説明

標尺、標尺を用いたレベル測定装置および測定方法

【課題】現状の標尺のバーコードは、単色バーコード目盛りで、簡単なデコードアルゴリズムおよび少ない計算ステップで、標尺の視準位置(高さおよび距離)を定めるのが非常に難しい。
【解決手段】レベル測定装置の標尺のバーコード記号の少なくとも幾つかはカラーバーコード記号で、第1および第2ブロックに体系化されている。第1ブロックの長さが、第2ブロックの長さよりも短く、第2ブロックよりも細かい位置表示を与える。第1ブロックが、単色およびカラーバーコード記号で形成されている。第1ブロックが、単一のカラーバーコード記号および少なくとも1つの単色バーコード記号を備えている。第2ブロックが、カラーバーコード記号のみで形成されている。発明は、上記標尺に適合するレベル測定装置およびその標尺を用いる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局地測量の測地学的な電子レベル装置および応用に関する。特に、電子レベルとの併用で視準位置を自動的に測定する標尺(スタッフ)に関する。標尺は、長手方向にコード化した記号のブロックを含み、各ブロックは、所定の間隔で高さを表示している。
【背景技術】
【0002】
操作する人の読み取りエラーを除き、測定プロセスを速くする方法が種々提案されてきた。機械で読み取るバーコードの開発の試みが行なわれてきた。
【0003】
例えば、米国特許US−A−5572009は、バーコードをエンコードする方法を開示している。そのバーコードでは、BPタイプのコードが、所定の距離のPコードで形成されている。半ビットおよび全ビットを、黒および白の記号で交互に設けている。
【0004】
米国特許US−A−5742378は、バーコード標尺を開示している。標尺は、第1および第2(第3)目盛りの黒い記号のアライメントを備え、そのアライメントは、スタッフの長さに沿って一定ピッチで周期的に作られている。第1および第2の記号の幅は、異なる周期で変化し、第3の記号は、一定の幅である。
【0005】
米国特許US−A−6167629およびUS−A−5887354は、電子レベルの標尺を開示している。この標尺は、複数のバー形状のマークからなり、標尺の長手方向に互いに隣接して設けている。
【0006】
上記全てのレベルバーコード標尺は、視準されたバーコードの位置を、バー記号の幅の寸法を検出して定めている。標尺の長手方向のバー記号の幅寸法は、複数の整数で表示されている。標尺と電子レベル間の距離が大きくなると、画像受信部での各バー記号の画像が小さくなる。その結果、バー記号の精確な寸法を識別するのが難しくなる。このために、米国特許US−A−5572009、US−A−6167629、US−A−5887354に開示する複数のバーコードは、近距離および遠距離に対して、2つの整数の順列として解釈される。この場合、視準部分の位置測定は、非常に粗くなる。従って、正確な位置測定には、多大な量の相関計算が必要とされる。米国特許US−A−5742378では、FFT(高速フーリエ変換)を用いて遠距離測定での標尺と電子レベルの間の距離を計算している。また、視準部分の高さは、2つの周期的なバー記号の位相角の検出で定めている。精確な位置を得るために、相関計算も必要である。
【特許文献1】米国特許US−A−5572009
【特許文献2】米国特許US−A−5742378
【特許文献3】米国特許US−A−6167629
【特許文献4】米国特許US−A−5887354
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子レベルのバーコードは、現状では単色である。上記のバーコードでは、高さの読み取りは、バーの寸法またはバー間のスペースでエンコードしている。従って、現状の単色バーコード目盛りでは、簡単なデコードアルゴリズムおよび少ない計算ステップで、標尺の視準位置(高さおよび距離)を定めるのが非常に難しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
