説明

模擬人体

【課題】手技の訓練者に現実の人体に近い感覚を体験させ得るようにする。
【解決手段】模擬人体システム1は、循環部5の人工心肺ポンプ22により模擬臓器3へ向けて模擬血液7を送り出しながら電磁弁27の開閉弁を周期的に開放又は閉塞させ、落差ΔHを利用して模擬臓器3内の模擬血液7をリザーバ21へ排出させる。模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が開放されるとき、貯蔵空間11Bにおける圧力及び模擬血液7の貯蔵量が増加して外殻11Aを膨張させ、電磁弁27の開閉弁が閉塞されるとき、貯蔵空間11Bにおける圧力及び模擬血液7の貯蔵量が減少して外殻11Aを収縮させる。このため模擬心臓11は、電磁弁27における開閉弁の周期的な開閉に伴って膨張及び収縮を繰り返すことができ、人体における拍動に似た動きを再現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は模擬人体に関し、例えばカテーテル手技の訓練に用いる模擬人体に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、血管等の生体器官内にカテーテルを導入して該生体器官内の病変部(例えば、狭窄部)を処置することが広汎に行われている。
【0003】
このカテーテル手技に関しては、医師が予めその手技を習得しておく必要があるため、その訓練のための器具として、種々のものが用いられている。
【0004】
具体的には、例えばシリコン樹脂等により頸動脈を立体的に再現したシミュレーションモデルや、心臓模型の表面に冠動脈を模した血管模型を固定した心臓血管模型等が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
これらの心臓血管模型等では、血管や患部に関する形状や弾力等を再現することにより、カテーテルを実際の人体に挿入する際の感覚等を擬似的に体験することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4320450号公報(第1図)
【0007】
【特許文献2】実開平5−50477号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで現実の人体は、心筋が周期的に収縮・伸長することにより拍動し、これにより血液を全身へ送り出している。またこのとき冠動脈は、心筋が動くことに伴って大きく動くことになる。
【0009】
しかしながら上述した心臓血管模型等は、拍動の再現までは考慮されておらず、静止した状態で、すなわち臨床現場とは異なる状態で、カテーテル手技の訓練が行われていた。
【0010】
このためこれらの心臓血管模型等を用いた場合、心臓が拍動する状況でのカテーテル手技を体験することができず、不十分な訓練となってしまっていた。
【0011】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、手技の訓練者に現実の人体に近い感覚を体験させ得る模擬人体を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するため本発明の模擬人体においては、内部に模擬血液を貯蔵する空間を有し当該模擬血液の貯蔵量に応じて少なくとも一部が変形する模擬臓器と、模擬血液を模擬臓器に供給するポンプと、ポンプから模擬臓器への模擬血液の流路中に設けられ当該流路の少なくとも一部を開放又は閉塞する開閉器と、模擬臓器内の模擬血液に負圧を印加する負圧印加部とを設けるようにした。
【0013】
これにより本発明の模擬人体は、開閉器の解放時にはポンプからの供給により模擬臓器内の模擬血液を増加させる一方、開閉器の閉塞時には負圧印加部による排出作用により模擬臓器内から模擬血液を減少させることができるので、開閉器の開閉動作に応じて模擬臓器を変形させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開閉器の解放時にはポンプからの供給により模擬臓器内の模擬血液を増加させる一方、開閉器の閉塞時には負圧印加部による排出作用により模擬臓器内から模擬血液を減少させることができるので、開閉器の開閉動作に応じて模擬臓器を変形させることができる。かくして本発明は、手技の訓練者に現実の人体に近い感覚を体験させ得る模擬人体を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態による模擬人体システムの全体構成を示す略線的側面図である。
【図2】人体モデル部の構成(1)を示す略線的斜視図である。
【図3】人体モデル部の構成(2)を示す略線的平面図である。
【図4】人体モデル部の構成(3)を示す略線的上側面図である。
【図5】模擬心臓の構成を示す略線図である。
【図6】模擬心臓の膨張及び収縮の様子を示す略線図である
【図7】模擬心臓における模擬血液の流れを示す略線図である。
【図8】模擬臓器とリザーバとの落差を示す略線図である。
【図9】第1の実施の形態における模擬血液の遷移を示す略線図である。
【図10】第1の実施の形態における制御信号及び貯蔵空間の容積の変化を示す略線図である。
【図11】第1の実施の形態における模擬血液の流れを示す略線図である。
【図12】第2の実施の形態による模擬人体システムの全体構成を示す略線的側面図である。
【図13】第2の実施の形態における模擬血液の遷移を示す略線図である。
【図14】第2の実施の形態における制御信号及び貯蔵空間の容積の変化を示す略線図である。
【図15】第2の実施の形態における模擬血液の流れを示す略線図である。
【図16】他の実施の形態による制御信号(1)を示す略線図である。
【図17】他の実施の形態による制御信号(2)を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0017】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.模擬人体システムの全体構成]
図1に示すように、模擬人体システム1は、人体を模した人体モデル部2と、血液を模した液体である模擬血液7を循環させるための循環部5とにより構成されている。因みに各図中の矢印は、配管等における模擬血液7の流れる方向を示している。
【0018】
人体モデル部2は、人体の心臓や大動脈等の各種臓器を模した模擬臓器3を有しており、当該模擬臓器3の内部を模擬血液7が流れるようになされている。
【0019】
循環部5は、複数の配管を介して人体モデル部2の模擬臓器3と接続されており、模擬血液7を模擬臓器3の各部へ送り出し、また模擬臓器3の各部から模擬血液7を回収するようになされている。
【0020】
[1−2.人体モデル部2の構成]
人体モデル部2は、図2〜図4に示すように、模擬臓器3の各臓器が躯体4に取り付けられた構成となっている。
【0021】
[1−2−1.躯体の構成]
躯体4は、図2に示すように、アルミニウム製でなる大きな矩形板状の基板4Aを中心に構成されている。基板4Aは、その長辺が一般的な人体の肩から大腿部までの長さよりも長くなっており、またその短辺が一般的な人体の肩幅よりも長くなっている。
【0022】
因みに基板4Aは、模擬心臓11を中心としたX線画像の撮像範囲(詳しくは後述する)よりも十分に広い範囲にわたって一様な板状とおり、X線画像に辺による影等の影響を及ぼさないようになされている。また基板4Aは、その下面側に配置されている各種配管をX線画像に映さないようにもなされている。
