説明

標的玩具

【課題】発射体が当る度に標的の状態が変わり、標的を攻撃している実感を楽しむことができるとともに、標的の大きさや形状を変えることができ、オリジナリティのある標的を構築することができる標的玩具を提供すること。
【解決手段】標的玩具Aは基板1と、該1の上面に配置されたタワー2と、基板1を下から支える支柱部材3とを備え、タワー2の先端にはターゲット4を載置する載置部5を設けるとともに、上記タワー2にはターゲット4が載置部5から落下しないようにガードするガード部材6を上下動可能に配置し、該ガード部材6を下から突き上げる突き上げ部材20が外れたときには降下してターゲット4のガードが解除されるようにし、上記支柱部材3に発射装置Bから発射された発射体bが当り、その衝撃で基板1から外れ、支柱部材3による支えが失われると上記基板1は傾動し、上記載置部5上のターゲット4が落下するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的玩具、詳しくは発射装置から発射された発射体で玩具本体の上部に載置されたターゲットを落下させて遊ぶ標的玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、標的を狙って撃つ射撃ゲームとしてはテレビゲームが知られている。このゲームは赤外線銃で画面に表示された標的を撃つものであるが、発射体を実際に発射するものではないため、発射体を実際に発射して遊ぶ玩具として球体を発射する球体発射玩具が本出願人から提案されている(例えば、特許文献1)。この球体発射玩具の標的となるものは空き缶などの的であり、この的に命中するか否かがゲームの遊び方であった。
【特許文献1】実用新案登録3079273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の球体発射玩具は発射体が標的に当るか否かを競うだけで、その標的には何の変化もなく、単に当てるだけではゲームに飽きてしまう恐れがあった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、発射体が当る度に標的の状態が変わり、標的を攻撃している実感を楽しむことができるとともに、標的の大きさや形状を変えることができ、オリジナリティのある標的を構築することができる標的玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係る標的玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記標的玩具は基板と、該基板の上面に配置されたタワーと、基板を下から支える支柱部材とを備え、上記タワーの先端にはターゲットを載置する載置部が設けられていること
(ロ)上記基板の裏面には、上記支柱部材を取り付ける取付部が形成され、該支柱部材は上記発射装置から発射された発射体が当ると、その衝撃で上記取付部から外れ、支柱部材による支えが失われると上記基板は傾動すること
(ハ)上記タワーには上記ターゲットを上記載置部から落下しないようにガードするガード部材が上下動可能に配置され、該ガード部材を下から支える支持部材が撤去されたときには下降してターゲットのガードが解除されること
なお、前記支柱部材は、筒状に形成され、一端は全面が開口し、他端は先窄まりに形成されて内部に錘部材を収容できるようにし、錘部材を収容して支柱部材の重量を大きくし、発射体の衝突による衝撃が大きくなければ基板に形成された取付部から外れないようにすることが好ましい。
【0006】
また、前記基板の両面に前記取付部を複数形成し、前記支柱部材を介して複数の基板が連結できるようにし、標的の大きさや形状をユーザーの好みに合わせて変えられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、基板を支柱部材で下から支えるとともに、基板の上面にはターゲットを載置する載置部を設けたタワーを配置し、このタワーに上下動可能に配置されたガード部材を突き上げ部材で上方に突き上げて、載置部に載置したターゲートが落下しないようにガードした状態で、発射装置から発射された発射体が、支柱部材や突き上げ部材に衝突し、これを基板から外していくことにより、標的玩具を徐々に破壊してあたかも敵の城郭を破壊していくような状況を作り出し、単に標的に発射体が当たるか否かを競う従来の射撃ゲームでは味わうことのない楽しさを実感することができる標的玩具を提供することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、基板を支える支柱部材の重量を大きくすることにより発射体の衝突による衝撃が大きくなければ基板に形成された取付部から外れないようにしたので標的玩具の防御力を高めることができる。
【0009】