レベル測定装置の標尺が、標尺に沿ってバーコード記号で表示される位置表示を備え、バーコード記号の少なくとも幾つかはカラーバーコード記号で、色が位置表示をエンコードする役目をする、ことを特徴とする標尺。
【0009】
バーコード記号が、第1および第2ブロックに体系化され、各ブロックが、位置表示を与え、標尺で、第1ブロックが占める長さが、第2ブロックが占める長さよりも短く、第1ブロックが第2ブロックよりも細かい位置表示を与える。
【0010】
バーコード記号の第1ブロックが、単色およびカラーバーコード記号で形成されている。
【0011】
第1ブロックが、単一のカラーバーコード記号および少なくとも1つの単色バーコード記号を備えている。
【0012】
第2ブロックが、カラーバーコード記号のみで形成されている。
【0013】
第2ブロックを形成するカラーバーコード記号が、第1ブロックのカラーバーコード記号の形成にも役立つ。
【0014】
第2ブロックが、複数の第1ブロックの各々1つのカラーバーコード記号で形成されている。
【0015】
カラーバーコード記号が、複数の幅の値を備え、第2ブロックが、相対的に大きい幅の値を有するカラーバーコード記号のみで形成されている。
【0016】
相対的に大きな幅の値を有する3つの連続する任意のカラーバーコード記号が、第2ブロックを構成する。
【0017】
カラーバーコード記号が、2つの幅の値を備えている。
【0018】
連続する第1ブロック間のピッチが一定である。
【0019】
第2ブロックの各々が、3つのカラーバーコード記号からなる。
【0020】
第2ブロックの各々が、唯一のカラー順序またはカラーバーコード記号の順列を備えている。
【0021】
隣接するバーコード記号が、4つの異なる固定ピッチの値から選択されるピッチで分離されている。
【0022】
第1ブロックが、任意の4つの隣接するバーコード記号で構成され、そのバーコード記号が、標尺に沿って、連続したバーコード記号の順序を形成する。
【0023】
第1ブロックが、3つの単色バーコード記号と1つのカラーバーコード記号から成る。
【0024】
単色バーコード記号の幅の寸法が、所定の幅の値のセット{W|x=1,2,3,4...}から選択される。
【0025】
第1ブロックの各々は、色、幅および隣接するバーコード記号間のピッチで、唯一のバーコード記号の順序を備えている。
【0026】
第1ブロックおよび/または第2ブロックの各々が、標尺または上下反転した標尺の他の部分のブロックに対して唯一のパターンを規定し、レベル測定装置で検出できる標尺の正規または上下反転の位置表示を提供する。
【0027】
カラーバーコード記号の色を、最大限のカラー認識を可能とする減法混色の原色(マゼンタ、シアン、イエロー)またはカラーセット(赤、緑、青)から選択する。
【0028】
バーコード記号は、色および/または幅で互いに区別され、バーコードブロックは、バー記号の色の順列、バー記号の幅の順列、およびバー記号間のピッチの順序で、互いに区別される。
【0029】
各第1ブロックの長さは一定値で、各第2ブロックの長さは大きい一定値である。
【0030】
第2ブロックのカラーバーコード間のピッチを第1ブロックの長さの整数倍のセットから選択し、ピッチの重複する変調により、組合せたピッチのフーリエ解析の周波数ラインを高める。
【0031】
第1ブロックのカラーバーコード記号が、ブロックの開始および終了の表示を与える。
【0032】
第1ブロックは、所定距離内および所定距離までに位置するレベル測定装置で識別できるように形成し、第2ブロックは、所定距離以上に位置するレベル測定装置で識別できるように形成する。
【0033】
高さの情報を得る標尺の使用において、標尺を垂直面内に位置させ、標尺の相対位置が高さの値を表わす標尺の使用。
【0034】
標尺に適合するレベル測定装置が、装置から或る距離に位置する標尺の或る部分のカラー画像を得る画像化手段と、画像化した標尺に沿う或る部分の位置を、バーコード記号で生成されるカラー情報を基本にして、識別する処理手段と、を備えているレベル測定装置。
【0035】
処理手段が動作し、画像化した部分の位置を、その中の第1ブロックまたは第2ブロックから選択的に識別するレベル測定装置。