【0023】
また基板4Aは、下面側の四隅に柱状の脚部4Bが下方へ向けて取り付けられることにより、手術台100(図1)から所定高さ(例えば15〜20cm程度)持ち上げられている。
【0024】
基板4Aの上面には、患者が手術台100に仰向けに横たわったときの各器官に相当する位置に、模擬臓器3の模擬心臓11及び模擬大動脈12等が取り付けられている。
【0025】
また基板4Aの上面側には、当該基板4Aの長手方向に関し約半分の長さでなる長方形板状の上基板4Cが支持柱4Dを介して取り付けられている。因みに上基板4Cは、模擬心臓11を覆わないような位置、すなわち人体における腹から大腿部に相当する位置に設けられている。
【0026】
[1−2−2.模擬臓器の構成]
模擬臓器3は心臓を模した模擬心臓11及び大動脈を模した模擬大動脈12を中心に構成されており、その内部を模擬血液7が流れるようになされている。
【0027】
模擬心臓11は、図5(A)に示すように、心臓を模した外形を有しているものの、その構造は実際の心臓とは異なっている。すなわち模擬心臓11は、図5(B)にその断面図を示すように、外殻11Aの内部に空間(以下これを貯蔵空間11Bと呼ぶ)を形成する中空の歪な球状ないし楕円体状に形成されており、当該貯蔵空間11B内にある程度の容積の模擬血液7を貯蔵し得るようになされている。
【0028】
また模擬心臓11には、模擬血液7を貯蔵空間11B内へ供給する心臓供給管11C及び貯蔵空間11B内に貯蔵された当該模擬血液7を外部へ排出する心臓排出管11Dが設けられている。この心臓供給管11C及び心臓排出管11Dは、模擬心臓11の背中側から人体における後ろ方向へ、すなわち基板4A(図1〜図4)を貫通してその下方へ伸びるように設けられている。
【0029】
また心臓供給管11C及び心臓排出管11Dは、比較的硬い樹脂材料により構成されると共に、躯体4の基板4Aに対して固定されている。すなわち心臓供給管11C及び心臓排出管11Dは、基板4Aに対する模擬心臓11の位置を固定すると共に、当該模擬心臓11全体を当該基板4Aから持ち上げた状態で支持している。
【0030】
模擬心臓11は、心臓供給管11Cから模擬血液7が供給されると、当該模擬血液7を貯蔵空間11B内に貯蔵すると共に、供給されたときの圧力により当該模擬血液7を当該貯蔵空間11B内で環流させる。また模擬心臓11は、心臓排出管11Dから模擬血液7を排出する。
【0031】
因みに模擬心臓11の上側(すなわち躯体4が手術台100に載せられたときの上側)には、貯蔵空間11Bから空気を排出するためのエア抜き孔11Hが設けられている。模擬心臓11は、最初に貯蔵空間11B内に模擬血液7を満たす際、当該エア抜き孔11Hを一時的に開放することにより不要な空気を抜き出すようになされている。
【0032】
さらに模擬心臓11の外殻11Aは、シリコン樹脂のように比較的柔らかく可撓性を有する材料で構成されており、例えば光造形により形成される。外壁11Aには、貯蔵空間11B内に模擬血液7が貯蔵された状態において、大気圧PAが外側から内側へ向けて常時印加され、且つ模擬血液7による内圧PBが内側から外側へ向けて印加される。
【0033】
このため外殻11Aは、特に外力が加えられない場合には、自然状態としての形状(すなわち図5(A)及び(B)に示した形状)を保持するものの、外部の大気圧と内部の模擬血液7の圧力との間に差異がある場合には、その形状を変形することになる。
【0034】
ここで、心臓供給管11Cを介して供給される模擬血液7の圧力が高く且つ心臓排出管11Dから排出する模擬血液7の圧力が低い場合、すなわち模擬血液7の供給量が多く排出量が少ないために貯蔵空間11Bの容積が増加している場合、外壁11Aについては、大気圧PA<内圧PBの関係が成立する。
【0035】
このとき模擬心臓11は、図6(A)に示すように、外壁11Aが外側へ広がるように膨張して貯蔵空間11Bの容積が増大すると共に、当該外壁11Aが元の形状に戻ろうとする復元力FRが内向きに作用する。このため模擬心臓11は、(大気圧PA+復元力FR)=内圧PBの関係が成立する状態で力の平衡が保たれる。
【0036】
一方、心臓供給管11Cを介して供給される模擬血液7の圧力が低く且つ心臓排出管11Dから排出する模擬血液7の圧力が高い場合、すなわち模擬血液7の供給量が少なく排出量が多いために貯蔵空間11Bの容積が減少している場合、外壁11Aについては、大気圧PA>内圧PBの関係が成立する。
【0037】
このとき模擬心臓11では、図6(B)に示すように、外壁11Aが内側へ収縮して貯蔵空間11Bの容積が縮小することにより内圧PBが高まる。このため模擬心臓11は、外壁11Aが内側へ収縮して大気圧PA≒内圧PBの関係が成立する状態で力の平衡が保たれる。
【0038】
因みにこの場合、外壁11Aが元の形状に戻ろうとする微小な復元力FRが外向きに作用するものの、その影響はごく僅かである。
【0039】
このように模擬心臓11は、心臓供給管11Cを介して供給される模擬血液7を貯蔵空間11B内に貯蔵した後、心臓排出管11Dから排出するようになされている。このとき模擬心臓11は、模擬血液7の供給量及び排出量の差分に応じて貯蔵空間11Bの容積が調整されることにより、膨張又は収縮するようになされている。
【0040】
模擬大動脈12(図1〜図4)は、シリコン樹脂等の比較的柔らかい材料でなり、人体の大動脈のうちおおむね上行大動脈から大腿動脈及び左外腸骨動脈の範囲を模した形状に形成されている。ただし模擬大動脈12の模擬心臓11との接続部分は実際の人体と異なり閉塞されており、模擬血液7が互いに流動しないようになされている。
【0041】
また模擬大動脈12には、図7に示すように、左冠動脈及び右冠動脈をそれぞれ模した模擬左冠動脈13A及び模擬右冠動脈13B(以下これらをまとめて模擬冠動脈13と呼ぶ)が上行大動脈に相当する部分に接続され、さらに3本の鎖骨下動脈を模した模擬鎖骨下動脈14(図1)が接続されている。
【0042】
さらに模擬大動脈12(図1)には模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17が接続されている。模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17には、それぞれカテーテルを挿入するためのカテーテルシース18及び19が接続されている。すなわちこのカテーテルシース18及び19は、それぞれ模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17を介して模擬大動脈12へと連通している。
【0043】
因みにカテーテルシース18及び19は、カテーテルが挿入されない場合に閉塞することにより、模擬血液7を外部へ流出させないようになされている。
【0044】
模擬左冠動脈13A及び模擬右冠動脈13Bは、模擬大動脈12と同様にシリコン樹脂等の比較的柔らかい材料でなり、実際の人体における左冠動脈及び右冠動脈と同様、それぞれ模擬心臓11の周囲を取り囲むように、当該模擬心臓11の外壁11Aに固定されている。
【0045】
因みに模擬大動脈12及び模擬冠動脈13は、その内部に模擬血液7が所定の圧力で環流されている状態において、カテーテルの訓練をする者の手に得られる感触が臨床状態に極めて近くなるよう、その柔らかさや表面の滑らかさ等が選定されている。
【0046】
また模擬冠動脈13は、いずれかの箇所を意図的に狭め、或いは閉塞させることができ、これにより動脈硬化等による冠動脈の病変状態を擬似的に再現するように、すなわち擬似的な病変部とするようになされている。
