部、前記測量値取得部、及び前記視準点更新部による処理を行わせる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、第7の発明において、前記視準点更新部は、前記測量値取得部により取得された前記第1の点を、前記対象横断断面上へ、前記対象横断断面と直交する向きに投影した第2の点の座標を計算する第1計算部と、前記第1計算部により計算された前記第2の点から、前記対象横断面上において、前記基準軸からの距離が前記第2の点と同じで、かつ、前記基準軸から見た向きが前記視準点と同じである第3の点を更新後の視準点としてその座標を計算する第2計算部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、トンネルなどの構造物の表面上の測量対象点を見通せる任意の位置から、測量器を移動させることなく、この構造物の所望の横断面上の測量対象点の位置を測量することが可能な測量方法及び測量システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図3は、本実施形態のトンネル60の内壁面上の点の位置を測量する方法の一例を示す斜視図である。なお、図3において、図7に対応する部分は同一の符号を付している。本実施形態では、トンネル60について、所定の基準軸上の所与の位置を通り、この基準軸と直交する横断面内での、基準軸から見て所与の方向における内面上の点の測量を、測量器10を移動させることなく行うものである。なお、本実施形態では、図7の場合と同様に、基準軸をトンネル基軸40とし、トンネル基軸40上の所与の点Oにてトンネル基軸40と直交するトンネル横断面50内での、点Oから見て方向αにある実壁面30の位置M(座標)を測量するものとする。
【0021】
図3に示すように、トンネル60の内空間の任意の位置Sに設置される測量器10から、トンネル基軸40に直交するトンネル横断面50において、トンネル基軸40からみて方向αにおける設計壁面20上の点Aを視準した場合、測量される点は、測量位置Sから点Aに直線を結んだ視準線SAを延伸し、実壁面30との交点である点Aとなる。本実施形態では、この点Aの座標を基として、所定の計算及び測量を繰り返しながら、視準点を繰り返し設定し、徐々にその視準点を測量対象点Mへと移動させて、測量対象点Mの近似座標を確定する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る測量方法100の手順を示すフローチャートである。
【0023】
図1に示すように、測量方法100は、測量器設置工程110と、測量工程120と、視準点更新工程125と、判定工程150と、視準点再設定工程160と、測量対象点決定工程170とから構成される。なお、視準点更新工程125は、第1計算工程130と、第2計算工程140により構成される。
【0024】
測量器設置工程110は、測量器10の設置を行う工程である。図3に示すように、測量器10は、足場が良く、測量器10が固定設置できる場所で、測量対象点Mを見通せる場所であれば、トンネル60の空間内の任意の位置に設置できる。
【0025】
また、測量工程120では、トンネル横断面50とトンネル基軸40との交点である点Oから見て、トンネル横断面50内で方向αに位置する設計壁面20上の点Aを視準点として、位置Sと視準点Aとを結ぶ直線がトンネル60の実壁面30と交わる点の位置を測量し、この点を第1の点Aとしてその座標を求める。
【0026】
図4〜図6は、第1計算工程130及び第2計算工程140を説明するための図であり、それぞれXZ平面、XY平面及びYZ平面に夫々投影した投影図である。
【0027】
第1計算工程130では、図4及び図5に示すように、測量工程120で測量した第1の点Aの座標を用いて、この第1の点Aを、トンネル横断面50へ、トンネル横断面50と直交する向き投影した点である第2の点Aの座標を計算する。
【0028】
第2計算工程140では、図6に示すように、第1計算工程130で計算された第2の点Aと、点Oとの距離OAを計算し、点Oからの距離が距離OAと同じで、かつ、点Oから点Aを通り延伸する半直線r上にある第3の点Aの座標を計算する。すなわち、第3の点Aは、測量された第1の点Aを測定対象であるトンネル横断面50へトンネル基軸40の方向に投影した点(第2の点A)を、点Oを中心に、所望の方向αへ回転した点であり、以下に述べるように、この第3の点Aを新たな視準点として測量を繰り返すことで、視準点を次第に測量対象点Mに近づけることができる。
【0029】
判定工程150では、視準点Aと、第2計算工程140で計算した第3の点Aとの距離dを計算し、この距離dが、所定の近似条件(例えば、距離D以下であること)を満たすか否かを判定する。
【0030】
そして、距離dがこの近似条件を満たさなければ、第3の点Aが、測量に用いる新たな視準点Bとして設定され(視準点再設定工程160)、測量工程120により第1の点Bが測量され、第1計算工程130により第2の点Bの座標が計算され、第2計算工程140により第3の点Bの座標が計算される。そして、再び、判定工程150にて視準点Bと第3の点Bとの距離dが求められ、前述した近似条件を満たすか否かを判定する。このように、これらの工程120〜150は、近似条件を満たすまで繰り返される。一方、第3の点と視準点との距離が近似条件を満たせば、第3の点の座標を測量対象点の座標として決定し(測量対象点決定工程170)、測量方法100を終了する。