【0036】
画像化手段が、カラーバーコード画像を受取るカラー画像センサを備え、処理手段が、標尺の色、ピッチおよびバー記号の配列を検出する記号/パターン検出部と、 バー記号の色の順序、バー記号の幅の順序、およびバー記号間のピッチの対応する順序を蓄積するメモリ部と、および記号検出部からの検出信号とメモリ部のバー記号の順序とを比較して、一致を探し出し、標尺の視準した部分の位置情報を得る計算部と、を備えているレベル測定装置。
【0037】
第1モードおよび第2モード間を選択的に操作する手段と、ここで、第1モードで、画像化した第1ブロックからのバーコード情報を読み込み、第2モードで、画像化した第2ブロックからのバーコード情報を読み込む、読み取った情報は、読取りとして送られ、選択的に操作される手段が、画像化した第1ブロックが読み取れる時、第1モードの情報を読取り、画像化した第1ブロックが読み取れない時、第2モードの情報を読み取るレベル測定装置。
【0038】
標尺に沿う第1ブロックの実際の長さおよび/または標尺に沿う第2ブロックの実際の長さを蓄積する手段と、画像化された第1ブロックの画像の長さおよび/または画像化された第2ブロックの画像の長さを測定する手段と、第1および/または第2ブロックの画像化に用いられる光学システムの焦点長さの値を蓄積する手段と、実際の長さ、画像化された長さ、および焦点長さを基準にして、レベル測定装置から標尺の距離を測定する手段と、を備えたレベル測定装置。
【0039】
標尺の或る部分のカラー画像を取得し、画像化された第1ブロックまたは第2ブロックで表されるカラー情報を読み取り、標尺の画像化された部分の相対的な位置を確認するレベル測定の方法。
【0040】
識別ステップを第1モード及び第2モードに従って選択的に実行し、ここで、第1モードで、画像化した第1ブロックからのバーコード情報を読み込み、第2モードで、画像化した第2ブロックからのバーコード情報を読み込む、読み出した情報は、読み出しとして送られ、画像化された第1ブロックが読み取れる時は、その読み取りを第1モードで生成し、画像化された第1ブロックが読み取れない時は、その読み取りを第2モーで生成する方法。
【0041】
実施形態の目的は、色を用いて電子レベルのバーコード目盛をエンコードする方法を提供する。カラーバーコード目盛は、簡単なデコードアルゴリズムで、異なる測定距離の区別に使用し、迅速な測定スピードとなる。
【0042】
実施形態のもう1つの目的は、電子レベルで異なる測定距離のカラーバーコード目盛を提供する。
【0043】
実施形態の別の目的は、簡単なデコードアルゴリズムを用いてカラーバーコードをデコードし、計算努力を減少させる。
【0044】
実施形態では、標尺が、互いに隣接したカラーバー記号のブロックを標尺の長手方向に備えている。カラーバーコード目盛は、2つのサイズのカラーバーコードブロックから成る。小さいバーコードブロックは、大きいバーコードブロックにはめ込まれている。任意の4つの隣接するバー記号が、最小のバーコードブロックを構成し、その内3つの記号が黒で、1つの記号がカラーである。最小のバーコードブロック内の3つの黒いバー記号の幅の寸法は、可変である。カラーバー記号の幅は、2つの値(広い値および狭い値)を備えている。バー記号は、4つの固定ピッチで交互に配置されている。大きいカラーバーコードブロックの各々は、3つの隣接する広いカラーバー記号を備え、カラーバー記号は、最小バーコードブロック内のカラーバー記号から選択される。カラーバー記号の色は、減法混色の原色セット(マゼンタ、シアン、イェロー)から選択される。大きなカラーバーコードブロック内では、2つの幅広いカラー記号間のピッチは、可変である。任意の1つのカラーバーコードブロックは、標尺の他のバーコードの部分から選択する1つのカラーバーコードブロックと異なる。任意の1つのカラーバーコードブロックは、上下反転した標尺の他のバーコードの部分から選択する1つのカラーバーコードブロックと異なる。
【0045】
