説明

模擬銃におけるバッテリーの着脱装置

【課題】銃本体に着脱式に取り付けるバッテリーの着脱部分に関する模擬銃におけるバッテリーの着脱装置を提供する。
【解決手段】銃本体に着脱式に取り付けるバッテリーの着脱部分に関する装置として、銃本体にバッテリー収容部18を設けるとともに、その開口部20の近傍にバッテリー17を挿入するコネクター端子21を設置し、バッテリー17は、バッテリー収容部18に嵌め込むバッテリー本体部分と、コネクター端子との接続手段であるバッテリー端子22を有しており、上記接続手段は、バッテリー17をバッテリー収容部18に嵌め込んでそのバッテリー端子22を上記コネクター端子21に接続したときに、バッテリー17を機械的に銃本体に接続する弾性保持構造を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃本体に着脱式に取り付けるバッテリーの着脱部分に関する模擬銃におけるバッテリーの着脱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
模擬銃にバッテリーの収容部の位置を設定する場合、模擬銃が小銃型である場合、銃床つまり一般的にはストックと呼ばれる部分に収容スペースを求めることがあり、それに近い例としては、例えば特表2007−505286号がある。しかし同号の場合、グリップの下端部に独立した電源を付けた構造を有しており、この構成を適用する例はごく限定される。
【0003】
他方、特開平6−207797号では、小銃のストックの部分に電源を配置した構成が図示されている。しかしながらそれは単なる内部構造の配置を示すに留まっており、電源電池が取り外し可能かどうかに関係した発明ではない。特開2007−149396号では、小銃型において電池パックを銃身部に配置した例を示している。
【0004】
これに対して、ストックと呼ばれる部分の左右にバッテリーを収容する実銃があり、例えばLMTであるとか、VOLTORというタイプの銃はストック上部に三角形の横断面になっている。上記のタイプの構造を模した模擬銃の場合、実銃同様にストック上部の三角形の部分にバッテリー収容部を設けようとすると、全く新たにバッテリーの装着法を開発しなければならない。
【0005】
【特許文献1】特開平6−207797号
【特許文献2】特表2007−505286号
【特許文献3】特開2007−149396号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の実情からなされたもので、その課題は、銃本体に着脱式に取り付けるバッテリーの着脱部分に関する模擬銃におけるバッテリーの着脱装置を提供することである。また、本発明の他の課題は、実銃同様にストック上部の三角形の横断面部分にバッテリー収容部を設けることを可能にする模擬銃におけるバッテリーの着脱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明は、銃本体に着脱式に取り付けるバッテリーの着脱部分に関する装置について、銃本体にバッテリー収容部を設けるとともに、バッテリー収容部にバッテリーを挿入する開口部の近傍にコネクター端子を設置し、バッテリーは、バッテリー収容部に嵌め込むバッテリー本体部分と、コネクター端子との接続手段であるバッテリー端子を有するものとし、上記接続手段は、バッテリーをバッテリー収容部に嵌め込んでそのバッテリー端子を上記コネクター端子に接続したときに、バッテリーを機械的に銃本体に接続する弾性保持構造を備えているものとして構成するという手段を講じたものである。なお、本発明にいうところの銃本体とは、銃身、機関部及びグリップ又は銃床を含む銃全体を指すものとする。
【0008】
本発明の装置は、銃本体に着脱式に取り付けるバッテリーの着脱部分に関する装置であることを特徴とし、特には、銃本体のストックの部分に仕込むことを可能にしたバッテリーの着脱装置であることを特徴とする。即ち、実銃同様にストック上部のほぼ三角形の横断面部分にバッテリー収容部を設けることを可能にするものである。しかしながら、ストック部分以外のそれと同じような細長い形状の部分、例えばグリップなどにバッテリー収容部を設けることを排除するものではない。
【0009】
本発明の装置では、銃本体にバッテリー収容部を設けるとともに、バッテリー収容部にバッテリーを挿入する開口部の近傍にコネクター端子を設置する。これによってバッテリー収容部の内部ではなく、入り口付近にコネクター端子を設置することが可能になる。また、バッテリーは、バッテリー収容部に嵌め込むバッテリー本体部分と、コネクター端子との接続手段であるバッテリー端子を有する。バッテリーという場合、単一のバッテリーから成るものと、複数個のバッテリーの集合体から成る、いわゆるバッテリーパックを含む。
【0010】
本発明において、上記接続手段は、バッテリーをバッテリー収容部に嵌め込んでそのバッテリー端子を上記コネクター端子に接続したときに、バッテリーを機械的に銃本体に接続する弾性保持構造を備えていることが必要である。つまり、バッテリーの電気的接続と機械的接続が、ほぼ同時的に行われる。しかしこのことは、全ての接続手段において、バッテリーの電気的接続と機械的接続が、同時に、実行されなければならないことを意味するのではなく、或る接続手段は電気的接続のみ、また或る接続手段は機械的接続のみを実行するものであっても良い。
【0011】
即ち、銃本体のコネクター端子部分と、バッテリー側のバッテリー端子部分において、相互に係合可能な、3対より成る係合片が接続手段として並列して設けられており、その内の中間の1対の係合片はバッテリーを機械的に銃本体に接続する弾性保持構造のみを有し、残る2対の係合片は電気的接続機能を有しているという構成を、必要に応じて取ることになる。