【0031】
図2は、上記測量方法100を実施するための一例を示す測量システム200の機能ブロック図である。
【0032】
同図に示すように、測量システム200は、測量部210と、視準点調整部220と、測量値取得部230と、視準点更新部235と、これら210〜235を制御する制御部260とから構成される。なお、視準点更新部235は、第1計算部240と、第2計算部250により構成される。
【0033】
測量部210は、視準点に向かう方向に位置する対象点の座標を計測可能な、例えば、ノンプリズム光波式のトータルステーションを用いる。
視準点調整部220は、測量部210の姿勢を、後述する制御部260から指示された視準点に視準するように調整する。
測量値取得部230は、測量部210により測量された対象点の座標を、測量部210から取得する。
【0034】
第1計算部240は、測量値取得部230により取得された座標に基づき、前述した第1計算工程130を行い、第2の点の座標の計算を行う。
第2計算部250は、第1計算部240により計算された第2の点の座標に基づき、前述した第2計算工程140を行い、第3の点を更新後の視準点としてその座標の計算を行う。
【0035】
制御部260は、第2計算部250により計算された第3の点の座標に基づき、前述した判定工程150を行うことにより、前述した近似条件を満たすか否かを判定し、これらの各部210〜250を、図1のフローチャートに示す工程120〜170に則して制御し、最終的に測量対象点Mの位置を決定する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態による測量方法100及び測量システム200によれば、トンネル60の空間内の任意の位置Sに測量器10を設置しても、測量器10を移動することなく、所望のトンネル横断面50の実壁面30に位置する測量対象点Mの近似位置を導出できる。すなわち、測量対象点Mが複数のトンネル横断面50に位置する場合にも、測量器10を移動する必要なく測量対象点Mの近似位置を特定できるため、作業効率が大幅に向上する。
【0037】
また、トンネル横断面50上に、資器材が設置される場合や、トンネル切羽断面の内周壁面上の点の位置を測量する場合などにも、資器材が設置場所以外の所や、切羽面から離れた所などから測量できる。これにより、測量可能な範囲が広くなるだけでなく、安全に測量を実施できるとともに、掘削工事と並行した測量も実施できる。
【0038】
なお、本発明による測量システム200に、特定された測量対象点Mを指し示すことが可能な可視レーザー光を出射する装置を備えてもよい。これにより、例えば、測量点やアンカーボルトなどの位置出しを行う際に、その位置を簡便に指示参照できる。
【0039】
なお、本実施形態では、基準軸をトンネル基軸40としたが、これに限らず、基準軸の取り方は任意である。図8は、基準軸を、設計壁面20上の点Aから、鉛直下方向の鉛直方向基準軸40に設定した場合と、水平方向の水平方向基準軸40に設定した場合の測量対象点の位置を示す斜視図である。
【0040】
例えば、図8に示すように、基準軸を鉛直方向基準軸40とした場合には、トンネル横断面50と鉛直方向基準軸40との交点である点Oから、点Aの方向へ延長した実壁面30との交点Mが測量対象点となり、基準軸を水平方向基準軸40とした場合には、トンネル横断面50と水平方向基準軸40との交点である点Oから、点Aの方向へ延長した実壁面30との交点Mが測量対象点となる。このように、基準軸を変更することにより、設計壁面20上の点Aからの、任意の方向における実壁面30上の投影点を測量することができる。
【0041】
また、本実施形態では、測量対象をトンネルの内壁面としたが、これに限らず、例えば、ボックスカルバートの壁面や、切土・盛土又は土砂掘削の法面や、円筒形竪坑などの曲面部などの構造物でも、基準軸と、その基準軸に直交する横断面とが既知の構造物であって、測量対象点を見通せる位置に測定器を設置することにより、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係る測量方法の手順を示すフローチャートである。
【図2】本実施形態に係る測量システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態のトンネルの内壁面上の点の位置を測量する方法の一例を示す斜視図である。
【図4】第1計算工程及び第2計算工程を説明するためのXZ平面投影図である。
【図5】第1計算工程及び第2計算工程を説明するためのXY平面投影図である。
【図6】第1計算工程及び第2計算工程を説明するためのYZ平面投影図である。
【図7】従来のトンネルの内壁面上の点の位置を測量する方法の一例を示す斜視図である。
【図8】基準軸を、設計壁面20上の点Aから、鉛直下方向の鉛直方向基準軸40に設定した場合と、水平方向の水平方向基準軸40に設定した場合の測量対象点の位置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10 測量器 20 設計壁面
30 実壁面 40 トンネル基軸
40 鉛直方向基準軸 40 水平方向基準軸
50 トンネル横断面 60 トンネル
100 測量方法 110 測量器設置工程
120 測量工程 125 視準点更新工程
130 第1計算工程 140 第2計算工程
150 判定工程 160 視準点再設定工程