カラープリントおよびカラー認識が一層に一般的かつ低価格になっているため、バーコード記号のカラー情報を使用するのは、現実的かつ有利である。カラーバーコード記号の適切な使用は、バーコードの情報密度を増加し、迅速なデコードを可能にし、バーコード設計に柔軟性を与える。
【0046】
短距離測定の場合、少なくとも1つのバーコードブロックが、電子レベルの視野(FOV)内にある。視野(FOV)内の全ての記号が、識別されて視準した部分の位置を決定する。更に離れた距離では、小さいバー記号の黒いバー間のピッチが小さくなるため、電子レベルの分解能の限界で確実に解像できない。逆に、長距離になると、大きいバーコードブロックが、色および大きいピッチを備えているので、識別できる。2つの大きさのバーコードブロックの特性は、異なる距離における位置識別を容易にする。さらに、任意の1つのカラーバーコードブロックが、直立または上下反転にした標尺の他のバーコードの部分から選択する1つのカラーバーコードブロックと異なるので、電子レベルは、標尺が正しく立っているか又は上下反転しているかを自動的に確認できる。
【0047】
本発明の実施形態では、標尺と組合せて使用する電子レベルは、標尺のカラーバー記号のブロックを検出するカラー記号検出部と、前以て、バーブロック情報を蓄積するメモリ部と、受信部の検出記号信号と、メモリ部に蓄積されているカラー記号のブロックとを比較して位置情報を得る計算部と、を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の実施形態のレベル装置は、図1〜3に示す様に、標尺(スタッフとも呼ぶ)1および電子レベル2を備える。標尺は、下記に記載の記号を付した細長い物理的な支持棒を意味する。使用に際して、標尺1を電子レベル2で視準させて、視準位置の高さhを測定する。標尺1には、長さ方向にカラーバーコードブロック11,12を設けている。参照番号11,12は、各々、比較的大きいカラーバーコードブロック、比較的小さいカラーバーコードブロックを示す。カラーバーコードブロック(カラーブロック)は、バーコード記号のブロックを意味し、少なくとも1つの記号(バー)が、カラーである。
【0049】
標尺の高さの情報は、少なくとも2つの隣接するバーコード記号から成るブロックで表される。以降、バーブロック、または単にブロックと称する。高さの情報は、以下に記載するが、あるブロックに対して、バーでエンコードされるデータセットで表される。標尺の高さ情報は、標尺(またはスタッフ)の長手方向のバーブロックの、標尺端部に対する位置で表される。これは、物差しに単位間隔で連続する数字が書き込まれているのと同様である。
【0050】
小さいカラーバーコードブロック12は、3つの隣接する黒いバー記号および1つのカラーバー記号から成る。4つのバー記号は、4つの可能な異なる固定(プリセット)ピッチの値の何れかで配置される。小さいバーコードブロック内で、3つの隣接する黒いバーの幅の順列、{W|x=1,2,3,4...}、が特定の高さの読み取りを決める。黒いバーの幅は、所定の幅の値のセットから選択される。小さいバーコードブロック内のカラーバーコード記号の幅は、広幅値Wc1または狭幅値Wc2の何れかを取る。カラーバー記号の可能な色は、色合で最大の分離となる減法混色の原色(マゼンタ、シアン、イエロー)から選択する。その補色(赤、緑、青)から選択しても良い。小さいカラーバーコードブロックの長さは、一定値Lである。
【0051】
大きいカラーバーコードブロック11は、3つの隣接する広いカラーバーコード記号からなる。2つのカラーバーコード記号間のピッチL(x)とL−L(x)は、変数となる。大きいカラーバーコードブロックの長さは、一定値Lである。
【0052】
電子レベル2は、図3に示す様に、自動光学傾斜補正および焦点機構を備えた望遠鏡21と、カラー画像センサ22と、アイピースおよび十字線23と、A/Dコンバータを備えるマイクロプロセッサ、RAMおよびROMメモリから成る処理装置24と、ビームスプリッタ25と、表示装置(液晶表示装置)26と、キーパッド27と、から成る。ブロックで与えられる高さ表示に対応する数字の表示は、標尺の後に印字されている。従って、操作者は、アイピースおよび十字線23から、自身の目で高さの値を読み取ることができる。