【0047】
さらに模擬左冠動脈13A及び模擬右冠動脈13Bの先端側、すなわち模擬大動脈12に接続する側と反対側の端部分は、模擬心臓11の外殻11Aに穿設された貫通孔11Eを介して、当該模擬心臓11内の貯蔵空間11Bと接続されている。
【0048】
模擬大動脈12のうち上行大動脈に相当する部分には、下方、すなわち人体における背面側に大動脈供給管12Aが設けられている。この大動脈供給管12Aは、後述する循環部5から模擬血液7が供給されるようになされている。
【0049】
模擬大動脈12は、大動脈供給管12Aから模擬血液7が供給されると、上行大動脈から下行大動脈等を介して当該模擬血液7を模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17へ順次流すようになされている。
【0050】
模擬血液7の一部は、模擬大動脈12から分岐する模擬冠動脈13へ流れ、当該模擬冠動脈13を経た後に模擬心臓11内の貯蔵空間11Bへ排出される。
【0051】
このとき模擬冠動脈13から排出された模擬血液7は、貯蔵空間11B内に貯えられている大量の模擬血液7と混合されることにより直ちに希釈され、やがて心臓排出管11Dから排出される。
【0052】
また模擬血液7の一部は、模擬大動脈12から分岐する3本の模擬鎖骨下動脈14へ流れる。模擬鎖骨下動脈14の1本は圧力モニタ15が接続されており、他の2本は栓20(図1)により閉塞されている。
【0053】
圧力モニタ15は、模擬大動脈12内を流れる模擬血液7の圧力を検出して表示する。実際上模擬人体システム1では、作業者等が圧力モニタ15による検出結果を参照しながら人工心肺ポンプ22の出力を調整することにより、当該圧力モニタ15により検出する圧力を所定の圧力(例えば50〜100mmHg)に合わせるようになされている。
【0054】
ところで模擬大動脈12は、模擬心臓11の外壁11Aに取り付けられている。このため模擬大動脈12は、模擬心臓11が膨張又は収縮するときに、その外壁11Aの動きと連動して物理的に動くことになる。
【0055】
また模擬大動脈12は、内部の模擬血液7の圧力が変動すると、模擬心臓11に比較すると僅かではあるものの膨張又は収縮することにより、僅かに動くことになる。
【0056】
このように模擬臓器3は、内部を流れる模擬血液7の圧力が変化し、或いは貯蔵する模擬血液7の体積が増減すると、主に模擬心臓11が膨張又は収縮することにより、模擬冠動脈13や模擬大動脈12等、その一部が物理的に動くようになされている。
【0057】
[1−3.循環部の構成]
循環部5(図1)は、リザーバ21に貯えた模擬血液7を人工心肺ポンプ22により模擬臓器3へ送り出すと共に、当該模擬臓器3から回収した模擬血液7を再びリザーバ21に貯蔵するようになされている。
【0058】
リザーバ21は、十分な量の模擬血液7を貯蔵し得るようになされている。またリザーバ21では、模擬血液7の液面を大気に開放させており、その液面に大気圧が加わっている。
【0059】
人工心肺ポンプ22は、リザーバ21から模擬血液7を吸入し、配管23を介して所定の流速で排出するようになされている。因みにリザーバ21及び人工心肺ポンプ22は、輸液スタンド101に取り付けられている。
【0060】
配管23は、人工心肺ポンプ22の排出口に接続されており、当該人工心肺ポンプ22から排出された模擬血液7を分岐管24並びに配管25及び26へ供給する。
【0061】
また配管23の途中には、電磁弁27が取り付けられている。電磁弁27は、シーケンサ28から供給される制御信号S1に従って内部の開閉弁を開放又は閉塞することにより、配管23内の模擬血液7を流動させ、或いはその流れを停止させるようになされている。
【0062】
配管25は、模擬心臓11の心臓供給管11Cに接続されており、当該心臓供給管11Cを介して模擬血液7を模擬心臓11の貯蔵空間11B内へ供給する。このとき貯蔵空間11B内では、心臓供給管11Cにおける模擬血液7の圧力により、貯えられている模擬血液7が環流される。
【0063】
配管26は、模擬大動脈12の大動脈供給管12Aに接続されており、当該大動脈供給管12Aを介して模擬大動脈12内へ模擬血液7を供給する。
【0064】
このような構成により循環部5は、電磁弁27が開状態のときに模擬血液7を模擬心臓11の貯蔵空間11B内及び模擬大動脈12内へ供給し、電磁弁27が閉状態のときに模擬血液7の供給を停止する。すなわち循環部5は、電磁弁27を介して配管23内における模擬血液7の流動を制御するようになされている。
【0065】
一方、配管31は、模擬心臓11の心臓排出管11Dに接続されており、貯蔵空間11B内から排出されてきた模擬血液7を配管35へ供給する。また配管32及び33は、それぞれ模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17に接続されており、模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17内を流れてきた模擬血液7をそれぞれ配管34へ供給する。配管34は、配管32及び33から流れてきた模擬血液7を合流させ、配管35へ供給する。
【0066】
配管35は、配管31及び34から流れてきた模擬血液を合流させ、その一部を配管24を介して配管23へ供給すると共に、残りをリザーバ21へ供給する。
【0067】
ところでリザーバ21は、図1に示したように、模擬心臓11及び模擬大動脈12の高さよりも低い位置となるよう、輸液スタンド101に取り付けられている。
【0068】
詳細には、図8に示すように、躯体4が手術台に載置されることにより、模擬心臓11及び模擬大動脈12の床面からの高さH1が約900〜1100[mm]である一方、リザーバ21の床面からの高さH2が約500[mm]となっている。すなわち両者の高低差である落差ΔHは、約400〜600[mm]となっている。
【0069】
この落差ΔHが設けてあることにより、模擬心臓11及び模擬大動脈12内の模擬血液7は、模擬心臓11及び模擬大動脈12による能動的な排出作用を必要とせずに、圧力及び重力の作用によりリザーバ21内に流出する。
【0070】
その後リザーバ21内の模擬血液7は、人工心肺ポンプ22によって再度吸入されることにより、模擬臓器3内を繰り返し循環する。
【0071】
ここで、模擬人体システム1における模擬血液7の流れを模式的に表すと、図9のような遷移図として表すことができる。因みに図9では、「モデル心臓」が模擬心臓11を表しており、また「モデル血管」が模擬大動脈12、模擬冠動脈13、模擬大腿動脈14、模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17における各部分をそれぞれ表している。
【0072】
このように循環部5は、人工心肺ポンプ22から送り出した模擬血液7を、各種配管を介して模擬心臓11及び模擬大動脈12へ供給し、また当該模擬心臓11及び模擬大動脈12から排出された模擬血液7を回収することにより、模擬血液7を循環させるようになされている。
【0073】
[1−4.模擬血液の循環制御]
循環部5のシーケンサ28は、図10(A)に示すような波形の制御信号S1を電磁弁27へ供給するようになされている。制御信号S1は、信号レベルが高い「H」レベルと低い「L」レベルとを周期C1で交互に繰り返す矩形波となっている。因みに制御信号S1は、周期C1のうち「H」レベルとなる期間の割合、すなわちデューティー比が50[%]となっている。