【0012】
本発明は、また、ほぼ三角形の横断面形状を有する銃床の前後方向左右の両側にバッテリー収容部を設け、かつ左右のバッテリー収容部は銃床の床尾にバッテリー挿入のための開口部が開口し、バッテリーは上記左右のバッテリー収容部に収まる左右一対のバッテリーパックを端部において一体に設けた二又状構造を有しており、バッテリー収容部の左右開口部の中間に、コネクター端子を設置する一方、バッテリーの二又状の端部にバッテリー端子を設けた構成を取ることができる。
【0013】
前述したLMTであるとか、VOLTORというタイプの、ストック上部の横断面形状がほぼ三角形の部分を有する銃の構造を模した模擬銃の場合、実銃同様にストック上部の横断面形状がほぼ三角形の部分にバッテリー収容部を設定する必要が生じるが、その要求は上記した本発明の構成によって達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、銃身、機関部及び銃床を含む銃本体に着脱式に取り付けるバッテリーの着脱部分に関する模擬銃におけるバッテリーの着脱装置を提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、実銃同様にストック上部の横断面形状がほぼ三角形の部分にバッテリー収容部を設けることを可能にする模擬銃におけるバッテリーの着脱装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明に係るバッテリーの着脱装置を搭載した模擬銃を示しており、10は本発明における銃本体を示すものであって、銃身11と、内部に組み込まれた機関部としての電動部12と、ストック13及びグリップ14を含んで構成されている。ストック13は銃床であり、銃本体10の後部において、長さ調節機構15を介して設けられている。
【0016】
電動部12は、例えばこの模擬銃の場合には、圧縮エアを作り出すピストンシリンダー装置を駆動するモーターを有しており、例えば特開平6−235597号などに開示されているようにラックアンドピニオン機構を用いてピストンを駆動し、トリガー12tによって動作回路をオンオフする機構を備えている。この例の場合ピストンシリンダー装置のシリンダーノズルから圧縮エアが噴射され、その圧縮エアによって銃身11の後端に配置されている弾丸が銃口から発射される構成を取る。なお、弾丸はマガジン16から銃身11の後端の装弾部に供給される。
【0017】
上記の電動部12に必要な電力を供給するための電源として、バッテリー17を使用する。バッテリー17を装着するバッテリー収容部18は、銃本体10のストック13に設けられており、図示の例におけるバッテリー収容部18はVOLTOR型の銃の外形を模して、銃床の前後方向左右の両側に設けられている。即ち、VOLTOR型の銃のストックは、上部の横断面形状がほぼ三角形になっている部分を有するので、本発明においてはこの形状を模して当該三角形の3つの角の中央部分に前記長さ調節機構15の収容部19を配置し、その左右両角にバッテリー収容部18a、18bを配置している(図1B、図2参照)。このようなバッテリーの収容構成はVOLTOR型のみならず、ストックに三角形の横断面構造を有するLMT型の銃についても同様に適用することができる。
【0018】
左右のバッテリー収容部18a、18bは銃床の床尾、つまりストックの後端にバッテリー挿入のための開口部20を開口させている。バッテリー17は上記左右のバッテリー収容部18a、18bに収まる左右一対のバッテリーパック17a、17bをその端部にて結合した、結合部17cにおいて一体に設けた二又状構造を有しており(図3参照)、バッテリー収容部18a、18bの左右開口部20、20の中間に、コネクター端子21を設置する一方、バッテリー17の二又状の端部にはバッテリー端子22を設けた構成を有している。
【0019】
上記のコネクター端子21は端子レール23に接続されており、端子レール23は長さ調節機構15が収められる収容部19の下部に露出して前後方向に設置され、長さ調節機構15の下部に設置されている接点端子24と摺接可能に構成されている(図2参照)。図示の例では、レバー13bを操作し、支点13cを中心として戻しばね13dに抗して回転させ、長さ調節機構15の係合凹部15aに対する係合突部13aの係合位置を調節することができるが、このようにしてストック13の突出長さを変化させても、常時、通電状態を維持することができる。
【0020】
上記銃本体10のコネクター端子21の部分と、バッテリー17の側のバッテリー端子22の部分には、相互に係合可能な3対より成る係合片25、25、26、26、27、27、25′、25′、26′、26′、27′、27′が上下に並列して設けられている(図4参照)。その内の中間の1対の係合片26、26はバッテリー17を機械的に銃本体10に接続するためにバッテリー側の係合片26′、26′と弾性的に係合する弾性保持構造のみを有し、その上下の2対の係合片25、25、27、27は機械的接続機能と電気的接続機能を併有している。
【0021】
特に機械的接続機能と電気的接続機能を併有する2対の係合片25、25、27、27は、基部側に屈曲させた弾性部25a、27aを有しており、バッテリー側係合片26、26、26′、26′との間で十分な接触圧力を得ている。また、バッテリー側の係合片26′、26′には機械的接続手段としての機能だけを求めているので通電機能のために金属部品で形成する必要はなく、図示の例ではバッテリーケーシングを構成する樹脂成型構造の一部として設けている。