【0053】
図3に示す様に、電子レベル2は、自動の光学傾斜補正と焦点機構を有する望遠鏡21を備えている。受け取った標尺1の画像は、ビームスプリッタ25で分離し、カラー画像センサ22に送られる。カラー画像センサ22は、標尺の画像を対応する電気信号に変換し、処理装置24へ出力する。電子画像信号は、A/Dコンバータでデジタル信号に変換され、RAMに記録される。処理装置24は、バーコード記号の色を認識する。大きいカラーバーコードに対して、処理装置24は、カラー記号間のピッチを検出し、対応するバーブロックを確定する。小さいカラーバーコードに対して、処理装置24は、各記号の幅を検出し、対応するバーブロックを確定する。処理装置24は、バーブロックをROM内のテーブル値と比較して視準位置の高さhを決める。 視準光学システムは、自動光学補正および焦点機構を備える望遠鏡21、ビームスプリッタ25、アイピースと十字線23から成る。画像光学システムは、さらにカラー画像センサ22を含む。画像の光学システムの光軸と視準光学システムの光軸は、互いに一致しており、従って、標尺1の視準位置は、画像の光学システムの視準位置とは互いに一致する。
【0054】
図2に示す様に、標尺1の小さいカラーバーコードブロック12内のバー記号は、4つの一定のピッチで配置されている。小さいカラーバーコードブロック12は、3つの黒い記号および1つのカラー記号からなる4つの隣接するバー記号のセットである。カラーバーコード記号の色は、減法混色の原色(マゼンタ、シアン、イエロー)から選択される。カラーバー記号の幅は、広幅値Wc1または狭幅値Wc2の何れかを取る。
【0055】
小さいカラーバーコードブロックは、高さ読取りをエンコードする最小単位で、黒いバー記号の幅は、セット{W|x=1,2,3,4...}で識別される所定の幅の値のセットから選択される。標尺のカラーバーコード目盛から任意に選択される4つの隣接するバー記号の順列は、標尺の他の位置から取り出す4つの隣接するバー記号の順列と異なるように、バー記号の順序を配置している。
【0056】
大きいカラーバーコードブロック11内のバー記号は、標尺1で3つの隣接する幅広いカラーバー記号から成る。カラーバー記号間のスペースL(x)およびL−L(x)は、可変である。標尺1の任意のカラーバーコードブロックは、垂直または上下反転した標尺のバーコード目盛の他の部分から選択したカラーバーコードブロックとは異なる。カラーコードした高さの印のブロックは、標尺に高さをデジタル的に識別するように単位間隔で設けられている。
【0057】
2つのサイズのカラーバーコードブロックの導入により、異なる距離測定で、デコードを簡単かつ効率的に実行できる。デコード手段は、前述の検出器の出力に接続され、画像化したコードマークをデコードしてデジタルの高さ信号を形成する。図1に示す様に、短距離dの場合、電子レベル2の視野(FOV=Field Of View)3には、1つまたは幾つかの小さいカラーバーコードブロック12が入る。FOV3内の小さいカラーバーコードブロック12に対して、バー記号の色と幅、そして記号間のピッチで短距離d1を識別する。従って、標尺1の視準した部分の位置を、識別した小さいカラーバーコードブロック12で決定する。長距離dの場合、電子レベル2の限られた分解能により、FOV3内のバー記号の幅、そして小さいカラーバー記号の色は、小さ過ぎたり又はぼやけたりして互いに区別ができなくなる。この場合、大きなカラーバーコードブロックで、その色およびピッチを区別して認識し、視準した部分の位置を決定する。色は、減法混色の原色から選択する。これは、色空間で最大限の認識を与えるからである。高さhおよび距離d,dの推測値で視準した部分の最初の位置決めの後、マイクロプロセッサ24は、その高さh、標尺1と電子レベル2間の距離d,dの正確な値を求める。マイクロプロセッサ24は、正確なサーチ範囲で、標尺1の検出画像とROM内の記憶されている参照バーコード間の相関計算で値を求める。測定結果は、表示装置26に表示される。このデータの処理プロセスを、図4のフローチャートに示す。