請求項3の発明によれば、複数の基板を支柱部材を介して連結することができ、お仕着せの標的玩具ではなくプレイヤーの意思が反映された標的玩具を作り上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明に係る標的玩具を示し、この標的玩具Aは基板1と、この基板1の上面に配置されたタワー2と、基板1を下から支える支柱部材3とを備え、上記タワー2には上端にターゲット4(本発明では、球体で構成)を載置する載置部5が形成されるとともに、上記載置部5から上記ターゲット4が落下しないようにガードするガード部材6が上下動可能に配置されている。
【0011】
基板1は、図2に示すように、六角形状の板部材で両面には上記支柱部材3を取り付ける取付部10が形成され、中央には後述する突き上げ部材20を係合させる係合孔11が形成されている。上記取付部10は環状の嵌合凸部で構成され、筒状に形成された支柱部材3を嵌め合わせることができるようになっており、上記係合孔11は、ガード部材6を押し上げた状態で支持する突き上げ部材20を係合させることができるようになっている。
【0012】
タワー2は、図3(a)(b)に示すように放射状に3つの張り出し部12aが形成された下部材12と、3本のガイド柱13と、放射状に3つの張り出し部14aが形成されるとともに載置部5が形成された上部材14とで構成され、このタワー2にはターゲット4が載置部5から落ちないようにガードするガード部材6が上下動可能に配置されている。
【0013】
上記下部材12の張り出し部12aには上記ガイド柱13の下端13aを嵌め合わせる嵌合孔15が形成され、先端下面には基板1の取付部10に嵌め合わせる嵌合凸部16が形成され、中央には上記突き上げ部材20を挿通させる開口部17が形成されている。
【0014】
そして、上部材14の張り出し部14aの裏面には上記ガイド柱13の上端13bを嵌め合わせる嵌合凹部(図示せず)が形成され、中央上面にはターゲット4を載置する載置部5が形成されている。
【0015】
ガード部材6は放射状に第1の張り出し部6aと第2の張り出し部6bとが交互に形成され、第1の張り出し部6aには上記ガイド柱13を挿通させる挿通孔18が形成され、第2の張り出し部6bには上方に略三角形状に張り出したガード板19とがそれぞれ形成されている。このガード部材6は、挿通孔18をガイド柱13に挿通させることにより、ガイド柱13にガイドされて上下動できるようになっており、突き上げ部材20で下から突き上げた状態では、ガード板19が載置部5の外側に位置し、載置部5に載置したターゲット4が載置部5から落ちないようにガードするようになっている。
【0016】
なお、突き上げ部材20は、図4に示すように、支持軸21と突き上げ軸22とで構成され、支持軸21は上部が水平方向に膨出して形成された係合板21aが基板1に形成された係合孔11に裏面から係合し、突き上げ軸22は下端22aが支持軸21の上端に形成された係合孔21bに係合し、基板1の上面から上方に突出した状態で支持軸21に連結した状態にすることができるようになっている。
【0017】
上記タワー2は上記下部材12の張り出し部12aに形成された嵌合孔15にガイド柱13の下端13aを嵌め合わせ、ガイド柱13にガード部材6の第1の張り出し部6aに形成された挿通孔18を挿通させ、ガイド柱13の上端13bに上部材5の張り出し部15aに形成された嵌合凹部を嵌め合わせれば、図3(c)に示すように、ガード部材6がガイド柱13に上下動可能にガイドされたタワー2を構成することができる。
【0018】
支柱部材3は、図5に示すように、係合部10の外側に嵌合できる内径の筒状部材で構成され、上端は全面が開口した開口部3aが形成され、下端は先窄まりに形成されるとともに係合部10の内側に嵌合できる外径の嵌合凸部3bが形成されている。この支柱部材3にはターゲット4である球体を2個収容できるようになっている。
【0019】
次に、図6(a)〜(d)に基づいて、上記構成の標的玩具の組み上げ方の一例について説明する。先ず、図6(a)に示すように、基板1の裏側の係合孔11に支持軸21の係合板21aを嵌め合わせ、図6(b)に示すように、係合部10に支柱部材3の開口部3aを嵌め合わせる。次に、図6(c)に示すように、基板1を表側にして、支持軸21の係合板に21aの中央に形成された係合孔21bに突き上げ軸22の下端22aを差し込み、基板1の上面に突出した状態にし、タワー2を基板1の上に取り付ける。この時、上突き上げ部材22が12の17を挿通するように基板1の上方から下ろすようにして、内周側の係合部10にタワー2の下部材12に形成された嵌合凸部16を嵌め合わせれば、図6(d)に示すように、上突き上げ部材22が6を上方に突き上げて19が、上部材14の上面に形成された載置部5の外側にせり上がり、この載置部5に載置する球体4が載置部5から容易に飛び出さないようにガードした標的玩具を組み上げることができる。