【0022】
上記コネクター端子21を取り囲むように突設した後端部分28は、バッテリー収容部18a、18bの左右開口部の中間にあり、バッテリー17の二又状構造の隙間部29に収まって両側からバッテリーパック17a、17bによって挟み込まれる構造とされている。装着状態において、バッテリー17の結合部17cはストック13の後端13部よりもやや突き出して、取り出すときに摘めるようになっており、そのバッテリー装着状態でストック13の後端13部を覆うカバー30が取り付けられている。カバー30には、バッテリー17の結合部17cが収まる凹部31と、複数箇所の係合部32a、32bが設けられており、ストック13の後端13c側に設けられている係合相手部33a、33bと弾性的に係合するように構成されている。また、符号34は回路に挿入されているヒューズを示しており、ストック側に配置されている。
【0023】
このように構成されている本発明に係るバッテリーの着脱装置においては、図3に示したように二又状バッテリー17の左右一対のバッテリーパック17a、17bを、例えばその端部の結合部17c側を手に持ち、他端部を左右のバッテリー収容部18a、18bに挿入して取り付ける。挿入の最後の段階において二又状構造のバッテリー17の係合片25、25〜27′、27′が相互に係合状態になると、上下2対の係合片25、25、27、27では機械的接続機能と電気的接続機能が形成されるが、係合片26、26、26′、26′は弾性的に係合する機械的接続機能のみが形成されることになり、ここにバッテリー17の装着が完了する(図6参照)。
【0024】
図2はストック13にバッテリー17を装着した状態を示しており、ストック13の後端13cはカバー30で覆われる。カバー30は、複数箇所の係合部32a、32bと係合相手部33a、33bとの弾性的な係合によって装着され、かつ弾性変形によって取り外すことができる。また、バッテリー17を取り出すときには、図2から明らかなようにその結合部17cの後端がストック13の後端13部よりもやや突き出しているので、ここを摘んで行えば良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る模擬銃におけるバッテリーの着脱装置の一例を示すもので、Aは銃本体の側面説明図、Bはストック上部の横断面図である。
【図2】同上におけるストック部分の縦断面図である。
【図3】同上装置を示す断面説明図である。
【図4】同上装置の説明図でAはバッテリー収容部開後端部分の正面図、Bはバッテリー端子部分の正面図である。
【図5】同上装置においてバッテリー分離状態を説明する断面図である。
【図6】同上装置においてバッテリー接続状態を説明する拡大断面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 銃本体
11 銃身
12 電動部
13 ストック
14 グリップ
15 長さ調節機構
16 マガジン
17 バッテリー
18 バッテリー収容部
19 長さ調節機構の収容部
20 開口部
21 コネクター端子
22 バッテリー端子
23 端子レール
24 接点端子
25、25′、26、26′、27、27′ 係合片
28 後端部分
29 隙間部
30 カバー
31 凹部
32a、32b 係合部
33a、33b 係合相手部
34 ヒューズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃本体に着脱式に取り付けるバッテリーの着脱部分に関する装置であって、
銃本体にバッテリー収容部を設けるとともに、バッテリー収容部にバッテリーを挿入する開口部の近傍にコネクター端子を設置し、
バッテリーは、バッテリー収容部に嵌め込むバッテリー本体部分と、コネクター端子との接続手段であるバッテリー端子を有しており、
上記接続手段は、バッテリーをバッテリー収容部に嵌め込んでそのバッテリー端子を上記コネクター端子に接続したときに、バッテリーを機械的に銃本体に接続する弾性保持構造を備えている
模擬銃におけるバッテリーの着脱装置。
【請求項2】
ほぼ三角形の横断面形状を有する銃床の前後方向左右の両側にバッテリー収容部が設けられており、かつ左右のバッテリー収容部は銃床の床尾にバッテリー挿入のための開口部が開口しており、バッテリーは上記左右のバッテリー収容部に収まる左右一対のバッテリーパックを端部において一体に設けた二又状構造を有しており、バッテリー収容部の左右開口部の中間に、コネクター端子を設置する一方、バッテリーの二又状の端部にバッテリー端子を設けた構成を有している請求項1記載の模擬銃におけるバッテリーの着脱装置。
【請求項3】
銃本体のコネクター端子部分と、バッテリー側のバッテリー端子部分において、相互に係合可能な、3対より成る係合片が接続手段として並列して設けられており、その内の中間の1対の係合片はバッテリーを機械的に銃本体に接続する弾性保持構造のみを有し、残る2対の係合片は電気的接続機能を有している請求項1記載の模擬銃におけるバッテリーの着脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−121884(P2010−121884A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297207(P2008−297207)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(592153584)株式会社東京マルイ (29)
【Fターム(参考)】