【0058】
処理は、前処理ステップS2で開始され、その間に画像データが取得され、デジタル形式にまとめられる。このステップS2の次にカラー認識ステップS4が続き、視準した画像のカラーバー記号の原色(マゼンタ、シアン、イェロー)を識別する。
【0059】
ステップS6で、視準したバーコードブロックが、大きいバーコードブロック11(図2を参照)であるかどうかを確認する。
【0060】
視準した画像が、大きなバーコードブロック11を含まない場合、処理は、ステップ8で、小さいバーコードブロック12から成るかどうかを確認する。つまり、小さいバーコードブロックをデコードする明確な画像信号を有するかどうかを確認する。Noの場合、システムは、標尺が目的外または範囲外に在ると判断し、結果表示のステップS12に進み、その状態を示す。
【0061】
視準した画像が、確定したバーコードブロック、つまりステップS6からの大きいバーコードブロック11またはステップS8からの小さいバーコードブロック12からか、を備える場合、システムは、ステップ14で、視準した部分の位置の概算を行ない、高さ測定を実行する。システムは、必要であれば、ステップS16の相関シークの決定に進む。
【0062】
直立または上下反転した標尺は、同一のカラーバーコードブロックは存在しないので、直立か上下反転かが自動的に認識される。これは、異なる測定距離において、バー記号の幅の順列、バー記号間のピッチ、バー記号の色を識別して行われる。
【0063】
望遠鏡の焦点距離f、検出した小さいカラーバーコードブロックの一定距離L、または大きいカラーバーコードブロックの一定距離Lを基準にして、標尺1と電子レベル2の間の距離は、式d=f(L/m)またはd=f(L/m)で与えられる。mおよびmは、一定のブロック長さLおよびLに対する焦点面の対応する画像長さである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態によるカラーバーコード標尺の配置、異なる測定距離(長距離、短距離)の電子レベルの模式図である。
【図2】本発明の実施形態によるカラーブロックバーコード標尺の構成図である。
【図3】本発明の実施形態によるカラー画像センサを備えた電子レベルの基本構造を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態によるカラーバーコード標尺の電子レベルの信号処理順序を示す図表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル測定装置の標尺が、該標尺に沿ってバーコード記号で表示される位置表示を備え、該バーコード記号の少なくとも幾つかはカラーバーコード記号で、色が位置表示をエンコードする役目をする、ことを特徴とする標尺。
【請求項2】
前記バーコード記号が、第1および第2ブロックに体系化され、該各ブロックが、位置表示を与え、前記標尺で、該第1ブロックが占める長さが、該第2ブロックが占める長さよりも短く、該第1ブロックが該第2ブロックよりも細かい位置表示を与える、ことを特徴とする請求項1記載の標尺。
【請求項3】
前記バーコード記号の前記第1ブロックが、単色および前記カラーバーコード記号で形成されている、ことを特徴とする請求項2記載の標尺。
【請求項4】
前記第1ブロックが、単一の前記カラーバーコード記号および少なくとも1つの前記単色バーコード記号を備えている、ことを特徴とする請求項3記載の標尺。
【請求項5】
前記第2ブロックが、前記カラーバーコード記号のみで形成されている、ことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項記載の標尺。
【請求項6】
前記第2ブロックを形成する前記カラーバーコード記号が、前記第1ブロックの前記カラーバーコード記号の形成にも役立つ、ことを特徴とする請求項5記載の標尺。
【請求項7】
前記第2ブロックが、複数の前記第1ブロックの各々1つの前記カラーバーコード記号で形成されている、ことを特徴とする請求項2〜6の何れか1項記載の標尺。