【0074】
一方電磁弁27は、制御信号S1が「H」レベルのときに開閉弁を開放し、「L」レベルのときに開閉弁を閉塞するようになされている。このため電磁弁27は、周期C1で開閉弁の開放及び閉塞を交互に切り替えることにより、模擬臓器3に対する模擬血液7の供給及び遮断を交互に切り替えることになる。
【0075】
従って図10(A)の矩形波は、電磁弁27における開閉弁の開閉動作について、「H」レベルが「開放」を表し「L」レベルが「閉塞」を表すと見なすこともできる。
【0076】
模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が開放され模擬血液7が心臓供給管11Cから供給されるとき、心臓排出管11Dからの模擬血液7の排出圧力よりも心臓供給管11Cからの模擬血液7の供給圧力の方が高くなる。
【0077】
このとき模擬心臓11は、図11(A)に模式的に示すように、貯蔵空間11Bにおける圧力が高まると共に模擬血液7の貯蔵量が増加していき、外殻11Aを膨張させていく。
【0078】
一方模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が閉塞され心臓供給管11Cからの模擬血液7の供給が停止されるとき、心臓供給管11Cからの模擬血液7の供給圧力よりも心臓排出管11Dからの模擬血液7の排出圧力の方が高くなる。
【0079】
このとき模擬心臓11は、図11(B)に模式的に示すように、貯蔵空間11Bにおける圧力が低下すると共に模擬血液7の貯蔵量が減少していき、外殻11Aを収縮させていく。
【0080】
ここで制御信号S1の変化、すなわち電磁弁27における開閉弁の開閉動作と対応付けて貯蔵空間11Bにおける内部の圧力P及び容積Vの変化の様子を表すと、それぞれ図10(A)と対応する図10(B)及び(C)に示すような曲線を描くことになる。
【0081】
すなわち貯蔵空間11Bにおける内部の圧力Pは、制御信号S1の信号レベルが「H」である間は比較的高い圧力PHまで増加していき、制御信号S1の信号レベルが「L」である間は比較的低い圧力PLまで減少していく。
【0082】
このとき貯蔵空間11Bの容積Vは、制御信号S1の信号レベルが「H」である間は比較的大きい容積VHまで増加していき、制御信号S1の信号レベルが「L」である間は比較的小さい容積VLまで減少していく。
【0083】
これにより模擬心臓11は、あたかも人体の心臓が拍動するかのように、外殻11Aの膨張及び収縮を周期的に繰り返すことになる。これに伴い模擬大動脈12及び模擬冠動脈13は、模擬心臓11における外殻11Aの動きに連動して、人体における大動脈及び冠動脈と同様に動くことになる。
【0084】
このように模擬人体システム1では、拍動部5のシーケンサ28が電磁弁27の開閉弁を開放又は閉塞させるよう周期的に切り替えることにより、模擬心臓11を周期的に膨張又は収縮させ、模擬大動脈12及び模擬冠動脈13をその動きに連動させることができる。
【0085】
[1−5.カテーテル手技の訓練]
次に、模擬人体システム1を利用したカテーテル手技の訓練の様子について説明する。模擬人体システム1は、循環部5により模擬血液7を模擬臓器3内に循環させながら電磁弁27の開閉弁を周期的に開閉することにより、模擬心臓11を拍動させる。
【0086】
また模擬人体システム1は、実際のカテーテル手術と同様に布で覆われ、少なくとも模擬心臓11及びその周辺を直接目視できないようになされた状態で、図示しないX線撮像装置により撮像され、その表示画面にX線画像が表示される。
【0087】
そしてカテーテル手技の訓練をする者(以下訓練者と呼ぶ)は、カテーテルシース18又は19からカテーテルを順次挿入し、X線画像を目視確認しながら、当該カテーテルを介して伝わる触覚を頼りに、その先端を模擬冠動脈13にまで到達させる。
【0088】
このとき模擬心臓11及び模擬冠動脈13は、実際の人体と同様に拍動している。このため訓練者は、拍動に伴うカテーテル操作感の変化やX線画像上で像が動くことによる視認の困難さをも体験することができる。
【0089】
その後、訓練者がカテーテルの先端を模擬冠動脈13内に到達させた状態で、その先端から造影剤を注入すると、造影剤が模擬冠動脈13内を流れることにより当該模擬冠動脈13の形状がX線画像に映し出される。ここで閉塞部分等が設けてあれば、血流の状態(すなわち模擬血液7が流れる状態)からその箇所や状態が造影剤による像としてX線画像に現れることになる。
【0090】
模擬冠動脈13内を流れた造影剤は、模擬心臓11の貫通孔11Eを介して貯蔵空間11B内に排出され(図7)、貯蔵空間11B内を環流している十分な量の模擬血液7により直ちに希釈化され、X線画像にはほとんど映らなくなる。このため、模擬冠動脈13内で造影剤を注入した際に当該造影剤がX線画像に像として現れるのは、ほぼ模擬冠動脈13内を流れる部分のみとなる。
【0091】
訓練者は、このようなX線画像を視認しながら、引き続きステントやバルーン等のようなカテーテル手技に関する種々の訓練を行う。
【0092】
かくして模擬人体システム1は、模擬心臓11を人体と同様に拍動させ、模擬冠動脈13に造影剤を注入したときに、臨床現場に極めて近い状態のX線画像を視認させながら、訓練者にカテーテル手技の訓練をさせることができる。
【0093】
[1−6.動作及び効果]
以上の構成において、模擬人体システム1は、循環部5の人工心肺ポンプ22により模擬臓器3へ向けて一定の流速で模擬血液7を送り出すと共に、落差ΔHを利用して模擬臓器3内の模擬血液7をリザーバ21へ排出させる。
【0094】
また循環部5の電磁弁27は、シーケンサ28からの制御信号S1に従い開閉弁を周期的に開放又は閉塞させる。
【0095】
模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が開放され模擬血液7が供給されるとき、貯蔵空間11Bにおける内部の圧力が高まると共に模擬血液7の貯蔵量が増加していき、外殻11Aを膨張させる(図11(A))。
【0096】
一方模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が閉塞され模擬血液7の供給が停止されるとき、貯蔵空間11Bにおける内部の圧力が低下すると共に模擬血液7の貯蔵量が減少していき、外殻11Aを収縮させる(図11(B))。
【0097】
このため模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁の周期的な開閉動作に伴って外殻11Aの膨張及び収縮を繰り返すことができるので、人体における拍動に似た動きを再現することができる。
【0098】
一般に人体では、心筋が伸縮することにより心臓が拍動し、体内に血液を循環させている。しかしながら、模擬心臓11において外殻11Aを能動的に伸縮させるとすると、その構造や制御が格段に複雑化してしまい、模擬人体システム1全体が大規模且つ複雑なものになってしまう。
【0099】
これに対し模擬心臓11では、模擬大動脈12との間を閉塞して模擬血液7を直接流動させないようにし、心臓供給管11Cからの供給量と心臓排出管11Dからの排出量との差により貯蔵空間11B内における圧力及び模擬血液7の貯蔵量を増減させ、その貯蔵量に応じて外殻11Aを膨張又は収縮させるようにした。換言すれば、模擬心臓11は、貯蔵空間11Bにおける模擬血液7の圧力及び貯蔵量に応じて、外殻11Aを変形するようにした。
【0100】