【0020】
上述のようにして組み上げた標的玩具Aは、載置部5にターゲットである球体4を載置した後、図7に示すように、発射装置Bで標的玩具Aを狙って発射体bを発射し、球体4を載置部5から如何に早く落とすかを競えばよい。なお、上記発射体bはターゲットと同じ球体4を用いてもよい。
【0021】
発射装置Bから発射された発射体bが,基板1の下面に取り付けられた支持軸21にヒットし、この支持軸21が基板1の係合孔11から外れると、支持軸21の上に連結されていた突き上げ軸22を支えるものがなくなるので、この突き上げ軸22とともにガード部材6が降下し、ターゲットである球体4がむき出しの状態になる(図8(a)参照)。
【0022】
なおも、発射体bを発射し続け、この発射体bが支柱部材3にヒットすると、この支柱部材3が基板1の係合部10から外れ、基板1を支える支柱部材3の数が少なくなると、図8(b)に示すように、基板1は支柱部材3が外れた側に傾いた状態になるので、載置部5上でむき出しになっている球体4は、標的玩具Aから落下してゲームが終了する。このように、単に標的に発射体が当たるか否かだけを競うのではなく、標的を崩すように狙って発射体を発射し、あたかも敵の城を攻撃しているような感覚になり、標的玩具を狙う射撃遊びをさらに面白いものにすることができる。
【0023】
なお、上記標的玩具では、基板1に支柱部材3を取り付けただけであるが、この支柱部材3の内部に、図9に示すように、錘部材cを収容してから基板1に取り付けるようにしてもよい。このことにより、支柱部材3全体の重量が大きくなるので、発射体の衝突による衝撃が大きくなければ基板1から外れにくくなり、発射体bに対する標的玩具Aの防御力を高めることができる。なお、上記錘部材cとしてターゲットと同じ球体4を用いてもよい。
【0024】
また、基板1の両面に係合部10を形成したことにより、基板1の上面にも支柱部材3を取り付けることができるので、図10に示すように、複数の基板1を水平方向、垂直方向に連結することができ、大きなサイズの標的玩具や異なる形状の標的玩具を構築することができ、お仕着せの標的玩具ではなくプレイヤーの工夫が反映され、より興味深い射撃ゲームを行なうことができる標的玩具を作り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る標的玩具の斜視図
【図2】上記標的玩具を構成する基板の斜視図
【図3】(a)〜(c)はタワーの構成を説明する斜視図
【図4】突き上げ部材の構成を説明する斜視図
【図5】(a)(b)は支柱部材の平面側斜視図及び底面側斜視図
【図6】(a)〜(d)は標的玩具の組み上げ工程を説明する斜視図
【図7】上記標的玩具を発射装置から発射体を発射して攻撃する状態を説明する平面図
【図8】(a)(b)は発射体によって標的玩具が攻撃される状態を説明する斜視図
【図9】支柱部材に錘部材を収容する状態の説明図
【図10】複数の基板を連結して大型の標的玩具を構築した状態を説明する斜視図
【符号の説明】
【0026】
1 基板
2 タワー
3 支柱部材
4 ターゲット
5 載置部
6 ガード部材
10 取付部
20 突き上げ部材
A 標的玩具
B 発射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とする標的玩具。
(イ)上記標的玩具は基板と、該基板の上面に配置されたタワーと、基板を下から支える支柱部材とを備え、上記タワーの先端にはターゲットを載置する載置部を設けたこと
(ロ)上記基板の裏面には、上記支柱部材を取り付ける取付部が複数形成され、該支柱部材は上記発射装置から発射された発射体が当ると、その衝撃で上記取付部から外れ、支柱部材による支えが失われると上記基板は傾動すること
(ハ)上記タワーには上記ターゲットを上記載置部から落下しないようにガードするガード部材が上下動可能に配置され、該ガード部材を下から突き上げる突き上げ部材が外れたときには降下してターゲットのガードは解除されること
【請求項2】
前記支柱部材は、筒状に形成され、一端は全面が開口し、他端は先窄まりに形成されて内部に錘部材を収容できるようにした、請求項1記載の標的玩具。
【請求項3】
前記基板の両面に前記取付部を複数形成し、前記支柱部材を介して複数の基板が連結できるようにした、請求項1又は2記載の標的玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−135869(P2007−135869A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333631(P2005−333631)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】