【請求項8】
前記カラーバーコード記号が、複数の幅の値を備え、前記第2ブロックが、相対的に大きい幅の値を有する該カラーバーコード記号のみで形成されている、ことを特徴とする請求項2〜7の何れか1項記載の標尺。
【請求項9】
相対的に大きな幅の値を有する3つの連続する任意の前記カラーバーコード記号が、前記第2ブロックを構成する、ことを特徴とする請求項8記載の標尺。
【請求項10】
前記カラーバーコード記号が、2つの幅の値を備えている、ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項記載の標尺。
【請求項11】
連続する前記第1ブロック間のピッチが一定である、ことを特徴とする請求項2〜10の何れか1項記載の標尺。
【請求項12】
前記第2ブロックの各々が、3つの前記カラーバーコード記号からなる、ことを特徴とする請求項2〜11の何れか1項記載の標尺。
【請求項13】
前記第2ブロックの各々が、唯一のカラー順序または前記カラーバーコード記号の順列を備えている、ことを特徴とする請求項2〜12の何れか1項記載の標尺。
【請求項14】
隣接する前記バーコード記号が、4つの異なる固定ピッチの値から選択されるピッチで分離されている、ことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項記載の標尺。
【請求項15】
前記第1ブロックが、任意の4つの隣接する前記バーコード記号で構成され、その該バーコード記号が、前記標尺に沿って、連続した該バーコード記号の順序を形成する、ことを特徴とする請求項2〜14の何れか1項記載の標尺。
【請求項16】
前記第1ブロックが、3つの前記単色バーコード記号と1つの前記カラーバーコード記号から成る、ことを特徴とする請求項2〜15の何れか1項記載の標尺。
【請求項17】
前記単色バーコード記号の幅の寸法が、所定の幅の値のセット{W|x=1,2,3,4...}から選択される、ことを特徴とする請求項1〜16の何れか1項記載の標尺。
【請求項18】
前記第1ブロックの各々は、色、幅および隣接する前記バーコード記号間のピッチで、唯一の該バーコード記号の順序を備えている、ことを特徴とする請求項1〜17の何れか1項記載の標尺。
【請求項19】
前記第1ブロックおよび/または前記第2ブロックの各々が、前記標尺または上下反転した該標尺の他の部分の該ブロックに対して唯一のパターンを規定し、前記レベル測定装置で検出できる該標尺の正規または上下反転の位置表示を提供する、ことを特徴とする請求項2〜18の何れか1項記載の標尺。
【請求項20】
前記カラーバーコード記号の色を、最大限のカラー認識を可能とする減法混色の原色(マゼンタ、シアン、イエロー)またはカラーセット(赤、緑、青)から選択する、ことを特徴とする請求項1〜19の何れか1項記載の標尺。
【請求項21】
前記バーコード記号は、色および/または幅で互いに区別され、前記バーコードブロックは、前記バー記号の色の順列、該バー記号の幅の順列、および該バー記号間のピッチの順序で、互いに区別される、ことを特徴とする請求項1〜20の何れか1項記載の標尺。
【請求項22】
各前記第1ブロックの長さは一定値で、各前記第2ブロックの長さは大きい一定値である、ことを特徴とする請求項2〜21の何れか1項記載の標尺。
【請求項23】
前記第2ブロックの前記カラーバーコード間の前記ピッチを前記第1ブロックの長さの整数倍のセットから選択し、該ピッチの重複する変調により、組合せたピッチのフーリエ解析の周波数ラインを高める、ことを特徴とする請求項2〜22の何れか1項記載の標尺。
【請求項24】
前記第1ブロックの前記カラーバーコード記号が、前記ブロックの開始および終了の表示を与える、ことを特徴とする請求項2〜23の何れか1項記載の標尺。
【請求項25】
前記第1ブロックは、所定距離内および所定距離までに位置する前記レベル測定装置で識別できるように形成し、前記第2ブロックは、所定距離以上に位置する該レベル測定装置で識別できるように形成する、ことを特徴とする請求項1〜24の何れか1項記載の標尺。
【請求項26】
