説明

標識灯

【課題】照射方向の指向性が強い半導体発光装置を用いる場合に、効果的に、相対向する2方向と全周方向とに要求される配光パターンを得られる標識灯を提供する。
【解決手段】一対の主半導体発光装置2、2は相対的に大出力であり、複数個の副半導体発光装置3、・・・は相対的に小出力である。透光部材4の副半導体発光装置3、・・・に光学的に対向する部分の内面側に、凸部5が複数条設けられている。副半導体発光装置3、・・・からの光は、凸部5により屈折され、透光性部材4の全周方向への光出力が均一化される。透光性部材4の主半導体発光装置2、2に光学的に対向する部分7は平面部7とされている。主半導体発光装置2、2からの光は、平面部7を略直進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港やヘリポートなどで使用される標識灯に関する。
【背景技術】
【0002】
この種標識灯として、相対向する2方向に相対的に大光量の主配光、全周方向に相対的に小光量の副配光を求められるものがある。たとえば、飛行場の滑走路の側縁部に設けられる地上形の標識灯は、滑走路の進行方向に沿う2方向にはそれぞれ水平角±10度、鉛直角0〜12度の範囲内を高光度の配光パターンとし、この2方向を除く全周方向には鉛直角0〜15度の範囲内を低光度の配光パターンとすることが要求されている。さらに詳細には、前記2方向については、水平角±6.5度の範囲内は平均10000cd以上、水平角±8.5度の範囲内は平均1000cd以上、水平角±10度の範囲内は平均500cd以上が要求されている。全周方向については、50cd以上が要求されている。
【0003】
このような配光が要求される理由は、離着陸する航空機のパイロットに滑走路の側縁を認識させるとともに、誘導路から滑走路に進入するまたはその逆の航空機のパイロット等に標識灯の存在を認識させるためである。
【0004】
従来、地上形の標識灯の一例として、特許文献1のものが提案されている。特許文献1には、発光ダイオード(LED)に対向させて略漏斗形状の制光体を配置する標識灯が示されている。そして、特許文献1においては、漏斗状制光体の略中央の中空部を通過する光を直進させ、漏斗状制光体の側面に入射する光を略直交方向に反射させて、標識灯の直上方向と全周方向とに所望の配光パターンを得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3906573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものでは、相対向する2方向に相対的に大光量の主配光、全周方向に相対的に小光量の副配光を得ることはできない。
【0007】
このため、本発明は、相対向する2方向と全周方向とにそれぞれ必要な配光パターンを得るためになされたもので、簡単な構成で効率よく上記の配光パターンを得ることが可能な標識灯を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、長寿命で電球に比して発光効率のよい半導体発光装置を用いることを前提とし、照射方向の指向性が強い半導体発光装置を用いる場合に、効果的に、相対向する2方向と全周方向とに要求される配光パターンを得られる構成を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における一実施形態の標識灯は、灯具本体に、相対向する2方向に照射可能な相対的に大出力である一対の主半導体発光装置と、前記2方向を除く全周方向に照射可能な相対的に小出力である複数個の副半導体発光装置とを配設している。そして、副半導体発光装置に光学的に対向する部分は光拡散性であるとともに、主半導体発光装置に光学的に対向する部分は副半導体発光装置に光学的に対向する部分に比して非光拡散性である透光部材で主半導体発光装置および副半導体発光装置を覆っている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、主、副の半導体発光装置の配置構成、これらの半導体発光装置を半導体発光装置毎に光学特性を異ならせた透光部材で覆うようにした構成により、相対向する2方向に高光度の配光パターン、全周方向に低光度の配光パターンを容易に得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す平面図。
【図2】図1のX‐X線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1および図2を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態を示す平面図、図2は図1のX‐X線に沿う断面図である。図において、1は灯具本体であり、例えば飛行場の滑走路の側縁部に沿って、路面C上に配設されるものである。灯具本体1には、相対的に大出力な一対の主半導体発光装置2、2、相対的に小出力な複数個の副半導体発光装置3、・・・が設けられている。
【0014】
主半導体発光装置2、2は、相対向する方向(図1、図2において左右方向)に光を照射可能に設けられている。より詳細には、鉛直角0〜12度の範囲(図1においてA方向の上方向12度範囲、以下の鉛直角の説明においても同様。)で、水平角±10度の範囲(図2においてB方向を中心とする上下各10度以上の範囲、以下の水平角の説明においても同様。)を照射可能に配置されている。
【0015】
副半導体発光装置3、・・・は、前記2方向を含まないかまたは幾らか含む全周方向に光を照射可能に設けられている。より詳細には、鉛直角0〜15度の範囲を照射可能に配置されている。
【0016】
これら主半導体発光装置2、2、副半導体発光装置3、・・・の灯具本体1への取付手段については、図示を省略したが、取付台、取付板等任意の手段を用いて適宜取付けることが可能である。
【0017】
また、主半導体発光装置2、2、副半導体発光装置3、・・・は、それぞれ白色発光の発光ダイオードを光源として構成することができるが、有機EL素子等他の半導体発光素子であってもよい。発光色も白色以外でもよい。そして、主半導体発光装置2、2および副半導体発光装置3、・・・は、1個または複数個の半導体発光素子で構成することができる。相対的に大小な光出力は、個々の半導体発光素子の選択や個数の選定等により設計可能である。