すなわち模擬心臓11は、電磁弁27の開閉に応じて、可撓性を有する外殻11Aを受動的に拍動させることができる。このため模擬心臓11では、能動的に伸縮する心筋のような複雑な構造を必要とせず、その構造を極めて簡素化することができる。
【0101】
また模擬人体システム1では、模擬冠動脈13を模擬心臓11の外壁11Aと同様の柔らかい材料により構成し、当該外壁11Aに取り付けた。このため模擬人体システム1は、実際の冠動脈と同様、模擬心臓11の拍動に連れて模擬冠動脈13を動かすことができる。
【0102】
ところで模擬人体システム1では、模擬心臓11及び模擬大動脈12等からの模擬血液7の排出、すなわち脱血については、液面が大気に開放されたリザーバ21を用い、模擬心臓11及び模擬大動脈12等と当該リザーバ21との間の落差ΔH(図8)を利用する。
【0103】
このため模擬人体システム1では、排出用の吸引ポンプ等を別途用いること無く、電磁弁27の開閉弁を閉塞したときにも模擬臓器3から模擬血液7を排出することができる。
【0104】
また模擬冠動脈13は、その他端を模擬心臓11内の貯蔵空間11Bと接続し、模擬大動脈12側から供給され当該模擬冠動脈13内を流れる模擬血液7を貯蔵空間11B内へ排出するようにした。
【0105】
このため模擬人体システム1では、模擬冠動脈13内に挿入したカテーテルの先端から当該模擬冠動脈13内に造影剤を注入した場合、模擬心臓11内の貯蔵空間11Bへ排出して直ちに希釈化することができる。このため模擬心臓11近傍を撮影したX線画像では、模擬冠動脈13内を流れる造影剤のみを像として表すことができる。
【0106】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による模擬人体システム1は、循環部5の人工心肺ポンプ22により模擬臓器3へ向けて模擬血液7を送り出しながら電磁弁27の開閉弁を周期的に開放又は閉塞させ、落差ΔHを利用して模擬臓器3内の模擬血液7をリザーバ21へ排出させる。模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が開放されるとき、貯蔵空間11Bにおける圧力及び模擬血液7の貯蔵量が増加して外殻11Aを膨張させ、電磁弁27の開閉弁が閉塞されるとき、貯蔵空間11Bにおける圧力及び模擬血液7の貯蔵量が減少して外殻11Aを収縮させる。このため模擬心臓11は、電磁弁27における開閉弁の周期的な開閉に伴って膨張及び収縮を繰り返すことができ、人体における拍動に似た動きを再現することができる。
【0107】
[2.第2の実施の形態]
[2−1.模擬人体システム及び人体モデル部の構成]
図1との対応部分に同一符号を付した図12に示すように、第2の実施の形態による模擬人体システム40は、人体モデル部2及び循環部5とそれぞれ対応する人体モデル部42及び循環部45により構成されている。
【0108】
人体モデル部42は、人体モデル部2と比較して配管31及び配管34の途中にそれぞれ流用調整バルブ51及び52が設けられている点が相違するものの、模擬臓器3等の他の部分については同様に構成されている。
【0109】
流量調整バルブ51及び52は、それぞれ開放から閉塞までの間で開度を自在に調整し得るようになされており、この開度に応じて配管31及び配管34内における模擬血液7の流量を自在に減少させることができる。
【0110】
すなわち人体モデル部42は、模擬心臓11からの模擬血液7の排出速度と、模擬大動脈12からの模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17を介した模擬血液7の排出速度とを、それぞれ自在に調整し得るようになされている。
【0111】
因みに人体モデル部42では、主に模擬心臓11からの模擬血液7の排出速度と、模擬大動脈12からの模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17を介した模擬血液7の排出速度とのバランスをとる目的で、流量調整バルブ51及び52の開度を統括的に調整するようになされている。
【0112】
[2−2.循環部の構成]
循環部45は、循環部5と比較して、リザーバ21が模擬臓器3とほぼ同等の高さに設けられている点及び配管35の途中に吸引ポンプ53が設けられている点が大きく異なっている。
【0113】
吸引ポンプ53は、所定の流速で模擬血液7を吸引するようになされている。このため循環部45は、リザーバ21と模擬臓器3との落差が殆ど無いものの、模擬臓器3から模擬血液7を排出させることができる。
【0114】
また循環部45は、循環部5と比較して、配管35の途中における吸引ポンプ53よりも上流側に電磁弁54が設けられ、シーケンサ28に代わるシーケンサ48が設けられている点も異なっている。
【0115】
電磁弁54は、電磁弁27と同様に構成されており、シーケンサ48からの制御信号S2に従って内部の開閉弁を開放又は閉塞させることにより、配管35内において模擬血液7を流動させ、又はその流れを停止させるようになされている。
【0116】
シーケンサ48は、電磁弁27及び54にそれぞれ制御信号S1及びS2を供給することにより、それぞれを独立に開閉制御するようになされている。
【0117】
すなわち循環部45は、電磁弁27を介して配管23内における模擬血液7の流動を制御すると共に、電磁弁54を介して配管35内における模擬血液7の流動も制御するようになされている。
【0118】
さらに循環部45は、配管23における電磁弁27を迂回するようにその両側を接続する配管55と、配管35における電磁弁54を迂回するようにその両側を接続する配管56がそれぞれ設けられている。この配管55及び56には、流量調整バルブ51及び52と同様の構成でなる流量調整バルブ57及び58がそれぞれ設けられている。
【0119】
このため循環部45は、電磁弁27が閉塞しているときにも、流量調整バルブ57における開度に応じた流量の模擬血液7を配管25及び26へ、すなわち模擬心臓11及び模擬大動脈12へ供給することができる。
【0120】
また循環部45は、電磁弁54が閉塞しているときにも、流量調整バルブ58における開度に応じた流量の模擬血液7を吸引ポンプ54へ流す、すなわち模擬血液7を吸引ポンプ54により模擬心臓11及び模擬大動脈12から吸引することができる。
【0121】
ここで模擬人体システム40における模擬血液7の流れを模式的に表すと、図9と対応する図13に示すような遷移図として表すことができる。
【0122】
[2−3.模擬血液の循環制御]
循環部45のシーケンサ48は、図10(A)と対応する図14(A)に示すように、シーケンサ28と同様の矩形波でなる制御信号S1を電磁弁27へ供給する。電磁弁27は、周期C1で開閉弁の開放及び閉塞を交互に切り替えることにより、模擬臓器3に対する模擬血液7の供給及びその停止を交互に切り替える。
【0123】
またシーケンサ48は、図14(B)に示すように、制御信号S1と同一の周期C1でなり逆相の矩形波でなる制御信号S2を電磁弁54へ供給する。電磁弁54は、周期C1で電磁弁27と相補的に開閉弁の開放及び閉塞を交互に切り替えることにより、模擬臓器3からの模擬血液7の排出及びその停止を交互に切り替える。
【0124】
ここで図14(A)及び(B)の矩形波は、図10(A)の場合と同様、電磁弁27及び54それぞれにおける開閉弁の開閉動作について、「H」レベルが「開放」を表し「L」レベルが「閉塞」を表すと見なすこともできる。
【0125】