高さの情報を得る請求項1〜25の何れか1項記載の前記標尺の使用において、
該標尺を垂直面内に位置させ、該標尺の相対位置が高さの値を表わす、ことを特徴とする標尺の使用。
【請求項27】
請求項1〜25の何れか1項記載の前記標尺に適合する前記レベル測定装置が、
該装置から或る距離に位置する該標尺の或る部分のカラー画像を得る画像化手段と、
画像化した該標尺に沿う或る部分の位置を、バーコード記号で生成されるカラー情報を基本にして、識別する処理手段と、を備えている、
ことを特徴とするレベル測定装置。
【請求項28】
前記処理手段が動作し、前記画像化した部分の位置を、その中の前記第1ブロックまたは前記第2ブロックから選択的に識別する、ことを特徴とする請求項27記載のレベル測定装置。
【請求項29】
前記画像化手段が、前記カラーバーコード画像を受取るカラー画像センサを備え、
前記処理手段が、
前記標尺の色、前記ピッチおよび前記バー記号の配列を検出する記号/パターン検出部と、
該バー記号の色の順序、該バー記号の幅の順序、および該バー記号間のピッチの対応する順序を蓄積するメモリ部と、および
該記号検出部からの検出信号と該メモリ部の該バー記号の順序とを比較して、一致を探し出し、該標尺の視準した部分の位置情報を得る計算部を備えている、
ことを特徴とする請求項27または28記載のレベル測定装置。
【請求項30】
第1モードおよび第2モード間を選択的に操作する手段で、
ここで、該第1モードで、画像化した前記第1ブロックからのバーコード情報を読み込み、該第2モードで、画像化した前記第2ブロックからのバーコード情報を読み込み、読み取った情報は、読み取りとして送られ、
選択的に操作される該手段が、画像化した第1ブロックが読み取れる時、該第1モードの情報を読取り、画像化した第1ブロックが読み取れない時、該第2モードの情報を読み取る、ことを特徴とする請求項27〜29記載のレベル測定装置。
【請求項31】
前記標尺に沿う前記第1ブロックの実際の長さおよび/または該標尺に沿う前記第2ブロックの実際の長さを蓄積する手段と、
画像化された該第1ブロックの画像の長さおよび/または画像化された該第2ブロックの画像の長さを測定する手段と、
該第1および/または該第2ブロックの画像化に用いられる光学システムの焦点長さの値を蓄積する手段と、
実際の長さ、画像化された長さ、および焦点長さを基準にして、前記レベル測定装置から該標尺の距離を測定する手段と、を備えた、
ことを特徴とする請求項27〜30の何れか1項記載のレベル測定装置。
【請求項32】
前記標尺の或る部分のカラー画像を取得し、
画像化された前記第1ブロックまたは前記第2ブロックで表されるカラー情報を読み取り、
該標尺の画像化された部分の相対的な位置を確認する、
ことを特徴とする請求項1〜25の何れか1項記載の標尺を適用したレベル測定の方法。
【請求項33】
識別ステップを前記第1モード及び前記第2モードに従って選択的に実行し、
ここで、該第1モードで、画像化した前記第1ブロックからのバーコード情報を読み込み、該第2モードで、画像化した前記第2ブロックからのバーコード情報を読み込む、読み出した情報は、読み出しとして送られ、
画像化された該第1ブロックが読み取れる時は、その読み取りを該第1モードで生成し、画像化された該第1ブロックが読み取れない時は、その読み取りを該第2モーで生成する、
ことを特徴とする請求項32記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−536538(P2007−536538A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511978(P2007−511978)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004619
【国際公開番号】WO2005/108922
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(501116608)ライカ ジオシステムズ アクチェンゲゼルシャフト (70)