【0018】
なお、図1、2において、主半導体発光装置2、2および副半導体発光装置3、・・・それぞれは、一見単体構成のように示されているが、単体の構成に限られるものではなく、発光装置個々の発光能力に応じて複数個の発光装置の組合せとしてもよい。
【0019】
上記主半導体発光装置2、2、副半導体発光装置3、・・・の点灯装置は灯具本体1内に設けてもよいし、灯具本体1の外部に設けてもよい。そして、飛行場にあっては、複数個の標識灯における前記の各点灯装置は、定電流電源に互いに直列接続されて給電されることになる。
【0020】
4は透光性部材であり、前記主半導体発光装置2、2、副半導体発光装置3、・・・を覆っている。透光性部材4はガラス、合成樹脂、セラミック等から形成可能である。
【0021】
透光性部材4の副半導体発光装置3、・・・に光学的に対向する部分は光拡散性であり、主半導体発光装置2、2に光学的に対向する部分は副半導体発光装置3、・・・に光学的に対向する部分に比して非光拡散性である。ここで、副半導体発光装置3、・・・に光学的に対向する部分に比して非光拡散性であるとは、光拡散性を否定するのではなく、相対的に光直進性が優れていることを意味している。したがって、主半導体発光装置2、2に光学的に対向する部分が、幾らかの光拡散性を有していたり、光屈折性を有していたりする場合を許容する。
【0022】
本実施形態においては、透光部材4の副半導体発光装置3、・・・に光学的に対向する部分の内面側に、上下方向(図1)に延在する凸部5が複数条設けられている。この凸部5は、断面が半円形状であり、各凸部5間の相対的凹部6は平面状である。副半導体発光装置3、・・・からの光は、凸部5により屈折されることにより拡散され、透光性部材4の全周方向への光出力が均一化される。
【0023】
一方、透光性部材4の主半導体発光装置2、2に光学的に対向する部分には凹凸部が無く、平面部7とされている。したがって、主半導体発光装置2、2からの光は、殆んど屈折や拡散されることなく、前記の2方向に照射される。
【0024】
本実施形態の透光部材4は、内面側に凹凸部を有するが、外面側には凹凸部を有していないため、塵埃等が付着し難く、また、清掃も容易であるという効果がある。
【0025】
本実施形態によれば、主半導体発光装置2、2および副半導体発光装置3、・・・を点灯すると、主半導体発光装置2、2からの光は透光部材4の平面部7を通して照射される。また、副半導体発光装置3、・・・からの光は光拡散部すなわち凸部5および凹部6を通して拡散されて照射される。
【0026】
したがって、滑走路の進行方向に沿う2方向にはそれぞれ鉛直角0〜12度の範囲内であって、水平角±6.5度の範囲内は平均10000cd以上、水平角±8.5度の範囲内は平均1000cd以上、水平角±10度の範囲内は平均500cd以上で照射することができる。
【0027】
同時に2方向を含む全周方向には鉛直角0〜15度の範囲内を50cd以上で照射することができる。
【0028】
そして、主、副半導体発光装置2、2、3、・・・とも、半導体発光素子にて構成されているので、長寿命でメンテナンス性に優れ、また、発光効率がよく省電力の標識灯を提供できる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態を中心に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、各種の変形を許容するものである。
【0030】
たとえば、本発明は飛行場の滑走路の側縁部に用いて好適な他、道路、ビル等その他の施設において、相対向する2方向に相対的に大光量の主配光、全周方向に相対的に小光量の副配光を求められる場合に使用し得るものである。
【0031】
また、主半導体発光装置および副半導体発光装置の配置や配光は、透光部材との組合せの結果得られる標識灯としての配光が所望のものであればよく、幾らかの自由度を有する。たとえば、主半導体発光装置は相対向する2方向に隣接する領域にも光を照射するものであってもよい。同じく、副半導体発光装置本体は相対向する2方向にも幾らかの光を照射するものであってもよい。さらに、鉛直角の照射範囲についても、要求範囲外にも幾らかの光を照射するものであってもよく、これらの照射範囲は照射効率との関係で管理の厳格度を決定すればよい。
【0032】
また、透光部材は、光拡散部を一体形成されたものであっても、別部材で形成されたものであってもよい。光拡散部の形成方法も限定されるものではなく、サンドブラスト、プリズム化、拡散材の混入等種々の方法を適宜採用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1…灯具本体、2、2…主半導体発光装置、3、・・・…副半導体発光装置、4…透光部材、5…凸部、6…凹部、7…平面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具本体と;
灯具本体に設けられ相対向する2方向に照射可能な相対的に大出力である一対の主半導体発光装置と;
灯具本体に設けられ前記2方向を除く全周方向に照射可能な相対的に小出力である複数個の副半導体発光装置と;
主半導体発光装置および副半導体発光装置を覆い、副半導体発光装置に光学的に対向する部分は光拡散性であるとともに、主半導体発光装置に光学的に対向する部分は副半導体発光装置に光学的に対向する部分に比して非光拡散性である透光部材と;
を具備していることを特徴とする標識灯。
【請求項2】
前記透光部材は、副半導体発光装置に光学的に対向する部分の内面に凹凸部を有することによって光拡散性を呈し、主半導体発光装置に光学的に対向する部分の内面に平面部を有することによって非光拡散性を呈することを特徴とする請求項1記載の標識灯。

【図1】
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【図2】
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