模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が開放され模擬血液7が心臓供給管11Cから供給されると共に電磁弁54の開閉弁が閉塞され心臓排出管11Dからの模擬血液7の排出が抑制されるとき、心臓排出管11Dからの模擬血液7の排出圧力よりも心臓供給管11Cからの模擬血液7の供給圧力の方が高くなる。
【0126】
このとき模擬心臓11は、図11(A)と対応する図15(A)に模式的に示すように、貯蔵空間11Bにおける内部の圧力が高まると共に模擬血液7の貯蔵量が増加していき、外殻11Aを膨張させていく。
【0127】
一方模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が閉塞され心臓供給管11Cからの模擬血液7の供給が抑制されると共に電磁弁54の開閉弁が開放され心臓排出管11Dから模擬血液7が排出されるとき、心臓供給管11Cからの模擬血液7の供給圧力よりも心臓排出管11Dからの模擬血液7の排出圧力の方が高くなる。
【0128】
このとき模擬心臓11は、図11(B)と対応する図15(B)に模式的に示すように、貯蔵空間11Bにおける内部の圧力が低下すると共に模擬血液7の貯蔵量が減少していき、外殻11Aを収縮させていく。
【0129】
ここで制御信号S1及びS2の変化、すなわち電磁弁27及び54における開閉弁の開閉動作と対応付けて貯蔵空間11Bにおける内部の圧力P及び容積Vの変化の様子を表すと、図10(B)及び(C)とそれぞれ対応する図14(C)及び(D)に示すような曲線を描くことになる。
【0130】
すなわち貯蔵空間11Bにおける内部の圧力Pは、制御信号S1の信号レベルが「H」且つ制御信号S2の信号レベルが「L」である間は比較的高い圧力PHまで増加していき、制御信号S1の信号レベルが「L」且つ制御信号S2の信号レベルが「H」である間は比較的低い圧力PLまで減少していく。
【0131】
また貯蔵空間11Bの容積Vは、制御信号S1の信号レベルが「H」且つ制御信号S2の信号レベルが「L」である間は比較的大きい容積VHまで増加していき、制御信号S1の信号レベルが「L」且つ制御信号S2の信号レベルが「H」である間は比較的小さい容積VLまで減少していく。
【0132】
これにより模擬心臓11は、第1の実施の形態と同様に、あたかも人体の心臓が拍動するかのように外殻11Aの膨張及び収縮を周期的に繰り返すことになる。これに伴い模擬大動脈12及び模擬冠動脈13は、模擬心臓11における外殻11Aの動きに連動して、人体における大動脈及び冠動脈と同様に動くことになる。
【0133】
このように模擬人体システム40では、拍動部45のシーケンサ48が電磁弁27及び54の開閉弁をそれぞれ開放又は閉塞させるよう周期的に切り替えることにより、模擬心臓11を周期的に膨張又は収縮させ、模擬大動脈12及び模擬冠動脈13をその動きに連動させることができる。
【0134】
因みに模擬人体システム40では、第1の実施の形態と同様、模擬心臓11を拍動させた状態で訓練者にカテーテル手技の訓練をさせるようになされている。
【0135】
[2−4.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による模擬人体システム40は、循環部45の人工心肺ポンプ22により模擬臓器3へ向けて一定の流速で模擬血液7を送り出すと共に、吸引ポンプ53により模擬臓器3内の模擬血液7をリザーバ21へ排出させる。
【0136】
また循環部45の電磁弁27及び54は、シーケンサ48からの制御信号S1及びS2に従い開閉弁を周期的に開放又は閉塞させる。
【0137】
模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が開放され模擬血液7が供給されると共に電磁弁54の開閉弁が閉塞され模擬血液7の排出が抑制されるとき、貯蔵空間11Bにおける内部の圧力が高まると共に模擬血液7の貯蔵量が増加していき、外殻11Aを膨張させる(図15(A))。
【0138】
一方模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が閉塞され模擬血液7の供給が抑制されると共に電磁弁54の開閉弁が開放され模擬血液7が排出されるとき、貯蔵空間11Bにおける内部の圧力が低下すると共に模擬血液7の貯蔵量が減少していき、外殻11Aを収縮させる(図15(B))。
【0139】
このため模擬心臓11は、電磁弁27及び54における開閉弁の周期的な開閉動作に伴って、第1の実施の形態と同様に外殻11Aの膨張及び収縮を繰り返すことができるので、人体における拍動に似た動きを再現することができる。
【0140】
特に循環部45は、第1の実施の形態における循環部5(図1)の構成に加えて電磁弁54を設けたことにより、模擬心臓11及び模擬大動脈12等からの模擬血液7の排出量を動的に変化させることができる。
【0141】
このため模擬人体システム40では、特に模擬心臓11への模擬血液7の供給時(図15(A))に、模擬血液7を無駄に排出することなく貯蔵空間11Bにおける内部の圧力を高めて容積を増加させることができるので、模擬血液7を効率良く拍動に利用することができる。
【0142】
これにより模擬人体システム40では、人工心肺ポンプ22の能力を高めることなく、模擬心臓11における拍動時の動きを第1の実施の形態よりも大きくすることが可能となる。
【0143】
また模擬人体システム40では、循環部45に設けた吸引ポンプ53の吸引作用により模擬臓器3から模擬血液7を吸引してリザーバ21へ排出するため、第1の実施の形態のようにリザーバ21を模擬臓器3よりもある程度低い位置に設置する必要が無い。
【0144】
これにより模擬人体システム40では、例えば手術台や手術室等の制約によりリザーバ21を高い位置に設置しなければならないような場合にも、模擬臓器3から模擬血液7を排出させることができ、模擬心臓11を確実に拍動させることができる。
【0145】
さらに模擬人体システム40では、電磁弁27及び54と並行するように流量調整バルブ57及び58を設けたことにより、電磁弁27及び54の開閉弁を閉塞したときにも模擬血液7を配管23及び35内に所望の流量で流動させることができる。
【0146】
これにより模擬人体システム40では、模擬心臓11における拍動時の動きや模擬大動脈12側での模擬血液7の流量等をきめ細かく調整することができる。
【0147】
また模擬人体システム40では、流量調整バルブ51及び52により配管31及び34における模擬血液7の流量を細かく調整することができる。
【0148】
これにより模擬人体システム40では、例えば模擬心臓11における拍動時の動きの大きさを調整したいような場合や、模擬大動脈12内における模擬血液7の流速を独立して調整したいような場合に、それぞれ所望の状態に合わせることができる。
【0149】
そのうえ模擬人体システム40は、その他の点についても、第1の実施の形態による模擬人体システム1と同様の作用効果を奏し得る。
【0150】
以上の構成によれば、模擬人体システム40は、循環部45の人工心肺ポンプ22により模擬臓器3へ向けて模擬血液7を送り出しながら電磁弁27の開閉弁を周期的に開放又は閉塞させ、また電磁弁54の開閉弁を周期的に開放又は閉塞させながら吸引ポンプ53により模擬臓器3内の模擬血液7をリザーバ21へ排出させる。模擬心臓11は、電磁弁27の開閉弁が開放されると共に電磁弁54の開閉弁が閉塞されるとき、貯蔵空間11Bにおける圧力及び模擬血液7の貯蔵量が増加して外殻11Aを膨張させ、電磁弁27の開閉弁が閉塞されると共に電磁弁54の開閉弁が開放されるとき、貯蔵空間11Bにおける圧力及び模擬血液7の貯蔵量が減少して外殻11Aを収縮させる。このため模擬心臓11は、電磁弁27及び54における開閉弁の周期的な開閉動作に伴って外殻11Aの膨張及び収縮を繰り返すことができるので、人体における拍動に似た動きを再現することができる。