170 測量対象点決定工程 200 測量システム
210 測量部 220 視準点調整部
230 測量値取得部 235 視準点更新部
240 第1計算部 250 第2計算部
260 制御部 A、B、C 視準点
、B、C 第1の点 A、B 第2の点
、B 第3の点 M、Ma、 測量対象点
O、O、O トンネル横断面と基準軸との交点
S 測量器設置位置
、d 視準点と第3の点との距離
r 点Oから方向αに延伸する半直線
α トンネル横断面上の所定の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の基準軸に直交する各横断面における設計断面形状が既知の構造物について、前記基準軸上の所与の位置を通り前記所定の基準軸に直交する横断面(以下、対象横断断面という)内での、前記基準軸から見て所与の方向における表面上の点を測量対象点としてその座標を測量する測量方法であって、
前記測量対象点を見通せる適宜な点を基準点として、この基準点に、視準点に向かう方向に位置する対象物表面上の点の座標を測量可能な測量器を設置する測量器設置工程と、
前記測量器により、前記対象横断面内での、前記基準軸から見て前記所与の方向における前記設計断面形状上の点を視準点として、前記基準点と前記視準点とを結ぶ直線が前記構造物の表面と交わる第1の点の座標を測量する測量工程と、
前記第1の点の座標に基づいて、前記視準点を前記対象横断面内にて更新する視準点更新工程と、
前記更新前の視準点と前記更新後の視準点との距離を計算し、この距離が所定の近似条件を満たすか否かを判定する判定工程とを備え、
前記所定の近似条件を満たせば、前記更新後の視準点の座標を前記測量対象点の座標とし、前記所定の近似条件を満たさなければ、前記更新後の視準点を用いて、前記測量工程、前記視準点更新工程、及び判定工程を繰り返すことを特徴とする構造物の測量方法。
【請求項2】
前記視準点更新工程は、
前記第1の点を、前記対象横断断面上へ、前記対象横断断面と直交する向きに投影した第2の点の座標を計算する第1計算工程と、
前記対象横断断面上において、前記基準軸からの距離が前記第2の点と同じで、かつ、前記基準軸から見た向きが前記視準点と同じである第3の点を更新後の視準点としてその座標を計算する第2計算工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の測量方法。
【請求項3】
前記測量器はレーザー光を出射して、前記レーザー光が対象物表面に照射された点の座標を測量する光波測量器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の測量方法。
【請求項4】
前記基準軸は直線又は曲線であることを特徴とする請求項1〜3のうち何れかに記載の測量方法。
【請求項5】
前記近似条件は、前記距離が所定値以下であることを特徴とする請求項1〜4のうち何れかに記載の測量方法。
【請求項6】
前記構造物はトンネルであることを特徴とする請求項1〜5のうち何れかに記載の測量方法。
【請求項7】
所定の基準軸に直交する各横断面における設計断面形状が既知の構造物について、前記基準軸上の所与の位置を通り前記所定の基準軸に直交する横断面(以下、対象横断面という)内での、前記基準軸から見て所与の方向における表面上の点を測量対象点としてその座標を測量する測量システムであって、
視準点に向かう方向に位置する対象物表面上の点の座標を計測可能な測量部と、
前記測量部の視準点を調整する視準点調整部と、
前記測量対象点を見通せる適宜な点を基準点とし、前記対象横断面内での、前記基準軸から見て前記所与の方向における前記設計断面形状上の点を視準点として、前記基準点に設置された前記測量部により、前記基準点と前記視準点とを結ぶ直線が前記構造物の表面と交わる第1の点の座標を測量した時の、第1の点の座標を取得する測量値取得部と、
前記第1の点の座標に基づいて、前記視準点を前記対象横断面内にて更新する視準点更新部と、
前記更新前の視準点と前記更新後の視準点との距離を計算し、この距離が所定の近似条件を満たすか否かを判定し、前記所定の近似条件を満たせば、前記更新後の視準点の座標を前記測量対象点の座標とし、前記所定の近似条件を満たさなければ、前記更新後の視準点を用いて前記視準点調整部、前記測量値取得部、及び前記視準点更新部による処理を行わせる制御部と、を備えることを特徴とする測量システム。
【請求項8】
前記視準点更新部は、
前記測量値取得部により取得された前記第1の点を、前記対象横断断面上へ、前記対象横断断面と直交する向きに投影した第2の点の座標を計算する第1計算部と、
前記第1計算部により計算された前記第2の点から、前記対象横断面上において、前記基準軸からの距離が前記第2の点と同じで、かつ、前記基準軸から見た向きが前記視準点と同じである第3の点を更新後の視準点としてその座標を計算する第2計算部と、を備えることを特徴とする請求項7記載の測量システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−263606(P2007−263606A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85829(P2006−85829)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(394017446)マック株式会社 (7)