【0151】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、外部から大気圧が印加される模擬臓器3と液面が大気に開放されたリザーバ21との落差ΔHにより模擬臓器3から模擬血液7を排出させ、第2の実施の形態においては、吸引ポンプ53により模擬臓器3から模擬血液7を排出させるようにした場合について述べた。
【0152】
本発明はこれに限らず、模擬臓器3内の模擬血液7に対し負圧を印加し得る種々の手段を用いることにより、当該模擬臓器3から当該模擬血液7を排出させるようにしても良い。また模擬臓器3については、大気圧に限らず、外部から何らかの圧力が印加されれば良い。
【0153】
また上述した第1の実施の形態においては、配管23に電磁弁27を設け、シーケンサ28からの制御信号S1に従って当該電磁弁27の開閉弁を開放又は閉塞させることにより配管23内における模擬血液7の流動を制御するようにした場合について述べた。
【0154】
本発明はこれに限らず、種々のバルブや開閉器等を用いて配管23内における模擬血液7の流動を制御するようにしても良い。この場合、要はシーケンサ28からの制御信号S1に従って配管23内で模擬血液7を流動させ、又はその流動を停止させることができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0155】
さらに上述した第1の実施の形態においては、シーケンサ28から電磁弁27へ制御信号S1を供給することにより、図10(A)に示したような動作パターンで電磁弁27の開閉弁を動作させるようにした場合について述べた。
【0156】
本発明はこれに限らず、例えば電磁弁27に制御回路が組み込まれた場合のように電磁弁27単体で周期的に開閉弁の開放及び閉塞を繰り返すことができる場合に、シーケンサ28を省略するようにしても良い。第2の実施の形態については、電磁弁27及び54における開閉動作を同期させることができれば、同様にシーケンサ48を省略することができる。
【0157】
さらに上述した第1の実施の形態においては、制御信号S1のデューティー比を50[%]とする場合について述べた。
【0158】
本発明はこれに限らず、デューティー比を65[%]や30[%]等の任意の値に設定しても良い。この場合、要は模擬心臓11の拍動時の動きが実際の人体における心臓の拍動に近ければ良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0159】
さらに上述した第2の実施の形態においては、制御信号S1及びS2における立ち上がり及び立ち下がりのタイミングを揃えると共に、両者を互いに相補的に「H」レベル又は「L」レベルとするようにした場合について述べた。
【0160】
本発明はこれに限らず、例えば図16に示す制御信号S11及びS12のように、立ち上がり及び立ち下がりのタイミングをずらすように、いわば位相差を任意に設定するようにしても良く、さらには図17に示す制御信号S22のように、1周期の期間内に任意の間隔で立ち上がり及び立ち下がりを2回以上繰り返すようにしても良い。この場合も、要は模擬心臓11の拍動時の動きが実際の人体における心臓の拍動に近ければ良い。
【0161】
さらに上述した第1の実施の形態においては、制御信号S1を一定の周期C1の矩形波とする場合について述べた。
【0162】
本発明はこれに限らず、制御信号S1の周期については、例えば任意のタイミングで一時的に変化させることによりいわゆる不整脈を再現する等、必ずしも常に一定でなくとも良い。この場合、カテーテル手技の訓練目的等に応じて適宜調整すれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0163】
さらに上述した第1の実施の形態においては、電磁弁27が開閉弁を閉塞したときに配管23内における模擬血液7の流動を完全に停止させるようにした場合について述べた。
【0164】
本発明はこれに限らず、例えば電磁弁27が開閉弁を閉塞したときに配管23内における模擬血液7の流動を完全には停止させず、その一部を流動させるようにしても良い。すなわち電磁弁27は、制御信号S1に従って配管23内における模擬血液7の流動量をある程度変化させることができれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0165】
さらに上述した第1の実施の形態においては、模擬心臓11の外殻11Aをシリコン樹脂等の柔らかい材料により構成し、貯蔵空間11Bにおける模擬血液7の貯蔵量が増加したときに外殻11Aが膨張し、当該貯蔵量が減少したときに外殻11Aが収縮するようにした場合について述べた。
【0166】
本発明はこれに限らず、模擬心臓11の外殻11Aの強度及び貯蔵空間11Bにおける模擬血液7の貯蔵量を調整することにより、例えば貯蔵空間11Bにおける模擬血液7の貯蔵量が増加したときには外殻11Aが自然状態の形状を維持する一方、貯蔵量が減少したときに外殻11Aの一部がへこむように変形するようにしても良い。
【0167】
さらには、両者を組み合わせることにより、貯蔵空間11Bにおける模擬血液7の貯蔵量が増加したときに外殻11Aが膨張し、当該貯蔵量が減少したときに外殻11Aが収縮した上でさらに一部がへこむように変形するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0168】
因みに模擬心臓11、模擬大動脈12及び模擬冠動脈13等の模擬臓器3は、シリコン樹脂以外にも、柔らかく変形可能な材料であれば種々のものにより構成することができる。第2の実施の形態についても同様である。
【0169】
さらに上述した第2の実施の形態においては、配管31及び34に流量調整バルブ51及び52を設けるようにした場合について述べた。
【0170】
本発明はこれに限らず、任意の配管に流量調整バルブを設けるようにしても良く、或いは配管の内径等を適宜選定することによりその流量を最適化することができれば、当該流量調整バルブを省略するようにしても良い。
【0171】
さらに上述した第2の実施の形態においては、電磁弁27を迂回するように配管55を設け、電磁弁27と並列に流量調整バルブ57を設けるようにした場合について述べた。
【0172】
本発明はこれに限らず、第1の実施の形態と同様に、配管55及び流量調整バルブ57を省略しても良い。配管56及び流量調整バルブ58についても同様である。或いは第1の実施の形態において、第2の実施の形態と同様に配管55及び流量調整バルブ57を設けるようにしても良い。
【0173】
さらに上述した第1の実施の形態においては、模擬心臓11と模擬大動脈12との間を閉塞して模擬血液7が直接流れないようにした場合について述べた。
【0174】
本発明はこれに限らず、模擬心臓11と模擬大動脈12との間を開放して模擬血液7が直接流れるようにしても良い。この場合、要は電磁弁27の開閉動作に応じて模擬心臓11の貯蔵空間11B内の圧力及び容積が変化して外殻11Aが膨張又は収縮すれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0175】
さらに上述した第1の実施の形態においては、模擬冠動脈13が模擬大動脈12から供給された模擬血液7を貯蔵空間11B内に排出するようにした場合について述べた。
【0176】
本発明はこれに限らず、例えば特許文献2と同様に、模擬冠動脈13の排出側の先端に排出用配管を接続し、当該排出用配管を配管35に接続して模擬血液7を排出させるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0177】
さらに上述した第1の実施の形態においては、循環部5において、管路35を介して排出されてきた模擬血液7をリザーバ21に排出し、これを人工心肺ポンプ22により再度管路23へ供給して当該模擬血液7を再度循環させるようにした場合について述べた。
【0178】
本発明はこれに限らず、例えばカテーテル手技の訓練を行う間は模擬血液7を再利用せず、予め大量に用意した模擬血液7を人工心肺ポンプ22により順次供給するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0179】
さらに上述した第1の実施の形態においては、模擬冠動脈13に病変状態を模して閉塞させた部分を設けるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばカテーテルを冠動脈に到達させるまでの訓練を行うような場合に、閉塞させた部分を設けないようにしても良い。
【0180】
さらに上述した第1の実施の形態においては、大腿動脈からカテーテルを挿入する手技を想定し、模擬臓器3として模擬大動脈12に加えて模擬大腿動脈16及び模擬左外腸骨動脈17を設け、それぞれにカテーテル挿入口としてのカテーテルシース18及び19を設けるようにした場合について述べた。
【0181】
本発明はこれに限らず、模擬臓器3として、例えば上行大動脈から上腕動脈や橈骨動脈及び尺骨動脈の範囲を模した形状等、実際のカテーテル検査及び手術においてカテーテルを挿入する箇所から冠動脈に至るまでの範囲を模した形状とするようにしても良い。この場合、当該箇所にカテーテル挿入口としてのカテーテルシースを接続するようにすれば良い。
【0182】
さらに上述した第1の実施の形態においては、循環部5において、圧力モニタ15を目視した作業者等の手作業により人工心肺ポンプ22の出力を調整するようにした場合について述べた。
【0183】
本発明はこれに限らず、例えば圧力モニタ15の検出値に応じて人工心肺ポンプ22の能力の出力値を自動的に調整するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0184】
さらに上述した第1の実施の形態においては、模擬臓器としての模擬臓器3と、ポンプとしての人工心肺ポンプ22と、開閉器としての電磁弁27及びシーケンサ28と、負圧印加部としてのリザーバ21とによって模擬人体としての模擬人体システム1を構成する場合について述べた。
【0185】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる模擬臓器と、ポンプと、開閉器と、負圧印加部とによって模擬人体を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明は、冠動脈のように人体において拍動の影響を受ける臓器についてカテーテル手技を訓練する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0187】
1、40……模擬人体システム、2、42……人体モデル部、3……模擬臓器、5、45……循環部、7……模擬血液、11……模擬心臓、11B……貯蔵空間、11C……心臓供給管、11D……心臓排出管、12……模擬大動脈、13……模擬冠動脈、21……リザーバ、22……人工心肺ポンプ、23、35……配管、27、54……電磁弁、28、48……シーケンサ、53……吸引ポンプ、51、52、57、58……流量調整バルブ、S1、S2……制御信号。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に模擬血液を貯蔵する空間を有し当該模擬血液の貯蔵量に応じて少なくとも一部が変形する模擬臓器と、
上記模擬血液を上記模擬臓器に供給するポンプと、
上記ポンプから上記模擬臓器への上記模擬血液の流路中に設けられ当該流路の少なくとも一部を開放又は閉塞する開閉器と、
上記模擬臓器内の上記模擬血液に負圧を印加する負圧印加部と
を有する模擬人体。
【請求項2】
上記模擬臓器は、
外部から上記変形する部分に対して大気圧が印加され、
上記負圧印加部は、
上記模擬臓器よりも低い位置に設けられ、当該模擬臓器から排出された上記模擬血液の少なくとも一部を大気に開放させる開放部でなる
請求項1に記載の模擬人体。
【請求項3】
上記負圧印加部は、
上記模擬臓器内の上記模擬血液を吸引する吸引ポンプでなる
請求項1に記載の模擬人体。
【請求項4】
上記模擬臓器は、
上記空間に貯蔵する上記模擬血液の圧力が外部からの圧力よりも高まると少なくとも一部が膨張する
請求項1に記載の模擬人体。
【請求項5】
上記模擬臓器は、
上記空間に貯蔵する上記模擬血液の圧力が外部からの圧力よりも低下すると少なくとも一部がへこむように変形する
請求項1に記載の模擬人体。
【請求項6】
上記模擬臓器から上記負圧印加部への上記模擬血液の流路中に設けられ、当該流路の少なくとも一部を上記開閉器における開放又は閉塞と対応するよう開放又は閉塞する第2開閉器をさらに有する
請求項1に記載の模擬人体。
【請求項7】
上記開閉器及び上記第2開閉器は、
上記開閉器の解放時に上記第2開閉器を閉塞させ、上記開閉器の閉塞時に上記第2開閉器を開放させる
請求項6に記載の模擬人体。
【請求項8】
上記開閉器を迂回する他の流路中に設けられ、上記模擬血液の流量を調整する流量調整バルブ
をさらに有する請求項1に記載の模擬人体。
【請求項9】
上記模擬臓器は、
心臓を模した模擬心臓と冠動脈を模した模擬冠動脈とを有し、
上記模擬冠動脈は、
上記模擬心臓の外壁に固定されている
請求項1に記載の模擬人体。
【請求項10】
上記模擬心臓は、
内部に上記模擬血液を貯蔵する貯蔵空間を有し、
上記模擬冠動脈は、
大動脈を模した模擬大動脈から上記模擬血液を流入させると共に当該模擬血液を上記模擬心臓の上記貯蔵空間へ排出する
請求項9に記載の模擬人体。
【請求項11】
上記模擬臓器は、心臓を模した模擬心臓及び大動脈を模した模擬大動脈を少なくとも有し、
上記模擬心臓は、
上記ポンプから供給された上記模擬血液を上記模擬心臓内部へ供給する心臓供給管と、
上記模擬心臓内部から上記模擬血液を上記貯蔵部へ排出する心臓排出管と
をさらに有する共に、上記模擬大動脈との間で上記模擬血液の流動が遮断され、
上記模擬大動脈は、
上記ポンプから供給された上記模擬血液を上記模擬心臓に近接した箇所から上記模擬大動脈内部へ供給する大動脈供給管と、
上記模擬大動脈内部から上記模擬血液を上記貯蔵部へ排出する大動脈排出管と
をさらに有する
請求項1に記載の模擬人体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−203016(P2012−203016A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64473(P2011−64473)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】